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闇狩と人形の反省会

20250209_0

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シャルルが入室しました
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アキトが入室しました
アキト
よしでは
よろしくお願いします
シャルル
よろしくお願いします



 
――王都イルスファール、冒険者ギルド支店〈星の標〉 の、上階の一室。
冒険者登録の後、2名で借り受けた部屋に闇狩とその人形が向かい合う形でテーブルについていた。
王都へ帰還してから1日後、人形は依頼中に言われていた通りに話があると言われて その日の朝食を摂った後に椅子に座るように言われていた。
闇狩には見過ごせない行動があり、人形にそう指示を出し そして人形は人形の考えがあり、その指示を出される要因となる行動を取った。
その件については意図的に触れずに しかしそれまでは普段と同様に人形を、そして主を気遣ってきた1人と1つは、
闇狩が席に座れと指示を出してから既に5分ほど硬直していた――
アキト
――……シャルル」 長い沈黙を裂いて、青年は人形に声をかけた。
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シャルル
「はい」 返事を返す 声はもういつもの調子だった
アキト
「一つずつ進める。何故、〈悪魔の血〉を普段と同じように使わなかった」
シャルル
「状況を鑑みて使用しました」
アキト
「発声ができなくなるという副作用があったはずだ」
シャルル
「発声は不可能になるわけではありません」
「ただ、聞き苦しいものになるので、その場にいる面々にご不快感を与えないための措置です」
アキト
「そうか。だとすれば、行動と声の変化によって周囲に影響が及ぶことが懸念される」
「加えて」
「……。いや、今は良い、これは事前にお前が想定できるものではなかった」
シャルル
少女の表情は動かず、それこそ人形のようだ
アキト
頭を振って。
「そちら……行動と声の変化によって、周囲に動揺を与える可能性は考慮しなかったのか」
「あの場において、それを受け入れて行動に支障が出ない俺以外の人物はエルエレンだけだった、と思うが」
シャルル
「懸念はありました」 「ですが、必要だから行いました」
「私の機能が低下していることを自覚しました。性能を担保するために必要な措置を取ったまでです、マスター」
アキト
「必要、か。……確かに、あの日のお前が普段と同じように力を振るっていたとは思っていない」
「少なくとも、お前が感じている不調の半分はこちらにも伝わっていた。……理由はそれだけか」
シャルル
「回答します」
「私の機能低下の要因は」
「マスターからの優先事項です」
アキト
驚いた様子もなく、静かに頷く。彼女に変化があったとするなら他に無く、それが大きな影響を及ぼすのも理解できる。
シャルル
「貴方の命令は、私という製品の品質を損なうものでありました、それでもマスターが望まれたので、私はそれに応じようとし、結果」
「性能の低下を招いています」
「申し訳ありません」
「融通の効かない、人形で」 と一礼する
アキト
「謝ることじゃない」 緩く頭を振って、続いた言葉に珍しく眉を顰める。
一度開きかけた口から出そうになった言葉を飲み込むと、深呼吸をひとつ。窓の外を一瞥してから、シャルルに視線を戻す。
「シャルル」
「お前にとって、性能の低下は耐え難いものか」
シャルル
「………、耐え難いかどうか、判断するのは私ではなく、マスターの方では?」
アキト
「お前に聞いている」
シャルル
「貴方の生命や実力の発揮に影響するのは明白です」
「それでも良ければ、このまま続けます。私が人形でなく人であることの探索にリソースを割くというのは」
「この間のような事象を招くことです。それに対して私はあくまでも機能水準を保つために」
「前回のような行動を取ることがある、と考えて頂ければ良いと思います」
アキト
報告を聞いて、静かに頷いて。少し言葉を探してから口を開く。
「シャルル、もう一つ指示を追加する」
「いや、」 頭を振って。 「指示の追加という言葉は忘れてくれ。……俺から、頼みがある」
「〈悪魔の血〉を飲むことに準ずるような、自身を消耗する行動は行わないでくれ」
シャルル
「…………、了解致しました」
「マスターの許可がない場合は、使用を禁じます。それでよろしいですか?」
アキト
ああ、と答えようとして、口を噤む。違うな、と小さく呟いた言葉は、シャルルの耳にも小さく届いただろう。
シャルルを個人として扱う。ならば、彼女に対して使う言葉は変えるべきだ。
「命令じゃない。……俺は、お前にそう頼みたいんだ」 逸らしていた視線をしっかりとシャルルに向けて、言葉にする。
シャルル
「………ご命令でない場合、」
「必要であればまた使用をする可能性がありますが、よろしいのですか?」
少女人形は困惑に近い色合いの声音をして 表情を僅かに変えた
アキト
「そうだ。……最終的な決定権は、シャルル。お前が持っていて構わない」
シャルル
「……それでは今回お話したことに対して、貴方が強制力を持てません、それで本当によろしいのですか?」
アキト
「ああ、それで構わない。ただシャルルが、俺がそれを望まない事を知ってくれたなら、それで」
シャルル
「……了解しました。では、その様に致します」
アキト
「何より、俺がシャルルに強制力を持っているのなら前の指示はそれこそ茶番だ。俺は、『自分で選び、決めていってくれ』と言ったのにな」
シャルル
「………、手放れしたい、のであれば」 視線を下にして
「他の方へ売却されては如何でしょうか。そうすれば、少なくとも私に指示や命令をするという手間は減ります」
アキト
「理解した上でそうせずに、こうして話をしている。そう思ってくれ」
シャルル
「………、分かりました」
アキト
「俺は、師匠以外に知り合いなんていないようなものだったから。……シャルルや皆と居られる時間が、とても魅力に思えている」
シャルル
「アキトさんが、豊かな時間を得るのにお力になれているのなら」
「それは機能とは別に、良い貢献ができていると思います」 と笑って
アキト
そんな笑顔を見て、静かに目を伏せて微笑みを浮かべて 困ったようにそれが歪んだ。
「……シャルルにとって、在り方を変えさせようとしている俺は良い主ではないだろうけれどな」 
事実として、彼女が道具として用いられる事こそが喜びならば。自分のしていることは単なる自己満足であるだけではなく、彼女の望みを踏み潰していることになるのだから。
シャルル
「そうでしょうか」
「道具あっての主はあり得ません。あくまでも道具は使われるためにあります、主に道具を合わせることはあっても、その逆はありません」
「それを鑑みれば、アキトさんのお望みのことは、アキトさんのやりやすいように私を合わせる行為です」
「使い勝手が悪く申し訳ないのですが、そういった形で積極的に注文を受け付けられるのは、使い勝手の向上が見込める良いことだと思います」
アキト
「だが今、シャルルは困っていることの方が多いだろう?」 小さく首をかしげて。
シャルル
「それはそうです。プリセットにないことをやろうとしていますから」
「ですが、それを重ねることで、貴方の望みに添えるなら」
「私は、それを良しとします」
アキト
「そうか。……、随分、遅くなってしまったが」 
「心配したぞ、シャルル」 金色の瞳が、普段よりもどこか弱った調子で目尻を下げて 半ば苦笑のような表情で告げた
「無事でよかった」
シャルル
「………申し訳ありません、アキトさん」
「ご心配をおかけしました」
弱った表情を見ると 同じ様に弱った様子を見せる これは、共感ユニットが働いた仕草であろうが
どうにも、彼女の本心のようなものが少し見えた気がした
アキト
そっと手が伸びて、労わる様にシャルルの頭を撫でる
「……無事で良かった」 もう一度、小さく重ねる。どこか怯えも含んだような声色は、シャルルという個人どうぐを損ないかけたからこそ出るもので
安堵したような表情と裏腹に 青年の内面に喪失への不安が大いにあったことも、彼女の本心と入れ替わるようにして伝わっていった。
シャルル
「…気をつけます」
ぽつり、と零すようにそう言って
アキト
「ああ。……ありがとう、シャルル」
「改めてだが、喉の調子はもう戻ったんだな?」
シャルル
「お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした……今日のご予定は如何致しましょうか」
「はい。問題なく」
アキト
首肯を返して、 
「まだ冷えるが、付き合ってくれるか」 ギターを示す
シャルル
「はい。アキトさん、」穏やかな笑みを浮かべて 「喜んで」 と結ぶ
アキト
「シャルルの歌が、聞きたいんだ」 頷くと、席を立ってギターケースを背負い シャルルに手を差し伸べる
シャルル
その手を取って 立ち上がる
アキト
良ければ締めようか
シャルル
はい、それで
――そうして、闇狩とその相棒どうぐは部屋を出る。
暖かな宿を飛び出し、青々とした冬空の下に出て まだ寒い風が流れていく中、
アコースティックギターを持つ奏者と、その旋律に合わせて伸びやかに美しい声を響かせる歌姫は、王都で再び旋律を響かせる。

――さて、今日は何を弾こうか。
アキト
こんな感じかな 
何か射し込むなら全然ヨシ
シャルル
大丈夫です。綺麗に締めてもらいました
アキト
ではこれで。お疲れさまでした
シャルル
お疲れ様でした。ありがとうございました
アキト
ありがとうございました。お先に撤退を
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アキトが退室しました

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