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冬国のリテラチュア 幕間 アーネスト、ティアエレス

20220322_0

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ティアエレスが入室しました
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アーネストが入室しました







 
ティアエレス
よろしくお願いします
“西の灯台”とアングルシを覆う壁の外に位置する“始原の遺跡”。
その二手に分かれて状況への対処、および情報収集を終えた一行は、
都内にフィルが用意してくれていた高級宿へと帰還し、その情報共有を行った。
双方から齎された情報を合わせ、今後の方針を定め
オリヴィアを始めとした《水晶宮》内部、及びアングルシの確認を行い その双方の守りにつく面々と、
アスミを始めとした《国土魔法陣》への干渉を防ぐ為、都内の警備に付く面々とに分かれ
双方の行動内容を擦り合わせた後、彼らは一度、行動開始前の準備時間を取る事にした。
それぞれが思い思いに行動を開始する頃、
黒い髪と翡翠の瞳を持つ少年と、白い髪と蒼の瞳を持つ少女は、
連れ立って、結界の合間を縫うようにしながら ある程度自由に動き回れ、人気も多くない場所へとやってきていた。
アーネスト
こんな具合でいいかな。
よろしくお願いします
ティアエレス
王都内に
結界はあるのでしょうか・・・?
アーネスト
は。隠れ里内部とごっちゃになってしまっているな
連れ立って、ある程度自由に~ に置き換えてください
ティアエレス
了解です
ティアエレス
「──それで、」
「身体の動きと詠唱を反応させるとのことですが、」
アーネスト
――、……うん」 ほう、と白い息を吐いて、共に歩いてきた少女を見上げた。
ティアエレス
「実技は此処ではしないで下さいね」
「曲がりなりにも王都内。更に言えば"冒険者"、という立場はアングルシでは一般的ではないのですから」
アーネスト
「街中だもんね。……うん、実際に放つことはしないよ」
ティアエレス
「武器も抜いてはいけません」
「あくまでも、動きだけです」
アーネスト
「感覚を掴んでおきたいんだ。……繋がってる時は、ティアから流れて来る部分もあったから、近い気分になったんだけれど」
こくこくと頷いて、手には何も持っていない、と示す様に両手をあげた。
ティアエレス
「近い気分というのは、どういった感覚ですか」
アーネスト
「僕が一撃入れた時に、」
「ティアが後ろから、攻撃してくれた事があったでしょ?」
ティアエレス
「ええ」
アーネスト
「あの時に、自分の動きのフォローをしながら放てばいいのかな、なんて」 
「……ティアのやり方を、そのまま真似たら、どうだろって」
ティアエレス
「私を真似る、というのは……あまりお勧めしませんよ」
アーネスト
「んっと……、どうして?」
ティアエレス
「私の詠唱は、結局の所、戦闘以外の動作を挟んでいますから」
「近接攻撃という武技を加味しない、更に言えば手順を幾つか省略してますから」
アーネスト
「省略、かぁ……」 確かに、それを挟んでしまえば自分の練度では焼け石に水かもしれない。
ティアエレス
「普段あれをやろうとしたら、恐らく魔元素が暴発して誤射するでしょうね」
アーネスト
「そっか。……詠唱の開始と終了を、動きに取り入れられたらどうかなって思ったんだけれど」 省略しているのならなおの事、か。
ティアエレス
「先ずは、どちらも基礎を身に着けてからです」
「貴方の戦い方は、我流の部分がかなり多いのですし」
アーネスト
「うぅ」 かく、と肩が落ちる。 「……そうだね。感覚で動いてる、と思う」
ティアエレス
っと、ちょっといってきます
アーネスト
はーい
ティアエレス
「どちらも基本を身に着けて、それからのほうがいいのですよ。組み合わせという応用を考えるのは」
「ただ……、」
アーネスト
「教わる相手は、いなかったからなあ……」 んん、と喉を鳴らして。それを待っている時間は、きっと今はない。
ティアエレス
「そういった事は時間をかなり使います。だから、私もアドバイスを一つだけ」
アーネスト
そう思った直後、言い当てられてティアエレスに頷いた。 「うん。……何かな」
ティアエレス
ただいま
アーネスト
おかえり
ティアエレス
「今できることは、出来ることとして考えて、」
「そこに付加をするならば、」
「誰かを真似るというのは間違いではないのです。お手本になる方は、いるでしょう?」
アーネスト
「うん。……ここには、いないけど」 思い浮かぶのは、自分の内にある矛盾を徹す為の力を持てと諭してくれた彼だった。
「どう動いていたかは思い出せるよ。ブランシュさんの事、だよね」
ティアエレス
「アスミさんの魔法も正攻法のものです、やはり組み合わせるには向きません」
「そうなってくると、私のように詠唱を省略したり圧縮ができない内は、」
「武技の中に魔法を組み込むやり方を、伸ばしていけばいいんです」 頷いて
アーネスト
――」 こくりと頷きつつ、一歩前に出て
思い浮かべるのは遺跡の中の彼の姿だ。憧れ、尊敬するその背の動きを、
記憶の中から引き上げる様に模倣して 両の短剣を手にしているかの様に手を動かして、
ティアエレス
「私も、」
「この身体でなければ、もう少しアドバイスがしやすかったのですが」
アーネスト
跳躍して空中で姿勢制御、右の一閃の後に左の剣を向けて――
「『稲妻(ランドル)――、た、っと」 同様の詠唱をしたものの、魔元素を編み込む事も、正しく結ぶ事も出来ずに着地した。
――、」 「前は、剣を持ったこともあったの?」
ティアエレス
「ありますよ。貴方くらいの小柄な身体で、ハイマンにしては俊敏でした」
アーネスト
ぱたぱたと雪を払いつつ、身体を動かしながら、彼の動きを表現する練習を続ける。
「……僕と同じくらい、かあ」 また着地すると、小首を傾げて。
「どんな風に、闘ってたの? ……覚えてる、かな」
ティアエレス
「それこそ、圧縮詠唱をしてですね」
「片手に短剣を握って……、魔法を組み合わせて切り込んで」
アーネスト
「……圧縮詠唱、かあ」 
ティアエレス
「私の技量では最大で二重詠唱まででしたから。それの応用ですね」
アーネスト
「もっと早く、真語魔法の勉強をしてたら良かったな。……そうしたら、もっと自在に使えたかもしれないのに」
ティアエレス
「それはそうですが、……数式は分かりますか?」
アーネスト
「んっと、簡単な奴なら……」
数回動いた後、上手く行かない事に小さく息を吐きつつ、
とことこと歩いてティアエレスの前に戻って来る。
ティアエレス
「難しい数式でも、公式や解放がわかればある程度回答が掴めるものでして、」
「圧縮詠唱や省略詠唱は、所謂暗算を前提とした方法なんです」
「正しい解法を正しい順序で行うことで魔法の効果という解を得るのですが、」
「それをおおよそ、勘などで当たりをつけて、解を再構築するのが、その技術なのです」
「なので……邪法よりなのです」
アーネスト
「でも、闘うのに必要なら……って思うよ」
ティアエレス
「ええ、必要だから身につけました」
「ただ、魔法という技術を扱うものとしては、最初から邪法を使ってほしくはありませんね」
アーネスト
「解の再構築……かぁ……」 んー、と唸って。
「じゃあやっぱり、……動きに取り入れる、しかないよね」 
ティアエレス
「ええ」
アーネスト
「急がなきゃ。ちょっとだけでも、使えるものは増やしておきたいし……」
ティアエレス
「訓練を行う時、」
「イメージトレーニングなどはしていますか?」
アーネスト
「うん。ブランシュさんの事は、いつも考えてる」
「……色んな意味で、アスミさんと同じ、先生だと思うから」
ティアエレス
「……、」 頷いて 「であれば、それをトレースするだけです」
「それが最効率の、訓練方法ですから」
アーネスト
「……、ここに居てくれたら、心強かったんだけど」
「無いもの強請りじゃ始まらないね。……頑張るよ、ティア」
ティアエレス
「………、操霊魔法であれば」
「ある程度、説明なども上手くやるのですが」
アーネスト
「……」 ぱちぱち、と瞬きをして
人懐こい笑みを浮かべると、ティアエレスの隣にやってきた。
「ありがとう。……そんな風に思わなくて良くなる様に、もっと頑張る」
ティアエレス
「……、頑張ってください。他でもない、貴方自身のために」
頷くと 小さく笑って
アーネスト
「……僕ね」
「ブランシュさんに、言われたんだ。殺すのも殺されるのも怖くって、」
「奪うのも、奪われるのも嫌で、だけどどうしても譲れないものがあって。……そんなとき、どうしたらいいのか分からない、って言ったらね」
「何も考えなくなる事か、自分か相手のどちらかを捨てる事か」
ティアエレス
「……」 小さく頷いて
アーネスト
「……どっちも取る事かを選べ、って」
「矛盾してるけど、その矛盾を、押し徹すだけの力を得たらいいんだ、って」
「だから、もっと強くなるよ。色んな事が出来るようになって、」
「動きに合わせた詠唱も、圧縮詠唱も、省略詠唱も、全部身に着けて」
「“銀の魔女”さんから、ティアを助けられるかもしれない思い出話も、聞ける様に頑張ってさ」
ティアエレス
「‥欲張りですね」
「…でもそれでいいんです。向上するというのは、」
アーネスト
傍らに立っている彼女を見上げて浮かべたのは、明るい、少年らしい笑み。
フードに隠れることも、弱々しく揺らぐこともない、純粋で、真直ぐな感情を向けて。
ティアエレス
「何かを求め、得ようとし、そして身につけることなのですから‥」
アーネスト
「ティアと一緒に、今を、これからを生きられる様になりたい。……だから、頑張るんだ」
ティアエレス
「……」 笑みが浮かびかけて、それが沈んだものになる
アーネスト
「……、ティア? どうしたの」 表情が沈めば、両手を持ち上げて彼女の両頬に触れ、翡翠が不安そうに見上げてくる。
ティアエレス
「……」 身体を引いて 手から逃れる 「──、」
「……私は、」
アーネスト
離れて行った体温に、残された手が名残惜しそうに指を折って行く。
ティアエレス
「……ありがとうアーニー」
アーネスト
「……、」 その言葉に、一歩進んで
驚かせないよう、視界の中からティアエレスの肩に手を伸ばして 触れる
「ちゃんと教えてよ、ティア。……何で、ありがとうって言いながら離れるの」
ティアエレス
「でも私は……」
「……、私は、通り過ぎてしまう」
アーネスト
じ、と翡翠は真直ぐにティアエレスを見据えて、その言葉にも揺らぐ様子はない。
「……言ったじゃないか。“銀の魔女”さんから話を聞ける様になるし、」
「聞いて試して、それで駄目でも、終わりじゃない」
「……終わらせやしない。求めて、得ようとして、身につけるまで、絶対に」
ティアエレス
「……、──、本当に」
アーネスト
「僕は、ティアを諦めない。通り過ぎて行かせないし、春が来る前に、溶けさせたりもしない」
ティアエレス
「貴方達師弟は、似ましたね」
困ったように笑って
アーネスト
「……、」 浮かべた笑みも、どこか師のそれに近いもので。
ティアエレス
「貴方達二人くらいです……私がこうして、揺さぶられてしまうのは。そして、」
「貴方くらいです……、そうだといいなって、思わせてくるのは」
「……完全に期待はしません、ただ」
「覚えておきます…その言葉を」
アーネスト
「うん。やってみせるよ」 「――まずは、」
「千里の道も一歩から、だけどね」
ティアエレス
「…‥戻りましょうか」
頷きを返すと 促して
アーネスト
促されると、少しだけ迷って。 「――ごめん。最後に、一つだけいいかな」
ティアエレス
「……なにか?」
アーネスト
「もう、貴方達なんて言わないでね」
ティアエレス
「……、分かりました」
アーネスト
頷きを返して、優しく微笑むと ゆっくりと両手を広げ、ティアエレスの背に回し、腕の中に収める。
「……うん。ありがとう」
ティアエレス
「……っ、ア、アーニー」
アーネスト
「ん。……安心、しない?」
ティアエレス
抗議して 手をやんわりと外すと 逃れて
アーネスト
触れれば、手はすんなりと離れて行く。
ティアエレス
「………、」 人前ですとか街中ですとか そういうのじゃなくて 「‥…ともかく、帰りますよ」
アーネスト
「うん」 返事が貰えなかった事は、少しだけ気がかりだったけれど
その表情を見れば、こちらも緩んで そっと手を取って、
「こっちは、いいよね」 嬉しそうに見上げつつ、歩き始める
ティアエレス
「……、」 返事はなかったが その手は振り払わなかった
ティアエレス
こんな感じでいいでしょうか
アーネスト
こんな感じかな
ティアエレス
お疲れ様でした
アーネスト
うん。地の文挟みたいとかはある?
ティアエレス
いえ、大丈夫ですよ
アーネスト
じゃあちょっとだけ
 
踵を返した少年と少女の傍には、雪を踏み締めた跡が残っている。
やってきた時よりも、帰って行く時の方がその距離を縮めながら、
仲間達の待つ宿へと、2人の足跡は戻っていった。
アーネスト
はい。
ティアエレス
上手く纏めましたね ありがとうございました
アーネスト
お疲れ様でしたー
ティアエレス
あまりキャラクター的にアドバイスが出来てなくて申し訳ないです
アーネスト
まあ、省略や圧縮も出来なければ
動きに合わせて行くしかないと思うから大丈夫かと
ティアエレス
彼女の経験だとそんな感じの
ではまた後で
撤退します お疲れ様でした
アーネスト
お疲れ様でした!
!SYSTEM
ティアエレスが退室しました
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アーネストが退室しました
背景
BGM