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毒蛇と仮面

20220727_1

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ラウシオンが入室しました
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オルテンシアが入室しました
オルテンシア
お待たせしてごめんなさいね
ラウシオン
かっ、しおらしくしおってぺっぺ
さて、互いにPT編成袖にされたあぶれ者でいくか
オルテンシア
私が断わられるのは当然のことだもの
 
 
ラウシオン
ではそれで
イルスファール王国の〈星の標〉と言えば、高難度の依頼でも高い達成率を誇る有数の冒険者の店として知られている。
それ故に多くの冒険者がこの店を活動の場に選び、多くの依頼が集まる。
玉石混合の依頼は条件の良いものから早い者勝ち――争奪戦が繰り広げられ、割りの良い依頼を手にしたものは先約のある気の合うメンバーと旅だったり、あるいはその場に居合わせた面々から同行者を募る。
必然、冒険に役立つ技能を備えた者は、よほど素行などに問題がない限り、そうした同行者に加わりやすものではあるが
例外、というものは往々にあるものだ。
 
 
オルテンシア
「……そう、ごめんなさい。成功を祈っているわ」
ラウシオン
「かっ、こちらから願い下げだ。精々眼鏡にかなうのを見繕うといい」
オルテンシア
そう言って頭を下げたのは銀の髪をした長身の娘だ。その首にはグレンダールの聖印が提げられている。
身のこなしはまた戦士のそれで、長剣ランクを預かっている彼女が一流の神官戦士であることは間違いないのだが
ただ一つ、聖印と重なって存在を主張をする首輪こそが、彼女が同行を断られた理由だ。
オルテンシア
あなたが断わられたのはその仮面と態度ね
ラウシオン
方や喧嘩腰で言葉を吐き捨てたのは、室内でもフードを目深に被ったローブ姿、奇怪な角つきの仮面を身に着けた見るからに怪しい男である
今しがたも「あまりにも不審過ぎる」と言う理由で同行を断られたのだがさもありなん
オルテンシア
「……あら」 同じように依頼からあぶれた者を見つけ、それが恩義を感じている知己であることに驚き……はない。彼は見ての通りだから
「こんにちは、ラウシオン。今日も暑いわね」
ラウシオン
「かー、全く見る目が無いにも程が有る――ぁん?」
胡乱な視線――まあ仮面で見えないが――を向けると、そこには不本意にも知り合いである所の
「何だ、蛮族娘の姉の方か。かっ、この季節で暑くない方が珍しいわ」
オルテンシア
「その仮面越しに貴方の為人を見抜くのは難しいのではないかしら」 同行を断られた時も、いま、友好的とはいえな態度で応えられても、その柔和な表情は変わらない
ラウシオン
手近な空いてる席にどかっと座り、朝っぱらから酒とつまみを注文する不良である
オルテンシア
「仮面を外したらもう少し涼しく、過ごしやすくなるんじゃない?」
ラウシオン
「はん、言われずともそれ位は承知の上だ。承知であっても不快なのは変わらんだけの話よ」
オルテンシア
娘はといえば、席に座った不審者を見下ろす形で立ったままだ。流石に往来を妨げないように端に寄ってはいるが
ラウシオン
「この間もだが、何だそんなに儂に仮面を外させたいか?」胡乱な視線
オルテンシア
「これでも貴方には恩義を感じているのよ? 見知らぬ遺体が実は貴方だったなんて事になったら後悔じゃ済まないでしょう?」
ラウシオン
「感謝の発露が物騒過ぎる」
しっしと手を振り
「そもそも恩だか感謝だかしらんが受ける謂れはない、さっさと仕事でも行け行け」
オルテンシア
「冗談よ、冗談。でも、道端で酔いつぶれていても分からない、は近いうちにありそうね?」
昼間から酒を飲む様への皮肉だろう。
「生憎だけれど、私を同行者に選んでくれる人はそう居るものでもないから」
ラウシオン
「儂に見せてるその粘り強さを発揮して頑張れよ――」と言おうとするも、見ればもう掲示板前は閑散としているのだ
ちっ、と舌打ちし
オルテンシア
「貴方がよく言っていた人手不足が解消されていると思えば喜ぶべきことかもしれないわね」
ラウシオン
「かっ、嫌味に毒がよく乗るようになってるじゃないか」
オルテンシア
「毒蛇にはお似合いでしょう?」
ラウシオン
けっ、っとそれには答えず運ばれてきた酒を呷り
オルテンシア
「……」依頼板を、そしてガルバの方に視線を巡らせる。緊急の依頼などは無さそうだ
ラウシオン
「……」ぐびぐび
「……ええい、何時まで目の前に突っ立ってる」
オルテンシア
「え? ああ、ごめんなさい。目障りだったかしら、それじゃあ私は向こうに行くわ」
「緊急の用件で癒し手が必要になるかもしれないし」
ラウシオン
「……」
渋い顔をしつつ一口酒を含み
オルテンシア
「……不幸が起こる事を望んでいるわけじゃないのよ……?」
ラウシオン
「別にそうは言っとらんし思ってもないわ︙おい、暇ならちょっとそこに座っていけ」
オルテンシア
と、なんだか的外れな釈明をしつつ、視界から消えようとして   「……え?」
ラウシオン
と、空の盃で向かいの席を示し
「酒はやらんぞ」
オルテンシア
「……えっ」 普段、伏し目がちにしている赤い瞳が丸く見開かれた。あっけにとられた表情をしている。 
「……どうしたの、大丈夫? もしかして、どこか具合でも悪いんじゃ」続いて、浮かんだ表情は本気の心配
ある意味、失礼極まりない話である
ラウシオン
「いややっぱ去ね。無性に腹立つわ」豊前
憮然
オルテンシア
「……ごめんなさい、貴方からそんな風に言われるだなんて思ってもいなくて」
ラウシオン
「本気で気の迷いだったと後悔してるぞこのアマ」
大きくため息一つ
「気の迷いがある内にさっさと座れ。どうせ暇を持て余してるんだ、少し儂の疑念を解消する役に立て」
オルテンシア
「……」 しゅんと項垂れていたが、再び座れと言われて顔を上げ、怪訝な表情を浮かべた
「疑念……?」
ラウシオン
「かっ……偶然、偶々、気まぐれに、まあそんな所の疑念だよ。普段なら放置する類の」さっさと座れと促し
オルテンシア
「……私で役に立てることがあるなら、喜んで」 対面側の席、少しズレた場所に据わりが悪そうに腰掛け
ラウシオン
「……」
座れと促した割に、しばし酒を飲んで言葉を発しない
しばし沈黙した後、ぽつりと口を開く
「お前さん――まあお前さん等姉妹どっちもだが、何でだ?」
オルテンシア
「……ええと、それで……」と、少し困ったように尋ねようとして、口を開いたのを見て言葉を飲み込んだ
「何で……?」 ひどく抽象的な問いかけに
ラウシオン
「そのへりくだった態度。媚びへつらってるならば解るが、その卑屈なそれは何でだ?」
問を放つ方も、実際普段なら放置すると言った通り漠然としたものだったらしい
問う言葉は曖昧だ
オルテンシア
「卑屈……そう見えてしまっているのなら、私もまだまだ配慮が足りていなかったのね……」
ラウシオン
自分でも上手い言葉が見つからないのか、酒を含みつつ言葉を探す
オルテンシア
「でも、私が居る事で不快に思う人も居るのだから、気を遣うべきなのは確かでしょう?」
ラウシオン
「厳密にはそうだのう……何故そんな人に謙ってまでここに居る?」
「そう言う態度が出来るなら、別に人の側である必要などあるまい」
オルテンシア
「……貴方達(ひとぞく)の営みに惹かれてしまったから。私はもうあちら側にはいられなかったの」
「きっと、心もなり損ない(ウィークリング)だったんでしょう、私は」
ラウシオン
――いまいち理解出来んな。何か、そんなよくわからん理由の為に飼い犬(首輪付き)の真似までしていると?」
オルテンシア
「こうして今、こちら側に居られることがどんなに嬉しいか……」 嬉しい、という言葉の割には憂いを帯びた笑みだった
「飼い犬、ね……」首輪に手で触れ
「ねえ、ラウシオン。貴方の仮面」
ラウシオン
「あぁ?」
オルテンシア
「後ろ暗いことが無ければつけてはいない。そう言っていたわよね」
ラウシオン
「かっ、よく覚えておるわ」
オルテンシア
「私も同じ。後ろ暗いことがあるの。貴方達(ひとぞく)に」
ラウシオン
「何か、要するにその謙った態度は償いとでも言うつもりか?」
オルテンシア
「償う相手が居なくても、過ぎたことだからって赦されることじゃない」
「だから、そう……償いの為に生きてきてつもりだったのだけれど」
ラウシオン
眉根を寄せ(雰囲気
オルテンシア
「……叱られてしまったわ」 誰に、とは口にしなかったが、困ったような、それでいてどこか嬉しそうに
ラウシオン
「かっ、殊勝な事だと言おうと思ったが、言う割に――いや蛮族らしく薄情な事で安心したわ」
オルテンシア
「薄情……?」
ラウシオン
「その償いとやらを誰かに否定されて嬉しかったんだろう?」
オルテンシア
「……ええ、そうよ。嬉しかった。私を仲間として受け入れてくれる人が居る、その気持ちが」
「でも、それが自分に都合の良い、甘えだってことも分かってる」
ラウシオン
「はっ、模範解答だのう」
「大体――いや、違うな話がそれる。別にお前が今どう思ってるだの仲間だのには興味はないわ」
オルテンシア
「あんな風に言われて心が動かないなら、初めから貴方達(ひとぞく)に惹かれはしなかったんでしょうね」
「そう」 あなたもその一人だと私は思っているのだけれど
ラウシオン
「……まあ近況報告は捨て置くとして、要するにお前さんは――人の側が好ましいから謙ってでも此方にいる、と?」
口にするも納得行ってない顔である
オルテンシア
「……ええ。それにこちら側に居れば、セシリーのような子を助けられるかもしれなから」
ラウシオン
「……理屈は解るが全く納得できんな。聞いたせいで逆に得心いかんなこれ」
オルテンシア
「私の代で変わらなくても、いつか、首輪(こんなもの)無しでも認められる日が来るかもしれない」
ラウシオン
その言葉には、かっ、と失笑を漏らし
「そいつは流石に寝ておるか酒をしこたまかっ喰らったような物言いだぞ」
オルテンシア
「……個として認められる者が現れたとして、種として受け入れられるかは別問題」
ラウシオン
「初心なわっぱ(エルミニオ)ではあるまいに、そんな事は無理だというのを――そら、態々人の側に来たお前がわからんはずも無いだろう」
オルテンシア
「もし、それと錯覚してしまうようなら……その意識自体がとても危険な事。木を見て森を知ったと思うようなもの」
ラウシオン
「忌々しいが、その辺りは弁えていて一安心だ。これでわっぱの様な事を言い出したら席を立っていたわ」
オルテンシア
「そんな錯覚を起こすことを、望んでしまうのはやっぱり私が薄情な蛮族だからなのかもね」
ラウシオン
「人にとって蛮族は恐ろしい敵だ、この事実、数千年以上の時を超えて積み重ねたこの事実は覆らん」
オルテンシア
「ええ。その通りよ。蛮族にとっても人は搾取する相手、家畜に劣る弱者だと思っている」
ラウシオン
「かっ、弁えているならばそう言う態度をこそとって欲しい物だがな」面倒がない。と
オルテンシア
「弁えているから、牙の抜けた飼い犬として此処に居るのだけれど?」
ラウシオン
「毒蛇が飼い犬のつもりか?随分可愛げある見積もりだな」
皮肉で返すもイマイチ切れ味が鈍いのを自覚して舌打ち
オルテンシア
「だって、蛇のままでは首輪を抜けてしまうでしょ」
ラウシオン
「そう言う意味ではないわ――ああくそ、完全に気の迷いだった。文字通り藪蛇だっ」腹立たしげに酒を呷り
オルテンシア
「ふふふ」
ラウシオン
苛立たしげに酒を呷り自分の失態を想う
オルテンシア
「私はそれでも嬉しかったわ、こんな風に皮肉を言い合える相手なんて初めてだもの」
ラウシオン
思った以上に、自分と被せて見てしまった
そもそもそう言う点があったからこそ聞かないような事を聞いてしまった事に気づくも後の祭りだ
オルテンシア
そう言って酒瓶に手を伸ばし、彼が干した杯へとその中身を注ぐ
ラウシオン
「…かっ、儂は蛮族は嫌いだ、信用も出来ん、皮肉ではなく本心だ」
オルテンシア
「怖い、じゃなくて?」
ラウシオン
「はっ、誰が怖がるかよ。儂は魔神狩りだぞ?蛮族なんぞ倒す敵であっても恐れはせんわ」
注がれる酒は拒否せず
オルテンシア
「そう、なら蛮族が注いだ毒杯くらいは訳がないわね」
ラウシオン
「嫌いと言う言葉の意味わかっとるか?」言いつつ一息に飲み干し
オルテンシア
「あちらの言葉では同じ意味よ」
ラウシオン
「…まあ、蛮族を儂は仲間と思う事は無いがな、お前の理屈は理解したさ。業腹だが疑念は晴れた」
オルテンシア
「私とセシリーを敵と思わないでくれるなら、それだけ十分よ」
それだけで
ラウシオン
「かーっ、面倒くさい連中だ!人恋しさ程度で敵方に寝返るとか意味わからんわ」
オルテンシア
仲間と思わない、を 敵と思わない に置き換えて理解した
ラウシオン
「しかもこの忌々しい剣の結界を押してまで居付くとか、完全に酔狂の所業だろう!」
語気は荒いが完全に八つ当たりとかそう言うそれである
オルテンシア
「忌々しいって……貴方はそれほど感じないんじゃなかった……?」
ラウシオン
「……貴様らにとってだ、儂は別にどうということはない」
オルテンシア
「……私達は文字通り弱いから、そこまで痛痒には感じないわ。でも、ありがとう」皮肉ではない笑みを浮かべる。それこそが皮肉に感じるとしたらそれは仮面の下の心が発するものだろう
ラウシオン
「大体儂は――――」まあそもそも隠す気は無い話なのだ
が、まあ別にそれを態々蛮族くんだりに語る必要もまたない。言葉はそのまま酒と一緒に飲み込んだ
――かっ、全く無駄に長々と話し込んでしまったわ。おかげで余計な事まで口走る羽目になった」
オルテンシア
「セシリーに同じ事を聞くときにも、余計なことを言ってあげると喜ぶと思うわ」
私みたいにね、と微笑み
ラウシオン
「二度と聞くか、馬鹿馬鹿しい」同じ轍は踏まん
「かっ、腹立たしい。全く嫌な女だ」と、席を立ち
オルテンシア
「人って好きなものを語る時にも饒舌になるけれど」
ラウシオン
「要らん手間を取らせた――と言うか要らん手間をかけたな儂?耄碌する歳じゃないぞまだ」
オルテンシア
「嫌いなものを語る時も、同じくらいに饒舌になるものよね」
ラウシオン
「本当に嫌な女だな、お前」声音が全力で嫌そう
「かっ、精々憎まれ口叩く相手は気をつけて、尻尾を振る相手に毒をぶち撒けんようにするんだな」
オルテンシア
「ええ、これでも人をずっと見続けて来たから。人に合わせて尻尾の振り方を変えるくらいの知恵はついたのよ」
ラウシオン
「ふん――」小銭だらけの酒代を机に置き、踵を返す
と、そのまま立ち去るかと思えば立ち止まり
オルテンシア
「ありがとう,とても楽しかったわ」
ラウシオン
――蛮族を仲間と呼ぶ気はない、が、牙を向かん限り許容くらいはしてやる」
オルテンシア
「……?」去っていく背中に声をかけたつもりが立ち止まり、思わぬ言葉をかけられて、きょとんと
ラウシオン
「精々懸命に尻尾を降るんだな、オルテンシア
当然のように答えを待つこともなく、一方的に告げるだけ告げて店を出ていくのであった
オルテンシア
「……」
絶句して、しばし放心してから我に返り
ラウシオン
ちょっと境遇が重なる部分見つけてしまったのが運の尽き
おかしいな、こんなデレるつもりはまだなかったんだが
オルテンシア
「……仮面も役に立つものね」
素顔と素面で向き合っていたら、きっとあんな余計は零れてこなかっただろう。
オルテンシア
まだ
ラウシオン
デレのないツンとか害悪だからね
オルテンシア
残された盃に酒を注ぎ、呷った
ラウシオン
ではこんな感じで
オルテンシア
素面ではいられないのはこちらも同じこと
オルテンシア
うむ
ラウシオン
お付き合いさんきゅー
オルテンシア
その日はほろ酔いで神殿へと戻り。知己をとても驚かせたという
オルテンシア
いえーい
ラウシオン
いえーい
オルテンシア
20220727_1
ラウシオン
どろん
オルテンシア
ログはこう
では掃除!
背景
BGM