- !SYSTEM
- イズが入室しました
- イズ
-
- 外の大陸から流されてきて、食い扶持を稼ぐために冒険者を兼業することにしたものの、自分の本懐は芸にある。
依頼の張り出し時間が過ぎた後なら空いたスペースで営業をしても構わないと、強面店主の了解を取りつけたので、王都の散策がてら、街角や酒場で演奏していた無名の楽士を二人くらいひっかけ、即席のトリオを形成。
- ぶっつけ本番でステージへというのも乙だけど、ここは初めての土地だからまずは音合わせ
- 訪れたのは王都内のアステリア神殿。芸術と音楽の神でもあるこの女神の御膝元なら練習には最適の場所だ。
- ほとんど裸と言っても過言ではない目に毒な衣装を恥じることなく、むしろその赤灰の肌を誇るように、のびやかに両の手を広げ、表情をか輝かせる黒髪の娘。その額にはもう一つの瞳がある。
「なーるほど、アステリア様の神殿の周りが公園になってるってわけね。うんうん、音の響きはしょうがないとして、ひとまず迷惑はかかんないわねー」
- 太陽は中天にあり、秋の涼しさを感じさせる風と日差しの温かさの調和がとれ、過ごしやすい気候となっていた。
- シャドウという種族の印象からは離れた明るい表情で連れて来た二人の楽士を振り返る。
- どちらもパッとしない風体の若者だった。やせっぽちのヴァイオリンにふとっちょのギター。
それぞれ街角と酒場で流しの演奏をしていたが、楽器ケースに投げ込まれたコインは数えるほど。
- 一流とは言えないまでも、しっかりとした基礎を感じさせる演奏を聞き、やや強引に(ちょっと腕を抱え込んだだけ)引っ張ってきた。
- ビオロン
- 「ええと、それじゃあ、ここで練習を……?」ヴィオリンを手にしたやせっぽちの奏者が、戸惑いがちに娘に話しかける。まだ半分くらい美人局なんじゃないかと気が気でない。
- !SYSTEM
- ngoが入室しました
- ngo
- ヌルリ
- ギタール
- 「ほ、本気だったのかよ」ギターを抱えたふとっちょの奏者はやや残念そうだ。もしかしたらあの肌の温もりを味わえるのかと思えば、二人目が加わってびっくりした。
- ngo
- いきなり可哀そうで草
- イズ
- イケメンではないのでヨシ!
- イズ
- 「本気も本気、モチのロンよぅ? まぁまぁ、もし合わなかったらお駄賃あげちゃうから」 前かがみになってウィンクしてそう告げる。別の意味に取られそうだが、お金で済ませるつもりだ
- ビオロン
- 「……」ごくり
- ギタール
- 「……」ごくり
- イズ
- 「はいはーい、じゃ、行ってみよー!」
- やや乗り気でなかった二人を焚きつけ、演奏を始めさせる。彼女自身に楽曲の素養はない。
- ただ、その肢体に、リズムと旋律が染みついている。言葉で伝えたイメージに対して、踊りで応え、相応しい曲調へと導いていく。
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- BGMを変更 by イズ
- ジプシーダンス42%
- イズ
- 「そうそう、良い感じ良い感じよ~☆」 ゆるやかだが情熱的な曲に合わせて踊り出す
- 三日月の刃を持つ剣を手にした踊りは大きく跳ね回るような類ではない。
- 酒場の一角を借りることを意識してか、ほぼその場を動かず、剣を大きく振り回したりはしない。
- 真芯に一本の柱が入っているかのように、軸をぶらさず、しなやかな関節の動きで以て躍動感を表す。
- 風に靡く布のように、それでいて指の末端まで計算された腕の動き、激しく、艶めかしく律動する腰と脚
- 艶めいた笑みを浮かべる先は2人の奏者に向けられたり、そこにいない観客の方へと向いたりと変幻する。
- 手にした剣は時に肌を這うように、時に頭の上に載せられて優れた体幹を魅せる道具となる
- トウテツ
- アステリア神殿からたったワンブロック離れた先の地区は、王都が誇る大きな花街となっている。勿論神殿に面した建物は、一見してそうと分かるような外装をしているわけではないのだが、そんな娼館の間にできた暗い裏路地から、公園の様子を遠目から眺めている影が二つあった。
- イズ
- 「――♪ ―――!」 旋律にあわせ、緩急をつけ、廻り回って、跳ね、沈む肢体。
- ビオロン
- 最初は乗り気ではなかった二人の奏者だったが、次第に一体感を覚え、演奏に熱が入っていく。
- トウテツ
- 二つの影のうち一つは、まだ幼さが残る美しい見目の子供。彼は公園の小さな賑わいの中央にいる娘が見知った顔であると分かると、影の中で楽しそうに笑った。
- ギタール
- いつしか、額に汗してギターの胴を叩き、弦をかき鳴らしていた。
- トウテツ
- 「何やら普段とはまた違った賑わいがあると思ったら……――ん、ああ、はい。先日、件の店で」 もう一つの人影に何事かを問われ、笑って返答する。
- イズ
- 剣につけられた鈴、身に着けた装具のリン、シャン、という響きで演奏に応える。
- 殺す為に生み出され洗練されてきた剣という道具を、生命力に溢れる踊りの道具へと昇華せんとする。
- 「――――」激しいリズムからの緩やかな転調に合わせ、最後は身をこれでもかと柔軟に畳んでみせ、そこで踊りは止まった
- トウテツ
- 人影が、また何事かを口にして、その言葉に少年が瞬きをして見せた。その様は、大人びた雰囲気から一転して、年相応以上に幼く見える 「――え、いいんですか?まだ見回り終わってないのに」 それから楽し気に笑うと 「ではまた後で、お師さん」 てんてん、と軽いステップをするような足取りで公園へと向かった。
- イズ
- /bgm RESET
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- BGMを削除 by イズ
- イズ
- 「――……ふぅ」 褐色の肌を大粒の汗が流れ落ちる。息を吐き、身を起こして伸びをした。
- 「今の、すっごーく良い感じだったわ! あなたたち、やっぱり才能あるってば! 言ったでしょ?」トリオのメンバーに賞賛の声をあげ
- ビオロン
- 「は、ははは」 気付けば曳き込まれるように演奏にのめり込んでいた
- ギタール
- 「へへへ」 心地良い疲労を共有した感覚を得ていた
- イズ
- 「どうかな、これならここのお客にもウケそう?」
- トウテツ
- 「――ええ、実に良い芸でしたよ」 いつの間にやら数歩離れた場所にまで近付いていた少年が、楽し気に笑った。
- イズ
- 「文化がちがーう、とか言われ――あら?」 振り向けばそこに美少年
- トウテツ
- 「チップはどちらに?」 神経質そうな指先にあるのは、硬貨である。
- イズ
- 「あらあらあら、てっちゃんじゃない!もしかして見てた? いやーん」恥ずかし気に身をくねらせて見せる。そう、見せるための動きだ。これもある種の芸なのかもしれない
- ビオロン
- ギターと顔を見合わせた、二人して渋面だ。イケメン死すべし
- ギタール
- ヌッと指差す先には自分のギターケース
- トウテツ
- 一人分にしては多いその硬貨の枚数は、自分と、もう一人の観客の分である 「はい、とてもお綺麗でしたよ。先日も思いましたが、体の使い方が本当にお上手ですね」 ちょっと語弊を招きそうな発言である
- イズ
- 「まだ音合わせの途中だし、おひねりは良いのよーって言いたいとこだけど、くれるんなら有難く貰っちゃおうかナー」
- トウテツ
- ギタールの差し出したケースの中に、ちゃりんと硬貨を入れた 「有難うございました」 ふわりと人好きのする微笑みを彼に向ける
- イズ
- 「えへへー、あっちばかりじゃ無いってとこ、理解らされちゃったぁ?」 語弊を招く発言に意図してかせずしてか乗っかるように
- ビオロン
- 「……」人好きのする笑みを前に毒気を抜かれる一方で
- トウテツ
- 「音合わせ……?お三方は元々お知り合いではなかったんですか?」 見事な演奏と踊りだったから、もう長年連れ添っていたものかと思っていた
- ギタール
- 「……」こちらは何かうすら寒いものを感じて、汗ばんだ肉付きのいい体を小さく震わせた
- イズ
- 「ええー?まっさかぁ、今日会ったばっかりよ! ねぇー?」
- トウテツ
- 勘のいい子ですね
- ビオロン
- 「あ、え、ええ」
- ギタール
- 「まぁ、な」
- トウテツ
- 「……おや」 まさか、といった表情。珍しく、本心から驚いたという顔を見せた。
- イズ
- 「二人とも腕がいいのに、隅っこの方でなーんかパッとしない曲弾いてたから、引っ張りだしてきちゃった」てへぺろ
- 腕が良いと褒められはしたが、一流には届かないことを自覚している。そんな諦観と照れの混在した表情を浮かべる奏者たち。
- トウテツ
- 「そうだったんですか。貴女の踊りは勿論ですが、お二人の演奏も素敵でしたよ。まさか、即興だったなんて……」 僕もまだまだですね、と頬を掻きながらはにかんだ。
- イズ
- 「ありがと~、こなれてきたらお店の方でも営業するから、そん時はよろしくぅ」 満面の笑みを向け
- トウテツ
- 「へぇ、弦楽器……この形はあまり見た事がありませんでした」 心底興味深そうにギタールの楽器へと手を伸ばし、青年の手の上にその手を重ねた。
- イズ
- 「やだ、可愛~いい!」 はにかみの表情にトゥンク
- トウテツ
- 「それは是非。途中から遠目でしか見れていなかったので、次回も楽しみにしていますね」
- ギタール
- 「……ッ」手と手が触れあった瞬間、跳ねる鼓動。引く血の気
- トウテツ
- 勘のいい子ですね…
- この察知能力は冒険者にも引けを取らないかもしれない……ギタールの様子にふわりと笑んで
- イズ
- 「そーお? 形は色々あるけど、リュートとかの仲間よね?」
- ビオロン
- 「ぜ、全然違うと思うけど…」 大雑把すぎる分類に思わず
- トウテツ
- 「もしかして、お姉さんも楽器はあまり?」
- イズ
- 「イイ音を出してくれるんならヨシ! って、あれれ、どしたの?」どこか萎縮して見えるギター奏者に小首を傾げ
- トウテツ
- 「……?」 ギター奏者君に首を傾げた
- イズ
- 「あはは、あんまり詳しくないのよね、そっちはいつもお任せって感じだったし?」
- 「なんとなーく好き勝手踊って、うまいこと合わせて貰ってたのかも?」
- トウテツ
- 「ははぁ、なるほど……」
- イズ
- 「ところで、てっちゃん、こんなとこで何してんの? 今日はお休み?」
- トウテツ
- 「……ん、」 イズに振り返る。青年の手から手を離し
- 「ええ、まあ。先ほどお休みになりました」
- ビオロン
- 今まで握ってたのか!それは固まるわ
- ギタール
- ぶるぶる
- トウテツ
- にこにこ
- イズ
- 「へぇー、冒険者以外にもお仕事持ってんのねぇ」
- 「顔がイイから……イケないお店の用心棒とか、そんな感じ?」
- トウテツ
- 「そういう事ですね。最初は兼業なんて、と思いましたが思いの他冒険者稼業は自由が利くようで、楽にやらせてもらっています」
- 仕事の予測に関しては 「まあ…」 と曖昧な返事。近くに花街があるのだから、そう察されても無理はないだろう
- イズ
- 「こーんな頼れるイケメンとかいたら、足抜けとかしたくなくなっちゃうもんねー」
- トウテツ
- 「褒め過ぎですよ」 よく褒められるから慣れてますけどね、ふふ
- ビオロン
- 「……」ああ、さっき感じていた一体感が遠のいてく…これがイケメンとの差なのか
- ngo
- ヴァイオリン奏者くん。。。
- イズ
- 「どうせ慣れっこでしょ? 本気にしてないしぃ」
- イズ
- かわいそう
- イズ
- 「やっぱ、あっちの方がイケる口なのかなー?」
- ギタール
- 「……」あっち? まさか、あのタッチ、あの悪寒は、まさか、まさか、こいつ――あっち
- トウテツ
- 「……人を人食い鬼みたいに言わないでください」 イズには笑って肩を傾げて見せた
- 「ん……?」 ギタールから、何やらただならぬ視線。彼を一瞥して、微笑んだ。にっこり
- イズ
- 「やぁだ、食べられちゃう~」
- ビオロン
- あのパフォーマンスの先にちょっと夢想したこれからの未来が色褪せていく…
- トウテツ
- 「お姉さんのようなお綺麗な方が相手なら、そういう鬼になってしまうのも吝かではないですが……」
- ギタール
- 「 」 ヒェッ
- イズ
- トリオ結成、成らず!
- トウテツ
- 「それはそれとして、彼が寂しそうになさってますけど、大丈夫でしょうか」 ヴァイオリンくん……
- イズ
- 「もう、口が上手いんだからぁ? え? なになに」
- ngo
- サークルクラッシャーになってしまった…
- イズ
- 「どうしたのー? あ、調律終わった? もう一曲行ってみる?」
- ビオロン
- 「ええと、その、ちょっと今日は調子が」ぼそぼそ
- トウテツ
- 「おやおや」
- ギタール
- 「あー、俺も、かな?」
- イズ
- 「ええー」
- トウテツ
- 「芸子は繊細な方が多いと聞きますし、あれだけの演戯の後です。疲れてしまうのもむべなるかな」
- イズ
- 「じゃあ、また今度ね!きっとよ? あたし、〈星の標〉に居るから。はいこれ、今日のお礼ね」二人に手ずからコインを握らせる。渡す時に小指をキュッと絡ませるのも忘れない(サービス)
- トウテツ
- ちゃんと媚び売っておくんだ
- ビオロン
- 「う、うん、ま、またね」 僕にもまだ脈はあるんだ↑
- トウテツ
- がんばれヴァイオリン!!!!
- ギタール
- 「あ、ああ、いい芸が出来た、またな」 へへへ
- トウテツ
- 「いやぁ、微笑ましいですね」 無垢な夢を見ておるわ……
- イズ
- 「まったねー!」去っていく二人に大きく手を振って見送り
- 「二人とも田舎から楽器一つ持って列車に乗ってきたんですって」
- 「良いよねぇ、そういうの」
- トウテツ
- 「それはそれは、素晴らしい心意気ですね」 秋空の下、激しい運動した後とは言え冷えてしまうだろうと、羽織を脱いでイズの肩にかけましょう
- イズ
- 「やだ、イケメン…」トゥンクトゥンク 「あ、良い匂い、香水とかつけてる?」
- トウテツ
- 「ええ、好きで香を焚いています」
- 「サクラ、とやらの香りだそうで。この国では見掛けぬ花のようです」
- イズ
- サークラじゃん
- イズ
- 「ふぅーん、ここには無い花かぁ」
- ngo
- ぴったりじゃん
- トウテツ
- 「そういえば、お姉さんは?貴方も、この国の方ではありませんよね」
- イズ
- 「そうよー、あなたもどっかから流されてきちゃったクチよね?」
- 「びっくりだわ、起きたらいきなり知らない場所なんだもん、寝てる間に売り飛ばされかと思っちゃった」
- トウテツ
- 「……」 よく尋ねられることなのだろうか、目元を和らげ微笑んで 「いいえ。よく言われますが、僕はこの大陸の出身ですよ」
- 「おやおや…」
- イズ
- 「え? そうなの??」 少年の出で立ちはなんというか自分と同じかそれ以上に浮いている、そう思っていたので、群青の瞳を丸くして
- トウテツ
- 「それはさぞ、ご苦労をされたことでしょう。元はどんな国から?」
- イズ
- 「生まれはねー、リーンシェンクって地方のアルセインって国」聞いた事ないわよねぇ?
- トウテツ
- うーん、と恰好だけでも考えるような仕草を見せて、結局は眉尻を下げて笑った 「そうですね、聞いた事のない国です」
- イズ
- 「うちの氏族、決まりごとがすっごく厳しくてさー、従姉のラティとかもうカッチカチで」
- 「性に合わなくって飛び出して、旅芸人の一座に転がり込んでいろんなとこ回ったよー」
- トウテツ
- 「それは、また」 目を丸くして笑った 「随分とお転婆だったようで」
- 「その様子では、ご家族もさぞ心配なさっているでしょうに」
- イズ
- 「えーと、ユーレリアでしょーザルツでしょー、あと、リーゼン」
- トウテツ
- 「旅芸人の一座の名ですか?」
- イズ
- 「どうかしら、あのまま居てもそのまま勘当されてたんじゃないかなぁ」
- 「ううん、地方の名前よ」
- トウテツ
- 「……」 何処となく羨ましそうに微笑んだ
- イズ
- 「それぞれの地方にいろんな国があって、食べ物とか服装とかみんな違ってさぁ」
- トウテツ
- 「へぇ……」 大人びた雰囲気はまだ残したまま、瞳の奥には隠しきれない興味が滲んでいる
- イズ
- 「でも、此処は今まで廻った中で一番面白いかも?」
- トウテツ
- 「そう…なんですか?」
- イズ
- 「どっかで見たことあるものがあると思えば全然知らないのが混ざってたり」
- 「それってたぶん、あたしみたいに流れて来た人たちの残り香なんじゃないかなーなんて」
- トウテツ
- 「残り香……面白い表現をしますね」
- イズ
- 「色っていうには染まり切ってないし? うっすらしてて、そのうち消えちゃうんじゃないかーって感じ?わかるぅ?」
- 「あー、でも、此処生まれだとこれが当たり前なのかなぁ」
- トウテツ
- 「まるで、貴方自身を表す言葉のようですね」
- イズ
- 「えぇー? あたし、そんなに薄いー? けっこー、頑張ってアッピールしてるのにぃ」
- ほらほら、ぎゅー。薄くないとこを押し付けてみたり
- トウテツ
- 「貴女はきっと、どの国にあっても自身の色を保ったまま、様々なものを取り入れて……そうしていつの間にか風に吹かれて別の場所へと消えていく。と、そんな印象を抱いていたもので」
- あはははは、と笑うばかり。花街のお姉様がたで慣れております
- 「……まあ、お転婆なのも風来坊なのも構いませんが、もう少し女性としての恥じらいと淑やかさは持つべきかもしれませんね」
- イズ
- 「んもー」 風に靡く枝葉のように受け流されて、年相応、よりは少し幼気なむくれ面を見せ
- トウテツ
- 「大分、気を持たせていたと思いますよ」 先ほどの奏者の二人とか
- イズ
- 「えぇー?」
- トウテツ
- 「男は貴女が思うより、ずっと単純な生き物ですから」
- イズ
- 「でも、あの二人、そのまんまだと中々ノッてくれなさそうだったし」
- 「見るからにフクザツそーな子に言われてもなぁー?」
- トウテツ
- 「分かっててやっていたと……強かですね」 「僕だってこう見えて男ですから、気を持たされれば期待だってしてしまうかもしれませんよ」
- ふわりと柔らかく微笑めば、近くにあったイズの髪を指先で軽く梳いて見せた
- イズ
- 「あたしもこう見えてもオンナノコですから? 期待にされたら気を持っちゃうかも?」
- やや癖の強い、太めの黒髪からは汗と香水が入り混じった薫りする。
- トウテツ
- ふふっと吹き出すように笑って 「光栄です……まあ――」 イズの髪から指を離して周囲を見渡す 「こういう戯れをするのなら、もっと場所を弁えることも覚えた方がよろしいでしょうね」
- 耽美な二人がいちゃついていれば、自然と人の目は集めてしまうものだ。なにやらちらちらとこちらを盗み見る衆目に苦笑した。
- イズ
- 「アステリア様の御膝元だもん、あの女神様、笑って許してくれそうじゃない?? むしろ、ゴー、みたいな」
- ついさっきまで艶めいた雰囲気を醸し出していたと思えない、さっぱりとした明るい笑みを浮かべ
- 「あ、そうだ、てっちゃん、この後空いてる? お腹空いてない?」
- トウテツ
- 「ええ、先程休みを頂いたばかりですから、予定はありませんでしたが……」
- 「小腹が空いている程度には」
- イズ
- 「男の子だもの、小腹って言ってもあたしよりきっと入るでしょ、ヨシ!ご飯いこ」
- 「丁度、臨時収入もあったし?」それはこの少年からのおひねりだ
- トウテツ
- 「女性からのお誘いとあらば、断る道理はありませんね。ご相伴に預かりましょう」
- イズ
- 「おねーさんが奢ってさしあげよー」
- トウテツ
- 元々こちらの金ではあるが…なんて野暮な事は言わないのだ
- イズ
- ぽよんと胸を叩く、半ば自分の金ではないことは承知の上だ
- トウテツ
- 「ご馳走になります」 と笑った
- ngo
- 今回はボタンは犠牲にならなかったね
- イズ
- 「ドワーフの料理のお店で、えーと、たしか…た、たー〈泰龍山〉?ってとこ、知ってる?」 王都内にある評判の店の名だ
- トウテツ
- 王都に暮らしているとはいえ、行動範囲といえば狭いものだ。いつの間にか自分よりもこの国の事を知る少女に眩しそうに微笑んで 「……いえ」
- イズ
- 「そこのぉ、えーと、えーと、あそうだ」ショートパンツのどこに入っていたのかよれよれのメモを取り出して
- 「火竜昇天辣椒辛子獄門鍋? とかいうのが、すっごーく美味しいんだって!」
- ngo
- ???
- イズ
- 「すごいよねー、ゴクモン」
- トウテツ
- 「名前からしてとても普通の料理とは思えませんね…」
- イズ
- https://sw.tale.blue/chat/?mode=logs&log=20210504G_0
- 要するに火鍋だ!
- ngo
- からそう
- 馬鹿舌でよかった――
- イズ
- 真っ赤なスープに浮かぶのは何やら見たこともない木の実や根のようなもの。これらは香味付けのためのもので、そこに野菜や肉をくぐらせて食べる
- アツアツのスープに晒された野菜はしなしなと萎れ、赤く染まる。 それが火竜昇天の由来…
- ngo
- 火竜も昇天するほどの辛さ、というわけではなかった
- イズ
- 「辛い系みたいだし、気になってたのよねー」
- トウテツ
- そういえば旅の間やこの前の料理屋でも辛い物ばかり食べたり加えていたいしていたような……
- イズ
- 途中で味覚を失うくらいの辛さではある
- トウテツ
- 「辛い物、お好きなんですね」
- ngo
- 味覚障害持ちで良かった!!!!
- イズ
- 「食べながら汗かくのって気持ちいいじゃない?」
- トウテツ
- 「ああ、その感覚は……少しわかります」 というのも、食べて美味いかどうかは分からないからだ
- イズ
- 「あ、てっちゃん辛いの平気? 鍋みたいだから一人でつつくの寂しいっていうか食べきれないなって思ってたの」
- トウテツ
- 「いえいえ、お供いたしますよ。貴女ほど得意というわけではないでしょうが、嫌うほどでもありません」
- イズ
- 「付き合って、くれるよね?」実はこちらの方が上背があるのだが、柔軟性を無駄に活かして頭の位置を下げ、上目遣いをしてみせ
- 「やったぁ!」
- トウテツ
- イズの誘惑にも涼やかな笑顔を見せて、喜ぶ少女の後を追った。
- イズ
- 混沌の大陸にあってなお異国情緒を感じさせる美男美女の組み合わせは料理店でも注目を集めたわけだが
- ngo
- めちゃくちゃ目立ってそう、食べてるものも食べてるものだし…
- イズ
- 例の鍋料理の名前を口に出した瞬間、店の雰囲気が ざわ… ざわ… となってことは追記しておく
- ngo
- 勇者と名付けられる二人組の誕生
- モブ
- 「ほう――火竜昇天辣椒辛子獄門鍋ですか、大したものですね」
- ngo
- !?
- モブ
- 「オイオイオイ、死ぬわアイツ」 というか死ね、イケメン
- トウテツ
- にこにこ
- イズ
- 焜炉の上で煮えたぎる赤いスープの鍋からは目に染みるような煙が立ち上り
- そこに具材を潜らせて獄門の辛味と極上の旨味に舌鼓を打つのであった……
- トウテツ
- 「わあ」 わあ。
- イズ
- 「やだぁ、ヤバーい💕」 歓声
- ngo
- 味覚障害持ちと言えど、胃袋が反応する事はするのだ。数口食ってあとはイズにお任せよ――
- イズ
- 大丈夫、行き過ぎた辛味は痛覚を刺激するので
- 君にもある程度感じられるはずだ!
- ngo
- 二口――かな……
- イズ
- 「おーいしー」
- トウテツ
- 二口食って、にこにこイズを見守りつつ杏仁豆腐を食ったのであった。
- イズ
- 着物の首筋がぐっしょりしてそう
- トウテツ
- 二口でも――やばいほどか!?
- イズ
- そうして、恐るべき火鍋を完食し、何故か店側に引かれるという貴重な体験(?)を経たりしつつ
- トウテツ
- 「普段から何かと敬遠される身ではありますが、あんな風に恐れられたのは初めてです」 と少年は後に語った
- イズ
- 「次は負けないって、料理人の台詞じゃないよねぇ、あはは」
- トウテツ
- 「どうして競争心を持たれたのか、さっぱりですね」 音楽もそうだけど、料理の世界も少年には分からなかった
- イズ
- 「何故なら、そこに山があるからだ。みたいな?」
- トウテツ
- 「……山?」 王都から見える山と言えば、ニデア山か…?(素
- イズ
- 「もーう、どこ見てんのよ」 あらぬ方をきょときょとしている少年の顔を引っ掴んで自分の方を向けさせ
- トウテツ
- 「すみません、山、というものですから…」 あはは、と苦笑した
- イズ
- ぐいっと顔を寄せ、髪の生え際のあたりでクンクンと鼻をひくつかせ
- トウテツ
- 「……?」 笑顔のまま、好きにやらせましょう
- イズ
- 先程の料理のせいで、焚き染めた香の薫りはスパイシーな香辛料の匂いに上書きされていた
- 「あー、これはついちゃったかなぁ? 残 り 香」
- トウテツ
- 「………ふふ、やられてしまいましたね。まさかそうくるとは」
- イズ
- にんまりと笑ってトンと、身を離して、
- トウテツ
- 少女が離れていけば、悠々と姿勢を戻して
- イズ
- 「今日はありがとうねぇ、楽しかったわー」
- トウテツ
- 「ええ、こちらこそ」
- 「またいずれ、星の標で――」 袖に手を隠すように折り畳んで、会釈をするとゆっくりと歩き出した。
- イズ
- 「また遊んでくれると嬉しいなぁ? 風に吹かれてどっか行っちゃう前に」
- 「もう、行けずぅ…」
- トウテツ
- 道中くんくん、と袖口の匂いを嗅いで 「目の覚めるような、刺激的な香りですね」 まさに少女自身を表す匂いなわけだ、と思いつつ、また花街へと向かったのだった。
- イズ
- なんとなく、肌で感じるのだ。あの少年が身に纏うに相応しい薫りは、見知らぬ花や刺激的な香辛料でもなく
- 鉄と火と、腥い臭気なのではないか、と――
- ngo
- 勘のいい子ですね
- イズ
- この胸の高鳴りが教えてくれるんだもん
- ngo
- 勘のいい子は嫌いですが、弁える子は好きですよ
- イズ
- 遊びでいいの、本気になっちゃ駄目な子だから
- ngo
- そうだね…
- 本気になったら底なし沼のように引き摺られていっちゃうからね…
- そんなわけでお疲れ様でした!お邪魔しましたー!
- イズ
- おつかれさまぁーありがとーう
- ngo
- いちゃいちゃできて楽しかったです、また遊んでください……
- シュババ
- イズ
- シュババ
- !SYSTEM
- ngoが退室しました