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- テルティウムが入室しました
- 魔術師ギルド“夢幻の塔”。
時には単純に、“塔”とも呼ばれるこの場所は、イルスファールの建国とほぼ同時に設立された歴史ある魔術師ギルド支部のことである。
王都の一角にある林の中に佇むこの建築物は厳密には建築物ですらなく、一本“魔剣”によって生み出された理外の存在だ。
そんな存在ではあるが、性質としては随分と開放的な場所となっているのはイルスファールの民であれば知る所であり、認知度としてはあのマギテック協会の魔法使い版といったところである。
――その評価が、果たして喜ばしいものであるかは置いておこう。
-
ともあれ、そのような“塔”は近年、新しい風を取り入れつつあった。
正確には『新しい』、と単純に言い切って良いものかと言えば少しばかり悩ましいところではある。
“秘文使い”と呼ばれるその技術は、遙か魔法文明時代に存在したという“秘奥使い”に端を発しているからだ。
予てより、時折存在していた秘文使い達の知識を集約し、評価・分析を行い、技能を活用する為の“魔術書”を集めて。
晴れてこうして、秘奥魔法の講座が開かれることとなったのであった。
- アニバル
- ざわざわと、一定数の人が集まる中に赤髪の目立つその青年の姿はあった。
新しい知識を得られる機会ということもあり、その日の“塔”には多くの人種が詰めかけていた。
魔法使い、賢者、研究者。そして、青年の様な冒険者まで、様々だ。
- テルティウム
- そんな魔法使いの中に、一人の少女が混ざっている。
小柄であどけない顔立ち、それに比して成熟した円みある肢体。
二つ結びにした白い髪を揺らして、意欲があるんだかないんだか分からない茫洋とした表情で真っ直ぐ前を見ている。
- アニバル
- 事前に予約を取り、決まった人数での開催のはずだが明らかに人数が多く見えるのは、当日キャンセルの枠でも空かないかと期待して来てみた者も少なくはないのだろう、と。
――ご苦労なことだ、内心で思いながら周囲に視線を回して。
- テルティウム
- ただ前を見ている、というよりは身を乗り出して目を凝らしているというのが近い。
赤い瞳が時折狭められる。
- アニバル
- おや、とその少女で目が止まる。そう言えば先日の依頼の際にも、件の老爺の技術に期待して自ら依頼への参加を求めていたのだったか。
どうやら、随分と知識に対しては貪欲な性質らしい。
- テルティウム
- あまり視力はよくない方で、席を移れば済む話なのだが前の方の席は埋まっているし、面倒臭かった。
- 「……」羊皮紙をくるくる丸めて筒を作って片目で覗き込んだ、まぁいいかこれで
- アニバル
- 周囲で牽制し合う駆け引きの様子が行われているのを感じて少し思考した後、すたすたと歩み寄っては少女の隣へと腰掛けてしまおう。
後方から聞こえた、間の抜けた「あ」という様な声が小気味良い。
- 「久しいな、こんな場所で再会するとは思いも依らなかったが」
- テルティウム
- 「……」 片目を瞑って開いた方の目で丸めた筒を覗き込んで、そのまま振り向いた。円い景色の中で赤い色だけ見えて、少し首を傾げた。
- 円い視界が少し動いて青い目が見えた。あー、と思う。
- 「嗜虐のひと」
- アニバル
- 「遠眼鏡と呼ぶには随分御粗末だな」 そんな様子に呆れを隠しもしない声音で。
- 「忘れてはいなかったようで結構」 興味がないものは覚えもしないタイプであるようにも見える。 「アニバルだ」 一応、名乗り直しておこう。
- テルティウム
- 「なんでいるの?」 筒を下に向けていく。首、肩、手足。近いと単純に見づらいと気付いて筒を退け、閉じていた目を開けた
- アニバル
- 「それは言葉通りの意味かね、それとも哲学的な問いかね」 端的な問いに混ぜ返すように問いを返した後に。
- 「秘奥魔法に興味があって講習を受けに来た、以外の理由があるとでも?」
- テルティウム
- 「……魔法、必要?」 殴った方が早そうなのに。感触もあって一石二鳥なのでは
- 「殴打用魔導書」ぽん、と手を叩いた。
- アニバル
- 「手段は備えておくものだ」
- 「なにせ弱点というものはそれぞれだろう」 殴打に弱いものもいれば魔法に弱いものもいる。
- テルティウム
- 「あれは邪道。解釈違い」
- アニバル
- 「頑丈である、その一点だけは褒められるとは思うが横着をしすぎだという意見には同意しよう」 >武装として使える類の魔導書
- テルティウム
- 「魔導書は特別、門外不出。ちゃんと使えないからって鈍器として使う、良くない」
- アニバル
- 「そういった用法で求めている訳では無いし、それこそ殴打するのであれば自身の肉体を使う方が話が早いだろう」 呆れ。
- テルティウム
- 「聖印を投げてぶつけるみたいなもの」
- アニバル
- 「ちゃんと目を付けている秘奥魔法があって来ている。人を考えなしの脳筋のように扱うのは止めて貰おうか」
- テルティウム
- 「……針?」小さく口を開けてぼんやりしてから、ぽつりと聞き返す
- アニバル
- やれやれ、まだ拙い魔法文明語を補う(のと、後方で悔しげにしている連中の悲嘆を味わう)ために知り合いの隣へと陣取ったが、これは失敗だったかと内心溜息を吐いていたが。
「――」 聞こえてきた小さな問いに、ほう、と見直したように小さく口元を歪めて。
- 「正解だ」
- テルティウム
- 「初等級、前線運用、役に立ちそうなの、あれくらい」
- アニバル
- 「槍も悪くはないのだがね」
- テルティウム
- 「出力不足」
- アニバル
- 「と、言うよりもそちらは奇跡で代用が効くというのが正しい」 物言いがだいぶ不心得者。
- テルティウム
- 「同意」
- 「適正に合う努力をすべき。時間は有限」
- アニバル
- 「違いない。そちらは――、と」 テルティウムの目的を問おう、と口を開いて程なく、ざわついていた室内が水を打ったように静まり返っていく。目を向ければ、どうやら前方に講師が姿を現したらしい。
- テルティウム
- 「私は――今からグリモワールになる時間はない」
- そう言いながらも前を向いた。習得する気はないとしながらも聞く気はあるようだ。
- アニバル
- 「ビブリオマンサーではなく、か」 ふむ。 気になる物言いに片眉を上げながら、視線は前方へと向けて声のボリュームは小さく呟き。
- しかし、講義が始まるとなれば優先順位はそちらであることは間違いなく。視線を前方へ向けて、配布された資料と併せて講義に集中するとしよう。
- テルティウム
- 講義が始まると集中して聞いている。またあの羊皮紙遠眼鏡もどきを作ったりして、例として掲げられた魔導書をじっと眺めたり、講義内容に頷いたり、失笑めいた吐息を零して首を振ったり
講義の内容は、まずは現代に伝えられる“秘奥魔法”の成り立ちから始まった。
魔法文明時代の貴族たちが生み出し、秘匿し、魔法文明時代の終焉と共に歴史から姿を消したということ。
- 多様に進化した秘術は、現在に伝わっていた話では、それらは各々の貴族が門外不出とした為に真語魔法や操霊魔法のように現代に伝えられなかったのだと。
- アニバル
講義の内容を聞きながら、声こそ発しないものの見た目に煩い反応を見せる横の少女に、時折視線を向けて様子を見る。その反応は、未知の情報を摂取していると言うよりも、既知の情報を照合していると表現するのがしっくり来るもので。
-
しかし、その状況が〈大破局〉を迎えた後に変化した。
出土した墳墓より発掘された魔導書を解読し、解析して秘奥魔法の再現に至ったのだ。
- テルティウム
- 手元でメモというより落書きめいたものを書き綴っている。
『かくしすぎ』『ひろまらない』『にんずうすくない』『いきづまり』『ひとはなれる』
- 壊滅的に汚い共通語で書かれたそれは批判めいたものだ。
- ただ、それを書きながら納得したように頷き、講義には意見を述べたりせずに聞いていた。
-
そうして再発見された秘奥魔法は現代に置いて、貴族の為の隠された魔法から多くの人の扱うことの出来るものとして広がる余地を見せつつあるのだと。
未だ魔導書は発掘に頼っている状況であるが、こうして広めていくことで現代の魔導書を、そして新たな秘奥魔法を生み出すことも決して夢物語とは言えないだろうと語り。
熱意が行き過ぎていると自覚したのかクールダウンして、実際の秘奥魔法の仕組みや魔導書の扱い方と言った実践的な話へと移っていく。
- アニバル
- 横の小娘が熱心にメモを取ったかと思えば、落書きにしか見えない汚い書き文字に眉を顰めて。
講師の話を半ば聞き流しながら、重要だと感じた部分のみをきっちりとした自体で書き留めていく。
――熱意の有無は、今の時点ではどちらでも良い。講師の望みが叶うかは、結果が示してくれることだろう。
- テルティウム
- メモの最後に『はやらない』と書き足して、そこはかとない満足げな息を吐いた。
- アニバル
- 成り立ちに興味がなかったわけではないが、より興味があるのは実際の扱い方や自身が習得可能なものかどうかの方だというのは言うまでもない。
- 要するにこれは、娯楽か実益かの話であって。実益を求めて来たのだから、そちらに意識が向くのは道理だろう。
-
実演される秘奥魔法。そして、現代の人々が魔導書を活用し、秘奥魔法を行使する為の技術開発に付いてなどが解説されていく。
魔法文明時代当時、文字通りに秘されて隠されていたその魔法は当時の常識では考えられなかった手法で活用されていた。
発掘された魔導書はそれ単独ではなく、それに記述された魔法を解析、分類されて“秘文使い”は自身の魔導書へとそれらの魔法をストックし、時には必要に応じて入れ替えて利用するのだと言う。
- 現在、見付かっている魔法の多くは高い効果を持ち、同時に燃費などの点では劣る物が多い。
しかし、かつての貴族達が秘匿し続けた魔法にはこれらの欠点を補ったものや更に長所を伸ばしたものもあるだろうことは疑いなく、そしてそれらを求めるためにも秘奥魔法についてを広め、未知の魔導書の発見へと繋がることを大いに期待していると結んで。
最後に、“秘文使い”としての適性の簡単な問診を終えて、初回の講座は終了するようであった。
- テルティウム
- 「使えそう?」 少し眠たげな顔で青年に尋ねた。講義が実践的な話になってきたあたりから、落書きを止めて、青年の手元のメモを覗き込んでいた。その上でこの焦点のぼけた質問だ。
- アニバル
- 「適正自体はないではないらしい」 問診結果としては、可もなく不可もなく。取り立てて大きく才能があるわけではないが、全く無いわけではないと。
もとよりの目当てを考えれば、問題のない結果と言えるだろう。
- 覗き込んだメモには、講師が語った魔導書の扱いに関する雑学や実際に使用する際の注意点などが書き取られている。
覚書、というよりは覚えるために書いたという要素が強いのだろう。
- テルティウム
- 「貴族の血、すこしは残ってるのかもね」
- 講義は終わり、静けさからは一転して講義の内容についてや実際に習得を試みるかについてなど、ざわざわとしたやり取りがあちらこちらで行われていた。
アンケートを兼ねた次回講座――より実践的な内容に踏み込んだもの――の案内や希望のチェックなども回されている。
- アニバル
- 「数千年前となれば、むしろ僅かでも混ざっていないことの方が想像し難くはあるがね」 それだけの年月が流れてしまっているのだ。苦笑しながら答え、次回の参加に希望を入れて提出した。
- 日程までに、魔法文明語をしっかり履修しなくてはならないだろう。
- 「君はどうだった。何かしら発見はあったのかね」
- テルティウム
- 「私は混ざってないし、使えるようにも出来てない」 発見は、と問われて小首を傾げ
- アニバル
- 直前の物言いと良い、講義中の様子と良い。技能を身に付けようという気概は見出しづらく、他に目的があったのだろうとそんな問いを投げて。
- テルティウム
- 「これ、やっぱり前から纏まりが無いし、マナ効率も良くない。効率を求めた結果の非効率。固定化されて、研究の余地がない。発展性がない。失伝してたのも納得」
- アニバル
- 「『出来ていない』、か」 ふむ。 「ルーンフォークのようには見えないが――」
- 「となると、ハイマンか」 少女の身体的特徴からして、そちらだろう。そう結論付けて。
- テルティウム
- 「個々の完成度と効果は高いのもあるから、初等を少し使うにはいいかも?」
- アニバル
- 「元よりそこまで極めようというつもりもない」 そのつもりだ、と頷いて。
- テルティウム
- 「ハイっていうより、廃」
- 「あれ、言ってなかった」
- 「必要だった……?」
- アニバル
- 「冒険者として生きることを望んだのであれば、他の種族であっても平均寿命という点では大差あるまいよ」 早死する奴が多いから。
- テルティウム
- 自嘲的な言葉のようでまるで拘りがない。隠していたわけではなく、ただ雑だった
- 「冒険者、すごくいい。好きになとこに行ける、勝手に入って見放題、得」
- アニバル
- 「特には。類推する要素が揃って結論に至れば、検算できるのであれば試みるだろう?」
- 少女の種族に興味があったというより、単純に答え合わせがしたかっただけだと告げて返し。
- テルティウム
- 「じゃあ正解」
- アニバル
- 「時間がないという言葉も頷けるというものだ」
- 「――となると。あの反応は、当時の記録とのすり合わせかね」 失笑なりなんなり。現代に伝わっている、ないし予測と比べたか。
- テルティウム
- 「そう。全部知ってるわけじゃないけど。昔からあんまり増えてないなって」
- アニバル
- 「成程。当時を識るものから見れば思うところはあるか。色々と聞いてみたい事はあるが――」 言いつつ、周囲を見れば帰り支度をしている者、実際に既に席を立って帰途へついている者の姿もある。この場所を占拠する訳にはいくまい。
- 「この後、用事もないのであれば食事でもどうかね。情報料代わりとして代金はこちらで持つとしよう」
- テルティウム
- 「了承」 食事という言葉に惹かれたのか、代金負担に惹かれたのか分からないが頷いた。
- アニバル
- 「食えないものは?」 了承を取り付けたので頷き、帰り支度をしながら。
- テルティウム
- 「口に入らないもの、入れちゃだめなもの」
- アニバル
- 「好き嫌いはないと。ならば私の行き着けの店で構わんな」
- テルティウム
- 頷いた。言葉を出すのが面倒になったのだ
- アニバル
- 良かろうと頷き、さっさと席を立てば少女を伴って目的地へと向かうとしよう。
- 後に残っている者の中には、最初に足踏みをしていた顔もあるのを見付けて。
――ふ、と底意地の悪い笑みを浮かべて、見せて講堂を出るのだった。
- テルティウム
- 青年が顔を向けた方をチラリと見て、誰だっけ、と思いながら、その後についていった
- ――2人が姿を消した後、猿の鳴き声のような声と嗜める声が聞こえたとか聞こえないとか。まぁ、大した話ではないのだった。
そうして青年が少女を連れて行った先は、商業区の食事処の並ぶ一角であった。
その中を勝手知ったるといった調子で歩き、足を止めたのはとある一軒の老舗の前であった。
古びた看板に書かれた筆字にある文字は〈泰龍山〉、見た目からしてそれとわかるドワーフ料理屋である。
本日のオススメなどが書き殴られた小看板の隣を行き、足を踏み入れればガヤガヤとした熱気が二人を迎え入れることとなるだろう。
青年は常連らしく、馴染みの店員と二、三会話を交わした後に奥まったテーブルへと通されるのだった。
- アニバル
- 席に案内されれば堂々と座り、青椒肉絲や回鍋肉、鶏の揚げ物などの大皿を数点頼みながら。
「飯物は食べるかね」 連れの少女へとそう尋ねて。
- テルティウム
- 「……」 白い髪の少女は店に漂う匂いや、別のテーブルに並ぶ料理ではなく、建物の内装やテーブル、カトラリーを眺めていた
「めし……? 穀物は食べたこと、ある」
- アニバル
- 「ふむ」 どうやら、そもそも何のことかもわかっていないらしい様子を見ればそれも経験だろうと、焼き飯を小サイズで2点。前菜になりそうなハムや点心を頼んで下げさせた。結局少女の意見は聞くことなく注文を終えるのだった。
- 「さて、以前はどうでも良いと思って身の上など聞くこともなかったが」 話しているうちに、冷やされた水の入ったカップやピッチャーが運ばれて来て雑に置いていかれたり。
「今の時代で生まれたのではなく、比較的最近に目覚めた類という理解で構わないのかね」
- テルティウム
- 「そう。造られて、必要なくなったから眠らされてたみたい」
悲壮な顔をするでなく焼き飯をスプーンでほじって具材と飯をより分け、一匙ずつ口にして、混ぜてからもう一口
- 大衆向けで冒険者の人気もある店の味付けだ。わかりやすく濃い目の味わいを味蕾へと届けてくれる。
- テルティウム
- 「私の知ってる時代は、古代になってた」 濃い味つけの焼き飯をむぐむぐと口にする。二匙、三匙と続いているということは少なくとも不味くはないらしい。
- アニバル
- 「先程の講義の様子も見るに、当時の知識もある程度持っていそうだったが」
- 注文から程なく届けられた大皿から、一緒に持ってこられた小皿へと料理を取って見せる。同じ様にして食え、と示してやり。
- テルティウム
- 「秘奥は各家の秘伝で、先端だった」 灰汁に付け込んで黒緑に変色した奇妙な卵、しかし、臆せず口にした
- アニバル
- 「その認識は今も変わりはない」
- テルティウム
- 「続いてなかった。あれだと解読だけ。そのうち途絶える」
- アニバル
- 「つまり途絶えた所までを識っているわけではないということか」 眠らされた時点では、まだ現役ではあったと。
- テルティウム
- 「私は使わせて貰えなかったし」
- アニバル
- 「ハイマン、人という種を魔術でもって進化させようとして生まれた種族だったか。つまり、君の創造者は何かしらの目的をもって生み出し、そして廃棄したと」 全く飾らぬ言葉で確認作業のようにヒアリングしていく。
- からあげにレモンは絞るかね?
- テルティウム
- 「貴族は支配で王になった。うちは魔法だけで王になるのが本物だって方針」
- 「……これだけを売り物にする、そんな感じ」前菜を押しのけて、焼き飯の皿を手元に引き寄せ
- アニバル
- 「よほど他者の追随を許さない力量差がなければ為し得まいな」 その皿はお前の分だし気に入ったのなら食って構わん。
- テルティウム
- むぐむぐと焼き飯を頬張りつつ 「私は前の二人よりは上手く行った方だったみたい。けど、やっぱり自分でなるものだって言われて」
- 「別にしまう必要、無かった気がする」
- アニバル
- 「そもそも造る必要がなかったように聞こえるが、何の為に?」
- 前の二人、という言葉に。なるほどだからテルティウムか、と得心をした。それを名乗り続けるという心理はどういったものだろうか、表情の薄い少女の顔を見て真意を覗こうとしてみるが。
- テルティウム
- 「マルグリットは自分の代わりに“完全なる魔術師”を造ろうと思った」
- アニバル
- 「確か、本来であればハイマンとは優れた頭脳や高い魔力、優れた肉体に永遠の寿命を持った生命体となるはず――だったか。“完全なる魔術師”と呼ぶには相応しいな」 それが実現不可能であるということに目を瞑れば、ということになるが。
- テルティウム
- 「でも、造るより“なる"方が近いと思った?」 白いふるふるしたものが入った皿にスプーンを突っ込んだ。思ってたのと違う味だったのか、少し目が動いた
- 「たぶん、思ってたのと何か違ってた」
- アニバル
- 「ふむ」
- テルティウム
- 「それは、それ」 白いふるふるをもう一口、悪くないようだ
- アニバル
- 「何点か確認したいが構わんな」 構わないなと言いつつ、答えはあまり待つ様子もなく。
- テルティウム
- 「ん?」
- アニバル
- マルグリット、という魔法王がいたか、思考を巡らせるが少なくとも思い浮かぶ情報はなかった。
- 「そのマルグリットはお前達を造るに当たって自分の情報を基にしたか。しまう必要はなかったと言っていたが、その封印は突然行われたものであるのか。ハイマンという種族の抱える欠点を改善する試みは、そのマルグリットは行っていたか?」 ざっと思い浮かぶ問いを投げ付けて。
- 「上手く行った方だった、とのことだったが。つまり、お前の前には要求スペックに足りていない先人がいたという認識で間違いないな」
- テルティウム
- 「私も前の二人もマルグリットの写し。実験はやめって言われてそれっきり」3つの質問への答えを端的に話す
- 「どれが欠点だったかは分からない。何かか全部が駄目だったんじゃない?」
- アニバル
- 「ふむ。さて、果たしてそれが正答であるかは別として、仮説を立てる事はできるな」 出来ることならそれこそ当人を前にして語りたかったものだが、とどこか残念そうに。
- ところで野菜も食っておけ。回鍋肉も取り分けて食わせておこう。
- テルティウム
- 「私は妖精が使えた。マルグリットは使えなかった。思ってたのと違ったのかも」
- アニバル
- 「聞いてみるかね、自身がなぜ封じられるに至ったか、そのあらましを聞いた人間の立てた予想というものを」 形式として尋ねてはいるが、その様子は否と答えられたとて語りだしそうでもある。
- テルティウム
- 「私はマルグリットじゃないし、いらなくない?」 キャベツの下から肉の切れ端を掘り出すのに忙しい顔
- アニバル
- 「眠らされたことに対して思うことがないのであれば、そうかもしれんな」 反応が薄い。あまり面白くなさそうだと力を抜き。
- テルティウム
- 「実験はやめ、マルグリットはいない。自己裁量、自助自立」
- アニバル
- 「歴史上にも名前は残ってはいない、そうだろう」 マルグリットは。
- テルティウム
- 「好きに魔法を覚えて、使える。先の答えがたくさん埋もれてる。未来最高」最後だけスプーンの柄を握る手に力がこもった
- 「たぶん」スンとなった
- アニバル
- 「だからだろう、眠らされたのは」 好きに覚えられるという言葉を拾い、頷いて。店員を呼び、何やら長ったらしい名前の料理の追加を伝えて、そのコールで周囲の客たちに軽くざわめきが走る。
- テルティウム
- 「私、なんかやった?」 周りのざわめきをきょろきょろしながら。本体への執着が余りにも薄い
- アニバル
- 「出来は良かったと言うが、人という存在の精神面の弱さについてはやはり勉強が足りていないようだな」 自覚のない様子に薄く笑いながら、そう言って。
- 周囲の様子を見れば、そう言えばと気が付くことがある。案内された座席は、他の客席と最初から離されていて、まるで隔離を受けているかのようでもあった。
- テルティウム
- 「それは私の学習範囲外」
- 「何の儀式……?」
- アニバル
- 「要するにそのマルグリットは凡人だったのだろう、という話だ」
- 「何。よく少々刺激のある料理を注文するのでな、その対策だ」 注意を向ければ厨房の方も不穏な気配が漂いつつあるやもしれない。
- 「私の目から見てもお前の魔法に対する才能の高さは見て取れる。操霊魔法だけでなく、本体では扱えない妖精との交信も可能だというのもそれの証左だろう」
- 「ハイマンという種は本来の目的のスペックには足りなかったとは言え、それでも知能面や魔術の運用面の資質で言えば目標に到達していたということであろう」
- 「要するに自分のコピー――お前に、自分を超える才覚を見出してしまったのだろうな。だから、その事実から目を背ける為に封をして閉じ込めた。だから、王として名を残せぬ凡夫として歴史に埋もれた。全く惜しい事をしたものだ」 ふう、と勿体ないというように息継ぎのように息を吐いて。
- 「自分を基に生み出した自分自身が功績を残せばそれで良い、と割り切ることができれば、アークメイジを生み出せていたかもしれないというのに」
- テルティウム
- 「……」少女は結局聞かされることになった仮説に、しばし黙考して
- 「マルグリットになら、嗜虐的嗜好の充足を得られた、ということ?」
- そういう意味で“惜しい”のだと解釈した。
- アニバル
- 「当人に聞かせて反応を愉しみたかったかと問われれば、嘘は言えんな」 それもある、と。
- テルティウム
- 「残念。私も少し見てみたかった。かも?」
- アニバル
- 「それとは別に、目的達成のために手段を選んでいる時点で片手落ちだという話でもある。先程の例えで言えば、一品料理で勝負をしたいが材料は自分の実家で採れたものに拘りたいと言うようなものだ」
- その言葉に、小さく人の悪い笑みを浮かべる。 「結局、有無を言わさずに眠らされたことについては思うところはあったらしいな」
- 「ならば、この仮説が正しかったとすれば悪い気はすまい。お前のオリジナルは、お前というコピーをこわがって蓋をして逃げて、その先に何も掴めなかったのだろうと思えば――“いい気味だ”、と。そうは思わんかね」
- テルティウム
- 「杖と宝石がなくなってたから……あれはいいものだった」
- 「あんまり……? 貴方はそういうの、ある?」
- アニバル
- 「……」 その反応には、若干の落胆の様子を見せたのだった。
- 「私にあるというよりも、自分に不利益を働いた相手に対しての鬱憤を晴らそうというヒトが多いのは事実だろうな」
- テルティウム
- 「そんなことより、私の使える魔法が増えて強くする方が大事」
- アニバル
- 「お前もその類かと思ったが。本当にどうでも良いのか、感情面が希薄なのか」 しかしこれは前者のようだ。
- 気が付けば二人称が君からお前に変わっている。
- 「それを望むのであれば、冒険者という生き様は悪くはないだろう。研究にだけ身を費やしているよりも濃度の高い時間を過ごして力量を上げることに繋がるだろうからな」
- その様な話をしていれば、やおら厨房の扉がバァンッ!と開かれて。グツグツと煮込まれた――否、今なお煮込まれ続けている刺激の強い香りを発するなにかが鍋で運ばれてくる。運び来る料理人も完全防備、その動線上に他の客の姿はなく。ただこわいもの満たさという様子の客がその様子を覗き込んでいる。
- テルティウム
- 「魔道具目録を見た。ラル=ヴェイネの魔道具、魔力が増える。姿勢安定を保つ身体技術でカバー可能。絶対欲しい。手に入れる。それに、参式魔導術、実戦魔導術、特別魔法行使学、魔精解放術式、双霊氷法――新しい魔道秘術がたくさん、」
- 「参式による魔法拡大と収束の収斂を組み合わせて、魔力を最大化――理論上出来そう、誰かやった?やってない?やりたい」 感情が希薄かと思えば、魔法に関して話をする時は前のめりで早口で熱が籠っている
- アニバル
- 「金回りが良いのも間違いない。命を安売りするような稼業だ、持ち帰ることさえできれば儲けは良い――ああ、こちらだ」 言うまでもないだろうが、と店員に手を上げて招き。
- テルティウム
- 「……なにあれ」 料理が運ばれてくるにしては物騒で剣呑な気配前に、再びスン、となった
- 空いた皿が片付けられ、中央の布がどかされ、<b>ごとり</em>と置かれたそれは顕現された地獄もかくやという刺激物であった。真っ赤なスープに香辛料がこれでもかとぶち込まれたそれに、付け合せの肉や野菜を潜らせて食えということなのであろう。正気であるかは怪しい。
- アニバル
- 「火竜昇天辣椒辛子獄門鍋。この店の迷物料理だ、私の好物でな」
- 店員は何言ってんだこいつという目を向けながらも、何度も頼んでいる客だということは理解しているため、愛想笑いを浮かべながら去って行った。
- テルティウム
- 「かりゅ……なんて?」 デュランディル語で言って
- アニバル
- 「火竜昇天辣椒辛子獄門鍋。この地獄に見立てたスープに食材を潜らせ、赤い火竜へと昇天させて刺激を楽しむという風雅な食事だ」 解説している間にもなんかすごい刺激臭が鍋からは漂っている、が。
- 「この様に、だ」 そう言いながら当然の様に肉を野菜で挟むと、鍋の赤いスープの中へと潜らせて暫く泳がせ火を通し――引き抜いたときには、元の色もわからぬ赤色に染まっていて。それを、当然のように口に含んだ。
- ――と、同時に。先程までは平静であった男の汗腺からはぶわと汗が噴き出し、肌色も一気に血行を良くなる。そして口に含んだ食料を嚥下すれば、ほうと満足そうに息を吐き笑うのだ。
- もとより自分ひとりで食らうつもりだったのか、肉や野菜の料はそれほど多くはない。こんなテロに巻き込むな、そう思われても仕方がないかもしれない。
- 「しかし。――なるほど、過去から現代に飛ばされて恨みがあるかと思えば。現代ならではの技術に楽しみを見出していたか」 それならば、どうでもいいというのも頷ける。
- テルティウム
- 「私は未来に生きてる」 男を真似して具材をスープに潜らせる。赤い。物怖じせずぱくりと食べた。
「……刺激的」
- 表情にほとんど変化はない。汗も目立たない。白い肌は汗が目立たないのか、そういう機能が無いのか、上手く機能していないのか。
- アニバル
- 「まぁ過去に縛られすぎるよりは建設的と言えるだろう。個人的に言わせてもらえば――まあ、つまらないと感じなくはないがね」
- 「その刺激を楽しむのが、この料理との向き合い方だ」 そう言いながら自分も次の食材を箸に取っていく。 こちらを覗き込む客たちは、「まじかよ……」「うそだろ……」という化け物を見る目になっているか。
- テルティウム
- 「悩む、迷う、失敗する人が好き?」 ひょいぱくひょいぱく
- アニバル
- 「難しい問いだ。……ふむ」 少し考えて。
- 「他者の弱さが好きだと言うべきなのかもしれないな」 自分の性癖を見つめ直し、その様に表現して。
- テルティウム
- 「無いものねだり?」 己が弱さとは無縁である故に、人の弱さを視たいのかという問い
- アニバル
- 「向き合うか、克服するか、拒絶するか。向き合い方はそれぞれだろうが、他人を理解してそのうちにあるものを曝け出し、見せ付けることは面白い」
- 「私には弱さがないと。これは随分と高く買ってくれたものだ」 ないものねだりかと問われれば、面白げに笑って。
- テルティウム
- 「凡人は無いものを欲しがる、妬む。貴方が言ったこと」スープよりも辛口な言葉が涼しい顔のまま出てくる
- アニバル
- 「――く、」 小さく言葉に詰まったかに思えたが。 「く、ははははっ」 それは笑いを抑えようとする様子だったようだ。堪えきれない笑いが、男の口から溢れ出す。 とうとうおかしくなっちまったか、なんていう外野の発言には軽く一睨みを入れながら。
- 「――いや、これは一本取られたか。確かに、その通りだ」 自分はそう言ったと、ならばそれも是やもしれない。楽しげに笑いながら、こちらも鍋へと手を伸ばしていき。
- テルティウム
- 「?」 口から赤く染まったネギを生やして、しょりしょり齧りながら首を傾げた。悪意や言い負かしてやろうという言葉ではなかったようだ。つまり、本心
- 「これ……全部同じ味じゃない?」 一通りの具材をスープに浸して食べ終えて、箸を置いた。
- アニバル
- 「言ったろう。刺激を楽しむものだ、と」
- テルティウム
- 汗はかいていない、表情も変わらない。しかし、その白い肌がみるみる赤く染まっていく。
- 「確かに、刺激的――」 そして、ぶっ倒れた
- アニバル
- 「それでも慣れてみれば、香辛料の暴力の影から覗く微かな味の違いも楽しめるものだがね。――ああ、粘膜にふれる前に手拭きでよく手を拭くように」
- 「――む」
- ざわ、とギャラリーが湧き、店員も心配そうに駆け寄ってくる。
- テルティウム
- 汗をかかないのではなく、かけないのだとすれば、この地獄の辛みはひたすら体温を上げていったことだろう
- 吐き戻したりはしないが、日差しにやられて倒れた者のようにぐったりとしている。
- アニバル
- 少女に注意をしたようにまず自分もしっかりと手を拭いた後に、少女の容態を確かめて、汗を一切かいていない様子を確かめれば。 「無汗症か?」 ぽつり呟いて、心配して近付いてくる店員へと濡らして絞ったタオルをもってくるように、と伝えて。
- さて、前回の冒険で負傷を受けた際に痛みを覚えてはいただろうかと記憶を辿りながら、店員が濡れ布巾を持ってくれば身体のあちこちを拭き、濡らしてやり。
- 「やれやれ」 食事はほぼ終えていたのは幸いだったか。デザートを食べそびれたのが残念ではあるが。
- 「連れ帰り、介抱しておこう。店の不備だと訴えたりなどはせんよ」 様々な意味で心配そうにする店員へと、そう告げて。
- テルティウム
- 濡れタオルを宛てると幾分か赤みが引くが、意識はもうろうとしている
- アニバル
- 「意識はあるか?」 ひんやりとした布巾で頬を濡らして刺激しながら、一応は声を掛けてみるが。
- テルティウム
- 「あぅ」
- 返事なのかうわ言なのか分からない言葉が返ってくる、返ってくるということは最低限聞こえてはいるのだろう
- アニバル
- 「完全に意識がないわけではない、と。なら少し休ませれば快復するか」 その様に判断をして。
- 「また寄らせて貰おう、会計を」 店員にそう伝えて支払いを済ませれば、少女の小柄――と呼んでいいかは諸説ある身体を抱えあげて、店を出ようか。
- テルティウム
- 「……蒸発…妖精術……エクスプロージブボイルぅ……」 抱えあげるとおかしなうわ言が漏れる
- アニバル
- 何を【オルフィード式蒸発妖精術】の秘伝を口にしているのかと呆れながらも、抱えたまま雑踏へと消えて行くのだった。
- テルティウム
- 文字通りの茹った思考、そこに魔法という明確な嗜好を滲ませているのだった