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幕間

20210710_0

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エスメラルダが入室しました
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ウィスタリアが入室しました
ウィスタリア
何を話すかは決まっていますか?
エスメラルダ
こちらから振るものは決まってるかな。場所はふわっとだけど。
ウィスタリア
了解です。ユディスがいいと思います
エスメラルダ
うん。報告の後、くらいかな
 
 
 
 
 
 
 
南部での両軍の衝突 主力同士の決戦が行われ、それぞれを突破し、敵将レオンと相対した一行
彼と言葉と刃を交えて、お互いに伝えきった後、それは起こった
突如としてアナスタシス方面から飛来する、機械じかけの天使たち 〈魂気機関〉を搭載した《魔動騎士》──《デモン・ギア》の亜種が襲来し
アナスタシス軍、イルスファール及びディニスのリアン連合軍に向けて無差別に攻撃を開始した
レオン、そして一行は《魔動騎士》に搭乗し、それらを退ける
イルスファール主力も撤退し、アナスタシス軍はユディスの南方、イルスファールが放棄した"蛮都"カストレへと撤収する
一行もまた、イルスファール軍と合流し、一時ユディスまで引くことになる
《魔動騎士》の修繕とメンテナンス 各種武装の整備、休息などを機械的に行わなければならない状況
それでも、一息つく時間というものは、存在するもので
イルスファール軍から提供されている宿舎、男女の共有スペースで ホットミルクを手に、機械仕掛けで動いていそうな少女はテーブルについていた
 
宿舎の扉が開き、靴音と共に翡翠の瞳を持った青年がスペースに入って来る。
ウィスタリア
「──、」 顔を上げて
 
この状況下であり、休息を取る必要がある事は理解しているものの、青年は静かに休むという選択を取れていなかった。
手には使い古された長剣(ロングソード)が握られており、強引に拭われた肌にはまだ汗がいくらか残されている。
ウィスタリア
「エスメラルダさん」
席から立ち上がって 声をかける
エスメラルダ
呼吸は既に整えている様子であり、疲労は滲ませていない。静かに歩を進めていた所で、テーブルについている少女の声に視線を向けた。
「ああ、……どうした、座っていてくれ」 
その様子に手を小さく挙げて座る様に示しつつ、首にかけたタオルで緩く顎を拭った。
ウィスタリア
「了解です」 席に付き直して 見上げる
エスメラルダ
「どうにも落ち着かなくてな。少し、身体を動かしてきたんだ」 歩を進めてテーブルに近付きながら、同じく片手に持っていた水袋を一口。
「……ウィスタリアは、大丈夫か」
ウィスタリア
「体調的には問題ありません」
エスメラルダ
「そちらではなく」 苦笑しつつ 「精神的に、だ」
ウィスタリア
「少し、思案していることはあります」
エスメラルダ
ウィスタリアの正面の席を示して、座ってもいいか、と続け。
「それは、聞いても?」
ウィスタリア
どうぞ、と小さく頷いて
「後でもう一度話すことになるかもしれません」
それでも構いませんか、と問うて
エスメラルダ
頷きを返すと静かに椅子を引いて、腰掛ける。
「ああ、構わない。……二度言わせる事になってしまうな、すまない」
ウィスタリア
「何点かあります、」
「1点目は、《デモン・ギア》達が搭乗者なしで動いていた事です」
エスメラルダ
「……ああ。完全に無人だったと思う」
ウィスタリア
「かなりの技術力があれば、自動での稼働は行う事ができます。ただ、それは魔動機的な技術課題であって、今の状況にはそぐいません」
エスメラルダ
頷きを返しながら、喉を潤す為にもう一度水袋に口を付ける。
ウィスタリア
「"魔装機神"を神として位置づけると、」
「それをして、天使としてあれらは動いていたと考えると、想定としては難しいものではなくなりますが、」
「それは裏を返せば、」 「"魔装機神"が神格として十分成立する力を保有しうるということになります」
「その場合、本体を叩くことが果たして私達にできるのか、という懸念を抱いていました」
エスメラルダ
「既に、という事だな。……これから、更にその力は増していく」
「《魔動騎士》5機での攻勢ともなれば、とは思うが……どうだ?」
ウィスタリア
「単純な戦力換算をすると、」
「それでも勝てないと思います」
「理由を述べます」
エスメラルダ
「ああ」 その判断を疑う事もなく、続けようとする彼女の言葉に頷きを返した。
ウィスタリア
「現在のイルスファール製、そして恐らくアナスタシス製の《魔動騎士》の動力は、"魔装機神"由来のエネルギーを使用しています」
「動力として扱える部分を把握されてしまえば、既に我々は負けているのです」
「ただ、」
エスメラルダ
「そうだな。俺達を立ち上がらせた力も、その一端だ。……」
ウィスタリア
「そこが勝機でもあります」
エスメラルダ
「……それは? 力の根源が“魔装機神”である以上、」
「あちらが有利に立つ事はあっても、こちらが有利に立つ、というのは……」 
ウィスタリア
「ロキさんとカグラ。二人で"魔装機神"という神格を担っているのであれば、」
「カグラがこちらに味方をしてくれる限り、動力が断たれることはありません。ただ、その動力を供給している分、」
「ロキさん側の力に対抗できるかどうかと言われると、足りない、と言わざるを得ません。そこをどうするかが、課題だと思います」
「5機では不足しているのです」
「だから、やるとしたら総力戦です」
エスメラルダ
「……」 「5機で不足なら、いるじゃないか。ウィスタリアの言う朴念仁が」
ウィスタリア
「いえ、重ねて言いますが」
「総力戦です」
「イルスファールだけでは、駄目なのです」
エスメラルダ
「……アナスタシスの者達の力も必要になる、という事か?」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「一度根付いた恨みは、そう簡単に取り除けるものじゃない。レオンの様な者でもなければ、協力は難しいだろうが……」
「“天使”の事もある、か」
ウィスタリア
「ですが、それでは勝てないのです」
「それをどうするか、思案していました」
エスメラルダ
「それこそ、レオンやシオンの力を借りる他にはないのかもしれないな」
「《デモン・ギア》の事で混乱している者は多いだろうが、それでも俺達……地上人の言葉を聞いて貰えるとは思い辛い」
「彼らが地下に在った頃、彼らにとって伝承だった地上の人間達は、今はもうそのままじゃない」
「互いに殺し、殺されたんだ。もう、ただの伝承じゃない」
ウィスタリア
「方法はあります。ただ、それには、カグラさんの声を正確に伝えることが出来る人の存在が不可欠です」
カグラの
エスメラルダ
「……声を伝える、か。その話は、以前も出ていたな」
ウィスタリア
「心当たりはあります。ただ、それをする方法が浮かんでいません」
エスメラルダ
「後程も、と言っていたのは探す為に、かな」
ウィスタリア
「はい。その人物に提案するためです」
「ただ、それに付随して」
「皆さんの前でも話しておかないといけないことがあります」
「恐らく、ヴィクトールさんは既に懸念されていると思うのです」
エスメラルダ
「……続けてくれ」
ウィスタリア
淡々と続けて
「……‥、」 少し唇を結ぶと 少し息を漏らして
「アナスタシスの民と"魔装機神"の繋がりについてです」
エスメラルダ
その様子に、じっと翡翠の瞳がウィスタリアを見据える。
ウィスタリア
「アナスタシスの民からの魂の供給に寄って、"魔装機神"は神格を維持しているというヴィクトールさんの仮説」
「それを考慮すると、」
「"魔装機神"の奇跡によって蘇る事が出来たエスメラルダさん達は、どう扱われるのでしょうか」
「そこに、繋がりは生じてはいませんか、という懸念です」
エスメラルダ
「……その懸念については、明確な答えを示す事は出来ないな。確かめる方法もない」 
ウィスタリア
「恐らく、生じていると考えるほうが、自然だと思います」
「確かめる方法、というより」
「つながりを生じさせている状況証拠は皆さんの手元にあるはずです」
エスメラルダ
「……」 続いた言葉には、困った様に目元が緩んだ。
ウィスタリア
「アナスタシスの民が《魔動騎士》を運用できる事も、私達が《魔動騎士》を動かせることも、差はないはずです。共通しているのは、」
「"魔装機神"とつながりを持っているかどうか、になります」
エスメラルダ
返答を濁すのも下手だと心中で自嘲しながら、返答をせずにウィスタリアの言葉を聞く。
ウィスタリア
「それを、カグラが留めているから、私達に影響が出ていないだけであって」
「カグラが失われれば、恐らく私達にも大きな影響が生じると思います」
「それは、ロキさんも仰っていたことと符合するのではないか、と思うのです」
「"たったあれだけの魂で、因果を書き換えるほどの力を持つとは"、と。カグラさんが回収していた分、と捉える事も出来ますが、」
「私達がつながった際に、少しずつ吸収された可能性もあります」
「そして……留めているうちにカグラは、恐らく…」
エスメラルダ
「……」 目を伏せ、小さく息を吐く。
ウィスタリア
「これが2点目の懸念でした」
顔を上げて 「解決方法は、出ていません」
エスメラルダ
「……カグラが失われた場合、か」
「それは俺達にとって、既に最悪の状況だ。想定したくないという所もあるが……そうならない為に行動する、他にはない様に思う」
「……」 暫し抱えていた頭を緩く振る。 「すまないな。シオン達なら何か浮かぶかもしれないが、俺が言えるのはそれくらいだ」
ウィスタリア
「いえ、」
小さく首を振って
「ご休息中にすみませんでした」
エスメラルダ
「聞くと言ったのは俺だ。謝る事じゃないだろう」 
「謝るなら、聞いておいて何も答えられないこちらの方だからな」
ウィスタリア
「分かりました」
エスメラルダ
「……」 テーブルの上のホットミルクに視線を落として
「まだ、飲んでいたか」 苦笑しながら、既に冷めてしまっているだろうそれを示した。
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「あの頃とは、随分変わったな」
ウィスタリア
「……そうでしょうか」
エスメラルダ
「ああ。本当に大きくなったと思うよ」 
ウィスタリア
「身長、体重などのステータスに変化はありません」
エスメラルダ
「身体の話じゃないさ」 苦笑して 
「昔は、今のように考えていた訳ではなかったろう」
ウィスタリア
「………、」
少し間を開けて 「そうかもしれません」 と少女は頷いた
エスメラルダ
「自分達が置かれている状況の判断や、」
「現状を打開する案を考える事はあったと思う。……だが、少なくとも」
「自分の意志で、……判断でではなく、感情として拳を固めていたことはなかったと思う」
ウィスタリア
「……、初めてだったんです」
「私にとって、初めて同じ視線の様な気がした相手だったのです」
エスメラルダ
「……そうだな。俺も含めて、ウィスタリアの事を同じ目線で見ていた者は多くなかったんじゃないかと思う」 促す様に頷きを返しつつ、
ウィスタリア
「…‥」 頷きを返して 
エスメラルダ
「失礼な話だが、俺も同僚というよりは妹だとかそういう……言ってしまえば、見ていなければ、なんて思っていたから」
今ではすっかり追い越されてしまった気分だが、と苦笑しつつ言うと一度口を閉じた。
ウィスタリア
「……」 その言葉には少し視線を下げて
エスメラルダ
「だから、変わったと思うし、大きくなったとも思うんだ。……時々、言葉は包んだ方が良いと思う事もあるが」
ウィスタリア
「……、」 返事はせずにホットミルクを干す 当時のような口ひげはもう作らない
エスメラルダ
その様子に、浮かべていた笑みがより深められる。
ウィスタリア
「……、」小さく息をつくと 立ち上がって
「一度、部屋に戻ります」
エスメラルダ
「と、……すまない、邪魔をしてしまったな。ゆっくり休んでいてくれ」
「また、出立する頃に」 自分は席を立たずに見上げながら、頷きを返した。
ウィスタリア
「……、」 少し、目は悲しげ…‥…というよりは不満そうであると見て取れる色を浮かべると それを自覚してないのだろう、表情とは裏腹に折り目正しく頭を下げて女子のスペースへと戻っていった
エスメラルダ
「……振るべき所では、なかったな」 その様子を見て、彼女の背が見えなくなった頃に一つ呟いた。
少なくとも、今ではなかったろう。思考を続けている彼女の邪魔をした事に申し訳なさを覚えつつ、
少しばかりそのまま休んだ後 割り当てられたスペースへと戻って行った。
エスメラルダ
〆かな
ウィスタリア
少しだけ
 
 
 
 
エスメラルダ
ああ、どうぞ
 
「……もやもやします」
 
 
 
ウィスタリア
はい
エスメラルダ
お付き合いありがとう。お疲れ様。
ウィスタリア
お疲れ様でした
此方こそありがとうございました
背景
BGM