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幕間

20200920_0

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ウィスタリアが入室しました
 
 
 
 
 
 
 
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BGMを変更 by ウィスタリア
Unspoken Words100%
 
リアン地方、イルスファール王国 "星の標"
此処は国内でも有数の冒険者ギルド支店としてその名を輝かしいものとしている
数多くの冒険者を取り揃え、高い依頼達成率を誇り
国内外の組織・個人を問わず、依頼が舞い込む
夕刻もとうに過ぎ、酒呑みたちが賑やかに店内の一角を騒がしくしている
そんな状況で、静けさを保つ様にして 食事を摂る疎らなテーブル席の客に混じって
一つのテーブルで封筒を二つ、白紙の紙と羽ペン、辞書等を置いて 姿勢正しく座っている少女が1人
ウィスタリア
「──……」 窓際の席。昼が追いやられ、まだ端が明るい闇色の空の中に浮かぶ、霞がかる月を眺めて
金色の髪に、青い瞳。白いブラウスに黄緑色のスカートの少女は、言葉通り人形めいており、そのままじっとしていれば、等身大の人形と言われても信じるものがいただろう
 
少女は、月を暫く眺めた後、そのまま視線を紙面に落とす
二つの手紙、二つの想い。彼女が会話の練習や字の練習よりも、懸念すべきこととして認識しているのは、封筒に収まった手紙の内容だった
ウィスタリア
「──、」 彼女は頭で考えても、理解が難しいので、手紙を更に文字に落としてみようと思ったのだ
封筒から手紙を取り出し、広げる 同居人であり、指示者でもある、シュナという少女から自分あての手紙だ
 
かりかりかり、と紙を羽ペンが引っかく音が、酒呑みたちの笑い声に混ざって彼女の耳朶を打つ
ウィスタリア
体調の確認、生活状況の確認、睡眠の心配、食事の心配、注意書き、紙面に詰め込むと言うより、書ける限りを尽くした様子の手紙を整理していく
内容だけを吟味する。 羽ペンを一度持ち上げて
文字を連ねた紙を持ち上げる
内容だけを考えれば、自分の生活的な意味合いの水準は低評価を受けており、指示者たるシュナに負担がかかっているという風にもとれる
ただ、そうではないという事は、少し。分かるようになってきていた 分かると言うより、知った事によって、推測が可能になってきたという方が正確だ
「──ですがやはり…」 負担であるという事実は揺るがないのではないか、と客観的に判断を下さざるを得ない
 
紙を紙束の隣に置くと 新たに文字を書き始める
ウィスタリア
負担にならないためには、言語分野以外の習熟が必要であると判断せざるを得ず
現時点でこなすことが可能であると考えられる 生活にまつわる技術について一つ一つ記載をしていく
項目を上げていくと、次に習熟に必要な方法として学習先を検討するように 書籍の調達先や人物名を記載してく
キルヒア神殿、ビッグボックス、夢幻の塔、シュナ、へーレム、カルロス、テンリョウ、ベイル、ヴィクトール ──、
──リコ、パロット、そしてエスメラルダ
 
目標と、現状、そして相談先をリストアップした彼女は一つ頷くとシュナの手紙を整理した紙の上に リストを載せた
ウィスタリア
「──、要検討です」 小さく呟くと
次の手紙を広げる
ウィスタリアへ から始まる手紙
断りから始まる手紙 決して、美しいと言える字ではないのだとしても 少女は手紙の字を細い指でなぞる
 
──いつか、手紙と願いは似ていると言っていた事を覚えているだろうか。
ウィスタリア
覚えている。自分が口にした言葉。今でも、その感想は変わらない
──相手次第で受け取られない事も、届かない事もある。
その通りだと思う。実際、住所のご記載、宛名不十分で戻される手紙は配送中にもあった
ウィスタリア
誤記載
 
──それでも出されない事がないものが手紙で、だからこそ願い事と手紙は似ているんだと。
ウィスタリア
一番多かったのは、ユディスに向けた手紙で、戦死しており、届けようがない場合というものだ
それでもやはり、手紙は出され、そして託される
 
──だから、俺も最初の手紙に願い事を載せてみようと思う。
──受け取られるかも、届くかもわからないが、それでも思ってしまうことだから。
ウィスタリア
「…それでも、思ってしまうこと」
「届かなくても……受け取られるか分からなくても」 小さく呟いて 続きをなぞる
 
──ウィスタリアは、自由に生きてくれ。
──命令に縛られず、自分の望むままに生きて、選んで欲しい。
「──…‥」 此処で、毎回。悩ましさを覚える
ウィスタリア
自由に生きる事。命令に縛られないこと。自分の望むままに生き、選ぶ
「──矛盾、しているのです」 命令に従う事を望んで生きることは、自由ではないのだろうか、と思う
 
『──命令って、結構重たいんですよ、ウィス』
ウィスタリア
「……」 口にしたことを、改める
「自分で考え、行動することが自由…‥・と定義するべきでしょうか」
「……」 目を瞑って 考える
脳裏にちらつくものがあって、それが、何処かが思い出せない
それが、何なのかを思い出せない
 

─── いきなさい ───
 
ウィスタリア
「──……」 
ウィスタリア
ちょっと中断です
再開します
ウィスタリア
「──、」 指が止まる
であれば、この命令とも願いともつかない。記憶に残るこの言葉は
私に対して、投げられたこの言葉は 従うならば縛られ、抗うなら死ぬ。或いは留まる他ない
「──自由」 文字を端に綴ってみる
自分には過ぎたものなのではないかと、思う
私にとってそれは、良いものなのか…それとも悪いものなのか
ただ、私が自分について、考えるほどに、シュナさんやエスメラルダさんは喜んでくれる様子だ
「──」 心配 という文字も綴る
どうされたいのか、どう思われたいのか
自分の目的である、言葉の意味の模索と 人との関わり
その両方を考えると 少しずつ混沌としていく
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エスメラルダが入室しました
ウィスタリア
少々お待ち下さい
エスメラルダ
ああ、わかった
 
 
────て、──
 
ウィスタリア
「──……」 不意に頭を抑える 何か、聞こえた気がする
混沌とした中で 疼く感覚を脳裏に味わう
 
 
───めて、──
 
ウィスタリア
「──……」 思い出せそうな気がする、何かを
「──……」 でも、何を…?
 
 
──やめて、来ないで──
 
ウィスタリア
「──え…?」 
 
少女は顔を上げる 此処じゃない何処かを見ているかのように 何処か遠い目をして
ウィスタリア
「──……」 放心したかのように 宙を見つめて
羽ペンの先がかたん、と音を立てて 椅子の下に転がった
ウィスタリア
描写は続けますが、いつでも入ってきて大丈夫です
エスメラルダ
早朝に依頼から戻り、そのまま寝こけて――過眠による頭痛を覚えながら階段を降りる、その途中で。
見知った少女が、机についているのを見かけた。
声を掛けようとして、口を開きかけて――随分と乾いた声が漏れてしまうことに気付き、それを閉じる。
 
少女の右手は指先から徐々に震えて 無意識に左手で右手を抑えるようにして胸の前で手を合わせる そのまま顔を俯けていく
エスメラルダ
カウンターの店員に、ホットミルクを二つほど頼んで。
立てられた音に視線を向けながら、普段とは異なる様子に目を細めると――二つのカップを手に持ちながら、そっと彼女のテーブルへと近寄った。
「……ウィスタリア?」 
ウィスタリア
「──……」 丁寧に書かれたリストや手紙、そして考え事を纏めていたのか幾つか書かれた単語の羅列 そうした紙や声をかけてくれた男性の顔が見えてない 声が聞こえてないかのように 小さく体を震わせている
エスメラルダ
「ウィスタリア。……どうした?」 もう一度名を呼び、視界の隅に移る様にそっと手を振って見せて。
机の上に広げられた紙面には意図して視線を向けず 少女の瞳を、そっと眺める。
ウィスタリア
「──……」 そうして手を振られれば、その手の動きに合わせるように顔が上げられて 瞳に光が宿って居ないように感じられる程冷たい瞳がエスメラルダの方を向いた
 
だが、それも一瞬のことで 
ウィスタリア
「──…‥エスメ、ラルダ、さん?」 徐々に瞳に光が戻っていく様に 小さく呟いた
エスメラルダ
「大丈夫か。……何かあったのか、傷か?」 その眼を覗き込みながら、続けて言葉にして
「ああ、俺だ。エスメラルダだよ」 呟かれた言葉には、頷いて応える。
ウィスタリア
「………」 周囲を確認するように、視界を2,3度左右に振って
「──……怪我などではありません。身体には影響は無いと思われます」 
エスメラルダ
「そうか、……様子が、普段とは異なるようだったから」
ことん、と 音を立てて、少女の前にホットミルクのカップを置いて、それを示す。
「……どうかな」
ウィスタリア
「…‥いただきます」
「……よくは、覚えてないのですが」 ホットミルクを見つめながら
「……何かを、見ていた気がするんです」
エスメラルダ
小首を傾げながら、ウィスタリアの言葉に頷いて。
「……何か、か。夢でも?」
ウィスタリア
「……類似しているものとしては、そうなります」 エスメラルダに頷きを返して
エスメラルダ
「いいかな」 普段通りに、対面の席を示して 
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
席に着いて、カップを置き。テーブルの上のものを一瞥すると、困った様に視線を逸らす。
ウィスタリア
「──……状況の整理中でした」 紙束の方に視線を向けて
エスメラルダ
「状況、か?」
ウィスタリア
「はい」
「自由…というものを改めて」
エスメラルダ
「……そうしている内に、夢を?」
ウィスタリア
「夢…そうですね、」不思議そうな表情をして 「何か、聞こえた気がして」
エスメラルダ
「……」 それを問おうか悩んで、先程の様子を思い出し 
「思い出している、のかもな」

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