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キヴァリさん家

20200519_0

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シグネが入室しました
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アネットが入室しました
アネット
となりのばんごはん!?
シグネ
うむ。
とりあえずディニスを発つ前に、覚悟を決めて一緒に家にいった形かな。
アネット
パパも兄様も騒動の事後処理が片付くまで結構かかりそうだけど
シグネ
まあ会話の時間くらいは取ってもらえるさ。
アネット
まずはただいまを言いに行かないとね
シグネ
そうだな。
では開幕は受け持とう
アネット
わぁい
シグネ
 
 
ディニス大鋼国における動乱は終息したものの、未だ国民たちは復旧、復興に奔走していた。
幸い、鋼都が受けた物理的損害そのものは大したものではなかったが、近郊都市アクガナが受けた被害に、軍内の軋轢、国民に生じた不安はすぐに拭い切ることの出来るものではない。
シグネ
少し待ってくれ(メモを掘り起こしつつ
アネット
パパの体が空くまでの間は、兄様について手伝いをして過ごしていた感じになりそう
シグネ
ふう
アネット
そのメモにパパの攻略法が…
シグネ
そのディニス大鋼国軍の中将ヴァルトが当主を務めるキヴァリ家もまた、忙殺の渦中にあった。
当主ヴァルトとその息子カイは連日あちらこちらに駆り出され、休む間もなく、屋敷へと帰ってくる日も少ない。
ヴァルトがようやく休暇を得たのは、動乱の終息から一週間以上が経ち――イルスファールの冒険者たちの多くが、ディニスを発った後だった。
 
 
「……というわけで、ようやく父上にお会いすることができるわけだ」
屋敷の自室で、天蓋付きのベッドに腰掛けながらシグネは語る。
その面持ちは、親しくない者が見ても明らかに緊張している様子が見て取れる。
アネット
「ん」いつもどおりの平静な表情でコクリと頷いた。しかし、瞳があちこちをさまよっている。
「ここがシグネの部屋なのね」
「ベッドに屋根があるわ。」
シグネ
ちなみに、彼女の自室は訓練用の道具、武具などの他、彼女の趣味であろう料理の本や裁縫道具、恐らく幼い頃に作ったであろう手作りの裁縫作品などが置かれている。
「ん? ああ、イルスファールの部屋にはこれを用意するだけの広さもないからな」 見るのは初めてか、と。
アネット
シグネらしい私物の数々は、イルスファールの借家のそれと系統は同じだ。専ら目につくのは天蓋のベッドや
「そう、ここで生まれて、ここで育ったのね」感じ入るように部屋そのものを眺めていた
シグネ
「そうまじまじと見られると、恥ずかしいものがあるな……」 アネットの視線を追って、自分も部屋を見回す。
「父様の許しが出れば、今日から出発までは屋敷で過ごすつもりだ。使用人たちも、アネットに興味津々のようだったし、仲良くしてやってくれ」
アネット
「登ったことある?」小さなシグネを思い浮かべ、天蓋の上を指差した
シグネ
「いや、ない……。駄目だぞ……?」
アネット
「……私は何人目?」此処にいた頃の友人達とやらもこの部屋に招かれたのだろうか
シグネ
「部屋に招いたという意味なら、……正確な数は分からないな。子供の頃は、結構色んな相手を誘ったものだから」
「恋人として招いたのは、お前が初めてだ」
アネット
「そう……そう、あの人達(使用人)も、その人(友人達)も、小さなシグネを知っているのね…少し、ううん、すごく羨ましい」
シグネ
「流石に時を遡って見せてやることは出来ないからな。話を聞くことで知ってくれ」 手を伸ばして、出逢ったばかりの頃とは打って変わってすっかりとさらさらになった銀灰の髪を心地よさそうに撫でた。
アネット
「うん。兄様達と会ったときも、同じことを思ったわ。羨ましくて憎らしかった」
シグネ
「……そう言っていたな」 懐かしむように目を細めた。アルベルトから話を聞き出そうとしているのには肝が冷えたものだ。
アネット
「だから、今度も仲良くなれる……と思う」髪を櫛る指の感触に目を細め
「恋人じゃないけど、オテツキ?の人とかいたら、わかんないけど」
シグネ
「メイドたちは、早速お前の世話をさせて欲しいだの、お嬢様ととてもよくお似合いですだの、好き勝手に言っていた」 流石は我が家の使用人たちだ、となんとも言えない苦笑を浮かべる。
「そ、そういうのは居ない……」
アネット
「……」細めた瞳でじぃっと見つめて頷いた
シグネ
「前にも言ったように、同性から慕われることはあったが、恋愛対象として見たことはないんだ。そういうのは、全部アネットが初めてなんだ」
アネット
「私も、そう。全部シグネが最初。嬉しいのも楽しいのも、怒ったり悲しかったり、辛いのも、皆、あなたと一緒に始まったわ」
シグネ
「……成程」 そうなると自分はアネットのすべてを知っていることになる。 「……ふふ、アネットには申し訳ないが、そこは私が得しているな」
アネット
「シグネに会う前に終わらせてしまわなくて本当に良かった」
シグネ
「ああ。お前と出逢えなかった人生など考えたくもないな」 言ってから、時計を見て立ち上がる。 「そろそろ時間だ。行こうか」
アネット
「父様って、どんな人?」
シグネ
「どんな人、か」
「恐ろしく強く、厳格だが……とても優しい方だ」
アネット
「シグネや兄様と似てるところもあるけど、」
シグネ
「それはまあ、親子だからな」
アネット
「優しいのに、シグネがやりたいことをさせてくれなかったの?」
シグネ
「……ただ子供の我侭を聞いてやることだけが優しさではない、ということだ」
「後悔はしていないが、出ていった時は浅慮だったというのは……まあ、正直思わないではない」
アネット
「ただ、傍に居て欲しかっただけかもしれないわ」
シグネ
「……どうだろうな。もしそうだとしたら、イルスファールに戻りづらくなってしまう」
アネット
「それなら私もこっちに残る」
シグネ
立ち上がり、無言のままアネットを抱き寄せ、頭をぽんぽんと撫でる
アネット
「けど、たぶんそうはならないかなって思う」
シグネ
「私もそう思う。いや、そのつもりだ。あちらでやるべきことがまだまだある」
アネット
「シグネと兄様に似てるなら、はじめたことを投げ出すなんてきっと出来ないしさせない」
シグネ
「……その言葉、割とそっくりそのまま言われそうな気がするな」
アネット
あってるでしょ?と得意げな顔をした
シグネ
「ああ、流石は私のアネットだ」 よく理解してもらえていることに嬉しそうに頷き、得意げな顔を向けて来るアネットの髪をわしゃわしゃと乱すように撫でて
アネット
「だめ」サッと頭を撫でる手をガードした。前代未聞だ
シグネ
髪を整え直してから、アネットを促す。 「行くぞ。予定の時間に遅れたら迷惑を掛けてしまう」
「えっ」
アネット
「父様に会うんだから、ちゃんとしなきゃ」髪を自分で整え
シグネ
「この成長が嬉しいと同時に少しさみしい……」
「……終わったら気が済むまで触らせてくれ」
アネット
「? 当然よ?」
シグネ
「……」 小さく笑って頷いて、アネットの背中を押して部屋を後にした。
 
 
大きな扉をノックすれば、アネットも聞き覚えのある声で返事が返ってくる。
扉を開くと、その先はキヴァリ家の書斎。休暇ではあるが、調べ物のために取ったものであるらしく、ヴァルトは今日は一日書斎に詰めているようだ。
その時間の一部を割いてもらうように、事前にカイを通して伝えてある。
アネット
「……」扉の前、シグネの腰に手を添えて、ぽんと後押しするように軽く叩いて
シグネ
多くの蔵書を抱える書棚が、広い部屋に所狭しと並ぶ。それらから少し距離を離して置かれたテーブルの傍の椅子に、左目を眼帯で覆ったその男は座っていた。
「……」 頷き返し、意を決すると「失礼します」と凛とした声で口にし、部屋へと入っていった。
ヴァルト
ノックがあった時に、既に本は閉じている。猛禽類を思わせるような鋭い右眼が二人を射抜く。
アネット
「こんにちは」シグネと隣だって部屋へ入ると、隻眼の偉丈夫に物怖じせず、挨拶をする。
ヴァルト
「ああ。確かアネット、だったな。君たちの活躍はしっかりと耳に入っている」
「どこでもいい。掛けなさい」
シグネ
「では――」 ヴァルトの言葉に頷くと、彼の座っている対面へと移動して、アネットに着席を促し、自分も席につく。
アネット
「ええと、今日は会ってくれてありがとう?」慣れない感謝を伝える。今まで行動をともにしてきた仲間たちの言動を真似てみたのだ
「ん」座れと言われてれば素直に従い着席する・
シグネ
「わざわざお忙しい中お時間を割いていただき、ありがとうございます、父様」
ヴァルト
「娘とその友人に会うのに、一々感謝されては敵わんな」 表情は殆ど変わらないが、苦笑……したような、してないような。
アネット
「私が言ったのに」>シグネ
シグネ
「こういうのは私も言っておくべきことなんだ」
アネット
「ここはシグネの家で、この人はシグネのお父さんだから、会うのは普通よ、きっと」
ヴァルト
「昔からこういう娘なのだ、こやつは。礼儀正しいのは悪いこととは言わんが、誰に似たのか少々堅い所があってな」
アネット
「でも、私は違うわ。友達として来たんじゃないもの」
ヴァルト
「そのくせ、学院時代は色々と問題を――……む」
シグネ
「と、父様、そういう話は今は良いでしょう」
「私たちが此処へ来たのは……」 言い掛けて、アネットを見た。
ヴァルト
「友人としてではなければ、何として、何のために来た」
アネット
「シグネにはかたいところもやわらかいところもたくさんあるわ」
「私はそんなシグネにいのちと心をもらった。ううん、貰ってる。今も」
ヴァルト
「命と心とは、また大きな話だな」
シグネ
「……」 すぅ、はぁとひとつ深呼吸を挟む。
「今日、父様に聞いていただきたいのは、私と彼女の関係のことです」
ヴァルト
「命と心を貰ったとは今しがた彼女から聞いたが――」 どういう意味だ、とアネットに目を向けた。
アネット
「おとうさん、むすめさんをください」隣でシグネが緊張の面持ちで切出そうとした話を、一歩も二歩も先んじて、物語の一節のようなセリフを口にした
ヴァルト
「…………」 眉根が寄り、眉間を揉んだ。 「もう一度言ってくれるか。私も歳なのか、聞き間違えたかもしれん」
シグネ
「……あ、アネット、直球が過ぎるぞ……」 と慌ててアネットの衣服を引っ張るが……
アネット
「シグネをちょうだい、父様」
今度は自分の言葉で同じ内容のセリフを口にする
ヴァルト
「……まさかカイよりも先に、シグネに関してそのような言葉を聞くとはな……」
「……」 しかも相手は本人より幼い同性の娘だ。
ふぅ――と、ヴァルトの口から長い長い溜息が漏れる。決して、呆れたような色は含まれていない。
アネット
「私は何も持ってない、ただの落ち葉だったわ。シグネから貰ってばっかりで、返せるるものも何もない」
シグネ
「冒険者として過ごす中、知り合い、友情を育み、彼女……アネットが私にとって何よりも大事な存在になっていったのです」
「彼女はこう言いますが、私は初めて家族や友人以外で大事な相手を得、彼女から多くの事を学びました」
自分の言葉でもヴァルトに伝えながら、アネットの言葉も伝えて欲しいと横を見る。
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アネットが入室しました
アネット
シグネの言葉に頷き返し
「私は、シグネと会って、一緒に過ごしているうちに自分がどんなに足りてなかったのか、はじめて知ったわ」
ヴァルト
「足りていなかったと思っているのは、君だけではないようだがな」
アネット
「うん。父様から見たら、私もシグネもこどもなんだと思う」
ヴァルト
「当然だ。子はいつまで経っても子。その伴侶も同じだろう」
アネット
「まだ、いっぱい覚えないといけない事もあるし、どこまで出来るかもわからないけど…」
「シグネとこれからも一緒にいて、一緒にいきたい」
「シグネに貰ったものと同じものを、私も返していきたい」
シグネ
「……私も、同じ気持ちです。家を出た時は子供じみた反発心や、自分が檻の中に閉じ込められているような、そんな気持ちも持っていました。父様が私が冒険者になることを反対されたのは、そう言った心を見抜いていらしたからということもあるでしょう」
「でも、今は違います。大事な仲間を得て、色んなものを見て、失って……その過程で出会うことが出来た最も大切な相手に、これからも多くのものを与えていきたい、多くのものを受け取りたい。心の底からそう思います」
「勝手なことをと思われるかもしれませんが……私はキヴァリ家の娘であることを捨てたくはありません。アネットと共に歩むことを認めていただけるまで、何度でも父様にお話しします」
ヴァルト
腕を組んだまま、長い沈黙が続く。
――血というのは、奇妙なものだな」
しばらくして、ヴァルトはようやく言葉を発する。
アネット
「?」小首を傾げた
ヴァルト
「当人だけでなく、周囲の相手まで似通うらしい」 ふ、と口から懐かしむような笑みが溢れた。
シグネ
「父様、それはどういう……?」
アネット
「兄様とか?」
ヴァルト
「いや」 首を横に振り、 「妻が、な」
アネット
「つま……あ、シグネの」 死んだ、と聞いている。シグネを生んだ事が原因だとも
シグネ
「母様が、どうしたというのですか?」
アネット
「どんな人だったの?」 シグネに父の事を訪ねた時のように直球で
ヴァルト
「あまり身体が強くはなかったが、誰よりも芯が強かった。控えめで淑やかでありながらも、いざとなると頑固でな」
アネット
「大体シグネね」
芯が強く頑固だというところだけを拾い聞いて
ヴァルト
「私はこんな職に就いているものだから、いつ命を落とすとも知れない。他の出世頭たちと違って、名門の出というわけでもない」
「正直な所、若い頃は妻や子を持つつもりなどなかったのだ。相手を幸せにしてやれる自信がなくてな」
「それでも、彼女は私が良いと言った。私と一緒にいて、生きたいと言った。何も与えられていないと思っていた私に、与えられた分を返したいと言った」
「……丁度、今の君と同じようにな」
シグネ
「……母様が、アネットと同じようなことを……」
アネット
「たぶん、その人も自信?は無かったと思うわ」
ヴァルト
「……ほう?」
アネット
「自分がない、足りない、あげるものがない、そう思ってたら自信なんて持てっこないもの」
ヴァルト
「君は先程まだ足りないと言っていたが、今はどうだ。自信は持てるのか」
アネット
「ぜんぜん」
ヴァルト
「と云う割には、不安そうではないな」
アネット
「私は“庭”の"葉"だったわ。そう育てられて、何も考えずにたくさんいけない事をしてきたわ」
「私がにんげんになれたのは、シグネが気づかせてくれたから。私にも心があるってこと」
「私のじしん(自身/自信)は戻ったばかりで、これからどうなってくのかも分からない」
「でも、シグネと一緒なら、育ててく事が出来る。ううん、そうしたい」
ヴァルト
「命と心を貰った、か」 先程聞いた言葉を、もう一度口にする。
シグネ
「父様、どうか――
アネット
「一緒にいても、二人とも間違って失敗するかもしれない。でも、それはそれで仕方ないわ」
ヴァルト
「良い」 シグネの縋るような声をぴしゃりと遮る。
シグネ
「……」 遮られて身体を引いて少し俯きかけるが……
ヴァルト
「お前たち自身が納得し、迷いながらも進んでいく覚悟があるのならば、私が異を唱える事ではない」
「先程も言った通り、キヴァリ家は私が一代で成り上がっただけの血だ。元々、一族の存続に強い拘りはない」
「お前たちの好きにしろ。娘が二人に増えた所で、私は何も困らん」
シグネ
「父様……」
アネット
「種を残して、繋いでいくことね……あ」
「…何とかなるかも? 駄目だったら兄様に……」
ヴァルト
「お前たちは二人共健やかに育っているようだ。セリヤとの約束を違えることにもなるまい」
シグネ
「……こらこら、何を考えているんだ、アネット」
ヴァルト
「あの朴念仁ぶりでは望み薄だが、まあ奴は奴で気長に待つとしよう」
アネット
「……ふたり?」良からぬ企てを思い出していた。そこでようやくヴァルトの口にした言葉が入ってきて小首を傾げ
「じゃあ、父様って呼んでもいい? 兄様のことも兄様でいい?」
ヴァルト
「構わん」
アネット
「父様は優しいのね。シグネがいった通りだわ」
ヴァルト
「どうだろうな。気に食わぬ輩であれば認めるつもりはなかった」
シグネ
「……ありがとうございます、父様」 ずっと抱えていた大きな心の重りが消えた気分だ。ヴァルトへと向けて深々と頭を下げた。
アネット
「シグネ、違うわ。もっと他に言う事があるでしょ、最初にそっちからよ」
シグネ
「……あ、と、そうだな」
アネット
「うん、家に帰ってきたんだから、」
シグネ
言われて顔を上げて、ヴァルトを真正面から見据え、
――ただいま帰りました、父様」
ヴァルト
「……うむ。よく無事で帰った」
表情の変化は乏しく、仏頂面のままだが、しっかりと頷きを返した。
アネット
帰るところがある。そして迎えてくれる人がいる。それはきっと素晴らしいことで、そういうものを自分も築いていきたい。そう心に願いながら親子の再会を見届けた。
シグネ
なんかアネットのが〆にいい感じになったから此処で終わっておいてもいいのでは!?
アネット
私もそんな気がするにゃわん
シグネ
わかる。
斧もつかっちゃうぞ編はまだ後日何処かでやろう。イルスファールでも出来る。
シグネ
 
 
アネット
行間を空けて、それから帰還までのひと時を家族のように過ごした、とか書いても良いけど
シグネ
書かなくても
わかるさ。
アネット
わかることだわ
シグネ
うむ。
では此処はこれでしめておこう。
お付き合い感謝だ。
アネット
母様の名前はセリヤ、おぼえた
シグネ
そうだぞ。
アネット
こちらこそ大感謝!
シグネ
また次に会おう
アネット
撤収~
シグネ
)))
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シグネが退室しました
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アネットが退室しました
背景
BGM