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新年を迎えて

20250102_0

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カーティスが入室しました
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アストレアが入室しました
アストレア
ナレーションは任せていいかい
カーティス
はいよ
よろしくお願いします。


 
アストレア
よろしくお願いします
――喫茶店〈ペルティカ〉。
王都イルスファールの北部、キルヒア神殿からほど近い場所にその喫茶店は開かれている。
程よく人も少なく、けれど決して閑散とはしていない……そんな、大通りからひとつ逸れた通りに面しているその喫茶店は、
元冒険者であるペルティカというエルフの女性が開いており 有名でこそないが知る人は知る、という程度の知名度の店舗だ。
現在は、店長のペルティカのほかに従業員は2名いる。
どちらも〈星の標〉の大剣級冒険者であり、“剣姫ソード・メイデン”と“五色の軌跡”と呼べば顔が浮かぶものもいるだろう。
店長との付き合いも長く、また喫茶店での経験も豊富な“五色の軌跡”カーティスはその料理に磨きがかかり常連客には評判で、
また、“剣姫”アストレアは従業員の経験こそ持たなかったものの、
しばらくの間従業員として稼働したことで経験と知識がつき、業務への不安は自他ともに解消されている。
その風貌と雰囲気も相まって、彼女目当てに店を訪れる者も少なくないほどで 店長とはまた別の看板娘として、この店の顔となりつつある。

冒険者としての活動も続けながら従業員として稼働している2人に、店長・ペルティカも店を任せられると安心している様子で
開店・閉店作業を任せることも多くなっており それは、この日も同じだった。
大晦日の営業を終え、片付けも済み ペルティカも「お先に失礼」と自身の部屋へ戻って行った後、
カウンターを挟んでカーティスとアストレアはゆっくりとした時間を過ごしていた。
――もうじきに、年が明ける。新年を祝う店内の装飾は、薄暗いフロアの中でひっそりと2人を見守っている。
カーティス
「……よし、と。できたぜ」 笑って、エプロンを付けた青年が微笑みかける。
カウンターにことんと置かれたのは、2人分のパイ菓子を乗せた皿とドゥミセックが入ったワイン瓶、そして2人分のワイングラスだ。
アストレア
一足先に休んでいた少女は エプロンドレスの姿のまま 巻きたばこを口にしていた 銘柄はセブンスダウン。この辺りで流通している男ものの煙草だ
つん、とした香りが特徴的で 青年を眺めながら一服していた
煙を吐いてまだ半ばまであるそれを灰皿に押し付ける  「お疲れ様」 静かな笑みを青年に向けて
「ペルティカが上機嫌だったね。よっぽど売上が良かったんだろう」
カーティス
自分のものとは異なる香りのするそれが漂うことにも、少し前に慣れた。煙草を吸う姿も絵になりすぎる、その様子の方にはまだ慣れきれてはいないけれど。
アストレア
両手の指を組み合わせて肘をつくと 指の上に顎を乗せて
カーティス
「二代目看板娘の人気もあって、この所は客の流れもいいしな」 頷くと、棚から互いの小皿を取り出すとカウンターから出てきて。
アストレア
「どうだか」 苦笑して 「元々ペルティカ目当ての客が多いだけだろう、と思うけれど」
カーティス
「客の目を見ることに関しては、ペルティカには及ばないからな。ああ言われてるなら事実だと思うし、」 言葉にしながらボトルを開き。
「元はそうでも、今はアスト目当てかもしれないぜ」 時間を気にしつつ、グラスにそれぞれ注いでいく。
アストレア
「……」 少し間をおいて 「複雑そうだね」 顔を上げて青年の方を見て
カーティス
く、と笑みをこぼして。 「無いといえば嘘になるな?」
アストレア
「思ったよりも大丈夫そうで安心したよ」 泡立つグラスを見つめてから 青年に微笑んで
カーティス
「そりゃあ、アストがそういうのに対応できないとは思っちゃいないし、悪い客はペルティカが弾くだろうし」
「俺が横にいるのに堂々としようってんならそれはな」 逆に意気込みを買う。
隣の席に腰を下ろし、カウンターに肘をついて微笑む姿にはまだ余裕があるが、実際にそんな手合いが来た場合にどうなるかは想像に難くない。
アストレア
「あまり無理はしなくてもいいよ」 困ったように笑って
「二人きりだし、それに」
「どれくらい想われているかは自覚しているつもりだよ」 グラスの縁を指先でなぞって
カーティス
「……正直張り倒したくなる事はあるな」 笑みを深めて小さく零すと、だけど、と続けた。
「アストを俺より知ってる男は他にいないから良いんだ。見逃してやれる」 
アストレア
「……気になるなら、裏方に回っても良いんだよ」
カーティス
「いや」 頭を振ると、瞳を見つめて。
「良いんだ。……一緒に働くの、アストが思ってるより俺は嬉しいし楽しいんだぜ?」
アストレア
「………なら、そうさせてもらおうかな」
「でも、あまり溜めまないことだよ」
カーティス
ああとも、と大仰に頷いてみせると、
アストレア
「不満も気持ちもね」
カーティス
続いた言葉にも、しっかりと瞳を見つめて頷きを返す。
「アストは今、楽しいか? ペルティカで働いたりしてて」
アストレア
「飲もうか」
カーティス
自分のグラスを手に取って、それを浮かせる。
アストレア
「……」 ふふ、と笑って 「カートがそう思ってるなら」 グラスを持ち上げて
「私だってそうなのは自明だろう?」 小さく打ち合わせる
カーティス
からん、と 静かな店内にグラスが合わされる音が響くのと、
少女の笑みと言葉を介して伝わる思いに青年が頬を染めながら、嬉しそうな笑みを浮かべるのは同時だった。
「……ふむ。なら、俺が異性の客に持て囃されてる時も複雑……か?」 そっちも自明か、と少しおどけて聞いてみせる。
アストレア
「新年に」
「それは想像におまかせするよ」
カーティス
「気になるね」 くすくす笑って、 「新年に」
アストレア
澄ました様子でそう口にするとグラスに口をつける
カーティス
甘口のそれを一口飲むのと、日付が変わるのとは同時で
「……」 言葉にせずとも喜びは伝わる。そして或いは、言葉にしたとしてもそれは伝わりきらないだろう。
アストレア
酒精に頬を染めて 「甘いね。カート好みの味をしてる」
カーティス
「拘った甲斐がある評価だな」 アストレアの様子を眺めながら頷いてみせると、喉を伝って降りてくる熱が身体に溶けていく感覚を楽しむ。
アストレア
「ガレット・デ・ロワ。かな」 パイを見つめて 「当たるといいけれど」
カーティス
「煙草も酒も、これくらいが俺には丁度良い……、ああ。2分の1だ、どっちが良い?」
アストレア
「じゃあ右のを」
カーティス
頷くと、小皿とフォークをアストレアに差し出して 残った左のものを手元に引き寄せる
「今日の為に相当練習したからな、出来はいいぜ」
アストレア
「頂くよ」 先の方からフォークで削っていって
「それは楽しみだね……、」 口に含んで 「……」 ゆっくり咀嚼すると 「うん、美味しい」
カーティス
「召し上がれ」 美しい所作で口に運ぶアストレアに見惚れるように、彼女を見つめる。
美味しいという言葉に、小さくカウンターの下でガッツポーズを取り
アストレア
「……」 ふふ、と笑って 「先に答えが分かると楽しくないよ」 どうぞ、と勧めて
カーティス
頷くと、自分もフォークで削りながら食べ始める。 「……うむ。我ながら合格点だ」
互いにゆっくりとガレット・デ・ロワを削り出していき、
パイ生地の中、フェーブと呼ばれる当たりの陶器が入っていたのは――
カーティス
【✔:アストレア】 [×:カーティス]
アストレア
かつ、とフォークが硬いものにあたって
「当たりはこっちみたいだね」 と皿を差し出して
カーティス
「おっ。……フェーブはそっちだったか、王妃様」
アストレア
「それは自分が王って宣言かい、カーティス」
カーティス
「今、この時だけは名乗ろうか」 くすくすと悪戯っぽく笑うと、
「なんてな。……ただのアストレアと、ただのカーティスだよな」
アストレア
「それに王妃というのは二重の意味で違うかな」
「私は第三王女であって、継承権はかなり低かった」
「そして私が即位するとしたら私が女王で相手は王配だ」
「で、君の言う通り、今はただのアストレアさ」
ふふ、と笑って
カーティス
生地の中に入っていたフェーブ――陶器は、赤と黒の2色が交じり合った球体で それぞれが互いの中心に赤を、そして黒を宿している
「言うにしても女王様だったな」 頷きを返すと、笑んだアストレアの表情に引き込まれるように見つめて
再びワインを一口飲みながら、嬉しそうに語り掛けてくれる様子に、楽しそうに眼を伏せる
アストレア
「もういいのさ」
目を伏せて 「それで、今年の抱負はなにかあるかい?」
カーティス
「今年の抱負、か。……そうだな」 天井を見上げて
視線をアストレアに戻すと、柔らかく笑ってみせる。
「季節ごとに旅に出ようぜ」
アストレア
「旅か。いいね」
「どこに行きたい?」
カーティス
「オルトラントのザングスには行ってみたいな。地下に街があるとか聞いた事がある」
アストレア
「じゃあ最初はそこだね」
カーティス
「あとはエシオラ大瀑布も改めて……蛇頭海の島とかもいいよな」
「アストは? 気になった場所はあるか?」
アストレア
「そうだね、ミール地方に行ってみるのもいいかな」
カーティス
「ミール……西の方だったな」
「いいな。下調べして、行きたい場所を決めていこう」
アストレア
「オルトラントは東だろう?」
「うん」
「だから西にもいかないとね」
カーティス
「なるほどな。……色んな所、連れていくぞ」
アストレア
「楽しみにしているよ」
カーティス
「任せとけ。……アストの新年の抱負はなんだ?」
アストレア
「そうだな」
「いつまでも間借りしたまま、というわけにも行かないし」
「二人で住む家の選定、かな」
カーティス
「家か、……」 ふむ、と頷いて。
「何となくでも、どんな家が良い、とかはあるのか?」
アストレア
「大きくなくていいと思ってる」
「二人で住む間はね」
「広い家にしたければ郊外がいいし、街中で大きな家なんて、目立つだけだからね」
カーティス
「それもそう、……だな」 「うん」 二人で、という言葉に少し反応して、嬉しそうな、それでいて気恥ずかしそうな表情を浮かべつつ。
「今度の休みにでも、探しに行ってみるか。金の用意もあるし、どの程度かの目星はつけておいた方がいいよな」
アストレア
「………」 可愛いな、と思いつつ 「今年の、って言っただろう?」
「気長に決めるものであってすぐに、って言う訳じゃないよ」
カーティス
「……。浮かれたな?」 俺が、と苦笑して 頭をかく
アストレア
「可愛いと思うよ」
ふふ、と笑って
カーティス
よせよ、と笑いながらパイを食べ終えると、アストレアに視線を向けて。
「……今年もよろしくお願いします」 可愛いと言われて照れてしまっているのを隠すように言葉にした。
アストレア
「うん」
「今年もよろしくお願いします」
頷いて
カーティス
「あとは初日の出だな。……仮眠して、夜明けに備えようぜ」
アストレア
「そうしようか」 皿をそれぞれ手にとって ワイングラスを指に挟んだ
カーティス
「っと、持つぞ」 自分も席を立つと、皿を受け取ろうと手を差し出して
アストレア
「これは私の仕事だよ、コックさん?」
カーティス
「殺し文句だな、ウェイトレス」 苦笑して、そっと手を下ろして
よろしく、と小さく手を挙げる
アストレア
「よろしい。先に上がっていてくれ」
カーティス
「ああ。ありがとうな」 アストレアの体制を崩さないように気を使いながら腰を緩く抱いてハグをすると、頬に口付けをして
そのまま、邪魔にならないようゆっくりと身体を離す
アストレア
「……うん」
カーティス
離れると、そのまま上階へと向かっていって ホールから姿を消そうとして
アストレア
「ただ、」 「両手が塞がってる時にそれをするのはどうかな?」 苦笑して
カーティス
「続きは上で、な」
アストレア
「ずるいね」
苦笑して 食器を洗って手入れを済ませる
カーティス
笑みながら、先に上階へと上がって行くのだった
カーティス
こんな感じだろうかな
アストレア
そうだね
お疲れ様
カーティス
20250102_0 ログはこう
お疲れ様でしたー
アストレア
お疲れ様。ではまたね
!SYSTEM
アストレアが退室しました
背景
BGM