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お見舞い

20241116_0

!SYSTEM
ルリが入室しました
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イレナが入室しました
イレナ
おまたせしました
ルリ
はいはい
ナレーションはどっちがやる?
イレナ
良かったらお任せさせて頂いていいですか
ルリ
それじゃあお願いね
よろしくお願いします
イレナ
あ、いえそちらにということでした(ろくろ
ルリ
ああ
お任せってそういう
お任せしていいですか が正しいかしらね
イレナ
はい
ルリ
じゃあやってくわね
よろしくお願いします
イレナ
よろしくお願いします。
 
 
 
 
 
 
 
リアン地方 イルスファール王国 東の都市ドラス
冒険者としてはよくあることだろうが、ここに蘇生を施されて目覚めた少女が滞在していた
名前をイレナ・パス・レッドローズ
目覚めてから2日目のことである
蘇生施設からドラスに存在するライフォス神殿に入院という形で身柄を移した少女は
静かに消耗を回復させるべく生活していた
時折蘇生を施したコンジャラーの少女の訪問を受けたり、仲間が日に一度は顔を見せに行ったり
そうした訪問を終えた午後 午睡をしているところに 人の気配がする
気配を感じ取ったのは、少しの焼けた草の香り……おそらくはタバコの香りだ それを五感が捉えたからだ
ルリ
というところから始めましょうか
イレナ
普段ならばその気配をより早く察知して先んじて目を開き、身体を起こしていただろう白髪の少女は、
この日は消耗が未だに残る影響か、その嗅ぎ慣れた――決して好ましくはない状況で――タバコの香りを感じ取るまで、目を伏せていた。
記憶にあるものと同じ、けれどそれとは確かに違う香りを嗅ぎながら、これまでの訪問者とは異なる人物がやってきているのだろうと理解する。
緩やかに角度が調整されて上体が起こされている寝台の上で、紅玉のような丸い瞳が開かれて その扉を見遣る
 
桃色の髪の少女は、目にいっぱいの涙を溜めていた 恐らく堪らえようとしてそれに失敗して
ルリ
「……イレナ…」 ゆっくりと近づいていく タバコの香りは、少女からした
イレナ
少女の様子を見て、言葉を聞いたイレナの反応はまさに絵に描いたようなぎょっ、としたもので
「ル、ルリさん……!?」 寝起きで渇いた喉を震わせて、驚愕交じりの声をあげる。
ルリ
「………、」 傍らの席に近づいてつくと イレナの手を取って
「………生きてる……ごめん、イレナ……ごめんね……」 その体温を、少女の形を確認するように両手で右手を握り込んで
涙をこぼす
イレナ
王都へと帰還次第こちらから連絡をと思っていた相手、わざわざドラスまでやってきてくれている、という事実などに驚いた後、続く言葉に小さく肩を落とす。
「……どうしてルリさんが謝られるんですか。それを言うなら、私の方こそ……あの子を上手く扱えず、申し訳ありませんでした」
冷えた白い手がルリの手を握り返しつつ、珍しく戸惑った様子で声をかける。
ルリ
「あんたを守るための武器だったのに……しっかり教えた剣だったのに……」
「………あたし、全然駄目だった……死なせないための武器だったのに……」
縋るような姿勢でイレナの右手を握り込んだまま
イレナ
「待ってください。至らなかったのはあなたの剣でも教えでもなく、この私ですから、……ルリさん」 残った左手で涙を溢れさせるルリの背を撫でて。
ルリ
溢れ出す想いを形にしていく
「………、ごめん。ごめんね……ごめんねぇ……」
イレナ
「どうかご自分を、責めないでください」 小さな手のひらでルリの背を撫でると同時に、ああ、と胸の奥にまた痛みが走る。
――蘇生された本人に死の実感がないということは、恐ろしいことだ。
それは誰かに言われたものだったか、或いは自分で感じ取ったものだったか。
それは分からないけれど、“自分の覚えがないことで、身近な、大切な誰かを傷付け悲しませる”ということが、どれほど恐ろしいか。
ルリ
「……う、うぅ……、く……ぅぅ……」 なんとか堪らえようとしても 涙は止まらない様子で
イレナ
ぎゅう、と手を握り返すと、掛けていた布団を退かしてルリの頭を抱き寄せ、自身の左胸に当てさせる。
「聞こえますか、私の鼓動が」
ルリ
「………うん……」
イレナ
「……、こう考えてください。あなたの剣があったからこそ、私は蘇生できかえってこれたのだ、と」 
「あなたや、友人と呼べる方々が、私をイレナわたしにしてくださったから、迷わず標として戻って来ることが出来たのだと」
ルリ
「………うん……」
「おかえり……」 ぎゅうっと、抱きしめて
イレナ
「だから、あなたは」 胸に当てさせたルリの頭をぎゅっと抱き締めて。
「あなたの剣と教えは、確かに私を守ってくれたのですよ」 ――優しい、嘘だ。
自分はそのことを覚えていない。
自分は蘇生そのときも覚えていない。
何をよすがに辿って帰ったのか、わからない。わからないのだから、そうである、と言葉にしては嘘になる。
「……」 けれど。これは嘘であると同時に、個人的な願いでもある。
「……ただいま、帰りました」 自分が死を経験しても戻って来ることができたのは、自分を結んでくれた人達によるものであれ、という。
ルリ
「………、ごめんね、ちょっと」
「寝れてなくて………」
「ガルバから連絡があってさ……」 身体を起こして
イレナ
「……」 ふ、と普段のように微笑んで
ルリ
「イレナが死んだって、……コンジャラーは送るけど、成否はわからないって」
「………、だから、気が気じゃなくて……」
イレナ
弱々しい力でルリの身体を引き寄せる。
「では、少しでも休めていってくださいな。私の身体では、この寝台は少し寂しいですから」
ルリ
「色々ぐるぐる考えちゃって……それで」
「ううん、あんたはあんたの身体を気にしなさい」
頭を撫でてやって
イレナ
「人肌恋しいので」 語るうち、思い出して再び不安定になってしまうかと視線を向けつつ手招きをしたが、
ルリ
「乾いてない?何だったら吸っていいわよ」
さんざん泣いたからか、少し調子が戻ってるらしい少女は、そう提案する
イレナ
「ルリさんも、ご自愛くださいね」 断れるとやんわりと頷いた。
「そろそろ意識する頃合いではありますが、今のルリさんから頂いたらその後が心配ですから。お気持ちだけ頂きます」
「幸い、対応してくださる方もいらっしゃいますので」 ありがたいことです。
ルリ
「……わかった」
「……無理してない?辛くない?」
イレナ
「大丈夫です。見た目よりは余程元気なんですよ」
「私は元から美白肌ですから……」 何て挟みつつ、ルリの反応をちらりと見る
ルリ
「……、馬鹿ね」 泣き笑いで目元を拭って
「………、本当に良かった」
イレナ
「……ご心配をおかけしました」
ルリ
「………、本当にね」 やり返すように笑って
イレナ
「工房は平気……ですか?」 ではなさそう、という苦笑交じりに。
ルリ
「………ちょっと散らかってるかも」
「色々やっちゃいけないことしたわ、職人として」
イレナ
「帰ったら、お片付けをしますよ」 ちょっと、と言うなら相当なのかな。
ルリ
「……それから」
「帰ったら、どうしたいとかは、ある?」
イレナ
「私からも謝っておきます。乱してしまったのは私のせいですから……、どうしたい、とは?」
ルリ
「………このまま、冒険者、続ける?」
イレナ
動きを止めると、一つ瞬きをして。
「……それは、その。どういう意味で?」
ルリ
「……もし、イレナが良ければだけど」
「専属でうちの店に来てもらって、そこで働くっていうのも、ありなのよ」
イレナ
人形のように整った顔が、僅かばかり強張る。この状況でその言葉を告げる意味を、ルリが理解していないということはあり得ないし、
この状況でその言葉を告げられる意味もまた、理解していた。
少しの間、沈黙が流れる。じっとルリの瞳を紅玉が見つめたまま、
「……それが、あなたの望みですか」
責めるでもなく、拒むでもなく、ただ、どちらかというと困ったように
ルリ
「………、イレナさえ良ければ、って言ったでしょう」
「あたしがしてるのは、………」
「………無理してほしくないっていう真っ当なお願いよ。ただの失敗じゃなくて、命に関わる失敗だったんだもの」
真剣な目、というよりは 少し弱々しい 言い訳がましい言い分も普段の少女らしくはない
イレナ
ぽす、とルリの頭を撫でて。
「未練があります」 きっぱりと、少女は言った。
ルリ
「……未練?」
イレナ
「ええ。だって、あの子の初陣が負け戦、まして振るう主の死によるもの、なんて」
――ほかでもないあなたが鍛えてくれた剣と技を活かすことが出来なかったことは、私にとっては未練です」
「ただ、」 またルリの頭を撫でて。
「それはあくまで冒険者、イレナ・パス・レッドローズとしての未練ものであって。……ただの個人としては、姉のような相手や、」
「……」 兄、というとなんだか不服だな。 「弟のような友人、はじめて出逢ったばかりの癒し手の方を悲しませてなお続けるものではない、とも思います」
「未練があります。ただ、悩んでいます。……だから、わがままを聞いてくれますか?」
ルリ
「………当たり前でしょう」 頭を撫で返して
「私達は友達なんだから……」 少女の手を引き寄せて胸元に寄せると抱きしめて
「ただ一つ約束して」
イレナ
「お姉さんの様だとも思っています」 微笑むと、甘えるように身体を寄せる。
ルリ
「次はないかもしれない、でももし次、こうなることがあったら」
「その時は、街の外に店を移すからついてきてくれるって」
「私の友達が郊外で組織を運営してるから、その近くに店を移すわ。その時はね」
イレナ
「……はい。まずは身体を癒して、工房のお手伝いから再開していって」
「その間に、続けるか否かを決めて――続けると判断したとしても、」
「“次”があれば、その時はついていきます。ルリさん」
ルリ
「………、あたしの秘密、一つ教えてあげるわイレナ」
よしよしと頭を撫でて
イレナ
「知らないものでお願いしますね」
ルリ
「実は妹が欲しかったの」
「あたし末っ子だったからね」
と囁いて
「内緒よ、あたしとあんただけの」
と離してやりながら笑みを作る
イレナ
小さく頷くと、その笑みに気付くと両手で頬に触れて。
「では僭越ながら、私の秘密も」
「実は、家族が欲しかったんですよ。ずっと独りでしたので」
「2人の時はルリ姉さん、とお呼びしても?」
ルリ
「……そっか」 ぽんぽんと背中を撫でて 「じゃあ今日からあんたはあたしの妹、いいわね、イレナ」
「勿論」
イレナ
「……はい、ルリ姉さん」
「ちゃんとご飯は食べてくださいね。タバコは良いですが匂いのケアも忘れずに」
ルリ
「入院が続くって話ではあったから、あたしは一旦王都に戻るわ」
「……嫌いだった?ごめんね」
「どうにもならなくて、……、吸ったら最初はむせたけど、続けたら落ち着いたらから」
「あんたが嫌いならこれっきりにするわ」
イレナ
「昔嗅がされていたものよりはずっと好みですよ。ただ、匂いはついてしまいますからね」
「意図して付けていないのであれば、と」
ルリ
「そうね、気をつけるわ」
頷くと身体を離して
イレナ
「帰ったら銘柄を教えてください」 
ルリ
「ある程度片付けは始めておくけど」
イレナ
身体が離れると、ぽて、と寝台に身体を寝かせて。
ルリ
「刻みたばこのハーヴェストってやつね」
「たぶん手を借りるわ。暫く休業。注文分だけ片付けておくから」
「あんたが本調子になったら再開、それでいいわね」
イレナ
「では私の分も用意しておいてください。メイド服にタバコのギャップでファンの獲得を図ります」
「わかりました。それまで、くれぐれもご自愛なさってください」
ルリ
「煙管で吸うのよ」 苦笑して
イレナ
「そちらも映えるかと」 こう? とジェスチャー。
ルリ
「うん。用意しておくし、使い方教えてあげる」
頭を撫でて 額にキスをしてやると
「それじゃあ、待ってるから」
イレナ
「楽しみにしています」 微笑み返すと、 「ご自分だけして逃げるのは卑怯では?」
ちょいちょい、と手招きして。
ルリ
「わかったわかった」
かがんでみせて
イレナ
満足気に、けれど普段の動きよりもゆったりとした動きでルリの前髪に触れて流してから額にキスをして
「それではまた、次は工房おうちでお会いしましょう」
ルリ
「うん。ちゃんとふらつく前に吸精はさせてもらうこと、いいわね」
イレナ
「承知しました」 
ルリ
微笑んで見せると 赤くなっていた目に笑みを載せて
手を振って病室を後にする
イレナ
背を見送って、布団を戻して。安堵と心配、不安と未練とを考えながら、
身体を休め、王都に帰還する日を待つのだった。
ルリ
ヨシ
イレナ
ヨシ
ルリ
引退回避成功ね
イレナ
ルリ
20241116_0 ログ番号よ
それじゃ感想戦はDMで
イレナ
今後によりますね。はーい
お疲れ様でした。撤退します
!SYSTEM
イレナが退室しました
背景
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