このログにはBGMが含まれています。
音量設定をONにしますか?
(後からでもメニューから設定変更できます)

幕間:フィオリとフォルティス

20200607_0

!SYSTEM
フォルティスが入室しました
!SYSTEM
フィオリが入室しました
フォルティス
うむ。
フィオリ
うむ
フォルティス
何処で何する?
フィオリ
場所はどこがいいかなあ ほししべ以外でフォルティスがいきそうな場所ってどこだ
フォルティス
ライダーギルドとなんか食料品が売ってるところ……
フィオリ
ほししべで……いいか
フォルティス
うむ。
フィオリ
では簡単に描写を
フォルティス
任せた。
#
とある、よく晴れた日の夜。
とっぷりと日も暮れて、空に星が瞬きだす頃になっても、〈星の標〉からは灯が落ちることはない。
今日の仕事を終えた者、明日への英気をやしなう者が次第に集まり、思い思いに過ごす店内は、早朝とは別の、どこか穏やかな賑わいに満ちている。
そんな店内を見回してみれば――
フィオリ
どうぞ。
フォルティス
うむ
フォルティス
店の奥、他の客が談笑しているテーブルから離れた場所に、茶色がかった黒髪の娘が座っている。
隣や対面の席には誰がいるわけでもなく、一言も発することなく、黙々と目の前に置かれた食事を食べ続ける。
フィオリ
――ふう」 ドアを開け、新たな客としてやってきたのは、黒のケープを纏った銀髪の少女である。店の空気に少しほっとしたように息をつき、店内に入っていく
フォルティス
人の気配には敏感だ。控えめにドアが開かれる音に反応して、そちらを一瞥する。
しかし、見知った顔を見つけたからといって、行動を起こすことはない。用がなければ、無理に話すような間柄でもない。
フィオリ
ケープのフードを下ろすと、背中にかかる銀髪を、二つ結び(ツーサイドアップ)にした特徴的な髪型があらわになる。自分に向けられる視線に気づかぬまま、賑わう店内を横切ってカウンターまで歩くと、
フォルティス
手元に視線を戻すと、まだ温かいスープを掬い、吐息で少し冷ましてからスプーンを口に運んだ。
フィオリ
「こんばんは、ガルバさん」 「これ、この間の仕事の報告書です」
ガルバ
「おう、ご苦労さん」 軽くぺらぺらとめくって、 「ほう――こりゃ、随分と几帳面にまとめてくれたな」
フィオリ
「何か、おかしいですか?」
フォルティス
こんな時間まで仕事の話とはよくやる、と心の中で呟く。年端も行かぬ(ように見える)少女は、冒険者としてだけでなく、彼女の本来の役割に関する仕事もこなしているはずだ。
ガルバ
笑い、「いや、おかしいこたぁ無い。ま、適当な奴が多すぎるんだな」 「ともあれ、確かに受け取った」
フィオリ
――そうですか。では」 と言いかけた、では、あたりでお腹が鳴った。
「………………」 
フォルティス
スプーンで残ったスープをかき集めるようにして掬うと、最後のひとくちを運んだ。
「……」 誰とも会話していないからか、聞こえてはいけない音が聞こえた気がする。
ガルバ
「ははは、時間も時間だ、何か食べていくといい。その辺に、適当に座っておけ」
フィオリ
「はい………」 恨めしそうな声でそう言って、席を探して何気なく回りを見回す
フォルティス
音に反応して、ついそちらに視線を向けてしまっていた。
フィオリ
――と、「……?」 一人で食事をとっている女性の事が目に入って、おまけに、目も合ってしまった。
フォルティス
目が合うと、一瞬だけしまったという表情を浮かべて視線を逸らす。
フィオリ
「フォルティスさん」 目を反らされると、 「………」 少し半眼になって
こちらの少女も、何と言うかあまり人づきあいが多い方ではない。その中でもフォルティスは、数少ない知人のひとりなのだが――
つかつかと、フォルティスへ歩み寄って、
フォルティス
「……」 案の定だ。目が合わなければ、きっとこうなっていなかっただろうに。
「……何だ。この席ならもう空くぞ」
フィオリ
「……いま、目を反らしましたよね」
フォルティス
「別に、何か意図があったわけじゃない」
フィオリ
「本当ですか……?」 「しまった、という感じに見えましたが」
フォルティス
思わずため息が出た。 「こうなると思ったからだ」 近付いてきた少女を座ったまま見上げて、観念したように白状した。
フィオリ
「まあ、そんな風な反応されるのも、慣れっこですけど」 ふっと表情を緩め、 「こんばんは、フォルティスさん」
「ここ、いいですか? いいですよね」 空くって言っていたし、と向かいの椅子に座ってしまう。
フォルティス
「……ああ」 慣れるというほど親しくなった覚えはないという言葉は呑み込んだ。一応、それなりに長旅をした間柄ではある。
挨拶に頷くと、トレイを持って席を立ち、近くにあった布巾でテーブルを拭こうとして、
「好きにしろ。もう空く」
フィオリ
「あ、待ってください。お時間、少し貰えませんか。フォルティスさんとは、いつか二人きりで話をしてみたいと思っていたんです」
フォルティス
「……?」 対面に座ったフィオリエナを見下ろしたまま、片眉をあげた。 「楽しい話を期待されても、応えられないぞ」
暗にそれでもいいならと伝え、席に座り直す。
フィオリ
「大丈夫です。私も、あまり話が得意な方ではないですから」
そういって小さく苦笑し、肩をすくめた。
フォルティス
「だったら、得意な奴を捕まえた方がいい。エイトとかな」
フィオリ
「私、友達少ないんですよ」
「さっきのも、フォルティスさんの反応(こと)じゃなくて―― 周りに距離をとられたり、遠目に目を反らされたりするのが慣れっこ、っていう事で」
フォルティス
「私よりは多いだろう。ロージアン、だったか? 何処かの学校にも通っているという話だったじゃないか」 肩肘を立てて頬杖をつき、少女をじっと見据えて
「……。お前は人に嫌われるような性格ではないと思うが」
フィオリ
先に飲み物を持ってきてくれたキャロラインに会釈しつつ、 「そう言ってくれると嬉しいですが」 「――あ、フォルティスさんも、何か飲みませんか?」
フォルティス
「……」 要らないと答えようとしたが、何もなしで会話まで途切れたら逃げ道がなくなってしまう。 「じゃあ、水で」
フィオリ
「私も悪かったんだと思います。以前の私は、多分なんていうか―― 近づくなオーラ全開、みたいな感じだったので。そのせいで、ロージアンにも今も友達と呼べる人は、あまりいません」
「水って。いいんですか? お酒でも何でも、奢りますけど」 「――あ、あんまり高いもの以外なら」
フォルティス
「……ふぅん」 相槌を打ち、少女の顔やその所作を見る。確かに気の強い所はあるが、近寄り難い雰囲気は持っていない。むしろ、今だって自分から近付いてきたくらいだ。
「年端も行かない少女に酒を奢らせる程落ちぶれてはいない」
フィオリ
「これでも、ちゃんと成人済みです」 きっぱりと言って、 「……そういえば、フォルティスさんはお幾つなんですか?」
フォルティス
「それはわかっているが、年下であるのは変わらないだろうからな」
「……私の年齢など、どうでもいいじゃないか」
フィオリ
「年上だろうとは、何となく思ってましたけど」
フォルティス
「……まあ、そうだな。お前よりは年上なのは確実だ」
フィオリ
「どうでもよくはないです。私はフォルティスさんのコトもっと知りたい――勿論、プライベートにずかずかと踏み入るつもりはないですが」
フォルティス
「学術的な興味か? 竜の事くらいなら、たしかに教えてやれる事はあると思うが……」 
フィオリ
―――」 キャロラインに小声で軽く注文を済ませる。
「学術的で、個人的な」
フォルティス
「個人的……」 もうひとつの回答を繰り返して。 「……物好きだな。得にはならないぞ」
フィオリ
「あら。知らなかったんですか? 学者や魔術師というのは、大抵が物好きです」
フォルティス
「……仕方がないな」
フィオリ
良かった、と口元を緩め、
フォルティス
ため息をひとつ挟む。相手が嫌だとかそういうわけじゃなく、人と話す時の癖のようなものだ。
フィオリ
「質問はシンプルです」
「フォルティスさんは、どうして〈星の標(ここ)〉で冒険者に?」
フォルティス
「……プライベートにずかずかと踏み入るつもりはないんじゃなかったのか」 運ばれてきた水を受け取ると、それで少し口を湿らせて。
フィオリ
「そうでしたっけ」 「――なんて、冗談です。勿論、言いたくない事なら言わなくていいです。ただ、」
「フォルティスさんは、必要のある所にしか行かない人でしょう」
フォルティス
「ああ。可能な限り、人と関わりたくはないからな」
フィオリ
「そんな人が、どうしてここを選んだのかな、って」
フォルティス
「……」 手元で弄んでいるグラスの水面に一度視線を落として。 「何処にでもある理由だ。金が必要になった」
フィオリ
――お金、ですか」 その理由自体は、ありふれたものだが。
フォルティス
突っ込んだ事を話すつもりはなかったが、先に少し、フィオリエナの私的なことを聞いてしまった。 
フィオリ
軽食と共に運ばれてきた紅茶は、ポットと、カップ2つ。それぞれに茶を注いで、一つをフォルティスの前に置く。
フォルティス
「私には、」 別に返す義理もないのだが、何だかそれも憚られて、続きを口にする。 「二人だけ、友がいる」
フィオリ
「お酒ではないですし、お茶はたっぷりあるので。これくらいはいいでしょう?」
「ふたり?」 「一匹(ひとり)は、ザル二ツァですよね」
フォルティス
「……」 目の前に置かれたカップに怪訝そうな表情を浮かべて。 「これ以上借りを作りたくはないのだが……」
フィオリ
「これくらいじゃ、貸しにも借りにもなりません」
ご安心を、と澄まし顔をつくって紅茶を一口。
フォルティス
「こちらからすれば気になるんだ」 小さく首を振って。 「……もうひとり、行動を共にしている竜がいるんだ」 
フィオリ
「……もうひとりの、竜……」
お茶はそれ以上、無理には勧めない。そんなことより、「……名前は?」
フォルティス
「……」 紅茶を啜り。 「好きに想像してみろ。……というのは流石に無理があるか」
フィオリ
――……」 口元に手を当て、視線を逸らして素直に考え込んだ。
フォルティス
「……おい、冗談だ。真剣に考えるな。何のヒントもなしに分かるわけないだろう」
フィオリ
「冗談だったんですか」 何だ、と瞬きをしてから、間をおいて、「……冗談だったんですか?」
フォルティス
「……冗談以外の何に聞こえたんだ」
フィオリ
――いえ」 その顔は、何だか少し楽しそうだ。とはいえ、『フォルティスが冗談を言った』というそれ自体が面白かった、なんて、当の本人には言わない。
「そうですね、お手上げです。残念ながら、ドラゴン語は未履修ですし」
フォルティス
「共通語で発音するなら……アーテルという名だ。ザルニツァの姉に当たる」
フィオリ
「アーテル……」 フォルティスに習って、その名前を口の中で転がして。 「ザルニツァが強そうなら、アーテルはどこか、優美で優しい響きですね」
フォルティス
「そうだな。鱗はザルニツァと同じく黒だが、ザルニツァのそれを鮮やかなのに比べて、アーテルのものは艶やかというか……」
いつもより少しだけ饒舌に語ってから、はっとなって。 「……まあ、その名の響きに相応しい見た目と性格の、良き友だ」
フィオリ
フォルティスの素が垣間見えた気がして、微笑む。
「会ってみたいですね」
フォルティス
「ライダーギルドに行けば会える。今は、そちらで療養中だ」
フィオリ
「でもその言い方だと、歳の離れている姉妹でしょうか――」 「え、療養中?」
――どこか、悪いんですか?」
フォルティス
「歳は随分離れている。少なくとも、数十年はな」
「……大怪我を負ったんだ。私のせいで」
「……人里から離れた場所で、竜たちと暮らしていたのだが、そこに居る限りは回復が望めないくらいの大きな怪我でな」
「仕方なく、此処のライダーギルドを頼りに来た」
フィオリ
「そんなに……?」
フォルティス
「下手をすれば、命を落としていてもおかしくなかった」
フィオリ
「ザルニツァから数十歳年上とすると、成竜とまで行かなくても、それに近い竜ですよね。そんな竜が……」
フォルティス
「ああ、いや」
「アーテルも、まだ子竜の部類だ」
「ザルニツァが大体30か40といったところで、アーテルは100から150といったところでな。竜としては、まだまだ幼く、未熟だ」
フィオリ
「それでも、まだ子供ですか」
改めて、竜という種族の強さ大きさが実感される話だ。
フォルティス
「うむ。彼女たちは私や母と長く接していて人に慣れているから、人間に対しても寛大だが、普通そのくらいの年齢の竜は、もっと自分勝手で我侭な事が多い」
フィオリ
「なるほど、勉強になります」 竜、というものに対する知識量が違う――というより、彼女にとってはそれが当たり前の事のように見える。
フォルティス
「そのくらいの知識なら、ギルドに行けば簡単に教えてもらえることだ」
フィオリ
今度いってみよう、と心に決めつつ、
フォルティス
「私も親しい相手だからこそ乗りこなせているというのが大きい。他の竜だと、波長が合わなければ乗りこなすのは難しいかもしれないな」
フィオリ
「そういう話は、聞いたことがあります。心を許す相手しか乗せないって」
「本当に、大切な友達なんですね」
フォルティス
「幼竜や子竜は基本的に我侭だから、気に入った相手しか乗せない。成竜は彼らに比べれば寛大だが、彼らの隣に立つに相応しい相手しか乗せてもらえない。だから、竜を駆るのは難しい。……まあ、難しいのは竜に限った話でもないだろうがな」
「ああ。だから何としても治療費を稼がなければならない」
フィオリ
「フォルティスさんと、ザルニツァ、そしてアーテル。――お互いに」 彼らの間に結ばれた絆を、証明するような話だ。
フォルティス
「……私が〈星の標(ここ)〉に来た理由は、納得出来たか」
フィオリ
「はい。とても」 しっかりと頷いて。
フォルティス
「……茶の対価としては、少々話しすぎたな」 つぶやいてから、やや冷めた紅茶を口に運んだ。
フィオリ
「対価、というなら」
「少しだけ、協力できるかもしれません」
フォルティス
「協力?」
フィオリ
「いまは、私も冒険者としてここで仕事をさせてもらっていますが」
「またこの間のように、ロージアンから要請があった時は、仕事をお願いする立場になるはずです」
フォルティス
「金になる仕事を紹介してくれる、というわけか」
フィオリ
「一言でいってしまえば、そうです」
「フォルティスさんはお金が必要で、私は腕に信頼のおける協力者が欲しい」
「悪くない話だと思いますけど、どうですか?」
フォルティス
紅茶を飲み終え、カップを置くと、腕を寄せて組んだ。 「腕も、人格も、信頼されるにはとても足らないとは思うが」
「お前がそれでいいというのなら、好きにすればいい」
フィオリ
「はい。それじゃあ、決まりです」 澄まし顔でカップを口元に運ぶ。
「その時は、改めてご相談しますね」
フォルティス
頷いてから、カップも自分のトレイの上に乗せて立ち上がる。
フィオリ
――話せて良かったです」 と、席を立つフォルティスに言って
フォルティス
「他にも、何かあれば言え。金になるなら――」 言いかけたところで、言葉が聞こえて、何とも言い難い表情になる。
フィオリ
「……?」
フォルティス
「……別に金にならなくてもいいから、困ったことがあったら言え」
フィオリ
――ふふ」
フォルティス
「一番良いのは、私などではなく、他に頼れる友人を作ることだがな……」
フィオリ
「友人を作る事が苦手なのは、フォルティスさんだけではありませんので」
――ありがとうございます」 事情を話した上で、金にならなくても――というフォルティスの言葉が、存外に嬉しかった。
フォルティス
「……真面目過ぎて、変な奴に引っかかりそうだからな」 礼に対しては素直に応えるのが恥ずかしくて、小さくそう返して、
「……ではな。もう夜も遅い。宿を何処に取っているのかは知らないが、外に出るのなら気をつけろよ」
フィオリ
「はい。それはもう」 お澄まし顔である。
「フォルティスさんも、おやすみなさい」
フォルティス
「ああ」 短く返すと、カウンターへとトレイを返して、店を後にする。
扉に手を掛ける寸前、もう一度最後にフィオリエナを見て、手を振る――ことはしなかったが、小さく頷いて、それを別れの挨拶として去っていった。 
フォルティス
私はこれで終わりで大丈夫だ。
フィオリ
――……」 そんな彼女を最後まで見送って。
フィオリ
うむ。ありがとう
フォルティス
こちらこそ
フィオリ
変に気を遣わず、言葉を交わしてくれる彼女の事を、どこか好ましく思い始めている事に気づいて
胸の中に、ささやかな、暖かなものを感じながら、テーブルに両肘をついて、
「………」 店の賑わいを背景に、無言でしばらく過ごしていた。
フィオリ
こちらもおわり
おつ! ありがと~
時間ぎりぎりだろう
から上がりましょう
ではまた卓で!
!SYSTEM
フィオリが退室しました
フォルティス
うむ。また後日。
!SYSTEM
フォルティスが退室しました
背景
BGM