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IF:幕間

20230617_0

!SYSTEM
ルカティシアが入室しました
!SYSTEM
アマルガムが入室しました
ルカティシア
♪逆転裁判の尋問中のBGM
アマルガム
どうして……
ルカティシア
その長い乳に手を当てて考えてごらんなさい
アマルガム
とりあえずお部屋トークで
ルカティシア
はあい ざっくり書こうかと思ったけど不安があればおまかせするわよ!
アマルガム
いやとくには
ルカティシア
じゃあざっくりさっくり。




 
ぱたん、と扉が閉じる音がした。
リアレイラによるクヴァレへのレクチャーと話が混線しないようにと、皆で一堂に会して話をしていた部屋から、アマルガムとルカティシアは個室に移動してきていた。
それは半ばルカティシアからアマルガムを呼び付ける様なもので、浮かべた表情にはまだ言い足りない事がある、とでも言いたげだった。
メアリやエディテから用意された飲み物をいくらか持ち込み、部屋にやってくるなりテーブルにそれを載せた。
ルカティシア
テーブルを挟んで設置されている上質なソファの片方をアマルガムへと促すと、自分はその向かいに腰掛け、小さく息を吐いた。
アマルガム
何も言えず、困ったような苦笑のまま軽く手を挙げて答え、ソファに腰を下ろした
ルカティシア
「……別に、責める話をする為に呼び出した訳ではないんですよ」 その様子を見て、小さく言葉にした。
アマルガム
「そうなのか? ……どうも、まだまだ腹に溜まったものがありそうな表情だったが」 卓に置かれたカップを指で撫ぜ、ルカへ視線を向けた
ルカティシア
「それは勿論。死別した相手とまた出会えたとして、まして言葉が交わせるなら、伝えたい事などいくつでも湧くでしょう?」
「私には貴女に伝えられずにいたままにしてしまった言葉がある。だから、余計にそう見えてしまうのかもしれません」
アマルガム
「それは否定しないが……返す言葉に困るな、それは」
ルカティシア
「何を。投げかけられて困らない言葉の方が、今の貴女には少ないでしょう」 くすくすと微笑むと、背凭れに緩く身体を預けた。
「話しておきたいんです。すべて終わった後にまた貴女に言えず終いになるのは、どうしても嫌で。……付き合ってくれますよね」
アマルガム
「ああ、構わない。聞くだけなら、少なくとも問題はないからな」 何を返せるかは、わからないが。目を伏せながらうなずく
ルカティシア
「ありがとうございます」 微笑むと、持ってきたそれを互いのグラスに注いでいく。
アマルガム
「数奇な再会に」 グラスを軽く持ち上げて、ルカの前に差し出して見せる
ルカティシア
「私にとっては、僥倖とも言えますが……、ええ」 こちらも合わせるようにグラスを持ち上げ、静かな部屋に小さくグラスが合わされる音がする。
グラスを合わせた後、一口含んでから唇を開く。
「……まず、私にとってのアマルガムの話をしましょうか」
アマルガム
「……」 打ち合わされたグラスを口元へ運び、唇を湿らせるように一口。
「……それが話したいこと、なのか?」 思ってもみなかった切り口に、思わず目を丸くする
ルカティシア
「そこを理解して貰わないと、何だか薄い話になってしまいそうで」
「言葉が強いかもしれませんが、前提から話さないと貴女の事ですから表面では聞き入れてくれていても、内面では……なんて事も起きないとは思えていないんですよ?」
アマルガム
「それなら構わないが……向かい合って自分のことを言われるとなると、少し座りが悪いな」
ルカティシア
「安心してください、この話の最後まで私が話すのは貴女の事だ」 
アマルガム
「どこに安心要素が……いや、あまり言うまい。聞こうと言ったんだ、存分に話してくれ」
ルカティシア
小さく微笑むと頷きを返し、改めて、と続けた。
「信じられないかもしれませんが、私にとって貴女は憧れている相手、だったんですよ」
アマルガム
「私は、憧れられるような人物ではないと思うのだが……そうなのか」
ルカティシア
「ええ。貴女は貴女の自覚以上に、私に……いえ、ルリにもリアレイラにも、クヴァレにも影響を与えているんです」
アマルガム
「誰しも、そこに居るだけで何らかの影響は与えているものではある。けれど、そんなにか?」
ルカティシア
「私にとってはより特別で、ルリやリアレイラの様に“アム”と愛称で呼ぼうとするのを躊躇ってしまう程度には」
「ええ。だって貴女の在り様は、私の求める理想に近かったから。静かで優しく、それでいて強い」
アマルガム
「そういえばそうだったな」
「強い、というのは理解できなくもない。しかし、優しいか?」
「そうあれ、とは心にあったが、他者から見たときにそれほど何か出来たかと問われれば――少し自信がないな」
ルカティシア
「優しくない者が、怒りもせずにルリとリアレイラの何でもない諍いの仲裁に何度も走れるとは思えませんよ?」
これは少し茶化した様子で言って。
「言ったでしょう。貴女は貴女の自覚以上に、他者に影響を与えている」
アマルガム
「あんな可愛らしい諍いがか? あんなのは本当の諍いではないよ」 その様子を思い出して、何とも言えない笑みになる
ルカティシア
「私は何度も繰り返す二人に正直怒っているくらいでしたよ。……、これは私が短気なだけかもしれませんが」 くすくすと微笑み。
アマルガム
「まあ、君は調和を大事にしていそうだから。ああも喧嘩されると目障りだったかもしれないな、確かに」
ルカティシア
頷きを返すと、肩に流れる髪をくるりと弄ぶ。
「ただ、貴女の自覚と自認はどうあれ、私の目にはそう映っていて」
「私は貴女の様な人間に、騎士になりたい、と。そう思っていた」 漸く吐き出せた言葉に小さく目を伏せ、短く息を吐く。
アマルガム
「……そうだったか」 グラスを手元で転がし、小さく頷く。
ルカティシア
「貴女は私にとっての理想で、憧れそのものだった。少しでも近付けたと思えた時には、私も皆と同じようにアムと呼ぼうと決めていたりして」
「……勝手な話でしょう? 生きている時には、何も伝えられなかったのに」
アマルガム
「いや。何もかも思った通りに生きて行けるなら、後悔という言葉は存在しない。ままならないからこそ、君は生きている」
ルカティシア
小さく頷きを返すと、もう一度グラスに口を付けてひとつふたつと嚥下する。
「……私にとってのアマルガムがどういうものだったかは、わかって貰えましたか? 認められるかは別として」
アマルガム
「他者像とはそういうものだ。……そこまで言われるほどの者でもないと私は言いたいのだが、君の中のそれまでケチをつけるのもおかしい話だからな」 こちらも頷いて返す
ルカティシア
自分ならこの問答、どう答えていたろう。きっと彼女の様には言えず、否定に走っていただろうなと、小さく苦笑を浮かべた。
「貴女が亡くなってから、やめたものが幾つかあります」
アマルガム
「やめたもの……?」
ルカティシア
「親しいと思っている者に、敬語を付けるのをやめました。それから、いつかを待つ事は、やめる事にしました」
「前者は、何のことかと思うかもしれませんが」
「私は、近しくなったルリやリアレイラには敬語を外す事もあったのですが、やはり憧れている貴女には同じようには出来なくて。……上手く説明できないのですが、私にとって、敬語を外す事は距離を縮める事でもあるので、その」
「…………」 言葉を切った。 「何となく、伝わりますか?」
アマルガム
「言いたいことは分からないでもない。親しい間柄だと認識しているが、親しい間柄とするのは自身の中で畏れがある……ということでおおよそ理解は間違っていないと思うが、どうだ」
ルカティシア
「はい。ただ、そういったものを気にする事をやめにしようと思って。……これは後者にも繋がりますが、いつかそれが出来ると思っている間に、機会を喪ってしまう事があるのだと、そう知れたので」
アマルガム
「そうだな。人は容易く死ぬ。今出来ることをやらないのは怠慢だ。しかし……後悔している君に言う話ではないが、決して間違った選択をしていたわけではないと言わせてくれ」
ルカティシア
小さく首肯を返し、続きを促す様にグラスに口を付けた。
アマルガム
「いつかを今にするということはとても良い心がけだ。けれど、君の心にあるそれは、私では想像もつかないほど大切なもので――重く、大切な物を生き急ぐように口にするものでは、きっとないんだ」
「いつかを待つんじゃなく、今しかないと走るでもない――ああ、今だと。思えたときに口にするべきものだと、私は思うよ」
ルカティシア
「……そうですね。急いてばかりいるのはきっと良くない。貴女の言う通り、見極める事が大事なのも間違いない」
「けれど、この言葉を言うのなら、きっと今だと思うんです。……貴女は私にとって、憧れで、目標で、理想で」
「私にとっての特別な相手なのだ、と。……落ち着いて話せる時間がきっともう長くないのなら、これはどうしても貴女に伝えておきたかった。あの遺跡で、貴女の真意を聞いてから」
俯いていた顔を上げてアマルガムに視線を合わせると、宣言する様に言葉にした。
アマルガム
「……そうか。いや、そのことは……何だ。何と返すべきか、言葉選びに困るな」
ルカティシア
「まだ時間はあるのでしょうし、困っていて構いませんよ。私達も沢山困ったんですから」 グラスを手に取り、すいっと口にして次を注ぐ
アマルガム
「そうではないと否定する気もないが、だからありがとうと返すのもどうもおかしい気がする」
ルカティシア
「ふふ。であれば、そうか、とだけ返せばよいのでは?」 苦笑して。
アマルガム
「それはそれで、真摯に伝えてくれた君を軽視しているように感じる」
ルカティシア
「そういう所が優しいと言うんですよ」
アマルガム
「人族の言う優しいは、よくわからんな」 お手上げとばかりに、自分のグラスにも次を注ぎ笑ってボヤいた
ルカティシア
「相手の事を慮ろうとする者をそうと言って、何故解らないのです」
アマルガム
「今のやり取りを、優しくしようという意図が全くないから――だろうな。思ったことを思った通りに答えただけだ。私が現時点で優しくしていると実感があるのは、クヴァレのことぐらいだぞ」
ルカティシア
「つまり貴女は無自覚に優しい、という事になりますね。自己評価よりも、アテになるとは思いませんか?」
アマルガム
「それはまた、暴論がすぎないか?」 口元にグラスを持って行ってから笑う
「だが、そうか。……特別だったか」 視線をゆっくりと、何もない白い水平線を映す窓へ向ける
ルカティシア
くすくすと微笑んでいたが、アマルガムが窓へと視線を向ければそれに合わせるように視線が窓を向く。
アマルガム
「君の、高評価だったアマルガムとやらはずいぶん評価を落としたと思うが……もう少し落とすような話をしようか」
ルカティシア
「……」 全く、と口元が緩む。評価を落としたのだとしたら、わざわざこんな話をしようと呼び付ける事もないだろうに。
「ええ、頼みます」
アマルガム
「私は、なんというか……生きていることに、理由がなかったんだ」 視線を外に向けたまま、独白のように言葉を紡ぐ
「心臓が動いているから生きていた。為すことがあったから為していた。すべきことを、すべきと断じてこなしてきた」
「ただ、恥じぬ道を。この忌まわしい名アマルガムが、墓石に刻まれることすら厭うことにならないようにと」
「だから……か。死んだとわかった時は、そうか、終わったか……そんな感想しかなかったんだ、私は」
ルカティシア
独白を耳にしながら、時折首肯を返す。言葉の端々に悲しそうに目を細めたが、窓を向くアマルガムがそれを気取れたかは定かではない。
アマルガム
「クヴァレにたたき起こされた時は、そうだな。永い仕事を終えてようやくふかふかのベッドで眠れると、そう思ったところで水をぶちまけてたたき起こされたような感覚だった」
「まだわたしアマルガムを続けろと言うのか――と」
ルカティシア
「……だから、あれだけ錯乱していたのですね」
アマルガム
「ああ。だから多分、寝ぼけた頭はあんな風に言ったんだ。特別をくれ。生きている意味をくれ……生き続ける理由をくれと」
「……そうだな。そういう言葉が言いたかった。しまったな、ルリとリアレイラを捕まえてきて、同じ話をしなければならないか?」 ようやく言葉に出来なかった感情が形になって、はっとする
ルカティシア
「……ルリを今起こすのは、やめてあげた方が。ただ、纏まったのなら後でお話をすべきだと思います」
アマルガム
「それは――そうだな。リアレイラなら喜々として聞いてくれそうだが、3回目はさすがに私が羞恥心でもう一度死ぬだろう」
ルカティシア
「ただ、アマルガム。貴女の言う生きている意味に、特別に、私達はなれなかったのでしょうか」
曖昧な頷きを返しながら、アマルガムにひとつ問う。
アマルガム
「その言葉は卑怯だぞルカ。さっきその……散々言わせただろう」 皆が集まった場での会話を思い返して、手を虚空でワタワタとさせながら返す
ルカティシア
「卑怯でも、何でも構わない。……なんて言っては、評価を落としてしまいますか?」
アマルガム
「私から評価を落とすことは――いや、そうではなくてな……」
「それこそ、卑怯な言い分だと思うが」 それでも言えと? と、ちょっとふてくされたように肘をついて視線を向けた
ルカティシア
「……」 今度はルカティシアが窓に視線を向け、暗い表情を浮かべたまま、こくりと頷きを返す。
アマルガム
「君でいう所の特別であれば、私にとって間違いなく君たちは特別だったよ。替えのきかない友だった」
「だが……だからこそかな。君たちはとても強くて。私が居なくても、大丈夫だと、そう思ってもいた……というのも、多分後付けか」 グラスを空にして
「単純に。――多分、私は誰かの特別になりたくて、わたしを求めてほしかったんだ。そして、肩を並べる親友ではあったけれど、私個人は求められていなかった。――と、少なくとも感じていたんだろうな、私は」
ルカティシア
「……だと言うのに、それは表に出さず、言葉にする事もなかったと」
アマルガム
「誰か私を欲してくれというのも変な話だし、生きているから生きていて、それ自体に強烈な不満もなかった。――死を乗り越えるほどの理由がなかっただけだよ、ルカ」
ルカティシア
「いえ、誰かの特別になりたいと思う気持ちはあれど、この相手の特別になりたいという気持ちはなかったのか、と思って」
「……死を乗り越えられるかは、私にも解りませんから。そこを責めようと思うつもりは、全くないんですよ」
アマルガム
「それに関しては、回答に困るな。誰でもよかった――とは断じて言わないが、ではだれがと問われても私の生まれが邪魔をする」
「そういうものを理解しようと思って、ルリの勧めで書籍も取ったが……どうにもな」
ルカティシア
「……、……」 小さく首肯すると、思案する様に窓の奥に広がる白の水平線を見遣る。
「もし、ですよ」
アマルガム
「……?」 思案するルカに首を傾げ、先を促す
ルカティシア
「もし、今の貴女の生が続くとして。貴女は私達のもとに戻ってきて、それでまた生きようと思えますか?」
アマルガム
「私の生がまだ続くなら、きっとまた同じように続けるのだろう。許されるなら、君たちの傍にもいるに違いない」
「しかし……」 己の胸に手を当てて
「黄泉帰りの穢れはどうにもできないし、なにより……私はおそらく、生が再開したわけではない」
「だから問うべきは生が続くとして、ではなく、生を続けるか? という問いかけが正しいのだろうな」
ルカティシア
「……では、それならばどうですか? 今のまま、これまでのまま、ただ生きられますか?」
アマルガム
「……」 葛藤するように口を閉ざす
ルカティシア
静かな時間の中で、ルカティシアは言葉を連ねずに返答を待っている。
アマルガム
「それを君に、或いは君たちに問い返すのは卑怯な行いで、かつ問えば是を暮れるだろうという事もわかっている」
「だが……私は生き続ける意思も、深い眠りに付きたいという願望も……どちらも、あまりに軽いんだ」
ルカティシア
こくり、と首肯を返して、アマルガムに視線を向ける。
アマルガム
「選び取るだけの感情が、私には持ちえない。だから、精一杯、誠意ある回答を選ぶとしたら、きっとそれは……何も選べない、だ」
ルカティシア
「私は今から、卑怯な行いをします。貴女の想いに付け込んだ、あまりに卑怯な行いを」
「ええ。貴女はきっと、選べない。ひとりでは、どこへも行けないのでしょうね」
「私は貴女に生きていて欲しい。ルリやリアレイラがそれを拒んだとしても、……事の発端が、どんなものであったとしても」
アマルガム
「……ルカ」 ゆるゆると、視線をルカへ向け
ルカティシア
じっと、毅然とした態度で視線を返す。
アマルガム
「君が……そう言うとは、思わなかった。君は、そういうものを嫌うだろう」
ルカティシア
「ええ。非道な行いをしていると、理解しています」
「私は生を続けさせる為に、貴女に付け込もうとしている。……ただ、そうするだけの責任は、この命を、魂を以て果たすつもりです」
アマルガム
「私に、君にそうさせるだけの何かを、見てくれていると? 君の願いに答えたら、私は文字通り生きた証になるんだ。君の非道だという行いの、証に」
ルカティシア
「言ったでしょう、アマルガム。貴女は私にとって、とうの昔に特別だ」
「ただ、その形が貴女が求めるものと違っただけで。……私が非道だと言っているのは、貴女が求めている特別と、私の抱いている特別が重なるまで、貴女に嘘を吐く事になるからです」
「その特別が重なるまでは、確かに貴女はその生きた証だ。……けれど、重なった後はそうではない。それでも、貴女が許してくれるのなら」
アマルガム
「……なんというか、そこまで懇切丁寧にしなくても、良いと思うぞ」 なんともいえない細かなところまで真っ直ぐと伝えてくるルカに、思わず場の空気に逆らって小さく笑ってしまった。
ルカティシア
「この手を――……、……」 取ってください、と続けようとして手を伸ばす。アマルガムの返答には薄く微笑んで、緩く頭を振る。
アマルガム
「非道には非道で返そう」 グラスを置き静かに立ち上がる
「ルカティシア。君が求めるなら、私は、君が求める私であろう。君の憧れを汚さぬよう、己のままに生きよう。君が――私を、ここに在れと願う限り、私は、わたしで在り続けることを誓う」
ルカティシア
宣誓を聞き届けると、小さく笑みを浮かべた後に立ち上がり、視線を確りと合わせる。
アマルガム
「君にそこまで言わせたからには、不貞腐れてもいられまい。この穢れた手を取ってくれ、ルカ。共に生きよう」 こちらから、力強く手を差し出す
ルカティシア
――彼女の求める特別と、自分が抱く特別の差は、自分が最も理解している。酷い事を、彼女にしているとも思う。
らしくないものだと、彼女に指摘されずとも自覚している。……けれど、その特別が重なるいつかを行儀よく待つだけではいられない。
もしももいつかももう要らない。求めるものは、自分達で手繰り寄せて行けばいい。
「ええ。……その誓い、確かに受け取りました」 差し出された手に、彼女のそれよりも少し小さい自身の手を重ねて握る。
アマルガム
――ああ。少なくとも、後悔させはしない」
ルカティシア
「勿論。私も、貴女に後悔のひとつもさせませんよ」
アマルガム
「楽しみにしておこう」 その手を優しく握り返して、頷いた。
ルカティシア
「……ではまずは、無事に帰る所から頑張りましょう」
アマルガム
「……早速前途は多難だな」 握った手を放し、気軽い友にするように、パン、と手と手を打ち合わせて笑った。
ルカティシア
「私達だけではないのですから、どうとでもしてみせましょう」 その様子に笑みを深めて。
「だからしっかりついて来てね、アム
アマルガム
「勿論。――よろしく頼む、ルカ」
背景
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