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亡国のアナスタシス 幕間

20210801_2

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ウィスタリアが入室しました
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エスメラルダが入室しました
エスメラルダ
よしと。
ウィスタリア
では
 
 
 
 
 
 
 
エスメラルダ
よろしくお願いします
 
 
 
ウィスタリア
よろしくお願いします
 
大地が鳴動し、そして終わりが始まる
カグラを救助した直後、地面を揺らしながら巨大化する王城
アナスタシスを巡る戦いは、ついに終盤を迎える
カグラを救助し、魔装機神としての器を取り除いても、ロキの野望は止まらない
彼が持つ切り札もすべて表になったわけではない
ただ、そのうちの切り札ではなく手段としての一枚が確実に彼の手の中にあり、拘束はされずとも彼の手の内にあると自覚している少女が居た
人形のように美しい外見を持ち、その実、先日までは人形や機械のような反応を返すことが多かった少女 ウィスタリア
彼女は、移動中の小休止の際に、旅の伴である青年のもとに向かった
ウィスタリア
「──エスメラルダさん、少し、よろしいでしょうか」
少女の視線の先に立っていた青年は、その声を聞けば少女へと向き直って口を開いた。
エスメラルダ
「ああ。……何かあったか、ウィスタリア」 未だに心配する様にカグラへと向けられていた視線を少女へと向けると、小さく小首を傾げてみせる。
ウィスタリア
「お話しておくことがあります」 淡々と、少女は続けて
「聞いて下さいますか」
エスメラルダ
じ、と少女の瞳を見遣りながら、その言葉に静かに頷きを返す。
「勿論。どうしたんだ?」
ウィスタリア
決意の色を灯して、以前とは違う、無機質なものではなく、何処か力強いもので
「私達にはまだ、不安要素が残っています」
「正確に表現するならば、」
エスメラルダ
「不安要素、か」 反芻しながら、僅かに――視線を尖らせない様に気を遣いながら――目を細め、少女を見据える。
ウィスタリア
「私には、まだ不安要素が残されています」
エスメラルダ
「ロキと対峙した時の事だな。あの《魔動騎士》に乗り込んで……手を下した時の」
ウィスタリア
「……はい」 少し目を伏せて 頷き
「シオンさんともお話しましたが、解決策や対抗手段はまだ、確立されていません」
エスメラルダ
「そうだな。……具体的なものは、見つけられていないと聞いているよ」
「……それで」
「ウィスタリアは、俺に何を話しておきたいんだ」
ウィスタリア
「……」 伏せた目を再びエスメラルダに向けて 口を開く
エスメラルダ
問い詰めるような声色ではなく、促す様に。いつか〈星の標〉で語らっていた時と同じ温度で、彼女に問う。
ウィスタリア
「最大限、抵抗はします。でも、」
「それでもどうにもならなかった時、私に対して排除的な対処をして頂きたいのです」
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エスメラルダ
「……具体的に、教えてくれないか」
ウィスタリア
「私を、」 じ、と見て
「殺してくださいませんか」
エスメラルダ
「そうなった時、ウィスタリアは俺に何を――
意味を理解出来ていない訳がない。わざわざ口にさせる事も必要なかった。
それでも、既に見えている言葉(てがみ)の先から目を逸らす為に漏らした問いは、静かに返される。
ウィスタリア
「シュナさんに頼みたくはありません。ヴィクトールさんでもよろしかったでしょう。シオンさん、レオンさんも、受けてくださると思っています。」
「でも、」
「……お願いするなら貴方が良いと思いました」
エスメラルダ
「……」 小さく息が漏れる。というよりも、息しか吐き出すものがなかった。
「俺が良い、か。……そうか」 喉に詰まった言葉を何とか放ち、ウィスタリアに手招きをする。
「来てくれ。……そう離れるつもりもないが、少し歩こう」
ウィスタリア
「はい」 頷いて 手招きに応じてエスメラルダの少し後ろに続く
エスメラルダ
その返答を聞けば、普段よりも、ヘーレムに合わせるよりもゆっくりと歩き出す。
「ウィスタリア」
ウィスタリア
「はい」 後ろから返事が聞こえて
エスメラルダ
「怖くはないのか。ただ闘うだけではなくて……自分の意志も、奪われるかもしれないのに」
「そんな事を言っていられる場合でない事は、解っているさ」
ウィスタリア
「……、恐怖感を感じない訳ではありません」
エスメラルダ
「けど、俺ならきっと怖い。……死ぬ事がじゃない、自分が自分で居られなくなることが、ずっと怖い」
ウィスタリア
「ただ、死ぬことよりも、自分が自分で居られなくなることよりも、更に恐ろしい事があります」
エスメラルダ
「……」 少し歩いた所で振り返り、ウィスタリアに弱った笑みを見せる。
ウィスタリア
「もう一度、……皆さんをこの手で殺めることです」 エスメラルダを見上げて
エスメラルダ
「ああ。……そう、だよな」 見上げる瞳に頷きながら、口を開く。
ウィスタリア
「これは、逃避なのだと思います。私がしたくないから、……貴方に、逃げ道を作って欲しいと、依頼をしているのだと思います」
「これは……願いになるのでしょうか、依頼になるのでしょうか、…命令では、無いと思います」
エスメラルダ
「願い、ではないのかな。……依頼でも、外れてはいないと思うけれど」
「……なあ、ウィスタリア。俺は君が大事だ」
「シュナも、ヘーレムも、ヴィクトールも、シオンも、カグラも、レオンも。……皆、大事な仲間だ」
「だから、俺は――」 大事な者達の為に、君を殺せる。続けようとした言葉は、喉元から出て来ない。
ウィスタリア
「……、」 言葉の続きを待つように、緑玉色の瞳を見つめて
エスメラルダ
乾いた息だけを吐き出して、頭を振る。今更、何を躊躇う。
「……任せろ、ウィスタリア。その願いは、ちゃんと俺が果たす」 
ウィスタリア
「……、ありがとうございます、エスメラルダさん」 ホッとした笑みをエスメラルダに返して
エスメラルダ
笑みを見れば、翡翠の瞳が僅かに揺れる。そしてその揺れを、ウィスタリアは知っている。
いつかの遺跡で見せた、何かを伏せている時の反応と変わらないものだ、という事を。
ウィスタリア
「……‥」 無意識に、手が伸びる
エスメラルダ
「話したい事は、それで――」 伸ばされた手に、言葉が止まる。
ウィスタリア
「……まだなにか」
「……言えてないことは、ありますか」
そ、と頬に触れる
エスメラルダ
「子供じゃ、ないんだぞ。……全く」 触れた手に、自分からも重ねる。
ウィスタリア
「でも、」
「そういう癖が、見て取れました」
「あの時と同じみたいに……、」
エスメラルダ
「……操られている時、」 割り込む様に言葉を吐き出すと、重ねた手を握る。
「意識も何も、なかったのか」
「前の話では、確か――
ウィスタリア
「これは申し上げたことがありましたが、見ていました。見ていましたが、何も出来ませんでした」
エスメラルダ
「……身体を奪われる前も、突然に?」 頷きを返すと、ゆっくりと続けた。
「いや、前ではないな。……奪われる瞬間から、突然見せられているだけの様になったのか?」
ウィスタリア
「塗りつぶされると言うか……難しいのですが。あれも私でした」
「私が命令を進んで受けたのです。だけど、終わった後、正気に戻してもらった後に、それを忘れられないというか」
「だから、あれは私でもあり、私だからこそ……止めないといけないのです」
エスメラルダ
「……なら、」
「強く意思を持てば、多少なり抵抗は出来るかもしれない、という事か? ……先程の、最大限の抵抗、というのも」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「そうか。……それなら、今のウィスタリアなら。……なんて、思ってしまうな」 手を放すと、小さく苦笑する。
「本当に、大きくなった」 
ウィスタリア
「……、話を戻します」
「言えてないことは、本当にありませんか」
エスメラルダ
「……言えば、ウィスタリアの覚悟を邪魔するかと思った。だが、」
「もし、ウィスタリアが意志を強く持つ事に繋がるなら、言える。……俺は、君を殺したくない」
ウィスタリア
「…‥……、」
エスメラルダ
「他人を見殺しにしても、……自分を、捨て石にしてでも。それでも、ウィスタリアを殺したくないんだ」
「だから、もし見失いそうになっても、塗潰されそうになったとしても、ここに帰ってきてくれ。……何があっても」
ウィスタリア
「精一杯、努めます……。お約束できるのは、それまでです」
「だから、もし……皆さんを手に掛けようとしたら、その時は」
「今度は私の願い(ことば)を、聞いて下さいますか」
エスメラルダ
「……ああ」 ぐ、と手を引いて、ウィスタリアの華奢な身体を抱き寄せる。
ウィスタリア
「……ありがとうございます」 抱き寄せられて腕の中に収まると一つ頷いて
エスメラルダ
「もう、誰も殺させない。……二度と、手を汚さないように、約束を守るよ」
「殺さなくて、済む様にする」
ウィスタリア
「……少し、安心しました」
エスメラルダ
「安心……?」
ウィスタリア
「……どういう形であっても、きっと」
「貴方なら、……、止めてくださると思ったのです」
エスメラルダ
「そう、か? ……情けない所ばかり、見せていると思っていたのに」
ウィスタリア
「そうかも知れません。ただ、」
「こんなお願いを最後に出来るのは、貴方だと思ったんです」
エスメラルダ
「それは……信頼、になるのか?」
ウィスタリア
「分かっているんです。本来であれば、誰に頼んでも行けない、届けては行けない言葉(ねがい)だと…」
「でも、」 見上げて
「届かなくなってからでは遅くて、そして最後に届けるのであれば……、と。咄嗟に届けるには、あまりにも長い手紙(ことば)になりますから」
「死者に届く言葉(てがみ)はないのなら、」
「生者に向かって、放つ手紙があっても良いはずです。だから、これは……正しい表現をするならば」
「私の遺言状です。そしてそれは、預けるなら…貴方が良いと思いました」
エスメラルダ
「……その手紙は、確かに受け取ったよ。確かに果たすさ」 
ウィスタリア
「……、」じ、と見て
エスメラルダ
「だが、……ちゃんと、帰って来い。遺書を書いたから手を抜くなんて許さない」
「ウィスタリアが死ねば、……皆悲しむ。ちゃんと、理解しておいてくれ」
ウィスタリア
「……はい」 瞳の動きを見てから頷いて
「最大限、努力します」
エスメラルダ
翡翠はじっとウィスタリアを見つめ返し、その言葉を聞けば伏せられた。
「……頼むぞ」 どこか刻む様に、ぐ、と腕に抱く力を強める。
ウィスタリア
「……、」 少し痛がる様な素振りを返して
エスメラルダ
「……すまない。力を、入れ過ぎていたな」 ゆっくりと手を放して、ウィスタリアを抱く腕を放す。
ウィスタリア
「いえ…、ありがとうございます」
「お話は以上です」
そ、と身を離して もう一度エスメラルダを見て
エスメラルダ
「ああ。……意志を強く持つ、については」
「もう十分、あるな」 自分を保つだけの繋がりは。
ウィスタリア
「…はい」 小さく笑みを浮かべて見せて
エスメラルダ
「なら、いい。……戻ろうか」 つられた様に笑みを返して、休憩地点へ向けて歩を進める。
ウィスタリア
その後ろに続くようにして歩く
エスメラルダ
こちらはこれで大丈夫だ
ウィスタリア
此方もこれで大丈夫です
お付き合いありがとうございました
エスメラルダ
ではこれで。お疲れ様でした
ウィスタリア
お疲れ様でした
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エスメラルダが退室しました
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ウィスタリアが退室しました

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