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幕間

20220626_1

!SYSTEM
リタが入室しました
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クリスタリアが入室しました
リタ
導入はお任せしていいかしら
クリスタリア
はい。ではよろしくお願いします。




 
――王都イルスファール、冒険者ギルド支店〈星の標〉。
日々、多くの依頼と冒険者とがやってきては出て行くその宿の名は広く知られている。
高名な剣達を始めとした、高い依頼達成率は勿論 店主らによって振舞われる料理の味もまた、評判の良いもので
後者を理由にやって来る、休日の冒険者らも多い。
 
夕食時の店内で、壁際のテーブル席に一人の少女が腰かけている。
薄桃の艶やかな長髪を持ち、纏っているのは友人に選んで貰った少女らしい洋装だ。
華美過ぎず地味過ぎず、流行をキャッチしている服は、彼女を知る者からすれば自分で選んだものだとは誰も思わないだろう。
クリスタリア
テーブル席の向かいには、まだ誰もいない。自分の荷物を置いて、待ち人が居る事を示しつつ 
リタ
よろしくお願いします
クリスタリア
テーブルには紅茶のみが置かれていて 少女は何をするでもなく、静かに席に着いている。
クリスタリア
このくらいでしょうか
リタ
わかったわ
話があるっていうことでいいのかしら
それとも私が誘った形?
クリスタリア
前回の依頼から戻った後、こちらからお誘いした形で大丈夫です
リタ
わかったわ
リタ
「──ごめんなさい、またせちゃったかしら」
クリスタリア
声が聞こえれば、ぱち、と瞳が瞬いて席を立つ。
リタ
声をかけるのはオレンジがかった茶色い髪の少女で 青い瞳をにこやかに向けている
リタ
この服を選んだのは私?
クリスタリア
どちらでも大丈夫。マギテックギルドの知り合いでもリタでも。
リタ
じゃあ知り合いに任せようかしらね
クリスタリア
はい
リタ
「その服、どうしたの?とってもよく似合ってるけれど」
クリスタリア
「いえ。私が予定時刻よりも早く訪れておりましたので」 頭を振ると、自分の荷物を持ちあげた。
「服装について、指摘を受けることが多かったので」 自分の足元に荷物を置き直し。
「こちらに保護された際、お世話になったビッグボックスの方に相談させて頂いた所、この様に」
リタ
「なるほど。技術屋さんにしてはいいセンスしてるわね」 と指を立てて論評しつつ
クリスタリア
「依頼に出る際は、普段同様にスーツを着用していますが」 それからマントを羽織っています、と続けつつ 席を示し
「お伝えしておきます」 こくり。
リタ
ちょっとだけりせき
クリスタリア
はーい
リタ
戻ったわ
クリスタリア
おかえりなさい
リタ
「ただそうねぇ、アクセサリをもうちょっと合わせてみるといいかもね」
「素材がいいから、小さいものでもクリスタリアの可愛さを引き立てられるはず」
クリスタリア
「装飾品、ですか」 言われて、リタの耳や首、指先に視線をちらちらと伺ってみる。
リタ
ラル=ヴェイネ製のアクセサリがあちこちに身につけらて居るのだが 品がよく 服装にもよく合っている
「──それで、」 対面の席に腰を下ろすと 「気分転換は出来た?」
クリスタリア
「……参考にします」 じ、とそれらを見つめつつ リタが対面に座れば、店員に声をかけて呼び付けつつ
そ、っとメニューを差し出した。
リタ
「コーヒーをお願い」
それを受けてキャロラインが下がって行って
クリスタリア
「気分転換は、……半々、でしょうか」 きゅっと服の裾を掴みながら、申し訳なさそうに。
リタ
「そ。ゆっくりでいいのよ」 手を伸ばすと髪に触れて
「あんまり気分転換するぞーってやって上手くいくことはないわ」
笑みを浮かべて
クリスタリア
「折角提案して頂いたのですが、」 髪に触れる手には甘える様に僅かだけ顔を寄せて。 「王都を発つまでと、戻って――
「……打ち上げ、というものにお誘いを頂いたのですが。それが終わってからは、」
「考えると、やはり」 
「……」 「何もせず、この場に居ていいものかと、強く感じます」
リタ
「……それはどうして?」
クリスタリア
「あの都市の調査を行うには、私が赴く必要があるとも思います。現在はまだ、カルティエは動いてこそおりませんが」
「私達が見聞きしたものの他にも、より深い所で暗躍していると感じますし、」
「……保護した方の他にも、同様の扱いを受けている方がいらっしゃる可能性は、極めて高いです」
リタ
「……そうね、それは否定しないけれど」
「責任を感じてしまっているの?」
クリスタリア
「……恐らく、そうだと思います。“マザー”の言葉も、」
――『貴方が戻らなければ、カルティエは市民共々滅び去ることになるでしょう』。
「…………考えると、何が正解なのか、解りません」
リタ
「そうねぇ」 コーヒーを受け取ると 一口啜って
「ねえクリスタリア」
「服ってどうやって作ると思う?」
クリスタリア
「……」 ぐるん、と思考が迷って 瞳から力が抜けかけた所で、
「ふく、?」 思わぬ問いに、抜けた声が溢れた。
リタ
「布…生地からできるのは分かるわよね?」
「魔動機文明時代はいざしらず、」
「今は布からなにも見ずに作ることって出来ないのよ」
「まず型紙、布をどう切り取るかの目安になる厚紙を作るわ」
クリスタリア
「ぁう、その……、リタさん……?」 続いて行く言葉に翻弄されているのか、珍しく表情が動く。
リタ
「その後に型紙に合わせて布を切って、それから微調整していくのよ」
「体型や胸の厚さ、腰の周りや足や腕の長さに合わせてね」
クリスタリア
「……」 聞いて、という意図を感じ取って 頷くと、彼女の言葉に耳を傾け、
リタ
「……、でも、目安がないと、まずは進めないのよ」
クリスタリア
頭の中に、ひとつひとつイメージが作り出されていく。
リタ
「クリスタリア、責任を感じて行動を取ろうとしている事は良いことよ」
「でも貴方の行動に目安や指針はあるかしら?」
クリスタリア
「……、」 浮かんでいたイメージ達が、一度退いて行く。
視界の中には、自分の色――薄桃と紫の布がぶわりと広がって、
手元には、それを裁つ為の鋏があって けれど、それをどうするかを判断するものはなく
漠然と、ただただ立ち尽くしている。 「――、いいえ。何から始めたら良いのかは、何も」
リタ
「そうでしょう?、ただ何かやらなきゃってなっちゃってるだけなのは」
「空回りって言うのよ」
「本当に何の目標がない時は、それも良いのだけれど」
「貴方には最終的な目標は見えているけれど決めかねてる。そしてそこに至るまでの道筋も描けてない」
「それで進んだらちょっと危ないって、私は思うわ」
クリスタリア
「ですが、……今、確かに問題がそこにあるのに、目標までの道筋も、そしてそれをどう描けばいいか私にはわかりません」
リタ
「分からないで進んで、それでなんとかなると思うの?」
「……、ねえクリスタリア」
優しい声音で 目線を合わせる
クリスタリア
「……」 少女は、空回りはしていても愚かではない。その問いの答えは直ぐに浮かんだ。
リタ
「全部一人でやる必要はないのよ」
クリスタリア
けれど、何も出来る事が無いというその歯痒さに、瞳が少し弱って リタに合わされる
リタ
「目標までの道筋を描くのも、そこまでの手段も、得意な人に任せるっていうのも手なの」
クリスタリア
「……、」 ならば、誰に任せれば、委ねればいいのか。思案すれば、眼前の彼女を含めて数人が浮かんでくる。
リタ
「最後の決断は確かに貴方がしなければいけないこと」
「でも、それまでの過程は、きっと貴方一人でやらなければならないことではないはずよ」
クリスタリア
「それは、……では、」
リタ
「大丈夫、貴方は一人じゃないのよ」
クリスタリア
「……貴女は、リタは、描いてくださいますか。私は、どうしたら良いのか、自分に何が出来るのか、いいえ、私が何者なのかも、何もわかりません」
リタ
「……、私一人じゃ描くことは出来ないわ、でも」
「一緒に考えてあげることは出来るわ」
手を重ねてやると ゆるく握って
クリスタリア
握った手は、じっとりと汗ばんでいる。思考が空転を続けているのも、それが常日頃からである事も、そしてそれが少女にとって大きな負担である事を、身体は確りと叫んでいた。
リタ
「だから、悩み続けないで、大丈夫よ」
クリスタリア
ふう、と息が抜ける。委ねるか委ねないかを判じ損ねている様子で、しかしゆっくりとその手を握り返した。
「……知恵を、貸してください。私が、どうすれば良いのか。……どの様な型紙を持って、裁てば良いのか。それを、明らかにする為に」
リタ
「……」 何も言わず青い瞳で見つめて
小さく頷く
「まずは、力をつけて味方を増やすところから初めましょ」
クリスタリア
「力と、仲間……ですか。都市の調査に向けて、ですね?」 
リタ
「それもあるけど、」
「都市の解決だけで貴方の人生が終わるわけじゃないわ」 ふふ、と笑って
「これからもこの仕事を続けるにせよ、」
「他の道をあるくにせよ、その2つは貴方にとって大事なものになるのよ」
「だから、積み上げるところからはじめましょうね」
「すぐにどうこうしてこないってことは、相手にも動けない事情があるはずよ」
クリスタリア
「……、あ」
人生がそれで終わる訳ではない、と聞けば、間の抜けた声を漏らす。――大真面目に、だ。
思考は完全にそれをゴールとして回っていたのだろう。かの都市を解決し、“マザー”を止める。
それから先の事は、まるで考えてもいない。 
リタ
「ちょっと目の前を見すぎね」 よしよしと頭を撫でてやって
「そういう時こそ、遠くを見るものよ」
クリスタリア
「……それだけが、私が目覚めた理由だと思っていた様、です」 撫でられれば、心地よさそうに目を細めた。
「遠、く……?」
リタ
「そう。その先のこと」
「したいことでもいいわ」
「こんなところで終われないって思うから」
「頑張れることはあるから、ね」
頭から手を離してやって 笑いかける
クリスタリア
「……、……」 先のこと。先のこと――
「……難しいです。リタさん、貴女は先に何を見ているのですか?」
リタ
「そうね、例えば」
「クリスタリアが心の底から笑えるようになる場面、かしら」
ふふ、と笑って
クリスタリア
ぱちり、と瞬きをして。
「……自分の事、でなくても良いのなら」
「私は、私が得た全ての繋がりと、」
「その方々が望む“先”を、見届けたい、と思います」
リタ
「それでいいのよ」
頷いて
クリスタリア
「……ですが、漠然としています」
「不鮮明で、漠然としていて それを見届けられる事を、望まない方もいらっしゃられるかもしれません」
「……良い、のでしょうか。これはつまり、」
「ヒトの幸せを見続けたい、という私のエゴです。……これで、いいのでしょうか」 じっと、リタの瞳を見つめ。
リタ
「いいのよ、」
「それが貴方の"夢"でしょう?」
小さく笑って
クリスタリア
「ゆめ……」 
――、」 きゅっと唇を結んで、リタに頷いてみせて。
「では、私は私の夢の為に」
「その先へと辿り着く為に、今出来る事を続けていきます。……その為の積み重ねを、いくつも」
「都市の事も、カルティエの事も、“マザー”らの事も――……空転せず、超えて行けるよう、善処します」
リタ
「うん、頼りにして頂戴」
「とりあえず、この後お暇なら、お出かけしましょ」
クリスタリア
「頼りにしています。……リタさんも、私で良ければその様に」 
「……おでかけ、ですか?」
リタ
「気分転換よ」
ウィンクして
クリスタリア
「……、」 ぱちぱち、と瞬きをして。 
リタ
「私のね。だから付き合ってくれない?」
クリスタリア
「ご一緒させてください」 薄く微笑むと、リタを真似てウインクを。
リタ
「うん。ありがとう」 コーヒー代を置くと 「それじゃ、行きましょ」
手を差し出して
「もうちょっと練習しないとね」 ウィンクは、と
クリスタリア
「はい」 頷くと手を取って立ち上がると、自分がエスコートする様に振舞って。 
「では、練習を付き合ってください。……その方がきっと、リタさんが見たいと仰った先が、近付いて来ると思いますから」
リタ
「いいわよ」 くすくす笑って 「可愛く出来るように教えてあげるわ」
クリスタリア
こくりと頷いて 「頼りにさせて頂きます」
「……おでかけは、どちらまで?」
リタ
「装飾品店と服飾店」
「私も選んであげる」
クリスタリア
「……」 ぱ、とメモを取り出して
リタ
と話しながら クリスタリアの手を引いて
クリスタリア
引かれた手を、きゅっと握り返し
彼女と話す前、否、目覚めてからよりも明るい表情を浮かべて
少女達は街へと繰り出した。
リタ
こんなところかしらね
クリスタリア
はい。ありがとうございました。
2022/06/26_1 ログはこちらに。
お疲れ様でした。
リタ
うん。お疲れ様
また遊びましょ
クリスタリア
はい、是非
!SYSTEM
リタが退室しました
背景
BGM