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幕間

20211125_1

!SYSTEM
アイリスが入室しました
!SYSTEM
ニアが入室しました
ニア
にゃん
アイリス
導入はどうしようか
ニア
帰って来てから、でいいと思います
こちらでしましょうか
アイリス
お願いしようか
ニア
はあい。では少々お時間いただきます
 






 
“異界の門”を利用し、“奈落の魔域”の精製を目論んでいる者達がいる――そんな依頼を請けて向かった先で、
既に精製されてしまった“奈落の魔域”を確認しつつも彼らを撃破した冒険者達は、その黒球へと踏み込んだ。

それの破壊自体は難なく済んだものの、しかし内側に展開されていた異界は 同じ〈星の標〉の冒険者である、
探し屋“銀猫”――ニアの、流れてくる前の故郷を再現していた。その場に名残惜しそうにする彼女と、
依頼を請けていた内の一人、アイリスは彼女の故郷を己の故郷――ニアと同様、流れてくる前に滞在していた生家と同じものだと感じていた。
 
ニア
と、場所については
星の標にします? それともほかに?
アイリス
ほかが良いんじゃないだろうか。と言っても、他の場所って何処があるだろうか
ニア
アイリスの自宅、もしくはニアの自宅
アイリス
呼ぶ理由があまりないな
ニア
ほかに話を聞かれないようにするならそんな所かなあ 
アイリス
ニアのところにお邪魔しようか
ニア
この場合はこちらから声をかけた感じがいいかな
アイリス
そうしようか
ニア
OK
“奈落の魔域”の中でその話を打ち明けあった少女達は、王都に戻った後
報告を終え、報酬を受け取ってその場を解散した。
――帰還しようとするアイリスに小さな声が投げかけられたのはその時の事だ。
 
アイリスが招かれた部屋は、およそ少女の部屋ではなかった。
王都某所の一室――屋根裏部屋に、彼女の部屋はあったのだが
眠りにつくための寝台がひとつ、荷物を整理するためのスペースがひとつ。
後は雑多に、けれどどこか秩序的に冒険道具が置かれている。
 
ニア
それらをざっくりと片付けて、かろうじて残していた小さな座卓を引っ張り出すと、部屋の中央において。
クッション代わりになるものを置くと、そこにアイリスを促した。
「……ごめんなさい。急に」 申し訳なさそうに視線を落とすと、小さく口を開いた。
アイリス
「………、いや、気にするな」 銀色の長髪を揺らしながら 鎧姿なのでクッションへ腰を下ろす事を固辞すると ニアを見つめる
ニア
その視線に、しっかりとこちらからも返す。
不安そうな双眸がわずかに揺れて、
視線に耐えかねる様に、薄い唇が開いては閉じてを繰り返す。
アイリス
「…伺おうか」
口調だけは淡々と ただ友人に対するものとしては少し硬かった
ニア
その声色に、肩が揺れる。普段通りの彼女でない事は、十分過ぎるほどに理解できる。
「アイリスさんは、流れてくる前の事、……どれだけ覚えてらっしゃるんですか」
獣の耳はしゅんとしなだれ、尾は床に投げ出されて元気はない。
アイリス
「……」 少し困った様子で 「断片的な記憶が多いな」
ニア
「何を、覚えていらっしゃるんですか」 探るように、アイリスを見上げる。
アイリス
「家、家から見える壁、父母の顔は……もう思い出せないな」
「それから、大事な友達……猫が居たことは覚えている」
ニア
ぐ、とブラウスの胸元を握って、唇を震わせる。
アイリス
「小さい子だった……、」 言葉を続けて
「父も母も家には長く居なくて、私は1人だったから」
ニア
握られた指は、彷徨う様に胸元の紫のリボンに触れた。
アイリス
「何歳かは覚えてない。ただ誕生日プレゼントが、その子だったのは覚えている」
ニア
自分の記憶を探りながら、思い出を掘り返しながら
ただの猫だったあの頃を、どうしようもなく人になった今、掘り返す。
アイリス
「それくらいだな」
ニア
「じゃあ、」 恐る恐る、顔を上げる。
アイリス
「たくさん本を読んでいたことは覚えているよ‥内容まで覚えているものは少ないけれどな」
ニア
胸元の指が触れたリボンを、しゅるりと外す。まとめられていたブラウスの首元が緩んで、一筋の紫がニアの手に集った。
「私が、付けて頂いたものなんです」
「顔も、声も、わからなくなっちゃったけど……、大好きだった飼い主(あのひと)が、私に、って」
泣きそうな表情を浮かべながら、あの屋敷を――自分が生まれた屋敷が生家と瓜二つだと語った少女へと、リボンを差し出す。
アイリス
「………そうか」
ニア
「これを巻いてくださったのは、……名前を付けてくださったのは」 
「あなた、だったんじゃ――」 
アイリス
その人との記憶は大切にすると良い
ニア
――、」
ぴたりと動きが止まる。――解っていた事だ。そんな都合の良い奇跡がある筈がない。
薄い唇が開いて、小さく「ですよね」、と息が抜けた。――屋敷の構造が一致していただけで、そんなものを期待するなんて。
アイリス
「お互い覚えていないことを、穴埋めに使うのは良いことではないだろう」
ニア
「……つけた、ことは」 なのに。浅ましく期待する自分自身に嫌気を感じながら、かすれた言葉を続ける。
「ありません、でしたか」
アイリス
「あるかないかで言えば、ある」
ニア
「だったら――!」
アイリス
「──、だったら、なんだ」
ニア
「ぁえ、」 返る言葉に、喉が震える。息は声を伴って唇からすり抜けて、
アイリスの前には、ただ困惑するばかりの少女が座っている
アイリス
「私が大好きだったその人物だったとして、昔はどうあれ今はどうだと言うんだ」
ニア
「ど、っ」 期待と恐怖とがぐちゃぐちゃに混ざり合って、擦り抜けた先程の言葉とは変わって今度は溢れてくれやしない。
「うっ、て……」 「いま、……?」
気づけば、困惑し、パニックを起こしている両眼の目尻には涙が浮かんで、
きゅ、と喉から音が抜けて 背筋がびくりと跳ねる。
アイリス
「………、」 息を吐いて
ニア
――、アイリスさんも、大好きです」
「だから、もしそうなら、って……」
アイリス
「それは、」
「君の願望に過ぎない」
「重ねているだけのことだ」
ニア
「っ、だ、って」
金と蒼の瞳から、大粒の涙を溢し それを両手で拭い
「お屋敷も、いっしょで……リボン、も……」
「っ、く……、(わたし)、だって……」 
アイリス
「君は、」 小さく呟いて
「──、あの子じゃない」 はっきりと耳に届く
声音で突き放す
ニア
今度こそ、肩が跳ねる。
アイリスが見たこともないほど、唇が震えて
表情が暗く、澱んでいく。
喉から嗚咽を漏らして過呼吸を起こしながら、苦しそうな表情が歪んで、
やがて、声をあげて幼子の様に泣き始める。
アイリスをそうだと確信していたのか、それとも長年探して、はじめて得られた手掛かりを失ってしまったからか。
そのどちらもを溢れさせながら、泣き声が室内に響く。
アイリス
「──、用事は済んだな」
ニア
「ま、って」
「待って……」 絞り出すように重ねて、弱弱しくアイリスへと手を伸ばす。
アイリス
冷たく一瞥を向けると 踵を返す
「──、来るな」
ニア
普段の明るい表情とも声色ともかけ離れた泣き顔で言って、慌てて立ち上がる。
「やだ、」 震えた声を溢れさせて、その背に縋ろうと 手を伸ばす
アイリス
「──来るな!」
ぴしゃり、と言う様子で声を荒げる
ニア
荒げた声に帰ってきたのは、
「やだぁッ!」 悲鳴のような声で。そう叫ぶと、強引にアイリスの体に後ろから抱き着く。
「ぁ、――“あの子”じゃなくて、いいから」
「“銀猫”で、いいから」 過呼吸になりながら重ねる言葉は、酷く聞き取りづらい。
「おい、て、……いかないで、……」
アイリス
「…‥‥、思い出させるな」
引き剥がすように振り払って
ニア
「っ、あう……!」 縋っていた華奢な身体は、アイリスが払えば容易く引き剝がされて 
部屋に投げ出され 大きく物音が響いた。
アイリス
「……‥──もう会わない方が良い」
ニア
「やだ、」 拒否の言葉とともにアイリスの耳に届くのは、たどたどしく起き上がる音だ。
アイリス
「さらばだ。"銀猫"殿」
そのまま がしゃりがしゃり、と部屋から出ていくように歩き出す
ニア
「あ、……う、」 その背を見て、もう一度立ち上がって
数歩歩けば、酸欠とパニックの影響でまた倒れ込み
「……、アイ、リス、さ……」 去っていった少女の背へと、届かない声を投げかけた。
ニア
私はこんなところかな、と
 
 
 
「──、」 息をつく 霜が降りそうな夜だった 帰っても誰も居ない部屋にこれから戻る
独りに慣れたのは、いつからだろうか
独りが自然になり、暖かな場所を忘れたのはいつからの頃だっただろうか
もう、思い出せない。思い出す必要もない
あの子の事も、家のことも、そしてあの、日溜まりの事も
がしゃり、がしゃり、と足音を鳴らしながら、甲冑の少女は街を行く
次の仕事が来るまでの時間を、虚無に過ごすために
アイリス
こんなところかな
ニア
ひどいことをする……
アイリス
何がだね
ニア
私が……ですかね
押し込めているのは知る由もないんですけどね
アイリス
大変そうだな…‥(他人事
ニア
こいつ……
アイリス
何されたら此処までになっちゃうんだろうね
楽しみだね
ニア
闇しかないもん
闇GM
踏み込んで暴くにはニアを強化しないと……
よしではあんまりログを汚してもなのでここは撤退をば。
お付き合いありがとうございましたー!
アイリス
せいがくのはしらになれ ニアぜん
お付き合いありがとうございました
!SYSTEM
ニアが退室しました
アイリス
20211125_1 これだぞ
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