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- ウィスタリアが入室しました
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- エスメラルダが入室しました
- ウィスタリア
- では始めましょう
- よろしくお願いします
- エスメラルダ
- よろしくお願いします。
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- リアン地方 イルスファール王国王都イルスファール
- 多数の人口を備えたこの都市は、様々なインフラが整っている
- 上下水道、魔動灯、道路に商店、公園なども揃っている
- 公園と一口に言っても大小様々だが、その中でも最たるものは
- アステリア神殿の自然公園だろう
- 数々の草花を取り揃え、整えられた公園は、人々の憩いの場になっている
- フリスビーで遊ぶ親子、犬と一緒に走り回る子供 ベンチで談笑する母親たち
- そうした明るい空気も、夕方頃になると収まってくる
- 夕日が穏やかに涼やかな空気を運んでくる頃、1人の少女が公園に足を踏み入れる
- どこか逃げるような、どこか隠れるような 自らの行いに悔いや怯えのあるものが取る行動を、少女は歩く様子に見せていた
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- 少女に気がつくものは少なかったが、一人の青年がそれを見つけて呼びかける
- 少女は、顔見知りと言うにはお互いに知りすぎている青年を見ると 少し怯えた反応を見せた後に挨拶をして
- 気にかけてくれた彼の同道を許可して、目的の場所へと進む
- そこは、藤の花で彩られた東屋で、ベンチと椅子が休憩スペースとして用意されていた
- 少女は青年に席を勧めると 顔を見ないようにして対面の席について 1つ息をついた
- ウィスタリア
- こんな感じでどうでしょうか
- エスメラルダ
- ありがとう。
- エスメラルダ
- 青年は首肯を返しながら、ゆっくりと椅子へと腰を下ろした。
黒の髪や穏やかな翡翠の瞳、痩身に見えるものの確りと必要なだけ鍛えられた長身も、少女のよく知る彼だ。
- ウィスタリア
- 「………、」 少し気まずそうに、視線を下げて ブラウスに若草色のスカートと言った出で立ちの少女は沈黙した
- エスメラルダ
- しかし、彼女が知らない、見慣れない傷痕が一つだけ存在する。額に交差する様に深く付けられたそれは、隠される事も無く晒されていた。
- 気にする素振りも、治療中である様子もない。既に痛みもなさそうで、気にしてもいないのだろう。
- 「……良い場所だな。藤の花も、良く見える」 気まずそうにする少女を見ながら、ゆっくりと口を開いて言葉にした。
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- ウィスタリア
- 「……以前から、たまに来ている場所なんです。エリカさんとお話したり……」
- 「藤の花は……見ていると、とても落ち着くので」
- ゆっくりと返す言葉。淡々とした様子で会話をこなすいつもの彼女からすれば、やはりどこか言い募ると言うか、言い訳するような形での言葉選びをしているように感じる
- エスメラルダ
- 「そうか。気分転換には、丁度良いな」 藤の花が彼女にとってどういうものかは、考えるまでもなかった。
- どこか暗い少女の言葉とは対照的に、青年の言葉は普段通りだった。返答の際、僅かばかり目を細めたのは彼女の機微を察してからだったろう。
- ウィスタリア
- 「……、」 膝の上で拳を作って、解いてを繰り返して
- 「……、」 切り出す言葉を持たない少女は、顔を上げられない
- エスメラルダ
- 柔らかく頬と髪を撫ぜる風に身を委ねながら、翡翠が少女を見遣る。
- 「ウィスタリア」
- ウィスタリア
- 「………、」 びくっと、肩が震える
- 「……はい」
- エスメラルダ
- 「そのままでいい。聴いてくれ」
- ウィスタリア
- 「………」 上目がちにエスメラルダを見つめて 小さく頷いた
- エスメラルダ
- 視線を上げれば、見知った瞳がそこに在った。穏やかなそれは、視線が合えば柔らかく笑む。
- ウィスタリア
- 少し瞳が震える。感情が希薄な彼女が恐れを感じている様子で青年を見つめている
- エスメラルダ
- 「あの日に……、ロキを斬る事ばかりに囚われていた俺に言った言葉を、覚えているか」
- 「食事をしていた時だった。皆に声をかけて貰っていたのに、俺は全く聞く耳を持っていなくて」
- ウィスタリア
- 「………手紙の返事を、したときのことでしょうか」
- エスメラルダ
- 「ああ。皆をウィスタリアに殺させたロキを憎み、彼を斬る事しか考えず、誰の目を見る事も出来なかった俺に、贈ってくれただろう」
- ウィスタリア
- 「………はい」 弱々しい返事とともに 視線は下に下げられる
- エスメラルダ
- 下げられた視線を追わず、そんな彼女の様子を見守る。
- 「“あなたも、生きてください”。……そう言ってくれたろう」
- ウィスタリア
- 「………………はい」 声は、返事は小さくなる
- エスメラルダ
- 「あの時は、受け取ったと言ったけれど。改めて、返事をさせて欲しいんだ」
- ウィスタリア
- 「………お返事、ですか?」 少しだけ声に不思議がるものが混ざる
- エスメラルダ
- 首肯を返すと、一度言葉を切って 瞳を伏せると、思い返す様に言葉を連ねていく。
- 「あれから暫く、ウィスタリアと連絡員として過ごしていたな。往復は決して楽なものではなかったし、届ける手紙も、決して良い連絡ばかりでもなかった」
- 「受け取って、届けて。また受け取って届けて――その長い間、一緒にいた」
- ウィスタリア
- 思い出す日々。アナスタシスとイルスファールを結ぶための仕事の数数
- エスメラルダ
- 「色んな配達をした。道中で兵士を助ける事も、助けられる事もあったな。……気の抜ける話も、肝が冷える話も、いくつもある」
- ウィスタリア
- ある時は不幸の知らせを、ある時は将来を繋げるための書類を、それぞれ配ってあるいた
- バイクの補剤を分けてもらったり、速達を依頼されたり、野営中に蛮族かと思ったら流れ者だったり、その逆だったり
- エスメラルダ
- 「後は、カストレの者達の顔を覚えたり、覚えられたり。……色んな事があったろう」
- ウィスタリア
- それぞれの組合の長の顔、睨みつけてくる子どもたち、苦笑交じりの青年たち それぞれを思い出す
- 「………はい」
- エスメラルダ
- 「気が付いたら、俺はすっかりウィスタリアといる事が当たり前になっていたんだ」
- 「……それに気づいたのは、B-4に襲撃され、ウィスタリアが連れ去られた後だったけれど」
- 気付くのがいつも遅いな、と小さく苦笑する。机の下で静かに握った拳には、僅かに後悔があった。
- ウィスタリア
- 「……」 怯えた様子は少しずつ引いていって 顔はわずかにだが上がる
- エスメラルダ
- 「なあ、ウィスタリア。……俺にとって、」
- ウィスタリア
- B-4、そのフレーズが出ると、その僅かに上がった顔も上がった分を差し引いても下がったが
- エスメラルダ
- 「“生きる”事、というのはきっと、……もう、ただひとりで生きるだけでは、足りていないんだと思う」
- 「……」 続く言葉が上手く吐き出せないのか、少し時間を置いて。
- ウィスタリア
- 「………、」 その1人では足りないものを、いくつ奪ったのだろう
- エスメラルダ
- 少女が葛藤する中、改めて言葉が紡がれる。数えきれない程奪い去ったものが、向けられていく。
- 「俺にとって生きる事は、皆と……、いや。ウィスタリアと生きる事、なんだと思う」
- 「後ろ向きにはならずに前を向いて進む事が出来るのは、1人ではないからだ、と思うんだ」
- 言葉にしてから、少し間を置いて。
- それまでの柔らかさとは違う、慈しむ様な声が聞こえて来る。
- 「……今、ウィスタリアが後ろを向いている事は、わかっているつもりだ」
- 「だから、……あの時の返事をしたい。前を向いて、進んで、そして生きてくれと、俺に願ってくれたウィスタリアに」
- ウィスタリア
- 「………願っていいものだったのでしょうか」
- 「………私が誰かに……それを願っても良かったのでしょうか」
- エスメラルダ
- 「願う事すら許されない者なんていないさ。それを許さない者がいるのなら、」
- 「それは他の誰でもない、ウィスタリア自身だ、と思う」
- 「……自分は、そんなものを願う事は許されない。そう思っているのか?」
- ウィスタリア
- 「………、」 沈黙を少女は返した
- エスメラルダ
- その沈黙に小さく息を零すと、椅子から立ち上がる。
- 一歩、二歩と進んでウィスタリアの傍へと歩いて行くと、膝の上で握ったままの彼女の手を柔く取った。
- ウィスタリア
- 「………」 その手は小刻みに震えていて とても冷たかった
- エスメラルダ
- 彼女の手と比べて大きな、それでいて暖かな手がそれを包む。
- 「誰が許さなくとも、……例えウィスタリア自身が、それを許さなかったとしても」
- 「俺は、あの願いに救われた」
- 「前を向いて、また進み出す事が出来た。背を向けて、生きる事を、生きようとする事を棄てようとしていた所から、抜け出す事が出来た」
- 「もう一度、生きる事と向き合えた」 握る手に込める力を僅かに強めながら、ウィスタリアの瞳を覗き込む。
- ウィスタリア
- 「…………」 暗く沈んだ青い瞳が翡翠色を映す
- エスメラルダ
- 「だから俺は、誰が何を言おうと、何度でも言い続ける。……願って良い。祈って良い」
- 「生きて、幸せになって良いんだ、ウィスタリア」
- ウィスタリア
- 「………、」 肩が震えて 瞳が滲む 雫が頬を伝って 握られている手の上に落ちる
- 雫はその密度をまして スカートとブラウス、そして手と頬を汚していく
- 静かに静かに嗚咽を漏らして 肩を震わせる
- エスメラルダ
- 取った手を引いて、もう片方の手を背に回して腕の中に抱き留めると、
- 落ち着かせる様に、背を柔く叩く。
- 「ウィスタリア。……俺と、生きて欲しい」
- ウィスタリア
- 「………、………、良いのでしょうか」
- 「貴方と、姉さんと、カグラと、ヘーレムやヴィクトールさんと……これまで通りで……いきていて、良いのでしょうか」
- 「母からの手紙を読んだ時、父にこうしてもらった時、博士に笑ってもらえた時、マグノリア達といた時……、私は確かにいきていました」
- 「でもそれ以上に…………私は………どうすればいいのか、分からなくて……」
- エスメラルダ
- ゆっくりと身体を放すと、肩に触れながら視線を合わせる。
- 「……どうすればいいか、じゃなくていい」
- 「ウィスタリアが、どうしたいか、だ。……それを許さない者がいたとしても、気にするな」
- ウィスタリア
- 「……まだ……分からなくて……」
- 「………ごめんなさい」
- エスメラルダ
- 「いいや、謝る事じゃない」 ゆっくりと頭を振って。
- 「その答えが見つかった時に、教えてくれたらいいんだ」 ゆっくりと手を放すと、彼女の涙を拭う。
- 「……すまない。混乱させてしまったな」
- ウィスタリア
- 「………、いえ……ありがとう、ございます」
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- ウィスタリアが落ち着いてから、エスメラルダが対面の席に戻って
- 2人で暫く過ごすと、星の標に帰ることになる
- 怯えたような様子はなく、目は涙のせいで腫れていたが、普段とあまり変わらない様子でウィスタリアは歩く
- きっと、水瓶から溢れる水のように感情が高まると、そうなってしまうのは避けられないとしても
- 少女は青年と一緒に進んでいく
- ウィスタリア
- ではお疲れ様でした
- エスメラルダ
- はーい、お疲れ様でした。
- ウィスタリア
- 20230428_0 本日のログです
- エスメラルダ
- ありがとう。それでは撤退しまーす
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- エスメラルダが退室しました