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幕間

20220319_0

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アストレアが入室しました
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ペルティカが入室しました
ペルティカ
じゃあ店に来て貰ったところでいいのかな
アストレア
ああ、それでいいよ
ナレーションはお任せしてもいいかな
ペルティカ
はぁい
アストレア
よろしくお願いします
ペルティカ
よろしくお願いします






 
――王都北部、キルヒア神殿にほど近い場所。
大きな通りから一つ逸れた所にあって、程よく人も少なく、けれど決して閑散とはしていない場所――
小さな店舗と、テラス席を持つその喫茶店には、草木が巡る様なデザインが施されいる木の看板には、
ペルティカ――“とまり木”、と記されている。
朝早くから開かれているこの喫茶店は、この日は人の流れも多くなく 
扉を開いてみれば、〈星の標〉のそれよりも穏やかなベルの音が君を歓迎した。
ペルティカ
「はあい、いらっしゃいませ……、あら」 整理をしていたのか、店内の棚の中を動かしていた店主は、
君を見ると嬉しそうに微笑んだ。 「また来てくれたのね。今日は何しようかしら?」
アストレア
「──、この前頼んだ、シルィエ葉のものを。蒸らし時間は3分半、温度は98度で」
「アカシアのハチミツをスプーン2杯で頼むよ」
ペルティカに注文を伝えると 彼女の前の席へとつく
ペルティカ
「はあい」 にこにこと微笑みながら、注文を受け取ると
慣れた様子で棚を開いて、淹れる準備を進めて行く。
「今日はおやすみだった?」 ティーカップを出す音などを響かせながら、ちらりとアストレアを見遣ってペルティカは問う。
アストレア
「うん。店の方にも顔は出してないかな」 頷いて 行儀よく完成を待ちながら会話に応じる
ペルティカ
「そうなの。……来てくれて嬉しいわ」 準備を続けている間は集中しているのか、普段よりもその口数は多くなく、
やがて、注文した品が届けられる間近となったのか、紅茶の香りがふわりと鼻腔までやってきた。
アストレア
「……、」 頷きを返して 表情を緩める 「いい香りだ」
ペルティカ
「ええ。……私も好きなのよ」 にっこりと微笑むと、アストレアの前へとカップが並べられて
「お待ちどおさま。……この所、気温も気軽に切り替わってしまうから、」
アストレア
「ありがとう」 「トーストとサラダも頼めるかな」 カップを持ち上げて香りを楽しむと 注文を追加する
「それでも安定した香りが出せるのは、ペルティカの腕だね」
ペルティカ
――長いもの。ここで、ずうっと」 笑みを深めると、 「……ええ、用意するわ」 そう続けて、準備に入って行く。
「あれから、カートには文句を付けられちゃったわ。ハティちゃん達に余計な事を吹き込むなって」 くすくす笑って
アストレア
「……、」 つられて小さく笑って 一口啜ると頷いて
「ハティやアダマスもそれで態度を変える相手でもないだろうし、」
「良いと思うんだけどな」
ペルティカ
「照れちゃってるのね、きっと。……昔から照れ屋なのは変わらないんだから」 
アストレア
「そうだね。そういうところはあるかも」
ペルティカ
話している内に、サラダとトースト、それからデザートまでセットにして
アストレアのカウンターへとそれぞれが置かれていく。
アストレア
「……、一品多いけれど」
ペルティカ
「サービスよ。食べて?」
アストレア
「ありがとう、頂くよ」
ペルティカ
カウンターに肘をついて、嬉しそうにはにかんでみせた。
アストレア
トーストをちぎりながら口にして サラダを食べていく
ペルティカ
微笑みながらその様子を見守って、
アストレア
デザートのミニヨーグルトサンデーに手を付ける頃に 「さっきと同じものをもう1杯貰えるかな……それから、」
「聞きたいことがあるんだ」
ペルティカ
「ええ。……何かしら?」 
――聴きたい事? いいわよ」
紅茶を再び淹れる準備をしながら、長耳がぴこんと揺れた。
アストレア
「カーティスの仲間について」
「彼は、何人分背負っているのかなって、思ってね」
ペルティカ
ぴたりと、細く長い指先が一度だけ動きを止めて、
アストレア
「タバコ好きの拳闘士、裁縫好きのドワーフ……それからペルティカ、というのは」
「聞いたのだけれどね」
ペルティカ
「そうね、何人……、というと、正確には解らないわ」
「そんな話をしたなら、」 困った様に微笑んで。 「そういう生き方、やめていないんでしょう?」
アストレア
「うん」
「一緒に居るような気がして、と言っていたね」
ペルティカ
「……寂しがりなのは、変わってないのね」 
「そうね。その二人を除いたなら、私が知っているのはあともう一人だけ」 
かた、と紅茶のカップを入れ替えて
「あの子がはじめて亡くした仲間よ」 
アストレア
「──、どんな人だったんだい」
ペルティカ
困った様に笑って、んん、と小さく唸った。
「どうして、それをに?」
アストレア
「彼が、」 「その人をあえて私に話さなかったからかな」
ペルティカ
長い髪を右手で持ち上げて、それを右耳にかけて
アストレア
ミニサンデーを平らげてから 続きを話す
「──彼は、誰かと私を重ねているところが、あるんじゃないかと」
「少しだけ、感じたんだ」
ペルティカ
――もう」 頬を膨らませて、腰に手を当てて。
「私が解るのはともかく、アストレアさんにも気付かれちゃダメじゃないの、あの子ったら」
アストレア
「けれど私は、タバコを吸わないし、裁縫もしない、」
「ペルティカのような雰囲気でもないから、」
「話していない誰かが居るのではないか、と思ったんだ」
ペルティカ
「……その事、カートには?」
アストレア
「言ってない」
「言ったところで、困らせてしまうだけだろう?」 苦笑して
ペルティカ
「困らせちゃったらいいわ。全く――
――いたのよ、ひとり。妖精使いの剣士がね」
「あの子に剣と野伏の技術を教えたのも、その
「アストレアさんと重なる所があるのも、……ええ」 
アストレア
「──、」 カップを両手で保持して 耳を傾ける
ペルティカ
「間違いない、と思うわ。……私も、森で闘っている貴女を見て、そう思った」
アストレア
カップを傾けて 再び置くと 
ペルティカ
「儚くて、嫋やかで」 「芯が強くて、何より」
「よく、人を視ている人だった。……一緒に居るだけで、不思議と落ち着いてしまうの」
アストレア
「──、そうか」
「何という名前だったんだ」
ペルティカ
「……、」 「それは、どうして?」
アストレア
「……そうだな、彼には言わないでくれるなら、理由を話すよ」
ペルティカ
「もう、亡くなった人よ。カートはきっと話してくれないでしょうけれど――
「……、ええ。わかったわ」
アストレア
「私は、誰かからの気持ちや想いを、押し付けられなれているんだ」
「だから、彼が、私を……私そのものを見てなくてもそれはそれで構わない」
「でも、誰と重ねているかくらいは、知っておきたかった。それが理由かな」
ペルティカ
「それって、とても悲しい事よ、アストレアさん」
目を伏せ、静かに口を開いた。
「口外はしないわ。あなたのその理由はここに仕舞っておく。……けれど、」
「もし貴女が、これからもあの子と仲良くしてくれるのなら、」
「目の前の貴女じゃなく、貴女を通して彼女を――あの子が殺した人を見つめ続けているのなら、それを見過ごす訳にはいかないの」
アストレア
「──良いんだ。…慣れてる」
「何処に居ても、立場が変わっても、」
「同じことなんだろうな、と思ったよ」
ペルティカ
カウンターに身を乗り出して、
アストレア
静かに目を伏せて紅茶を飲み終える
ペルティカ
アストレアの頬に、その手を触れさせる。
アストレア
「……ペルティカ?」
ペルティカ
「そんな顔も、そんな言葉も」
「貴女には似合わないわ、アストレアさん。……それは、寂し過ぎるもの」
つい、と撫でて、ゆっくりと手が離れて行く。
「……理由を聞いたのに、勿体ぶってごめんなさい。一つだけ、質問をしてもいいかしら」
アストレア
「……構わないよ」
ペルティカ
「貴女、慣れていると言ったわ」
「それでいいって、何処にいても、同じだって」
「それは、本当に思っていること? あの子に透かして見られて、本当に良いと、貴女は思っているのかしら」
「……腹は、立たない?」
アストレア
「怒っては……、居ないかな」
「思えば、助けてくれた時も、面倒を見てくれると言った時も、唐突なところはあったしね」
「だから理由がわかって、少し…納得した」
「…ただ、」
「残念、かな……」 悲しそうに笑って
ペルティカ
両頬に、もう一度手が触れる。
アストレア
「自分のことを見てくれる仲間が出来たと思ったんだけれど、それだけじゃなかったことが、少しだけ……残念だ」
ペルティカ
「……優しい、本当に。そんな所までそっくりなのね。貴女達」
「あの子が重ねてしまうのも、少しだけ解るわ。……だけどね、アストレアさん」
「その残念、って気持ちを、そのままで終わらせてはいけないと思うの」
アストレア
「……、そうかな」
ペルティカ
「貴女がこうして聞きに来てくれたのは、その蟠りが強くなったから」
――それが強くなるのは、あの子と近くで居る事が、多少なり心地よかったから、ではない?」
アストレア
「……、そうだね。それは、否定できないよ」
「だから余計に……残念だと思うんだろうな」
ペルティカ
「だったら、」
「一発、入れてやりましょう。……自分がしている事がどういうことか理解させてからね」
アストレア
「どうすればいいんだろう」
ペルティカ
「そのまま、伝えたらいいわ。……貴女から伝える事が難しければ、私から言ってあげる」
アストレア
「………、」 少し悩んで 「頼める…だろうか」
ペルティカ
頷きを返し
「それから、遅れてごめんなさい。あの子が貴女に重ねているのは、きっと妖精使いの“エルシィ”よ」
アストレア
「エルシィ、か」
「……ありがとう」
ペルティカ
緩く頭を振って。
「……あの子には、ちゃんと伝えておくわね」
アストレア
「…‥、」 頷くと 「ごちそうさま。また来るよ」
「カーティスとのこととは別に、ペルティカのお茶が、気に入ったからね」
ペルティカ
ぱたた、とカウンターから出てきて
アストレア
銀貨を並べて 立ち上がる
ペルティカ
包みが入った袋が、アストレアに差し出される。
「よかったら、持っていって。……お部屋でも香りが楽しめると思うから」 
アストレア
「…いいのかい?ありがとう」
ペルティカ
「アロマと茶葉、いくつか準備しておいたから」 にっこりと微笑むと、
ゆっくりとアストレアにハグをする。 「――ありがとう。また待ってるわ」
アストレア
ハグされてから頷いて 店を出る
穏やかなベルの音が響いて、
静かだった店内とは打って変わって、人気が伝わって 緩い春の風が吹いた。
アストレア
「──、」 風に靡く髪を抑えながら 紙袋を抱えて
自分の部屋へと戻る道を歩くのだった
アストレア
お疲れ様でした
ペルティカ
お疲れ様でした!
アストレア
また頼むよ
ペルティカ
ええ、こちらこそ。ではでは
背景
BGM