- !SYSTEM
- レノアが入室しました
- レノア
- ふう
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- アリエルが入室しました
- アリエル
- こんにちは、ママ。
-
-
- 三刃の魔竜事変の最中、魔域の崩落に巻き込まれて失踪したミリッツァの高位神官、“剣母”レノア・エマール。
- 彼女の帰還は、その娘、アリエル・エマールらの手によって為された。
- 救出されたレノアは命に別状はなく、記憶や精神にも大きな欠落はなかった。
- しかし、長期にわたって魔域に囚われていたこと、何よりも、その魔域の支配者が鏡像魔神の一種であったことから、彼女の身柄はしばしイーヴ神殿の預かりとなった。
- そうして、療養と監視の期間をあけて、ようやく、彼女は自由の身となった。
-
-
- レノア
王都イルスファール:イーヴ神殿前
- 「……ん、んー」神殿の建物から出てきて、久々の王都の街並みを目にすると伸びをした。別に物理的に拘束具を着けられていたわけではない。感覚的なものだ
- それから慌てて、門前の守衛にお世話になりました、とお辞儀する。
- すり替わりが発生していないかの確認の為、拘束中も家族や友人知人との面会の機会はあった。むしろ、本人確認の為、推奨されたほどだ。
- 当然、あの子は毎日欠かさずに会いに来てくれた。
- レノア
- ただいま、アリエルちゃん
- アリエル
- おかえりなさい、ママ。
- レノア
- 拘束の理由を考えると面会はきっとあった
- ただ、当然ながらあの話はとてもじゃないけれど出来なかったわね
- アリエル
- きっと、一緒にお仕事をした魔術師さんの、ある古い王国の本をもって
- それをお話したり、神殿でのことやご近所さんのことや宿の人たちのことを話したりしてましたね
- レノア
- 余人には明かせない複雑な事情を抱えた親子だけに、その会話は当たり障りのないものにならざるを得なかったが
- 自分が居なくなっていた間の話をするだけでも、飛ぶように時間は過ぎていった。
- アリエル
- そろそろでてきてもよきですかね?
- レノア
- 「ただいま、アリエル」 迎えに来てくれた娘に微笑みかけた。
- アリエル
- 「おかえりなさい、お母さん」鎧姿ではなく、秋らしい服装に身を包んだ少女は一見すると本当にただの少女である
- レノア
- 今日は一人で迎えにいくことになっていたのだろう
- アリエル
- 手には、パティスリー・メルヴィーユの袋がある。母親が戻ってくるお祝いに、購入してきたのだろう。
- イーヴ神殿の門の守衛にも、母がお世話になりました、と頭を下げる。
- レノア
- 「本当に、もう、すっかり秋なのねぇ……」肌寒さや、色づいた街路樹を見て改めて実感した、という様子で
- アリエル
- 「うん、メルヴィーユでも秋の限定チーズケーキが売ってたから買ってきちゃった」
- レノア
- 守衛に挨拶する娘を見て、すこし、背が伸びただろうかと思った。
- 「もしかして、かぼちゃのムース入りとか?」
- 「それとも、桃のコンポート入りかしら?」
- アリエル
- 「うん。お母さんも好きだから、って言ってすすめてくれた。…あ、でもちゃんと1日1個だからね?」普通のチーズスフレを買おうとしたら限定もすすめてくれてそれも購入している。そしてなぜか1個を強調する娘である。
- レノア
- 「……えっ」
- アリエル
- きっとこの娘は人の善意やすすめられると弱い
- レノア
- 「そう…」しゅんとする様は存外に子供っぽい
- アリエル
- 「…お母さん、前にベルトの穴、ちょっと無理に入れてたの私知ってるんだからね」ジト目
- レノア
- 「ち、違うのよ、あれは濡れて乾かしたらすこし縮んじゃって……」
- 「……はい」
- アリエル
- 「もう…ケーキは1個だけど、お母さんの好きなフレーバーの紅茶も家に用意してあるから、家に帰ったら、ね?」
- アリエル
- たぶん果物のフレーバーとかそんなのですかね?
- レノア
- 「わぁい」無邪気に喜ぶ様子は、あの魔域の中で見た5歳の頃の面影がある
- レノア
- そうね
- アリエル
- その面影にやっぱりアレは正しく母の記憶の再現であったのだ、と改めて思う。
- レノア
- そのやり取りは親子というよりは年の離れた姉妹のようで。
- アリエル
- ほら、帰ろう、と言うその娘の背中は先ほど感じたように、少し背が伸びて、記憶の中よりも大人っぽくなったかもしれない。
- レノア
- 「ええ」 そんな娘の背中を眩しさ半分寂しさ半分で見つめて、帰路へとついた
- アリエル
- レノアが持っていたであろう、着替えやら日用品やらが持った鞄を、はい、お母さんはこっち、とお菓子が入った袋と入れ替えて自分が持ったりもしただろう。
王都イルスファール:我が家
- アリエル
- もうお母さんもいい年だから重い荷物は私が持つと思うわ?
- 筋力が…ほら…。
- 王都の壁内にあるエマール宅はこじまんりとしたものだ。
- アリエル
- お掃除はしてあるわママ。でもきっとママほど細かいところに気づけていないわ
- 夫の失踪に伴い、ユディスに構えていた家を引き払い、母娘二人、越してきた住まいである。
- 久々の我が家の空気を胸いっぱいに吸い込む。腐敗集などはしない。きちんとゴミの後始末などはしているのだろう。
- レノア
- 「……」アリエルに先行して玄関を無言で通り過ぎると、振り返って
- 「おかえりなさい、アリエル」
- アリエル
- 「…ただいま、お母さん」
- 何度も何度も繰り返されてきたやりとりではあった。だいぶ間はあいてしまったが。
- レノア
- 「……」自分が居ない間、この家に独り帰ってくる娘の気持ちを想うと、胸が痛む
- あの時、そうせざるを得ない状況であったとしても、自分はこの子の手を離してしまった。独りにしてしまった。
- アリエル
- 「お母さん、荷物は部屋まで運んでおくから、整理お願いね。その間にお湯沸かしておくから」イーヴ神殿ではよくしてもらったとはいえ、常とは違う環境にさらされ、疲れているであろう母に休んでもらいたい気持ちもあり、自分が整理を担当してもよいが、さすがに親子とはいえ私物がある。ここは本人に任せた方がいいだろう。
- 代わりにお茶を淹れるのは自分の役目である。
- 前ならば全てレノアに任せるか、自分一人でやると言っていたであろう娘。先ほどの荷物の件もそうであるが、この娘の中で、あの魔域の出来事の前と後で、明確な心境の変化があったことが感じ取れるだろう。
- レノア
- 「ありがとう。じゃあ、そうさせて貰うわね」そんな自分を今も母として慕い、気遣ってくれる娘の変わらないところと変わったところ、両方を実感しつつ
- 居間を抜けて、私室へと向かう。今に飾ってある自分とオライオンが寄り添う肖像を見て、一瞬、足が止まった。
- レノア
- 指輪は、まだ返してもらっていないかしら
- アリエル
- まだ返してもらっていないですね。でもお部屋にちゃんと置いてありますよ。
- レノア
- 「……」無意識に左手を握り込んだ。そこに指輪はない
- レノア
- わたしにはもうつける資格がないのでは・・・
- レノア
- 小さく首を振り、私室へと向かった。
-
-
- アリエル
- 少し描写もらってもよきですか?
- レノア
- どうぞどうど
- レノアの私室は、彼女が留守にしている間も娘が掃除していたのだろう、綺麗に整えられていた。
- いつでも帰ってきていいように、そう考えていたことが見て取れる。
- 壁にかけられた若かりし頃のレノアとオライオンの肖像もそのままである。テーブルの上の花瓶には花が活けてある。
- 違うところと言えば…テーブルの上に置かれた小箱と、娘が添えただろうメモである。
- レノア
- 「……」小箱の表面に指を這わせてから、メモに手を伸ばした。指先は少し震えていた。
- アリエル
- 『お母さんへ。借りていたお父さんとお母さんの大切な物は返します。お父さんがお母さんに送った指輪です。冒険の時は持ち歩いてましたが、綺麗にしてあります。お父さんがお母さんに送った大切な物なので、お母さんが持っていてください。アリエル』
- 娘はあの魔域の前で父、オライオン・エマールと邂逅し、あの魔域で再現とはいえ、父がどれほど母を大切にしていたかを知った。
- ゆえに母が戻ってきたのならば、それを持つべきは母であると、そう結論付けるのは自然な事であった。
- レノア
- 「……」震える手で小箱を開けた。小粒のダイヤモンドをあしらった結婚指輪がそこにある。
- 16年前、あの牢獄から助け出され、心も救ってくれたあの人から贈られた指輪。
- 一緒に幸せになろう、という誓いはほんの僅かな間しか果たせなかったけれど、
- ダイアモンドの宝石言葉は「強い絆を結ぶ・永遠の絆」である。ある意味、その宝石を選んだのはあのオライオンらしい選択とも言えるだろう。
- 『生まれてくる子供がなんであろうと構わない。お前の産む子ならお前ごと愛する、これは俺の子だ』
- レノア
- 「……っ……ッッ」指輪を握り締め、声を押し殺して泣いた。
- 「……あなた……あなた、レオン…れお……っ」無理だった。もう、気持ちも声も抑える事などできない。
- ずっと、彼を探し続けて、もし、彷徨っているのならな自分の手で還そう。そう誓って生きてきた。
- 母親を続けながら、ずっと、その日が来るまでこの指輪をよすがにして。
- そして、あの魔域から助け出されたとき、再会は果たされた。
- 望んでいなかった思っていた通りの形で。
- 望んでいなかった思いもよらない結末と共に。
- 母娘二人でも手狭な家だ。慟哭の声は届いてしまうだろう。
- 昔ならばひとりで泣いていたのだろう、声を押し殺して、あるいは、漏れてしまう慟哭と共に。
- 昔はそれをただ見ているだけだった。
- 母に声をかければ、母に気を遣わせ、母を傷つけてしまうのではないかという恐れを言い訳にして
- 家族から目をそらし続けた。
- ただ、もう、子どもではない。それに、きっと、あの人なら、母が愛した父なら
- アリエル
- 「お母さん」
- レノア
- 「あぁ……っ…ああああぁぁ……っ」もはや声を憚ることなく泣いた。子供のように泣きじゃくっていた。
- それは、もう泣いても大丈夫だからだと分かったから。
- アリエル
- 手を伸ばして、昔、母がそうしてくれたように、父が母をそうしたように、ギュッとその身体を包んだ。
- アリエル
- 直接返さなかったのは
- 多分直接返しちゃうと
- レノア
- 「…あり、える……あ、…うあぁ…っ」娘に抱き締められ、泣いた。
- アリエル
- 母親の顔で泣けなかったかなあ、と
- 悩みましたけどこうしました
- レノア
- 大正解よ…
- アリエル
- ぽむぽむ、と母が昔そうしてくれたように、そしてきっと父もそうしたように、ただ抱きしめて、背中にふれた。
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- IT'S THE RIGHT TIME47%
- アリエル
- あの時受け止められなかった母親の悲しみを受け止めようと、受け入れようと。
- …レノア・エマールの悲しみを。
- レノア
- 「……ごめん、ね……ごめん、なさい……」謝罪の言葉は、母として振舞えないこと。母として接し方を間違い続けてきたこと
- ずっと、家族に隠し事を続けていたこと。軽蔑され、嫌われるのが怖かった。
- あの男の血を引くこの子を、疎んで憎んでしまうかもしれない自分が怖かった。
- 彼が自分の子だと言ってくれたから、自分はこの子を愛さなければいけなかった。
- 「アリエル…アリエル……」彼と一緒に考えた考えた、その名を呼ぶ。
- アリエル
- 「…お母さん、私はいつだってお母さんの娘だよ。お母さんがこんな風に泣いても、お母さんが自分に自信がなくても」
- レノア
- 「…あり、がと…う……ごめん、ね……もう少し、だけ…こうさせて…」
- アリエル
- 「…これからいっぱい喧嘩するかもしれない、もしかしたら傷つけるかもしれない、でも、私はもう」
- 「家族から逃げないよ」
- 「うん………おかえりなさい、お母さん」
- レノア
- 「………」家族から逃げない、その言葉に含まれる意味を感じ取って抱き締める手に力を込め、
- アリエル
- その家族、には、母の事、姉の事、父の事、そして…血がつながったあの男のこともある。
- レノア
- 娘に抱かれたまま何度も頷き返すのだった。
- レノア
- 一旦場面を変えるとしましょうか
- アリエル
- Okです
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-
-
-
- しばしの時を経て、居間のテーブルの上には林檎の薫りを漂わせた紅茶とチーズケーキが並んでいた。
- レノアはあの後、泣き腫らした目元を化粧で整えてきた。今までのように隠す為ではない。
- 気持ちを切り替えたことを示す為にそうした。
- レノア
- 「まぁ、とっても良い薫り」その切り替えが娘の淹れてくれたお茶の香りを存分に楽しむ余裕を与えてくれる。
- アリエル
- 「同じ冒険者の人に聞いて、ちょっと奮発しました」ふふふん。なお趣味がいい茶葉を知らないかと唐突に尋ねられたのが亜麻色の髪の誰かであったかもしれない。
- レノア
- 「誰かを相手に練習したのかしら。ねぇ、お家に呼んだりとかはしたの?」わくわくとした様子で
- アリエル
- 本人たちは否定するかもしれないがこの唐突な発言で人を振り回すのは実にこの親にしてこの子ありである。
- 「色々教えてもらったからお礼は考えてる。おうちには呼んでない」家に呼ぶという大事にするとうえええええという表情をされそうなので今度恋人さんと食べてもらえるようにお礼の焼き菓子でも贈る予定である。
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- March Comes Like A Lion OST - Night Sky of July100%
- アリエル
- 仮にえなちゃんまんなら、エレナ → エナ → アリエル という順番で紅茶の情報はきそうだなとはおもいました、まる
- レノア
- 「……あぁ、そうなの…」あ、これは本人の色恋関係ではない、と察してしょんぼり
- レノア
- エレナの場合、コスパという情報が抜けてそうなので
- エナはコスパや入手経路を含めたうえで落とし込んでくる
- アリエル
- その様子に母が何を期待したのかは察せられる。孫の顔というがまだ15歳である。ただ悲しいかなそういう気配は皆無である。ただそれを言うとキャロちゃんの時と同じように見合い写真でも持ってきそうなので言わぬが花である。
- レノア
- 「うん、お友達を呼ぶなら好きに使っていいのよ」
- 「なんなら、お母さん、神殿にでも泊ってくるから」
- アリエル
- 「そこまでしなくていいよ…呼ぶ予定が具体的にあるわけじゃないし…」
- 「ちゃんとその時は相談するから」
- レノア
- 「……」目をぱちくりして
- 「ふふ、じゃあ楽しみにしているわ」
- アリエル
- 神殿の人も突然お母さんが泊まるって言ったら困っちゃうでしょう、ともっともらしい理由も無論あるが。
- 「…だからお母さんも」
- 「何かしたいことがあって、私が関わってるなら、相談してね?」
- レノア
- 「?」私?という風に小首を傾げ
- 「……ええ、今度からは、ちゃんとそうするわ」
- アリエル
- 「お母さんだって唐突に行動するもん…」なおこれが自分にもあてはまることであるのはぴんときてない娘である。
- どこかの黒髪のナイトメアや亜麻色の髪の乙女が聞けば呆れたような目を向けられるかもしれない。
- レノア
- 「えぇ…? そんなにかしら…?」自覚があまりないようなのは母娘揃ってのようだ。
- フレアから身を隠させる為に義弟のハイジアに身柄を確保され、フレアの魔域、そしてあの魔神の魔域では囚われの身で、帰ってからも一時的に拘束されていた。
- レノアの認識では概ね受け身の状況だったわけだが、その中でとった行動が唐突かつ無茶なものであったことは、直接かかわった人間ならば思い知っているだろう。
- 「でも、皆には随分と迷惑をかけてしまったわね……何かお礼が出来れば良いんだけれど」
- アリエル
- 「ガルバさんも現役時代のお母さんにはふりまわされたって言ってたもん」なおそれがのちにガルバにどういう結果をもたらすかまで至らないのがこの娘である。
- 「うん…お母さんが戻ってきたときに、いろんなところは回ったけど…」なお軍のオライオン及びハイジアを慕っていた人たちにいたっては囲まれて質問されたところをリーズが散らしたという場面もあったかもしれない。
- レノア
- アリエルはもちろん、フェルやハンス、オーア。リーズをはじめとする夫や義弟の部下や同僚たち、エナ達、それはそれはたくさんだ
- アリエル
- 「お母さんが帰ってきてから、また、改めて挨拶に行くのは考えてた」
- 「それに…お母さんときちんといっぱい話したいの、私だけじゃないし」
- 本当であれば姉のフレアもそうだったが…事情が事情である、ただ今は難しくとも
- レノア
- 「……あ、あはは」 思わず乾いた笑みが漏れた。いつもの余裕ぶった笑みではない、素のレノア・エマールの笑みだ
- アリエル
- レノアとフレアも話をして、向き合える時間を少しでも作りたいとは、思う。
- レノア
- 「……あの子は、どうしているのかしらね」 みんなの事を思えば、当然、もう一人の娘、フレアの事も思わずにはいられない
- アリエル
- 手近なところで真っ先に浮かぶのは、あの黒髪のナイトメアである。彼女と母はきちんと話をしなければならないと、そう、思う。
- レノア
- 蛮族達の社会で生きていけるのだろうか、誰か頼れる相手はいるのか、怪我や病気はしていないか、心配は尽きない。
- アリエル
- 「…大丈夫よ、お母さん。姉さんには連絡してほしいことは伝えてあるし…もし、姉さんが何かに困ってる様子だったら」
- 「一緒に会いに行こう」
- 姉の危機にはあの男が関わってるだろうとは思われる、もしそのようなことがあれば、ガルバも情報が入ればすぐ知らせてくれるだろう、とは思う。
- レノア
- 「……」簡単に言ってのける娘にポカンと口を開けた。フレアが身を隠すとすれば蛮族領域だろうし、連絡をつけるにしても、まずフレアがこちら側と接点を得るのさえ苦労する筈だ。
- そういう諸々の苦労や困難を知らない……筈がない。分かったうえでそう言っているのだろう。
- アリエル
- 存外このさらっと簡単に言ってのける部分は、もしかしたら
- レノア
- 「そうね、私達は家族ですもの」
- アリエル
- 寡黙で頑固で情熱的だった父親に似ているのかもしれない。
- レノア
- 「あの子とも、まだあまり話せていないの」
- 「私の事は随分と知られちゃったみたいだけれど」恥ずかしそうに
- あの魔域が創り出した鏡像は自分の過去をほぼそのままに映し出したものだった。取り込まれ、囚われている間、自分も見せられてきた。
- アリエル
- 「…私、あの魔域で姉さんと少しの間だったけど、話したの」
- 「私がね、どうして鏡を割ってる姉さんをあの魔神は止めなかったんだろうって言ったら」少し笑みを浮かべて
- レノア
- 「! そう…、その、喧嘩とか……」
- 『奴はあの女になりたいんだ。だから、私達を害したりはしない』
- レノア
- 「……あの子が、そんな事を……?」
- アリエル
- 「…姉さんは、確かに、お母さんについて、複雑な感情を抱いてる、とは思う。姉さんにとって、不安な部分もまだまだあると思う、でも」
- 「姉さんもお母さんの娘だっていうのは、姉さん、わかってると思う」
- レノア
- レノアの写し身である魔神が、自分を傷つけない事を信じるということは…つまり…
- 「……あなたは、あなたは、それでいいの? アリエル」
- あの時、結果としてアリエルではなくフレアを選んだ自分と、叔父のハイジアを殺したフレア、そこにわだかまりはあるはずだ。
- アリエル
- 「…姉さんが犯した罪は消えない、それは私もわかってる」
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- RAM WIRE 『僕らの手には何もないけど、』15%
- アリエル
- 「…でも、私も姉さんの事を、まだ全然知らないそのままでいたくない」
- 「知ってどうなるって姉さんにも言われたけど、私は」
- 「傷つけるかもしれない、喧嘩をして、言い合いをして、お母さんが心配するように、戦うことにもなるかもしれない、でも」
- 「私は姉さんを…家族を見ないことをしたくない」
- レノア
- 「……あの時、あなた達が戦うことになったのを見た時……罰を受けたんだって思ったわ」
- アリエル
- その目は真直ぐなものである。その結論に至るまで、アリエルが悩んだであろうことはレノアにもわかるだろう、だが。
- レノア
- 「あの人を裏切ってしまったこと、ミリッツァ様を恨んだこと、あなたに嘘を吐き続けてきたこと」
- アリエル
- 言い出したら聞かないその質が、誰に似たのかは言うまでもないことである。
- レノア
- 「私が目を逸らしてきたことに、あなたはちゃんと向き直ることが出来るようになったのね、アリエル」
- 「強くて、まっすぐで、本当に、あの人にそっくり」
- アリエル
- 「うん。私は…レノア・エマールとオライオン・エマールの娘だもの」
- レノア
- 「……あの人と会ってみて、どうだった? 私が言った通りの人だったでしょ?」
- アリエル
- 「すごくかっこよかったよ、真っすぐで、情熱的で…ふふ、昔のお母さんも目丸くしてた」
- レノア
- 「……言い出したら聞かないって、よく言われたけど。あの人の方こそ、だわ」
- 「結局、いつも折れるのは私の方だったんだから」
- アリエル
- その言葉に笑みが漏れる。
- レノア
- 「あなたが“エマール”なのだって、そう」
- アリエル
- 「うん」父が私を実の娘として認め、愛してくれたことは手紙でも読んだ。
- レノア
- 「私は……エマールの家の血を残してあげられなかった」
- 「でも、心だけは……あなたが継いでくれたわね」目尻に涙を浮かべて
- アリエル
- 「お母さんとお父さんの娘だもの、だから」
- ひと呼吸おいて、あの時のオライオンと同じように、真っすぐに
- 「私もお母さんやお父さん、叔父様が残した物を背負いたい、ううん、背負う」
- レノア
- 「……」本当はこの因縁を背負わせたくなかった。オライオンやハイジアもそうだった筈だ
- アリエル
- 「これはお父さんとお母さんの娘だから、だけじゃない」
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- アリエル
- 「私が、アリエル・エマールが決めた、女神への誓い」
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- Parasyte - Next To You (Anime Version)23%
- レノア
- 「……戦うつもりなのね、彼と」
- アリエル
- 「たとえ血のつながりがあり、実の父であろうと、あの男は私の家族を傷つけ…魂をも弄んでいる」ぐっとテーブルの下でこぶしを握る。
- レノア
- 黒髪のドレイク、ボルドー。オライオンの仇であり、フレアとアリエルのふたりの姉妹の父親だ、
- アリエル
- 「私はあの男から家族を取り返す」それはフレアとオライオン、そして…レノアのこともある。
- レノア
- 「……」薬指にダイヤモンドの指輪をつけた左手を自分の胸にあて。強く握り締め、目を瞑った。
- アリエル
- そしてそこに至るまでの困難さも、承知の上である。
- レノア
- 「違うわ、アリエル」目を開けて、指輪をはめて左手を娘へと伸ばした。
- アリエル
- 「…?」
- レノア
- 「私達で、取り返しましょう」
- 「残した荷物なんかじゃないわ、私はまだそれを捨ててなんかいない。捨てるものですか」
- アリエル
- 「…うん」その手を止めずに、どこか先ほどの母と同じように、少し涙が浮かぶのは悲しみからではない
- レノア
- 伸ばした手はじっとりと汗ばんでいて、少し指先が震えている。
- その手を取れば、母を、レノア・エマールを再び戦場へと引きずり出すことになるだろう。
- 母からの全てを奪ったあの男との戦いにだ。
- アリエル
- 昔の自分であるならば、その手を拒絶し、自分だけでやると言い放っただろう。ただただ母を守りたくて、傷つけたくなくて。
- でもそれは、震えながらその言葉を発したレノア・エマールへの侮辱であると、もう、わかっている。
- 娘は母の手を取った。
- 「ありがとう、お母さん」
- 「…私が最初に女神にした誓いは、皆を守りたいっていう誓いだった、それは今でも変わらないでも少し変わったの」
- 「…私は皆を守って、支えたい」
- 「ただ守るだけじゃなくて、一緒に、共に戦いたい」少しだけ手に力がこもる。
- レノア
- 「『弱きものを守り育てよ』『愛と、優しさと、強さを胸に宿せ』」ミリッツァの教えを口にした
- アリエル
- そう思ってはいたけど、全然、その意味をわかっていなかった。
- わかろうともしなかった。
- レノア
- 「皆、弱きものなのよ、私達は」
- 「愛も、優しさも、強さも、独りでは足りないから胸に宿すの」
- 「お互いに育んで、守り合う。それは本当の意味」
- 「……心から理解するのは、本当に難しいものね」
- 自分もそうだ、と言わんばかりの、苦みを含めた微笑みで同意を求める
- !SYSTEM
- BGMを削除 by レノア
- アリエル
- 「…うん」
- 「私も、答えが出るのに、時間かかっちゃった…」
- レノア
- 「むぅ」
- 母がぷっくりと頬を膨らませた
- アリエル
- 「お、お母さん…?」
- レノア
- 「私は30年以上かかっちゃったんだけどなぁー……アリエルちゃん、そういう風に虐めるのね……」
- 「でもね、5年とか10年とかあっという間なんだから、アリエルちゃんだってウカウカしてたら、あっという間に私みたいになっちゃうのよ?」
- アリエル
- 「…お母さんみたいになりたいところとなりたくないところはともかくとして、それはそれでいいかなぁ」はは…。今この娘なりたくないところと言ったぞ
- レノア
- 「えぇぇ……」
- アリエル
- 「仕事してたらあっという間だし…」おい今仕事と言ったぞ
- レノア
- お話的にはひと段落着いた感もあるけど
- アリエル
- このくらいですかね
- レノア
- もう少し突っ込んで話をする? 割と区切りがいいとは思う
- アリエル
- このあたりでいいんじゃないですかね、ひとまずは
- レノア
- 「……分かる、分かるわよ、それは、私もそうだったし」
- アリエル
- たぶんこのあとレノアが見合い写真持ってこようかしらとか考えたり
- お母さん2個目…!とか
- そんなふうに終わりそうな感じは・
- レノア
- 「ルシェンカの遺跡深層を攻略したりとか、ニデア山を登ったりとか、現役の時は本当に駆け抜けるみたいで」
- アリエル
- たぶんここからたくさん向き合う時間自体はあるでしょうし
- ひとまず言いたいことは言えたので、こちらは大丈夫です。
- あとは…フェルお姉ちゃんとかハンスお兄ちゃんとかオーアお姉ちゃんとかガルバさんに
- お任せですね
- レノア
- 「……復職して、ちょっと思い出しちゃったくらいだもの」
- アリエル
- 「うーん、だから私もお母さんくらいの年齢まで冒険者続けてそうだなあ…って」はは…。
- 実際叔父様は現役でずっと騎士を続けていらしたし…
- レノア
- 「だからこそ、あなたも今のうちに佳い人を見つけておくの。言っておくけど、私は冒険者になる前から相手がいたようなものなんですからね」」
- アリエル
- 尚この娘、この発言が言外に仕事一筋でいくなどということになっているとは気づいていない
- レノア
- 「そりゃあ、ちょっと回り道もしたけれど」
- 「大事な事です、大事な事だわ、ええ、将来家族になる人ですもの」
- アリエル
- 「そういうのはご縁っていうのであってね、お母さん…」
- レノア
- 「縁は作るものよ。そうだわ、メルヴィーのとこの若い職人さんに……」
- アリエル
- しめましょうか
- レノア
- ええ
- アリエル
- いきまーす
-
-
-
- 時間がかかってしまったが、母と娘は互いに知らなかった部分、知っている部分についてこの後も話を続けただろう。
- 外から見れば他愛ない姉妹の喧嘩のようにも見えるかもしれない。互いに譲らない部分も出てくるかもしれない。
- だがこの親子にとっては、コレがこれから一番必要な時間なのである。
- 時を経てようやく向き合い始めた親子のこれからは困難な道もあるだろう、が。
- 互いに歩む道にいるのは一人ではなく、家族がいると、そう、もう互いにわかっているのである。
-
-
-
- アリエル
- お疲れさまでした。
- 長い時間ありがとうございました(平伏
- レノア
- お疲れ様です
- 良い会話がでけた
- アリエル
- ママからも引き出せてアリエールの決意も言えて
- 親子が向き合い始めることができたな、とは思います
- レノア
- うむ
- では、また夜に!
- アリエル
- はいーありがとうございましたー
- お掃除やりまーす
- !SYSTEM
- レノアが退室しました