- !SYSTEM
- ネーベルが入室しました
- !SYSTEM
- メルクが入室しました
- メルク
- うん
- ネーベル
- ええ
- と。
- 依頼から帰ってきたタイミング、場所は自室でいいかしら。
- メルク
- ええ、構いません
- ネーベル
- じゃあ、少し時間を貰うわね。
- メルク
- どうぞ。 よろしくお願いします
- ネーベル
- 宜しくお願いします。
-
- 王都イルスファールにある、冒険者ギルド支店〈星の標〉。
- 多くのそれと同じく、この支店も、冒険者ギルドとしての酒場に加えて、宿泊施設が併設している。
- ネーベル
- ごめんなさい、ちょっと待ってね。
-
- 裕福な層が利用する様な豪華な宿ではないものの、冒険者達が利用するには十二分な宿として
- メルク
- 大丈夫です
-
- 〈星の標〉に登録している者達のいくつかは、この宿を普段から利用している。
- そんな一室での話――
-
- メルクが依頼から戻り、報告や報酬の受け取りなどを済ませて
- 店員のキャロラインに、出立前に話をした彼女についての話を聴くと、こんな返答が帰ってきた。
- 「ああ、おかえりなさい。……お話、聞いていた通りに見回りはしたんですが――」
- 曰く、見回りの際にはやんわりと――そう、やんわりと拒まれたのだとか。
- それでも、病人と聞いている以上、また部屋の借主であるメルクに頼まれている以上は、
- 決まった頻度では見に行っていたのだが、どうにも常に気を張っている為か 威嚇する様な対応をされていた、という。
- 少し困った表情でキャロラインはメルクに語り、ゆっくりとカウンターに入り、仕事に戻って行った。
- ネーベル
- ちょっと呼ばれてしまって。もう入って大丈夫。
- メルク
- 分かりました
- メルク
- 「……すみません。ありがとうございました」 キャロラインには戻る際に頭を下げて
- 「それから、リゾットとサラダ、フルーツの盛り合わせを頼みます」 これで、と受け取ったばかりの報酬から注文をする
-
- それらを受け取ると、メルクは階段を登り、自分の部屋へと戻っていく
- キャロライン
- 「はい、お待たせしました!」 笑顔ではきはきと答えて、それらを手渡し 階段を上がるメルクを見送った。
- メルク
- 片手で盆を保持して 自分の部屋の扉をノックする
- 「──、ネーベル。戻りました」
-
- 部屋の内から、返答はない。微かに聞こえてきたのは、擦れるような布の音だ。
- メルク
- 「開けますね」 鍵を開けて ドアノブを回して入室する
-
- 扉を開けば、室内はメルクが出て行った時とまるきり変わっていない。
- 全く動いていない家具、使用された形跡の無い食器 それでもキャロラインが持ってきてくれたのだろうか、手の付けられていない料理がひとつあり――どうやら、それも手をつけていないようだ。
- メルク
- 「……ネーベル」 もう一度声をかけて 扉を閉める
-
- 寝台の上には、メルクへと気怠そうな視線を向けて丸まった少女の姿が見える。
- ネーベル
- 「――、……あら、戻ったのね」 掠れた声で、普段よりも柔らかい――力のない声で、メルクを迎えた。
- メルク
- 「…ただいま戻りました」 手のつけられてない料理の隣に盆を置くと
- 「具合はいかがですか」 とベッドの近くに椅子を持っていって座り込む
- ネーベル
- 「……良くなったわ」 丸めた身体を更に丸めて
「少なくとも、あなたが出る前よりは」
- メルク
- 「薬は飲みましたか?……それから、食事を摂っていませんね?」
- 「カプセル…を、飲んだなら、それでいいのですが」
- ネーベル
- 「……動くのが、面倒だっただけよ」 視線を逸らす。
- メルク
- 「……困った人ですね」
- 「少し、待っていてください」
- 寝台同士の敷居を作るカーテンを引いて 装備を外して着替えると
- シャツにチェック柄の茶色いズボン姿で リゾットの皿と匙を持って改めてネーベルの寝台近くの椅子に座る
- 「お待たせしました」
- ネーベル
- 少し弱った表情を向けながらその様子を見やる。
寝台に寝かせたまま、近くに座った少年に、無意識の内に僅かに身体を寄せた。
- 「……待っていないわ」
- メルク
- 「それなら何よりです」 少し笑って
- 「面倒、ということであれば、こうすれば食べてくださいますか?」 スプーンでリゾットをすくうと ネーベルの口元に差し出す
- ネーベル
- 口元をへの字にして 恨めしそうに少年を見やる。
- メルク
- 「……体力をつけないと、治るものも治りません…それに」
- 「僕の看病のときに伝染してしまったかもしれないでしょう」
- 「…だから、今度は貴方の番ですよ、ネーベル」
- ネーベル
- 「――あら、それは構う事ではないでしょう」 嘲る様に呟くと、躊躇いがちに小さな口を開いて、差し出されたリゾットを口に含む。
- メルク
- 「……」 小さく頷いて ゆっくりと二口目を用意する
- ネーベル
- 理由までを口にするつもりはない。きっと、理解はされているだろうから。
- メルク
- 「食べられるだけ食べてください。甘いものもあるし、サラダもあります」
- 「それから、一応、カプセルも飲んでおきましょう」
- 二口目を差し出しながら
- ネーベル
- 「……」 軽口を返さないのは、食事をしなかったせいで頭が働かないからだ。
- 差し出された二口目も躊躇いながら口に含む。
これも、食事を欠いていたから、身体が求めているせいだろう。
- メルク
- 「仕事で収入もありましたから、暫くは看病に専念出来るとは思いますが」
- ネーベル
- 「……すぐ、治すわよ」
- メルク
- ゆっくりとリゾットを食べさせていって 「はい。元気になってもらわないと困ります」 皿が空になると テーブルに戻してくる
- 「‥‥何か、欲しいものはありますか?」
- ネーベル
- 首を横に振って、否定して
「……壊れてしまっても、困るものね」
- メルク
- 「…‥ええ、困ります。死病というわけではありませんが、それでも体調が悪いのは気を揉みますから」
- 毛布を整えるようにかけてやりながら
- ネーベル
- 毛布をかけられると、ぼんやりとした瞳をメルクへと向けた。
- 「……ばかね」
- メルク
- 「……どうされました?」 視線に気がついて 労るように優しい微笑みを向けて
- 「ばか、ですか」 苦笑して 「もう、ご存知のはずでしょう?」
- ネーベル
- 微笑まれると、ずるずると視線を逸らして、部屋の隅に放った。
「拾わなければ、良かったでしょうに」
- 「……再確認したの」
- メルク
- 「……僕はそうは思っていません」
- 「君を連れ出さなければ、僕は僕を赦せなかっただろうから」
- ネーベル
- 「そういう所が、ばかだって言っているの」
- メルク
- 「賢い選択ではないのでしょうが、」
- ネーベル
- 「これからも、きっとあるわ。私みたいな"もの"と会う事は」
- メルクの返答に被せる様に、声を大きくさせた。
- メルク
- 「……そうかもしれません」
- 「その都度、助けるわけには、連れ出す訳には行かないでしょう」
- 「……僕が守ると、誓ったのは、ネーベル。君だけです」
- ネーベル
- 「……勝手な理屈」 明確な嫌悪感を示しながら、首を横に振った。
- メルク
- 「だから、誰も彼も、という訳ではありません」
- 「‥ええ、勝手ですよ」 頷いて
- 「…付き合わせている自覚はあるんです。だから、僕は出来ることはしてあげたい。そう思ってるんです」
- ネーベル
- 「……」 彼の調子に、引っ張られている。
こうなると、どうにも手強いのだ。
- メルク
- 「……元気になったら、また仕事に出ましょう。一緒に」
- 「イルスファールもまだまだ、見るところがいっぱいありそうです」
- 「今回の仕事は、ルシェンカという街に仕事で行ってきたんです」
- ネーベル
- 「……、……」 「ルシェンカ?」
- メルク
- 「大きな穴を囲むように作られた街で、その穴が魔法文明時代の遺跡そのものなんだそうです」
- ネーベル
- 「……巨大な遺跡の周囲に、街が形成されている、という事?」
- メルク
- 「ええ。そういう事ですね」
- 「そこで一週間ほど潜って、探し物をしてきました」
- ネーベル
- 「……」 遅いとは、思ったのだ。
「何か、あった?」
- メルク
- 「異大陸との技術交流の痕跡と…‥大型魔動機を見つけました」
- 「大型魔動機の方は、戦闘になってしまったのですが」
- 「人助けが出来たと、思います」 少し笑って
- ネーベル
- 「……」 なんと声を掛けるか、少し迷う。
- 「人助けと、仕事と、どちらを優先しているの」
- メルク
- 「……今は、仕事です」
- 「君との生活もありますから」
- 「ただ、その過程で人助けが出来るなら、それをこなしていきたい。そう思っています」
- ネーベル
- 「……
- 」
- 「いつか、死ぬわよ。貴方みたいな生き方は」
- メルク
- 「…死なない人はいませんよ。ネーベル」
- ふと、笑って 「だから、どう生きていくか、それが問題なんです」
- ネーベル
- [
- 「……そうじゃないわ。取り零して死ぬって、そう言っているの」
- メルク
- 「……」
- ネーベル
- 「私の時は運が良かっただけ。……ちゃんと、解っている?
- その上で……まだ、そんな生き方を続けようと言っているの?」
- メルク
- 「……心配してくださるんですね」
- 「運が良かったのは、分かっています」
- 「……でも出来る限りを、していくと決めています」
- 「確かに僕の腕は短い、届かない場所もあるでしょう」
- 「ただ、だからこそ届く範囲は…」
- 「……届く範囲で諦めたくないんです」
- 「…‥回答になってないかもしれないですが」 少し、苦笑の雰囲気を声から感じるだろうか
- ネーベル
- 「…………」 静かに肩を竦めて
- 「その腕の中のものも、零す生き方をしているの」
- 「…………貴方には解らないでしょうし、やめないんでしょうけれど」
- メルク
- 「……ええ、解りません」 頷いて
- 「ネーベルは、どうすれば零さなくて済むと思っているか、聞かせて貰ってもいいですか?」
- ネーベル
- 「そんなもの、……私の口から言わせるつもりなの」 溜息を吐いて
- メルク
- 「……」 困った表情になって 「僕では解らない、と仰ったのはネーベルの方ではありませんか」
- ネーベル
- 「そうよ。……ただ、それを私が言う事は、……」 揺れる頭を布団に押し付けた。
- それきり押し黙り、静かにメルクの身体に身体を寄せた。
- メルク
- 「……」 座っている自分の方に寄せられた身体を見て 触れてあげたほうがいいのかもしれない、とは思う
- 「……」 自分の手を眺めて それを自分の膝に載せた
- 「‥‥少し、まだ熱っぽいのかもしれませんね」
- 「ゆっくり休んでください。僕は部屋に居るので、いつでも声をかけてください」
- 椅子を持ち上げて ネーベルのベッドの近くから離れる様にして
- 敷居のカーテンを引いた
- ネーベル
- 「……そうよ。きっと、そう」 頷いて、離れて行ったメルクが座っていた場所に、静かに触れた。
- (……熱のせいね。らしくない事ばかりして)
心中で呟き、けれどまだ温度の残る場所に、そっと触れながら目を伏せた。
- メルク
- 「……」 同じ部屋、というのもよくないのかもしれない でも彼女自身は1人で生きていくには彼女自身に対する執着が薄すぎる
- 「……」 自分からは触れない それは自分の中で決めた、ルールだ
- 「…‥」 小さく息をついて 自分のベッドで横になる
- 眠りはしない、彼女が呼ぶことがあれば、すぐに対応できるように
- メルク
- こんなところかな
- ネーベル
- そうね。
- メルク
- お付き合いありがとう
- ネーベル
- ええ、こちらこそ。
- メルク
- それじゃあ、またね
- )))
- ネーベル
- )))
- !SYSTEM
- メルクが退室しました