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雪は残火に融ける 幕間Ⅴ

20250125_1

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ヨエルが入室しました
ヨエル
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GMが入室しました
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アデルフィアが入室しました
アデルフィア
ぽぽ
GM
幕間Ⅰの時間だあああ
わざわざ探しにはいかないだろうしぐうのぜん遭遇する形になるか
君たちはおデートしてるの?
アデルフィア
私がお外に出たいと言い出したのかもしれない
GM
まあ準備とかありますからね
アデルフィア
上からのつっつきに対して下の人々がどんな風に思ってるのか肌で感じたかった
GM
ギガギガフンフン
ヨエラーもそんな感じでよければ二人にはおデートしてもらおう
ヨエル
じゃあアデルフィアの護衛を兼ねて同行って感じかな
GM
OK
じゃあそんな感じで始めましょう。
宜しくお願いします
アデルフィア
よろしくお願いします
ヨエル
おねがいします
GM
 
 
地下の窮状を救うべく〈大魔動核〉の捜索に乗り出すことを決めた一行は、“開拓の道”と呼ばれる坑道に踏み込む準備を進めていた。
その矢先、折り悪く地下へと傭兵率いるホルガーが現れ、出発は一時的に見合わせることになる。
彼らの動向を窺いながら準備を進める最中、ヨエルとアデルフィアの二人は、アデルフィアの申し出により地下に広がるギンヌンガの街を回ることにした。
君たちはまだ実際に地下の人々がどのように暮らし、何を感じているのかを知らない。アザルゲイルやララ以外の人々の心情などを知るために、実際に自分の目で見て巡回してみるのは確かに必要だろう。
特に今は地下にホルガーたちが来て、あわや一触触発の状況でもあった。ひとまず状況は収まったとはいえ、一部の人の興奮は冷めやらず、
見回った限り、ギンヌンガの人間たちの多くは地上からの圧制に対して大きな不満を抱え、憤慨していたようだった。しかし、中にはそうでもない者もいる。
絶対的な人数と物資の差、それはそっくりそのまま戦力の差として広がり、下手に抗うよりは素直に従った方が後々のためになるのではないかと考える者もいるようだ。
そんな状況を一通り確認し、皆のところへ合流しようとするが……運の悪いことに、君たちの行手にはホルガー配下の傭兵たちが闊歩しており、なかなか動きづらい状況に陥ってしまった。
GM
そんなところからなんやかんやはじめていきましょう
アデルフィア
わぁい
ヨエル
ほい
GM
ヨエルがいれば彼らを制圧すること自体は不可能ではないだろうが、今の状況で彼らと事を構え、事態を大きくしてしまうのは良い選択だとは言えないだろう。
ヨエル
曲がり角から、そっと通りの様子を盗み見る。 「……こっちは駄目だ。向こうへ回ろう」
アデルフィア
「はい」 銀灰の髪の少女は静かな表情で頷く。
GM
迂回してみても、どうも彼らの目を振り切れない。特段君たちを探している動きではないようだが、警戒くらいはしているのだろう。
どうしたものかと考えていると、通りにいる傭兵たちの元に小柄な影が姿を現した。
ヨエル
「……なんだってあんなに我が物顔でいられるんだ?」 ことを荒立てたくはなかったが、ある程度強硬的に押し通らなくてはいけないだろうか、そう算段しはじめた辺りのことだった
GM
フードを目深に被った少女は周りに気付かれないよう君たちを一瞥すると、傭兵たちに声を掛け、彼らは別の場所へと移動を始める。
ヨエル
「あいつは――
アデルフィア
「そうすることが許される立場にある、そう思っているのでしょう」
GM
君たちの眼前から邪魔者が消えると、少女はもう一度君たちを見て視線を交わし、「こっちだ」とでも言うように顎を動かした。
ヨエル
「………」
アデルフィア
「もしくは――」というところで、フードの少女の姿に気付いた。そして、その意図にも
ヨエル
「……仕方ない」
アデルフィア
「……」ヨエルに視線を向ける、接触してもいいですか、と確認を取る意図だ
ヨエル
「いいよ。気は進まないけど……ね」 このままウロウロし続けるよりは良いか
アデルフィアに答えると、向こうにいる少女に視線を合わせ、頷き返す。
アデルフィア
「無理を言って申し訳ありません」 こんな状況下で外へ出たいと言い出したことへの詫びでもある。
GM
君たちの返答を見れば、少女は素知らぬ様子で歩いていく。彼女についていけば、やがて彼女は家主のいなくなった廃屋の中へと入っていった。
ヨエル
「いいよ」 承諾した時点で、自分の責任でもある。
「………」 表面上は何くわぬ顔で、急がず歩き、少女に続く。
アデルフィア
「……」 ヨエルの先導に従って廃屋へと向かう。
GM
廃屋の中の様子を窺ってみれば、埃っぽいが、それ以外に何か特別なことはない。罠や待ち伏せなどではなさそうだ。
ヨエル
先を行く少女の足取りに迷いがない。おそらく、何度も使っている場所なのだろう。
廃屋の中へ入り、油断なく気配を確かめると、腰のダガーの持ち手からようやく手を離した。
シュネー
「今あなたたちをどうこうしようという意図は私にはありません。どうぞ入ってきてください」
ヨエル
「また会ったね。シュネー」
アデルフィア
「あなたのご配慮と、主のお導きに感謝を」
シュネー
二人の言葉に小さく頷いて。 「もうしばらくすれば、傭兵たちには招集が掛かるはずです。移動はそれを待ってからが良いでしょう」
「それまでの間は、ここで待っていてください」
ヨエル
――……」 シュネーを探るように見つめる。シュネーらはビューレイストの配下にあることまで分かっているが、その実、彼女らの真意をまだ掴みかねているところがある
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静かな雪100%
シュネー
「何を考えているのか、とでも言いたげですね」
アデルフィア
「もう一度、あなたとお話しする機会を得られればと考えておりました」 その為だけに外出したわけではないが、期待していなかったといえば嘘になる。
シュネー
自分の言葉に繋げ、アデルフィアへの返答にもなるように 「私は不要な争い事を好みません。それに、あなたには少し聞きたいこともありました」
アデルフィア
「ホルガ氏が彼らを巡回させているのは示威の為ですか? それとも、火種にする為ですか?」
ヨエル
「……そうだな」 いい機会かもしれない。
シュネー
「その2つと、あなたたちの捜索のためでしょう。地上であなたたちを捕まえるよう命令を出したのは彼です」
アデルフィア
「そうであろうと思いました。あの場で引き渡しを要求されることも考えていましたが」
ヨエル
「やっぱりそれもホルガーの独断か。この街に来た時のことといい…… あいつには、迷惑をかけられっぱなしだな」
アデルフィア
「総督とホルガ氏の間には、方針や見解に大きな隔たりがあるのですね」
シュネー
「総督はあなたたちに滞在許可証を発行したと聞きましたが、手配については黙認状態のようです」 それ以上の意図はわかりかねる、と首を横に振った。
ヨエル
「こっちはビューレイストに許可を貰ってるのに。総督の権力はずいぶん怪しいらしいね」
シュネー
「あくまで決定権は総督閣下にあります。その気であれば止めることは出来るでしょう。もっとも、ホルガー氏がそれだけ強い影響力を持っているのは事実ですが」
アデルフィア
「……この街の分断はとても深刻なものでです。到着して日は浅いですが、あなたが忠告をした意味が今ではよく分かります」
シュネー
「私も、ホルガー氏からはあなたたちを見つけたら捕縛できるよう手筈を整えろとの命は請けています」
ヨエル
「……どうかな」 止めることは出来る、という言葉に。正直なところ、あやしいものだ、と思う。
アデルフィア
「地上と地下の人々の間には強い不信と蟠りがあり、それぞれの代表も一枚岩ではないのでしょう」
ヨエル
「そうだね。地上は地上で睨み合い、地上と地下ではいがみ合い」
シュネー
「地下も地下で、人々の中で意見が分かれ、小さな諍いは起きているそうです」
アデルフィア
「おそらく、このギンヌンガの中にも不和があるものと思います……それをこの目で見るために、無理を言って外出を申し出ました」
シュネー
「何もホルガー氏とその配下がいるこのタイミングでせずとも……」
アデルフィア
「今、この時だからこそです」
シュネー
「……確かに、人々が何を考えているかを見て取るのなら好機ではあったでしょう」
アデルフィア
「それに、もし燻る火種が炎になるような事があれば、早い段階で止めねば取り返しのつかない禍根となるでしょう」
ヨエル
「………」 言っても聞かなくてね、と肩をすくめた。
シュネー
ヨエルの返答にふ、と小さく息をこぼした。 「見た目にそぐわず、頑固なんですね」
アデルフィア
「私は、悪辣な人間です」
シュネー
「小さな火種を潰したとしても、此処にはもっと大きな火種が多数あります。不用意に動くのはおすすめできません」
ヨエル
「"始祖神"の声を聞く者としては、見過ごせないんだろ」 この街は調和には程遠い
アデルフィア
「人がどのように悪意を抱き、欲望を追求するかを知っています。ですが、ホルガ氏がどこまでそれを追求する人間なのかを知りませんので」
シュネー
「調和……」
アデルフィア
「そうですね、主は人々がこのような状況にならぬよう、調和と友愛を説いておいでです」
「しかし、それらは自然に育まれるどころか、容易に損なわれてしまう儚いものです」
シュネー
「……かつてはこの街にも、そんなものもあったのかもしれません。ですが、その頃から小さな諍いの炎は絶えず起き、人々は時折欲望に駆り立てられるように不可思議な事件を起こしてきました」
「この街は、始祖神の説く調和や融和からは、遠く離れた場所に在るのでしょう」
ヨエル
「見てきたみたいに言うね。――シュネーは、此処は長いの?」
シュネー
「戻ってきたのは、ヴェルナーと同じ。数ヶ月前のことです。ただ、」
「私は、ニヴルヘイムで生まれ、育ちましたので」
アデルフィア
「……故郷、なのですか」
ヨエル
「……へえ」
シュネー
「ええ。ですが、別にこの街に何か特別なこだわりがあるわけではありませんし、故郷だから戻ってきたわけではありません」
ヨエル
「何でまた、このタイミングで」 「……いや、言えないコトなら聞かないけど」
アデルフィア
「では、何故、部外者である私たちに手を引くようにと? あなたの善意からですか」
シュネー
「私はヴェルナーの道具です。彼がホルガー氏に雇われたから、私も此処へ来た。戻ってきたのは、それだけの理由です」
「先も言ったように、私は争い事を好みません。あなたたちが居れば、いずれ戦うことになるのは避けられませんし、仕事の遂行も困難になるでしょう」
ヨエル
「こっちだって、戦わずに済むならその方がどんなにいいか」
アデルフィア
「……道具は、己の使われ方に異を唱えないものです」
ヨエル
「……だね。君とヴェルナーの意見は、必ずしも同じようには見えないけど」
アデルフィア
「争いを好まないのであれば、彼の下にいるべきではありません」
ヨエル
あいつはむしろ望んで戦いを挑んできそうだ。あまり会いたくない相手である
シュネー
「彼の求める道具がどのようなものであるのか、私も完全に理解できているわけではありません。が、彼が私を捨てない間は、間違っていないということだけはわかります」
「異なる意見を持っているからといって、彼の元に居てはいけないという理由にはならないでしょう」
アデルフィア
「彼はあなたに何かしらの意味をもたらしてくれるのでしょう。それを否定するつもりはございません」
ヨエル
――……」 少し、似ているな、と思う。
「あいつに恩があるの?」
シュネー
「はい。彼がいなければ、私はとうの昔に道端の雑草として朽ちていたでしょう」
ヨエル
「なるほど、ね」 「……少し、分かる気がするよ。僕も昔、拾ってもらった身だから」
アデルフィア
「……私にも似た経験があります。私を引き上げてくださったのは主の御声でした」
「皆、誰かに生かされているものですね」
ヨエル
――……」 ああ、思い出してしまった。
シュネー
「……どうやらそのようです」
ヨエル
ほろ苦さと懐かしさ。ひとりで生き抜けるようにと、虐待とも思えるような特訓を与えられたが、同時に愛も貰ったと思う。
いや、森にナイフ一つで放り出される ……愛? 愛かなぁ……。
シュネー
「誰であれ、そういった事情を抱えているのがわかるから、誰かに苦しみを与えることは好みません」
ヨエル
「………」 思考を振り払うようにかぶりを振る。
「うん」 と、頷いて
「僕たちの立場の対立は、つまるところ雇い主の対立だ。お互い、恨みつらみがあるわけでもない」
アデルフィア
「あなたのその心は尊いものです。自らそれに思い至ったのであれば、あなたは主の御心に叶う人なのだと思います」
ヨエル
「アデルフィアじゃないけど…… どうにかして、うまく収まるところに収まればいいのにな、とは思うよ」
シュネー
「ええ。私個人はあなたたちに何の思いも抱いていない。ヴェルナーの気が変わるようなことがあれば、私たちの関係は容易に変わるでしょう」 それがあるかはともかくとして。
ヨエル
「みんな、豊かに幸せに暮らしたいだけなのにね」
シュネー
「私には信仰心はありませんよ。あなたと違って、神は私には声を掛けてくれなかった」
「……そうですね。両親も、そう言い訳していたのを覚えています」
ヨエル
「……言い訳?」
アデルフィア
「私も声をお聞きしたのは一度だけです……どれほど祈っても、奇蹟を授けてくださっても、御声はあれ以来いただいておりません」
ヨエル
―――」 その一度だけでもすごいことなのだが
シュネー
「私にはその一度さえありませんでしたので」
「子どもの頃、身売りされた時の話です」
ヨエル
「………」 ああ、と納得する。口減らし。よく聞く話だ
シュネー
「私たちもあなたも、お互いが幸せになるためなの。ニヴルヘイムこんなところに居たままじゃ、お互い幸せになることなんてできない」
アデルフィア
――」 自分はどうだったのだろう、売られたのか、攫われたのか
シュネー
「あなたには才能があると言われた。だからきっと、あなたは上手くやっていける」
ヨエル
「……シュネーは、地下ここの出身なの?」
シュネー
――そう言われて、私は“庭”と呼ばれる組織に金品と引き換えに売られました」
ヨエル
地上よりも、地下のほうがずっと生活は厳しい。
それは昔も変わらないだろう
アデルフィア
「……ああ、」
シュネー
「いいえ、私は地上の出です。……ただ、両親は地下から地上に移り住んだらしく、あまり立場はよくなかったようですね」
アデルフィア
「あなたは、そちらだったのですね」
ヨエル
「“庭”…… またあいつらか」
シュネー
「ええ。でも、両親の言っていたようなことにはなりませんでした」
ヨエル
――だろうね」
シュネー
「この土地では発揮できていた才も、“庭”に引き取られた後はまったく発揮されず、程なくして私は役立たずラルカの烙印を押されました」
「風の噂で、両親もそれからすぐに事故か何かで亡くなったと聞きました。お互い、幸せにも豊かにもなれなかったようです」
アデルフィア
「……私も人形ラルカでした。才能も薬への適正もなく、意思を失い、死を待つのみ……主の御声をいただくまではそうでした」
ヨエル
「………」
シュネー
「……そうですか。あなたの目を見た時に、そうではないかと思っていました」
アデルフィア
「同じ境遇の多くの兄弟姉妹の中で、目を覚ましたのは私だです。恵まれている、のでしょう」
シュネー
「それ以上の苦しみを味わうことなく死ぬのと、どちらが恵まれているのかは何とも言えませんね」
ヨエル
ヨエルはため息をついた。
なんとなく感じていた、ふたりのどこか似通った部分に、根拠が生まれてしまった。
アデルフィア
「私は、今、こうして自らの意思で話し、選び、行うことが出来ることを恵みと思います」
ヨエル
「それで―― ヴェルナーが救けてくれたんだ?」
シュネー
「……そうですね。少なくとも、私は今自分が不幸だとは思っていません」
アデルフィア
「私がこの感謝を主と、多くの縁に向けるように。あなたにとって彼がそうなのですね」
シュネー
「ええ。彼も彼で、故郷から追放されたところで――何の気の迷いか、私をすくい上げてくれました」
ヨエル
「あれでけっこう義理堅いところがあるんだね」
シュネー
「……いいえ」 口元に片手を持っていって小さく笑う。 「本当にただの気まぐれだったそうです」
アデルフィア
「私の友人アイは、彼との間に深い確執を持っているようです……おそらく、互いの故郷での諍いが元なのでしょう」
ヨエル
「そりゃ、本人はそう言うでしょうよ」
シュネー
「……では、実際は違ったのでしょうか?」
ヨエル
ふ、と笑って
シュネー
「アイ――……ああ、“鷹の目”ですね」
アデルフィア
「このままではいずれ、私達は直接争うことになります」
シュネー
「ヴェルナーから、事情については聞いています。ですが、ここで私の口から話すのは止しておきます」
ヨエル
「実際のところは、あいつのみぞ知るだけど―― ただの気の迷いじゃ、赤の他人を何年も世話することなんてできないよ」
シュネー
「……彼に捨てられないよう、必死で研鑽を積みましたから」
「彼の望む道具には、近付けているとは思います」
アデルフィア
「こちらも本人から聞きますので問題ありません」
ヨエル
「とはいえ、困ったな」 冗談なのか本気なのか、分からない口調で 「こうなると、あいつ自身の翻意でもない限り、シュネーを切り崩すことは難しそうだ」
シュネー
「そうしてください。彼女はあなたの友人なのでしょう」
アデルフィア
「それは、どうでしょうか」 望む道具に、という言葉に異を唱える。
シュネー
こちらも冗談なのか本気なのか分からない表情で返す。 「ホルガー氏以上の報酬を提示出来れば、それは容易かと」
「……何か異論が?」
アデルフィア
「自分の役に立つ道具になれ、と。彼はあなたに命じましたか?」
シュネー
「拾われた時に言われました。役に立つ間は捨てないで置いてやる、と」
ヨエル
「……ちなみに、どういう契約なのか聞いても?」 あまり期待していない声だが、聴くだけ聞いておく。どうせ金を出すのは自分じゃない
「………」 言いそうだ……。>シュネー
シュネー
「申し訳ありません。ホルガー氏に義理はありませんが、傭兵として一応守秘義務はありますので」
ヨエル
「じゃあ、道具ってのは、シュネーの解釈なんだね」
「残念」 あまり残念そうでない顔で
アデルフィア
庭の枝葉わたしたちは自分の意思というものを削ぎ落されますので、その言葉はその時のあなたには福音であったことでしょう」
シュネー
「彼にとっては、他人も道具も大きく変わらないようですので」
アデルフィア
「今もそうであるかは確認の余地があるかと思います」
シュネー
「福音……どうでしょう。価値を示せなければ捨てられるというのは、庭にいた時と大きく変わりません」
アデルフィア
「怖いのですか」
シュネー
「……いえ、今はそんなことは思っていませんよ」
ヨエル
――……」
シュネー
「彼が隣にいることを認めてくれている間は、私の価値を認められているということ」
ヨエル
アデルフィアはいつも以上にかたくなになっているように思える。シュネーは、彼女にとって写し身のように見えるのだろうか
シュネー
「彼のために動くのが、私の存在価値であり、存在意義です」
ヨエル
しかし止める気もない。横でふたりの少女のやり取りを聞いていて
アデルフィア
「私は怖かったです。何故、御声をおかけくださったのか、何故、お応えいただけないのか、如何にして生きるべきか」
「教えを諳んじ、模範的な信徒として振舞い、祈り続けました。ただ、怖かったのです」
シュネー
「……最初は、私も同じでしたよ」
「また捨てられてしまえば、今度こそ野垂れ死ぬしかない。そんな恐怖と戦う日が、確かにありました」
アデルフィア
「……今、それを感じずにいられるのは指標があるからですね」
シュネー
「ええ。必要とされている、価値があるという実感もあります」
「あなたたち冒険者だって、それを基に立っているのではないのですか」
アデルフィア
「はい、少なからず」
シュネー
「積み上げてきた実力、実績、勝ち取ってきた信用、築き上げてきた関係――それがあるからこそ、私の勧告にも容易には肯いてもらえないのでしょう」
アデルフィア
「その上で、あなたが心に持つ指標それは、やはり道具が抱くものではないと……そう、感じます」
シュネー
「……どうやら、何か勘違いをさせてしまったようですね」
アデルフィア
あなたはどう感じますか、とヨエルに水を向けるような視線を送った。
シュネー
「私はヴェルナーの道具ですが、それはあくまで彼の役に立ちたいという考えの表れなだけです」
「私には感情もありますし、自分がヒトだという自認は持っています」
ヨエル
「それは引き受けてる以上、依頼主の意向は優先する」
「でも、自分の意思を預けているつもりはない。依頼主が何と言っても、自分や、周りの人間に累が及ぶようなら、……ラインを越えるようなら、自分の意思で行動するつもりだよ。たとえ不名誉を背負ってもね」
アデルフィア
「道具であるという自認については理解いたします」 ただし、やはりそこに意思が介在して、行動にも影響している以上、呼び方以上の意味はなしていないだろうと思う。
シュネー
「……そうでしょうね。私もそうするでしょう」
ヨエル
「……。やっぱり、シュネーたちとは戦いたくないな」
アデルフィア
「はい」
シュネー
「残念ながら、そうはいかないでしょう。ヴェルナーにはヴェルナーなりの、傭兵という仕事に対するプライドがあります」
「私も雇われている以上は、基本的にはホルガー氏の意向に従わなければなりません」
ヨエル
「意向ね……」
アデルフィア
「ですが、あくまでも雇用者であり、本質的には私たちと争う理由を持たない。それも真ですね?」
ヨエル
「シュネーから見て、ホルガーはどんな人物に見えるんだ?」
シュネー
「個人としてはそうです」
「ある意味で、このニヴルヘイムに相応しい人間だと考えています」
ヨエル
「……へえ?」 意外な答えだ。 「その心は」
シュネー
「彼は私欲に塗れていますから」
アデルフィア
「自身の利を追求することで、彼を中心に経済が動き、周囲にも富をもたらしている。でしょうか?」
シュネー
「この街は、その欲望を駆り立てる。そうしていくつも、小さな火種が大きな炎へと変わりました」
「確かにそれも事実です」
「ですが、この街に居る限り、彼はいずれ自分自身の欲とこの地に蔓延る黒い炎に呑み込まれることでしょう」
アデルフィア
「……あなたには見えているのですか、あの黒い炎が」
ヨエル
「例の―― 妄想を膨らませて事件を起こしてきた人たちのようになるって?」
シュネー
「ええ」 アデルフィアにも、ヨエルにも頷いて。 「何故街の人間や他の傭兵たちには見えていないのか、原因や理由はわかりませんが」
ヨエル
「欲を、駆り立てる……」
アデルフィア
「土地に暮らす者には蓄積され、ある種の毒への耐性のようにそれが自然なものとなっているのではと思いました」
シュネー
「そうかもしれません」
「だからこそ、あなたたちも十分に気をつけた方がいい」
ヨエル
「ビューレイストから聞いたよ。怒りを抑えられなくなる、ある考えに支配されて、突き動かされて行動してしまう…… そんなふうに、ここじゃ何度も事件が起きてきたってこと」
アデルフィア
「しかし、あなたがこの街の出身となるとこれは誤りなのでしょう。ヴェルナーやホルガ氏には見えていないのでしょうか」
シュネー
「ええ。表立っているものだけでなく、小さなものまで含めれば、きっと数え切れないくらいそういった事件が起きているでしょう」
ヨエル
「そのふたりからしても、滞在期間というわけではなさそうだね……」
シュネー
「ヴェルナーは私と同じく見えています。ホルガー氏はわかりませんが、あの様子だと――見えていないのでしょうね」
ヨエル
「元をたどれば、この街の衝突がいつまでも終わらないのも、その妙な現象のせい――だよな」
アデルフィア
「そうですか……その点をあなたに確認したいと思っておりました。情報の提供に感謝いたします」
ヨエル
「そりゃ、どこも仲良しこよしってわけにはいかないだろうけど」
シュネー
「おそらくは。10年前の総督邸襲撃まで、ビューレイスト総督は良い治世を築いていましたが、それでも地上と地下の対立は完全にはなくならず、何度も衝突が起こったそうですから」
ヨエル
「それにしたって、ここの状況は異常だ」
アデルフィア
「この件は私達にも、そして、あなた達にも影響し得る問題です。今後も何か分かったことがあれば情報を共有し合えるようにしたいのですが……いかがですか」
シュネー
首を横に振って。 「ヴェルナーと私は、この街の行く末には興味はないのです」
アデルフィア
「ただ、この地に滞在し続けるだけで、影響を受けるとしてもですか」
シュネー
「どのような結末を迎えようと、ヴェルナーは傭兵としての仕事を果たす。私は道具として彼を支える」
「報酬に見合わない危険を感じ取った場合、その時はヴェルナーが手を引く判断を下すでしょう」
ヨエル
「この街の安定は、ホルガーの利益にもなると思うけどな」
アデルフィア
「その判断材料をあなたが見つけて報せることは、彼にとっても有益なことと思います」 ある意味で卑怯な物言いであることを自覚しつつ、平気な顔でそう告げる
シュネー
「ホルガー氏がそれを望むかは別問題です――が、情報の共有程度であれば構いません」
ヨエル
「それで十分だよ」
シュネー
「でも、機会は保証しませんよ。今後、このように話す機を得られるかどうかは分かりませんから」
アデルフィア
「機は得られるのを待つのではなく、造るものだそうです」
ヨエル
「………」 辺りを見回して
シュネー
「それなら、あなたたちがそれを上手く作ってください」
アデルフィア
「互いの大切なものを損ねない為に、協調できるよう努めましょう」
シュネー
「……あまり期待はしないでください」
ヨエル
廃屋ここにメッセージでも残しておくのはどう?」 テーブルの裏に張り付けておくとか。古いデスクの引き出しに入れておくとか。
シュネー
「確かにここなら、利用者はほぼいないでしょう」
ヨエル
「内容はあくまで、お互いの利になる事に限定する」
アデルフィア
「……私は精霊の力を借りて、手紙を届けることが出来ます。直接、伝えることが出来ない場合はこの家に手紙を送りましょう」
「あなた方の立場を損ねるようなことは決していたしません」
シュネー
「……敵対する立場の人間をそうまでして積極的に使おうとする姿勢には感服します」
ヨエル
「僕も、この街の行く末には興味がないけど―― 一度関わってしまったひとには、できるなら、不幸になってほしくないんだ」
アデルフィア
「主と、姉妹たちアデルフィアの名に懸けて誓いましょう」
シュネー
「それが、あなたなりの矜持ですか」
ヨエル
「そんなに恰好いいものじゃないよ」
シュネー
「誓わずとも、あなたがそういったことをする人間ではないというのは分かります」
ヨエル
「これは…… 未練とか、意地みたいなものだから」
アデルフィア
「ヨエルも善良な心を持っているというだけのことでは?」
シュネー
「……そうですか」
「お互い街の行く末には興味がないというのならば、共有できる事柄は出てくるかもしれませんね」
ヨエル
「……やめてよ」 善良とか言うの。自分をそんなふうに思ったことはない
シュネー
「善良でも邪悪でも、その人の本質が変わるわけではありません」
「彼女がそう感じたというだけの評価です。素直に受け取らないのは――少し、彼と似ていますね」
ヨエル
「それに、立場のことは今更だろ。敵対する人間を匿ってくれてさ」
シュネー
「匿うというより、話をする機会が欲しかっただけです」
アデルフィア
「あなたにもそのように思っています」
シュネー
「……私はヴェルナーのように捻くれてはいないと思いますが」
アデルフィア
「善良だ、と感じる点についてです」
シュネー
「善良な人間は、少なくとも生まれ故郷がどうなろうと知ったことではないとは言わないと思います」
アデルフィア
やはり、誤解ではないのではありませんか? と言葉にしないだけの優しさが私にもあります。
シュネー
「……」 古ぼけた窓から外の様子を窺って。 「話し込み過ぎましたね」
ヨエル
「……僕は本当にたいした人間じゃないよ」 剣の振るい方ばかりうまくなって、それをどう使うかを分からずに彷徨った。だからこそ、強い願いや、想いを貫こうとする人間を眩しいと思うのかもしれない。
アデルフィア
「では、誠実という言葉に置き換えましょう」
シュネー
「そろそろ傭兵たちもこの辺りからは撤収するでしょう。移動の好機ですよ」
ヨエル
「……」 いや、こんなことを考えていたら、彼女達に怒られるな――と、ため息をついてかぶりを振った。
シュネー
「あなたがそういった人間かどうかはともかく、」
「話に応じてくれたことには、二人に感謝します」
ヨエル
「うん。こちらこそ――ね」
アデルフィア
「いいえ、こちらこそ望外の機会でした。あなたの誠実さに感謝を」
ヨエル
「アデルフィア。そろそろ行こう。帰りが遅くなって、皆心配してるかもしれない」
シュネー
「私が先に出て、残った者を誘導しておきます。上手く戻ってください」
ヨエル
「助かる」
心から礼をいって
アデルフィア
「ヨエル、あなたにも改めて感謝を。 はい、もう戻りたいと思います」
シュネー
「それでは、また次の機会があれば」
フードを被り直すと、君たちにひとつ会釈をしてからシュネーは廃屋を後にする。
ヨエル
「うん。またね」
アデルフィア
「はい。いずれ、また」
シュネー
外の様子を窺ってみれば、まだその辺りを彷徨いていた傭兵たちに声を掛け、きみたちの行く先とは反対の方向へと消えていく。
GM
後は二人が落ち着いたらオワオワリだ
ヨエル
廃屋からの窓から通りを観察し、シュネーが手筈通りに誘導してくれたのを見届けて
「……もう大丈夫だ。行こう」
アデルフィアを促し、廃屋を後にする。
アデルフィア
シュネーの背中をしばし見つめ、それからヨエルに頷き返す。
ヨエル
次の出会いが、不幸なものにならないことを願いながら――
ヨエル
僕はヨシです
アデルフィア
「……」 主よ。人の営みを、その選択をどうぞお見届けください 
願わくば奇蹟ではなく、人の意思で協調と融和がもたらすことが出来ますように。
アデルフィア
ヨシ!
GM
ヨシ!
!SYSTEM
BGMを削除 by GM
GM
お疲れ様でした
アデルフィア
お疲れ様でしたニャン
GM
2025/01/25_1 がログだにゃん
アデルフィア
まさかシュネーが庭っ子だったなんて。。。
GM
まさかそんなことが……
ヨエル
ありがとん!
アデルフィア
お釈迦さまでも気付くめぇ
ヨエル
本編もたのしみになりました
お疲れさま! またよろしくおねがいします
アデルフィア
ヨエルワンはいいこだなぁ
GM
話せる機会が味方に比べて少ないキャラだからよかった
また明日本編で><
退室したらログ処理するよぉ
ヨエル
><
アデルフィア
ほんへで!
!SYSTEM
アデルフィアが退室しました
ヨエル
よえるくんサバイバーズギルト的なのがね…
ではでは
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ヨエルが退室しました

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