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幕間

20210620_1

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エレノアが入室しました
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フランシアが入室しました
エレノア
場所はどこにしようかしら
フランシア
そうですね、星の標、というのも時期が難しいでしょうか
エレノア
まあ人が少ない今だから星の標で飲んでてもいいけれど。
フランシア
では底にお邪魔しましょう
そこに
エレノア
いいでしょう。じゃあ開幕はやるわね
 
 
イルスファール王国〈星の標〉の夜――普段であれば仕事を終えた冒険者や酔客などで賑わうこの店も、戦時下では客入りは多くない。
多くの冒険者が南方戦線に駆り出される中、アシュクロフトという元イルスファールの名家に生まれた娘は、独りテーブル席を占拠していた。
占拠といっても、彼女がそうしたくてしているわけではない。彼女の出自に、そのひねくれた性格で、彼女へ好んで近付いて来ようという者は多くないのだ。
その性格と憎まれ口さえ無ければ恵まれた容貌の彼女の周りには多くの男が集まっていたことだろうが――現実は異なり、彼女は今日も独り、酒を飲んでいた。
エレノア
――ぷは」 ジョッキに並々と注がれたエールを一気に飲み干すと、とん、と音を立ててテーブルに置く。
その音がおかわりを要求する合図だ。普段より暇になっているせいか、彼女の元へとすぐにキャロラインが新しいジョッキを運んで来る。
短く礼を言ってそれを受け取ると、またぐいと勢いよくそれを呷った。
 
「──、すみません」 柔らかな声が、エレノアの耳に届いて
エレノア
半分程飲んで一呼吸置くと、ジョッキの陰から現れた白い肌は仄かに赤くなっている。
――?」 微妙に酒に酔った目がゆっくりと声の方を向いた。
フランシア
「相席、よろしいですか?」 食事の載ったトレイを持ったいるのは、金色の髪に藤色の瞳。白い鎧の少女だ
持っているのは
エレノア
「フラ――」 驚いた表情をして名を呼び掛けて、こほんと咳払いをひとつ。 「リンザー家の娘が、一体何の用?」
現れた娘とは違って、こちらは白いブラウスに黒のスカートといった鎧姿とは対照的な格好だ。
フランシア
「食事に来たのです」 ふふ、と笑って
「前線からの報告を軍令部に届けた帰りに、お店の方にも報告を上げておこうと思って」
エレノア
「……そういえば、今はここに在籍してるんだったわね」 今までここで会ったことはなかったから忘れていた。そんなところで飲んでいた自分の考えの至らなさにふん、と鼻を鳴らして。
「相変わらず真面目ね。肩の力の抜き方、未だに知らないんじゃない?」
フランシア
「はい。私も此方に」 頷きを一つして 「私も聞いた時は驚きましたよ、エレノアさん」
「……」 困ったように笑って 席につく 「図々しさは、多少は身につけましたよ」
エレノア
「〈星の標〉に来てから目立った活躍なんてした記憶がないのに、何でもう知ってるのかしら」
「図々しいのは昔からでしょ。昔から散々纏わりついて来てたじゃない」
フランシア
「奈落の魔域、と似た遺跡を攻略したりその辺りのご活躍は伺ってます」
エレノア
「耳の早いこと」 面白くなさそうに言うと、キャロラインへと呼び掛けて手を挙げる。
フランシア
「ええ、よく面倒見て頂きました。エレンお姉さんには」 ふふ、と笑って
キャロライン
呼ばれてしまった彼女は、エールを注いだジョッキを持ってきて――申し訳なさそうな顔をフランシアに向けてから、それをテーブルに置いた。
それを置くと顔の前で両手をあわせ、エレノアに見られないよう、彼女の背中越しにフランシアに謝罪の意を示して去っていく。
フランシア
「あ、私にもレモン水をお願いします」 注文を追加ですると その顔に小さく頷いて笑みを返した
エレノア
「今は蛮族を拾って飼ってるんですって?」
「レモン水なんて要らないわよ。キャンセルで」 そう言うと、ずい、と新しいジョッキをフランシアの方へと押しやった。
フランシア
「……もう少し、言い方を改めて頂けると」 困ったような顔になって 「あ……、」
エレノア
「いいじゃない。本人が自分は蛮族だと主張していると聞いたわ」
フランシア
「飼ってる、ではなく、暮らしてる。ですよ」
ジョッキを受け取って
エレノア
「そういう所が真面目って言ってるのよ」
片手でジョッキを持ったまま、もう片手で頬杖をついて。 「もう成人してるんだし、飲めないなんてことはないでしょう?」
フランシア
「あまり強くはないですよ?」 一口飲んで
エレノア
「沢山飲めとは言ってないわ。勧めた分くらいは礼儀として飲みなさいって言ってるだけ」
フランシア
「ええ、頂きます」
エレノア
――ん」 返答に頷くと、頬杖をついたままジョッキを掲げてフランシアの方へと寄せる。
フランシア
「頂きますから、」ジョッキを合わせて  「今少し、その言い回しを和らげては頂けませんか?」
エレノア
「……しつこいわね。そういう所、なにも変わってない」
ため息をついてエールを一口呷ってから。 「蛮族と暮らしてるんですってね。これでいいでしょ」
フランシア
「だって、」 く、と飲んで
「昔はそういう言い方はしないで、色々と教えて下さったものですから」
エレノア
「いつの話をしているの。もう10年も前の話でしょ」
フランシア
「ええ、大切な思い出ですよ」
エレノア
「大切――ね。君はいいわね。変わることなくのびのびと成長することが出来ていて」
フランシア
「まだコルネリア様も居て、エレンお姉さんが居て、いっぱい、いっぱい。無邪気な時間を過ごせていた……大切な思い出です」
「……そうですね」 小さく頷いて 笑んでみせて 「お陰様を持ちまして、出来ることが増えました」
エレノア
「ふぅん……」 自分からその名前を出すのかと、意外そうにフランシアの顔をじっと見た。
フランシア
「……、」 確かに、辛い結末にはなったけれど、大切だったことは揺るがない事実でそれに嘘は付きたくない 「……どうされました?」
エレノア
「君の口からアルトナーの令嬢の名前が出てくるとは思ってなくて。少し驚いただけよ」
フランシア
「大切だったこと。それに対して自分に嘘は付きたくないだけですよ」
「私の幼少期の記憶から、外すことが出来ない内の何人かですよ。コルネリア様も、貴方も」
エレノア
「蛮族に占拠された都市に攻め込んだイルスファール軍と冒険者の手で殺されたと聞いていたから、てっきり名前を出すのも避けたいのかと思っていたわ」
フランシア
「……、そうですね」
エレノア
――つまらない、と。言葉とは裏腹に少し優しげな微笑みを浮かべて、エールを呷る。
フランシア
「失礼しました。貴女には、お伝えしておくべきことかもしれません。」
「──、コルネリア様は、私の手で討ちました」
エレノア
「敵になったのなら、当然のことよ。コルネリアも、父も同じ」
――父の最期がどうであったのかは、今ではもう誰の知るところでもないのだけど。
フランシア
「──、お墓はユディスにあります。もしよろしければ、今度ご案内させて下さいね」
エレノア
「私は君ほどコルネリアと親しかったわけじゃないわ。父が死んで母が心労で倒れてからは、私の方に構っている余裕なんてなかったもの」
フランシア
「……、」 少し顔を俯かせて 「……失礼しました」 と重ねた
エレノア
――ふん」 胸の下で腕を組み、鼻を鳴らす。 「墓参りならとうの昔に済ませてあるわ。戦争が落ち着いたらまた行くつもり」
フランシア
「……、そうでしたか」
エレノア
「彼女はイルスファールに復讐を果たそうとした、ある意味で私の同志だもの。そのくらいの礼儀は見せてあげても罰は当たらないでしょ」
フランシア
「……、」 少し、笑みを浮かべて
「ええ、きっと喜ぶと思います」
エレノア
「喜ばせるために行くわけじゃないわよ」 むすっとした表情で眺めて、長く伸びた水色のもみあげ部分を指でなでた。
フランシア
「そういう所は、変わりませんね」
エレノア
「どういうところ」
フランシア
ジョッキを傾けて
「図星を突かれたり、照れ隠しをしたい時、髪を撫でる癖がありますから」
エレノア
「……」 ぴたっと指が止まり、髪から離してジョッキへと伸ばす。 「君の記憶違いよ。昔はそんなくせはなかったわ」
フランシア
「ではそういう事にしておきましょう」 酒精に頬を染めながら 笑ってみせて
エレノア
指摘された恥ずかしさを隠すように、思い切りジョッキの中身を呷り、とん、とテーブルに置く。
「あまり強くないと言っていた割には、案外平気そうね」
新しいエールを待ちながら、話を逸らすように口にする。
フランシア
「軍にいましたから。酒量くらいは弁えてるつもりですよ」
それでもたまに、恋人に飲まされすぎてしまうことはあるのだけれど、とは口に出さず
エレノア
「そういえば、最初はそのまま順当に軍に入ったんだったわね」
フランシア
「今度は私がごちそうしましょう」
エレノア
「ふぅん……?」
フランシア
「ええ、まあ。ディニスに行った後に、入隊して小隊長課程に進んで、辞めるまでは小隊長でした」
エレノア
「リンザー家の名声があれば、黙ってればそのまま出世出来たでしょうに。勿体ないわね」
フランシア
「どうしても曲げられない事があって」
「結果的に、辞めることになってしまいましたが、後悔はしてないんです」
「騎士に至る道が、一つではない、と教えて頂けたのです。当時の上司に」
エレノア
「そう。君もイルスファールに嫌気が差して辞めたんだったら、私と気が合ったかもしれないのにね」
フランシア
通りすがりのキャロラインにエールを2つ頼んで
「今でも気が合う友人だと思っていますよ」
エレノア
「私は昔も今も気が合う友人だなんて思ったことはないわ」
フランシア
「手のかかる年下ですか?」
キャロライン
少しして、キャロラインがおまたせしましたと夜故に控え目な声音でエールを持ってきた。
エレノア
髪に伸びかけた手が途中で止まり、宙を泳ぐ。 「腹立たしい復讐相手のひとりよ」
フランシア
「……思うんです、エレノアさん」 ジョッキの一つを差し出して
エレノア
「何?」 受け取り、首を小さく傾げる。
フランシア
「復讐、復讐と言っている貴女が、誰よりも、イルスファールという国じゃなくて、」
「この国に住んでる人の為に働いているのではないか、と」
エレノア
「彼らの利になることをしている時があるのは確かだけれど、それは彼らのためじゃなくて私のためよ」
フランシア
「でなければ、武器を置くなりして、冒険者を続けて戦っては居ないと思うのです」
「それこそ、国を捨てたって良いはずです。でもそれをしないのは、お父様のことだけではないと思うのですよ」 ジョッキを掲げて
エレノア
「妄想が激しくて、一度思ったら頑固な所も変わらないわね」
「いっそ安心感さえ覚えるわ」
フランシア
「私は私が昔から知っている貴女を信じますよ」困ったように笑って
エレノア
「10年前とは違うのよ」
――で」 片目を瞑って掲げられたジョッキを見る。 「また乾杯したいって?」
フランシア
「では次の10年に期待しますよ」
エレノア
「その頃には、私より君の方が老けているかもね」
フランシア
「ええ」 頷いて 「勧められた分は受け取って頂けるのでしょう?」
「そうですね。それは外れない予想です」 エレノアに困ったように笑って
エレノア
――ふん」 可愛げがない、と悪態をついて。 「これで満足?」 ジョッキを掲げて合わせた。
フランシア
「はいっ」 嬉しそうにして
エレノア
「……」 嬉しそうにする顔も昔のままだなと、心の中で笑う。
フランシア
「……」 く、とジョッキを傾けて
「でも、お酒を飲むというのも、久しぶりですね……前線の状況的に、そこまでの余裕は無かったですし」
エレノア
「適度に気を抜くのが大事だと、イルスファール軍では教わらないのかしら」
フランシア
「今日を入れて2日休んだら、また南に行きます」
「大丈夫です、気を抜くべき所では抜いてますから」
「今も抜けてます」 あは、と笑って
エレノア
「宝剣様は仕事熱心ね。まあ、そのお陰で私はいつも通り飲めているからいいんだけど」
「そういうのはペットの蛮族と過ごす時に取っておいたら?」
フランシア
「ペットではなく、……」 もう、と お酒が回り始めたのか、少し怒ったように
「南でもずっと一緒ですから」
エレノア
「はいはい、恋人恋人。お熱いって噂は聞いてるわよ」
フランシア
「問題ないんです」 少し頬を膨らませて
エレノア
「戦場でずっと一緒でもムードも何もあったものじゃないじゃない」
フランシア
「それは、ムードを考える場所でちゃんとするから大丈夫なんです」 むむ
エレノア
「君にそういうムードなんて考えられるの?」
フランシア
「エレンちゃんは私を何だと思っているのですか」 むー
エレノア
「……ちゃん?」 片眉をあげる。 「……もしかして、酔った?」
フランシア
「酔ってません」
と言う割には普段の様子ではなく、目も若干とろんとしてる
エレノア
「……」 酔ってない奴は大体そんなこと言わないんだけど、言ったら余計に面倒なことになるのは自分がよく知っている。
「まあ、昔から夢見がちな所はあったし、そういう妄想は得意なのかしら」
フランシア
「夢見がちってなんですか。私はちゃんと目標を持って前に進んでいるんです」
ぷんぷん、と
言い返しながらジョッキを傾けて
エレノア
「……君、酔うとそういうタイプだったのね」
フランシア
「酔ってません」
エレノア
――……」 この面倒くさい酔い方は誰に似たのだろうか。もしかして自分……?
「酒量はきちんと把握している、のよね……?」
フランシア
「そうです。大丈夫なんです」 ぐいぐい
エレノア
「……今までで一番飲んだことがある時はどのくらい飲んだ?」
フランシア
「………、」 思い出そうとジョッキを置いて額に指を当てて 「……あれ…」 思い出せない
エレノア
「そもそもまともに飲んだことは……?」 ある?
フランシア
「それは、あります。ありますよ」
エレノア
「じゃあ、最高じゃなくて一番最近でどのくらい飲んだかでいいから答えて」
フランシア
「ワインをグラスで3杯……だったと思います」 
気の緩みなどは本当にあるのだろう、それでも普段よりも回りが早いのはエレノアの飲むペースに合わせて煽ったためかもしれない
エレノア
「そ、そう……。それなら、もうそれ以上は飲まない方がいいわ」 他の人間がいないと私が世話をすることになりそうだ……。
フランシア
「……そうします」 頷いて
エレノア
「自分が飲める量を正確に把握しておくのもレディの嗜みよ。酔ったみっともない姿なんて人に見せるものじゃないわ」
フランシア
「…‥気をつけます」 しゅん
エレノア
「……君の今の家は何処だったかしら。引越し祝いは結局屋敷に持っていっただけだし、新しい家の場所はよく知らないのよね」
フランシア
「星の標から、南に行った……公園の辺りの小さなお家ですね」
エレノア
「屋敷にいれば使用人たちが何でもやってくれるし、広いし、いいお風呂もあるのに。なんでわざわざそんな所に」
フランシア
「シリカと二人きりで居られる時間が欲しくて……」 ぽわぽわとしてきた頭、気心をしれた仲でもある故か、正直に答えて
エレノア
「あれだけ広い屋敷なら部屋に篭もっていれば二人きりでしょうに」
フランシア
「それはそうなのですが……、二人で望んで外に出たんです。ご飯も作ってもらってばかりだと振る舞えないですし」
「シリカのお世話も出来ませんし‥‥」 ぽわぽわ
「でもシリカの方がご飯作るの上手なんです。中々越えられません…」
エレノア
「誰もそこまで惚気ろなんて言ってないんだけど……」
「まあ、その蛮族にぞっこんなのはよく分かったわ。ごちそうさま」
フランシア
「…‥…?惚気?」
エレノア
「……惚気でしょ?」
フランシア
「…‥、」 考え込んじゃった
エレノア
「今のが惚気じゃなかったなら何なの?」
フランシア
「事実としか…」
エレノア
「それを他人に伝えるのが惚気って言うのよ」
フランシア
「……そんなつもりは」 頬に手を当てて ちょっとあったかい
エレノア
「まったく……聞いてもいないのにそんな話を聞かされて、こっちまで暑くなって来ちゃうわ」 ただでさえ暑いのに。
フランシア
「……、あ、レモン水ください」 通りすがりの店員にお願いして
エレノア
「……」 ふう、と鼻から息を抜く。これ以上飲ませるのは面倒そうだから水を飲むのを許してやろう。
「それを飲んだら帰りなさい。送っていくわ」
フランシア
「いえ、1人で大丈夫です。武装は付けたままですし…」
エレノア
「こんな状態の知人を見捨てて帰ったなんて噂が立ったら、また面倒なことになるもの」
フランシア
「‥分かりました」 頷いて
レモン水を受け取ると、ゆっくりと飲んで
エレノア
「ついでに君のパートナーだっていう蛮族の顔でも拝んでいきましょう」
フランシア
「はい。シリカは戻ってると思うので…急いで戻らないと…」
コップを置くと、立ち上がって
エレノア
「置いておくわね」 カウンターの向こうにいるキャロラインに告げてテーブルに代金を置くと、こちらも立ち上がる。
「ちゃんと歩ける?」
フランシア
「……、」 二人で並んで歩くのはなんだか久しぶりで 「うん。大丈夫」 何処か声音は幼くて
エレノア
その声に昔を思い出してため息が漏れる。昔もよくうちの屋敷に泊まりに行くだの、逆に泊まりに来いだの、遊び終えた夕刻に言われて結局根負けして一緒に街を歩いた記憶がある。
「ほら、行くわよ」 つかつかとヒールを鳴らして先に歩いていくと、振り返って促した。
フランシア
ぱたぱた、とエレノアに続いて小走りになると そのまま歩調を合わせて歩き出す
エレノア
店を出ると、日中とは違って涼しい夜風で体を冷ましながら、フランシアの家へと夜道を歩いていった。
エレノア
こんなところね。
フランシア
はい。お付き合いありがとうございました
エレノア
付き合ってくれてありがとうね。
フランシア
いえ、此方こそ
エレノア
それじゃあまたの機会に。ログは2021/06/20_1だわ
フランシア
ありがとうございました。ではまた
お疲れ様でした
!SYSTEM
フランシアが退室しました
エレノア
お疲れ様。
!SYSTEM
エレノアが退室しました
背景
BGM