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泡沫のプロヴィデンス 幕間Ⅺ

20231020_0

!SYSTEM
GMが入室しました
!SYSTEM
クヴァレが入室しました
GM
きたわね
きたか?
クヴァレ
ちょっと飲み物を
用意してました
GM
いいよ
クヴァレ
きた!
GM
でたわね
じゃあ最初は休憩中のアナムぱいせんとからでいいんだな
クヴァレ
ヨシ!
GM
ヨシ!
よろしくお願いし🐁
クヴァレ
よろ🖱
 
 
GM
世界樹の病への対処法などを探るため、“庭”が利用していたと思しき施設跡を訪れた冒険者たち。
施設の内部は崩落したり、地盤が沈下して一部が水の中に沈んでいたりと探索を妨害する要素に溢れていたが、協力してそれらを突破し、だいぶ奥まで進んできた。
今居る部屋の周りには、彼らの実験資料が残されている部屋が多数存在しており、小休止を兼ねて、一度この部屋を拠点に辺りを集中的に探索することにした。
それぞれが近くの部屋を見に行ったり、集めてきた資料を解読したり、休息を取ったりと自由に過ごしている中――
アナム
「…………」 小柄な黒髪の少年は、フードを深く被ったまま水に濡れた資料を読み耽っていた。
GM
いつでもこい!(透明少年探偵アキラ
クヴァレ
透明人間AV!?
GM
時間停止AV!?
クヴァレ
周辺から適当な薪代わりを見繕っていたもう一人の少年が、小休止用の小さな拠点に戻ってくる。
両腕には、遺跡内部にまで侵食していた木の根や枯草が収まっており、それを焚火の近くに降ろす。
一人焚火の世話をしながら、時折ちらちらと傍で資料を読み漁るアナムを盗み見た 「……」
アナム
視線を感じると一瞬顔を上げて。 「……何をしてるかと思えば、そんなものを集めに?」
クヴァレ
目が合えば、ぱっと視線を逃がして 「は、はい。持ち運べる物資には限りがございますから、出来る限り現地調達をと思いまして……」
アナム
「そういうのは、得意そうな人に任せておけばいいのに」 すごい力強そうなのとかいるじゃん。
クヴァレ
「お寛ぎのところ、お邪魔をするわけにも――。この程度でしたら私奴でもできますし……」
アナム
「そんなのは他に押し付けて、君は君の得意なことに専念した方が効率がいいと思うけど。……見た所、休んでもいなさそうだし」
クヴァレ
焚火の世話を片手間に続けながら、今度は温かい飲み物を用意し始める。
アナム
資料から目を離し、傍らのテーブルの上に置くと、立ち上がって軽く伸びをした。 「……それで、今度は飲み物の準備?」
クヴァレ
「得意な事など……」 ありません、というように首を横に振って 「皆様の方が、きっとお疲れでございます。アナム様も、お休みになられては――。あ、は、はい」
「えっと……紅茶は、お好きでしょうか……?」
アナム
「僕ならさっきまで休憩してたところだよ。休みなしで動き続けてる君に心配されることじゃないね」
「まあ、好きだけど」
クヴァレ
「……」 そんなに働き詰めだっただろうか。心配をかけてしまっている……。自分の不出来さに視線を落としながら 「! よ、良かったです」
アナム
「……とりあえず」
クヴァレ
「リアレイラ様は、紅茶よりも珈琲の方がお好きなようで……アナム様ももし珈琲の方がお好みでしたら、ご遠慮なく……。――?」
アナム
空いている椅子を顎で軽く示して。 「座ったら? 紅茶を淹れ終わってからでいいからさ」
クヴァレ
「……」 アナムと椅子と紅茶を順繰りに見ていく。
アナム
リアレイラの名前が出ると、先程の着替えに至るまで世話しようとしていたのが思い出されて、フードの奥でなんとも言えない表情になった。
「……君が立ったままだと、僕が落ち着かないんだよ」
クヴァレ
「そう、なんですか……」 悩む素振りを見せる。ポットの様子を見る為のマドラーが、指先で弄ばれる。
アナム
「君にだけに働かせて、僕が怠けているように見えるだろう?」
クヴァレ
「そんな事は……」 ちらちら、と再び少年を盗み見る。どこか照れくさそうに。
アナム
「君からはそう見えなくても、他の人間からはそう見えるかもしれない。……何?」
クヴァレ
そうこうしているうちにお湯が煮立ち、紅茶を手際よく入れていった 「い、いえ……」 唇をもごもごと動かしながら、人数分の紅茶を淹れ終えると、その中から一人分のティーカップを手に取り
「……どうぞ」 とそれをトレイに乗せて、アナムに差し出した。
アナム
「ありがとう。いただくよ」 カップを受け取ると、口元に持っていき、ふぅと息を吐いて少し冷ましてから口を付けた。
クヴァレ
「……し、失礼致します…」 アナムが二口目を口にする前に、もじもじしながら遠慮がちに、隣の席に腰かける。
アナム
「うん」 それだけ返して、視線は向けずに二口目に移る。
クヴァレ
「………」 膝の上で両手を祈るように合わせて、そこへ視線を落とす。
アナム
温かい紅茶を喉に通してから、その熱の残る息を吐くと首を微かに隣の少年の方へと向けて
「君、別に彼らの奴隷というわけでもないんだろう」
クヴァレ
沈黙に満ちると、話題、話題…と視線を巡らせる。
「……え、あ」 まさか彼の方から持ち掛けられるとは思わず、一度素っ頓狂な声を上げて
「…はい、もう奴隷ではございません」
アナム
「…………」 そんなに驚かれるようなことを聞いただろうか。
「じゃあ、どうしてあそこまで甲斐甲斐しく世話をしてるんだ。趣味?」
クヴァレ
「しゅみ……」 そういえば性癖なんて事も言われたな…
「好きでこうしている、という部分も勿論ございますが……何よりも、他にどうすればいいか分からなくて……」
アナム
「ふぅん……。好きだという自分の意思があるならまだマシだけど」
クヴァレ
「アナム様はそういうこと、ございませんか?その……私奴と同等に見るなど烏滸がましいことではあるのですが、同じ、人に仕える立場の人間ですから……」
アナム
「別に君と同じように扱われたところで怒るようなことはないよ」
「どうすればいいか分からない、というのは……まあ、昔にはあったかな」
クヴァレ
「…!」 ちょっとだけ嬉しそうにアナムを見やって
「レアルタ様に対してですか?それとも別の……」 湧いてくる親近感に少し興奮気味。声も自然と抑揚がついて
アナム
「いや――」 脚の間で手の指を組むと、そこに目を落とす。 「もっと昔。嫌な思い出だ」
クヴァレ
――…」 身を乗り出す勢いだった自分にはっと気付くと、身を引いた。
「……それは――
アナム
「君の過去は知らないけど、今の君は運がいい。少なくとも今君の周りに居る人間は、君を都合のいい奴隷として扱うつもりはなさそうだから」
クヴァレ
"庭"の被検体にされていた時期のことだろうか。嫌な記憶を思い出させてしまった 「……」
「…申し訳、ございません……」
アナム
「……僕、怒ってるように見える?」
クヴァレ
「……え」 落としていた視線をもう一度上げて、アナムを見る
「い、いえ。でも、お辛い記憶でしょうから……」
アナム
「過ぎたことだ。今の僕には関係ないし、自分から口にしておいて怒るような馬鹿な真似はしないよ」
クヴァレ
「……でも、ずっと心の何処かで燻っている…そういう事もあると思います」
アナム
「そうして人を気遣えるのはいいことだけど、もう少しそれを自分に向けてあげてもいいんじゃない?」
クヴァレ
「………あの、」 聞きづらそうに、膝の上で作った拳で指遊びをしながら
アナム
「……何?」
クヴァレ
「そんなに私奴は、人の不安を煽るように振舞っていたでしょうか……。皆様、よく心配してくださいます。嬉しいのですが、同時に心苦しくて……」
アナム
「まあ、自分を軽視しているように見えるのは否定出来ないかな」
クヴァレ
「………」 それは確かに否定できなかった。
「ど、どうすればもっと頼りがいのある人間になれるでしょうか。一人で放っておいても大丈夫なような………その、アナム様みたいな……」 ちら
アナム
紅茶をまた一口飲むと、背もたれに深く背を預けて。 「……頼りがいのある人間、というなら他に手本にすべき相手が沢山いると思うよ」
クヴァレ
「そ、それは勿論!ですが、アナム様からもお聞きしたいのです!」 ずずい
アナム
「……そ、そう」 勢いにちょっと後ろに引きつつも。 「……少し安心したよ。興味があることには、積極的になることもあるんだ」
クヴァレ
「……! し、失礼いたしました……」 ススス…
「あ、あまり同年代の……同性の方と接する機会がなくて……」
アナム
「……ああ、今のパーティにも女性が多いもんね」
クヴァレ
「は、はい……お世話になっている方々も、皆女性で……」
アナム
「……」 だから距離感がおかしいのか。
クヴァレ
「だ、だからその……アナム様とはもっと、お話を――」 もじもじ
「し、してみたかったというか……」
アナム
「それは構わないよ。ひとりで居るのは好きだけど、誰かと話すのが嫌いってわけでもない」
クヴァレ
「良かった……」 ほっと胸を撫で下ろす
アナム
「面白い話、ためになる話が出来るかは分からないけどね」
クヴァレ
「構いません。実のところ、私奴もあまり話すのは得意ではなくて……」
アナム
「……いや、それは意外でもなんでもないけど」
クヴァレ
「……」 う。
「じゃ、じゃあまずは、好きなものとか……あとは――」 なやみなやみ 「き、嫌いなものとか……」
アナム
「……そういうのは逆に答え難いな。好きとか嫌いとか、普段あまり意識したことが――
「ああ。あった。嫌いなもの」
クヴァレ
「……な、何でしょうか!」 わくわく
アナム
「カスラーンみたいにうるさい奴は好きじゃない」
クヴァレ
「………」 鳩が豆鉄砲を喰らった、という表情
「……ふふ、」
「カスラーン様は確かに、賑やかな方ですね……」
「レアルタ様と馬も合っていらっしゃるような……では、レアルタ様は?」
アナム
「……あいつは昔からそうなんだ。頭が悪いし筋肉馬鹿だし声が大きいし」
クヴァレ
「カスラーン様とは、その――」 被検体であった時から?と聞こうとして口を噤んだ。
アナム
「レアルタはカスラーンに比べれば可愛いものだよ。妹のようなものだと思ってるし」
クヴァレ
気にしないとは言っていたものの、聞いていいものかどうか、わからなかった。
アナム
フードの奥から向けた視線で、クヴァレの表情を読み取って。 「そう。今レムリアにいる人の中では、カスラーンとの付き合いが一番長い」
クヴァレ
「………」 控えめに視線をアナムへと向ける。
「そう、だったんですね。気の置けない相手というものでしょうか」
アナム
「……まあ、遠慮が必要ない相手といえばそうかな」
クヴァレ
スケジュールの質問あったから、いったんうんこついでに行ってきていいんだからね!///
GM
うんこ!?
クヴァレ
「そういうのを、家族、と呼ぶのでしょうか……」
アナム
「どうだろう。家族でも遠慮がないとは限らないんじゃない」
クヴァレ
――もし、答えたくない問いであったならば、そうと仰って下さって構いません。……アナム様の、本当のご家族とは……どういった……」
アナム
「……」 組んだ手の親指を開いたり閉じたりを何度か繰り返してから 「良い両親だった、と思っていたよ」
クヴァレ
「………」 答えてくれようとしていることに、人知れず安堵した。
アナム
「僕の両親は商人で、商売柄、子供だった僕を連れて色々な国を回っていたんだ」
「自分で言うのは気が咎めるけど、才能はあったみたいで、両親たちと旅をしながら、商人としての知識をどんどん身につけていった」
クヴァレ
「…想像できます。アナム様は、とても聡明な方でいらっしゃいますから」
アナム
「両親たちもそれを喜んで、僕を自慢の息子として扱った。僕もそれが嬉しくて、二人に応えようと努力を重ねた」
クヴァレ
「……」 おっとりと目を細める。とてもいい家族のように聞こえるのに――過去形であることに、不安が過る。
アナム
「その頃の僕は両親を喜ばせるためだけに生きていた。自分のためを思って、自分で考えることなんてなかったと思い至ったのは、それからずっと後のことだ」
「まあ、それもひとつの健全な親子の形かも知れないけど」
「運の悪いことに、僕たち親子はそんな健全な関係じゃなかったんだ」
クヴァレ
アナムの言葉に、不思議と彼に真っすぐ視線を向けた。彼が自分に対して気に掛けていたのは、もしかして、と――
「……で、でも…とても良いご両親のように私奴にも聞こえます。どうして……」
アナム
「両親は、何処までも商人だった。彼らが見、求めていたのは優秀な子供ではなく、ガメル――利益をもたらす存在だったんだ」
クヴァレ
「そ、れは……」
「アナム様の事も、そのように見ていたと……?」
アナム
「きっとね」
ひとつ大きくため息を挟んでから、言葉を続ける。 「商人というのは、どれだけ良い商売をしていたとしても敵を作るもので」
「僕の両親の取引によって大損害を被った商売敵が、傭兵を雇って僕を拉致したんだ」
クヴァレ
「……!」 きゅっと、膝の上で作った拳に力が籠る。
アナム
「犯人たちは身代金やその街での取引の停止を要求したが、両親はそれに応じず、別の傭兵を雇って僕を助け出した」
「……ここまでは、とてもいい話に聞こえるだろう?」
クヴァレ
「……聞きようによっては…」 両親に対して疑念があったと聞いた後では、素直にそう、と頷けなかった。
アナム
「無事に助け出されたといっても、無傷とはいかなくてね。拉致される時、された後には酷く痛め付けられたせいで、僕はすっかり心にトラウマを植え付けられてしまっていた」
クヴァレ
「……ご両親は、その事は……」 アフターケアとか…
アナム
「救出された後も、他人が怖くて怖くて仕方なくなって――両親以外の人とまともに喋る事さえ出来なくなった」
「しばらくは僕の心の傷を癒そうと手を尽くしていたみたいだけど、ある時を境にそれは一変する」
クヴァレ
――……」 徐々に顔に陰りが出来る。自分から振った話題。決して明るいものではないだろうと予想はしていたが、感情は理性についてこない。
アナム
「身内以外とまともに会話することも出来ないんじゃ、商売なんて出来るはずもない。両親はそこで、利益を生む装置としての僕を見限ったんだ」
クヴァレ
「その、ある時というのは……?」
「……」 薄く唇を開いて、閉じる。
アナム
――多分、その時にはもう話が来ていたんだろうね」
「そのすぐ後だ。僕が売られたのは」
クヴァレ
「……まさかご両親と繋がっていたのは――
アナム
頷きを返して。 「以前から繋がりがあったのか、その時出来たのかは分からないけど」
「僕はガメルと引き換えに、“庭”に引き渡された」
クヴァレ
――…なんて事を…」 目を閉じ、俯く。沈痛な面持ちと声が、火がはじける音の中に混ざった。
アナム
「自分のことを優先して考えることが出来ていれば、もう少し早く、彼らが見ているのは僕じゃない、って気付けたのかもしれない」
クヴァレ
「………」
アナム
「なんて、10になるかならないかの子供にそんなことを要求するのは無茶が過ぎるけど」
クヴァレ
「アナム様が……私奴にお気を遣われてるのは、その事もあって……ですか?」
アナム
「別に特別君を気遣ってるつもりはないよ」
「ただ、後悔する羽目になった奴が居る、というのは覚えておいて損はないだろう」
クヴァレ
「……家族というのは――いいものであるとばかり思っていました」
「いいもの、とはいえ何が良いのか、何かそこまで特別なのかまでは分からないのですが……」
アナム
「友人関係だって千差万別なんだ。家族の形だってそれぞれじゃないのかな」
クヴァレ
「……。――以前、リアレイラ様が、私奴の事を家族のように想っていると仰ってくださいました」
「アナム様の仰る通り、家族の形が人それぞれであるのならば……そこに正しい家族というものはないのでしょう」
「だから、えーと……」
アナム
「……そもそも、人間関係に正しさを求めること自体がナンセンスかもね」
クヴァレ
「……きっと、二つ目の家族を作るのだって、家族の形として捉えてもいいのでは、と――
アナム
「……ああ」 納得したようにふ、と小さな笑みを零して。 「僕を慰めようとしてくれてるのかい」
クヴァレ
「……な、慰めようなどと。わ、私奴程度ではそのような……」
「ただ、ウィスカ様やカスラーン様、レアルタ様といらっしゃる時のアナム様は、居心地が良さそうだなと思っていて……」
アナム
「さっきも言った通り、今の僕には関係ない話だ。慰められる必要のあることじゃない」
「君の言ったように、今は今でそれなりに満足の行く生活を送っているしね」
クヴァレ
「……吹っ切れている、ということでしょうか」
アナム
「どうだろう。両親が目の前に現れたら、殴るくらいはするかもしれないし、僕はそこまで出来た人間じゃないよ」
クヴァレ
「殴る」
アナム
「……そんなにおかしなことを言った?」
クヴァレ
「……杖、などででしょうか…?武力に訴える知的なアナム様のお姿が想像できなくて……」
真剣な表情で考え込む。
アナム
「……ただの喩えだよ。魔法かもしれないし」
クヴァレ
「そ、それは……今度はご両親の方を心配してしまいそうです……」
アナム
「心配しなくていいよ。もう両親と会うことなんてないだろうから」
クヴァレ
「……そう、ですか……」 また沈みそうになる心を抑えて
アナム
――まあ」
「慰める必要はないけど、君が心配する気持ちは素直に受け取っておくよ。ありがとう」
クヴァレ
「……!」 ぱっと顔を上げる
「いえ……いえ!あの、お役に立てたのなら、嬉しいです……」
アナム
「……そういう反応は、ちょっとレアルタに通じるところがあるな」
クヴァレ
「……レアルタ様にですか?」
アナム
「そう。そういう子犬みたいな感情表現のしかた」
クヴァレ
「こ、こいぬ……」
アナム
「そういうところがあるから、君の周りの人たちも君に構いたくなるのかもしれないね」
クヴァレ
「……どう、返せばいいのか……」 リアクションに困る……
アナム
「貶してるわけじゃないから、そこまで気にしなくていいよ」
クヴァレ
「…私奴としては、もっと頼りがいのある人間になりたいのですが……」
アナム
「それなら、やっぱり自分のことをもっと考えてみるといい」
クヴァレ
「……これでも、自分の事ばかり考えてしまっているつもりなんです」
アナム
「……そうなの?」
クヴァレ
「はい…」 小さく苦笑して
「どうして置いていかれてしまったのか…どうすれば置いていかれずに済むのか。ずっとずっと、そういう事ばかり考えています」
アナム
「……? 置いていかれた、というのは?」
クヴァレ
「……それ、は――
アナム
「話したくないなら気が向いたらでいいよ。僕はカスラーンと違って、他人のそういうところにずかずか踏み込む趣味はない」
クヴァレ
「……」 また小さく笑った。
表情は存外柔らかい。隣の少年が先に、話したくない事を話してくれたからだろうか 「……人族社会においては悪い、とされていることをしてしまったんです。その罰として――今、傍に居たい方の傍にいられません」
「その事ばかり、考えています。リアレイラ様や他の方々のお世話をしているのも、結局は自分の為なのかもしれませんね」
アナム
「人族の中に居る蛮族に対する罰としては、随分軽いものに思える。明確な罪を犯したというわけでもなさそうだね」
「保身のために誰かに手を貸している。それなら、まだ少しは安心出来るかな」
クヴァレ
「一重に、皆様のご厚意のおかげです。ですが、鞭打ちよりも棒打ちよりも、今の方がずっと――
「あ、安心ですか……」
アナム
「確かに君のようなタイプには、そちらの方が余程効きそうだ」
「ああ。自分はどうでもいいからとか、自分のことを考えずにやっているわけじゃないならね」
クヴァレ
「……」 本当に達観した少年だ。自分よりもずっとずっと広い視野を持っているように思える。
……僕も、商売とかしてみようかな……」 ぽつりと零れるのはそんな感想
アナム
「商売も、ただ相手の事を考えるだけじゃ成り立たない。利益を出さないと、自分の首を絞めることになるからね」
クヴァレ
「……!」 こ、声に出ていた。
恥じ入るように口元に手を押し当て、頬を染めた。
アナム
「……君は――そうだね。他人の立場に立って物事を考える練習をしてみるといいかもしれない」
クヴァレ
「相手の立場に……ですか」
アナム
「たとえば、君が不眠不休で働いて疲労困憊になっているのを見たら、リアレイラはどう思うか、とか」
クヴァレ
「……リアレイラ様ご自身が、不眠不休で読書を嗜んでいるのですが、それは如何すれば良いでしょうか……」
アナム
「それは本人が好きでやっているんだからいいんじゃないかな」
「限界が来たら勝手に眠るだろう」
クヴァレ
「お体に差し障りがないか……。いえ、なるほど。少し主旨と異なるかもしれませんが、こういうことですね」
アナム
「そう。リアレイラは君のことを心配するだろう。余計な心労を負わせてしまうことになる」
「逆に、君はまったく休んでいない相手に頼ろうと思う?」
クヴァレ
小さく苦笑して 「……いいえ」 「アナム様には、気付かされてばかりです」
アナム
「君がちゃんと休んで、万全の状態であれば、彼女たちも気兼ねなく君を頼ることが出来るだろう」
クヴァレ
「もう奴隷ではないのなら……そういう考えを持っても、いいのですね」
アナム
「奴隷だろうと、そんな考えを持ってはいけないなんて決まりはない」
クヴァレ
「きっと、以前までの私奴ならば、そうではないのだと頑なに理解しようとはしませんでした」
アナム
「……そんな状態なら、心配されるわけだ」
クヴァレ
――何度も、教えてくれようとした方々がいたんです」
アナム
「……ふぅん?」
クヴァレ
「離れてみて、ようやく気付くなんて……」
――…あ、す、すみません。私奴の事ばかり……」
アナム
「無事に戻ったら、成長したところをその人たちに見せてあげればいい」
クヴァレ
「……」 アナムのその言葉に目を瞬かせて 「……はい」
アナム
「構わないよ。僕だってさっきまでは自分のことばかり話していたんだ」
クヴァレ
「アナム様の方が、ずっとずっと慰めるのがお上手でしたね」
アナム
「僕は慰めてるつもりはないけどね」
クヴァレ
「私奴は励まされました」
「……じゃあ、次はアナム様のお話です。嫌いなもの……は一応分かったのですが、本当に好きなものはないのですか?一つも?」
アナム
「それなら、そういうことにしておこう」
クヴァレ
「………」 むむ
アナム
「…………そこでその話に戻るのか」
クヴァレ
「ロゼット様にも今、好きなものを作っていただけるよう考えています。アナム様のご意見も参考にできればと」 というのは方便なのだが
「………」 そこでふと、フラッシュバックする光景があった。視線を逸らして、考え込む。
アナム
「好きなものというのは、無理に作るものではないと思うけど……」
「ふむ――」 好きなものを真剣に考えていると、隣でもクヴァレが何か考え込んでいることに気付く。 「質問した側が何を考えて込んでいるんだ」
クヴァレ
「あ、も、申し訳ございません……少し、気になっていたことがあって……」
アナム
「聞いても問題ないことかい?」
クヴァレ
慎重にこくりと頷く 「……初めてウィスカ様やアナム様、カスラーン様と出会った時の事を思い出して……あの時、ウィスカ様はロゼット様を見て何方かと勘違いされたご様子でした」
アナム
「……ああ、あの時のことか」
クヴァレ
「何故か、その時の事が過って……」
「アナム様もロゼット様とはご面識がないのですよね?」
アナム
「うん、ロゼットとはないよ」
クヴァレ
「……ではやはり、勘違いだったのでしょうね」
アナム
「ただ、“庭”の末端構成員たちは、薬の影響で髪の色が抜け落ちたり、表情が薄くなる子も多いから」
「僕たちもそういう子を多く見てきた。だから、ロゼットを見て誰かを思い出すというのはおかしなことじゃないと思う」
クヴァレ
「……なるほど。特定の誰かに似ていた、というわけではなく、表情や立ち振る舞いから過去の事を思い出した、ということですね。」
アナム
「多分、ね」
クヴァレ
「……」 きっと、そうなのだろう。そう納得しようとしても、心の何処かで何かが引っ掛かる。
顎に手を添えて、視線を逸らす。
アナム
「気になるなら、僕じゃなくてウィスカに直接聞いてみるといいよ。彼女は僕より余程手強いだろうけどね」
クヴァレ
「……そうでしょうね…」 彼女はより多くのものを見てきたのだろうことは、話の節々から感じ取れた。
アナム
「見ての通り、レアルタはまだまだ知らない事も多いし、怖がりでもある。街が上手く回っているのは、ウィスカの力による所が大きい」
クヴァレ
「はい、失礼ながらそのように感じました。実質的には、彼女が街の運用の大部分……とまではいかずとも、少なからずを担っているのでしょうね」
「街の人口が少ない事を加味しても、あのご年齢でよく…と、感服いたしました」
アナム
「前も言ったように、レアルタが現れる前は彼女が僕たちのチームのまとめ役だったからね。そういうところだけじゃなくて、武術もカスラーンに引けを取らないくらいだし」
クヴァレ
「武術も……」
アナム
「……まあ、色々見聞きしてきたんだろう。彼女も彼女で、大きな苦労をしてきただろうから」
クヴァレ
「…アナム様が信頼を寄せる理由も納得いたしました」
アナム
「少なくとも、カスラーンよりは信頼しているのは確かだね」
クヴァレ
「……」 ふふと小さく笑って 「カスラーン様も、ああ振舞っているだけでその実、大変な苦労をされてきた方かもしれませんよ」
アナム
「さあ、どうだろうね」 口元に少しばかり笑みを浮かべると席を立つ。
クヴァレ
「……」 初めて見たその笑みに、僅かに目を見開いて
アナム
「長く休憩してしまったし、さっきまで読んでた資料の解読は済んだから、別の資料を探しに行ってくるよ」
クヴァレ
「あ、は、はい。では私奴も……」 ぱっと立ち上がって
クヴァレ
締めるには良い時間か!?ろぜにゃん!?
アナム
「君はさっきまで働き詰めだったんだし、もう少し休んでいてもいいんじゃない?」
GM
そうだぞ:-(
クヴァレ
気付いたらこんな時間だぜ
GM
ろぜにゃんはアナムの会話が結構長引いたから次のタイミングだぜ
大丈夫だろぜにゃんはまだいる
クヴァレ
アナムだってまだいるだろ!?!?!?
GM
そうだおz
クヴァレ
「いえ、私奴も十分休めました。あまりお役には立てないかもしれませんが、手伝わせてください」
クヴァレ
えらいぞ
二人でれっつごーして〆だ!!
アナム
「そう。じゃあ行こうか。二人で探した方が早い」
クヴァレ
「はいっ」 嬉しそうに笑って、簡単に焚火やティーセットの片づけをすると、アナムの方へと駆けて行った。
アナム
「……やっぱり犬みたいだな」 小さく呟いてクヴァレを待ち、二人で資料を探しに近くの部屋へと歩いて行くのだった。
GM
つまりこれで〆!!!
おちゅまん
クヴァレ
(U^ω^)わんわんお!
おちゅまん!
GM
わんわん!!
ろぜっと「わたしはねこはです」
クヴァレ
そんな・・・
いぬもすきになれ・・・
GM
いぬはすきでもきらいでもありません
クヴァレ
好きになれ!!!!
GM
させてみせろ
クヴァレ
まずはYoutubeの子犬Short100本ノックです
GM
わんわん!!!
クヴァレ
かわいいお~~~^
GM
かわいいお~|~~~~~
またあした!!!1
クヴァレ
またあした!!!!
ありがとうございまし!
!SYSTEM
クヴァレが退室しました
GM
た!
!SYSTEM
GMが退室しました
背景
BGM