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- が入室しました
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- ――王都イルスファール、冒険者ギルド支店〈星の標〉。
- 輝く太陽の下、ひとりの少年が木剣を片手に大の字に倒れ伏している。
- 首元に巻かれている白いタオルは既に呆れるほどの汗を吸い取っていて、
- 乱れた息は乾いて、投げ出された四肢に力は入っていない。
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- Avid (Fingerstyle Guitar)100%
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- ――後悔というものが嫌いだった。
- 自分がしてきた事を、自分で無駄にしてしまう様で。
- その瞬間を生きた自分を、仲間を、敵を否定してしまう様で。
- だから、後悔はしない様に生きてきた。それは、この大陸に流れ着いてからも変わらない。
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- ――無力というものが嫌いだった。
- 奪われるのも、害されるのも、全ては自分が無力だからだと思う。
- “この世の不利益は、全て当人の能力不足”。
- 魔神の言葉が、消えない。違うとも、違わないとも言えないその言葉が、ずっと腹の底にある。
- だって、少なくとも。
- あの日は、間違いなくそうだった。――力があれば、あの魔神だって。
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- だから、力が欲しかった。
- 奪う為の力じゃなく、護る為の力が。
- 誰にも奪われない力が、欲しかった。あの時、流れてきて死にかけたあの日に、そう強く願った事を覚えている。
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- 記憶の泥濘の中で、不確かな記憶が再生される。
- 顔も名前も、声だって思い出せない相手に、俺は確かに護られた。
- 自分を擲って護られるのは、本当に。本当に、気分の悪いものだったと。
- 深く、深く思い出した。――あまりにも身に覚えがないものだから、“思い出した”という言葉を使うのは、少し変だけれど。
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- エルミニオ
- 「――っ、だあっ!」 大の字に横たえていた身体を、ぐいと引き起こす。
- のろのろと這って行くと、すっかり温く……を通り越し、熱くなってしまったそれに口を付けて嚥下する。
- わしゃり、ぐしゃりと髪を弄り回し、滲んだ汗をタオルで強引に拭い去る。
- 少しでも身体を動かしていなければ、しないと決めた後悔とたらればが頭の中を支配して、
- けれど“スモールボックス”に踏み入る事も出来ない現状に、どうしようもない程に苛立っていた。
- 結果、向けられたエネルギーが向かう先は鍛錬で、そしてそれは身体が許容する範囲の限界まで差し迫っていて
- 身体を鍛えているのだか、ただ痛めつけているだけなのかもわからない時間を、ただ過ごしていた。
- 都合何度目かもわからない鍛錬を繰り返して、
- 再び身体が限界を迎えて ごろんと大の字に中庭へと転がる。
- 「……」 太陽は既に、鍛錬を始めた頃の位置から自分の頭の上を跨いで逆側に回っていて
- それが、ただただ時間だけが過ぎている事を否が応にも自覚させて来る事に、少年は小さく息を吐いた。
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- ――後悔というものが嫌いだった。
- 嫌いで、大嫌いで、二度としたくもなかった。
- だから、自分の心には決して嘘は吐かなかった。
- セシリアやオルテンシア、生まれながらに差別されるウィークリング達を前にした時も。
- コーデックスの様に、生まれながらに“本”として扱われ、同時に召異術師である事から忌避される者を前にした時も。
- ラウシオンやダニングの様に、“普通”の反応を返す者を前にした時であっても、それは変わらなかった。
- 友であり師でもあるユーリスやオリヴィアを前にした時にも、思った事を言って、感じた事を伝えて来た。
- それらは全て、悔やまない為だ。
- 否定しない為だ。言い訳をして、昨日を恨まない為だ。
- 「……くそっ」 だというのに、あの日の事はその決意を揺らがせる。
- 大の字に横たわりながら一つ吐き出すと、
- 大きく息を吸い込み、それを溜めて――
- 「……っ、ぁああぁぁあああぁ―――――――ぁあああっ!! くそッ!!」 後悔そのものから来る罵声と、後悔をする自分へ向けた罵声とが、中庭に木霊する。
- はあっ、と荒く息を吐きながら、勢いよく上体を起こす。
- 見知った仲間を失う度に、こんな気持ちになるのだろうという確信が胸の内にあって、
- まだ失った訳じゃないだろうと思い返し 様々な思考が頭の中を埋め尽くしていく。
- 「――どっちにしても、」
- こんな気分になるのは、こんな後悔をするのは、二度とごめんだ。
- 胸元に提げたザイアの聖印を手繰って、それを強く握る。
- こいつの事は、まだよく知らない。教わってこそいるけれど、まだまだ、知らない事が沢山ある。
- 握った聖印をゆっくりと離し、起こした上体をまた倒し
- 「……何が来ても護れるくらいに、もっと強く、ならなきゃな」 呟くと、
- ぐっと身体に力を込めて勢いよく起き上がると、再び木剣を手に それを振り始める
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- トリアーエズここまで。
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- オルテンシアが入室しました
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- ようこそ、バーボンハウスへ
- オルテンシア
- サービスでなくてもいただくわ
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- 起き上がって中庭でぶんぶんしてる所に来てもいいし
- 終わった後に標に戻っていってもいいぞ
- オルテンシア
- 男には見られたくない姿もあるものでしょう?
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- その判断が出来る状況かはまた別なのさ
- オルテンシア
- しょうがないにゃあ
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- オルテンシア
- じゃあ日が暮れたところで行くわ
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- いいぜ。いつ話が来ても良い様に依頼に出るつもりはないけど鍛錬ばかりしているだろうから。
- そうして、やり場のない怒りと焦燥を己の身にぶつけるかのような鍛錬は夕暮れ時まで続き――
- 疲労の限界に達し、その場に倒れ込むように紅に染まった空を見上げていると、ふとその場に自分以外の気配を感じるだろう。
- たった今やって来たのか、ずっと前からそこに居たのか。
- エルミニオ
- 「――っ、はあ」 これ以上は何にも出ない。からっからで、剣を持つ事だって出来やしないだろう。
- 視界に広がる紅に目を細めて、ふう、と吐息が漏れた所で、
- いつから在ったかも定かではないその気配に、ずるずると上体を起こして視線を向けた。
- 「お前――」 からからに乾いた声が漏れて、服も髪も汗でべったりと肌に張り付かせた少年は怪訝そうに眉を顰めた。
- オルテンシア
- 「……」 長身の女性が一人、じっと少年を見つめている。いつも哀しげに伏せられた赤い瞳の女だ。
- 「……」 少年と目が合うと女は小さく息を吐き、それから近付いてきた。その手には水差しが握られている
- エルミニオ
- 疲労が重なっている様子の少年は、女性を見るとすっくと身体を起こした。無論、無理をしていない訳ではなかったが、
- ともあれ、少年にはそのままへばっている、という選択肢はなかったのだ。
- 「さんきゅ。……悪い、店まで聞こえるくらい、うるさかったか」
- オルテンシア
- 「お疲れ様」 無理して起き上がる少年を止めようとはせず、水差しを手渡した。
- エルミニオ
- 鍛錬中に声が出ている事は理解していたつもりだし、それを長く続けていたのも自覚している。ガルバから何か言われたのだろうかと、オルテンシアを見遣る。
- オルテンシア
- 「ここを使う人は他にも居るわ、気にしないで平気よ」
- エルミニオ
- それを受け取ると、すっかり空になり太陽に熱されたグラスに注ぎ ぐいっと煽る
- 「そっか」 苦笑する姿には、どうにも元気、或いは気力はない。
- オルテンシア
- おだやかな微笑を浮かべてそう告げるが、いつもの元気がない少年の姿に再び目を伏せ
- 「……セシリーから、聞いたわ」 同族であり、同じ神の声を聞く彼女の血のつながらない妹分の愛称を口にする。
- エルミニオ
- 「……、ガルバに言われたんじゃないなら、どうしたん――」 言葉を紡いでいた唇が動きを止めて、ふっと視線をオルテンシアから外す。
- 「……そうか」
- オルテンシア
- 先日の依頼、彼女はエルミニオと共にある遺跡の探索に向かった。それを知っているのだという。
- エルミニオ
- セシリアから伝わって、オルテンシアがそんな表情をする様な事など、一つしか思い浮かばなかった。
- オルテンシア
- 「ヨハンにも話を聞いてきたわ。大体の事情は把握できたと思う」
- エルミニオ
- けれど、何を言えばいいのかエルミニオにはすぐに整理が付かない。
後悔も焦燥も怒りも、そのどれもが言葉にするべきものではないと感じた。
- だから、 「……状況が整ったら、絶対連れ戻す」 言うべきは、次の事だと思った。
- オルテンシア
- 「そうね。私達も協力は惜しまないつもり」
- エルミニオ
- 「入れる様になったら、すぐに突っ込むつもりだ。ガルバにも、何かあったらすぐ伝える様に言ってある」
- オルテンシア
- 「そう思うのなら、もう少し体を休めるのね……今の貴方には店主さんも声を掛けるか迷うでしょうね」
- エルミニオ
- 普段、会話する時はじっと合わせる視線をすっと脇に逸らした。
- 「……じっとしてられないんだよ。身体を動かしておくくらい、いいだろ」
- オルテンシア
- 「コーデックス、あの子は無事よ。今、あなたに出来ることは、いつ事が起こっても良いように心と体の余裕を持つこと」
- エルミニオ
- 「解らないだろ、そんな事。……あの匣の中には、魔神どもだけじゃなくて他にもいる筈だ。死体だって、あったんだから」
- 「それに、奥で見かけたあのデカブツを相手にするにしたって……今のままじゃ、駄目だと思うんだよ」
- オルテンシア
- 「あの子は、鍵よ。アーマメントはあの子を攻撃の対象と見做さなかった」
- 「インフィニティにとって、あの子は価値のある財産。支配はしようとするでしょう、けれど害する意味はない」
- エルミニオ
- 「“教主”だかなんとかの権限を持ってる奴がいたら、あいつはそいつの言う事を聞くんだぜ」
- オルテンシア
- 「貴方達だけが外へ排出されたのは、あの子が鍵としての権限と機能を持っている証」
- 「でも、その場に“教主”やインフィニティの構成員はいなかったのでしょう?」
- エルミニオ
- 「……それがまだ残ってたら、じゃあ、回収しない訳無いだろ」 だとすれば、それは自分達が居る時でも構わず回収に来る筈だ。そんな思考すら回す余裕がないのか、目も合わせずに少年は重ねる。
- オルテンシア
- 「なら、貴方達を外へ出したのはあの子の意思で」
- 「だからこそ、あなたはあの子を救い出したいのでしょう?」
- エルミニオ
- ぐっと視線を合わせると、力の籠ったそれを交わした。
- 「当たり前だろ、仲間なんだから」
- オルテンシア
- 「……」 長い銀の睫毛の下、真紅の瞳を笑みの形にしてその言葉に頷き
- エルミニオ
- 「そもそも、……何で全員で出なかったんだよ、あいつ」 がしがしと頭を掻いて、ぷはあ、と息を吐く。
- オルテンシア
- 「だったら、信じてあげましょう。あの子に善意……と云えるものが芽生えているか、まだ分からないけれど」
- 「あの子は賢くて合理的な判断が下せる。そして、あの遺跡で得られるものを心から求めていたでしょう」
- 「その選択は貴方達を助けた。でも、同時にあの子自身にとってもその時取れる最小の選択であった筈よ」
- エルミニオ
- 「……、」 怪訝そうにオルテンシアを見上げた。 「最小の選択って?」
- オルテンシア
- 「最小で、最良の選択。たぶん、だけれど、遺跡内に許可なく侵入した者を退去させるような仕組みがあるのだと思うの」
- エルミニオ
- 「……何か、操作してたのは間違いないって思ったけど」 思い返す様に、その瞬間の事を想起する。
- オルテンシア
- 「それを働かせる為には、彼女が捜査する必要があった。ゲートっていう出入口があるのに、離れた場所でそんな仕組みが容易に動いては大事でしょう?」
- 「だから、ゲートの場所までの撤退も難しい状況で、あの子は一番リスクの少ない選択、最小の選択をしたんでしょうね」
- エルミニオ
- 「詳しい文言は、覚えてない。でも、」
- 「そうだと思う。何か、唱えてたから……それなら、先に言っとけっての、あいつ」
- オルテンシア
- 「あのSドライブという機構は、魂を取り込めば取り込んだだけ力を与えてしまうから、交戦させるという事自体がリスクだったのでしょう」
- 「そういう手段も取り得るってこと、説明されていたら、納得した?」
- エルミニオ
- 「そりゃあ、」 ばっと口を開き、数瞬後にはうぐ、と怯み
- 「……」 もごもごと唇を動かしてから、緩く頭を振った。 「しない。絶対」
- オルテンシア
- 「反対されるから気を遣ったのではなくて、聞かれなかったから答えなかっただけかもしれないけれどね」 ふっ、と微笑して
- 「私達は匣に入るための鍵を失くしてしまった。だから、身動きが取れない」
- エルミニオ
- 「……どっちもしそうだよ」 肩を竦めつつ、続いた言葉に頷いた。
- オルテンシア
- 「でもね、考えてもみて頂戴。 あの子は鍵だけれど、同時に自分の意思で考え、歩き、話すことが出来るヒトだわ」
- 「箱の中に鍵を入れたまま鍵を閉めてしまった、というよりは――」
- 「鍵を持った子を家に置いて外に出てしまったのと同じだとは思わない?」
- エルミニオ
- 「……元から、あいつの事を本だとか物だとかって思った事はないよ」
- オルテンシア
- 「だからよ。ノックをしたら内側から開けてくれるかもしれない、でしょ?」
- エルミニオ
- 「あいつ、言ってた。俺達を匣から出す前に、“お気を付けて”って」
- オルテンシア
- 「ええ」
- エルミニオ
- 「……けど、その家の中に、何がいるか解らないから焦ってるんだ。今までがそうってだけで、これからも何もされないかは、解らないから」
- 「悪い、自分でもなんか、ごちゃごちゃ考え過ぎだ」
- オルテンシア
- 「気持ちは、とてもわかるわ」少年の手をとって、自分の両手で包み込んだ。
- エルミニオ
- ぶんぶんと頭を振ると、改めて立ち上がろうとして、
- オルテンシアが手を取れば、目を白黒させながらそれを見遣った。
- オルテンシア
- 「あの時、先に居るのがセシリーだって知った時、私も平静ではいられなかった」
- 「だから、あの子を助けることを望めって言われた事……本当は、……本当に嬉しかったの」
- 「心の望むままに進むことが出来ないというのは、不自由で、不安で、堪らないものだわ」
- 「だから、今、あなたが感じている焦りも不安も、よく分かる」
- エルミニオ
- オルテンシアの言葉を聞きながら、小さく頷きを返しつつ、その手を握り返す力が強くなっていく。
- オルテンシア
- 「私は、あの時の貴方のように、その焦りや不安を取り除く道を示せてはいないけれど……」
- 「道が開かれるのはそう先の事じゃないわ。だから、今はちゃんと休みましょう?」
- エルミニオ
- 「……、」 息を吐くと、オルテンシアの手を一層強く握り返して、
- 「ああ。……ごちゃごちゃ考えるのはやめにする」 普段通りに、というには少し力が抜けていたが、朗かな笑みを見せて
- 「助けに行く、助けて帰る。それだけで良かったな」
- オルテンシア
- 「ええ……ええ」
- エルミニオ
- 「その為にも」 「まずは鍛錬はちゃんとしなきゃな。今日と同じじゃいざって時に動けねえし、もうちょっと減らして……」
- オルテンシア
- 「ヨハンも言っていたわ。『貸し切りの準備は任せとけ』ですって」
- エルミニオ
- 「ああ。“とびきり”を頼んであるからな!」
- オルテンシア
- 「……それは楽しみね」
- エルミニオ
- 「当然、」 「一緒に来てくれるんだろ、2人とも」
- オルテンシア
- 「同行の許可が降りたら、勿論、協力させて貰うわ」
- これは奪還作戦(仮)の事を言っているのだな、というのは付き合い上、分かるだろう。
- エルミニオ
- 「これまでも突入には関わってるんだし、大丈夫だろ。……」 それだけで良かった、と口にしてからは、
- 少し腑抜けている事以外は、普段通りそのもので それまでに浮かべていた焦燥も怒りも鳴りを潜めている様に見える。
- オルテンシア
- 奪還記念の打ち上げに呼ばれるだろうという意識の無い女
- オルテンシア
- 「今までの経験が活かせるという点では、そうね。適任だと思っているわ」
- 「ただ、実際の判断を下すのは依頼元側でしょうから……その時は、貴方に託させて頂戴」
- エルミニオ
- 「オルテンシアやセシリアが入るのがダメだ、なんて言われたら、良いって言うまで粘ってやる」
- 「お前達にとっても、コーは大事な仲間だろ」
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- そういう意味かこいつ(平手打ち)
- オルテンシア
- パーン
-
- ○連続攻撃Ⅱ
- オルテンシア
- 「……ええ、勿論」
- エルミニオ
- 「仲間を助けに行くのに、種族も何もあるかよ」 ふん、と鼻を鳴らした。
- オルテンシア
- 「あの匣の中から、あの子が自分に必要だと思えるものを見つけ出した後……」
- 「はじめて、あの子は自分の道を歩き出せる。そんな風に思っていたわ」
- 「出来れば、その手助けをしたいから……口利きをしてくれるのは嬉しいわ」
- エルミニオ
- 「俺もだよ。……権限が無けりゃ、自分の事も自分で決められないって言ってたから」
- 「それを持って、自分の事、自分で決めてさ。ただの“本”ってだけじゃなくなったらって思ってた」
- 「俺も、その助けになりたいんだ。……オルテンシアと一緒だ、変わらない」
- オルテンシア
- 「……誰かに手を差し伸べようとするとき、自分が何者かになれたような気がする。
だから、誰かを助けるってことは、きっと自分を救うことにもなっているんだわ」
- 「だから、私のはきっと自分の為のこと」
- エルミニオ
- 「……」 んー、と眉を顰めつつ言葉を受け止めると、
- 「何でそんな……予防線っていうのか? 張るんだよ」
- 「誰かの為って、そんなに大事な事か? したくてしてる、でいいだろ」
- オルテンシア
- 「……私が此処に居る為には必要な事だから」
- エルミニオ
- 「……どういう意味だよ」
- オルテンシア
- 「ごめんなさい、余計な事を考えてさせてしまって」
- 「……そろそろ戻らないと、貴方もちゃんと休んでね?」
- エルミニオ
- 「待てって」 ぐい、と手を引くと、じっとオルテンシアの瞳を覗き込む。
- 「どういう意味だ、って聞いてるだろ。それにな、」
- 「俺が仲間の、命の恩人の事を“余計”だなんて一言で片付ける様な恩知らずに見えてるのかよ、お前には」
- オルテンシア
- 「……!」踵を返して去ろうとしたところで手を引かれ、振り向かされる。真紅の瞳が驚きに見開かれ
- エルミニオ
- 「確かに弱いわ負けっ放しだけど、なあ。そんなくっだらない男に見えてるか、オルテンシア」
- オルテンシア
- 「……」 真っ直ぐ向けられた視線から逃れるように、瞳が左右に揺れ、結局下向きに伏せられ
- 「……ごめんなさい。失言だったわ」
- エルミニオ
- 「いいよ。……言いたくない事なら、これっきりだ。大きな声出して、悪かった」
- オルテンシア
- 「……私は、……」 迷子の様な表情で何度か口を開きかけ、 「……いいえ」
- 「……コーデックスのこと、解決したら」
- エルミニオ
- 「ん?」
- オルテンシア
- 「……その時は、聞いて……貰える……?」 普段の柔和さや気さくな様子が鳴りを潜め、怯えながら窺う、そんな様子で
- エルミニオ
- きょとん、とした表情を浮かべたが、
- オルテンシアの様子に、彼女が抱えているものの一端、その更に一端を察する事は出来たのか
- とん、と胸を叩き、今度こそ普段通りの、或いは普段よりも朗らかな笑みを浮かべた。
- 「ああ。どーんと来い!」
- オルテンシア
- 「……ごめんなさい、ありがとう」
- やはり、いつものように伏し目がちの微笑を残して、その場を後にした。
- エルミニオ
- 「何で謝るかな」 苦笑しつつ、オルテンシアを追って中庭を後にする。
- その表情は、中庭に入り浸っていた時よりもずっと明るいもので、
- オルテンシア
- 勇気づけたかったのに余計な心配事を負わせてしまったわ……
- エルミニオ
- 吹っ切れた様子で 少年は元気にシャワー室へと歩いて行った。
-
- 勇気付けられたのは間違いないし余計じゃないからwinwin
- よしじゃあこんな具合かな! お付き合いありがとう!
- オルテンシア
- 出立前に良いやりとりができた!
- ヨシ!
-
- ヨシ!
- 20220721_3 ログにゃ!
- オルテンシア
- 撤収!