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幕間-それぞれの事情-

20220309_0

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フェリシアが入室しました
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ディスノミアが入室しました
ディスノミア
すっ
フェリシア
よし
始めていきましょう
ディスノミア
お待たせしました。
よろしくお願いします。
フェリシア
よろしくお願いします
 
 
 
 
 
 
 
王都イルスファール "糸車"亭
女性のみが宿泊可能な宿屋で、行き届いたサービスなどでよく知られた店だ
そこを定宿にして、生活を営んでいる少女が居た
腰までの長さの紅茶色の赤毛の少女は 郵便局に手紙の配送を依頼して、戻ってきたところだ
扉を開ける。今日は帰ってきただろうか、と
室内を確認するように視線を巡らせた 「──只今戻りました」 返事はあるかどうかも確認するように声をかけて
フェリシア
緑色の瞳が、闇を覗こうとした
ディスノミア
部屋の中には、ベッドの端に腰を掛け、膝の上に置いた本に視線を落とす女の姿があった。
フェリシア
「……戻ってらっしゃいましたか」
ディスノミア
傍に置かれた灯りに照らされ、闇の中に浮かび上がるその姿は、一枚の名画にも思えるような神秘的な美しさを持っている。
――おかえりなさい、フェリシア」 本に栞を挟み、ゆっくりと閉じると、顔を上げにこりと微笑んだ。
フェリシア
「……」 その光景に魅入られかけつつ
「…ええ、戻りましたディスノミアさん」
ディスノミア
「お疲れ様です。お茶でも淹れましょうか?」
フェリシア
「──、ありがとうございます」 コートをハンガーにかけつつ フックに軍帽をさげて
「いただきます」
そのまま椅子の1つにつくと ディスノミアを観察するようにして
ディスノミア
笑みを返すと、自分が飲むために先程用意したまだ暖かい湯の入っているポットに触れ、その温度を確かめる。
ひとつ頷き、自身のお気に入りの茶葉を取り出すと、上機嫌に慣れた様子で紅茶を淹れ始めた。
「はい、どうぞ」 やがてフェリシアの前のテーブルにソーサーとカップを置いて。
フェリシア
「……、」 こうしてみているだけでは、普通の人だ いや、普通と言うには美しすぎるけれど…
「あ、ありがとうございます」 思考を中断させて 顔を向けてお礼を述べる
ディスノミア
自身も対面の椅子に座ると、カップを口につけ、紅茶を喉に通した。
「どういたしまして。現代でもこのくらいのお茶が飲めるのは、嬉しい誤算でした」
フェリシア
温度、香り、味共に相応の技量を感じさせるもので 「…‥美味しいです」 びっくりしたようにディスノミアを見る
「……以前はもっと良いものが?」
ディスノミア
「ふふ。平和な時期には、こうして紅茶を淹れたり、料理をしたり、お菓子を作ったりと、色々していたのですよ」
フェリシア
「…それは素敵ですね」
ディスノミア
「うーん……」 紅茶をまた一口飲んでから、頬に片手を当てる。 「すべてにおいてこれに優っているとまでは言えないかもしれませんが、私の好みを形成したものは存在しました」
フェリシア
「…そうしたお話を伺っても?」
ディスノミア
「ええ、構いませんよ。といっても、平和な時期の話など、退屈かも知れませんけれど」
フェリシア
「どういった時期の話になりますでしょうか。貴方は……」
「デュランディルの遺跡から、蘇ったのですけれど」
ディスノミア
「文化、技術などの力に大きな差はあれど、私の故郷における暮らしは、今の暮らしとそう大きな差はないように思えます」
「魔法文明時代の後期から末期に当たりますね」
フェリシア
「そうですか……。興味深いですね」
ディスノミア
「まあ、現代に蘇ってから調べた文献と、私の記憶からの推測になりますので、本当にその時期であるかは保証しかねますが、概ね間違ってはいないでしょう」
フェリシア
「…なるほど、では」
「アトランティス、と言うフレーズに聞き覚えはありますか?」
ディスノミア
「……あら? ああ……貴女にはまだ言っていませんでしたか?」
「私はデュランディルの後期に栄華を極めたアトランティス帝国の出ですよ」
フェリシア
「…‥こうして伺うのは、おそらく初めてです」
「……そうですか」
ディスノミア
「アトランティスがどうかされたのですか?」
フェリシア
「……その手がかりを探しに、故郷を出たのです」
「──」 居住まいを正して 「海上から浮上し、故郷を襲った遺跡が、その帝国からの遺物なのです」
ディスノミア
「ふぅん……。遺跡が襲うとは不思議な言い回しですね。その遺跡から、魔物や兵器が飛び出して来たりしたのですか?」
フェリシア
「…そうなります。迎撃は出来たのですが、」
「内部に侵入する方法が全く無いのです」
「障壁のようなものが確認されていて、……そしてそれがある位置が問題でして」
ディスノミア
「当時の防衛機構が生きていれば、場所によっては近付くことも困難でしょうから、それも無理からぬことです。近付けたとしても、魔法による結界が張られていることも多々あります」
フェリシア
「……首都の交易に使う港への航路上なんです」
ディスノミア
「……あらあら」
「海に面した国では、それは死活問題でしょうね」
フェリシア
「……湾岸で迎撃はしていますが、交易路は止まったまま。陸路での交易は続けていますが、物資の流入が制限されていて」
「北部で行われている蛮族との戦線にも影響が出かねないのです」
「…だから、なんとしても、」
「手がかりを見つけないといけないんです」
ディスノミア
「であれば、貴女のような少女だけでなく、もっと大勢を派遣すべきだと思いますが」
フェリシア
「動いています。ただ、此方に来たのが、私達だけだっただけで…」
ディスノミア
「この辺りは、アトランティスの主要な国土だった場所なのですから」 地形はある程度以上に変わってしまっているでしょうけれど、と付け加え、紅茶を啜る。
フェリシア
「……冒険者ギルドからの情報で、この辺りに情報が纏まっているのは存じていましたが‥」
ディスノミア
「この頃、アトランティスの首都やその周辺の遺跡が蛇頭海に浮上しているようでしてね。手掛かりを得るには、丁度良い時期かもしれません」
フェリシア
「…なるほど」
「となれば、もっと積極的に依頼に出て、仕事を回してもらえるようにするべきですね…」
ディスノミア
「まあ、今の貴女ではそこに向かったとして、無惨な姿に変わってしまうだけかも知れませんけれど……」
フェリシア
「……そうですか」 少し肩を落として
ディスノミア
「ふふ、そう気を落とさないでください。私が訪れた時に何か分かれば、伝えてあげてもいいですから」
フェリシア
「…本当ですか?」 少し意外そうに見て
ディスノミア
「意外ですか?」
フェリシア
「え、ええ…、すみません。ありがとうございます」
カップを置いて
ディスノミア
「私、そんなに意地の悪い人間だと思われているのでしょうか……」 悩ましそうに頬に手を当て、ため息をつく。
フェリシア
「……、その、戦い方を見ていると、人となりを感じずには居られなかったと言うか…」
ディスノミア
「まあ、善人ではないのは間違いありませんし、意地が悪いのも否定は出来ませんね」
「貴女の言う通り、私は他者を蹂躙し、破壊することに悦びを感じる人間ですから」
フェリシア
「……、そのスタンスを、考え方を」
「曲げることは出来ませんか…?」
ディスノミア
「考え方を変える?」
フェリシア
「‥‥戦場だけで生きて行くならまだしも」
「そうした事を公言される人は、疑いや警戒を招いて、社会生活を営みにくくなると思うんです」
「蘇らせてしまった・・・のはあると思いますし」
ディスノミア
「本当にそうでしょうか?」 気を悪くしたような素振りもなく、小さく首を傾げて。
フェリシア
「できれば穏やかに……」
生活をしてほしいと続けようとして 「本当、とは?」
ディスノミア
「危険な考え、思想を持った者がそれをひた隠しにし、裏で牙を剥く時を待っているよりも、まだこうして自身の危険性を説いている人間相手の方が、予め警戒できるでしょう?」
フェリシア
「……危険なものを危険なものとして受け止めきれる人は少ないです」
「見えてない人ならば、それを見過ごすことで自身の平穏を保つことが出来る。それが普通の人だと思います」
「ですが、危険なものを隠さない人は、排除されるか抹殺されるか……少なくとも、大勢から受け入れられることは稀です」
ディスノミア
「隠している、隠していないに関わらず、私のような者は大勢に受け入れてもらおうなどとは考えていませんよ」
「それに私のこれは一種の病のようなもの。治せと言われて治るものでもありません」
フェリシア
「……社会に溶け込むならば、それは受け入れさせているのと同じことでは?」
ディスノミア
「尤も――今はこの性を受け入れていますから、治すつもりもありませんけれど」
フェリシア
「病…」
「……そうですか、すみません。分かったような事を言って」
ディスノミア
「社会に溶け込めているとは思っていませんし、誰かに受け入れることを強要したこともありません」
「処断すべきだと社会が判断したのならば、そうすれば良い。私はそれについて、何ら不満を抱きはしません」
フェリシア
「……、」
ディスノミア
「私はかつて、私を利用し、不要となった暁に私を封じたアトランティスの民たちに、何の憎悪も抱いてはいませんから」
フェリシア
「……少し、寂しいですね」
ディスノミア
「何が寂しいのです?」
フェリシア
「それは、不満や不服などを抱くんじゃなく、諦めているだけではないか…と」
「私であれば……、誰にも興味を抱かれない、誰に対しても期待しないというのは、少し寂しいです」
ディスノミア
「あら……興味を抱かれない、期待しないというのとは大きく違いますよ」
「周囲の人間たちは私に恐怖を覚えたからこそ、私を封じることを決めたのです」
フェリシア
「…すみません、経験がまだ薄くて‥」
ディスノミア
「決して、私に無関心だったわけではありません。むしろその逆です」
フェリシア
「……なるほど」
ディスノミア
「私もまた、他人への期待への仕方が貴女たちとは違う、というだけです」
フェリシア
「‥失礼しました」
ディスノミア
「謝る必要はありません。貴女のような心配をしてくれる相手の存在は、嬉しいものですから」
フェリシア
「そういうものですか…」
「……」 感性が近いのか、遠いのか…よくわからなくなる、と少し俯いて
ディスノミア
「ええ。――そういう相手ほど、裏切られた時、蹂躙された時に、とても、とても良い表情を見せてくれるのです」
フェリシア
「……、」
気を引き締めなければ…
少なくとも有力な手がかり候補である以上は、野放しには出来ないし逃がせもしない
ディスノミア
「心配せずとも、すぐに貴女の命が危険に晒されるようなことは起こしたりしませんよ」
フェリシア
「……、」 それでも考え方には抵抗があって それを受け入れるのは中々に難しい
「……それは、何よりです」
ディスノミア
「折角現代に蘇った以上は、私も愉しみたいですから。これでも、友人だっていましたし、何ならこうなる前は貴女たちと同じ普通の人間だったのですよ?」
フェリシア
「……なら尚更」
「……尚更、心配ですし、残念です」
そうした考えよりも 役割よりも やはり、1人の人として、気にかかる
ディスノミア
「彼女たちと同じ、ですね。違っているのは、元の私を知らずとも、そうして心配してくれている点でしょうか」
フェリシア
「紅茶を……紅茶から」
「貴方がそれを身につけるまでに使った興味と時間、それから、それを私に振る舞ってくださったこと」
「そうした事からも、……言動は確かに問題がないとは言えませんけれど、そこに普通を見られた気がして」
ディスノミア
「どれだけ私が危険であるかはわかっているのに、心配せずにはいられない。……ふふ、とてもかわいらしくて、素敵ですね。つい、手を出してしまいそう……」
フェリシア
「……、挑発しているわけでは…」
ディスノミア
「挑発だなんて思っていませんよ。純粋に、貴女という人間に惹かれているだけです」
フェリシア
「……ありがとうございます」 でいいのだろうか 美味しそうだ、と言われているようにも感じるけれど
「──、ともかく、また仕事に出る機会が増えると思いますので」
「戸締まりだけは確りとお手数ですがお願いします」
ディスノミア
「ええ、わかっています。貴女の住居を、私以外の誰かに荒らさせるなど、決して認められませんから」
「ああ――そうそう」
「私も近々、正式に冒険者として登録する予定です。認められた暁には、よろしくお願いしますね?」
フェリシア
「…そう、ですか」
「‥‥分かりました。その時はよろしくお願いします」
頷いて
ディスノミア
「はい。先輩として、しっかり導いてくださいね」
フェリシア
受け入れてもらえると良いなと思うのだ。冒険者という強力な個性の集まりの間なら彼女ももしかしたら‥と
「お任せ下さい‥と言っても私もまだまだ日が浅いですが」 とやっと笑みを見せて
「微力ながらもお力添え致します」
ディスノミア
「期待させていただきます」
にこやかに微笑んで、カップの中を空にすると、片手でベッドを示した。 「お疲れでしょう? どうぞ、今日はお休みください」
「それとも、お風呂がまだでしたら、入浴に向かいますか?」
フェリシア
「はい、ありがとうございます…湯浴みをしてからそうします」
問いには頷きを返して
ディスノミア
「では、私もお供しましょう。夜道を貴女一人で――というのも心配ですから」
フェリシア
「分かりました。では手早く準備をすませて向かいましょう」
ディスノミア
「私はいつでも」 予想していたのか、ベッドの横に置いてあった自分の荷物を持ち上げて抱えると、艶やかに笑む。
フェリシア
「ああ、すみません…では私も準備をしてきます」
と自分の部屋に向かうように席を立った 「紅茶、ごちそうさまでした」
そのまま踵を返すと 部屋に入っていった
ディスノミア
その姿を見送って、待っている間ベッドに座り、窓から夜空を見上げる。
フェリシア
私はこんなところで大丈夫です
ディスノミア
――……」 ふ、と口元に笑みを浮かべると何を考えたのか、小さく身震いし、首を横に振って、「いけませんね」と呟いた。
ディスノミア
私もこれで大丈夫です。
フェリシア
お疲れ様でした。ログは20220309_0のようです
ディスノミア
ありがとうございます。
フェリシア
では退室どうぞ 負けません
ディスノミア
はい、お疲れ様でした。
頑張ってくださいね?
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ディスノミアが退室しました
背景
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