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幕間

20210323_0

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エスメラルダが入室しました
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ウィスタリアが入室しました
ウィスタリア
失礼します
エスメラルダ
いらっしゃい。
シュナとの会話の翌日、昼頃でも構わないかな
ウィスタリア
はい。構いません
エスメラルダ
わかった。では描写しよう
 
 
 
 
 
 
 
 
 
――たどたどしく、けれどしっかりと記された手紙には
短く、いつかの頼み事が綴られていた。

 
王都イルスファール、〈星の標〉。
毎朝行われている、依頼争奪戦と揶揄されるそれも過ぎて 
昼食を摂りに来た者達がやってきて また去っていった頃
その宿の中庭で、一人の青年が店内から借りてきた椅子に腰かけて座っている。
その傍には、屋外用の簡素な丸テーブルと 青年が座っている椅子と同じものが、もう一つ。
 
まだ肌寒く感じられる春風が緩く吹いている 雲一つない、快晴の空の下で
ぼんやりと、それでいて落ち着きがない様子で
エスメラルダ
――……」 青年は一人、空を見上げていた。
エスメラルダ
どうぞ。手紙の中には中庭で待っている、という文面が合った形だな
 
暫くしてから きぃ、という音を立てて、店に続く扉が開く
白いブラウスに黄緑色のスカート 金色の髪に深い青の瞳の少女は、反射的に春にしては強い日差しに手をかざすようにして出てきた
エスメラルダ
小さく息を呑んで、小さく身体を震わせると 背後から響いた音に、ゆっくりと振り向いていく。
ウィスタリア
ざっざっ、と芝生の上を歩いてい テーブルの近くまで来ると、青年に軽く頭を下げてから 「──、定刻通りとなります」と呟いた
エスメラルダ
「……」 正面に少女を認めると、安堵したような それでいて緊張したような いくつかの感情が混ざった表情を見せる。
「ああ。……来てくれたんだな、ウィスタリア」
ウィスタリア
「──、文面にはそう書いてありました」
エスメラルダ
「そうだな。……」 頷いて テーブルの傍の椅子を示す。 「座ってくれ」
ウィスタリア
「この時間、中庭で待つ、と。会うということを想定された文言のはずです」
「了解しました」 姿勢の良い立ち姿から僅かな距離を歩行して 席につく
エスメラルダ
「うん。……その認識で合っている」 もう一度頷いて、歯切れが悪く返答をすると 
席に着いたウィスタリアを一度、二度と視線を送り 小さく咳払いをする。
ウィスタリア
「──、大丈夫ですか?」
少女は青年をじ、と見つめて
「基準よりも挙動が不審です。体調が悪ければ、次の機会を用意して頂くほうが良いと思います」
エスメラルダ
「外傷がある訳じゃない。気にしないでくれ」 軽く手を示して
ウィスタリア
「了解しました」 頷いて
エスメラルダ
「少し、緊張を……そう、緊張しているだけだ」
ウィスタリア
「危機感、不安感、焦燥感、その他負の感情というものを認知すると起きる現象ですね」
「なにか、脅威が近くにありますでしょうか」
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Innocence100%
エスメラルダ
「……そうだな、この緊張は」
「ウィスタリアが起因している事は、その通りだ」 苦笑してみせて
「なあ、ウィスタリア。俺が前に伝えた事を、覚えているか」
ウィスタリア
「自由に、身を処して欲しい。と」
「思うように、行動して欲しいと、お願いされました」
エスメラルダ
「そうだな、……そう言った。他には、どうだ?」
ウィスタリア
「もしもが起きる前に、身を退いて欲しい。冒険者稼業から引退して欲しいともお願いされました」
エスメラルダ
目を細めて、小さく頷いた。
「そうだ。……それに対するウィスタリアの返答も、覚えているか」
ウィスタリア
「──私の、好きにする、とお答えしました」
エスメラルダ
「……うん」
ウィスタリア
青年の目を見つめて
「その後の返答を、頂けていません」
エスメラルダ
視線には、少しだけ弱った視線を返したが
それは、すぐに普段のそれに戻る。
「その意思は、今も変わっていないか」
ウィスタリア
「肯定します」
エスメラルダ
「……未だ知らないものを、知りに行きたいか」
ウィスタリア
「肯定します」
エスメラルダ
「その途中で、自分が斃れる事があろうとも」
ウィスタリア
「──前提として、」
「どの職業に置いても、命の危険というものはあります」
「代筆後の配送作業中に事故に見舞われる可能性もあります」
「生きている以上、死亡する可能性を0にすることは限りなく困難であると考えます」
エスメラルダ
「ああ。……それと比しても、この仕事は危険だ、という事も承知だろう?」
ウィスタリア
「肯定します」
エスメラルダ
「……そうか」 視線を外して、少しだけ目元を緩め
言葉を切ると、ぼんやりと空を見上げ エメラルドの瞳が空を映し出す。
空を見上げながら、もう一度息を吐いて ウィスタリアに視線を戻す。
「ウィスタリア。遅れてすまないが、その時の返答をさせてくれ」
ウィスタリア
「──、」 青年の挙動を見つめて
「はい」
エスメラルダ
「自由にしろ、と言った割には 随分と、邪魔をしてしまったな」
「すまなかった。……ウィスタリアが望む様にしてくれ。好きに、ね」 声色は、普段のそれよりも柔らかく 暖かな熱を持っている。
ウィスタリア
「──、了解しました」 少女は淡々とした様子で言葉を返して 
どこか、ほっとした印象が薄くではあるが見てた取れた
ウィスタリア
見て取れた
エスメラルダ
「……」 そんな様子に、嬉しそうに笑みを深めて
「けれど、……一つだけ、いいか?」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「……何があっても、生きる事」
「生きようとする事をやめない事。……これじゃあ、二つだが」
「それを、忘れないでくれないか。どこにいても、何をしていても」
ウィスタリア
「それは、お願いですか」
エスメラルダ
「ああ、お願いだ」
「他には、きっと要らなかったんだ。……あの時、ウィスタリアが気を失った時にね」
「それだけでよかった筈の事を、忘れてしまったんだ。……だから、あんな事を」
ウィスタリア
「留意します」 頷いて
「発言は訂正することが出来ます。過去を反芻する必要はないと考えます」
エスメラルダ
苦笑してみせて 「そうだな。……もう、次はないよ」
ウィスタリア
「戦闘状況下で意識を失うということは、死亡とほぼ同義です。戦力的な価値を失わせたという点で、」
「戦列に並んでいた者としては、理に適った感想であると思います」
エスメラルダ
「違うな、ウィスタリア」
ウィスタリア
「誤りがあれば、訂正を」
エスメラルダ
「戦力として、ウィスタリアが気を失った事を案じているんじゃないんだ」
ウィスタリア
「──、」
エスメラルダ
「君自身が死んでしまう事が、……」 言葉が出てこない事に気付いて 目を瞬かせ
「嫌、……、違うな」 顎に手を当てて思案していたが、小さく頷いて
「怖かったんだ。ウィスタリアが死んでしまう事が、俺は怖かったんだよ。……心から」
ウィスタリア
「他者の死亡に、恐怖感を覚えるのですか?」
「──、」 少し考え込む素振りを見せて
エスメラルダ
「……だと、思うんだ」
ウィスタリア
「──であれば、より生死に近いこの職業は、向かないと考えます」
エスメラルダ
「はは、参ったな。向いていないのは、ウィスタリアよりも俺だったか」 笑みながら、ウィスタリアの返答に頷いて
ウィスタリア
「?。なにか、面白い事を口にしたでしょうか」
エスメラルダ
「いや、まあ、……案外否定しがたいと思ったくらいだよ」
「ウィスタリアは、近しい人……シュナと、もう会えないと思ったら、怖くはないか?」
ウィスタリア
「…‥、よく、わかりません」
「ただ、昨日、」言葉を切って 「シュナさんが元から所属していた場所に戻りたいと仰った時、」
「必ず手紙を届けに行きます、と口に出ました」
「その時の感覚が、近いのでしょうか」
エスメラルダ
「その時は、どう感じたんだ?」
小首を傾げて、ウィスタリアを覗き込む。
ウィスタリア
「──、必ず会いに行きます、と」
「そう思いました」
エスメラルダ
「……それは、会いたいから、だろう?」
「離れてしまっても、いつかは、って」
ウィスタリア
「…‥はい」
間をおいて少女は頷いて
エスメラルダ
「……死んでしまったら、どこに行っても会えなくなるんだ」
「そいつが居た場所を何度歩いても」
「話した場所に、何度戻っても」
「何処にもいないんだ。……手紙を出そうにも、宛先が解らない」
「それだけ遠くに、行ってしまうんだ」
ウィスタリア
「──、死者と生者には、大きな隔たりがあります」 頷いて
「ただ、報いる方法が無いわけではないのです」
エスメラルダ
「……報いる、方法?」 呆気にとられた様に、ウィスタリアを見つめて
ウィスタリア
「届かない言葉や思いを語る事ではなく……、ただその無念を晴らす事であると、教わりました」
エスメラルダ
「無念を、……」 言葉を切って 深く息を吐く。
「……」 「無念を晴らしてきた、のか?」
ウィスタリア
「いいえ。その方法を伺っただけです」
エスメラルダ
「……」 小さく安堵して
「そうだな。……そういう報い方も、きっとある」
「……けれど、もう会えない事には変わらないんだよ、ウィスタリア」
ウィスタリア
「──、届かない手紙は、どうすれば良いのでしょうか」
エスメラルダ
「……そうだな、大事に持っているか――
――……届くように祈って、送るしかないんだろうな」
ウィスタリア
「…了解しました」
エスメラルダ
「だからな、ウィスタリア」
「死なないでくれ。……何があっても、どこにいても」
ウィスタリア
「──、一つ、ご質問をしてもよろしいですか」
エスメラルダ
「ん、」 「何だろう」
ウィスタリア
「どうして、そう思われるのかを、伺っても良いですか」
エスメラルダ
「……」 「そうだな」
「ウィスタリアが、他の誰よりも大事だから、……だと、思う」
ウィスタリア
「大事」
エスメラルダ
視線を合わせて、言葉にして
「ああ。……そうだよ」
「な、何か……変か?」
ウィスタリア
「価値あるものとして、大切に扱うという意味ですね……何故ですか?」
エスメラルダ
「……ウィスタリアの事が、気になるからそう形容したんだ。怪我をしていたら気にかかるし、気絶した時は本当に怖かった」
「手紙を書いている時も、ただ歩いている時も、目で追ってしまうし」
「他人の生き方に口を出した事も、あれがはじめてだった。……大切だから、そう思ったり、してしまうのだろう、とな」
ウィスタリア
「──、よく、わかりません」 困ったように
エスメラルダ
「すまない。俺も、これが正しいとは思うんだが……」
説明が難しい、と続けて 小さく唸る
「……」 暫く沈黙して ウィスタリアを一瞥する。
ウィスタリア
「──……」 青年の視線を受け止めて
エスメラルダ
「そんな答えで、納得してくれるだろうか」
ウィスタリア
「シュナさんや他の方にも伺ってみます」
エスメラルダ
「む」 「俺がウィスタリアに感じている事を、か?」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「そうか。……解ったら教えてくれ」
ウィスタリア
「了解しました」 頷いて
エスメラルダ
「……そんな所だ。一度会って、伝えたかった事は」
ウィスタリア
「エスメラルダさん」
エスメラルダ
「生き方の事と、生きていて欲しい事と、……うん?」
ウィスタリア
「ご返答、ありがとうございました」
エスメラルダ
「いいや。遅れてすまなかった、ウィスタリア」
ウィスタリア
「お願いごとは、留意します」 小さく頭を下げて
エスメラルダ
「……また、同じ依頼に向かう時はよろしく頼むよ」
ウィスタリア
「はい」
席を立つと もう一度頭を下げて 「失礼します」 と挨拶すると 扉に向かって歩き出す
エスメラルダ
「……ウィスタリア」 自分も立ち上がると、その背中に声を投げかけて
「また、手紙を書くよ」 それだけ言って微笑むと、小さく手を振った。
ウィスタリア
振り返って 「お客様がお望みなら、何処へでもお届けします」 もう一度、お辞儀をして
そのまま扉をくぐっていった
エスメラルダ
その背を見送って、小さく息を吐き
快晴の空から吹いた風に、ゆっくりと目を伏せ 暫く、中庭で休んでいった。
エスメラルダ
こんなところか。お付き合いありがとう。
ウィスタリア
はい。此方こそ
それでは失礼致します。また
エスメラルダ
描写があればどうぞだ。無ければ格納しよう
お疲れ様。
ウィスタリア
問題ありません。それでは
!SYSTEM
ウィスタリアが退室しました

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