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幕間

20211218_1

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アストレアが入室しました
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カーティスが入室しました





 
アストレア
よろしくお願いします
カーティス
よろしくおねがいします
――“奈落の魔域”が破壊され、アストレアを連れた一行が王都へと帰還してから、数日が経った。
冒険者ギルドやガルバへの報告を終えた一行は、それに加えて彼女へ対応を行いつつも、それぞれの日常へと戻って行った。
それぞれの手助けもあり、〈星の標〉の客室のひとつを拠点とし
自由に動ける時間を確保出来たその日、アストレアは案内を申し出たカーティスに連れられ
王都内を暫く散策し、一通り見回った後 休息を取るべくひとつのカフェを訪れていた。
通りに面したテラステーブルのひとつに座り、注文した品々が並べられ
人通りも多い通りの傍、賑やかな空気の中で少し遅い昼食を摂っている。
カーティス
――じゃ、頂きます」 ぱち、と両手を合わせて呟いた。
アストレア
「──、」 手を顔の前で組み、小声で祈りの言葉を捧げて
カーティス
「これで一通りの確認は終わったな。後は何か、気になった所は?」 
アストレア
「──、頂きます」 カーティスに倣って 一言添えると顔を上げる
「随分と慌ただしい国だな、と思ったかな」
カーティス
注文された料理に手を付けながら、小首を傾げる。 「慌ただしい、か?」
アストレア
「慌てているというよりは、賑やかといったほうが良いだろうか」
カーティス
続いた言葉に笑ってみせてながら、頷きを返す。
アストレア
「目的意識を持って行動するものが多く、日々、刷新されていく、そういう都市だと思ったよ」
カーティス
「そうだな、そっちの方が合ってる。……良いとこだろ、気に入ってんだ」 
アストレア
「良いところというのは、そうだと思うよ」 頷いて 
手元にあるコーヒーカップを持ち上げると、手を暖めるように両手で保持する
カーティス
「これから少なからず過ごすんだ、気に入って貰えればいいんだが」 ん、と肉を口にして うめえ、と少しだけ頬が綻ぶ
アストレア
「今日はありがとう」 カーティスの顔を見て 少し目を伏せてからそう告げる
カーティス
「どう致しまして。……何だよアストレア。改まって」
アストレア
「感謝は告げられる時に告げないと、いけないと意識を改めたんだ」
カーティス
「ちょーっと違うな」 ふい、とフォークを左右に揺らして。
アストレア
「違う?」
カーティス
「それだけじゃあねえんだなぁ。……全部だよ、全部」 
アストレア
「全部…?」
カーティス
「おう。感謝すんのも、謝んのもそう」
アストレア
「済まない、修飾が多すぎると、主題が見えなくなる」 と困ったように言って 「違うというのは、意識を改める箇所、のことを言っているのだろうか?」
カーティス
「怒ったりも、全部そうなんだよ。生きてる時に、傍にいる時に、伝わる時にしなきゃなんねえ……って」
「悪い、すっ飛ばしてた。……箇所の話だな、うん」 苦笑しつつ、詫びる様に手を挙げて。
アストレア
「一先ず、聞こうと思う、話してほしい」
カーティス
「あー、告げられる時に告げないといけないもんは、感謝だけじゃないんだぜってだけさ」
「死なれちまったら、怒ったりも謝ったりも出来なくなっちまうからな」 少しだけ寂しそうな笑みを浮かべて。
アストレア
「……それは分かっているよ。ただ今回は感謝する場面だったから、そう言わせて貰ったんだ」
「指摘してくれてありがとう」
カーティス
「小姑みたいになっちまった」 改めて悪いな、と続けて。 
アストレア
「いや、いいんだ」
小さく首を振って
カーティス
「んじゃ良し」 ぱ、と切り替える様に笑って見せて。
アストレア
「………」 小さく笑い返して
カーティス
「王都内の話は終わったろー、後は列車が通ってる辺りの話はしておくべきかね……」
アストレア
「帰り道に利用させてもらったな。その時に路線図というものも見た」
カーティス
笑みが返ってくれば、それにまた笑みを深めて、少年のように笑って見せる。
アストレア
「国を縦断するように線路が走っていて、その上を列車が往く、というものだったな」
カーティス
「ああ。あれこそ文明の利器って奴だよな……」
「地道に歩くのがあほらしくなるくらい速かっただろ?」
アストレア
「初めて見るが、大量輸送を行えるという点でも素晴らしいものだと思う」
「飢饉の村にも、人数分の食料などを馬車を使わずに送ることが出来るし、」
「鮮度を保ったまま送る事も受け取ることも出来る。食料だけではなく、兵員などもそうだな」
「攻撃されている箇所にすぐに派遣することが出来るし、あの重量ならきっと、砲台なども載せることが出来る気がする」
カーティス
「だな。蛮族と競り合ってる南なんかは、」
「列車が無けりゃ確実に今の状態は維持できてねえだろうな。防衛線ももっと北にあったろうさ」
アストレア
「その辺りも含めて、取りまとめている王が賢明なのだと思う」
カーティス
「北の方を見りゃ、それも今アストレアが言った通りでな。どの面で見ても重要なもんだよ」
アストレア
小さく頷いて そして笑みが寂しいものへと変わる
カーティス
王、という単語 それと表情の変化を見れば、少し困った様に笑ってみせて。
「アストレア」
口にしてから、あー、と小さく息を吐いたと思えば、人差し指を持ち上げた。
アストレア
「………」 顔を上げて カーティスを見る
カーティス
「アスト、って呼んでもいいか?」
アストレア
「………、それは呼びづらいからだろうか?」
カーティス
「いんや。お近付きの印にね」
アストレア
少しだけ探るような気配が滲んで
カーティス
その気配を指して気にするでもなく続けて
アストレア
「であれば、まだ数日の付き合いだ」 苦笑して 「呼びづらいのでなければ、そのまま呼んでくれる方がありがたいよ」
カーティス
「ん。そうしよう」 苦笑しつつ、頷いて。
アストレア
「提案してくれてありがとう」
カーティス
「また改めるさ」 「……で、何言おうとしてたんだっけな」
一通り料理を食べ終えて、食器を置いて。 「その内思い出すかね」
アストレア
「……、」 コーヒーを啜って 内心で息を整える
「思い出せないことは、優先順位がそこまで高いことじゃないということではないかな」
「ただ、」
カーティス
「そうかもな。……うん?」
アストレア
赤い目をカーティスに向けて 「私に向けた言葉を告げようとしてくれていたのなら、やはり感謝するべきだと思う」
カーティス
「それを抜かしてるんじゃあ格好が付かないだろうよ」 苦笑して。
アストレア
「気を遣われている事は分かるし、伝わっている。だから言葉を選んでくれているんだろう?」
カーティス
「遣ってるとすりゃあ、そりゃアストレアに、じゃあないかもなあ」
アストレア
「……自意識過剰だったか」 苦笑して 「知ったかぶったような事を言ってすまない」
カーティス
「かも、だぜ」 こちらも苦笑して 「それに、アストレアが無関係だってんじゃない。……俺が気を遣ってるとすんなら、そりゃマリアベルにだよ」
アストレア
「………そうか」
目を伏せて
「ありがとう」
カーティス
「他の奴らはさておき、」
「俺はな、お前を助けようとして、それを利用されたマリアベルを殺したと思ってる」
アストレア
「……、」
カーティス
ちょっと離席
アストレア
「だとしたら、殺したのは私だな」
アストレア
いってらっしゃい
カーティス
もどり
アストレア
おかえりなさい
カーティス
「……何でそう思う?」
アストレア
「言わなければいけないことだろうか」
カーティス
「俺はそうは思わねえからなあ」 カップを持ち上げて
「違うんじゃねえか、って言うには、知らなきゃいけないだろ?」
アストレア
「あまり言いたくはないよ。失言だったから、忘れてほしい」
カーティス
頷いて。 「じゃあ、戻すが」
「取る方法が間違ったとしても、そうさせた思いが間違ってるとは、俺は思ってなくてな」
「だから、マリアベルを止めたんなら」
「あいつが感じてた思いが、ちょっとくらいは報われて欲しいと思ってるんだよ」
「お前が生きていて、答えを出して」
アストレア
「………」
カーティス
「前を向ける手伝いをしたいんだよ、つまりは。……止めた奴の、殺した奴の責任としてな」
どこまでも勝手なもんだけどな、とカップを傾ける。
アストレア
「……そうか」
カーティス
「良いんだぜ、怒って」 
アストレア
「怒って何になる」
カーティス
「生きてる、って解るな」
アストレア
「……、カーティスが責任を持つというのは、少し違うとは思う」
「ただ、それを否定もしない」
カーティス
「そっちは、聞いたら教えてくれるか?」
アストレア
「私が思うマリアへの気持ちと、君が持つマリアへの気持ちは、違うものだから」
「マリアは、自分なりの我を通して逝ったと思う」
「だから、誰かに責任を押し付けたり持たれたりするのは、違うと思うんだ」
カーティス
「我を、か」
アストレア
「それを通させる前に、止めるべきだし気がつくべきだった」
「先程言わなかったのは、そういった言葉だよ」
カーティス
「そうでもなきゃ、お前は死んでたんじゃないのか」
「だからこそ止められない様に、気付かれない様に動いてたんだろう?」
アストレア
「……」 息をついて
「それはそうだろうな」
カーティス
「……悪いな」
アストレア
「何故謝る」
カーティス
「踏み込み過ぎ、だな。……思いの中身について、俺がとやかく言うべきじゃなかった」
アストレア
「……、」 苦笑して 「気にしなくていい」
カーティス
「……、さっきの俺の言葉だが、責任、じゃねえなあ。そういうもんじゃあない」
「俺がそうしたいと思った。……って、それだけで良かったな」
アストレア
「……それはなぜか、聞いてもいいだろうか」
アストレア
よし
続きをやろうか
カーティス
おうとも
カーティス
「自分にとって大きな奴が死ぬ、ってのはさ」 
「どんな言葉にしても足りないくらい、大きな事だろ?」
「それが老衰だろうが、」
アストレア
「……」
カーティス
「病気だろうが、闘った結果だろうが、騙された結果だろうが、因果応報って奴だろうがさ」
「どんな理由の(もの)でも、辛いもんだ。そうだろ?」
アストレア
「………、」 カーティスの目を見てから 伏せて
「ありがとう」
「それから、すまない」
「試すようなことを言った……許して欲しい」
カーティス
「何だよ、いきなり。……どうした?」
アストレア
胸に手を当てて 小さく頭を下げる
「──、一人という状況が、実はとても久しぶりでな」
「本当に相手を信頼できるかどうか、考えてしまっていた」
「カーティスは、きっと私を不安にさせまいと気遣ってくれていたのに、私は真逆のことを思っていた。だから、その事に対する謝罪なんだ」
カーティス
ひとつひとつをゆっくりと聞くと、柔らかい笑みを浮かべた。
「良い事だよ。ちゃんと大事な事を教わって、それを実践出来てたんだからな」
「俺が本当に良い奴だって保証はねえし、」
「こっちに来るまでも、来てからも。ひとつだって気ぃ抜けた事はなかったろ?」
アストレア
「……」 小さく頷いて
「だから、」
「少し、私の話をしてもいいだろうか」
カーティス
「ああ。聞かせてくれよ」 頷くと店員に二人分の飲み物を頼み、アストレアを見つめた。
アストレア
「……」 頷いて
「私の生まれは、察してもらえている前提なのだが、」
「まあ、そういう立場で身分で……、そして立てやすい種族として生まれたのもあるんだろう、」
「生まれた順番の割に、色々なところで引っ張られてな」
「良くしてもらったし、期待に応えようとしていた。だからこそ、マリアなどには心労をかけたと思う」
カーティス
「……頑張ってるのを見守るのは、その方法によっちゃひやひやしたりもするからな」 言って、運ばれてきたカップをアストレアに差し出した。
アストレア
「お飾りなりに努力もしたけれど……時流と状況はそれで動かせるわけじゃない。虚ろには結局、虚ろの力しかなかった」
「名前と血の力は、」
何処か乾いた笑みで 「溜まりきった不満に対しては、無力だった。でもそれでも、ついてきてくれた者たちが居た」
「でも、私は…彼らを巻き込みたくなかった。それが、本心だった」
カーティス
「……巻き込む、ってのは?」
アストレア
「私と共に在ることで、犯罪人扱いになり得たし、」 カップを持ち上げて
一口啜るとカップから口を離す 「──、最悪、犯罪人扱いだった」
じゃない
最悪、処刑されるところだった
だね
カーティス
うむ
アストレア
「だから・・・‥そうなる前についてくる理由がなくなれば良かったんだと。思ったんだ」
カーティス
小さく息を吐いて、くしゃりと髪を弄りながら口を開いた。
「アストレア、お前はいくつだっけな」
アストレア
「16だ」
カーティス
「っか。……重ぇよなあ」 
アストレア
「どうなったかは、分からない。ただ、」
「多く、永く、幸あれと、……祈るだけだ」
「そんな無責任なことしか出来ないのが、今の私だよ」
カーティス
静かに言葉を聞いていたが、最後の言葉にふと動きを止めた――否。眉根が、眼に見えてぴきりと動いた。
アストレア
「だから……、せめて見届けた一人の」
「願いくらいは、握っておかねばね」
カーティス
黒の瞳が不満そうにじっとアストレアを見つめると、口がゆっくりと開いて、咎める様な声を吐き出した。
「バァカ」 
アストレア
「………」 困ったような表情になって カーティスを見つめた
カーティス
「ついてきてくれた奴らの事を、お前なりに考えて考えて、絞り出したのがそれだったんだろ?」
アストレア
「……、」 頷いて
カーティス
「それがどういう事かも、どう思われるかもわかってて、それでもって決めたんじゃねえのかよ」
アストレア
「………、」 ぎゅ、と手を握り込んで
カーティス
「それを、」 じ、とアストレアを正面に見据え、続ける。
「お前が否定するな。無責任だとか、そんな言葉で馬鹿にしちゃいけないだろう」
アストレア
「……そうだな。カーティスの言う通りだと思う」
「重ねて、ありがとう」
「真剣に、受け取ってくれて」
カーティス
「……、」 再び表情が崩れて、普段通りの雰囲気に戻って 
「おいおい、俺はいつだって真剣だろ?」 笑うと、カップを煽った。
アストレア
「普段のことを言っているわけではないよ」 苦笑して
カップを干すと
「ごちそうさま」
銀貨を載せて 「……、何かに付けて迷惑はかけるかもしれないが、良ければ今後とも宜しく頼むよ」
カーティス
「困った時はなんとやら、だ。何でも相談してくれよ」 
「んじゃ、そろそろ行くかね」
アストレア
「ああ」
カーティス
こんなくらいかな
アストレア
うん。お付き合いありがとう
カーティス
こちらこそありがとう。ログは格納したら連絡する。
お疲れ様でした。
アストレア
20211218_1 ログ番号だ
お疲れさまでした
ではそのまま抜ける また
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アストレアが退室しました
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カーティスが退室しました
背景
BGM