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幕間

20220807_1

!SYSTEM
カイトが入室しました
!SYSTEM
リボンが入室しました
リボン
こんばんは。場所は〈星の標〉になるかと思います
こちらが先に居ても、そちらが先に居ても大丈夫です。どちらに致しましょう
カイト
そうだな
どちらの方が声をかけやすいか、だな
リボン
後から来た場合の方が、お声かけはし易いかと思います
カイト
じゃあそうしよう
リボン
では、後から参ります。描写はご自身でされますか、こちらで行いましょうか?
カイト
ああ、リボンが後から ということだな
分かった、把握した
描写は適当にしよう 昼と夕方、夜だったらどれがいい
リボン
失礼しました。その認識でした>リボンが後から
どのお時間でも問題ありません
カイト
じゃあ昼にしよう
よろしくお願いします
リボン
よろしくお願いします。
 
 
 
 
 
 
 
リアン地方イルスファール王国 星の標
此処は国内でも有数の冒険者ギルド支店としてその名を輝かしいものとしている
数多くの冒険者を取り揃え高い依頼達成率を誇り、国の内外個人組織を問わず依頼が舞い込んでくる
そんな時間も朝の争奪戦の時間くらいで その時間を過ぎてしまえば、ゆっくりとした時間が流れる
ランチタイムまでの間の穏やかな時間
半袖のシャツに黒いズボンのラフな格好の少年は 店内で本を広げている それは児童書寄りの文字だけの本で
傍らには注文したレモン水がグラスに汗をかいていた
カイト
「………、」 文字数自体は多くないそれ 『夜を超えた先の景色』と呼ばれるタイトルのそれは 児童文学として収録されている本だ
家出をする少年が決心をしたものの、家のことや友達の事、家族のことを考えていくうちに踏ん切りがつかなくなり、夜が明けてしまうという内容だ
それを半ばまで読み進めて ページをゆっくりと捲る
カイト
こんなところだ
リボン
はい。では
 
――から、ん。普段なるベルの音よりも控えめな音が店内に響く。
夏の風が店内へと流れ込んで来ると、それに続いてひとりの少女もやってきた。
リボン
艶めかしい黒の長髪を靡かせ、その合間から深紅の瞳が瞬いた。
カイト
人の出入りは珍しくない そのまま読み進めていく
リボン
赤のリボンタイを付けた白のブラウスに黒のミニスカートを合わせ 白のニーハイブーツを身に付けた少女の手には、
みゃん、と小さく鳴く猫が摘ままれていて 彼女が戻るのを見るなり、〈星の標〉で待っていたらしいその飼い主が大声を上げて少女へと向かって行った。
カイト
「……、」 大声がすれば 流石に視線を向ける
リボン
幾つか聞こえてくる情報を精査するに、彼女はどうやら猫探しの雑用を請け負っていたようで それを見つけて帰ってきたのが今、というようだった。
カイト
「……」 僅かに眉をあげて 知り合いの姿を認める
リボン
依頼人らしき女性に一つ二つ確認を取ると、ガルバからちゃりん、と小銭を受け取って
それでは、と一息を吐いて未だに騒いでいる飼い主へと一礼し 立ち去ろうとして、
「……」 深紅の瞳がカイトの視線と交差するなり、少女は静かに歩を進めて カイトの座っていた席へとやってきた。
カイト
「……、」 ぱたん、と本を閉じて
リボン
「お会いできて光栄です、カイト様」 猫探しをして練り歩いてきたからだろう、身体はじっとりと汗ばんでいて 服や体は汚れている
カイト
「ああ」
「元気そうだな、リボン」
リボン
「体調は崩していません」 こくこくと頷くと、カイトの対面の席に付くでもなく立ったまま。 
カイト
「……今日も暑いな」 手振りで対面の席を勧める
リボン
「当面の生活費の準備の為、提案して頂いた雑務を熟しています」 猫探しも特段嫌がっている訳ではないどころか 仕事がある分どこか“アセニアム”に居た頃よりもきびきびと動いているように見える。
「失礼します」 すす 椅子を引いて浅く腰掛ける
カイト
「…何か飲むか」
「それから、」
「カイトでいい」
リボン
「……」 何か と問われて視線が泳いだ。
するりと落ちた視線がメニューへと伸びて そっと手を伸ばす
「外部における“紡ぎ手”様を、その様に扱う事は出来ません」 頭を振り。
カイト
「……、結果的にそうなってるだけだ。自分からなってるわけじゃない」
メニューが定まるのを待ちつつ 本をずらす
リボン
「ですが、そうなられておりますから」 メニューを眺めて 「……」
先程ガルバから受け取った金額とメニューに記されている金額とを確認して
「……」 いちごミルク、というものに少し惹かれたが 何とか剥がしてレモン水に決める
「こちらを」 
カイト
「……、分かった」 店員を呼ぶと注文を告げて
リボン
やってきた店員に小さく頭を下げた。
カイト
「……今は何処に住んでいるんだ」
注文を取り終えた店員が去ると、話題を切り出すようにして
リボン
「……」 いちごミルク という単語に再び掴まれた意識を戻し
「王都内で最も宿泊料の安い宿を教えて頂き、そちらに」
カイト
「……」 なにか気がかりがありそうだ 視線があった場所を見てみる
「なるほど」
リボン
視線はメニューに伸びて、いちごミルクという単語を見ている様だった。
カイト
程なくして店員がレモン水を持ってくると
リボン
「私の年齢、性別、外見から勧められないと仰られておりましたが、」
カイト
「いちごミルク、2つ」
と追加で注文する
リボン
「現状、不都合は蔵書以外に――
――えっ」
動きを止めて カイトを見上げた
カイト
「わかりやすかった」
「それに、俺も飲んでみたい」
注文を受け付けると店員が下がって
リボン
「……」 「金銭の余裕がありません」 
ぱし、と下がろうとした店員の手を取った。
カイト
「いい」
リボン
「いいえ」
カイト
「俺が勝手にやったことだ」
リボン
「であるから、私がそれを見過ごしていい理由にはなりません」 普段よりも早口にまくしたて、
カイト
「お前が飲まないのはお前の勝手」
「俺が飲むのは俺の勝手」
リボン
それまで――“アセニアム”から此方までやって来た時とは違い、表情を動いて 恨めしそうにカイトを見上げた。
カイト
「どうするかは好きにしたら良い」 行ってくれ、と店員を送って
リボン
「その論は不当です。金銭がかかっています」
「それに」
カイト
「俺の金であって、お前の金じゃない」
リボン
「……」 じと。恨めしい。
カイト
「俺は俺の手が届く範囲で自由にしただけだ」
リボン
「……それに、食事を粗末にしてはならないと書にありました」
「金銭はお支払いします」
カイト
「要らない」
リボン
「お支払いします」
カイト
「お前はその自由がないから頼まなかったんだろう」
「それでお前に払わせたら意味がない」
「だからいらない」
リボン
「…………」 じと。 
「では、後日お支払いします」 じとじとじと。
カイト
「…‥その余裕が出来てからでいい」
リボン
「私の手が届く範囲で行います」 つん。
カイト
「それは好きにしたら良い」
リボン
静かに頷きを返すと、視線がカイトが読んでいた本へと流れていく。
「……読書が、お好きなのですか」
カイト
「……ああ」
「俺は字があまり良く読めない」
リボン
「失礼ですが、拝見しても宜しいですか」 
カイト
「前よりはだいぶましになったけど、読めるっていうのが羨ましかった、だから訓練してる」
頷くと 本を渡す
リボン
「……そうなのですね。読めない文字を調べるお手伝いは、致しましょうか」 
差し出された本を慈しむ様に見遣ると、
カイト
「それはいい。アンジェが、教えてくれるから」
リボン
小さな掌で、宝物に触れる様に優しく触れる。
「辞典の提供をと思いましたが」 
カイト
「……そういう触り方は、ハイネとよく似ているな」
リボン
「義姉様は、“司書”様の中でも特別本を愛される方でしたから」
カイト
「……そうか」
リボン
「影響を受けていると思います」 優しく頁を捲れば、その質感を感じ入る様に目を細めながら文字を読み込んでいく。
カイト
「辞典はある。これだ」 とブックホルダーから取り出すと ポケット辞典を見せて しまう
とても良く使い込まれているのが見れば分かる
リボン
ちら、と差し出されたそれを見ると、カイトへと向ける視線が和らいだ。
けれど、何を思ったのかは口には出さずに 差し出された本へまた視線を落とす。 
カイト
ページで言えば100ページもないだろう それくらい短いものだ
リボン
――文字を読む訓練として、適したものであると思います」 数ページ捲り、扱われている言葉や文法を見てそう呟く。
「……」 その後、僅かだけ沈黙し 口を開く
「カイト様。質問があります」
カイト
「‥なんだ」
リボン
「私は歴史書(ヒストリア)……歴史を記した書物を管理する家に生まれました」
「それから成長する過程において、いくつもの歴史を識りました。記憶し切れていないものもありますが、」
「凡その内容は、既に識っていると思います」
カイト
「…俺は、よくわかってない」
「歴史って言われても……あまりはっきりはわからない」
リボン
「……はい。私も、“はっきり”は理解していないのです」
カイトから渡された『夜を超えた先の景色』のページ、少年が家出を決意する一文に触れた。
カイト
「……」 何が言いたいんだろう、と思いながら リボンの言葉を促すように待つ
リボン
「“そう在った”、“そう起きた”、そういった事象は理解出来ますが」
カイトに見せる様にテーブルに本を開き その一文をもう一度撫でる。
カイト
「……」 文字列を目で追って 「"カールは決めた。一人前になるために、僕は此処を出ていくのだと"」
リボン
「……私には、物語というものがよく理解出来ないのです」
カイトが呟いた声に頷きながら、緩く頭を振る。 
カイト
「……、そうか」
程なくしていちごミルクが運ばれてくると カイトとリボンのそれぞれの前に置かれて
「……、俺も、はっきりとは分からない」
店員がのけたタイミングで返して
リボン
「“アセニアム”を出る際に、生き方の話をして頂き、私は出る事を選びました。……“登場人物(かれら)”にとっても、その様な選択を連続して行っているという事は、理解るのですが」
運ばれてきたそれに視線を向けたが、集中はカイトとの会話に向いているのか グラスを手元に寄せるだけで、口を付けようとしない。
カイト
「……、今までは、どうしてたんだ」
いちごミルクに先に口をつける
リボン
「……理解の出来ないものは、一度置いていました。他に学ぶべき事もありましたし、」
「それよりは、今取り込める知識を収集すべきだと考えました」
カイト
「…‥、」
「それも、選んでるだろう?」
リボン
「……」 暫し間を置いて、
「……」 釈然としない。そんな表情を浮かべた。 「これが、そうだと?」 
こんなものが、という言葉は意図して選ばなかった。
カイト
「……、お前は分からないから、分かるものを勉強した。俺にはそう聞こえた」
「それも、お前が自分で選んだことであって、選ばされた事でも選べなかったことでもない」
「お前が自分で、決めたことだ」
俺が、殺すために全部を捧げたように
リボン
「考えて、選んで、思って、決める……」 
訥々と続けながら、それでも実感を持てずにいるのか リボンは小さく頭を振る。
「そんな、小さな事で。……“物語”の一節足り得るのでしょうか」
カイト
「……小さいのか?」
「お前にとって、今までがお前の全部じゃないのか」
リボン
「私の命は小さく、短いものです」
カイト
「……、」
リボン
「寿命を持たない、或いはこの身と比べられない程の方々と比較すれば、」
「私にとって特別な“今”など、文節にも満たないものでしょう」
カイト
「……、見下ろしてるんだな、お前も」
リボン
「見下ろしている、とは?」
カイト
「長い寿命があったって、ガキの頃に死ぬやつだっている」
「お前も、俺も、エルフもナイトメアも、病気や怪我で死ねばそこで終わりだ」
リボン
「……“アセニアム”において、その様な事は多くありません」
カイト
「……お前は、外を見下しているのか」
リボン
「……? いえ、その様な事は」
カイト
「人間のほうが、多い、お前が短いって言ってるやつのほうが多いんだ」
「逆になってる場所だから……、」 そして、気がつく
「……‥、」 どこかで見たことがあると
リボン
「……」 語るカイトの言葉を真剣な表情で受け止めながら、
カイト
「………ああ」
リボン
彼の言葉ではなく、姿勢に対して どこか怯えに近い困惑を浮かべている。
カイト
ブックホルダーから大事そうに"無題"を取り出して
机の上に置く
「これも、読んでみると良い」
「未完成品だけど、……それでも良ければ」
リボン
こうして、正面から感情を向けられる事の経験がない。困惑が強まった所で、
「……こちら、は?」
カイト
「ヴンシュという作家の残した原稿だ」
「だから、タイトルはない」
「内容は、永く生きる世界で、1人だけ寿命の短い女の子が主人公の話だ」
リボン
促されながら原稿に手を伸ばし、
カイト
「名前はルイ……、俺が殺した相手でもある」
リボン
続いた言葉に手が止まり 視線がカイトの瞳に向く。
「殺した、……」 
カイト
特に彼の表情が変わったわけではない、事実を語るように淡々としている、ただ声音に、
少しの悲しさが滲んでいた
「ああ、"魔本の魔域"を作ったものだった」
リボン
「……、」 その言葉を選ぶ という事は
「やはり、そうでしたか」 つい、と原稿を撫でて 
「“紡ぎ手”として向かわれた際のものなのですね。……」
カイト
「……」 頷いて
リボン
「……しかし、」
カイト
「ルイは死んで、アザクが打った剣に不思議な力が宿った。それが、俺が使っている剣だ」
リボン
「伺ったお話通り、ルイと呼ばれる少女はこの本の主人公であるならば」
「“創作本(フォークリア)”の“魔本の魔域”を破壊する為の条件、正しい流れとする様には……、」
言いながら、結末が気になったのかそのページを捲れば、
――、……結末が、描かれていない……?」
カイト
「…言っただろう、未完の作品だと」
リボン
「推敲が為されていないものなのかと。本当に、全くの空白とは……」
カイト
「ヴンシュは死んで、もう居ない」
「だから、これの続きをかけるやつはいない。今のところ」
リボン
「……」 眉が落ち、肩も落ち――かけて、続いた言葉に視線をあげた。 
カイト
「………俺は、ルイの物語を完成させたい。だから、今は読んでるし、覚えてる」
リボン
「今のところ……」
「……どう、結ぶのですか?」
リボン
んん失礼
カイト
おっと
リボン
「……どう、紡ぐのですか?」 に読み替えてください
カイト
どうした
おっけ
カイト
「大きい改変になると思う」
「ルイが、自分の呪いを解くための旅に出て、大切な"今"を拾っていく、より多くの人達と出会うために。より多くの人達の"今"を知るために」
「……歴史っていうのはきっと、そういうものの積み重ねであって、昨日のことだ」
リボン
「……、……」 
カイト
「でも、物語を作ることは、今と明日を描くことだ」
「だから……そこが違うのかも、しれない」
リボン
「……今と、明日……」
カイト
「だって、」
「描かないと、書かないと、続きは読めないから」
「俺はルイの明日が見たいんだ」
リボン
「……私も、」
「私という白紙の本に、物語の続きを紡ぎます。カイト様が彼女の物語を描く様に」
「“無題”のお話をしてくださったのは、……それを促す為なのではないかと、考えたのですが」
カイト
「似ていると思った、ルイとリボンの状況が」
「だけど、ルイは、それでも大事な今を見ていた。自分が15で死ぬとわかっていても、夢を追いかけていた」
「……リボンも追いかけてみると良い、自分のやりたいことを」
リボン
「……私には、呪いはありません。ですが、命の大小という悩みから、確かに抜け出せずにいました」
「まだ、解らない事ばかりです。やりたい事、という事も、まだ漠然としていて」
カイト
「…自分で言っている、物語の続きを紡ぐって」
「それはきっと、生きる事なんだ」
リボン
頷くと、深紅の瞳は輝きを増して カイトを見遣る
「私は、私が生きる為に、知ろうと思います」
「“生きる”という物語(こと)を、沢山知ろうと思います」
カイト
「……」 頷いて "無題"を大事そうにしまう
リボン
「……彼女(ルイ)の様に、」
「今を見る事が出来るようになった時、また改めてお話をさせてください」
カイト
「ああ」
リボン
小さく息を抜くと、運ばれて来ていたいちごミルクが視界の端に移って
カイト
「……ぬるくなる前に飲むといい」
リボン
はっ、とした様にそれを見つめ 促されれば、ゆっくりと口を付け
「……!」 両手でグラスを包み、一口飲み込んだ時に浮かべた表情は
好物を発見した時の、歳相応の少女のそれと同じだった。
カイト
「……」 僅かに目を細めて
リボン
これくらいがキリが良い気も致しますがいかがでしょう
カイト
うん。それでいい
〆てもらえるか
リボン
はい。では
リボン
カイトの視線の先では、こくこくといちごミルクを飲み下し 口元にひげを残すリボンがいた。
 

――この後、君達はまた幾つか言葉を交わし それぞれの帰路に付くことになるのだが
カイトが翌日、自室に戻る時 手紙――と呼ぶには簡素なメモがひとつ、挟まっていた。
それは、意図して君に読みやすい様に柔らかく書かれていて
“義妹が世話になった。ありがとうね” とだけ記されていた。
リボン
こんなくらいで。
カイト
「……、」 大切に畳むと 本に挟んでしまった
カイト
これでいい
お付き合いありがとう
リボン
こちらこそありがとうございました。
20220807_1 ログはこちらです。
カイト
ありがとう では撤退しよう
お疲れ様でした
!SYSTEM
カイトが退室しました
背景
BGM