幕間:フィオリエナとソフィアヴ
20200904_0
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- フィオリが入室しました
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- ソフィアが入室しました
- ソフィア
- お待たせしました。
- フィオリ
- いらっしゃい
- 最終的にソフィアは今どこに身を寄せている事になったんだっけ
- ソフィア
- 多分モーラのところにしばらく預けられた。
- 今はもしかしたらほししべに一人で部屋を取ったかもしれない。
- フィオリ
- ソフィアからこっちを尋ねる事はあまりなさそうだし、フィオリから様子を見に行った感じが自然かなと
- ソフィア
- そうだね。
- フィオリ
- 最近取ったあたらしい部屋を尋ねる感じでいいかな
- ソフィア
- だいじょうぶ。
- フィオリ
- じゃあこっちから適当に描写していこう
- うおおおお
- ソフィア
- お願いします。
- うおおお
- #
- ――とたとた、と、階段を上がる音が軽く響いている。
- 〈星の標〉の二階。長く続く廊下の左右にいくつもの扉が並ぶ。ほかの冒険者の店と同様、この店を拠点とする冒険者向けに、部屋を提供してもいるのだ。
- 時刻は、午後のお茶の時間というところ。最近みなを悩ませている暑さも、きょうは少し和らいだようで、穏やかな日差しが窓から差し込んできていた。
- フィオリ
- とたとたと、階下から上がって来たのは、黒衣の少女だった。
- 長い銀髪を二つ結びにしている。猫を思わせる金色の目は、いまはどこか、軽い緊張を帯びているかのように見える。
- 「――……」 少女は、手に提げていたバスケットに視線を落とした。布が掛けられ、その中身は外からは分からない。
- 溜息をひとつ。
- 『彼女』は、部屋にいるだろうか。いたとして、どんな反応をするだろうか。良かれと思って用意したが、考えてみれば、わざわざ手土産なんて、いかにもあざとい。これではご機嫌を取りにきたみたいだ。かえって逆効果ではないだろうか――
- などと。
- 考えても仕方のないことだ。そう分かっていても、考えてしまう、それが彼女の性であった。
- 「……大丈夫、大丈夫」
- 思考を無理矢理切って、フィオリは目的の部屋の前へと歩いていき
- 深呼吸をひとつ。
- コン、コン、と。控えめにノックをした。
- ソフィア
- ノックの音に返ってきたのは、声――ではなく、がたん!と家具が揺れた音と、何かを落としたような音。
- フィオリ
- 「 」 固まる。
- ソフィア
- 部屋の主は来客など予想だにしていなかったのだろう。そのままがた、がたと音がしばらく響いて……ようやく、気配が扉へと近付いてきた。
- フィオリ
- 「――……ええと。ソフィア……さん。わたしです、フィオリエナです」
- 「すみません。急に尋ねてきてしまって」
- ソフィア
- ――誰?という問いかけるよりも先に答えが返って来て、中でまたびくっと身体を竦ませた気配がした。
- 「…………どうしたの?」 何か用があったかを尋ねるというよりは、自分が何か悪いことをしただろうかと、恐る恐る確認するような声色。
- フィオリ
- 「………」
- もちろん、人はそうすぐには変わらないと分かってはいた。だから、扉の向こうで、ソフィアがどんな表情をしているのか、容易に想像ができた。
- 「――モーラさんから聞きました。ひとり立ちする為に、冒険者になったって」
- ソフィア
- 「…………」 扉を挟んで、こくりと控えめに頷いた。 「……私にできるのは、そのくらいだから……」
- フィオリ
- 努めて明るい声を出す。 「――それで、そのお祝いにでも、って思って。丁度休日だったので。イルスファールで評判の、ランドラーズというパン屋さんの、新作アップルパイです」 しっかりしろフィオリエナ・ウル・シール、ぎこちなくなっているのがバレバレだ。
- 「甘いものが嫌いじゃなければいいんですけど」
- ソフィア
- 「……お祝い……」 つぶやいてから、しばらくの間が置かれる。聞き間違いでなければ―― 「……私、の……?」
- フィオリ
- 「はい。階下でお茶も淹れて貰ったので、良かったら」
- ソフィア
- 「……」 甘いものというのは、先日の仕事の途中で分けてもらったクッキーのような味だろうか。あれは確かに少し幸福感を感じられるものだったように思う。それを持ってきてくれたというのなら、彼女が自分を祝ってくれるというのは、本心と思っていいのだろうか。
- フィオリ
- 降りた沈黙はそう長い時間ではなかったはずだが、扉の向こうでは何を考えているのかもわからない。
- ソフィア
- 「……うん……」 彼女は優秀な魔術師だ。妬みや嫉みもあれば、畏怖の念もある。
- ドアノブに手を掛けて、それを一度下げてから持ち上げ……また少しの間を置いてから、意を決したようにゆっくりと扉が開かれ――隙間から、おどおどとした紅い瞳が覗いた。
- フィオリ
- 「………」 どうしよう、もし出てきてくれなかったら、扉の前に置いていこうか――と、そんな思考すら巡らせていると。そんな時だ、扉が開いたのは。
- 「――こんにちは」 できるだけ自然に笑えていればいいなと思う。
- ソフィア
- 「……こ、こんにちは」 目が合った後、すぐに俯いて、顔が黒い前髪で隠れた。 「……あの。どうぞ……」 俯いたまま、扉をもう少し開くと、フィオリエナを中へと促す。
- 部屋の中には、まだ殆ど調度品がなく、ベッドに机に棚と、備え付けのものだけがある状況だ。
- フィオリ
- 「ど、どうも……」 礼を言ってから、部屋の中へ足を踏みいれる。
- ソフィア
- 「……う、うん。え、っと……あの、どうぞ」 何を言えばいいかわからず、同じ言葉を繰り返して、とりあえず椅子を引いた。
- 「……ここ、座って」
- フィオリ
- 部屋に備え付けの机の上に、バスケットを置いた。
- 「ええと、はい。座ります」
- ソフィア
- 「……ごめん、なさい。誰か来るとは、思ってなくて……何も……」
- フィオリ
- おそるおそる間合いをはかるような気分。ちょこん、と勧められるままに椅子に腰かける。
- 「べつに、何も言わずに突然来た方が悪いですから。――ではなくて、気にしないでください……」
- 咄嗟につい強めの口調になってしまうのを、自己嫌悪するようにふにゃりとさせて
- ソフィア
- 「…………」 備え付けの椅子が2つあって助かった。もうひとつの椅子を引くと、遅れて座って。 「……悪いなんて、そんな。……来てくれるのは、嬉しい、から」
- フィオリ
- 「――あ。そうでした。お土産」 ぱん、と手を打つと、バスケットにかけられた布をするりと外した。半ば縋りつくような気分である。
- バスケットの中には、暖かいお茶をいれたポットと、ふたつのカップ。そして、買ってきたアップルパイが入っている。紅茶の芳香と、パイのこうばしい香りが、ふわりと漂った。
- ソフィア
- 手を打つ音にびくっと耳と尻尾が動いて、匂いの漂ってくるバスケットへと目を移した。
- 「…………」 すん、と無意識に鼻を鳴らすと、お腹が空いてきそうな匂いが鼻腔をくすぐった。 「……これが、さっき言ってた……?」
- フィオリ
- 「はい。新作アップルパイだそうです。……どこがどう新作なのかは、菓子の専門家ではないので分からないですけど」
- 「でも特にイルスファールの若い子には人気だそうで。……実際、お菓子を買うのに、並ぶという経験をしたのは生まれてはじめてです」
- ソフィア
- 「アップルパイ――」 名前を聞くと、表情が暗いものに変わった。まだ妹が才能を開花させる前、父と母が自分を見限っていなかった時に、母が焼いてくれたことがあった気がする。味なんて、微塵も覚えていないけれど。
- フィオリ
- 苦笑しながら、借りて来た皿の上にパイを取り分けて――
- ソフィア
- 「…………」 ふつふつと暗い感情が湧いてきて、目の前の少女の声が耳に入らなくなっていたが――少しして、はっと顔を上げた。 「……あ……ご、ごめんなさい、少し、ぼうっとしてて……」
- フィオリ
- 「―――。もしかして、苦手ですか」
- ソフィア
- 「……う、ううん。苦手じゃない……と思う。……その、妹はよく食べていたみたい、なんだけど……」
- フィオリ
- 「………」 深くは追及せず、静かに言葉を聞きながら、紅茶を注ぐ。
- 「苦手でないのなら、良かったです」
- 「ひとりで食べるには多いですし、体重計が怖いことになってしまうので」
- ソフィア
- 「……その……フィオリエナさんは、好き、なの?」 顔を見るのは憚られて、紅茶を注いでいる手元を見ながら、訥々と尋ねる。
- 「体重……」 そういえば、もっと食べた方がいいと言われた気がする。
- フィオリ
- 「―――」 ソフィアの方をちらりと見て、ふっ――と悪戯っぽく笑った。 「いえ。――ああ、いえ、私も苦手というわけではなくて。あまり食にこだわらない人ばかりの環境にいたもので」
- 「こっそりと、食べるチャンスを伺っていました」
- ソフィア
- 「……こっそり食べて、怒られなかったの?」
- フィオリ
- 食べるのはこれからですけどね、と笑って、「いいえ。別段食べても、だーれも気にしなかったでしょうけど。……というより、私自身、ボソボソの味のないパンを何の疑問もなく齧っていたので。」
- ソフィア
- 「……そう、なんだ。……私とお――」 なじと思わず口に出そうとして、慌てて声を止めた。 「おかしいね。……フィオリエナさんは、魔法がちゃんと使えるのに」
- フィオリ
- 「――おかしくないです、何も」
- その声には、制御された怒りが込められている。それは、ソフィアを取り巻いていた環境に向けての感情だ。
- ソフィア
- 「……そう、かな。……魔法がちゃんと扱えるなら、贅沢をしても、我侭を言っても、怒られないのに」
- フィオリ
- 「………」 彼女のことを思えば否定すべきなのだが、しかし、すぐには否定できなかった。確かに、フィオリの身の回りにも、そういった風潮はある。連綿と。
- ソフィア
- 「……あ、の……ごめんなさい……。私……変なこと、言っちゃったかな……」
- 沈黙に、機嫌を伺うように心配そうな上目遣いで顔を見てから、目を逸らした。
- フィオリ
- ゆっくりとかぶりを振り、「――まだ、すぐにはピンと来ないかもしれないけど、」
- 「ここは、あなたが今までいた環境とは違います」
- 「魔法が使えるかどうかは、魔法という武器をひとつ、持っているというだけ。剣の扱いが上手であるとか、誰よりも感覚が鋭いとか、それらとおんなじです」
- 「――冒険者として、もう仕事はしました?」
- ソフィア
- 「……それは……」 この前の仕事でも感じたことだ。あの時だけだったとしても、味方、仲間だと扱ってくれて、必要だとも言ってくれた。
- 「…………」 それでも、周りには魔法が使える人も多くて、あくまで私はそのサポートに回るという形だったけれど。
- フィオリ
- 「――……」 少女は穏やかな表情で、辛抱強くソフィアの言葉を待つ。
- ソフィア
- 「……この前、一度だけ」 魔法も他の“武器”も同じだという言葉には頷けなかったものの、続く質問には首を緩やかに縦に動かして答えて。 「……その時は、周りの人たちのために、戦ったの……」
- フィオリ
- 「………」 こくり、と頷き。
- ソフィア
- 「魔法を使える人たちに比べたら、全然……だったけど……。周りの人たちは、……私のことを、必要としてくれた」
- フィオリ
- 再び、頷く。 「――これは、私もここへ来て学ばされた事ですが、」
- 「冒険者という人種は、すごく凸凹なんです。得意も不得意もまるで違う、性格も出自もいろいろな人たちが集まって―― はたから見たら、……いえ、そうでなくても、寄せ集めの集団なんですけど」
- 「凸凹な人たちが協力し合うからこそ、多くが同質の人間の集まりである、軍隊やギルドにはなし得ない事を時にやってのける」
- ソフィア
- うん、と声には出さずに頷いた。出自は聞いていないけれど、性格も見た目も個性的な人たちばかりだった。……自分の 普通の基準が、偏っている部分もあるだろうが。
- フィオリ
- 自分も、ここへ来たばかりの時は、それに反発すら覚えたものだけれど――
- 「自分が出来る事を、仲間のために差し出す――そういった事が、ここでは良い事とされているみたいです」
- 話が長くなった、と。こほん、と咳払いをして、「――ですから、魔法がどうとかは関係ありませんし、」
- 「とっ、友達とお茶をするのに、特別な理由は必要ないでしょう」
- 「――……」 噛んだ。みっともない。痛恨の極みである。
- ソフィア
- 「…………」 そう、この前出来ることなら何でもすると言った時も、反応は悪くなかった……と思う。 「……そのつもり。……周りの人たちが、私を必要としてくれるなら、私は……何でも、する。魔法が関係ないかはわからないけ――ど……」
- 答えた後、自信なさげな伏し目がちの瞳をぱちぱちと瞬かせた。 「…………友、達」
- 「……あなたと……、私、が……?」
- 「…………」 あの魔域から連れ出された直後も、似たような言葉を聞いた。その時は、まさか彼女たちがそこまで本気で言っているとは思えなかったけど。
- フィオリ
- 「……図々しいですかね」 ううん、と唸る。
- 「であれば、お近づきの印ということでもいいです。ゆくゆくは、ということで」
- ソフィア
- 「……そっ、そんなことない!」 思わず机を叩いて立ち上がり、普段より大きな声が出た。
- フィオリ
- こう言う事には慣れていない。いたたまれない気分で目を反らしたが――
- 「!」
- ソフィア
- 「……あ……」 自分でも予想外の声が出て、いたたまれなくなったのか目を逸らしてすぐに座り直して。
- フィオリ
- 「ど、どうも」
- ソフィア
- 「……ご、ごめんなさい……。その……」
- 胸の前で手を握って、目を泳がせる。 「……私なんかで、いいなら……」
- フィオリ
- 「――……」
- フィオリはというと、ソフィアの顔を見つめて
- ふ、と柔らかく笑った。
- ソフィア
- 「え、っと…………」 ちらちらと、目を泳がせながらもフィオリエナの様子を見て。 「私……なにか変なこと、言った?」
- フィオリ
- いいえ、と、ふるふるとかぶりを振って
- 「お互い、慣れない事でたいへんですね」 と、冗談っぽく言った。
- ソフィア
- 「……フィオリエナさんも、慣れてないの?」
- フィオリ
- 「あいにく、友人と呼べる人が少ないもので」
- つん、と澄ました顔で言う。
- ソフィア
- 「……じゃあ、私、……その貴重なひとり、なんだ」 胸の前で指を合わせると、それを気恥ずかしそうに小さく動かしながら、目を細めて微笑んだ。
- フィオリ
- 「そう言う事になりますかね」
- 澄ました表情を少しやわらげ、「――では、私の事はフィオリと。フィオでもいいです」 近しい者はそう呼びます、と。
- 「私もソフィアと呼びますので」
- ソフィア
- 「……え」 顔を上げると、フィオリエナを見ながらまたぱちぱちと目を瞬かせて。 「……う、うん……。じゃあ、フィオリさん……ううん、フィオリ……」 敬称を払って言い直すと、確かめるようにその名前を繰り返した。
- フィオリ
- 「はい。ソフィア」 と、返して
- 「……うん。いいですね。他人行儀をやめるだけでも、距離が縮まった気がします」 なるほど。うん。
- ソフィア
- 「……うん。フィオリのためなら、何でもするから……何かあったら、遠慮なく、言ってね」
- フィオリ
- 「――……」 ――おや?
- ソフィア
- 「……? どうしたの?」
- フィオリ
- あまり女の子が、何でもするなんて、そうそう言ってはいけない気がするけれど。
- 「……いえ」 まあ、よいでしょう。
- 「それじゃ、まずは食べましょう。パイは冷めても美味しいそうですけど、紅茶の方は冷めてしまってはもったいないので」
- ソフィア
- 「……そうだね。折角用意してくれたんだから……美味しいうちに、いただかないと」
- フィオリ
- 「です」 と少し笑って、持ってきたフォークを渡してあげる
- ソフィア
- 「……ありがとう」 両手を伸ばしてフォークを受け取ると、それを胸元に抱えてもう一度嬉しそうに微笑む。 「……それじゃあ、いただきます」
- フィオリ
- その笑顔を見て、良かった、と胸に暖かいものを感じて
- 「はい。いただきます」 と、自分もフォークを取って、食べ始めるのだった。
- フィオリ
- だいたい話したい事は話せたきがする
- ソフィア
- そうね
- フィオリ
- ~さん呼びしている人も変えたほうがいいのかなあとか思うフィオリ
- ソフィア
- 心の距離を縮めていけ……
- フィオリ
- 何でもするからという言葉に、一抹の不安を覚えるプレイヤー
- ソフィア
- まだ何でもしないと駄目って思ってるだけで危なくない。ほんとだよ
- フィオリ
- よかった。やったあ
- ソフィア
- ともあれこれで友達になれました。
- フィオリ
- ちょいちょい様子を見に来るようになりそうです
- CCありがとう!
- ソフィア
- こちらこそありがとう。
- 真人間への道はまだまだこれからだ!
- )))
- フィオリ
- 真人間坂は長い
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- ソフィアが退室しました
- フィオリ
- またよろしくおねがいします
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- フィオリが退室しました