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幕間:フィオリエナとトゥエルヴ

20200518_0

!SYSTEM
フィオリが入室しました
!SYSTEM
トゥエルヴが入室しました
フィオリ
場所はどこがいいかな〜
トゥエルヴ
わくわく
フィオリ
トゥエルヴくんは休日何をして過ごしていますか?
トゥエルヴ
神殿でぼーっとしてそうです。おてんてんおじさんのフォーティーに書類仕事やれと追いかけ回されてたり…
フィオリ
なるほど
神殿の中の、一般の人がいかない界隈へはさすがにいかないと思うので、神殿の中庭とかどうでしょう(あるのか?
トゥエルヴ
きっとあるさ…OK!
フィオリ
特に難しいことはなくて、ゆっくり話せたらいいなくらい
トゥエルヴ
ゆっくりだべりましょう
フィオリ
では、描写していきます
トゥエルヴ
わー、おねがいします
#
 
 
さわさわと風がそよぎ、小鳥のさえずりが聞こえる。
きちんと手の入れられた緑に、植林された木々。ゆるやかに続く小道を、美しいアーチを描く柱が飾っている。
王都イルスファールの中心近く、王城に程近い場所に建てられた、始祖神とその信徒の為のライフォス神殿。
調和と平和、そして友愛を是とする神の神殿らしく、その中庭は広く民に開かれていて、
訪れる者の、一種の憩いの場としても使われていた。
フィオリ
――……」 そんな中庭を、一人の少女が歩いている。
黒衣のケープを纏った、銀髪の少女だ。
この街に滞在するようになってから、いくらかが経つが、こんな場所があるとは知らなかった。
空気もいくらか澄んでいるように感じるのは、神殿という場所のせいもあるのだろうか。
中庭の中央に立つ木に触れ、探検してみるものだ、と、フィオリは一人微笑んだ。
フィオリ
どうぞどうぞ。
トゥエルヴ
中庭の奥には、こじんまりとした白いガゼボが見える。その隣には紫の花を飾っている花壇があり、その縁には、一人の少年が座っていた。
虚空を見上げているかと思えば、傍を悠々と飛び回る蝶を眺めていた。
ふと、蝶を捕まえようとその手が伸びる 「……あっ」 しかし、簡単に逃げられると今度は立ち上がり、本格的に蝶を追い始めた。
フィオリ
木の肌の感触を感じながら、手のひらで撫で―― ちょうど、樹木の陰になって隠れていた場所に、そんな光景が見えて、フィオリは少し目を大きくした。
トゥエルヴ
「……えい」 逃げられては追いかけ 「……ああー…」 とまた逃げられる。
「……よ、と」 三度のチャレンジ。しかし再び逃げられる。そこまできてようやく視線に気づいて、フィオリの方へと金色の瞳を向けた。
フィオリ
――……」 何か、意図せず盗み見てしまったような、そんなささやかな罪悪感に少し慌てながら、
「何をしているんですか」 大丈夫、声はつとめて冷静だ。
トゥエルヴ
「蝶」 質問には素直に答える。逃げられ続ける、青い蝶を指差した。
フィオリ
「……それは見ればわかります」
トゥエルヴ
「…そう。……捕まえるの手伝ってくれる?」
フィオリ
声に少々呆れた色が混じってしまう。
「捕まえる、って…… 捕まえて、どうするんですか」
トゥエルヴ
「えっ」 そんな問いが返ってくるとは思わず、目を丸くした。
フィオリ
確かに、綺麗な蝶だ。緑の風景に、空よりなお濃く鮮やかな青い蝶。
「………」 子供ですか、と、自分の風貌は棚に上げて半目になって、
トゥエルヴ
悩んで悩んで 「……人に自慢できるよ」 と答える
フィオリ
「……捕まえたりしたら、かわいそうです」
トゥエルヴ
「可哀そう?…おかしな事いうね。ただの蝶だよ」
フィオリ
「蝶は、羽根を得てから、一週間くらいしか生きていられないんだって」
「そんな話を聞いた事があります」
トゥエルヴ
「へぇ……」
「じゃあ、何度もライフォスに出会っているのかな」 自分よりもはるかに速いスパンで、魂を巡らせているのだろうと思う。
フィオリ
トゥエルヴの反応に、なぜ自分はこんな話をしているのだろう、という疑問が湧いてきたところで、
「……え」 浮かんだ疑問は、トゥエルヴの声で弾けて、消えた。
トゥエルヴ
「え?」 フィオリに首を傾げる。
フィオリ
「……そういう発想はありませんでした」
トゥエルヴ
「物知りなのに」
フィオリ
「それとこれとは話が違います」
トゥエルヴ
「違うんだ……」
はたと思い出したように目を瞬いては、懐から取り出した眼帯を徐に身に着けた。きちんと後頭部で眼帯の目を結び終えると振り返り 「そういえば、なんでフィオリは此処にいるの?」
フィオリ
「……」 そういえば、以前も、わざわざ眼帯を身につけていた。彼の目には特に異常はなさそうなのに――
――え、ああ。ええと」
トゥエルヴ
「迷子?礼拝堂はあっちだよ」 と礼拝堂の方向を指差す。
フィオリ
「……失礼な。迷ったりなんてしてません!」
トゥエルヴ
「……えぇ、でも…」
フィオリ
負けん気の強い瞳でトゥエルヴを睨み、……こほん。
「視察、というか、」
「……まあ、散歩みたいなものです」
トゥエルヴ
「視察……散歩?……どっち」
フィオリ
「まだきちんと、王都(このまち)を見て回っていなかったので、オフのうちにぶらぶらと」
「……散歩です、散歩ですよ! ちょっとくらいかっこつけたっていいじゃないですか」
トゥエルヴ
「へぇ、忙しいんだね」 王都にきてから日は経っていると思っていたが、まだ散歩する程の余裕もなかったのかと。
「……別に、怒らなくても…」
フィオリ
「残念ながら、あなたみたいに、遊んでいる暇はないんです」
ぽろっと言ってしまってから、もっと言い方があるだろうと少し反省する。
トゥエルヴ
む、と頬を膨らませる 「……僕も遊んでたわけじゃないし」
フィオリ
「………」 ふと、なんだかおかしくなって、「じゃあ、何をしていたんですか」 と、悪戯心の覗く笑みを浮かべて聞いた。
トゥエルヴ
「…え、っと……」 むぐ、と言い淀む。暇をしていたのは確かであったが、ああ言った手前、訂正するのも癪である。
フィオリ
「……おや? 答えられないのですか」
トゥエルヴ
「聖堂には、おっかない人がいるんだ。その人から逃げてたの」
フィオリ
「おっかない人?」 これは、意外な答えだった。
トゥエルヴ
「そう、とても怖いんだよ。すぐ怒るし、すぐ叫ぶし、すぐ色々紙束押し付けてくるし……フィオリも怖くなって、また叫んじゃうくらいおっかない人」
フィオリ
「……。どうしてそこで、わたしの話が出てくるのか納得がいかないですけど」
「トゥエルヴの先生。それか、上司――みたいな人が?」
フィオリ
そういえば、聖印って目に見えるところにつけているのかな
トゥエルヴ
叫んでたじゃん。屋敷の中で。と付け足そうとして、フィオリの質問に首を横に振った 「ううん。フォーティーっていう、事務の人」
トゥエルヴ
あ、首のところにぶら下げています
フィオリ
ぱ、ぱ、と軽く払って、花壇のふちに腰を下ろし、
「事務」 と、おうむ返しに呟いて。
ふと白い指先で、トゥエルヴの胸元をさした。
冒険者の店の話ではないだろう、ならば、
トゥエルヴ
きょろ、とフィオリの声を追うように顔を巡らせる。声が下の方からした。花壇の縁に座ったのか、と見下ろす。
フィオリ
「神殿の人?」
トゥエルヴ
「うん」
フィオリ
「……神殿にも、怖い事務のお姉さんはいるのね」
トゥエルヴ
「……"にも"?」
フィオリ
「わたしの学校にも、いるわ。書類の些細な不備を、それこそ魔法のように見つけてくれる怖いお姉さまがたがね」
トゥエルヴ
「……へぇ、学校。フィオリは学校に行ってるのに、冒険者もしているんだ。それっていいの?」
フィオリ
どこも同じなのね、と、膝の上に肘をたてて、あごを載せた。
「いいの」
トゥエルヴ
「…いいんだ」
フィオリ
「学校と言っても、その辺の学校とは訳が違うんですから」
トゥエルヴ
「?」 首を傾げる。どういう学校なのだろう、軍学校とかなのだろうか。
フィオリ
「………」 このひとは本当に自分より年上なのだろうか。……多分、年上なんだと思うのだけれど。
トゥエルヴ
「えーと……」 何でもテキパキ物事を進めるフィオリが答えない事に、若干の居心地の悪さを感じて身じろぐ。
「…どういう学校?とか、聞いても良い?」
フィオリ
「いいですけど、」 少しの沈黙、 「座ったらどうですか? なんだか、話しづらいです」
トゥエルヴ
「話しづらいの?」
フィオリ
「首が、」
――とにかく、話しづらいんです!」
言いかけた言葉をキャンセルして、強めの語調で迫った。
トゥエルヴ
「……そう…」 我儘だなぁ、などと小さく呟きながら少女の隣にすとんと座る。パーソナルスペースが小さいせいか、肩が触れるほどには近い。
トゥエルヴ
ミツデス
フィオリ
「……!?」 座れる場所は沢山あるのに、予想以上の接近に、ひぅ、と息が漏れて背筋が伸びる。
トゥエルヴ
「…!?」 こちらも思わず驚く。
フィオリ
どうせ天然なんだろうなこの人は―― いろいろな感情を込めた半眼で睨みあげるが、自分から離れるのも負けた気がして、
「いえ」 澄ました声。
トゥエルヴ
「そう……」
フィオリ
「……それで、どういう学校か、でしたよね」
トゥエルヴ
こくりと頷く 「うん、どんなとこ?」
フィオリ
「ロージアン、という名前を聞いたことはありますか?」
トゥエルヴ
「ロー……」
フィオリ
「それが、わたしの所属する魔法学校の名前です」
トゥエルヴ
「へぇー、魔法のお勉強をする学校なんだ」
フィオリ
「ただのお勉強ではありません」
トゥエルヴ
「……そうなの?」
フィオリ
「才を見いだされた者しか入る事を許されず、ただただ、古より、魔法の研鑽のみを志す者が集う場所。俗世から離れ、その存在すら、衆目には晒さない」 だんだんと興が乗ってきている
トゥエルヴ
「…おお」 難しい言葉は分からないが、なんだかカッコいい……
フィオリ
「そんな、特別な学校なんです。はっきりいって、この街の魔術師ギルドなんか――
トゥエルヴ
「……なんか?」
フィオリ
「……」 小さく咳払い。 「言葉が過ぎました」
トゥエルヴ
誇らしげに、楽しそうに語る少女に、こちらも興味をそそられて足をうらぷらさせる。
(ぷらぷら
「じゃあフィオリは、魔法の才能があるんだね」
フィオリ
「………」 なぜかフィオリは、黙り込んでしまった。
トゥエルヴ
「………どしたの?」 あれ?と首を傾げる。
フィオリ
――いえ」 かぶりを振って、
「……それで、ですね」 と、話の矛先を変える
トゥエルヴ
「……?うん」 話題が次に進めば、それを素直に受け止める。
フィオリ
「一人前と認められた者は、それぞれ、責務を持つんです」
トゥエルヴ
「せきむ?」
フィオリ
「つまり、様々な権利を受けられる代わりに、各々の研鑽のかたわら、自ら組織に貢献する事が求められるんです」
トゥエルヴ
「ふぅん……宿題みたいなもの?」
フィオリ
「しゅくだ……」
「……いえ、もっと」
「仕事というか…… ちょっと形は違うでしょうけど、トゥエルヴも、神殿の仕事をしたりしているでしょう?」
トゥエルヴ
「うん」 こくりと頷く。
フィオリ
――神殿の仕事、という部分に他意はない。
「それと同じようなものです。多分」
トゥエルヴ
「……なんとなく、分かった気がする」 語調は曖昧、けれども確信を持った頷き。
フィオリ
トゥエルヴの様子に、勇気づけられたように続ける。
トゥエルヴ
そこでふと、少女と初めて会話した時の事を思い出した 「……そういえば、マジックアイテムを追ってるって言ってたね。それと関係ある?」
フィオリ
「よく覚えてますね」
トゥエルヴ
「なんとなく」 本当になんとなくだった。ぶっきらぼうに答えて
フィオリ
「はい。わたしの責務は――
「かつて、ロージアンから持ち出されてしまったアーティファクトを取り戻して、」
「元通りに『函』――つまり、そういったものを収めておく専用の場所に、元通りに収める事です」
トゥエルヴ
心地よい風を受けるために前方を向いていた顔を、隣の少女にまっすぐ向ける。
「……泥棒されちゃったの?」
フィオリ
「……はい。ええ。まあ」
「学校の…… 私たちの、恥じるべき過去です」
トゥエルヴ
「その尻拭いをさせられてるわけだ。大変だね」 他意も悪意もない、純粋にそう思った故に躊躇う事なくそう言って
フィオリ
「私利私欲のために、危険な道具を世に持ち出すなど、絶対に、絶対にあってはならないこと……」 ぎり、と――膝の上で握られた拳は、強く握り過ぎたせいで白くなっていた。
その様子は、彼女の性格を差し引いても―― 少々、思いつめ過ぎのようにも見える。
トゥエルヴ
声色と、肩から感じる力の込め方で、彼女がどんな表情をしているのかを漠然と察する。
「……仕事は大事だけど――
「……もう少し、肩の力抜いたほうがいいよ。そのままだと、いつか弾けちゃうよ」
フィオリ
―――」 涼しい風が吹いてきて、少女の頬を撫でた。ふと我に帰った意識に、トゥエルヴの言葉が滲み入る。
トゥエルヴ
それとも、少女がそこまで必死になる理由が他にもあるのだろうか、とふと疑問に感じたが、それを此処で問うていいのか。少年は初めて人間に対して迷いを抱いた。
フィオリ
「……そんな風に見えますか」 ため息をついて、拳をといて、
トゥエルヴを見遣り――
トゥエルヴ
「見えないよ」 言葉通りに受け止める。視界は眼帯で遮られてるから、と素っ頓狂な返しをして 「そう感じただけ」
フィオリ
そこで、近い距離で彼の横顔を見た。
トゥエルヴ
「………だって、仕事ため込み過ぎて爆発寸前のフォーティーも、同じ雰囲気してるもの」
フィオリ
う…… そんなふうに見えますか――
「」
「………」
ふと、手のひらに立ててしまった爪の痛みも忘れて、小さな疑問が湧いてくる。
――その眼帯」
トゥエルヴ
「うん」 こくりと頷いた。
フィオリ
ぽつり、と呟くように
トゥエルヴ
「……うん?」 あれ、話題がまた変わった、と首を傾げる。
フィオリ
「あ、いえ」
トゥエルヴ
「……もっとお話ししてよ。学校の話でもいいよ」 楽しそうに話すの、聞いてるの楽しいから。と付け加えた。
フィオリ
目に何か病でも抱えているのか、その眼帯には何か意味があるのか――と、そんな疑問を、ここで問うていいのか。少女は、少年に対してそんな妙を抱いた。
「……」 どこまで話したかな、と目を回して、
――ええと、そう。それです。それがわたしの持つ責務で、」
トゥエルヴ
うん、と静かに頷く。凛と通るような声で話されると、こちらも心地いい。
フィオリ
「そのために必要な色々な情報、それに人脈。それらを集めるには、この街では、冒険者として、あの〈星の標〉(みせ)に出入りするのが一番だと思ったんです」
トゥエルヴ
「それで冒険者になったんだ」
フィオリ
「兼業ですけど」 澄ました顔で、肩をすくめて。
トゥエルヴ
「エイトとか……あと――
口に出そうとした名前に思わず顔を顰めたが、続ける 「フォルティスとかも言ってたけど」
「どうしてあのお店選んだの?」
フィオリ
「……」 ふと、沈黙が降りる。さわさわと葉の揺れる音が聞こえた。
トゥエルヴ
「……?」 沈黙に、少女へと顔を向ける。
フィオリ
「勘です」
トゥエルヴ
「勘」
フィオリ
――というのは半分は冗談で。あとは、綿密な聞き込み調査の上です」
「色々な人に聞きましたが、少なくともこのリアン地方では、あの店がもっともふさわしい、という結論に達しましたので」
トゥエルヴ
「有名な――そう、例えば名剣とか」 思い浮かべるのは、以前依頼で一緒になった名剣ランクの男と演奏を好む少女 「……がいっぱいいるものね」
「ご飯おいしいし」
「強い人もいっぱいいるし」 浮かんだ顔に、再び顔を歪めた。
フィオリ
「はい。名のある冒険者には事欠きませんから」
――トゥエルヴ? 嫌いな食べ物を食べたみたいな顔してますけど」
トゥエルヴ
「…うん、今嫌な奴の顔思い出した」
フィオリ
「……いやなやつ?」
トゥエルヴ
「フォルティスとか」 ぶっきらぼうに答えて
フィオリ
――……」 少女の瞼が、ぱちぱち、と瞬きをした。
へえ…、と、ほんの少し、悪戯っぽい笑みをのぼらせながら、横目にトゥエルヴを見やって
「苦手なんですか」
トゥエルヴ
「……べ、別に」 苦手じゃないし 「嫌いなだけ」
「だってあいつ――…ナイトメアじゃん」
フィオリ
苦手と、嫌い。「……両者にどの程度の違いがあるのか、気になるところではありますケド」
――……」 ぴたり、と、少女の反応が止まった。
トゥエルヴ
「汚いよ。穢れの象徴を隠そうともしないし」
フィオリ
「………」
トゥエルヴ
「一緒にいると、こっちまで……フィオリ?」
フィオリ
そうだ。普通はそういうものだ。この街に来て、いつの間にか、当たり前の感覚を忘れてしまっていたのだろうか。この、短い滞在で。
トゥエルヴ
また何か考えてる。先ほどみたいに思い詰めてるのだろうか。しかし、肩にはそんな力を感じない。
「ねぇ」 寝ちゃった?と声をかけてみる。
フィオリ
――そうですね。ナイトメアは汚い」
「そうでした」
トゥエルヴ
「……?どしたの?声、固いよ」
さっきみたいに自信が満ち満ちた声で話して欲しいと、顔を寄せてみる。
#
――こと魔術の資質という意味で、ナイトメアである事は利する事が多い。彼女の属する学校は、実力主義であるから、その点で言うとナイトメアにとって生きやすい環境と言える。
だが、それを知っているフィオリにとっても、イルスファールでの彼ら(ナイトメア)の生きやすさは特殊だった。ある種の奇跡とも言える。
フィオリ
顔を寄せてきたトゥエルヴの、 「―――」 その横顔に手のひらを押し付けて、トゥエルヴと視線を合わせるのを避けた。
トゥエルヴ
「んぐ……フィオリってば」
フィオリ
「近いです」
トゥエルヴ
「……わがまま」
ちぇ、と姿勢を戻した。
「……なんか、怒ってる?」
フィオリ
「別に。何も」
トゥエルヴ
「……怒ってるじゃん」
フィオリ
楽しかった気持ちが、一瞬にして冷めてしまった。覚めてしまった、というべきか。
「……汝の隣人を愛せよ。ですか」
トゥエルヴ
「…ナイトメアの事悪く言ったから、怒ってる?」
フィオリ
始祖神の教えも、なんだか皮肉に聞こえますね。
トゥエルヴ
「ねぇ、フィオリ」 もっとさっきみたいに楽しい話してよ、と強請る。
#
「がっかりしただけです。勝手に期待して、勝手に落胆しただけ」
フィオリ
おっと
トゥエルヴ
おっと
だいじょうぶわかる
トゥエルヴ
「……何の事?」
フィオリ
花壇の縁から立ち上がって、一歩歩き。少年へ向き直る。
「わたしは、どうですか? 綺麗ですか? きたないですか?」
トゥエルヴ
隣から体温が感じられなくなったことに、少女が立ち上がったのだと分かる。少女がいるであろう方向を見上げる。
「……?フィオリは綺麗だよ」 あどけない声色で、躊躇わずに応えた。
#
怒ったような、泣き出しそうな、あるいは、トゥエルヴに挑むような表情で少年を見つめ
フィオリ
―――」 何も言わずに、自分よりもずいぶん大きい、少年の手をとって
トゥエルヴ
けれども少年には、少女の表情を察する手段がない。肌が触れ合わない距離、遮られる視界に、ただただ首を傾げる。
「…フィオリ?」
フィオリ
間、
細い呼吸の音、
無言で、額に少年の手を押し付けた。
やわらかい肌、ほんの少し汗ばむほどの体温、さらさらの銀の髪――その感触の向こうに、額の上に埋まったような、小さな硬い感触が伝わるだろう。
トゥエルヴ
指先にその固い感触が伝わってくる 「………」 それを感じた途端、少女を振り払うように自分の手を引いた。
フィオリ
――……」 言葉はない。
トゥエルヴ
「……」 こちらも言葉はないが、眼帯に隠れた目が、少女を睨み上げる。
「……良いトモダチになれるって、思ったのに」
「今度、ソフィーとお茶会する時に、誘ってあげようと思ったのに」
癇癪を起した子供のようにまくし立てては、ふ、と息をついて自分を落ち着かせる 「……なんで伝えようって思ったの?」
フィオリ
「隠していても、時間の問題でしょう」
トゥエルヴ
「…気付かなかったかもしれないよ。僕、見えないもの」
フィオリ
「あんなことを言われて、黙ってにこにこしていられる程、わたしは器用ではないの」
トゥエルヴ
「………」 落胆を自分の中で消化する術を持たない。俯いて、少女から顔を逸らす。
フィオリ
「……いい機会だわ」
「トゥエルヴ。あなたのような人に…… 一度聞いてみたかったことがあるんです」
トゥエルヴ
「………」 顔を少女の方へ向ける。
フィオリ
「どう生きるかは選べても、どう生まれてくるかは選べない」
「わたしたちは、生まれてしまったことに、罪があるんですか?」
トゥエルヴ
――……そんなの」
「そんなの、知らない。……穢れて産まれてくるのがいけないんだ。きっと、悪い行いをしたから……ライフォスを怒らせるような事をしたから、そうやって生まれてきたんだ」
「……僕に分からない事を、聞かないで」
ぶんぶん、と頭を横に振る。静かにたたずんでいた少年の頭に止まろうとしていた青い蝶が、その動作に逃げて行った。
フィオリ
「……分からないのに、どうしてそんなに憎めるんですか」
――穢れが多く蓄積すれば、人としての存在から墜ちてしまう。それは、事実です」
「ナイトメアが出生時、母体を傷つけ死なせてしまうことが多いのも事実です」
「けれど、わたしたちの持つ穢れの濃さでは、周りの人に害はないし―― 腕の良い術師が立ち会うことで、母親が亡くなることを防ぐことができることもまた、事実です」
――わたしも、なぜかなのか知りたかった。だから、沢山調べたわ」
トゥエルヴ
「……」
フィオリ
「どうして、こんなふうに生まれくるのかは分からないけれど――
「トゥエルヴ。あなたの言葉通りなら、」
あなたの神が穢れを与えている――って事になる」
「……いくらなんでも、それはないでしょう?」
トゥエルヴ
――…」 振り乱していた頭をピタリと止めて、顔を上げた。
自身の言葉のどこに、矛盾があっただろうか。自身の信じる神がそんな事を行うという疑念を抱かせるような、そんな事を言っただろうか、と記憶を浚うが、思考がまとまらない。
フィオリ
――わたしだって、時々は神さまに祈るわ。ライフォスさまよりは、キルヒアさまの方が多いけど」
「そして…… わたしたちのような者にも、彼らは力を貸してくれる」
トゥエルヴ
「……どうして」 迷子の子供のように、心許ない声を上げた。
フィオリ
「……わかりません」 と、かぶりを振った。
トゥエルヴ
「……。…なら、どうして惑わせるような事言うの。難しい事言わないでよ。僕にはわからないよ、だって……そう教えられたんだ……」
「…僕の魂を穢すようなこと、言わないで」
再びぶんぶんと頭を振ると、合間合間で誰かの名前を呼んだ。
フィオリ
――悔しかったから」
トゥエルヴ
最後にもう一度その名前を呼ぶと、少年の背後――聖堂に続く廊下から、少年を呼ぶ声がしただろう。
フィオリ
「良い友達になれるかも、って思ったのに」
「……友達になれるかもしれない、って思ったのに……」
トゥエルヴ
呼ばれた声に振り向くと、そこには白い髪に白い肌、白い祭服を見に纏った小柄な少女。少年はそちらへとふらふらと歩いていこうとしたが、フィオリの声に足を止めた。
フィオリ
分からないけど嫌いだ、なんて、曖昧な理由で嫌いにならないでください」
「嫌いになるなら、それでいいです」
「でも」
「わたしを、わたしのことをちゃんと見て、嫌いになって」
トゥエルヴ
「………」
「……どうすればいいのか、分かんないよ」 ぽつりと小さく呟いて、とぼとぼと歩いて行った。
フィオリ
「わたしは、ここに居ます」 黒衣の少女は、精一杯胸を張って言った。何かの宣言のように。
トゥエルヴ
トボトボ…
フィオリ
少年の背中を見送って、ぽつりと一人取り残されて。
「………」 深々とため息をついた。
「……考えなし……」 何をやっているんだか。
トゥエルヴ
胸ないのに胸張ってる……
フィオリ
でも、仕方なかったのだ。
少女は、黒いケープをはためかせて、神殿を飛び出していく。
すれ違う人々が、思わず振り返る。
仕方なかったのだ――涙を目にいっぱいに溜めて、しゃにむに走っていくくらいに、彼女は悔しかったのだから。
#
 
 
フィオリ
という感じかな……
トゥエルヴ
ウッ……泣かせちゃった……
フィオリ
ないちゃった……
;;;
トゥエルヴ
自分をナイトメアってこと隠してる子にナイトメアきたねえって言うの
たのしーーーーーーーー!!
フィオリ
楽しい話してるのにぐいぐいくるから!!
トゥエルヴ
えへ…
フィオリ
は? は? は?
トゥエルヴ
???
フィオリ
でも知識と事実で反撃するのはフィオリらしいでしょ
トゥエルヴ
ね、正論だから12も言い返せない
知識に基づいたド正論で真っ直ぐにぶん殴ってくるのは非常に
ああ~ぽいなぁって
思いました
フィオリ
トゥエルヴが揺らいでたから
彼のことを慮って攻めきれないのがつめの甘いところですね
トゥエルヴ
やさしいこだよ
フィオリ
おまえ綺麗だっていったのによ〜〜〜〜
トゥエルヴ
しらないしらない
フィオリ
でこのあとおそらく卓で一緒するわけですが
トゥエルヴ
見た目は綺麗だよ(最低
フィオリ
仲良くしてね☆
最低だな?
トゥエルヴ
ヒンッ><
胸がもうちょっとあればもっと綺麗だったよ
ざんねんだったね
フィオリ
でもナイトメアの国王の国で暮らすと精神的につらそう
胸はこれから成長するから……
トゥエルヴ
ほんとうに?
あまりイルスファールでナイトメア差別はしない方がいいなとは思いつつ
ついやっちゃうんだ
フィオリ
10レベルの真語魔法に【コントロール・バスト】って魔法がある
トゥエルヴ
????
フィオリ
まあ、CCや、それ用の卓ならいいさ
普通の卓だとちょっと進行的にあつかいづらいだろうえkど
トゥエルヴ
そうだね
フィオリ
パーティの半分がナイトメアということも珍しくない昨今
トゥエルヴ
ほんとだよ
フィオリ
いかがおすごしでしょうか……
トゥエルヴ
好き勝手にきたねぇきたねぇと12君は心の中で
おもっているよ――
フィオリ
あ〜〜でも前半のきゃっきゃうふふをもうちょっと楽しみたかった思いもある
トゥエルヴ
ああ~~
いやまあそのなんでしょうね
私も今回で
ナイトメアの事言うつもりはなかったんだけど
あれれ~おかしいぞ~
フィオリ
いやあだってぐいぐいくるんだもの!
一回スルーするかと思ったんだけど
ねえ?どうしたのフィオリ?ねえ?
って何度も来るからだめだった
トゥエルヴ
フィオリについて下調べした21時前僕「フィオリナイトメアじゃん」
フィオリ
トゥエルヴ
これから表面上(強調)は仲良くしていこうね><
フィオリ
このままだとつらいだろうな……
トゥエルヴ
そんなばかな
フィオリ
反対にぐいぐい来られるパターンかもしれないぞトゥエルヴ
トゥエルヴ
??
フィオリ
教義の矛盾を事細かについてくる
トゥエルヴ
12もさすがに目につくような拒絶の仕方はしないかな!
フィオリ
「ここが違います!」
トゥエルヴ
「……ええ」
フィオリ
「ここをこうすると矛盾が気になりません」
「ん……?」
トゥエルヴ
「…??」
フィオリ
トゥエルヴはさあ
トゥエルヴ
はい
なんだい
フィオリ
一回殺して穢れ1つけたい
トゥエルヴ
!?
やめてやれよ!!!1
お前のキャラ殺したいって言われたのこれがはじ
めてでもないわ
なんか牛君の時も言われた気がする……
フィオリ
牛くんとはまたちがって
トゥエルヴの根幹が揺らぐもの>穢れ1
トゥエルヴ
そうだね
そうなっちゃったらもう
……どうするんだろうな
フィオリ
蘇生を受け入れて穢れ1をつけよ
トゥエルヴ
うおおおお死なないぞうおおお(頑強つける
フィオリ
「おそろいですね」
トゥエルヴ
「ヒンッ」
ヤンデレみたいなこといわないで
部屋の隅で膝抱えてさめざめと泣いてそう
フィオリ
意外と普通な悩み方だった(普通?
トゥエルヴ
???
まあ最近ナイトメアが同僚に加わったし
信奉する司祭も隠れないとめあだし
フィオリ
だめじゃん
トゥエルヴ
嫌ってるナイトメアだらけな周囲で自分でも
かわいそうだなって
ゲラゲラ
フィオリ
(*'▽'*)
トゥエルヴ
\(^o^)/
フィオリ
おかしいな……
わたしはトゥエルヴとたまに会った時にご飯にいくくらいの仲になりたかっただけなんだ……
トゥエルヴ
いっぱい知れて――よかったね――
フィオリ
マジで……
トゥエルヴ
多分
22時半ごろに、「あ、CC初めて1時間半か!頃合いかな~」とか自分を御せていたら
こんなことには
楽しくなっちゃって続けてしまったよ
フィオリ
まあ強引に引っ張っていけばいいか……
この程度でくじける女ではない
トゥエルヴ
ふぃおり。。。
フィオリ
というわけで今度またCCしてください
トゥエルヴ
もちろんろんろんろんろんろろんろん
フィオリ
では今日はこんなところで
トゥエルヴ
うむ
お疲れ様でした!!
フィオリ
次回は土曜卓かな
お疲れさまでした
では〜〜〜〜
トゥエルヴ
かなぁ
ではでは!
!SYSTEM
フィオリが退室しました
!SYSTEM
トゥエルヴが退室しました
背景
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