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- ウィスタリアが入室しました
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- エスメラルダが入室しました
- エスメラルダ
- 待たせた
- ウィスタリア
- 問題ありません
- エスメラルダ
- 描写は受け持とう 少しくれ
- ウィスタリア
- 了解です
-
-
- ――王都イルスファール、〈星の標〉。
- リアン地方でも名の知れたその冒険者ギルド支店には、多くの冒険者が登録し
- また、日夜様々な依頼へと赴いている。
- 内容は多岐に渡るが――
- 例えば、陽も落ち、静かになった店内のテーブル席についているこの男女などは、魔神の排除依頼を受けていた。
- 任地から戻り、報告を済ませ
- 即席のパーティが解散した後、少女は青年に名を呼び留められ
- こうして、テーブル席に付かされている――
-
- 机の上には、ひとつだけホットミルクが置かれており
- 少女の傍へとそれを置いた店員は 向かいに座る青年の様子を気にしながらカウンターへ戻っていった。
- エスメラルダ
- 少女の前に座っている青年は、ホットミルクが運ばれてくるのを見ると、しばらく閉じていた口をゆっくりと開いた。
- 「……飲みなさい」 普段よりも少し強張った声で言いながら、少女の傍に置かれたカップを手で示した。
- ウィスタリア
- 「──、」 少女の姿は人形めいていて、表情はない様に見える ただ、ごく少女と親しい者には分かるだろう
- 「──はい」 少女は、少し怯えている、と
- カップを手に取り両手で挟むと 一口飲む
- エスメラルダ
- (――やりづらい) 心中で小さく呟いた青年は、少女の様子は僅かながら理解できている。
そうさせているものの正体も、だ。
- ウィスタリア
- そのままゆっくりとカップを置き いつもならまっすぐ向ける視線を、青年の首元辺りに留めて
- エスメラルダ
- 口をつけた様子を見て、カップを置くまで待ち。
「落ち着いたか」 何とかそれを解そうとするものの、声はやはり強張ったままだ。
- ウィスタリア
- 「──、行動に支障はありません」
- 「有事の際は、即座に対応できます」
- エスメラルダ
- 「……」 「話があると言ったな」
- ウィスタリア
- 「──、はい」 視線を鎖骨の辺りにまで下げた
- エスメラルダ
- 「単刀直入に言う」 視線が下げられたのを見て、胸元に違和感を覚えながら言葉を続ける。
- 「配達業に、専念してはどうなんだ」
- ウィスタリア
- 「──、それは」
- エスメラルダ
- 「俺は、ウィスタリアに命令をする訳じゃない。それを出来る関係でも、立場でもないからだ」
冷淡に言葉を続けていき、青竹色の目には責める様にも伺えるほど、真剣さのみが宿っている。
- (窺える
- ウィスタリア
- 「──私では、戦闘単位として数に含まれないということでしょうか」
- エスメラルダ
- 目を伏せて、息を吐き。もう一度目を開き
- 「今回の依頼での戦闘においては、少なくとも二度の気絶を確認している」
- ウィスタリア
- ゆっくりと視線を上げていき、青年の目を窺うようにする
- エスメラルダ
- 「勿論、ほんの数秒のものだ。……だが、その数秒が何を意味するかは、解らない訳ではないだろう」
- 見知った色の瞳は、じっと少女を見据えている。
- ウィスタリア
- 一瞬怯むような様子を見せて また視線を下ろす
- 「──魔法に対する脆弱性は、魔符を準備することで対処は可能です」
- エスメラルダ
- 「今回は、」 声量を上げ、眉間に少しだけ皺が寄る。 「運が良かった。……ウィスタリアは、こうして生きている」
- 「魔符も、持っていなかった訳ではないのだろう」
- ウィスタリア
- 「近接攻撃に対する防御行動は問題なく行え──…」 なおも言い募ろうとして言葉を止める
- エスメラルダ
- 「……ウィスタリア」
- ウィスタリア
- 「──……私は、不要ですか」
- エスメラルダ
- 「……違う。ただ、君はこんな危険な仕事をしなくて良いんだ」
- 「配達の仕事も、代筆の仕事も、増えているんだろう」
- ウィスタリア
- 「……はい。仕事が増えていることは事実です」
- エスメラルダ
- 「冒険者の報酬も、使い切ってはいないな」
- ウィスタリア
- 「はい」 頷き
- 「………」
- エスメラルダ
- 「なら、……」 視線を向けて、様子を窺った。
- ウィスタリア
- 「……」 静かに、なにか言葉にしようとしているのだろうが、それが見つからない様子で
- 静かに視線を下に向けている
- エスメラルダ
- 「……もしも、が起きる前に」
- 「退く事も、一つの手だと。……そう、思っている」 下げられた視線に、言い辛そうに言葉を続けては
- そこで言葉を切って 彼女の返答を待つように、口を閉ざした。
- ウィスタリア
- 「──、し」
- 「知りたいことが、あるのです──」
- エスメラルダ
- 「……ああ。何が、知りたい?」
- ウィスタリア
- 「"いきなさい"、と"好き"を、知りたいのです……だから、」
- 「探すための選択肢を…狭めたくはないのです」
- エスメラルダ
- 「それを、探す内に」
- 「また同じ様な……、いや」
- 「……死んでしまっては。何にもならないだろう」
- 敢えて言葉にすると、ウィスタリアをじっと見やる。
- ウィスタリア
- 「………」
- エスメラルダ
- 「どうしても、というのなら」
- ウィスタリア
- 「──、」視線を上げて
- エスメラルダ
- 「俺もそれを探して、ウィスタリアに知らせると約束する。……それで、今は受け入れてくれないだろうか」
- ウィスタリア
- 「──…分かりました」
- 「ただ、シュナさんにもご相談させて下さい」 視線は、ホットミルクのカップに注がれて
- エスメラルダ
- 「……すまない。こんな話をする立場ではないと、わかっているんだ」
- ウィスタリア
- 「──、お預けします」 冒険者の身分を示すプレートを外すと、エスメラルダの前に置いた
- エスメラルダ
- 「シュナと、相談するのだろう」 置かれたプレートを見ると、視線を合わせて
- ウィスタリア
- 「……こうすることが、お望みではないのですか?」
- エスメラルダ
- 「……そうだな。それは、否定しない。ウィスタリアには、危険な目には遭って欲しくない」
- ウィスタリア
- 「──、配達をする際に交戦をする場合もあります」
- 「ただ、今は…こうするのが良いのだと、思います」
- エスメラルダ
- 「だが、」 プレートを押して、ウィスタリアの前に寄せた。
「言ったろう。これは、命令ではない」
- 「傷付いて欲しくも、命を落として欲しくもない。そんな、俺の身勝手な願いから来る、ウィスタリアへの提案……、いや、頼み事だ」
- ウィスタリア
- 「──、」 プレートを拾い上げて 「…了解しました」
- 「──、」 なにか言いかけて、そして飲み込んで
- 「…今日は、失礼します」
- エスメラルダ
- 「ああ。……ウィスタリア、最後に一つだけ」
- 「死ぬな。どこにいても、何の仕事をしていても……必ず、また顔を見せてくれ」
- ウィスタリア
- 「──…」視線を向けて
- エスメラルダ
- 「死んでは、いけない。……何があってもだ」
- ウィスタリア
- 「それも、願いですか?」
- エスメラルダ
- 「ああ。大切な友人なんだ、君は」
- ウィスタリア
- 「鋭意努力します」 今回も同行した少女に教わったのだろうか、見事な一礼を見せて
- エスメラルダ
- その返答に苦笑して
- 「引き留めてすまなかった。……それだけだ」
- ウィスタリア
- 「──失礼します」
- 静かに、席から離れていく
- エスメラルダ
- その背をじっと見つめながら、声はかけずに見送る。
- ウィスタリア
- いつもなら振り向く彼女は、今日は一度も振り返らずに階段の上へと消えていった
- エスメラルダ
- 「……、」 やがて見えなくなった少女から視線を外し、
- 「……」 瞼を下ろして 小さく額に手を当てて
- 瞼の裏にこべり付いた、少女を抱きながら叫ぶ兄の姿を思い起して ぐ、と唇を噛み締めた。
- エスメラルダ
- 以上かな
- ウィスタリア
- 了解です。お疲れさまでした
- エスメラルダ
- お疲れ様。準備から何までありがとう。
- では失礼する
- ウィスタリア
- はい
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- エスメラルダが退室しました