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アムを想って

20230521_1

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ルリが入室しました
 
 
 
 
 
 
 
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BGMを変更 by ルリ
イルシオンの晩餐100%
 
リアン地方 イルスファール王国 星の標
此処は国内でも有数の冒険者ギルド支店としてその名を輝かしいものとしている
数多くの冒険者を取り揃え 高い依頼達成率を誇り 組織、個人を問わず依頼が舞い込んでくる
その1階部分は酒場になっていて 深夜の時間帯
客はもう居ない 店も夜番の店員が居るだけだ
そこに静かに扉を開けて入ってくるものがいた
ルリ
その少女は桃色の髪に青い瞳 桃色のジャケットに黒いインナー、ミニスカートで 手には酒瓶を持っていた
夜番の店員が腰を浮かしかけたのを見て 手で制して 「借りるわね」 と一言言ってカウンターへつく
カウンター席へ着く いつも、彼女が座っていた席に酒瓶の頭に重ねていたグラスを置くと もう一つを自分の前に置いて
「………お疲れ様」 寂しさを滲ませた声音で 蒸留酒を注いだ
返答は勿論ない でもこんな時 『そんなに強くないのだから、程々にしてくれ』と、彼女は言いそうだった
自分のグラスにも蒸留酒を注ぐと 一口舐める
「あんたの席ってわけじゃないけど、あんたいつも此処に座ってたからね」
誰ともなく、そうひとりごちる
「思えば結構濃ゆい付き合いしてたわね、あたし達」
その席に居ない少女に声をかけるように 独り言は続く
「遺跡もいくつも潜ったし、蛮族とも戦ったし、あたし、あんたの真面目なところ好きだったわ」
少女が『私が真面目なら、世の中の人はだいたい真面目だな』と返してきそうで わずかに苦笑した それか 『おいおい、急に告白か?』と笑って返しただろうか
「律儀で、規律に縛られてて、」 グラスの縁を指でなぞって 「ミノタウロスっぽいところは角くらいだったわね、あんた」
「娯楽小説を勧めたのに、まるでわからんみたいなこと言ってんのもね、笑った」
なぞるのをやめて、また一口舐める
「もっといろんなところに行けるって思ってた。それこそお互い男が出来たりしてさ、からかってやろうと思ったのにあんた、」
「死んじゃうんだもんな……」
声に湿り気が帯びる はー、と目元を手で覆って息をついて
「友達、目の前で死んだのは初めてよ」
「初めての人になっちゃったじゃない。どうしてくれんのよ。一生もんよ、この傷」
苦笑を含めながら、独り言は続く
「こうやって、だらだら酒も飲みたかったな……あんた神殿の門限あったしさ」
「………、結構ね、しんどいのよ。居なくなるって」
「慣れていくのかな………慣れたら、あんたのこと、思い出せなくなるのかな」
「それとも、誰か死ぬ度に……あんたを思い出すのかしら」
返答はない。勿論
「化けてでてもいいのよ。あんただったら許してやるわ。神殿には黙ってさ」
「まあ、」
「あんたがそうならないのも、よく分かってる。分かってんのよ」
また一口舐めて グラスに半分ほど蒸留酒を注ぎ直す
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が入室しました
ルリ
「………、」 胸元から箱を取り出す そこには紙巻き煙草が入っていて それを一本取り出してみる
「父さんが吸ってたけど、どうしようもならないものを飲み込むためだったのかしらね」 小さく加えて
火種を使って着火する
――火を灯して、煙がひとつ天井へと消えていけば、
ルリ
ひとつ吸って 「……けほけほ」 むせる
上階から、みし、みし、と音が響いて来る。足音にしてはいやに小さく、化けて出るにはいやに大きいそれは、
ゆっくりと、ゆっくりと1階へと下っている様だった。
ルリ
「やっぱり慣れてないとどうにもならないわね‥…」 今度はゆっくり吸ってみて やっと様になる
こんな時間に誰だろう、と 階段の方に身体を向ける
みし、みし。――すとん、と一つ音がして。上階に伸びる手すりに、白い指先が添えられた。
ルリ
ゆっくりと吸って 吐く 少し気分が楽になった気がする 灰皿を手繰り寄せて そこに灰を落とす
霊の様に白いなんて事はない。血色のいい、白くとも健康体だと思えるその手に遅れて橙の髪が流れて来ながら、手すりを滑って少女が階段を下って来る。
ルカティシア
橙の髪は確りと手入れが施されていて、纏っている寝巻は確りと胸元が留められている。
ルリ
「なんだ、ルカか」 苦笑して、煙を吐く 先程よりもうまくなった
ルカティシア
表情こそ変わらないものの、目元には泣き腫らした赤い痕が色濃く残っている。
足取りはどこか覚束ない様子で、意図してはいないのだろうが、ふらりとそのままどこかに消えてしまいそうだった。
ルリ
「ルカ」 もう一度声をかける
ルカティシア
「……ルリ」 名を呼ばれれば、はっと小さく反応する。階段を下りる途中で足を止めて、視線を落とした。
ルリ
「酷い顔ね、あんたも眠れないみたいね」
手招きして
ルカティシア
かち、とスイッチが入った様に、ルカの様子は変わった。ルリを認めるなり再び動き出した足は小気味良く階段を下って行って、
その手招きに応じる様に、彼女がついている席へと向かって腰を下ろす
ルリ
「あっと、こっちねこっち」 左側の席を示して 「そこはアムがよく座ってたから」 と自分の右手側の席を示す
煙草を灰皿に押し付けて消す
ルカティシア
「……そうですね、私も、どうにも」 普段通りの声色で応え、確りとした足取りでそちらへ座る。
「大丈夫ですよ、気にしませんから」 
ルリ
「いいのよ。一本で十分」
ルカティシア
「……であれば」 控えめに頷くと、小さく店員に視線を向けて エールを、と小さく頼んだ。
ルリ
こう
|_____|
○○○○○○○ 
こういう感じで席が並んでるイメージだけど
あ、ごめんカウンターだったな
ルリ
|_____|
○○□☆●○○ こういう位置関係にいるかなって
はーい
ルリ
「もう営業時間外だからこっちにしなさい」 グラスだけ勝手に借りて 持ってきていた蒸留酒をルカに注ぐ
ルカティシア
「ありがとう、……頂きます」 頭を下げながら、差し出されたそれに手を伸ばし
ルリ
「ずっと泣いてたなら、水のほうがいいかもしれないけど、まずは一杯どうぞ」
「ううん。こっちこそありがとう」
「名前呼んでくれて。おかげで助かったわ」
ルカティシア
「痕、残っていましたか」 目元に触れて、どこか諦めた様に。
ルリ
「そりゃもう、ファロが見たら大慌てになるくらいには腫れてるわ」
ルカティシア
「普段して貰っている事を、返しただけですよ。……、誇張していませんか?」 困った様に微笑んで、グラスをルリのそれと合わせるように下から持って行く。
ルリ
こつ、とグラスをあてて
「誇張だったら良かったわね」
ルカティシア
小さく乾杯、と呟いて、グラスを薄い唇へと運んで それを一息に煽る。
ルリ
「アムに」
そう告げて 一口舐める
ルカティシア
乾いた喉を酒で灼く。もっと大事に頂くべきだろう、という理性は、すぐにその熱に浮かされて溶けていった。
ルリ
「一気に行くもんじゃないわ。結構強かったでしょう……」 心配そうにルカを眺めて
ルカティシア
「……大丈夫」 では、ない。ではないが、大丈夫ではないのは、酒を飲む前からずっとそうだ。
ルリ
「ならいいけど」 と再びルカのグラスに注いで
ルカティシア
だから、涙が込み上げて来るのも、背が震えてしまうのも、この酒のせいではない。再び注がれる音に小さく頭を下げながら、
「アマルガム、に?」
ルリ
「……アムって呼んでやりなさいよ」
「献杯ってやつよ」
ルカティシア
「厳しいですね、ルリは」 小さく笑みながら、頷いて 注がれた二杯目を手にしながら、消え入りそうな声で、アム、と口から零した。
ルリ
「そりゃ、」
「本人が嫌がってからね」
「その辺りも親近感あったわよ」
ルカティシア
「……良い、友でした」
ルリ
「そうね。」
「過去形で語るのが惜しいくらいに」
ルカティシア
「憧れも、近かったかもしれません」
ルリ
「憧れ?」
一口グラスを舐めて
ルカティシア
「ええ。私は、彼女の様に大きく、強く、優しくなりたかった」
「……過去形では、いけませんね」 「なりたいと、思っています」
ルリ
「良いわ、今日くらい」
「思い出話でね」
ルカティシア
首肯を返すと、再び口を開く。
「そう言っても、彼女はきっと困った様な顔をするのでしょうけど」
ルリ
「『憧れられるような人ではないんだがな』って返すかしらね」
「だからなの?」
「アムって呼んでなかったのって」
ルカティシア
「きっと」 首肯を返すと、グラスを指で撫でて、続いたルリの言葉に視線を向けた。
「ええ。ルリ達に憧れを抱いていないのか、というとそれは違いますが、」
ルリ
「まあ、あたしは、言わなかったしね、名前」
ルカティシア
「……そう呼ぶのは、彼女を友と呼ぶ時に憧れが先に立っていたからだと思うのです」
「そう言っても、彼女はきっと困った様な顔をするのでしょうけど。……『君に憧れられるほど、出来た生き方はしていないのだが』、なんて」
ルリ
「そうね、言いそう」 苦笑して
「もっと他の対象が居るだろうってね」
ルカティシア
「本当に、」 右手の甲で瞳を拭う。 「あなたほど出来た人が、どれだけいるのかと、私は、……今でも、言いたい」 
ルリ
「……」 背中を擦ってやりつつ
ルカティシア
触れた背中はひとつふたつと跳ねて、ゆっくりと落ち着きを取り戻して行く。
ルリ
「ほら、吐いちゃいなさい。聞かなかったことにしてやるから」
ルカティシア
「それはいけません。ルリだって、吐き出したいものはあるのでしょう」
「……だから、お互いに。ね」
ルリ
「…‥馬鹿ね」
「そんな顔してるやつに吐けるかっての」
「あんたが先よ」
ルカティシア
「……強情」 ふふ、と柔らかく微笑んで 
ルリ
「あんたが言うな」
ルカティシア
笑みがゆっくりと解けると、すう、と息を抜いて グラスを傾けて一口。
「もっと、……もっと、伝えておけば、よかった」
ルリ
背中を擦ってやって
ルカティシア
「愛称も、この憧れも、……あの旅行の、“次”の、事だって……行っておけば、よかった」
ルリ
「……そうね」
ルカティシア
「どうして、……当たり前にあったものが、これからも当たり前であり続けるなんて思っていたんだろう、って」
「……そんな事は無いと、私は身を以て知っていた筈なのに」
ルリ
「……そうなのよね」
ルカティシア
震える肩をゆっくりとルリの肩に預け、ぐっとグラスを持つ手に込める力が強まる。
ルリ
「……あたし達がしてる仕事って、そういうものよね」
支えてやって 肩に預けられた頭に手が伸びて、撫でる
ルカティシア
小さく頷くと、少しの間そのままでいて また口を開く
「こうやって後悔する事も、泣いてしまう事も、アムはきっと良しとしない。困らせてしまうって、解っているのに……駄目ですね」
ルリ
「困らせちゃえばいいのよ」
「あんたが居ないだけでこんだけ悲しむ人がいるって、思い知らせてやればいいわ」
「だから駄目って思わないことね。気が済むまで泣けば良いじゃない」
ルカティシア
「……うん。私はまだ、アムを困らせてしまいそうです」 
ゆっくりとルリの手から離れて グラスを一口――ではなく、そのまますべて流し込む。
ルリ
「……」 自分のグラスに注いで
ルカティシア
ぷは、とゆっくりと唇を放して 空になったグラスを掲げ、反射した輝きをヘーゼルに灯す。
「こうしてもまだまだ堪りませんよ、アム。……ねえ、一生かかっても、私はあなたの事を忘れないと思うんです」
「それほどにあなたは大切な友であり、偉大な仲間だった。……聞いていますか?」
ルリ
「……」 グラスを傾ける
ルカティシア
「……、メアリとエディテに、宜しく頼みますね」
ルリ
「案外、もう乗ってたりしてね」
ルカティシア
「見過ごすとは思えませんよ、ね」 微笑んで、涙を拭って。
ルリ
「ほら、もう一杯いく?これで最後よ」
瓶を軽く振って見せて
ルカティシア
「……たくさん頂き過ぎましたね。ルリの分は平気ですか?」
ルリ
「いいのよ」 「アムのを貰うから」
ルカティシア
ふふ、と微笑んで、では、と頷いた。
ルリ
隣の空席からグラスを取ると 
瓶の中の酒をすべてルカのグラスに注ぐ
ルカティシア
「もう、“次”があるなんて思いません。伝えたい思いを秘めたりもしません。……後悔の無い生き方を、教わりましたから」
注がれたグラスに触れて、それを持ち上げる。
ルリ
「改めて、アムに」
「あたし達の親友に」
ルカの掲げたグラスにこつ、とぶつけて
ルカティシア
頷くと、ルリのグラスと合わせると、静かにそれを口にした。
ルリ
グラスを傾けて
ルカティシア
「……、」 ほう、と息を抜いた頃には、その涙の痕は残っているが、流れるものはなくて
「……さあ、ルリの番です」 力強い瞳が、ルリを見遣った。
ルリ
「ふふ、いっぱいあるわよ」
「でも、あたしは後悔とかじゃないわ。だから思い出話」
ルカティシア
頷くと、静かに彼女の瞳を覗きながら言葉を待つ。
ルリ
「あの子ね、」
「聖典以外読んだことがあまりなかったみたいなのよ」
「だから娯楽小説を勧めたの。そしたらなんて言ったと思う?」
「情動が働く部分が理解できないって言ったのよ」 ふふ、と笑って
ルカティシア
「娯楽小説……」 そういえば、あの依頼を請けた日、何か手に持っていたか。
「難しく考え込み過ぎていたんですか、まさか」
ルリ
「そんな感じだったわ」
「騎士と姫の話だって」
ルカティシア
「……王道じゃないですか」
ルリ
「分からないものはわからないかもしれないわねぇ」
「結局体験や概念とかの理解は個人差あるもの」
ルカティシア
「その話であれば、私に聴いてくれたら良かったのに」 熱く語れたと思います、と困った様に微笑んでみせて。
ルリ
「そうね。それが良かったかもしれないわ」
「後は他愛もない軽口の応酬が多かったかしらね。良いツッコミ役だったわ」
ルカティシア
「そうですね、……ルリとリアレイラは、私では止まってくれませんでしたから」 くすくすと微笑んだ。
ルリ
「そんなところね」
「もっと馬鹿な話して、男が出来たらからかって、そういう話がしたかった」
ルカティシア
「……アムが選ぶ男性は、どんな方だったでしょうね」
ルリ
「そうねぇ」
「アムより馬鹿真面目か、優しい男か、悪いやつには引っかからなさそうよね」
ルカティシア
「鍛え上げてしまうでしょうしね、引っかかったとしても」
「……、……」 くい、とグラスを傾けて。
「見てみたかった、ですね」
ルリ
「……そうね」
ルカティシア
短いペースで呑み進めた影響か、赤らんだ頬をしながら ルリの瞳を覗き込む
ルリ
「あんたは」
「死なないでよ、ルカ」
「あんたの男が見つかったらあんたを死ぬほどからかうって決めてんだから」
ルカティシア
「勿論。私にはまだ、したい事がありますから。……ねえ、ルリ」
「あなたは、あれからちゃんと泣きましたか」
ルリ
「………思ったより、あたしは薄情みたいでね」
「でてこないのよ、遺体を前にした後からずっと」
ルカティシア
じ、っとルリの瞳を見つめ続ける。
ルリ
「……なによ」 
ルカティシア
「グラスを」 自分が先にカウンターへと置いて ルリのそれを示す
ルリ
こと、と空になったグラスを置いて
ルカティシア
グラスが置かれれば、ぐいと両手を広げてそれを彼女へと回して 胸に顔を埋めさせるように、ぎゅっと抱き寄せる
「あの時、」
ルリ
「ちょ、ちょっと……」
ルカティシア
「私よりも早く、アムの為に怒った貴女が薄情だなんて」
「そんな訳、ないでしょう」 ぐい、とより力を強めて抱き竦める
ルリ
「…………、」 柔らかに包み込まれれば 肩を震わせて
ルカティシア
「……ふたりだけの秘密です。他には、誰にも見えないし、聞こえません」
ルリ
「………ふ、‥…う……」 小さく嗚咽を漏らして
「ううう………うぅ……く……ぅうう……」
ルカティシア
「……大丈夫だから、……ね」 騙る言葉も震え始め、柔く背を撫でていた手も震え始める。
ルリ
堰を切ったように 涙が流れ出す
「アム……アムぅ……‥」
ルカティシア
震えも嗚咽も、それがどちらのものかもわからない程、静かな夜に消えて行く。
ルリ
「なんで死んじゃったのよ………まだやりたいことも話したいこともいっぱいあったのに……」
「なんであんたが先に……いっちゃったのよ……おかしいでしょ……なんでよ……」
ルカティシア
「……ぅ、ん、……うん……」
ルリ
「なんでよぉ……なんであたしこんなに……かっこわるいの‥…」
「アム……アムぅ……っ」
「あたしがもう少し……力があったら……、あいつら蹴散らせてたら」
「………く‥・ぅう……」
「………、死んだことを知らせる相手も神殿以外にいないのよ、あの子……」
「家族作れてなかったのよ………一人で此処に来て、一人で死んで……」
「それで終わっちゃった、あんまりじゃない。なんであんたが…死ん……死んでっ」
ルカティシア
「……、……で、も」
ルリ
「………あたし達、生きて……アム…ごめんね、アム‥…」
ルカティシア
「ひとりじゃ、……ない。ちがうよ、ルリ……それは、ちがう」
ルリ
「あたし、あの子の誕生日も知らないのよ……」
ルカティシア
「それでも、……知らない事が、沢山あっても」
「でも、ひとりじゃなかった……私達、一緒だった、もの」 
ルリ
「……ふ、う……うぅ……うぁああ……うぁあああああ」
ルカティシア
「だから、こんなに、……苦しいん、だよ……」 嗚咽を漏らしながら、何とかそれを絞り出して
ぎゅっと抱き寄せた身体を包む様に、自分の身体を丸めた。
ルリ
「……ひっ…‥ぅ……ひっく……うう……」
姉に甘える妹のように 母に甘える娘のように ルリは泣きじゃくって
ルカティシア
「……ぅ、……あう、……」 何とか自身の呼吸を落ち着けながら、抱き寄せたルリの背を緩く叩いて
ルリ
青い目を赤くしながら 顔を上げて
「……‥汚して…ごめんね……」
しばらくしてから身体を離す
ルカティシア
「……ううん。……ねえ、ルリ」
ルリ
「…なに?」
ルカティシア
「……狭いと、思うんだけど。今日、一緒に寝てくれない、かな。……1人だと、眠れなくて」 
ルリ
「良いわ…これから帰るの、億劫だし」
目元を擦って
ルカティシア
「……ありがとう、……」 言葉を切って 小さく唸った後、先程の言葉を思い出して、再び開く 
「……もう、ルリに敬語、つけなくて、いい、かな」
ルリ
「勿論よ、ルカ」 にっ、と笑って
ルカティシア
「クヴァレにも、……リアレイラにも」 くし、と手首で目元を拭って。
「……うん。……じゃあ、休もうか」
ルリ
席を立ち上がって グラスを瓶の上に重ねて
「またね、アム」
ルカティシア
「……また。今度は、もっと一緒にいましょうね」 つい、とそれを撫で、指を放した。
ルリ
ルカに続くように2階に上がっていく
ルカティシア
深夜、部屋へと2人で戻って
ひとり用のものであった為、手狭ではあったものの その夜を過ごす事になる。
眠る前、特にルカティシアが眠りに落ちる前が一番饒舌だったのは、意識を手放す事に抵抗があったから、なのだろう。
――翌日。ふたりの目元には泣き腫らした跡はなかった、かもしれない。

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