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幕間

20210814_0

!SYSTEM
イオンが入室しました
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ホークアイが入室しました
ホークアイ
よっこらどっこいしょ。
イオン
まあこういう日もあるということです
ホークアイ
暇つぶしにはちょうどいいよ
イオン
それは何よりです ではナレーションは適当に
 
 
 
 
 
 
 
イオン
よろしくお願いします
 
リアン地方 イルスファール王国 星の標
ホークアイ
よろしくお願いします
 
此処は国内でも有数の冒険者ギルド支店としてその名を輝かしいものとしている
数多くの冒険者を取り揃え、高い依頼達成率を誇り、国の内外の個人・組織を問わず依頼が舞い込んでくる
しかし、それも午前までの事。午後に入ると、争奪戦と呼ばれるめぼしい依頼の取り合いも終わり、指名依頼の説明も終わり、
穏やかな時間が流れ始める
そんな中、ぱろん、ぽろん、と 古いピアノを演奏するのは、壁に大きな三角帽子と杖を立て掛けて 黒いワンピースドレスに身を包んだ 銀髪と黒髪が混ざる不思議な頭をした少女だ
イオン
拙い指の動きで、明らかに練習中であるというのがわかる様子で それでも涼やかな──、よくよく見れば真剣な──表情で、練習曲を弾き続ける
ホークアイ
「………………」 店内の空いたテーブル席に座り、椅子の背もたれに深く腰を預け、眼を瞑っていた全体的に白い印象の娘がゆっくりと眼を開く。眠そうな顔を動かして、その音の出処を探って、すぐに店内のピアノへと目が向いた。
イオン
「──、」 音が途切れ途切れで それでも弾き続けていたが ぎゃん、と不協和音を立てると 一度演奏が止まる
ホークアイ
「ふぁあ……私が寝てる間に、ピアノ教室になってたとは驚いた……」
片手でテーブルに頬杖を突き、じーっとピアノを演奏している少女を眺める。
イオン
「──、」 息をついて 鍵盤から指を下ろすと 小さく息をつく 「ええ、お耳汚し失礼しました。止めて来ないからちょうど良いと思いまして」
ホークアイ
「寝てたからね。後、こんなところでわざわざ演奏しようとするなら上手いのかと思ったのもあるかな」
イオン
「生憎と、住んでいる場所にピアノはおけないので」 布をかけて カバーを下ろすと立ち上がって
「此処のを借りているだけです」
ホークアイ
「習いたいなら、それこそ教室に通えばいいんじゃない? 王都ならあるでしょ、そういうところ」
イオン
「──、」 このまま帰ってもいいが、同居人から最近の活動について聞かれた時、はぐらかすにはもうタネがない
「演奏を好きでやっているわけではないのです」 杖と帽子を取ると、白い少女の方にゆっくりと近づいて
ホークアイ
「……ふぅん」 頬杖をつくのをやめて、テーブルの上で腕を枕にし、頭を乗せる。 「じゃあ、何で?」
イオン
「──、そうですね、指を動かす練習に最適だからでしょうか」
ホークアイ
「指? 怪我でもしてるの」 そういって、そこでようやく少女をじっと観察する。
イオン
「お耳汚しついでに自己紹介を」許可も取らずに向かいの席について 「わたしはイオン。魔法使いです」
よくよく観察すれば 椅子を引く時 少し間を置いて掴んでる所を見れば 指が不自由なのかもしれないと思い至るだろう
ホークアイ
「可愛い名前してるね。私のことは、ホークアイでいいよ」
イオン
「そういう評価は初めて受けました」
「ホークアイ、」 じ、と見て 目を細める「狩人でそう名乗る辺り、自信ですか?」
ホークアイ
「そう? そんなに世間一般の感覚からズレた感想じゃないと思うけど」
イオン
「謙遜で鷹の目と名乗る方はいないでしょう」 席について
「貴方も、と思いますが、わたしも本当の名前ではないので」
ホークアイ
「元々は他称。出身の方で、色んな異名で呼ばれたんだけど、唯一、その名前だけは気に入っててね」
イオン
「なるほど」
ホークアイ
「ふーん……可愛いんだし、そのままそれを本当の名前にしちゃってもいいんじゃないの」
イオン
「考えておきましょう」 同居人から朗らかな笑顔でそう呼ばれると、困ってしまうのは確かだから
ホークアイ
「んー……」 そんな様子をじっと見たり、先程の指の動きを思い出したりして。 「だいぶ変わった事情みたいだね」
イオン
「そうですね。それは否定しません」
「此処に出入りしているのも、恩赦を目的として居ますから」
「南部の戦線にも赴きましたよ」 もっとも、あの子も来ていたから、頻度は交互だったけれど
ホークアイ
「視線の配り方、足の運び、手の動き、そういう細かいところは、仕事人っぽいのに、なんだかちぐはぐだ」
イオン
「──、それがわかる貴方も、込み入った事情をお持ちのようですね、ホークアイ」
ホークアイ
「恩赦ね。まあ、元犯罪者くらいなら、冒険者界隈にはいくらでもいるでしょ」
イオン
「隠す必要もなくなってしまったから、気が抜けていますね」 小さく息をついて
ホークアイ
「私も元アサシンみたいなものだし」 さらりと言って、身体を起こしてすっかりとぬるくなってしまっていた飲み物に手をつける。
イオン
色の違う瞳でホークアイを観察する
「不思議なものです」 
ホークアイ
気怠げな琥珀の瞳で見つめ返して。 「何が?」
イオン
「元犯罪者が居てもおかしくない場所に、宝剣、魔剣と呼ばれる高潔な実力者──まあ、一部は違うでしょうが──が入り混じっているというのは」
「朱に交われば赤くなる。とは言いますが、」 「どちらも色が強すぎるのかもしれませんね」
ホークアイ
「英雄や勇者と、悪魔や魔王なんて呼ばれる存在は紙一重だって聞いたことがあるよ」
イオン
「力の行使の仕方とスタンスの違いであって、」
「持っている力は変わりませんからね」
ホークアイ
「そういうこと。私も、人を散々殺して称えられた時もあったし」
イオン
「わたしもです」
ホークアイ
「それと、評価するのが誰かにもよるしね」
イオン
「中々、色が近いのかもしれませんね」
「わたしと貴方は」
ホークアイ
「この国の宝剣や魔剣だって、南の連中にとっては悪魔みたいな存在だったろうし」
「髪の色は真逆なのにね」
イオン
「確かに……」 二つで結んだ髪の房の片方を指でいじって その指でいじるのも巻きつけるのではなく擦るにとどめている
向こうからすればジャンヌも悪魔ですか と納得する
ホークアイ
「…………ふぅん。(あいて)でもいるの」
イオン
「──、さぁ、どうでしょう」
「抱いたことも抱かれたこともありますが、わたしは上手くはありませんから」
ホークアイ
「そこまでは聞いてないんだけど。正直だね」
イオン
「窘められる所でもあります」 相手は居るのか、という問いに対してより強い話題の回答をする
ホークアイ
「正直なのはいいと思うよ。おべっかばっかり並べるくだらない奴らよりはずっといい」
「まあ……脳筋のバカも嫌だけど」
イオン
「中々贅沢な要求を交友関係に求められますね」
ホークアイ
「別に、友人にはそこまで要求しないよ」
イオン
「それこそ、(あいて)に、ですか」
ホークアイ
「……えぇ? うーん……そもそもあいつらを異性として意識したことがないな……」
イオン
「なるほど」 困惑した表情を見ることが出来て内心でにやりとする
ホークアイ
「……まあ、〈星の標〉には今の所面白い人の方が多いし、故郷よりはよっぽどマシかな」
イオン
「それはそうですね」
「度を超えるお人好しから、身内に甘すぎて自分自身を犠牲にする人まで様々です」
ホークアイ
「様々って言いながら、中身が偏ってない?」
イオン
「わたしが出会った冒険者はそういう人が多かったもので」
ホークアイ
「そういう人たちの中に、アンタみたいな暗殺者だか娼婦だかよく分からないのも混ざってるわけだし、多様なのは否定しないけど」
イオン
「後は亡霊とかも居ますよ。実に面白い店です」
ホークアイ
「亡霊? 流石にアンデッドが冒険者やってるのは聞いたことないな」
イオン
「貴方には経験がないかもしれませんが、」
「死んだと思った相手が生きているとそういう表現をしたくはなりませんか」
ホークアイ
「ああ、そういう。それなら、もちろんあるよ。殺し直したけど」
ぐるーりとゆっくり店内を見回して。 「アンタにとってのそういう相手が、この店に居るわけか。面白いね」
イオン
「ええ」
「冒険者同士の私闘は厳禁ですから。ままならないものです」
ホークアイ
「ふぅん。殺したいの? そいつのこと」
イオン
「いえ、」苦笑して 「わたしからしても、もうどうでもいい事でした」
ホークアイ
「じゃあ、よかったね。相手から狙われる可能性も減って」
イオン
「さあ、どうでしょう」
「目の敵にはされているとは思いますが、向こうも仕事があるでしょうから」
「何か気の迷いがなければ、たしかに可能性は低そうですね」
ホークアイ
「その相手の恨みが何処まで強いか次第だね。全部捨ててでもアンタを殺そうとしてきたら、なかなか面倒そうだ」
イオン
「その時はその時です」
「返り討ちにするための手段を選ばないだけで」
ホークアイ
「こわいこわい。ま、相手が冒険者としての資格を剥奪された後なら、殺しを請け負ってあげてもいいよ」
イオン
「依頼料次第ですね」
「安いとはおもっていませんよ」
ホークアイ
「そうだね。イルスファールで請け負うのは私にとってもリスクが高いし、相応の値段は貰わないと」
ディストラ(あっち)だったら、いくらでも安価で引き請けてあげたんだけど」
イオン
「やはり地域性の差はありますか」
「この国は中々出来が良いのでしょうね」
ホークアイ
「そもそも、ここでは私も今は一冒険者だからね」
イオン
「それもそうでした」
ホークアイ
「ま、相手が罪を犯してくれれば、殺したってあんまりとやかくは言われないだろうけど」
イオン
「まあそういうヘマはしないでしょう」
「あるとしたら……そうするように言われた時、でしょうね」
ホークアイ
「ふーん。まあ、アンタの友達なら、考える頭くらいはあるだろうしね」
イオン
「友達?」
ホークアイ
同じ穴の狢(ともだち)かと思ったけど、違った?」
イオン
「……そうですね、近いと思いますよ」 自嘲するように笑って
「姉妹、というのが人間を表すなら一番近い表現です」
正しいのは、"作品"
それは今でも変わってない認識だ
ホークアイ
「それなら、この店に居る人たちを見てれば、そのうち誰が亡霊なのか分かりそうだね」
「アンタと似たような空気の子は、もう見たこともあるし」
イオン
「探してみて下さい。分かったと思ったら答え合わせに付き合ってもいいですよ」
ホークアイ
「その時は付き合ってもらおうかな。退屈しのぎにはなりそうだ」
「とりあえず、ぱっと浮かんだ子は、その亡霊ではなさそうだし、今は保留しとくよ」
イオン
「ああ、それと」
ホークアイ
「ん?」
イオン
双子の妹がいますので、その子とわたしを取り違えないよう気をつけてください」
「頭がまわらない子ではありませんが、わたしよりも抜けています」
ホークアイ
「そっちのことは、はっきりと(しまい)だって口にするんだね」
イオン
「それ以外に表現のしようがないのです」
「そうでなければ、鏡写しの他人、ですがそれでは納得する人はいないでしょうからね」
ホークアイ
「世の中には5人くらいは自分とまったく同じ顔の人がいる、って言ったりもするけど」
イオン
「探せばいる。ですが探さなくとも見つかる距離にいる場合は別でしょう」
ホークアイ
「そんな偶然はよっぽどなさそうだ」
イオン
「はい」 頷いて
ホークアイ
「まあ、多分表情や動きを見ればアンタとの違いは分かるだろうから、間違えなくて済むとは思うよ」
「わざわざ隠そうとしてない限りはね」
イオン
「そうですね。向こうは俊敏ですし‥‥隠す理由も必要もありませんから」
ホークアイ
「見掛けたら挨拶くらいはしておくよ、お姉さんの知り合いだ、って」
イオン
「……」 苦笑して 「恐らくですが、きょとんとしてから否定すると思いますよ」
「わたし達はそういう関係です」
ホークアイ
「向こうは姉妹だと思ってないの」
イオン
「ええ」
ホークアイ
「ふぅん。変な関係だね」
イオン
「ええまあ」
「それも否定しませんよ」
ホークアイ
「ま、それはそれで面白そうだし、その時は軽くちょっかい掛けてみよう」
イオン
「ええ、そうしてみて下さい」 席を立って
ホークアイ
「出る?」
立ち上がったのを椅子からゆるく見上げて。
イオン
「新しい知り合いが出来て嬉しかったですよ」 形だけの言葉を述べて 「ええ、そろそろ戻ります」
ホークアイ
「お世辞が下手だね。要練習だ」
「うん、戻るなら引き止められないな。心配させないうちに帰るといいよ」
イオン
「正直な方です」
ホークアイ
「アンタもね」
イオン
「それでは、また」
ホークアイ
「じゃあね」 ひらひらと手を振り。
イオン
帽子を被り、杖を突きながら、かつ、こつ、と足音を鳴らして
扉をくぐると、街中へ消えていった
ホークアイ
「ふぁあ……」 見送ると、大きなあくびを一つ。 「……また暇になっちゃったな。帰って寝るか……」
そう言いつつ、テーブルに突っ伏して、またその場で眠りに落ちた。
ホークアイ
こんなところだね
イオン
はい。お付き合いありがとうございました
これでジャンヌに言い訳が立ちます
ホークアイ
こちらこそ。
言い訳しなきゃいけないなんて大変だね
イオン
強情な方なので
心配と称する圧が強いのです
ホークアイ
こわいこわい
イオン
20210814_0 ログ番号です
ホークアイ
ありがとう
それじゃあ、撤退しよう。
イオン
ではまた
ホークアイ
おつかれさま。またね
!SYSTEM
ホークアイが退室しました
背景
BGM