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幕間君

20211105_1

!SYSTEM
ラドロが入室しました
ラドロ
ステーンバーイ
!SYSTEM
イクシアが入室しました
イクシア
こんばんは
ラドロ
ヘーイ
イクシア
よろしくお願いいたします。
ラドロ
ヨロ!(^o^)/
 
 
その日は冒険者にとっては不作で、世間一般的には平和な日だった。
日々あらゆる厄介事が持ち込まれる〈星の標〉も例外ではなく、掲示板に張り出されている仕事も緊急性の高いものは無く
定期的に貼り出されるような配達や隊商の護衛などの募集、遠方での調達といった拘束期間の割に実入りが少ないとされるようなものばかり
ラドロ
勝手に捕まえていいかね
イクシア
どうぞ
そんな日であったから、普段なら引く手数多の優秀な神官であるイクシアもまた仕事にあぶれるのも仕方のないことではあったのだが……
 
ラドロ
――と、いうわけで、一名様ご案内~」
星の標でこの顔なじみにひょろりとした男に遭遇し、仕事にあぶれた者同士メシでもどうよと誘い出され
なんやかんやと口車に乗せられた結果、何故か王都の別の店へと連れ出される事となった次第である。
ここは王都の東、ミィルズ神殿の建つ通りを北へ行った工房街の表通り――から入り組んだ路地を一つ二つ潜ったあたり
小さな個人工房が密集して、あちこちから作業の音や塗料、薬品などの匂いが漂ってくる、そんな場所だ。
時間帯もあって職人向けの屋台などは幾つか見えるものの、食事処があるようには思えない。
食事処と言えば、先ほど通り過ぎたミィルズ神殿やその周辺の方がよほど充実していた。
ラドロ
というあたりでお好きなところでどうぞ
イクシア
最初は何か企んでいるのだろうかとも疑ったが、よく考えればそんなことをする利もなし。ただ単純に男も暇であったのだろうという結論に達する。
しかしながらこの状況はまさか…。
「………迷った?」
男の斥候の腕については疑っていないがついその言葉が口に出た。
ラドロ
「オイオイオイ、俺を誰だと思ってんだぁい?」チチチ、と絶妙にイラっとくる表情と口調を作って
イクシア
「(イラッ」
相変わらず足も軽ければ口も軽くうさんくさい男である。
ラドロ
「此処こそがあの知られざる伝説の名店、『トラットリア・ライモンド』だったんだヨ!」
指差した先には鍛冶屋とワイン用圧搾器の工房に挟まれた……一見、普通の民家。しかしよく見ればドアの上には小さな看板らしきものが見える。
イクシア
「…ちっさ」看板を見て思わずそう言葉が出た
一見すると間に挟まれていることから、隣の工房の人が住んでいる家ではないかとも思える。
ラドロ
「ちな、情報源はこれな」 ぽいとまるまった羊皮紙を放って寄越した。それはミィルズ神殿が発行した王都内の食事処を紹介したチラシのようなもので
イクシア
羊皮紙を受け取り、目を通す
「……コレにのってるならもっとお客さんがいるものじゃないの?」名店、という言葉から
ラドロ
〈泰龍山〉〈わんこ食堂〉 と言った食事処のほか、〈パティスリー・メルヴィーユ〉といった甘味処なども記されている。
イクシア
メルヴィーユの名前を見つけて、ここのチーズスフレ美味しいのよね、帰りにカスミにお土産持って帰ろうかしら、などと思いつつ
ラドロ
件の『トラットリア・ライモンド』と言えば、工房街のあたりにポツンと印がつけられており、名前と新規開店!の二文字しかない。
知られざる伝説の名店とは……
イクシア
「………」食事処なのはわかった。だが思い切り新規開店とか書かれている。
こいつまた適当な事法螺ふいたわね、というジト目を向ける。
もっとも男からしたらどこ吹く風であろう。
ラドロ
「この辺の通り、無茶苦茶入り組んでるだろ? あと、さっきのミィルズ通りで大体捕獲されちまうんだわ、客」
「しかも、うるせぇし臭ぇしでオープンしたわ良いけど、客が中々来ないってわけよ、わかる?」
イクシア
「…確かに」かの神殿の近くである。教義を考えればハズレはないであろう。
「まず立地条件の選定から戦略ミスとしか言いようがないわね」ばっさり <客がなかなか来ない
ラドロ
「だもんで、知られざる伝説の名店になってもらおうってな? いや、実際ウマいらしいぜ、マジで」 王都生まれではないが、この男、そのフットワークの軽さで手広く仕事をしており、顔も広い
イクシア
「あとぱっと見食事処には見えないわよ」たとえばもう少し看板を出すなどやりようはあるのではないだろうか、と素人の自分でも思うくらいである
ラドロ
「そりゃまぁ、元々、隣の鍛冶屋で作ったもんを売る金物屋だったらしいからなぁ」
イクシア
なんでそれが食事処になったのだろうかという疑問をいだきつつも
「…まあいいわ、混んでない方が助かるし」話を聞く限り、おそらくそう待たされることはないだろう、たぶん。
ラドロ
「まぁまぁまぁ、一つ騙されたと思って、そろそら」 背中を軽く押して店へと誘う。
イクシア
「ちょっと、もう…」男に誘われるままついていく。
ラドロ
厚めの扉を開けるとチリンとドアベルが鳴り、店に入ってドアを閉めれば外の喧騒や臭いはほとんど遮られる。窓辺に置かれた鉢に植えられているハーブの香りがふわりと漂う。
元々、別の店舗として使われていたという言葉の通り、壁や床は年期の入ったもので、しかし綺麗に掃除されている。
席数はテーブルが四つだけ、後はカウンター席だけだ。詰めればもっとテーブルを置けるであろうに、テーブル間の間隔がやけに広く取られている。
それもそのはず、カウンター内の厨房に居たのは……
イクシア
「(客層を考えればもっと詰めてると思ったけれど…)」主な客層は職人たちであると思われる。彼らの仕事柄、早い、安い、美味い、という方向の店であろうかと思っていたのだが。
リルドラケン
明るい金色の鱗をしたリルドラケンだった。やや分かりにくいが女性のようだ。彼女が店主で配膳も務めるのだとすれば、この配置も頷ける。
イクシア
大衆食堂をイメージしてたらカフェだったみたいな
イクシア
「こんにちは。2人だけれども、だいじょうぶかしら」時間帯が時間帯であるし、ラドロも営業しているからこの店に入ったのだとは思うが、確認のため尋ねる
リルドラケン
テーブルは四つとも埋まっていたが、丁度一つの席から客が帰るところだった。
それぞれのテーブルに広げられた料理は肉もあれば魚もあったが、どの席にも必ずパスタが見える、看板メニューなのかもしれない
イクシア
「(セットになってるのかしら)」などと思いつつ
リルドラケン
「ああ、ごめんなさいね、今、空いたから片付けるのちょっと待ってて貰えるかな」 気さくな声でイクシアに答える店主
イクシア
「ええ、ありがとう」
ラドロ
「ああ、いい、いい。こっちで片付けるわ。あ、どーもどーも、すいませんねこりゃ」 男は今まさに空いた席へと向かうと食器を勝手に集めはじめて、カウンターへと運ぶ。元居た客がそれを見てじゃあ私もと手伝い
リルドラケン
「ははは、ありがとう。じゃあこれも宜しく」店主は店主でそれを見て咎めるでなく、むしろ布巾と御盆を渡してきた。ハーブティらしきものが乗っていて、その数はどういうわけか8つ
イクシア
店のことである、店主に任せた方がよいと思ったが…こういうどこにでもするりと入っていくところは悔しいが自分にはないところである。
「……」8?
ラドロ
「わーお、これぞサービスってね」お盆と布巾を受け取って、布巾をイクシアへぽいと放る 「席、拭いといてくれる?」
イクシア
「いいわよ」手伝ってもよいならばそれはそうする
ラドロ
「はい、どーもどーも、店主からのサービスでござい、え、ミルク?知らんがな、自分で取って」
イクシア
相変わらず柔軟性が高い男である。
などと思いつつも手は止めず。テキパキと役割はこなす。
ラドロ
他の席にいた客に振舞われたお茶を配ってから、ようやく席へ
「いやー、客使いの荒い店だわ」
リルドラケン
「私が動き回ると邪魔っけだからね、しょうがないよ」
ラドロ
「人を雇おうぜ」
イクシア
「むしろ率先して手伝い始めてなかった…?」たたんだ布巾を返して、自分も席につく
リルドラケン
「材料費に割く分が落ちるじゃない」
ラドロ
「聞きました奥さん、妥協しない名店のふいんきですわよ」何故かシナをつくって>イクシア
イクシア
「そうね、いいお店だと思うわ」見つけたのがこの男というのが癪であるが。
なぜこの立地で宣伝効果も薄いのだろうかと疑問に思っていたが…おそらくこの店主にとってはこれがちょうどいい、のだろう。
ラドロ
「ははは、ありがと。元々、自分達が美味しいものを食べたくて始めただけなんだ。うちの兄弟は皆くいしんぼでね」
リルドラケン
こっちだ
「ははは、ありがと。元々、自分達が美味しいものを食べたくて始めただけなんだ。うちの兄弟は皆くいしんぼでね」
「両隣は兄弟の店なんだ」
ラドロ
「ははぁん、それで売りが茹でたての生パスタってことかい?」
イクシア
「なるほど。こだわりの美味しいお料理も楽しみね」珍しく表情が綻んだ
ラドロ
隣は兄弟の店、鍛冶屋とワインの圧搾機の工房、つまり、竈の熱は借り放題で料理には持ってこいだ。そしてワインの圧搾機を工夫すればパスタの製造機を作る事も容易かろう。
リルドラケン
「抜け目ないねぇ、打ち立てがあるから楽しみにしておいで、あ、これ、前菜だから取りに来て」
ラドロ
「どっちが抜け目ないんだか」苦笑してカウンターへ向かう。持ち帰って来たのはこんがりと焼けたパン、そしてホイップされたクリーム
イクシア
炭水化物+炭水化物
ラドロ
さいきょう!
イクシア
前菜…?
ラドロ
「なにこれスッカスカ」 よく見ればそのパンは中身がない。これはむしろシュー生地だ
ラドロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC
ラドロ
クリームも脂肪分が少なめであっさりしたもので、糖分がほとんどない。生地に含まれたバターの風味と香ばしさだけを純粋に味わうようなものだ。
イクシア
「ポップオーバーね」と言いつつ小さめのものを手に取り、まずはそのままで、次にクリームをつけて
果たしてこれが前菜かどうかはおいておくとして…これだけでも十分美味しい
ラドロ
「ジャムでも付けて食うもんじゃねぇのか、これ」
イクシア
外側はさっくりと、内側はもっちりとしている。
ラドロ
茶を啜りつつ、クリームをつけずにムシャリ、クリームをつけてもう半分をムシャリ
イクシア
「一般的にはジャムやクリーム、果物をトッピングして食べるパンの一種ね」
ラドロ
「ほーん」
イクシア
「一般的な作り方自体は家庭でも作られてるからそう難しいものではないけれども…材料にこだわっているのも頷けるわ」
作り方を工夫しているのかあるいは材料を工夫しているのかわからないが、結論美味しいということである。
店主
「前菜はもう二つ、今日のスープはコンソメ、もう一つは肉と魚、卵、野菜から選んでね。メインのパスタはトマトとオイル、クリーム、お任せでいいならこっちで適当に出すよ」
ラドロ
「ずばり、オススメは?」
店主
「全部」
イクシア
「すごく魅力的な提案ね」
ラドロ
「デスヨネー」
イクシア
ヘルレやルーチェ、カスミもいれば食べきれるとは思うが、また次回のお楽しみとしておこう
ラドロ
「そっちはどうする? 俺は~……んー、」他の席を見渡して、残り香をくんくん、行儀が悪い
「ヨシ!卵&トマト、君に決めた!」
イクシア
「前菜は野菜で…パスタはそうね…なら私はクリームで」
せっかくなら違う種類でいこう
店主
「はい了解、ちょっと待ってねー、出来たら呼ぶから」
イクシア
ありがとう、と礼を述べて
ラドロ
「へーい」使われるのには慣れたものだ
イクシア
あの前菜である、パスタも期待以上の代物であろう。
店主
今日のスープはシンプルなコンソメスープ。具材はほぼなし。軒先で植えられたフレッシュなパセリを散らして
イクシア
「……前に来たことあるの?」先ほどからやけに親しげな様子でもある。この男がそういう性質だと思ったが、もしや誰かときたことがあるのだろうか。
ラドロ
「開店の手伝いをちょーっとな?」
店主
「いやー、その節はお世話様、はい、前菜ふたつ出来たから運んで。あとこれ、あっちの席ね」
イクシア
「だからかってがわかってるのね」一つ納得がいった。
なぜか他のテーブルの給仕も任されているのもそのためだろう。
ラドロ
「へいへい、はいこちらですよと」
隣の席に料理を運んで戻ってきた。
卵料理はジャガイモやベーコンを入れたオムレツ、野菜は牛骨で出汁を取った濃厚なスープをゼリーで固め、豆と根菜を寄せたもの
「あと、ついでにこいつをくすねて来た」 小皿に二枚だけ、黒コショウの振られた鴨か何かのハムらしきもの。まさか隣の客の注文では
イクシア
「(これうちで作れないかしら…カスミもよろこび…)」
「は?」
ラドロ
「お、うまいうまい」 速攻で一枚もぐもぐ
イクシア
一瞬隣の客の注文ではと思ったがいやさすがにそれはないだろうと、きっと店主のサービスだと思いたい
店主
お駄賃さ ('ω')b
イクシア
「ん」コショウがピリリと味を引き締めている。
お酒にも合いそうだ。夜は酒場でもやっているのだろうか?やっていなければやれば繁盛するだろうと思う
ただ、今この規模だからできるサービスを大事にしたいとも思う
ラドロ
「やべぇ、酒が欲しい」塩気を抑えた燻製ハムに胡椒がよく合っている。
イクシア
悩ましい。
「ここ夜もやってるのかしら」
店主
「あーダメダメ、うちは酒と煙草はやらないんだ。そっちが欲しければ持ち帰りでお願いね」
イクシア
「なら後で注文をお願いしたいわ」チーズスフレにしようかと思ったが、これはカスミによい土産ができた
店主
「夜は寝てるか他所のお店に食べにいくんだ」
ラドロ
「こりゃ流行らんわ」
店主
「良いんだよ、趣味と実益なんだから」
イクシア
「手を広げすぎてもおさまらなければば意味がないわ」うんうん <趣味と実益
@ば
店主
そう言いながら大きな手でこねていたパスタ生地を製造器に収めてハンドルをぐるぐる。穴からうねうねと逃げてくる生パスタ。
ラドロ
「勿体ねぇなぁ」なんて言いつつ、オムレツを二つに割ってハムの乗ってた小皿に乗せて、イクシアの方へ
「そっちも食いてぇから、交換と行こうじゃないの」
イクシア
「いいわよ」オムレツをもらい、同じように自分の前妻の半分くらいを小皿のもう半分のところに乗せてラドロにパス
@前菜
「ん」卵が半熟トロトロである。
イクシア
(でもスープのゼラチンってまたラドロメンお酒飲みたくなるのでは
ラドロ
「ほーほー、これはこれで?」ゼリー寄せの野菜を物珍しそうにつついて、見た目と味のギャップに軽く驚きつつ
「こりゃあ、ワインか……?」合いそうな酒の話である
店主
「正解、牛骨の臭みを抜くのにちょっと入れてるよ、よくわかったね」
ラドロ
「……まぁねー」ちがう、そっちじゃない
イクシア
五感は斥候の技術と結びついているものである。味覚も鋭いのも頷ける話ではある。
ラドロ
「で、最近、そっちはどうよ。カスミンも相変わらずかね」 スープとシェアした二種の前菜をちびちびと食べ比べながらパスタが茹で上がるまでの合間の時間に
イクシア
「相変わらずよ」この前変な魔動機斬ってきたらしいわね、などと
ラドロ
「ま、こないだの仕事ん時は絶好調って感じだったしなぁ」
イクシア
「普段ド天然だけど仕事はちゃんとするわよ」
「あとこの前飲み比べもしたわよね?」無謀すぎるわよという顔
ラドロ
「そりゃあんだけ腕が立ちゃなぁ」
「大丈夫大丈夫、薄めてほぼ水にしてあっから」
イクシア
「それ飲み比べって言わない気がするんだけど」
ラドロ
「ネズミと馬で力比べするようなもんっしょ」
「たまには勝負にノッてやんないと、稽古とかいってガチバ仕掛けて来ようとすんだろ」
イクシア
「貴方から言い出したら大歓迎でしょうね」
ラドロ
「たまに冗談と思えないのを放ってくんのマジやめて欲しい、飼い主さん躾どうなってんの」
イクシア
「なんでこっち見るのよ。大丈夫よ、分別はつけれるから         たぶん
ラドロ
「つーか、不思議な取り合わせよな、お前さんら。どこで知り合ったんか知らんけど」
イクシア
出会いを思い出し。
「…少なくとも普通の出会い方じゃなかったわね」
ラドロ
「似たとこが全然ねぇのが逆にウマが合うってのかねぇ  はぁん?」
イクシア
「あとはあのド天然お嬢様放っておいたら破産しそうでほっとくと寝覚めが悪かったのはあるわ」ストレート
ラドロ
「それな」
「あの腕だ、仕事がみつかりゃ稼げはすんだろうが、金銭感覚おかしくね? おかしくね?」
「"熱狂"とかパカパカ空けてんだけど、あれ大丈夫なん?どっかからカネ借りてねぇ?」
イクシア
「自分で管理できる範囲でやりくりはしてるわよ」
金銭感覚も出会ったことに比べたらましになってきた      と思いたい
店主
「どっかのバカが上手い話とか持ちかけませんように、だ」 もちろん、心配なのは危険意識の低いバカの方だ
ラドロ
俺さ
「どっかのバカが上手い話とか持ちかけませんように、だ」 もちろん、心配なのは危険意識の低いバカの方だ
イクシア
「さすがにそこまでぽやぽやしてないわよ               たぶん
ラドロ
「心配なのはそっちじゃねぇんだよなぁ……」
店主
「トマトとクリーム、あがったよー」 共通の友人の話で盛り上がっていた(?)ところに店主からの声が
イクシア
「取り皿も2枚お願い」とちゃっかりそれもお願いした
ラドロ
「へいへい」
イクシア
別の種類を頼んだということはそういうことである。
ラドロ
もわもわと湯気を立てるパスタ、トマトソースの方は細く、クリームソースの方はやや太い平打ち麺だ。どちらもソースはシンプルなものだ。
打ちたてのもっちりとした触感と麵自体の味に主体を置いたつくりになっている。
イクシア
そっち半分よろしく、とテーブルにパスタが届けばちゃっかり取り皿に取り分けている。
ラドロ
「へーい」文句を言わずに取り分け用に借りて来たフォークでくるくるまとめて分け分け
「ああ、あとこれな」唐辛子のフレークとミルでその場で挽くタイプの黒コショウを置いて
イクシア
「本当にマメな男ね…」
ラドロ
「あちらの方からになります」 バーテンみたいな口調で店主を指さし
「まずは普通に食ってからにしろとよ
イクシア
「もちろんよ」
冷めないうちに、とまずは自分が注文した方を口に運べば、濃厚な、それでいてくどさがない味が広がる。
「(これもしかして動物性由来だけじゃない…?)」無論美味しさについては言うまでもない
ラドロ
自分で注文したトマトの方から口にする。普段眠たげな眼をカッと見開いて、ズゾゾと啜り出した、育ちが悪い
イクシア
「子どもみたいな食べ方ね」口の周りにソース着くわよ、と
ラドロ
そのまま味変用の調味料に手を出すことなく、クリームソースの方も含めて無言で完食した。お察しの通り口周りはソースがついている。
「へっ、生憎と育ちが悪ぃもんでね」 そんな憎まれ口のようなものを叩きつつ、食事を満喫した表情は隠せないのだった
イクシア
正反対に無理なく綺麗に、店主の好意である一部の味変も楽しみつつラドロに少し遅れて食べ終わり
ラドロ
煙草の入った腰のポーチに手を伸びそうになったが、我慢我慢
イクシア
「美味しかったわ」ごちそうさまでした、と
ラドロ
「いやー、んまかった。これで酒と煙草ありならもっと最高なんだけどなぁー、あーあー?」
イクシア
「無茶言わないの」本当に子どもみたいな男である
食べ終わった食器は、ラドロが持ってきてくれたのでイクシアが返却を。ついでにカスミへの土産である持ち帰り用のメニューもいくつか頼み
店主
「はいはい、そういうのは外でやってどうぞ」
「けど、あんまりヤニ臭いと彼女さんも嫌なんじゃないかな」そこんとこどうなんだい?
イクシア
「まったく全然そんな関係ではないけれども、身体に問題がなければそれで」つまりほどほどにならばということである。
ラドロ
「だ、そうなんで」
店主
「そうなんだー」
イクシア
それを言ってしまうと同居人の酒量の方がソレであるのはおいておこう。
ラドロ
「そんじゃ、ごっそうさん。また来るわ」 ちらと見れば来た時同様に別の客がいて
イクシア
「ごちそうさまでした、美味しかったわ」
カスミへの土産の持ち帰りメニューをいただいて
店主
「もうじき、魚の良いのが手に入る頃合いだろうから、楽しみにね」
イクシア
「ありがとう」今度友達も連れてくるわ、と
ラドロ
「おいおい、生食い(サシミ)は勘弁だぜ」
店主
「美味しいんだけどなぁ、まぁ煮ても焼いてもとにかく美味しいから大丈夫」
イクシア
「期待してるわ」事実味については疑っていない。
ラドロ
「鍋かぁ……なぁ、4、5人なら平気だよな、ここ。そのうち貸し切りで打ち上げとかに使っていいか?」
店主
「酒煙草抜きなら良いよ」
ラドロ
「くそぁぁ!」
店主
「はっはっは」なんて軽妙なやり取りをしつつ、店を後にする事になるのだった。
イクシア
店を出てから
「…いいお店だったわ、ありがとう、教えてくれて」珍しく素直に礼を
ラドロ
「ん?」店を出てから煙草を取り出して口に咥え、火をつけようかというとこで
「ああ、こんなだからそのうち混み始めて、下手すると店畳みそうだからなぁあいつ」
「やってるうちにと思ってな」
イクシア
「美味しいのも考え物ね」事実繁盛はするだろうが、おそらくそれは彼女が求める者とは違うもので。悩ましいものである。
ラドロ
「忙しさで店を閉めたら隠れた伝説の名店の出来上がりってわけだ」すぱぁ
イクシア
「ならほどほどにしておかないとね」広めるのも、それも、と煙草を示して
ラドロ
「まぁ、そうなる前に次はカスミンやらデルック、おっとルーチェの奴も呼ばねぇとキレるわな。あの辺呼んでメニュー制覇しとくかぁ?」
イクシア
「他の物で代用でもしてみたら?」飴玉とかあるみたいよ、と
ラドロ
「飴ねぇ」
イクシア
「それだけそろえば制覇できそうね」
ラドロ
「まぁ、俺としちゃあ、一度に網羅するよか時間をかけてじっくり攻略したいとこだがね」
「というわけで、そのうちまたよろしくな
イクシア
「遺跡みたいなこと言うのね」
「いいわよ、また付き合うわ」別のメニューも自分も気になってはいる
ラドロ
「狙った獲物(おたから)を逃がさずゲットするには焦りは禁物ってね」
「そんじゃ、次はあん時みたいな恰好でよろしく!」
イクシア
「なるほどね」よほど気になってるメニューがあったのか…と思っていたら
「…は?」
ラドロ
「なんなら仮面でも用意しとくぅ?」 街中で着けてたら完全に変人である
イクシア
「ないわ」ないわ
イクシア
街中でバケツヘルムかぶっているこだっているんだぞめん!
ラドロ
「じゃ、仮面なしならオッケー、と。ヨシ!」
イクシア
そんなわけないでしょ、と言い返そうとしたが
ラドロ
下が普段着の時じゃなければ(甲冑)普通(?)だから…
イクシア
ここでそう反応しては相手の思うつぼであると思い
「…いいわよ、考えておくわ」
ラドロ
「……マ?」煙草をぽろりと口から落とし、
「ぅ熱っ」慌てて手で受け止めて
イクシア
「ちょっと馬鹿なにやってんの…!」
ラドロ
「なんつって」器用に指で挟みこんでいた
イクシア
焦ったが火傷をしていない様子には息をついて
「あとはそうね…お酒飲みたいなら、場所だけ借りて持ち寄れるところでもいいかもしれないわね」
ここの料理持ち帰らせてもらったり、あとは私も料理作るし、と続けて
「お酒はカスミなら嬉々として教えてくれたり用意するでしょうしね」
ラドロ
「へぇー」料理作るしってとこに 「ほーん?」
「ちなみにどんなん作れんだ?」 野営の時のではないレパートリーだ
イクシア
「このあたりの郷土料理でも、家庭料理でも、時間があれば凝った料理でもだいたい作れるわ」シュラ風のも作れるわよ、材料そろえれば。
ラドロ
「オイオイオイ、天才かよ」
イクシア
「趣味みたいなものよ。レシピ通りに作ってるのもあるし」どうすればもっと美味しくなるかというのは考えなくはない、が。まずはレシピ通りに作ることが重要なのである。
「一人暮らしが長かったのもあるわね」日頃からやってれば家事一通りはできるようにもなるわ、と
ラドロ
「向上心のあるエルフの趣味人とか敵わねぇ……」
「けど、エルフ料理ってあんま聞かねぇな……?」
イクシア
「里にもよるでしょうけどだいたいはその森にあるモノを使って作ることが多いわね」
ラドロ
「実はメシマズだったのかあいつら……」
イクシア
「……………里によっては」何を思い出したのか
うちの里は王都とも多少交流を持ってるからましな方よ
ラドロ
「道理でこっちで会う子がみんな口揃えて王都のご飯美味しーって言う筈だわ……」
ラドロ
でも、メン、その子は君のカーチャンの倍くらいの齢が
イクシア
「良くも悪くも素材そのままっていうところもあるかもしれないわね」
イクシア
エルフはなあ…約束されし美形種族だからな…。
イクシア
気になるなら作ってくるわよ、今度
ラドロ
「是非こっちの料理でオナシャス」
イクシア
「腹立つくらい料理が上手な知り合いいるから習っておくわ」
ラドロ
「自分よか上手い奴に腹立てたってしょうがねーってのよ」
「あの店のメニュー制覇もしてーけど、お前さんの気合入れた料理ってのも正直興味あるがね、俺は」
イクシア
「店のとは比べられないけれど…どうせ食べてもらうなら美味しい物の方がいいわね、私も」
ラドロ
「そしたら俺も渾身の料理でお返ししてやるぜ。このラドロさん特製、"なんか上手に焼けた肉、パン挟み"とかをよぉ」
身も蓋もないネーミングである。そして腹立たしい事に下手な手の込んだ料理より美味しく仕上がるのだ
イクシア
「ネーミングセンスが壊滅してるわね」大丈夫?ほんとうに?という顔
「今日いいお店も教えてもらったし、凝ったものじゃないけれどお礼はするわ」
ラドロ
「名前なんざなんだっていいんだって」
「別に貸し借りってわけでもねぇんだけどなぁ」
「ま、せっかくだし今から腹空かせとくんで餓死する前に頼むわ」カラカラ笑って
イクシア
「ほんっとに…口がよく回る男ね」だがどこかその声音はいつもと違い柔らかい気がする、少し
ラドロ
「へへへ、ああ、そうだ。帰りにちょいと寄り道いいか?」
イクシア
「?いいわよ」
ラドロ
「どうせなら戦利品を1つ、豪華にしとこうぜ」
イクシア
「……?」
ラドロ
チラシを取り出して甘味店をツンツン
イクシア
「…なるほど。のったわ」
ラドロ
「そうと決まりゃあ、こんなとこに長居は無用ってな、行こうぜ」ほら、と手を差し出して
イクシア
差し出された手を取った。たまには、いいだろう、たまには。
ラドロ
「……」 パスタを食った時のように目をまんまるに
イクシア
「…何よ」自分が差し出したのであろうに
ラドロ
「いやいや、なんでもねぇなんでもねぇ、へへへ」 カスミへの土産に購入した料理を崩さないように自分が持とうとしたのだが、よもやよもや
「ほい、いただき」 空いた手でそっちの荷物をひょいと奪取
イクシア
「……さっさと行くわよ」そう、これはただ気が向いただけであり差し出されたからつい手を取ってしまった反射のようなものである。
持ってくれたことについてはありがとう、と言って
ラドロ
「へーい」揶揄うことも出来たけれど追い打ちをかけるようなことはなく商業区方面へと向かうのだった。
ラドロ
こんなところかね
イクシア
こんなところでしょうね
つらつらとおしゃべりお付き合い感謝です
ラドロ
お疲れ様でした
イクシア
お疲れさまでした
ラドロ
深刻さの欠片も無い何の意味も無い会話もよいものだ
メンは麵が好き、おぼえたね?
イクシア
覚えた
ラドロ
初めて食べたまともな料理が
拾ってくれた爺さんに食わせて貰った具無しのパスタだったとかなんかそんな感じ
イクシア
めーん
ラドロ
よし、撤収!ありがとう!
!SYSTEM
ラドロが退室しました
イクシア
ありがとうございました!
背景
BGM