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- ティアエレスが入室しました
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- アーネストが入室しました
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- 森に現れた蛮族への対処を依頼され、ダイアン北東の村へと向かった冒険者たち
- 依頼のために森へと足を踏み込み、蛮族の痕跡を見つけて追いかけた先で、森の守り神、リンギングレイディア遭遇する
- いわく、彼の伴侶が蛮族達と相討ちしてアンデッドとして起き上がってしまったのだという
- 彼の望みを聞き、アンデッド化したリンギングレイディアを輪廻に還すと、森は平穏を取り戻す
- それで終わるはずだった、のだが
- 依頼を終わらせ、村で休息を取った、早朝
- 朝日が顔を覗かせる前の、最も暗い時間
- 白い少女は、借りていた建物から外に出て 1人空を見上げていた
- 後から続く、少年の息遣いを感じながら ゆっくりとそちらを向いて
- ティアエレス
- 「──、お話とは、なんですか」 と尋ねて 星空から少年に視線をやる
- アーネスト
- 視線を向けられた少年は、先程までの……依頼を終えた時の様相とは大きく異なっていた。身体にはいくつかの数が増えており、その足取りはどこか頼りない。
- けれども、その翡翠の瞳には先程までの弱った色は無く 同時に、しっかりと光を灯していた。
- 「……ティアアレスさんとの、契約についてです」 少女からの視線を正面から返し、乱れた黒髪を軽く振り。
- 「お話が、したくて」
- ティアエレス
- 「……、どうぞ」 少し冷たい声音で 冷たい視線で少年を改めてみやる
- アーネスト
- 「……」 その視線を受け止めると、少しだけ唇を噛み。
- 「僕は、……」 矛盾している。どうしようもないほどに、矛盾している。
- 「僕は、殺す事が怖いです」 言葉にしてから、自分でも少し困惑して 頭が白くなっていくのを自覚する。
- 「…例え、それがアンデッドでも、……何でも」
- ティアエレス
- 「………」 突き放すべき、と思う だからこうする、それでいい 表情を動かさずに少年の顔を見て
- 「──、アンデッドを討滅することは、殺すことではありません」
- 「輪廻に還すべく行う、救済行為です」
- 淡々と告げていって
- 「まして、」
- アーネスト
- 「……いや、違うな。奪うのも、奪われるのも、全部怖いんです。……あの時みたいに」 刃を振り下ろし切れずに躊躇った事を浮かべつつ、
- 「……」 続く少女の言葉を待つ。
- ティアエレス
- 「その"何でも"、の中に魔神が含まれているかもしれない、と考えるなら」
- 「やはり、契約は反故にするべきです。アーネストさん」
- アーネスト
- 頷きながら、小さく拳を握り込む。
- 「そうなのかもしれませんし、……そう、思いました。貴女に、剣を捨てるべきだと言われた時には」
- 「けど、……"そうすべき"ではあっても、それは、……それだけは、嫌なんです。貴女の傍を、離れたくない」
- ティアエレス
- 「──、必要ありません」 あえて、短く告げる
- アーネスト
- 「必要が、無くても。それでも」
- 「それが、僕の」 使命、と口にしようとして それを飲み込む。
- 「……僕の、在りたい場所で 為したい事、なんです」
- ティアエレス
- 「──、覚悟もない、望みばかりを言って、子供ですか」
- 「子供と、対等には取引はできません」
- 「責任能力がある保護者のところに帰りなさい。あるいは、保護者を見つけなさい」 努めて、声を冷たくして突き放すように言う
- アーネスト
- 「その通り、だと思います。……言葉ばっかりで、覚悟なんて出来てなかった」 拳を握り込み、小さく俯く。
- 「……奪うのも、奪われるのも嫌だなんて、そんな考えで隣に立って」
- 「そんなの、……僕の見てきた想いも、僕を連れた貴女の想いも、全部……穢しているのに」 頭を振り、少女に視線を向ける。
- 「……だから、もう」 向けた視線が、僅かに少女からぶれる。
- ティアエレス
- 「──、」 小さな胸の痛みを感じながら 少し俯くようにして言葉を紡ぐ 「──ええ、終わりにしましょう」
- アーネスト
- 歩を進めて、少女の目の前で 普段はフードで伏せられている翡翠の瞳が瞬いた。
- 「僕も、……覚悟を決めます。今度こそ」
- ティアエレス
- 「──、」 再び少年を見つめるように視線を上げて
- アーネスト
- 「……もう、迷ったりしません。自分のしたいと思った事を、貴女の為すべき事を穢したくないから」
- 「貴女の傍にいて、貴女に生きていて欲しいから。……その為なら、奪う事も奪われる事もしたくない、何て矛盾は」
- 「僕が、もっと強くなって それを抱えていても、前に進めるくらいに強くなって、……矛盾を、矛盾じゃなくしてみせます」
- ティアエレス
- 「──、それを、どう示されますか」
- 「口先だけなら、なんとでも言えます。私達の契約は、文書を交わした訳でもない、ただの口約束です」
- アーネスト
- 「僕がティアエレスさんに示せる物は、……これくらいですから」 寂しそうに笑いながら、腰の短剣を示して
- 「…僕の事、あと一度だけ見ていてください」
- ティアエレス
- 「………」
- 「──、」 小さく息をついて
- 「分かりました……保留します」
- 「次はありません。そのつもりで居てください」
- アーネスト
- 「……」 頷いて、安堵したように胸を撫で下ろし
- 「ブランシュさんと、少し話したんです。……どうしたらいいのか」 頬についた傷に触れて
- 「どうしたら、この矛盾と付き合っていけるのか、って」
- ティアエレス
- 「……」 それでですか、と内心で 大事に至る傷はないとすぐに分かった だから治癒の奇蹟はかけない
- アーネスト
- 「強くなれ、って。為したい事があるなら、為したい想いがあるのなら、……それを徹せるようになればいいって」
- ティアエレス
- 「アーネストさん、」
- 「話をされるなら、要望を通そうとするなら、先に理由付けも話してください」
- アーネスト
- 「だから、」 「…?」 言葉を切って、ティアエレスを見て
- 「理由、…?」
- ティアエレス
- 「私が許したから良いものを。普通はあれでは納得されません」
- 「こうした事があったから、と、どうしてそうしたかを言ってください」
- 「──ただこうしたい、だけでは子供の理屈のままです」
- アーネスト
- 「……、えと。躊躇った理由、ですか?」
- ティアエレス
- 「次からは気をつけてください…いえ、ブランシュさんとのことです」
- 「契約を反故にしない、きっかけになったのでしょう?」
- アーネスト
- 「……、はい」 頷いて じっと視線を合わせる。
- ティアエレス
- 「だったら、尚更説明する義務と必要があります。覚えておいてください」
- アーネスト
- 「気をつけます。……教えてくださって、それから、」
- 「……傍にいる事を許してくださって、ありがとうございます」 状況をわかっているのかいないのか、幼い瞳を向けた。
- ティアエレス
- 「……それはもういいです」
- アーネスト
- 「…大事な事、ですよ?」
- ティアエレス
- 「……、どういたしまして」 小さく息をついてから返して
- アーネスト
- 「…それから」
- 「剣を捨てるべきだ、って言ってくれて、ありがとうございました」
- ティアエレス
- 「……」
- アーネスト
- 「多分、ですけど」
- 「こうやって、変わる事を約束して、傍にいる事を許してくださったって事は」 小首を傾げて
- 「僕の事、気を遣ってくださったんじゃないか、って思って…」 どうだろう、とは言わないものの 視線は見上げてくる
- ティアエレス
- 「──、気の所為です」
- 「勘違いしないで下さい」
- 視線は逸らされ、目元は見えなくなるが、声は少し震えたのを感じ取れる
- アーネスト
- 「……」 その様子に、小さく笑って
- 「本当に気の所為なら、」 意地悪く言うことはなく、ただただ残念そうに口を開き
- 「ちょっと、残念です」
- ティアエレス
- 「そうですか」 突っぱねる様に言うと 背を向けて 「──、期待しています。朝の祈りがあるので、これで失礼します」
- アーネスト
- 「あ、…えっと」
- 「お邪魔はしないので、傍にいてもいいですか?」
- ティアエレス
- 「1人でやることにしているんです」
- 「消えたりはしません……では」
- アーネスト
- 「……、わかりました。いってらっしゃい、ティアエレスさん」
- そのまま、背を見送り 借り受けた建物の玄関に立ち、帰りを待った。
- ティアエレス
- 「………」 本当に良かったんだろうか 昇り来る朝日の刺すような光に目を眇めつつ
- 少女は歩き出した