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幕間:ニルとゾール

20200608_2

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ニルツェが入室しました
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ゾールが入室しました
ニルツェ
ばしょは
ゾール
ばしょは
ニルツェ
部屋でいいか
ゾール
お部屋にしましょ
隠者(ハーミット)――またの名を、プロメーテウス。
ティーヴァやアテナ、“糸”や“華”――エリスアーテと同じく、遠い昔に滅んだ国、アトランティスに縁をもつ美しい青年だ。
ニルツェとゾールソモーンに、アインヘル、イルミエ、ライナスをくわえた5人は、〈星の標〉を訪れた彼に導かれるようにして、ニデア山の某所に潜む、とある人物――あるいは現象と邂逅した。
ただ“観測者”と呼ばれる『それ』は、竜であり、少女であり、ラクシア中に分体を持ち、世界のバランスを観測する機能であった。
“観測者”によって、ニルツェに刻まれた“魔神紋”と、ゾールたちが持つ“アルカナ”の持つ可能性を知った一行は、〈奈落の剣〉との戦いに一筋の光明を見る。
その道は、易しくはない。水が落ちるのが自然であるように、それは堕ちるよりも格段に厳しい、苦難の道だ。
しかし、ニルツェたちはその道を行く事を決意した。“観測者”は、そんな彼らのことを、世界の眼で観測し続ける。いつか必ずやってくるであろう、その時が来るまで。
 
 
ニルツェ
冒険から帰ってきて、色々な後始末を済ませると、ニルツェは部屋に戻ってそのままベッドに倒れ込み、泥のように眠った。
――……」 目を醒ましたのは、翌日、太陽も高くなった正午頃の事だ。
これほど深く眠ったのは久しぶりな気がする。伸びをして、ふぁあ、と欠伸をひとつ。ベッドを降りると、カーテンと窓を開けはなった。
ニルツェ
いつでもどうぞ。
ゾール
おっと。
ニルツェ
心地よい風が、外から吹き込んでくる。
ニルツェは窓枠に肘をついて、下に見える通りを行きかう人々と、すっかりと見慣れた街並みを眺めた。
ゾール
紅茶の入ったポットと、カップとソーサーを2つずつ載せたトレーを両手に持ち、階下から歩いてくる。
こうするのもいつぶりか…… ディニスでも自分を落ち着けるために淹れたりはしたが、
ニルツェ
日に透かすように右手を伸ばす。その手の甲には、禍々しい印象を与える“魔神紋”が、いまも変わらず刻まれている。
ゾール
このように友人の部屋へとお邪魔しようとするのは、体感ではもっと昔のことだったように思えた。
部屋の前に辿りつけば、トレーから片方の手を離し、その扉をノックした。
ノックしてから少し間を置いて、
「ニルツェ……居る?」 控えめに、扉越しに声をかけた。
ニルツェ
「ん……」 窓から離れて、 「はーい。いるよー」
「ちょっと待って!」 床に散らばっていた着替えをベッドの下に蹴り込み、
ゾール
「入ってもい  ……」 危ない。
ニルツェ
冒険から持ち帰って、ベッドの上に放り出してそのままにしていた鞄を、所定の位置に放り込んで
ドアの鍵を解除して、扉を開いた。「おはよう。……って、もうおはようって時間でもないか!」
ゾール
「正午ね」
「おはよう……ということは、さっき起きたばかりだった?」
ニルツェ
「お」 ゾールの持つトレーを見て、 「いい香り。なんだか悪いね、入って入って」
「ははは、まあそんな所」
ゾール
ううんと首を横に振って、「お茶菓子とかは持ってきてなくて。……お邪魔します」
促されれば、中へと踏み入った。
相変わらずの部屋の様子だが、特に気にした様子はない。
ニルツェ
「お茶菓子って程ではないけど、保存食の中にビスケットがあったかな…… あ、あった」 鞄の中をごそごそやって、残っていたビスケットを持ってきた
ゾール
ゆっくりとテーブルにトレーを置き、カップとソーサーを配置し直し、ポットから紅茶を注ぎ始めた。
ニルツェ
ゾールには椅子をすすめ、自分はベッドの端に腰かけて
「昨日はお疲れさまだね」
ゾール
「じゃあ、小腹は適当にそれで満たして」
「お疲れ様……と」
注ぎ終わってトレーにポットを戻し、椅子に座った。
ニルツェ
湯気のたつ紅茶を、ふーっと軽く吹いてから、口を付ける。香りと味を楽しみながら、一口二口と飲んで
――まずは、一歩前進、かな」 「……いや、一歩も進んでないか、まずは、どっちに向かえばいいか分かったくらい――かな」 ははは、と歯を見せて悪戯っぽく笑うのは、いつものニルツェの笑顔である
ゾール
「進んでる、どんなわずかでも、ちゃんと」
そんな笑顔に対して笑みを返すわけでもなく、よくニルツェを見据えて言葉を返した。
ニルツェ
「だといいけど、ね」 と肩をすくめて
「プロメーテウスから話を聞いて、“観測者”の所へ行って…… ここに来て一気に、色んなコトが頭の中で結び付いた気がするよ。今まで見てきた事、やってきた事、色んなコトが」
ゾール
「少しは……落ち着けた?」
ニルツェ
「かなり、ね」
「少なくとも、自分が魔人(ばけもの)になってしまうんだって…… 何も分からずに、ただ怯えて悲観して、そんなところからは、ずっとずっとマシになったよ」
ゾール
ディニスに居た時も気を揉んでいたことなので、良かったと、強張った表情を和らげて、少しは胸を撫で下ろした。
ニルツェ
「……聞いたよ、ディニスの方じゃ大変だったんだって?」
ゾール
「まあ……国が巻き込まれていたから」 うん、と。
ニルツェ
「奇跡的にディニスに大きな被害は無かった――って言う話だけど」
紅茶を一口飲み、カップを下ろして
ゾール
「数だけで言うなら、そうね」 少し瞼を下げて。
ニルツェ
「……アルベルトが亡くなった、っていうのも聞いた」
ゾール
「……」 小さく頷き返した。
ニルツェ
「そっか。本当なんだ」
「いつものらりくらり飄々としてて、何だか、殺されても死ななそうな人だったのに」
ゾール
「……」 言葉が出てこない。
「彼なりに……蒼穹(そら)を取り戻すために戦い続けてきて」
ニルツェ
「………」少し目を見開いて、ゾールを見つめる。
ゾール
「最期まで他人の心配をして、奈落の底の底へと、眠ったわ」
ニルツェ
「そう」 「〈奈落〉の底――か」
それだけで、ある程度の事を察するだけの経験が、彼女にはあった。
「でも、きっとやるべきことをやったんだね、アルベルトは」
ゾール
「ええ。一人で、十二分に……」
「可能性というのも、彼が……示してみせてくれた」
ニルツェ
「………」話を聞けば聞く程、なぜ自分はそこにいなかったのか、と思ってしまう。しかし、それを目の前の友人に言ったところで、仕方のないことだ。
ゾール
「ニルツェも一緒だったなら、感じ取れることも違ったと思うけど……」
「どれだけ猶予が縮まってしまうかもわからない。そういう意味では、結果的に今の状況で良かったと……思う」
ニルツェ
「ありがとう、そう言ってくれるだけでもちょっと気が楽だよ。気ぃ使わせちゃってごめんね」
ゾール
「それは、私こそ……その……」
「そういう言葉を言わせて……ごめん」
ニルツェ
「あはは、お互い謝りあっちゃって。ヘンなの」 ぱたぱたと手を振り
「可能性――そう、可能性ね」 先ほどゾールが言った言葉を口にする
ゾール
「……」 誤魔化すように紅茶を口に含む。
ニルツェ
「あのさ、変な事を聞くようだけど」
ゾール
「変な……?」 カップから顔を上げて
ニルツェ
「ゾールんは、いいの?」
ゾール
数度目を瞬かせる。 「何……が?」
ニルツェ
「“観測者”がいってた、条件だよ」
「“紋”を良いものに変えるためには、ニルと親しくて、“アルカナ”を持ってる人――ゾールんが、“塔”を覚醒させる必要がある……とか、なんとかいう、あれの事」
「ゾールんと別れてる間、私も私なりに色々調べたんだ」
「“紋”を消す方法が無いわけじゃない――でもそれには、〈奈落の剣〉を使って誰かに“紋”を渡さなくちゃいけない」
「それってつまり、誰かを犠牲にしなくちゃいけないってコトじゃん」 「そう思って、他の方法を探してたんだけど、八方ふさがりでね」
ゾール
「……」 その方法をニルツェも知ったかと、一度目を伏して。
ニルツェ
「でも、“観測者”に教えてもらったこの道も、ある意味同じでさ」
「ゾールんを、この先たくさん危険な事な目に合わせる事になる」
ゾール
「既に決めたことよ」
「ディニスへと出立するずっと前から」
「ニルツェを助けるって」
ニルツェ
――……」
ゾール
「その意思は変わらない」
ニルツェ
ベッドの端から腰を上げ、ゾールの方へゆっくり歩いて
外から吹いてくる風が、ふたりの身体をやさしくなでていく。
ゾール
近づくニルツェを見やる。
ニルツェ
親友の目に映るニルツェ(じぶん)は、笑っているような、泣きそうなような、何とも言いがたい表情をしていた。
――何で、そこまで良くしてくれるのかな」
「いいのかな。こんなに良くしてもらって」
ゾール
「………」 そんな複雑そうな顔で、戸惑いの言葉を口にする友を見て、自分も迷ったように下唇を軽く噛む。
「ニルツェにとって、大したことじゃない……かもしれないけど」
「貴女は私の、初めての友だから」
「親しい者が、今まで居なかった私の……」
ニルツェ
ふわり、とゾールの髪を風が揺らす。
ゾール
「……かけがえの、ない……って、初めて思えた……」 端々に恥ずかしさを見せる口ぶりで
ニルツェ
いつの間にか、ゾールの身体に手が回されていて。
「大した事ない、わけないじゃん」
ゾール
「っ……」 強張った身体の感触が、ニルツェの手に伝わる。
ニルツェ
「ニル、こんなに良くして貰うのはじめてなんだ。ここへ来て、ゾールんや、皆に出会うまで、ずっと、こんな事なかったから」
「だから、慣れてなくてさ。自分の事だとつい、いいのかな、って怖くなっちゃうんだ」
「でも――」 体に回した腕が少し強くなって
「……ありがとう」 「(ニル)にとっても、かけがえのない親友だよ」
ゾール
落ち着かない様子で瞬いて見返して、一度口が一文字に結ばれる。顔に熱を感じつつ、そこからもごもごと複雑に波打った形をとって、それを隠すように、ニルツェを自分の方へ腕で押しやった。
「違う、けど……同じような、ものだった、のかな」
ニルツェ
人を(たす)けることに躊躇がなくとも、自分が(たす)けられることにためらいを覚えてしまう。そういう所が、彼女の中にはある。
「そうかもね」 ゾールの耳元で控えめな笑い声。
ゾール
「役に立ってみせようと思うことの方が、強かったと……自分では思うのだけど」
「明確に、助けたいと思えたから」
「……」 やはりうまく紡げない。
ニルツェ
ゾールの沈黙に、彼女の内心を察したように優しく、
「大丈夫。伝わってるよ」
ゾール
「……失いたくない」 貴女を、ここをと。ニルツェの首に顔を埋めて、自分も自然と、腕に力が入った。
ニルツェ
――……」 ぽん、ぽん、とゾールの背中を叩いて
生きている。お互いの体温に、頬をくすぐる髪に、その実感を噛みしめるように感じて
――と。
そのとき
ゾールの傍――ニルツェの身体の中から、くうぅ、と言う可愛い音が聞こえた。
ゾール
――……」 ダイレクトに伝わってくる――
ニルツェ
「………!」 ゾールの肩を掴み、ぐいっと引き離して
娘の顔は、珍しいくらい分かりやすく赤くなっていた。
ゾール
さっきの複雑に波打った口元のまま引き離されて、微妙に赤らんだ顔で対面した。
ニルツェ
「あ」
ゾール
「び」
ニルツェ
「あはははは………」
ゾール
「ビ……ビス、ケットじゃ……たりない、よね」 そうねと
ニルツェ
「そういえば、ニル、まだ今日何もちゃんと食べてなかったや……」 そういえばお昼でした……
ゾール
口元を直すように両手で一度隠しつつ、カップを片付け始める。
微妙な口元は直っていない。
その上、口の端が小さく痙攣を見せている……
「ゎ……私も、お昼は……まだ、だから」
ニルツェ
「よし」 誤魔化すように、ぱん、と手を打って 「一緒に食べに行こう、ね!」
ゾールが必死にこらえている姿に、やけっぱちになって「……っておぉい、笑うなら素直に笑ってくれていいよ! もう!」
ゾール
「ん、ふふ……ふふふふふ」 そう言われて、背を向けて身体を震わせてる。
ニルツェ
「~~~~」
それはそれでいたたまれない。ぐぬぬ、と歯噛みして、
まだ片付いていなかった分の食器をひょいと取り上げる。「先に降りちゃうからね!」 お昼は混むから早くいった方がいいのだそうだ
ゾール
「ふふふ、うん、ふふ」 「そうして……んん、少ししたら、行くから……!」 笑いを落ち着かせようと、顔を平常に戻そうとはしている。
あまりにも正直な身体の反応がツボに入ってしまったのだ。
ニルツェ
すぐには収まりそうにないゾールの様子に、
「……もう!」 と小さく叫んで、恥ずかしさもあいまって、部屋の外へ出て、どたどたと下へ降りていく……。
ゾール
そうして、暫く部屋主がいなくなったこの部屋で、気持ちを徐々に落ち着かせた。
あんまり待たせても悪いからそろそろ行かないとと扉へ踏み出して、
今一度、部屋の中を振り返る。
そよぐ風に柔らかく揺れるカーテンの動きは、風と連動して止まった。
彼女の居る光景を忘れまいとしたのか、暫し見つめたあと、
部屋の外へ出て、扉を閉めてから階下へと向かった。
ゾール
おわのすけ
ニルツェ
おつかれさま!
ありがとー
ゾール
おつかれさまでした!!!!!!
ニルツェ
よいCCでしt
ゾール
ありがとうございました気長に付き合ってくれてありがとう…いつも……いつも………
ニルツェ
こちらこそ
次はまた卓でかな~
ゾール
他愛のない話もどこかでっておもうけど卓の中……でもできるのかな……(わからない
またよろしくおねがいします
ニルツェ
そういうのもありだ
ではこのままお休みしときます おつかれさまー
!SYSTEM
ニルツェが退室しました
ゾール
はーいおつかれさまでした
!SYSTEM
ゾールが退室しました
背景
BGM