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幕間

20221226_0

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コーデックスが入室しました
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エルミニオが入室しました
エルミニオ
ではよろしくお願いします
コーデックス
よろしくお願いします




 
――“スモールボックス”第二区画、その深層の調査から一行が帰還して数日後。
手記の1人、仮称エリュトロスの命を失いながらも得た調査結果を“ビッグボックス”の面々が整理し、
慌ただしく、けれど重々しい数日が過ぎた頃。
 
この日は分厚い雲がどんよりと覆っていて、雨がいつ降っても不思議ではない空模様だった。
冬の空からは陽射しも注がず、気温はこの所の数日と比べても低く感じられる。
そんな空の下、〈星の標〉の中庭から1人の少年が姿を現した。
オレンジの癖毛に紫の瞳を持つ彼は、この日も中庭を借りて鍛錬を重ねていた。調査から戻ってからというもの、依頼にも出ずにひっきりなしだ。
エルミニオ
――……キャロー、水ぅ……」 乾いた喉を震わせながら、汗だくの身体を強引にタオルで拭って。
そのまま、店員から渡されたグラスを呷るとシャワーへと向かって行く。

暫くしてシャワーから出て来ると、ゆっくりと店内を見回す。
待ち人がまだ来ていない事を確認すると、カウンターに腰かけていくつか軽食を頼んで。
それを食べて腹安めをすれば、再び鍛錬に戻って――の、繰り返し。
そんな日々を送りながら、少年はじっと〈星の標〉から離れる事無く、この数日間を過ごしていた。

「……とりあえず食うか」 この日もそのルーチン通りに、午前の鍛錬を終えた少年はカウンターのテーブルへ着いた。
適当にいくつかのメニューをキャロラインに注文すると、拭いきれていない髪から滴る水を疎ましそうに首にかけたタオルで拭っていく。
エルミニオ
とりあえずこんな所から
コーデックス
わかりました
コーデックス
黒い帽子に 黒いコート 黒のスカートに黒い手袋にブーツ ヴェールもかけていれば、それは喪服と言っても通じるだろう
寒風と共に星の標に入ってきたのは、藍色の髪に金色の瞳の少女型ルーンフォークだ
「……」 周囲を見るように人の顔を確認して 肩掛け鞄の紐を直しながら カウンターへと歩いていく
エルミニオ
頭にかけたタオルをわしわしと動かして、扉のベル、それから寒風が誰かの来訪を告げた事に、タオルの隙間から視線を向ける。
コーデックス
目当ての人物を見かけると そのまま真っすぐ歩いて行く
「こんにちは、エルミニオ」
エルミニオ
「……、……よう」 その先に少女を見遣れば、紫の瞳は普段通りに緩められて、やはり普段通りに右手を上げた。
「まあそんなに人も多くねえけど、あっち行っとくか」 くい、と隅のテーブル席を示して。
コーデックス
「3時間程、時間を確保できましたのでお話に来ました」
「肯定」
エルミニオ
「時間取ってくれて、ありがとな」 頷きを返すと、キャロラインに声をかけて グラスを手に取ると席を立ってテーブル席へと向かって行く。
「何か飲むか」 示した席に腰掛けると、コーデックスの前にメニューを差し出して。
コーデックス
「では、グリーンティーを」
エルミニオ
「はいよ」 自分のものと合わせて飲み物を注文すると、
店内が空いている事もあってか、すぐにそれらが運ばれて来て カップがそれぞれの前に置かれていく。
コーデックス
「ご用件を伺います」
飲み物が置かれた後に、口を開く
エルミニオ
店員が戻っていったのを確認して、コーデックスへと視線を戻して。
「その前に、いくつか聞いてもいいか?」
コーデックス
頷きを返して
エルミニオ
「ちゃんと寝たか?」 
コーデックス
「必要な休息はとっています」
エルミニオ
「飯は」 カップに口を付けて、珈琲を嚥下して。
コーデックス
「カプセルで補給しています」
エルミニオ
「あちっ……」 「クレオ達は、元気か」
コーデックス
「元気、という定義にもよりますが、息災です」
エルミニオ
苦笑して、 「もう戻ったのか?」
コーデックス
「肯定。現在はジャマーの出力を上げた上で、携行可能な重量への軽量化を試みています」
エルミニオ
「そっか。……んじゃ、最後に」
「あれから、我慢とかしてないか」 視線をコーデックスに合わせて。
コーデックス
「我慢の定義によります」
エルミニオ
苦笑、というよりは呆れ半分な表情を浮かべて。
「思った事を押し込めたりとか、苦しい事を無視して押し込めたりだな」
コーデックス
「そういうことであれば、当機は我慢を実行していません」
エルミニオ
「んじゃ、どういう“我慢”はしてたんだ?」
コーデックス
「2点です。1点目は作業支援のために眠気を我慢しました」
「2点目は、名前の収集を我慢しています」
エルミニオ
「……」 あるんだな。いや、無い訳ないんだが。>眠気
「そっか。それ以上は増やすなって言ってたしな、我慢させて悪いな」 苦笑して言うと、腕を組んで。
コーデックス
「いえ」
「自発的な収集を望んでいるという意味では、以前とは異なります」
エルミニオ
「望んでる……、その理由は聞いてもいいか?」
コーデックス
「もう、エリュの名前は必要ありません」
「ですが、当機は彼女の名前の収集を行いたいという願望が生じています」
「それは無意味なことであり、無駄である事なのは明白です」
「しかし、」「辞書を開き、単語を探すことを、したいと望んで仕方ないのです」
エルミニオ
「無駄じゃねえよ」 じ、っとコーデックスの瞳を見遣って。 「無駄なんかじゃねえ」 
コーデックス
「エリュはもう名前を必要としていません。彼女に時間を割くことは、当機の状況からしても無駄です」
エルミニオ
「その意味が無いってのも間違いだ。いいか?」
コーデックス
「なぜですか?」
エルミニオ
「あいつはお前に、自分の名前についてどうするってお前に言ったんだった?」
コーデックス
「当機に一任すると宣言しました。しかし、彼女はもういません。彼女の希望を聞く必要もありません」
エルミニオ
「もういなくても、その言葉はお前が聴いて遺ってる。お前に任せるって、そう言ったんだろ?」
「確かに死んだらもう聞けねえし、喋れねえし、触ったりなんだりも出来ねえよ。けど、意味が無くなる訳じゃない」
「だから、あいつの名前を付けるかどうかはコーに任されたままだ。それをあいつが聴けなくても」
コーデックス
「………」
エルミニオ
「その意味をコー自身が手放すのは、……違うと思うけどな、俺は」 がしがしと頭を掻いて。
コーデックス
「手放す、という行為は正しい判断です」
「ですが、当機はそうしたくない。と、申し上げています。それが無駄であり無意味であってもと」
「エルミニオは、単語を端的に捉えて、感情的になっていると考えられます」
「深呼吸を推奨します」
エルミニオ
「うっせ」 肩を竦めて、軽く言って。
コーデックス
「さらに言えば、どう無意味ではないのか、という点において説明が不足しています」
エルミニオ
「名前を付ける意味がない、収集は無駄だって言うから、それは無意味じゃねえって言ったんだぜ」
コーデックス
「再入力を希望します」
エルミニオ
「どう無意味ではないか……」 頭を掻いて、小さく振って。
コーデックス
「なぜ、無意味ではないのですか?」 と改めて問う ガラス玉めいた瞳はエルミニオをじっと見て
エルミニオ
「約束したんだろ。一任されて、その上でいつか名前を付ける、って」
確認する様に、小首を傾げて見せる。
コーデックス
「約束、という定義にもよりますが、提案し、確認し、受領しました」
エルミニオ
「まあ、付ける必要はある訳だよな。……じゃあ、その相手にはもう会えなくなったら、その約束はもう無かった事にしていいのか?」
コーデックス
「受取先のない命令は無効です」
「それと類似して、受取先のない契約もまた、無効です」
エルミニオ
「じゃあ、何で付けたいって望んでるんだ?」
コーデックス
「不明です」
「理由、原因、それらはわかりませんが、そうしたいと望む状況下で、当機は名前の収集を我慢しています」
エルミニオ
「なら、“何でか解らないけどそうしたい”んだろ?」
コーデックス
「肯定」
エルミニオ
「つまり、何か意味があるんだよ。そうしたいって、何の理由も無しに思わないだろ?」
コーデックス
「では、何の意味があるのでしょうか」
エルミニオ
「そりゃ、そうしたいってお前の心が思ってるんだろ、って思うけどな」
ぽんぽん、と自分の左胸を小突いて。 「浮かぶ動機が無いって事は、こいつが叫んでるからだ」
コーデックス
「不明瞭です。再入力を希望します」
エルミニオ
「不明瞭、なあ」
「命令とか役割とか契約とか、有効とか無効とか、無駄とか無駄じゃないとか、そんなの全部どうでもいいくらい、」
「コー自身が感じて、思って、望んで。感情が動いてるだけ、じゃねえかな」
「……あ。感情とか心とかは不明瞭でダメか?」
コーデックス
「肯定」
エルミニオ
「……」 むう。 「感情的になってるぞ、って言ってたのに使っちゃ駄目なのかよ」 
コーデックス
「当機にないものを理解できません」
エルミニオ
「その理解出来てない、やりたいってのが感情だよ」
「コーの中にある、コーがまだ理解し切れてないもの、だと思うぞ」
コーデックス
「では理解するためのツールの提示を希望します」
エルミニオ
「ツ、ツール」
「……」 思案して、ゆっくりとコーデックスを見つめて。
「無駄だと思った事も、やりたいと思ったら全部やってみろ」
「解らないなら、実践して把握していくしかない。だろ?」
コーデックス
「了解しました」
エルミニオ
「その為に必要なら、どんな事だって手伝ってやるから」
コーデックス
「ありがとうございます、エルミニオ」
エルミニオ
「いつでも呼べよ。……と、それから用件だったな」
コーデックス
改めてエルミニオに目を向けて
エルミニオ
冷えたカップの珈琲を一口啜って。
「“スモールボックス”の調査、行く予定が出来た時は呼び付けてくれ」
「もう人死にを出すのはごめんだし、」 ぐ、とテーブルの上で拳を握って。
「また、お前にあんな顔をさせるのも、あんな決定を選ばせるのも、ごめんだ」
コーデックス
「要望を受け付けました」
「他にありますか?」
自分の頬に触れてみて
エルミニオ
「他は……、どうした?」 その指の動きに、首を傾げて。
コーデックス
「再現できない表情をしていたのか、と」
エルミニオ
「少なくとも俺は、あの時のコーの様子はもう二度と見たくねえし、させたくもねえ、って思ったけどな」
コーデックス
「……」 頬を触って 「では、しないようにします。失礼しました」
エルミニオ
「馬ぁ鹿」 
コーデックス
「当機の性能の評価でしょうか」
エルミニオ
「評価じゃなくて今のは悪態だな」 
「お前がもうしない様にするんじゃねえよ。俺が、もうさせねえんだ」
「だから、そんな事は考えなくていい」
コーデックス
「了解しました」
エルミニオ
顎に触れて、いくつか整理して。
「言いたい事は、今ので全部だな」
コーデックス
頷きを返して 「では、失礼します」
エルミニオ
「ああ。……言った事、忘れんなよ」
コーデックス
「ありがとうございました、エルミニオ」
エルミニオ
「こっちこそ。時間取ってくれてありがとうな、コー」
コーデックス
「要望は受領しました」
「では」
エルミニオ
「ああ」 頷きを返して、手を振って見送る。
コーデックス
そのまま姿勢を正すと店の外へ
エルミニオ
――、」 ふぅ、と息を抜いて。 
「っし、やるか」 
席を立って勘定を終えると、鍛錬に向かうべく中庭へ――は向かわず、
自室に戻ると、鎧と剣盾を手に取って 〈星の標〉の外へと歩いて行くのだった。
エルミニオ
こちらはこれでOK
コーデックス
こちらもOKです
エルミニオ
2022/12/26_0 ログはこちら
コーデックス
では撤退します お疲れ様でした
エルミニオ
お疲れ様でした
コーデックス
お付き合いありがとうございました
!SYSTEM
コーデックスが退室しました
背景
BGM