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- アストレアが入室しました
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- ペルティカが入室しました
- ペルティカ
- じゃあ店に来て貰ったところでいいのかな
- アストレア
- ああ、それでいいよ
- ナレーションはお任せしてもいいかな
- ペルティカ
- はぁい
- アストレア
- よろしくお願いします
- ペルティカ
- よろしくお願いします
- ――王都北部、キルヒア神殿にほど近い場所。
- 大きな通りから一つ逸れた所にあって、程よく人も少なく、けれど決して閑散とはしていない場所――
- 小さな店舗と、テラス席を持つその喫茶店には、草木が巡る様なデザインが施されいる木の看板には、
- ペルティカ――“とまり木”、と記されている。
- 朝早くから開かれているこの喫茶店は、この日は人の流れも多くなく
- 扉を開いてみれば、〈星の標〉のそれよりも穏やかなベルの音が君を歓迎した。
- ペルティカ
- 「はあい、いらっしゃいませ……、あら」 整理をしていたのか、店内の棚の中を動かしていた店主は、
- 君を見ると嬉しそうに微笑んだ。 「また来てくれたのね。今日は何しようかしら?」
- アストレア
- 「──、この前頼んだ、シルィエ葉のものを。蒸らし時間は3分半、温度は98度で」
- 「アカシアのハチミツをスプーン2杯で頼むよ」
- ペルティカに注文を伝えると 彼女の前の席へとつく
- ペルティカ
- 「はあい」 にこにこと微笑みながら、注文を受け取ると
- 慣れた様子で棚を開いて、淹れる準備を進めて行く。
- 「今日はおやすみだった?」 ティーカップを出す音などを響かせながら、ちらりとアストレアを見遣ってペルティカは問う。
- アストレア
- 「うん。店の方にも顔は出してないかな」 頷いて 行儀よく完成を待ちながら会話に応じる
- ペルティカ
- 「そうなの。……来てくれて嬉しいわ」 準備を続けている間は集中しているのか、普段よりもその口数は多くなく、
- やがて、注文した品が届けられる間近となったのか、紅茶の香りがふわりと鼻腔までやってきた。
- アストレア
- 「……、」 頷きを返して 表情を緩める 「いい香りだ」
- ペルティカ
- 「ええ。……私も好きなのよ」 にっこりと微笑むと、アストレアの前へとカップが並べられて
- 「お待ちどおさま。……この所、気温も気軽に切り替わってしまうから、」
- アストレア
- 「ありがとう」 「トーストとサラダも頼めるかな」 カップを持ち上げて香りを楽しむと 注文を追加する
- 「それでも安定した香りが出せるのは、ペルティカの腕だね」
- ペルティカ
- 「――長いもの。ここで、ずうっと」 笑みを深めると、 「……ええ、用意するわ」 そう続けて、準備に入って行く。
- 「あれから、カートには文句を付けられちゃったわ。ハティちゃん達に余計な事を吹き込むなって」 くすくす笑って
- アストレア
- 「……、」 つられて小さく笑って 一口啜ると頷いて
- 「ハティやアダマスもそれで態度を変える相手でもないだろうし、」
- 「良いと思うんだけどな」
- ペルティカ
- 「照れちゃってるのね、きっと。……昔から照れ屋なのは変わらないんだから」
- アストレア
- 「そうだね。そういうところはあるかも」
- ペルティカ
- 話している内に、サラダとトースト、それからデザートまでセットにして
- アストレアのカウンターへとそれぞれが置かれていく。
- アストレア
- 「……、一品多いけれど」
- ペルティカ
- 「サービスよ。食べて?」
- アストレア
- 「ありがとう、頂くよ」
- ペルティカ
- カウンターに肘をついて、嬉しそうにはにかんでみせた。
- アストレア
- トーストをちぎりながら口にして サラダを食べていく
- ペルティカ
- 微笑みながらその様子を見守って、
- アストレア
- デザートのミニヨーグルトサンデーに手を付ける頃に 「さっきと同じものをもう1杯貰えるかな……それから、」
- 「聞きたいことがあるんだ」
- ペルティカ
- 「ええ。……何かしら?」
- 「――聴きたい事? いいわよ」
- 紅茶を再び淹れる準備をしながら、長耳がぴこんと揺れた。
- アストレア
- 「カーティスの仲間について」
- 「彼は、何人分背負っているのかなって、思ってね」
- ペルティカ
- ぴたりと、細く長い指先が一度だけ動きを止めて、
- アストレア
- 「タバコ好きの拳闘士、裁縫好きのドワーフ……それからペルティカ、というのは」
- 「聞いたのだけれどね」
- ペルティカ
- 「そうね、何人……、というと、正確には解らないわ」
- 「そんな話をしたなら、」 困った様に微笑んで。 「そういう生き方、やめていないんでしょう?」
- アストレア
- 「うん」
- 「一緒に居るような気がして、と言っていたね」
- ペルティカ
- 「……寂しがりなのは、変わってないのね」
- 「そうね。その二人を除いたなら、私が知っているのはあともう一人だけ」
- かた、と紅茶のカップを入れ替えて
- 「あの子がはじめて亡くした仲間よ」
- アストレア
- 「──、どんな人だったんだい」
- ペルティカ
- 困った様に笑って、んん、と小さく唸った。
- 「どうして、それを私に?」
- アストレア
- 「彼が、」 「その人をあえて私に話さなかったからかな」
- ペルティカ
- 長い髪を右手で持ち上げて、それを右耳にかけて
- アストレア
- ミニサンデーを平らげてから 続きを話す
- 「──彼は、誰かと私を重ねているところが、あるんじゃないかと」
- 「少しだけ、感じたんだ」
- ペルティカ
- 「――もう」 頬を膨らませて、腰に手を当てて。
- 「私が解るのはともかく、アストレアさんにも気付かれちゃダメじゃないの、あの子ったら」
- アストレア
- 「けれど私は、タバコを吸わないし、裁縫もしない、」
- 「ペルティカのような雰囲気でもないから、」
- 「話していない誰かが居るのではないか、と思ったんだ」
- ペルティカ
- 「……その事、カートには?」
- アストレア
- 「言ってない」
- 「言ったところで、困らせてしまうだけだろう?」 苦笑して
- ペルティカ
- 「困らせちゃったらいいわ。全く――」
- 「――いたのよ、ひとり。妖精使いの剣士がね」
- 「あの子に剣と野伏の技術を教えたのも、その人」
- 「アストレアさんと重なる所があるのも、……ええ」
- アストレア
- 「──、」 カップを両手で保持して 耳を傾ける
- ペルティカ
- 「間違いない、と思うわ。……私も、森で闘っている貴女を見て、そう思った」
- アストレア
- カップを傾けて 再び置くと
- ペルティカ
- 「儚くて、嫋やかで」 「芯が強くて、何より」
- 「よく、人を視ている人だった。……一緒に居るだけで、不思議と落ち着いてしまうの」
- アストレア
- 「──、そうか」
- 「何という名前だったんだ」
- ペルティカ
- 「……、」 「それは、どうして?」
- アストレア
- 「……そうだな、彼には言わないでくれるなら、理由を話すよ」
- ペルティカ
- 「もう、亡くなった人よ。カートはきっと話してくれないでしょうけれど――」
- 「……、ええ。わかったわ」
- アストレア
- 「私は、誰かからの気持ちや想いを、押し付けられなれているんだ」
- 「だから、彼が、私を……私そのものを見てなくてもそれはそれで構わない」
- 「でも、誰と重ねているかくらいは、知っておきたかった。それが理由かな」
- ペルティカ
- 「それって、とても悲しい事よ、アストレアさん」
- 目を伏せ、静かに口を開いた。
- 「口外はしないわ。あなたのその理由はここに仕舞っておく。……けれど、」
- 「もし貴女が、これからもあの子と仲良くしてくれるのなら、」
- 「目の前の貴女じゃなく、貴女を通して彼女を――あの子が殺した人を見つめ続けているのなら、それを見過ごす訳にはいかないの」
- アストレア
- 「──良いんだ。…慣れてる」
- 「何処に居ても、立場が変わっても、」
- 「同じことなんだろうな、と思ったよ」
- ペルティカ
- カウンターに身を乗り出して、
- アストレア
- 静かに目を伏せて紅茶を飲み終える
- ペルティカ
- アストレアの頬に、その手を触れさせる。
- アストレア
- 「……ペルティカ?」
- ペルティカ
- 「そんな顔も、そんな言葉も」
- 「貴女には似合わないわ、アストレアさん。……それは、寂し過ぎるもの」
- つい、と撫でて、ゆっくりと手が離れて行く。
- 「……理由を聞いたのに、勿体ぶってごめんなさい。一つだけ、質問をしてもいいかしら」
- アストレア
- 「……構わないよ」
- ペルティカ
- 「貴女、慣れていると言ったわ」
- 「それでいいって、何処にいても、同じだって」
- 「それは、本当に思っていること? あの子に透かして見られて、本当に良いと、貴女は思っているのかしら」
- 「……腹は、立たない?」
- アストレア
- 「怒っては……、居ないかな」
- 「思えば、助けてくれた時も、面倒を見てくれると言った時も、唐突なところはあったしね」
- 「だから理由がわかって、少し…納得した」
- 「…ただ、」
- 「残念、かな……」 悲しそうに笑って
- ペルティカ
- 両頬に、もう一度手が触れる。
- アストレア
- 「自分のことを見てくれる仲間が出来たと思ったんだけれど、それだけじゃなかったことが、少しだけ……残念だ」
- ペルティカ
- 「……優しい、本当に。そんな所までそっくりなのね。貴女達」
- 「あの子が重ねてしまうのも、少しだけ解るわ。……だけどね、アストレアさん」
- 「その残念、って気持ちを、そのままで終わらせてはいけないと思うの」
- アストレア
- 「……、そうかな」
- ペルティカ
- 「貴女がこうして聞きに来てくれたのは、その蟠りが強くなったから」
- 「――それが強くなるのは、あの子と近くで居る事が、多少なり心地よかったから、ではない?」
- アストレア
- 「……、そうだね。それは、否定できないよ」
- 「だから余計に……残念だと思うんだろうな」
- ペルティカ
- 「だったら、」
- 「一発、入れてやりましょう。……自分がしている事がどういうことか理解させてからね」
- アストレア
- 「どうすればいいんだろう」
- ペルティカ
- 「そのまま、伝えたらいいわ。……貴女から伝える事が難しければ、私から言ってあげる」
- アストレア
- 「………、」 少し悩んで 「頼める…だろうか」
- ペルティカ
- 頷きを返し
- 「それから、遅れてごめんなさい。あの子が貴女に重ねているのは、きっと妖精使いの“エルシィ”よ」
- アストレア
- 「エルシィ、か」
- 「……ありがとう」
- ペルティカ
- 緩く頭を振って。
- 「……あの子には、ちゃんと伝えておくわね」
- アストレア
- 「…‥、」 頷くと 「ごちそうさま。また来るよ」
- 「カーティスとのこととは別に、ペルティカのお茶が、気に入ったからね」
- ペルティカ
- ぱたた、とカウンターから出てきて
- アストレア
- 銀貨を並べて 立ち上がる
- ペルティカ
- 包みが入った袋が、アストレアに差し出される。
- 「よかったら、持っていって。……お部屋でも香りが楽しめると思うから」
- アストレア
- 「…いいのかい?ありがとう」
- ペルティカ
- 「アロマと茶葉、いくつか準備しておいたから」 にっこりと微笑むと、
- ゆっくりとアストレアにハグをする。 「――ありがとう。また待ってるわ」
- アストレア
- ハグされてから頷いて 店を出る
- 穏やかなベルの音が響いて、
- 静かだった店内とは打って変わって、人気が伝わって 緩い春の風が吹いた。
- アストレア
- 「──、」 風に靡く髪を抑えながら 紙袋を抱えて
- 自分の部屋へと戻る道を歩くのだった
- アストレア
- お疲れ様でした
- ペルティカ
- お疲れ様でした!
- アストレア
- また頼むよ
- ペルティカ
- ええ、こちらこそ。ではでは