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幕間

20200503T_0

!SYSTEM
エスメラルダが入室しました
!SYSTEM
ウィスタリアが入室しました
ウィスタリア
おじゃましマす
エスメラルダ
ああ、いらっしゃい。
じゃあ、良ければ始めようか。
ウィスタリア
はい
よろしくお願いシます
エスメラルダ
宜しくお願いします。
 
――王都イルスファール、〈星の標〉。
比較的高い依頼達成率や、所属している冒険者たちの力量、
また、"剛腕"のガルバの名があることもあり 評価が高い冒険者ギルド支店のひとつ。

この宿を訪れる依頼は多種多様だが――冒険者もまた、同じだった。

日も既に落ち、時刻は22時を指そうとしている。
反省会から酔い潰れた者や、満足して店を後にしていく者、
よろよろと自室に戻っていくものもいれば、こんな時間まで本を片手に机と向かい合っている者もいる。
エスメラルダ
机に共通語の本を置き、それに記された文字をゆっくりと書き写し――というには不揃いだが――ているのは、黒髪と青竹色の瞳を持つ青年だ。
ただ静かに、文字を書き起こそうとしては記号の様なものばかりを書き出して こうではないと首を傾げている。
周囲がまだ呑んでいる頃から続けており、それに付き合って少し酒を飲んだのか、机の上には本とペン、メモの他には酒とつまみがそれぞれ置かれている。
エスメラルダ
もういつでも。そちらのタイミングで大丈夫。
 
たん、たん、たん と階段を降りてくるのは
白いブラウスに緑色のスカート 金色の髪を後ろで一本に纏めた少女で
ウィスタリア
「……」 夜の酒場を無表情に眺めている
エスメラルダ
静かになった店内に、その足音が響いたとして 無論気付かない者もいるだろうが、青年はぴくりと反応すると
階段へと視線を向ける。反射的に向けた瞳には、警戒心が残っている様にも見える。
ウィスタリア
すい、と 視線が絡まり エスメラルダの姿を見つけると 軽く会釈をした
エスメラルダ
「……」 ああ、以前の。小さく会釈すると、時計を確認した。
ウィスタリア
機械的なその動きは、ともすれば作り物めいたもので
ゆっくりと店内を進んで エスメラルダのもとへと歩いてくる
エスメラルダ
「こんな時間に、どうかしたのか。眠れなかったか?」 時計からウィスタリアに視線を戻すと、此方へと向かってくる彼女に小首を傾げた。
ウィスタリア
「確認デす」
エスメラルダ
「……?」 訝しむまでではないが 疑問に思ったのか、傾げていた首をそのままにした。
ウィスタリア
「待機の指示は請けていマすが、同居人の方が戻ってクる可能性があったノで」
「睡眠は浅いですが、十分な時間を取っテいます」
「お客様の顔が見れタので、この前の仕事のご評価を頂ケるのではないかと」
エスメラルダ
「浅い。……どれくらいなんだ?」 
同居人がいるのならば問題はないだろうか。とはいえ、こんな時間に戻らないのなら、今日は泊りがけになるのではないだろうか。
ウィスタリア
「3時間毎に目が覚めます。それを2回の6時間睡眠デす」
エスメラルダ
「可能なら、まとめて6時間休めるのがいいんだが……醒めてしまうのか?」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「人によって睡眠時間は分かれるものだが、それは少し短いな」
「けれど、身体がそれに慣れているならば無理に変える事もないだろう。ゆっくり休んで、目が覚めたら動くと良い」
ウィスタリア
「行動に支障はきたシません」
エスメラルダ
その物言いには苦笑を浮かべながら、それならいいんだ、と続けた。
「……仕事の評価、だったな」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「提出された店主が困っている様子は見られなかったし、その後に何か誤解が生じた事もない」
「つまり、確りと文字に起こしてくれたという事だ」 
うん、と頷きながら まだカウンターに残っている店員に声を掛ける。
「ホットミルクをひとつ」 店員にウィスタリアを示しながら注文し 視線を戻す
ウィスタリア
小さく頷きを返して 「ご評価ありがトうございます」
「……?」
エスメラルダ
「依頼は完遂だ。有難う、また頼ませて貰うよ」
ウィスタリア
「……」 佇むようにしつつ 「お客様かラは、報酬をもう頂いてイます」
エスメラルダ
疑問符を浮かべたウィスタリアの様子には薄く微笑むと、やがて運ばれてきたホットミルクを机の上に置き、彼女に示した。
「これは依頼の報酬じゃない。気持ちだよ」
首を横に振り、苦笑した。
ウィスタリア
「気持ち…」 おうむ返しに
エスメラルダ
頷いて もう一度示してみる。
「飲んでみるといい。休む前に一口飲んでおくだけでも変わるものだ」
ウィスタリア
「……」 見ず知らずの人から物をもらってはいけません という指示は受けている けれど目の前の人物は見ず知らずの人物ではない
「承知しました」 頷きを返して 席につく
エスメラルダ
その様子に頷いて返し 広げられていた本に栞を挟むとそれを閉じ、占有スペースを減らす。
無論、机の上に頬杖を突くような相手ではないと察してはいるが、気分の問題だ。
ウィスタリア
「いただきます」 コップを持ち上げて 姿勢正しくのどを鳴らす
エスメラルダ
「ああ、どうぞ」 その様子を眺めながら 小さく頷いた。
ウィスタリア
「……」 二口程呑んで 口を離すと 口元には牛乳ひげが残る
エスメラルダ
「……、くく」 無表情な彼女に牛乳ひげが付いているのを見ると、どうにも笑いが込み上げて来る。
普段とのギャップのせいか、意外性を突かれたというか。
ウィスタリア
「?」 きょとんと
エスメラルダ
「……すまない、顔を拭えるものを」 店員に声をかけると、ウィスタリアを示し
程無くして、店員がナプキンを持って ウィスタリアへと差し出した。
「……口元だ。飲み方のせいかな、口の周りに残ってしまっている」
ウィスタリア
「……」 口元に触れる 白いものが指先に少し付着するのを見て 「ありがとうございマす」 店員からナプキンを受け取る
エスメラルダ
見ていて微笑ましい、が。 このは大丈夫なのだろうか、とぼんやり考える。
ウィスタリア
「……まだ、食事については習熟中なのデす」
エスメラルダ
同居人がいるようではあるが、どうにも危うい印象ばかりが目に付いてしまう。
「習熟? ……という、のは?」
ウィスタリア
「練習をしている、といウ意味です」
「ナイフとフォークは、使い方を覚えまシたが、まだまだ、足りない部分が多いよウです」
エスメラルダ
「いや、言葉の意味は……わかっているけれど。普段は、こういった食事は摂らなかったのか?」
ウィスタリア
「なかったようデす」 頷いて
エスメラルダ
「……様です、というのは。自分の事だろう?」
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「では、何故その表現を?」
ウィスタリア
「わたしは記憶(メモリー)が不足していマす」
エスメラルダ
その言葉を受けて、視線は彼女の首元まで降りる。硬質素材を確認できるか、じっと一瞥した。
ウィスタリア
その様なものはみられない>エスメラルダ
エスメラルダ
「……君は、ルーンフォークではない、だろう?」 
ウィスタリア
「はい」
エスメラルダ
「では、メモリー、とは?」
ウィスタリア
「思い出せナいのです。色々なことが、"無い"のです」
エスメラルダ
「記憶の喪失、か。……いつからだ? 頭を打った、だとか?」
ウィスタリア
「判然としまセん」
エスメラルダ
「……」 考え込む様に眼を伏せて 「何か、思い出せるものは? 何一つないのか_」
エスメラルダ
「~ないのか?」
ウィスタリア
「……あります」 少し間を置いて そういった
「"いきなさい"、と、そう言われたのデす。きっと、最後に」
エスメラルダ
――……」 制止を掛ける手を出そうとして、間に合わなかった事に少し申し訳なさそうに目を伏せた。
ウィスタリア
「…?どうされまシた」
エスメラルダ
「……いや。言って気分良い事ではなかったろう、と思ったんだ」
ウィスタリア
「状態は悪くありまセん」
エスメラルダ
「……、……身体の話ではないよ。気分とか、心の話だ」
ウィスタリア
「心」
エスメラルダ
「ああ、気分の事、だからな」
ウィスタリア
「難しイです」
エスメラルダ
「……」 「生きていれば、いつかきっと解る時が来る」
ウィスタリア
「……‥来るのデしょうか」 
そこは、疑問に浮かぶ様子で
エスメラルダ
「きっと来る。……君が生き続ける限り、いつかきっと」
「生きる事なんてそんなものだ。色んなものに、いつか気付くんだ」
「いつか、口元を汚さずに飲める様にもなるさ」
ホットミルクの注がれたカップを示して これは少し茶化す様に呟いた。
ウィスタリア
「気づいたら、今より良いのデしょうか」
「習熟していけば、いずレは」 真面目に頷きを返して 
エスメラルダ
「どうかな。知らなければよかった、気付かなければよかったと思う事は、間違いなくあるから」
ウィスタリア
コップにまた口をつける
エスメラルダ
「だが、それと同じくらいには、知ってよかった、気付けてよかったと思える事もある」 その様子を見て、小さく微笑んだ。
「美味しいか?」 カップを示して どうだい、と首を傾げた。
ウィスタリア
「……問題あ、」
口を離して応えようとして
「……美味しイです」
「不快ではなく、暖かです。食べる上で問題がナい時は」
「それが、美味シいと、教えていただきマした」
エスメラルダ
「……それでは、ただ暖かければ美味しい、になってしまうかもしれないが」 
苦笑したが、けれどそれで正しい気もする。否定はせずに、頷いた。
「それはホットミルク、というんだ。……もう一度欲しくなった時は、そう告げてみると良い」
ウィスタリア
「違いまスか?、誤っていれば、訂正を」
エスメラルダ
「ううん、……」 「食べ物自体の熱は、関係はないよ」
「ただ、……もう一度食べたい、だとか。心が温まったのなら、きっとそれは、君にとって美味しい、んだろう」
ウィスタリア
「‥‥」 頷いて
「覚えまシた」
飲み終え、口元をナプキンで拭い直すと
エスメラルダ
「良い事だ。……偉そうなことばかり言ってしまったな」 
ウィスタリア
「いいえ、ご評価頂キ、ありがとうございマした」
「ごちそうさまでした」
エスメラルダ
「ああ。……休むか?」
ウィスタリア
「外を確認シ、その後に待機に戻りマす」
頷きを返して
エスメラルダ
「ああ。……、そういえば、君はここの冒険者、なのか?」
ウィスタリア
「はい。先日、登録をしマした」
エスメラルダ
「なら、心配は無用だろうが……時間も時間だ。周囲には気を付けるんだぞ」
ウィスタリア
「承知しました」
エスメラルダ
頷いて、見送る様に視線を向けた。
ウィスタリア
席を立ち、流れるような動作で歩き出す
戦闘術に長けたもの特有のよどみない動作で
エスメラルダ
「いってらっしゃい」 その背中に、本を広げながら、視線は向けずに投げかけた。
ウィスタリア
「……いってまいりマす」
頷きを返して 扉を開けて外に出た
エスメラルダ
こんなところか
ウィスタリア
はい
お付き合いありがとうございまシた
エスメラルダ
こちらこそありがとう。またどこかで。
ウィスタリア
はい
)))
!SYSTEM
ウィスタリアが退室しました
エスメラルダ
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背景
BGM