- !SYSTEM
- ブランシュが入室しました
- !SYSTEM
- アーネストが入室しました
- ブランシュ
-
-
- 森に現れた蛮族への対処を依頼され、ダイアン北東の村へと向かった冒険者達。
- 森へと足を踏み込み、蛮族の痕跡を見つけて追いかけた先で、森の守り神、リンギングレインディアと遭遇した。
- 魔法の力を借りて会話を試みたところ、彼の伴侶が蛮族達と相討ちとなり、アンデッドとして起き上がってしまったという。
- 冒険者達は墜ちた母鹿を自然の理へと還し、森は再びを平穏を取り戻した。
- 番いと我が子を失くした悲しみは彼を苛み続けるだろうが、それでも彼は森と共に生きて行く道を選んだ。
- だが、選べず、迷い、囚われ続けている者もまた、一人……
-
-
- 村へと帰還した冒険者達が、事の顛末を報告すれば、蛮族の脅威から解放された事は喜ばれたものの、
- レインディアが犠牲になった事は大いに悲しまれ、予定されていた祝宴は静かなものとなった。
- その日の晩、宿舎として宛がわれた家から抜け出したものが一人。
- 月明かりに照らされたその姿は、細い刃のように研ぎ澄まされた身体の男だ。
- 槍を手に、月を見上げて佇み、待つ。
- 静かな祝宴の最中に、ある人物に声をかけてあった。
- 彼とは縁が深いわけでもなく、その出自も心情も与り知らない。
- ただ、そうしたいと思った。
-
- ――小さく響いたのは、極力殺した足音。
斥候の経験を持つものからすれば、まだ拙い――否、甘いそれではあったものの、同行者たちを起こさぬよう、極力気を遣ったのだろう。
- アーネスト
-
ゆっくりと、家から抜け出してくる影がもうひとり。
外套を羽織ってはおらず、長い黒髪を持つ矮躯の少年は沈んだ表情のまま歩いて来ると、ただ静かに青年の隣に立った。
- ブランシュ
- 「―――」 シン、と冷えた夜の空気の向こう、冴え冴えとした光を讃えて浮かぶ月を眺めていた男は、待ち人が到来しても沈黙を破らない。
- アーネスト
- 少年も口を開かずに、けれど不安そうに――青年の傍らで、彼に倣って月を見上げて口を閉ざす。
- ブランシュ
- 鋭い目つき、眉間に刻まれた縦皺、一見、酷薄に見える男だが、まとう空気はといえば穏やかなものだ。
- 戦いに際しては、強い闘志を漲らせていたが、今はその苛烈さも鳴りを潜めていた。
- アーネスト
- ――暫くして、そっと視線を月から青年へと移し。
- 「……話って、何ですか」 ひどく乾いた声が、青年の耳を打った。
- ブランシュ
- 少年のかすれた、弱弱しい声に反応して――だが、言葉を発するでなく、男は上体を屈めると、地面に転がしていた棒のようなものを拾い上げた。
- それは、ただ真っ直ぐに整えられた、二の腕程の長さのただの木の棒だった。それが、二本。
- 男はその一本を少年へと軽く放って寄越した。
- アーネスト
- 拾われたそれを見て 小さく眉を顰めて。
「あの――……」 声を掛けようとした所で放られたそれを、慌てて両手に受け止める。
- 「何ですか、突然……」
- ブランシュ
- 「手合わせをしよう」 ようやく口を開いたかと思えば、そんな言葉を述べた。
- そう言って、手にした棒切れを構えた。男の得物――槍の構えではない、剣のそれだ。
- アーネスト
- 「……、」 耳を疑いながら、表情が困惑に染まる。自分の木の棒と彼のそれを見つつ
- ――青年が構えれば、少年もまた反射的に木の棒を逆手に握り 彼の構えを取る。
- ブランシュ
- 「………」 唐突な呼び出し、そして、意味不明な申し出。迷いの中でもそれらに応えようとする少年の在り方に口元を僅かに緩め――
- 「―――」 口を硬く結ぶと、闘志が、表情と構えに漲る。
- アーネスト
- 小さく、口から息が抜ける。彼の獲物がなんであれ、自分の獲物がなんであれ――これは正しく手合わせだ。
- ブランシュ
- 「――…ッ」 ヒュッ、と呼気を吐く。同時に、強く踏み込み、逆袈裟に木の枝で切り上げる。
- アーネスト
- 専心しなければならない。そして何より、これならば殺す事はない。
- 「――!」 そんな、驕りを抱きながら 逆手に握った獲物を用い、右に回転しながら木を打ち合わせて 斬り払いながら側面を取ろうと踏み出した。
- ブランシュ
- 木と木がぶつかり合う音――というには異質な音が響いた。
- 同じ材質、同じ太さに長さの木の棒同士の衝突によって起こった現象は、男の振るったソレにより、受けに回った少年の得物は両断されていた。
- そのからくりは単純にして明快。男の振るったソレは魔力が込められていた。
- 「――」 受け流しを断ち切り、側面を取ろうと踏み出した少年へと得物を突きつけた。
- アーネスト
- 「――、っ、」 寸断された獲物を見ると、刺突に思考を即座に切り替えるが――首元に突き付けられた木の棒に、動きを止めた。
- ブランシュ
- 手合わせに用いるような技ではない。大人げない。騙し討ちのようなやり口だ。
- アーネスト
- そのやり口にも、不当だと騒ぐことはせずに ただ、寸断されたとはいえ己の獲物を手放す事はなく
- じ、と エメラルドの双眸が、青年の一挙手一投足を観察する。
- ブランシュ
- 「……」再び構える、その瞳には卑怯な振る舞いをしたという気後れも何もない。ただ真っ直ぐに、打ち倒すべき相手を見据えている。
- アーネスト
- ゆらり、と身体を揺らして 今度は少年から青年へと向かっていく。
- 折れた獲物を気にする素振りも無く 全速で踏み込み、低い姿勢のまま青年の左後ろへと飛び込んだ。
- ブランシュ
- 自身の後方へと跳ぶ少年へ向けて、迎撃の一閃を放ちつつ、振り向き、即座に間合いを詰めに行く。
- アーネスト
- 「く、……」 再度受け流しつつ、完全に動きを見通されている感覚に小さく呻く。間合いを詰められる前に後方へと跳躍しようとするものの、身体は鉛の様に重い。
- ブランシュ
- 男の振るう一閃には注意を凝らしてみれば、先ほど同様にうっすらと魔力をまとっている。受けや流しは下策
- 「シッ――」 放たれた攻撃を受ける度に獲物は削れ、短くなっていく
- アーネスト
- 「――、」 やがて獲物は手元を残して寸断され、打つ手もない状況に陥り――距離を保ったまま、荒く息を吐いた。
- ブランシュ
- 「……」 精彩を欠く動きから、間合いを取り直して息を吐く少年を前に、男が口を開く。
- 「卑怯だ、とは言わないのかな」
- アーネスト
- 「……そう言っている間に、死にますから」
- 肩を落とし それでも獲物は離さずに、じっと青年を見遣る。
「どう、したんですか。……こんな事をして」
- ブランシュ
- 「君は、とても良い腕をしている。体幹も鍛えられている」
- 「私が君くらいだった頃、そんな風に剣を扱えていたかと思い越してね。妬ましいと思った」
- アーネスト
- 「……皮肉、ですか」 口をついて出たのは、卑屈な言葉で 心をついて浮かべたのは、醜い表情だった。
- ブランシュ
- そう口にしながら、男の目は真っ直ぐ少年を見続けている。そこに負の感情は乗っていない。
- アーネスト
- 「今も、……あの時も、貴方の方が、ずっと」
- ブランシュ
- 「ずっと、」
- 「君は、強くなりたいのか」
- アーネスト
- 俯くと、小さく頭を振った。
- ブランシュ
- 「なら、死にたくないだけか」
- アーネスト
- もう一度、先程よりも強く頭を振った。
- ブランシュ
- 「そうか」
- アーネスト
- 「――夢を、」 絞り出すように、俯いたまま吐き出した。
- 「夢を、見るんです。ずっと、同じ記憶を」
- ブランシュ
- 「……」
- アーネスト
- 「そこがどこかも、それが誰かもわからないのに――確かに、僕は知っていて」
- 「ひとつも解らないのに、全部知っているんです。……僕の記憶じゃないはずなのに、僕の記憶みたい、で」
- 「同じ夢を、何度も何度も繰り返し見て――何をしても、最後は決まって、とても大事な人を守れないで、終わるんです」
- ブランシュ
- 「それが君を衝き動かして、剣を握る理由だと?」
- アーネスト
- 「……あんな気持ちは、もう嫌で」
- 「でも、……何かを殺すのも、嫌で」 声は徐々に震え、俯いた肩が揺れる。
- ブランシュ
- 「嫌、嫌、か……」
- アーネスト
- 「殺さないといけないって解っても、……選ばないといけないって解っているのに」 自嘲気味に言って、獲物を握る力が緩む。
- ブランシュ
- 「なるほど」
- アーネスト
- 「さっき、夢の人にも言われました。……選べないのなら、剣を捨てるべきだ、って」 白い神官の少女に言われた言葉を思い返し 頭痛に眉を顰める。
- ブランシュ
- 「ああ、それも一つの選択だ」
- 「選んで、殺す――誉められた行いではない。剣は殺しの道具、それを厭う気持ちはまっとうなものだ」
- アーネスト
- 「……」 返答はせずに、じっと拳を握り 塞がれた傷がまた開かれる。
- ブランシュ
- 「あの剣は誰に習ったんだい」
- アーネスト
- 「とうさ、……」 口に仕掛けた言葉を呑み込んで。
「父に。……それが、どうか?」
- ブランシュ
- 「あれは護身の剣ではなく、殺す剣だ」
- アーネスト
- 「……父は、軍人でしたから。僕も、弟も」 小さく頷いて。
- ブランシュ
- 「記憶に関わらずとも、学ぶ環境にあったわけか」
- アーネスト
- 「昔から、ずっと見る夢で……最初は、その為に力を付けようと思ったんです」 頷いて。
- ブランシュ
- 「最初は、」
- アーネスト
- 「はい。……次は、自分が死にたくないから、でしたよ」 自嘲して
- ブランシュ
- 「私にも夢があった」
- 「いや、今も夢を見続けている、だな」
- アーネスト
- 「……、」 青年を見上げて
- 「貴方なら、叶えてしまえそうですけど」
- ブランシュ
- 「君の見る記憶と違って、ごく単純なものだ」
- 「――頂きを目指していた。剣と魔法、その両方でね」
- ブランシュ
- ふう
- アーネスト
- はい
- アーネスト
- ――目指していた。それを聞けば僅かに目を細めて、寸断された獲物に視線を落とす。
- 青年の戦技は、自分には未だ遠い場所にある様に思える。故に、彼のその、既に道を諦めた様な言葉が気にかかった。
- じっと青年を見上げ、続きを促すようにうなずいた。
- ブランシュ
- 「……それなりに資質はあったんだろう。その頃はとにかく鍛錬を積めば積むだけ強くなったと実感できたよ」 手にした木の棒に視線を落とし、何かを懐かしむように
- 「自信を付けて、更に高みを目指そうとして……壁にぶつかった」
顔を上げる。空の高みには雲を寄せ付けずに光を放つ月が見える。
- アーネスト
- 「……それで、どうしたんですか」 自然に、青年が上げた視線を追って行けば、夜空に輝く月を見て。
- ブランシュ
- 「形振り構わずに藻掻いて、足搔いて、目指し続けたよ。自分の限界を超えている事から目を背けたまま、ね」
- 「……気が付けば、満足に剣を振るえない躰になっていた」
- アーネスト
- 「――、」 月から視線を青年に戻せば、エメラルドの瞳が訝しむ様に見上げた。
- 「さっきの手合わせを考えたら、そんな事……」
- ブランシュ
- 「取り戻すまでには随分と長い時間を費やしたよ。療養や鍛錬ばかりじゃない」
- 「多くの人を失望させた。裏切った。堕落し、悪事にも手を染めた」
- アーネスト
- 失望させた――裏切った。青年の語る言葉と、少女に投げかけられた言葉とが脳内を反芻する。
- それを何とか呑み込んで――或いは、受け止めて。青年の続きを待つ。
- ブランシュ
- 「随分と回り道をしたものだが……最初に頂きを目指した時のことを思い出させて貰ってね」
- 手にしていた木の棒を少年に手渡すと、前へと歩を進め、地面に転がっていた長い棒を拾い上げた。
- アーネスト
- 「……その時のブランシュさんは、相手を殺す事に躊躇ったりなんてしなかったでしょう」 受け取り、その様子を見つめる。
- ブランシュ
- 「……もう一度、一から学び直す事にした――」 夜の闇に向けて槍の構えをとった。
- 「躊躇い、か」
- 「昔はただ、強い敵を下せばそれだけ自分も強くなれると信じていた。だから、確かに躊躇いというものは殆ど感じなかったように思う」
- 「一度折れた後は、そんなものを感じる余裕もなかった」
- 「そして、今は――」 振り向いて棒の切っ先を少年へと向け、構えをとった。
- アーネスト
- 「……」 堕落し、悪事に手を染める。今の彼からは想像も出来ない言葉に、彼がただ感じていたものはなんだったのかと、ただ見上げ。
- 獲物を向けられれば、それが何であれ――迷い、止まろうとも、未だ折れぬ心は、確かに反応する。
- 棒を逆手に握り 僅かに腰を沈めて相対する。
- ブランシュ
- 「自分がそうしたい、為したいと思うことをすることにしている」
- 「言葉にしてみれば、昔から何も変わってはいないな。いつも自分の事ばかりだ」 苦笑した
- アーネスト
- 「――為したいと、思った事を」 反芻して頷けば一度視線を外され、やがて――決意とも取れる色を灯して、視線が戻される。
- ブランシュ
- 「あの女鹿を救うにはああするしかなかった。不死に堕ちた者の魂は囚われ、穢れ続けて行く」
- 「君も、知識としては知っていたろう」
- アーネスト
- 「……はい。もう一度殺す事だけが、そうできる、とは」 既に死んでいるだろう、という少女の言葉を思い返し、僅かに拳が握り込まれる。
- ブランシュ
- 「だからこそ、踏み込みまでは躊躇いはなかった」
- アーネスト
- 「でも、……目を、見てしまって」
- ブランシュ
- 「狙いは精確で、迅さと剛さの乗った良い剣筋だと感じた」
- アーネスト
- 「……殺す相手の顔も、眼も。普段は見ないようにしてるんです……迷っちゃう、から。フードもその為で」 普段目深に被っているフードの事を言及しながら、小さく続けて行く。
- 「駄目なんです。……見れば見るだけ、相手にも、きっと僕が持っている大事なものと同じものがあるんじゃないかって、思ってしまって」
- ブランシュ
- 「あのまま半歩踏み込んで、振り抜けば、君の斬撃は完成に至っていただろう。正直に言って、惜しい、と思ったよ」
- アーネスト
- 「――……」 青年の評価には、小さく俯いた。
- ブランシュ
- 「ああ、彼女にはあの場に留まる理由があった。叶わない、果たせなかった思いが……何よりも大事なものが確かにあっただろう」
- 「だが、戦いは戦いだ。力と技のせめぎ合いではあっても、理由で競い合うものじゃない」
- アーネスト
- 「解ってます。……けど、それでも怖いです。相手が、自分の為に立つだけのものなら良い……魔神だって、構いません。……だけど」
- ブランシュ
- 「――君が葛藤を抱いていようといまいと、その場で相対したものには関係がないことだ」
視線を地面に向ける。そこには先ほどの手合わせで男が卑怯とも言える手を使って斬り飛ばした棒の切れ端が転がっている。
- アーネスト
- 「だけど、……自分だって譲れないくせに、相手の理由を踏み砕いてしまう事が、怖くて」 自分で言っていても、どこまでも矛盾した言葉に違和感を覚えてしまう。
- ブランシュ
- 「誰かを守る為に立ちはだかる者になら、負けてもいいのか」
- 「その為に、君が守りたいと思うものを守れずとも構わないのか」
- アーネスト
- ふるり、と首を横に振る。 「……僕は、あの人の為に闘っていますから」
- もう一度、首を横に振る。 「僕は、……僕は、守る為に闘っています、から」
- ブランシュ
- 「ならば、相手を言い訳にするのは止すんだ」
- 「それは相手の想いも、君自身の想いも穢すことになる」
- アーネスト
- 「……駄目ですね。どれだけ考えても、矛盾してばっかりだ」
- 逡巡した後にそう呟いて、頭を掻いた。
- 「――相手を砕く事も、自分を砕く事もしたくない、なんて。そんな、馬鹿な事ばかり」
- ブランシュ
- 「簡単な解決方法なら、ある」
- 「考えないこと、どちらかを捨てること」
- 「そして――」
踏み込み。上体をしならせ、棒を下段から逆袈裟に跳ね上げる一撃。魔力を乗せられた様子がない。受けられることを見越したような型にはまった一撃だ
- 「――どちらも矛盾なくやってのける力を手にすること」
- アーネスト
- 「ッ、――」 ぱち、と目を見開き、その動きを見極めて――咄嗟に、青年の思惑通りに逆手に受け、それを軸に踏み込もうとする。
- ブランシュ
- 受けさせた穂先を支点に、ぐるりと体の軸を回転させ、円の動きを以て防壁と為し、間合いを詰めさせることを妨げる。
- アーネスト
- 「――なら、僕は」 受けた棒を離さずに棒を滑らせて間合いを詰め そのまま踏み出し、執拗に間合いを詰める。
- ブランシュ
- 手にした棒の長さは2mには及ばず。しかし、剣の間合いよりは圧倒的に広い。両者の体格の差によって、その隔たりは更に広がる。
- 踏み込めば、払われ、距離を置けば素早く連続した突きへの対処に追われる。
- 短い棒一本ではとても追いつかない。
- アーネスト
- 「――、」 小さく息を吐けば、言葉を紡ぐ余裕すらも失いながら 前へ、前へとその歩を進めて行く。
- どこまでも愚直に、どこまでも浅はかに 届かないと理解しながら、決して止まらずに前へと。
- ブランシュ
- 「―――」 突き、払い、振り下ろし、その進行を一歩も退かずに阻み続ける。
- アーネスト
- ――やがて、愚直に進む脚がもつれ、青年の一撃が小柄な体を打つ。
- 「づ、っ――」 鈍い声と共に、たたらを踏みながら後退し――膝が折れるが、付きはせずに踏み留まるも、崩れ落ちてもおかしくない様相だ。
- ブランシュ
- 「シッ――」 突きに見せかけ、途中で引き戻しつつ、柄を振るって少年を弾き飛ばした。
- 膝をつき、地面を見れば、そこには折れた棒が転がっている。
- アーネスト
- 躊躇わずに、それを握り もう一度、青年を睨み付けて立ち上がる。
- ブランシュ
- 大小の二刀、それは少年の本来のスタイルだ。
- 闘志を以て立ち向かってくる少年に、容赦なく棒を振るう。
- アーネスト
- 左右の手に握り込んだ棒を構え、――やはり愚直に。
- ブランシュ
- 棒と棒の打ち合う、乾いた音が月夜を賑わせる。
- アーネスト
- 普段の様に誰の影に紛れるでもなく、ただ正面からそれを払わんとする棒に合わせて、左の手を 滑り込みながら、右の手で青年を打つ。
- ブランシュ
- 打ち合い、詰められ、退き、時に自ら詰め寄り、止め、打ち、払う。
少年の棒は幾たびか、男の瘦身へと届きはじめた。
- 互いの呼気が夜の空気に白く浮かび上がっては消える。
- アーネスト
- 長く打ち合う度、次第にその動きは弱り、鈍り。終には、青年の前に両膝を付く。
闘志は全く衰えてはいないものの――それに応えるだけの力は、既にふり絞られている。
- 荒く息を吐きながら、青年を見上げ。少年は口を開く。
- 「……それなら僕は、考えを止める事も、捨てる事もしたくないです」
- ブランシュ
- 「――ハッ」 男の弾んだ息遣いは笑っているように聞こえた。事実、そうなのかもしれない。
- そこに嘲笑の色は無い。戦いの狂気に呑まれているわけでもない。
- アーネスト
- 「だから、もっと強く、……強くなります。もう、繰り返さない様に」
- 「貴方と同じ、頂きを見ます。……自分の想いも、誰の想いも、穢したくないから」
- ブランシュ
- 「……剣を手に戦う限り、また、同じことは繰り返されるだろう」
- 「選ばなければ、どちらかを捨てなければならない時は、その時出来ることをするといい」
- アーネスト
- 「……、」 小さく頷いて そのまま、ふ、っと全身から力が抜け落ちていく。
- 両手の棒を取り落とし、制御を失った体は前のめりに倒れ込む。
- ブランシュ
- 「それが悔いを残す結果になっても、棄てるな」
- 倒れ込んできた少年を受け止め、その肩越しに語りかけた。
- アーネスト
- 「――、……」 その言葉を聞き入れているのか、それとも既に気を失っているのか。それは定かではなかったが――
- 青年の腕の中で、僅かに頷いた様な気がした。
- ブランシュ
- 男は少年を担ぎ上げ、空を振り仰ぐ。
- 中天の月は変わらずそこに在り、二人の夢抱く者を静かに見下ろしていた――
- ブランシュ
- こんな、感じかな
- アーネスト
- はい、ありがとうございましたー
- 戻ったら真語魔法教わらなきゃ……
- ブランシュ
- こう、同じ技術だけど後衛の専門職に習うより
- 前衛の使い手から習う方が身に着きそうではあるよね
- アーネスト
- 用いる方法も似通ってる(マルアク)から
- 恐らく前衛から聞いた方が身に付く奴
- ブランシュ
- 攻撃の挙動に詠唱と行使の動作を盛り込んで一つの技とする
- それを昇華したのが変幻自在とポンマスの運用
- アーネスト
- やはり師と仰ぐか……。
- ブランシュ
- 活殺自在流とでも呼ぶべきか
- アーネスト
- 秘伝の実装が待たれる
- よし、CCありがとうございました!またよろしくお願いします!
- ブランシュ
- こちらこそ、良い縁を結べた!ありがとう!
- アーネスト
- 撤収しまーす!
- !SYSTEM
- アーネストが退室しました
- ブランシュ
- 〆