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先触れ②

20210216_0

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ニオが入室しました
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フェルが入室しました
ニオ
久しぶり
おまたせしたわ
フェル
ぐわっし
ニオ
やんやん
今日はニオは出てこないけど、よろしく、ね
フェル
はい
宜しくお願いします
ニオ
部屋にいくわ
宜しくお願いします
 
 
 
 
 
 
リアン地方、イルスファール王国 "星の標"
此処は、国内でも有数の冒険者ギルド支店として、その名を輝かしいものとしている
数多くの冒険者を揃え、高い依頼達成率を誇り、
国内外の組織・個人を問わず依頼が舞い込んでくる
その建物の2階から上は冒険者たちの定宿で、個人個人が部屋を持っている場合もあれば、相部屋の場合もある
その部屋は個人部屋で、部屋主は居たり居なかったりする
部屋主が過ごしている所で、来訪者は現れる
がら、と窓が開くと、するりと影は入ってきて 一つ息をついた
フェル
「─────」 あては無いけれども手がかりを、と、色々脚を伸ばしてみる日々。今日はたまたま宿に帰り休憩をとっていた日であった。
ベッドにごろんとうつ伏せになり、顔だけは入り口の方に向けてぼんやりとしていたが。
「?」 聞き慣れた音に、窓を──向くことはなく、テーブルに鎮座している使い魔の猫の視界を向け 「──!?」 がばっと飛び起きた
ニオ?
「──、ニオ(わたし)の記憶が正しければ、此方から、でしたね」
フェル
「─────」 がば、と飛び起き、ニオ?の顔をぱちくりと、目を見開いて見つめる。
ニオ?
「会うのは二度目ですね、フェル」
窓から離れて、椅子の一つに腰を下ろすと、家主を見上げて
「わたしは、今はイオンで通しています。以後お見知りおきを」 黒髪に赤い瞳 黒いフリルの少女は胸に手を当ててそう名乗った
フェル
「────」 何回も大きく瞬きをして、ニオの顔をずっと見つめたまま、ベッドから立ち上がってのたのたと近づくと 「───なにを、やってるんですか」 ぐい と両肩を抑えた
イオン
「──……」 されるがままに、両肩を押さえられて
「なにを、とは」 淡々と、目の前の少女と同色の赤い瞳に相手を映して
フェル
「──ニオ」 言葉を聞いているのかいないのか、そのまま腕を回して抱きつき
イオン
「──……あの子は眠っています」 抱きしめられる事を拒むことはせずに、言葉を重ねて
「……落ち着いたら言って下さい。時間に余裕は、それほどありません」
フェル
「分かっています。でももう少しこのまま──」 暫く抱きついたまま、何度か浅く呼吸を繰り返し 「───落ち着きました」 ゆっくり手を離して体も離すと、いつもの眠たげな目でイオンを見つめた
イオン
「──、」 一つ頷きを返すと 「明日、貴方達に指名の依頼が入ります。それを受けて下さい」
「オズマというヴァンパイア・ハンターからの依頼です。表向きの依頼は、とあるヴァンパイアの討滅です」
フェル
「────」
イオン
「わたしは、彼らと取引して、"青薔薇の双輪(ブルー・ツインズ)"、あの魔域で実験を行っていたヴァンパイア達の居場所を売りました」
「そして、その居場所に、わたし達に必要な薬のストックがあるのです」
「わたしも同行しますが、依頼の段階では居ることが出来ません。なので、先触れに参りました」
フェル
「必要な薬。わたし達とは、ニオと……あなた、イオンに?」 暫く頭の中で言葉を整理して、必要な箇所を読み取った
イオン
「わたし達も身体は一つですから」
「あと、2週間もすれば、禁断症状で力尽きます」
フェル
「………禁断症状」じっとイオンを見つめ
イオン
「"華"と取引できたのは、その分まででしたから」 見つめ返して
フェル
「……華。──分かりました。依頼は受けます」
イオン
「──、具体的には、飢餓状態が強くなり、衰弱し、苦しみぬいて死ぬようになっています」
「そう調整されていますからね」 と結んで
フェル
「そうはさせません」
イオン
「ええ、わたしもそのつもりはありません」
「だから、足掻いています」
フェル
「それで───その薬が手に入れば、終わり、というワケではないのでしょう」
イオン
「一先ずはそれで時間を稼がないといけません。そこから先は、また足掻きます」
フェル
「イオンは、何から足掻くのですか」
イオン
「──自らの滅び、死からです」
「わたしは限られた中で自らの生存に全力を尽くしてるだけです。そのためには、なんだって利用する」
フェル
「それは、何故?」
イオン
「──、恐ろしいから。だから受け入れました。なんでも」
フェル
「──そうですか。あなたは生きたいのですね」
イオン
「あの子とわたし、それぞれ相性が良かったのでしょう……わたしはわたしであることを受け入れた」
「まるで、自分が生きたくない様な口振りですね」
「あなたは、どうなのですか」
フェル
「私は、そういうのはどうでもいいんです。死にたいと思ったことは無いですが、死ぬ時は死ぬでしょう」
「ただまあ」
「私はニオが欲しいし、ニオと一緒にあなたも欲しい。そういう意味では死ねませんね」
イオン
「──、あの子は、ずっと"匙"を見つめ続けています。そして未だに、"匙"を求めている」
「そしてこの身体の主導権を握っているのは、ニオです」
フェル
「そうですね。知っていますよ。でも、だから何だというのです。奪うことなら、慣れています」
イオン
「──、もし"匙"と遭遇することがあれば、どうなるかは分からない。それが、わたしの懸念です」
「──、なるほど」
「では、期待します。そのために来ましたから」
フェル
「正直──あの吸血鬼の人格は今はどうなのかとか、どうやって脱出したのかとか、他にも聞きたいことは山程あるのですけれど」
「取り敢えずは、薬を入手しないとニオ達は死ぬ。そこが最優先、なのでしょう」
イオン
「彼女、は普段出てきません。あれはイレギュラーケースでしたから」 「わたし達が破れた隙きをついて、出てきたに過ぎません」
「脱出については、先程言った"華"、庭における幹部である、"匙"とは別の"根"の手引です」
「元々、"匙"からはわたし達は既に捨てられているので──っ、」 そう口にすると  僅かに表情を顰めて
「──、まったく」
「最優先事項はそれで変わりません。ええ」
フェル
「────」 今、ニオから抗議があったのだろうな、とか考えつつ
イオン
「ヴァンパイアたちの屋敷はユスにあります。オズマもそこに案内しようとするでしょう。わたしはユスで待機しますので、」
「また、会いましょう」
フェル
「───今日は、もう行ってしまうんですね」
イオン
「──わたしはニオ程上手くもありませんから。準備もありますしね」
フェル
「………そうですか。では、気を付けてください」
イオン
「──、では」 一つ頷くと 黒髪を揺らして窓から出ていく
フェル
「あ………」 その背中に、思わず伸ばした手が宙で固まり、そのまま暫し
「────」 そのまま目を閉じると、首を振って立ち上がり
装備一式をテーブルの上に引っ張り出して、点検を始めるのであった
ニオ
大丈夫かしら
フェル
はい。こんなところでしょうか
 
 
ニオ
ええ、そうね お付き合いありがとう、ね
頑張って、本番は
フェル
がんばります
ニオ
20210216_0 ログ番号よ
お疲れ様
フェル
おつかれさまでした
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フェルが退室しました
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