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- エスメラルダが入室しました
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- ウィスタリアが入室しました
- ウィスタリア
- おじゃましマす
- エスメラルダ
- ああ、いらっしゃい。
- じゃあ、良ければ始めようか。
- ウィスタリア
- はい
- よろしくお願いシます
- エスメラルダ
- 宜しくお願いします。
-
- ――王都イルスファール、〈星の標〉。
比較的高い依頼達成率や、所属している冒険者たちの力量、
また、"剛腕"のガルバの名があることもあり 評価が高い冒険者ギルド支店のひとつ。
この宿を訪れる依頼は多種多様だが――冒険者もまた、同じだった。
日も既に落ち、時刻は22時を指そうとしている。
反省会から酔い潰れた者や、満足して店を後にしていく者、
よろよろと自室に戻っていくものもいれば、こんな時間まで本を片手に机と向かい合っている者もいる。
- エスメラルダ
- 机に共通語の本を置き、それに記された文字をゆっくりと書き写し――というには不揃いだが――ているのは、黒髪と青竹色の瞳を持つ青年だ。
- ただ静かに、文字を書き起こそうとしては記号の様なものばかりを書き出して こうではないと首を傾げている。
- 周囲がまだ呑んでいる頃から続けており、それに付き合って少し酒を飲んだのか、机の上には本とペン、メモの他には酒とつまみがそれぞれ置かれている。
- エスメラルダ
- もういつでも。そちらのタイミングで大丈夫。
-
- たん、たん、たん と階段を降りてくるのは
- 白いブラウスに緑色のスカート 金色の髪を後ろで一本に纏めた少女で
- ウィスタリア
- 「……」 夜の酒場を無表情に眺めている
- エスメラルダ
- 静かになった店内に、その足音が響いたとして 無論気付かない者もいるだろうが、青年はぴくりと反応すると
- 階段へと視線を向ける。反射的に向けた瞳には、警戒心が残っている様にも見える。
- ウィスタリア
- すい、と 視線が絡まり エスメラルダの姿を見つけると 軽く会釈をした
- エスメラルダ
- 「……」 ああ、以前の。小さく会釈すると、時計を確認した。
- ウィスタリア
- 機械的なその動きは、ともすれば作り物めいたもので
- ゆっくりと店内を進んで エスメラルダのもとへと歩いてくる
- エスメラルダ
- 「こんな時間に、どうかしたのか。眠れなかったか?」 時計からウィスタリアに視線を戻すと、此方へと向かってくる彼女に小首を傾げた。
- ウィスタリア
- 「確認デす」
- エスメラルダ
- 「……?」 訝しむまでではないが 疑問に思ったのか、傾げていた首をそのままにした。
- ウィスタリア
- 「待機の指示は請けていマすが、同居人の方が戻ってクる可能性があったノで」
- 「睡眠は浅いですが、十分な時間を取っテいます」
- 「お客様の顔が見れタので、この前の仕事のご評価を頂ケるのではないかと」
- エスメラルダ
- 「浅い。……どれくらいなんだ?」
同居人がいるのならば問題はないだろうか。とはいえ、こんな時間に戻らないのなら、今日は泊りがけになるのではないだろうか。
- ウィスタリア
- 「3時間毎に目が覚めます。それを2回の6時間睡眠デす」
- エスメラルダ
- 「可能なら、まとめて6時間休めるのがいいんだが……醒めてしまうのか?」
- ウィスタリア
- 「はい」
- エスメラルダ
- 「人によって睡眠時間は分かれるものだが、それは少し短いな」
- 「けれど、身体がそれに慣れているならば無理に変える事もないだろう。ゆっくり休んで、目が覚めたら動くと良い」
- ウィスタリア
- 「行動に支障はきたシません」
- エスメラルダ
- その物言いには苦笑を浮かべながら、それならいいんだ、と続けた。
- 「……仕事の評価、だったな」
- ウィスタリア
- 「はい」
- エスメラルダ
- 「提出された店主が困っている様子は見られなかったし、その後に何か誤解が生じた事もない」
- 「つまり、確りと文字に起こしてくれたという事だ」
うん、と頷きながら まだカウンターに残っている店員に声を掛ける。
- 「ホットミルクをひとつ」 店員にウィスタリアを示しながら注文し 視線を戻す
- ウィスタリア
- 小さく頷きを返して 「ご評価ありがトうございます」
- 「……?」
- エスメラルダ
- 「依頼は完遂だ。有難う、また頼ませて貰うよ」
- ウィスタリア
- 「……」 佇むようにしつつ 「お客様かラは、報酬をもう頂いてイます」
- エスメラルダ
- 疑問符を浮かべたウィスタリアの様子には薄く微笑むと、やがて運ばれてきたホットミルクを机の上に置き、彼女に示した。
- 「これは依頼の報酬じゃない。気持ちだよ」
首を横に振り、苦笑した。
- ウィスタリア
- 「気持ち…」 おうむ返しに
- エスメラルダ
- 頷いて もう一度示してみる。
- 「飲んでみるといい。休む前に一口飲んでおくだけでも変わるものだ」
- ウィスタリア
- 「……」 見ず知らずの人から物をもらってはいけません という指示は受けている けれど目の前の人物は見ず知らずの人物ではない
- 「承知しました」 頷きを返して 席につく
- エスメラルダ
- その様子に頷いて返し 広げられていた本に栞を挟むとそれを閉じ、占有スペースを減らす。
- 無論、机の上に頬杖を突くような相手ではないと察してはいるが、気分の問題だ。
- ウィスタリア
- 「いただきます」 コップを持ち上げて 姿勢正しくのどを鳴らす
- エスメラルダ
- 「ああ、どうぞ」 その様子を眺めながら 小さく頷いた。
- ウィスタリア
- 「……」 二口程呑んで 口を離すと 口元には牛乳ひげが残る
- エスメラルダ
- 「……、くく」 無表情な彼女に牛乳ひげが付いているのを見ると、どうにも笑いが込み上げて来る。
普段とのギャップのせいか、意外性を突かれたというか。
- ウィスタリア
- 「?」 きょとんと
- エスメラルダ
- 「……すまない、顔を拭えるものを」 店員に声をかけると、ウィスタリアを示し
- 程無くして、店員がナプキンを持って ウィスタリアへと差し出した。
- 「……口元だ。飲み方のせいかな、口の周りに残ってしまっている」
- ウィスタリア
- 「……」 口元に触れる 白いものが指先に少し付着するのを見て 「ありがとうございマす」 店員からナプキンを受け取る
- エスメラルダ
- 見ていて微笑ましい、が。 この子は大丈夫なのだろうか、とぼんやり考える。
- ウィスタリア
- 「……まだ、食事については習熟中なのデす」
- エスメラルダ
- 同居人がいるようではあるが、どうにも危うい印象ばかりが目に付いてしまう。
- 「習熟? ……という、のは?」
- ウィスタリア
- 「練習をしている、といウ意味です」
- 「ナイフとフォークは、使い方を覚えまシたが、まだまだ、足りない部分が多いよウです」
- エスメラルダ
- 「いや、言葉の意味は……わかっているけれど。普段は、こういった食事は摂らなかったのか?」
- ウィスタリア
- 「なかったようデす」 頷いて
- エスメラルダ
- 「……様です、というのは。自分の事だろう?」
- ウィスタリア
- 「はい」
- エスメラルダ
- 「では、何故その表現を?」
- ウィスタリア
- 「わたしは記憶が不足していマす」
- エスメラルダ
- その言葉を受けて、視線は彼女の首元まで降りる。硬質素材を確認できるか、じっと一瞥した。
- ウィスタリア
- その様なものはみられない>エスメラルダ
- エスメラルダ
- 「……君は、ルーンフォークではない、だろう?」
- ウィスタリア
- 「はい」
- エスメラルダ
- 「では、メモリー、とは?」
- ウィスタリア
- 「思い出せナいのです。色々なことが、"無い"のです」
- エスメラルダ
- 「記憶の喪失、か。……いつからだ? 頭を打った、だとか?」
- ウィスタリア
- 「判然としまセん」
- エスメラルダ
- 「……」 考え込む様に眼を伏せて 「何か、思い出せるものは? 何一つないのか_」
- エスメラルダ
- 「~ないのか?」
- ウィスタリア
- 「……あります」 少し間を置いて そういった
- 「"いきなさい"、と、そう言われたのデす。きっと、最後に」
- エスメラルダ
- 「――……」 制止を掛ける手を出そうとして、間に合わなかった事に少し申し訳なさそうに目を伏せた。
- ウィスタリア
- 「…?どうされまシた」
- エスメラルダ
- 「……いや。言って気分良い事ではなかったろう、と思ったんだ」
- ウィスタリア
- 「状態は悪くありまセん」
- エスメラルダ
- 「……、……身体の話ではないよ。気分とか、心の話だ」
- ウィスタリア
- 「心」
- エスメラルダ
- 「ああ、気分の事、だからな」
- ウィスタリア
- 「難しイです」
- エスメラルダ
- 「……」 「生きていれば、いつかきっと解る時が来る」
- ウィスタリア
- 「……‥来るのデしょうか」
- そこは、疑問に浮かぶ様子で
- エスメラルダ
- 「きっと来る。……君が生き続ける限り、いつかきっと」
- 「生きる事なんてそんなものだ。色んなものに、いつか気付くんだ」
- 「いつか、口元を汚さずに飲める様にもなるさ」
ホットミルクの注がれたカップを示して これは少し茶化す様に呟いた。
- ウィスタリア
- 「気づいたら、今より良いのデしょうか」
- 「習熟していけば、いずレは」 真面目に頷きを返して
- エスメラルダ
- 「どうかな。知らなければよかった、気付かなければよかったと思う事は、間違いなくあるから」
- ウィスタリア
- コップにまた口をつける
- エスメラルダ
- 「だが、それと同じくらいには、知ってよかった、気付けてよかったと思える事もある」 その様子を見て、小さく微笑んだ。
- 「美味しいか?」 カップを示して どうだい、と首を傾げた。
- ウィスタリア
- 「……問題あ、」
- 口を離して応えようとして
- 「……美味しイです」
- 「不快ではなく、暖かです。食べる上で問題がナい時は」
- 「それが、美味シいと、教えていただきマした」
- エスメラルダ
- 「……それでは、ただ暖かければ美味しい、になってしまうかもしれないが」
苦笑したが、けれどそれで正しい気もする。否定はせずに、頷いた。
- 「それはホットミルク、というんだ。……もう一度欲しくなった時は、そう告げてみると良い」
- ウィスタリア
- 「違いまスか?、誤っていれば、訂正を」
- エスメラルダ
- 「ううん、……」 「食べ物自体の熱は、関係はないよ」
- 「ただ、……もう一度食べたい、だとか。心が温まったのなら、きっとそれは、君にとって美味しい、んだろう」
- ウィスタリア
- 「‥‥」 頷いて
- 「覚えまシた」
- 飲み終え、口元をナプキンで拭い直すと
- エスメラルダ
- 「良い事だ。……偉そうなことばかり言ってしまったな」
- ウィスタリア
- 「いいえ、ご評価頂キ、ありがとうございマした」
- 「ごちそうさまでした」
- エスメラルダ
- 「ああ。……休むか?」
- ウィスタリア
- 「外を確認シ、その後に待機に戻りマす」
- 頷きを返して
- エスメラルダ
- 「ああ。……、そういえば、君はここの冒険者、なのか?」
- ウィスタリア
- 「はい。先日、登録をしマした」
- エスメラルダ
- 「なら、心配は無用だろうが……時間も時間だ。周囲には気を付けるんだぞ」
- ウィスタリア
- 「承知しました」
- エスメラルダ
- 頷いて、見送る様に視線を向けた。
- ウィスタリア
- 席を立ち、流れるような動作で歩き出す
- 戦闘術に長けたもの特有のよどみない動作で
- エスメラルダ
- 「いってらっしゃい」 その背中に、本を広げながら、視線は向けずに投げかけた。
- ウィスタリア
- 「……いってまいりマす」
- 頷きを返して 扉を開けて外に出た
- エスメラルダ
- こんなところか
- ウィスタリア
- はい
- お付き合いありがとうございまシた
- エスメラルダ
- こちらこそありがとう。またどこかで。
- ウィスタリア
- はい
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- ウィスタリアが退室しました
- エスメラルダ
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