このログにはBGMが含まれています。
音量設定をONにしますか?
(後からでもメニューから設定変更できます)

翡翠残照 その後

20230226_0

!SYSTEM
ディスノミアが入室しました
!SYSTEM
フェリシアが入室しました
ディスノミア
ふう。おまたせしました。
場所は何処がいいですか? 星の標でもいいですし、別の場所で偶然遭遇した、でも構いませんよ。
フェリシア
おかえりなさい
偶然遭遇でもいいですね
私は探していると思う…ので
ディスノミア
ふむ。では私が王都を歩いている所を発見されて呼び止められるというような形でしょうか
フェリシア
そうしましょうか
ディスノミア
では最初は受け持ちますね。
よろしくお願いします。
フェリシア
お願いします
よろしくお願いします
 
 
――リアン地方でも有数の冒険者の店を複数抱えるイルスファール王国の王都。日中は街全体が、夜間であっても歓楽街を中心とした一部の地域は大きな賑わいを見せている。
眠らない街というのは少々言い過ぎだろうが、歓楽街には夜間でも多くの飯店が灯りを灯し、また街頭には娼婦たちが立ち、遺跡ギルド員を始めとして、情報を探る者、監視する者など、様々な者たちが集っている。
フェリシアが“彼女”の姿を見掛けたのは、ある日の夜の歓楽街でのことだ。
彼女――ディスノミアは元々、夜間でもふらりと街を出歩くことが多かった人物で、
彼女を探し始めてから、恐らくフェリシアは何度かすでにここへ足を運んでいたことだろう。
何度目かの今日、ようやくその成果が得られた。ディスノミアらしき人物が、視界の端――人混みの中を歩き、君とは反対方向に遠ざかっていこうとしている。
ディスノミア
というところから参りましょう
フェリシア
客引き、酔っぱらいからの絡まれ、ナンパなどを一通り経験しつつ この場所にも慣れてきた頃合い
「………あっ」 彼女を視界の端に映して それを追いかける
ディスノミア
目的の人物は、それほど背が高くない。灯りがあるとはいえ、暗い夜だ。人混みにまぎれてしまえば、容易に見失ってしまいかねない。
フェリシア
人をかいくぐって 追いかけて、追いかけて 「………ディスノミアっ」
ディスノミア
幾人もの肩越しに投げられた声に、ふと足を止めて振り返る。顔にはいつもの笑みではなく、少し意外そうな表情を浮かべている。
フェリシア
「…………、やっと、見つけました」
ディスノミア
「おかしなことを言うのですね。私から離れていったのは、貴女だったと記憶していますが」
フェリシア
「……仰るとおりです」 頷いて 「ですが、お話があります」
「どこか、落ち着ける場所でお時間を頂けませんか」
ディスノミア
何処か決然とした表情を見ると少し目を細める。 「構いませんよ。この時間では、落ち着いて話せる店というのは、かなり限られてしまいそうですが。人に聞かれたくない話であれば、公園にでも行きますか?」
フェリシア
「そうしましょう」
ディスノミア
「では、こちらへ」
そうして案内するのは、歓楽街を抜けた先にあるアステリア神殿に併設された大きな公園。
魔動灯がところどころに設置されて真っ暗ではないが、夜も深いこの時間では、歩いている人間はほとんどいない。
フェリシア
「………」 ディスノミアの後ろからついてくる
ディスノミア
「ここにしましょう」 季節によっては、藤の花が咲いている東屋へとやってくると、備え付けのベンチに腰掛けた。
フェリシア
「失礼します」対面になるように腰掛けて
ディスノミア
「それで」 足を組み、テーブルに肘をついて頬杖をつく。 「急に私に声を掛けて、どのような用向きですか?」
フェリシア
「………、まず、」 切り出すように ディスノミアの瞳を見つめて
「謝ることが、2つあります」
ディスノミア
「謝罪? 貴女が、私に?」
フェリシア
「1つは、出ていくように言ってしまったこと」
「もう1つは、」 腰に帯びた軍刀を差し出して 「貴方の過去を、勝手に見る形になったことです」
ディスノミア
「私は自分が世間からどのような扱いを受けるか、理解した上でああ振る舞っているのです。貴女の反応は真っ当なもの。それを怒るつもりはありませんし、謝られることでもありませんが――」 差し出された剣を見れば、口元にわずかに嘲笑じみた笑みが浮かんだ。 「そうですか」
「殿下の仕業でしょうか。無意味なことをするものです」
フェリシア
「無意味では、ありません」 言い切る形で返事をして
「此処に、確かに貴方の大事な家族と……貴方の一部がある」
「私は、お預かりしているだけです」
じ、とディスノミアを見つめて
ディスノミア
「いつかお話ししたでしょう? 私のこれは治らぬ病のようなもの。一度汚染され、切り離された魂を元に戻す方法など、彼らは考えてもいなかったのです」
「それに――私に家族と呼ぶべきものはありません」
フェリシア
「嘘ですね」
また言い切って
「魂が戻る方法はともかく、」
「家族と呼ぶべきものがない、と言うのは明確な嘘です」
「貴方は、相手を守るために秘密を貫き、そして相手のために嘘を付き、………最後は自分にも嘘をつくことでしか自分を保てなかった方です」
「わかります。私も同じですから」
それを言い切って 相手の反応を見る
ディスノミア
「…………」 小さくため息をつく。 「始めはそうだった、というのは否定しません。ですが私はあの時、この魂に刻まれた呪いを受け入れた。何かを破壊し、蹂躙することに悦びを覚え、その快楽のみを求める獣となることを、自ら望んだのです」
フェリシア
「それは間違っていますね」 これも言い切って
ディスノミア
「他ならぬ私自身がそう認めているのに、ですか?」
フェリシア
「何をするにしても、エリュシオーヌ、キュアノシスの立場と、身の安全を第一に考えていた貴方なのだから」
「獣になることを、自ら望んだというのは、間違っています…………それとも、」
目を細めて
「自分を貶めなければ、弁が立ちませんか」
ディスノミア
「……ふふ。少し見ない内に、随分とはっきり物を言うようになったものですね」 小馬鹿にするようなものではなく、面白いとでも言いたげに素直に笑う。 「今の私を獣と同じといったのは、貴女ですよ。それに、」
2人の名が出れば、コーデリアの力によって発現したあの武器に映っていたものが思い出される。数秒、間を置いてから
「如何に2人の立場を考えていたとしても、最後にあの2人を殺し、悦んだのです。そんな私が、自分を人だと言えると思いますか?」
フェリシア
「そうではないと知りました、だからその事も含めて撤回はするべきでしょうね。私は、間違っていませんでしたから」
「悦んだかもしれません、でもそれは、ただ逃げただけです」
「………2人を殺さなければならない、2人と一緒に逃げることも、友人を頼って対策を考えることも、開き直ることも出来なかった貴方だから、」
「自分の行いを正当化するために、自分は狂人であると定義した、貴方は獣であることを認めなければ自分が許せなかった」
「だから、悦んだ。それが至上の歓びだと、自分に定義させた」
「───、」 ぐ、と身を乗り出して 胸元を掴む
「私を見なさい、ディスノミア・アスロン・アトランティス………これ以上、貴方の口から、私の大事な友人を貶める言を聞くのは耐えません」
ディスノミア
――……」 静かに、翡翠色の眼がフェリシアを見つめる。 「……本当に、勝手だこと。私を利用するつもりで近付いて、気に食わないからと手を離して、過去を知ったから、今度は友人だ、なんて」
フェリシア
「ええ、そうです。私は傲慢な人間です。私は、自分が正しい事をしていると思い込んだ小娘です」
「国のため、故郷のために貴方を利用しようと近づいた事は否定しません、気に食わないから手に負えないから手放しました、それも否定しません」
「ただ、私は貴方と、約束したんです。それが、貴方の覚えのないことだとしても」
「どちらかが困った時に、どちらが先になるかはわからないけれど、相手を必ず助けると」
「そんな状態になっている貴方を、私は認めて、拾い上げてみせる………、それが、この刃に誓ったもう1つの約束です」
胸元から手を離して整えてやると 席に付き直す
ディスノミア
離れようとするフェリシアの胸ぐらを今度は逆に引き寄せて、そっとフェリシアの頬に片手を触れさせる。 「貴女がどれだけ言葉を尽くしても、私がどれだけ望もうと」
フェリシア
「………」 怯えることなく、引き寄せられて 視線を合わせる
ディスノミア
これは変わらない。自分が狂人だと、破壊と蹂躙が至上の悦びだと定義したのは、私自身であり、そうしたのは、私の魂がそうなるように作り変えられたからです」
「貴女の傍に居る限り、今の私の振る舞いは変わらない。変わらず、貴女の横で身勝手に振る舞い、何かを壊し、命を蹂躙し続けるでしょう」
――貴女に、本当にその覚悟がありますか?」
フェリシア
「──、そんな事は、これから見つけていけばいい」
「変わらない、変えられない。そう決めつけるのは貴方の勝手です。ですが、今は魔法文明時代から何年過ぎていると思っているのです」
「現代でしかなし得ないことがきっとある。私はそれをこれからも探していくつもりです。時間がかかっても」
「それまでの間に、支払う代価が、私にまつわることならば、それこそ好きにしたら良い」
ディスノミア
「故郷を救わなければならないのに、ですか? 私に関わっている間に、貴女のもっと大事なものが壊れてしまうかもしれませんよ? いいえ、それどころか、私が壊してしまうかもしれない」
フェリシア
「──、どうすれば止められるか、なんて、考えていません。私は貴方を諦めない。そう決めたからには、私はそれを貫くだけです」
「故郷を最優先するならば、」
「この剣は受け取っていない。腰に帯びようとは思わない、貴方も探してなんて居ない」
「それに、」
「私みたいな小娘1人が間に合わないで滅びるなら、私の故郷もそれまでです」
「テミス連邦はそこまで脆くない……それだけです」
ディスノミア
頬に触れていた手を自分の口元まで引いて、肩を小さく震わせ始める。 「……ふ、ふふっ……。本当に、どうしてしまったんですか、貴女……。まるで愛の告白をしているようですよ? 私でも、誰かにそんなことを言ったことはありません」
「そんなに、私の過去は貴女の同情を引くものだったのですか?」
フェリシア
「………、」 軍帽を目深にして 「十分でしたよ。十分……、貴方は、私が思った通りの人でしたから」
ディスノミア
「今の私は、あの時とは肉体も違う。魂も汚染され、切り離されている。ただ、ディスノミア・アスロン・アトランティスの記憶を持っているだけの別の人間に等しい存在です。貴女の思っている彼女は、その剣の中に居る」
「それで満足しておいた方が、幸福だろう――とは言っておきます」
フェリシア
「───、まずは、」
「そういった部分を取り払うところから、ですね」
「決めつけないで下さい、馬鹿にしないで下さい。貴方もディスノミアです」
「そこに差なんてない」
「私がいい子であろうという側面があるように、」
「私が傲慢である側面があるように、そこは切り離せない部分です」
「それを他人のように扱うのは、都合が良すぎです、ディスノミア」
ディスノミア
「……頑固ですね。変な所で頑ななのは、昔の私によく似ているでしょうか」
フェリシア
「貴方も、此処にある貴方の一部も」 剣をなでて 「どちらもディスノミアです。だからどちらもすくい上げます」
「それが私の覚悟です。不足ですか?」
ディスノミア
「不足しているかどうかは、この場だけでは判断出来ません。……そもそも、私にとっては足りていようが不足していようが、どちらでもかまわないのですから」
「私を傍に置く、ということは」
「常に貴女は社会から敵視され、あるいは貴女自身が寝首を掻かれる可能性があるということです。道は違えど、私のように無惨な末路を辿っても良いというのならば、私からはこれ以上言わずに置きましょう」
フェリシア
「………、貴方も頑固ですね」
「確かに、私が1人なら、そうなってしまうでしょう」
「でも貴方が居て、私が居る。他にも、手を貸してくれる人がいる」
「だから、大丈夫です」
「もう一度言います」
ディスノミア
「貴女はまだ若い。自分というものがきちんと見えていないこともあるでしょうから」
フェリシア
「私は貴方を諦めない」
ディスノミア
「……本当なら、こんなことを言う必要もないのですが――その剣が傍にあるせいでしょうか、まったく」
「……分かりました。こうなっては、貴女は私がどう言おうと勝手に付いて来そうですからね」 両手を広げて、参りましたのポーズ。
「好きになさい、フェリシア。その代わりに、私も今まで通り好き勝手に振る舞います」
フェリシア
「…‥…、」 ふふ、と軍帽を上げて ようやく笑って 「はい、言質を頂きました」
「できる限り、周りとの軋轢は緩和できるようにしましょう。それに貴方が乗っかるか、乗らないかは別です」
「やれることはやりますが、手に負えないときはどうしようもありませんから」
「どうしていくかは、一緒に考えましょう」
ディスノミア
「そんな風に開き直って、周りに怒られても責任は取りませんからね」
フェリシア
「それはお互い様です……私は貴方の管理人でもなんでもないのですから」
「そういうところがあるから、気をつけてあげてほしい、という以上、必要ですか?」
「私と貴方は、友人ですから」
ディスノミア
「……まったく。人質を持っているからといって、調子に乗って」
「こんなにやり辛いと感じたのは、現代に出てきて初めてです」
フェリシア
「調子に乗ってるわけではありませんよ、だって」
「これが対等ということですから」
「改めて、よろしくお願いしますディスノミア、いつ帰ってこれても良いようにはしておきます」
手を差し伸べて 「好きな時に戻ってきてください」
ディスノミア
「今までの貴女は操りやすくて本当にからかい甲斐があったのに……残念です」
フェリシア
「これからの貴方次第ですね。戻るかもしれませんよ、そういう私に」
ディスノミア
――まあ、良いでしょう。今の希望に満ちた貴女を堕として、壊してしまうのも、悪くありません」 差し出された手へと手を重ねて。
「ええ。私がどうするかも、勝手でしょう?」
フェリシア
「その通りです」 握り返して
「友人ですから、庇い立てしないと困るときはしますよ」
「では、ご予定がありそうなら、今日は此処で」
手を離して
「ご予定がなければ、夕食と入浴に付き合って下さい」
ディスノミア
「夕食はともかく、貴女から入浴にまで誘われるとは驚きです。予定は特にありませんので構いませんが……私を誘うからには、相応の覚悟をしておいてください?」
フェリシア
「これまでもやってきたことではありませんか」
「公衆浴場ですし、食事も星の標ですよ」
ディスノミア
「多少のスキンシップは自由ですから。それに、この時間です。他の客も殆どいないでしょう」
フェリシア
「嫌なときは止めますから、それはそうして下さい」
ディスノミア
「さあ、どうでしょう。保証は出来ませんね」
フェリシア
「では入浴は別にしましょうか」
ディスノミア
「……自分から誘っておいて、それは卑怯なのでは?」
フェリシア
「それも自由でしょう?」
「なんて、意地悪は言いません」
「好きにして下さい、貴方になら触れられてもそう不快ではありませんから」
ディスノミア
「それが賢明です。私の欲求は、適度に好きにさせて解消させること。それが私の手綱を握るコツのひとつです」
フェリシア
「覚えておきましょう」
ディスノミア
「やれやれ……本当に逞しくなったものです。男子三日会わざれば刮目して見よとは言いますが、女子にも当てはまるようですね」
フェリシア
「好みから外れてないといいですが」 しれっとそんな事を言いながら 行きましょう、とディスノミアを促して
ディスノミア
「心配は要りません。好みでない子を好みに躾けるというのも、愉しいものです」 立ち上がると、手を取って。 「それでは、エスコートはお願いしますね?」
フェリシア
「はい。行きましょう」 手を重ねて 引いて歩いて行く
フェリシア
と言うかたちでどうでしょうか
ディスノミア
――……」 隣のフェリシアが佩いた軍刀に視線を落としてから、南西の空を一瞬だけ見上げて。 「…………」 ふ、と口元に笑みを浮かべて目を伏せてから、手を引かれて付いていった。
ディスノミア
はい。大丈夫です。
フェリシアがなんとも扱いにくい子になってしまったものです……困ってしまいますね
ログは 2023/02/26_0 になります。
フェリシア
大丈夫ですよ。お気になさらず
はい。ありがとうございます
ディスノミア
私が気にするのです
フェリシア
では、またお会いしましょう
お疲れ様でした
ディスノミア
ええ、お疲れ様でした。また
!SYSTEM
フェリシアが退室しました
!SYSTEM
ディスノミアが退室しました
背景
BGM