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- フランシアが入室しました
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- イーラの地下。〈天上の剣〉よって、ソールとルーナ、二人の"巫女"と仲間たちと繋がり、〈天上の剣〉のその力の一端に触れたフランシア
- その後、村へと戻り それぞれが次の行動に向けて待機している頃
- 茨が解かれ、美しい長剣となった武器を眺めやりながら フランシアは1人、神殿の聖堂の中に居た
- フランシア
- ここが、元はライフォスの神殿であるということが 多少なりとも王都を想起させて、落ち着くからかもしれない
- 今は、誰かと一緒にいると言うよりも、1人になりたかった
- より正確に心情を表現するのならば
- シリカと、一緒に居たかった
- 「──、」 武器を眺めやる この力を受け取った時、強く、強くそう思ったのと同時に
- 「……」 身勝手な感想だろう 許されたと、許してもらえたと、そう思ってしまった
- 剣を手に取り、鞘から、刃を引き抜く ゆっくりと刃に力を込めれば、普段とは違う感覚に、少し戸惑う
- 自分は魔法が使えない。祈っても神聖魔法は宿らないところを見ると、そうした才がないのかも知れない
- しかし、今は──、どこか、自分の知らない力が身体を巡るように、白色の魔力が刃に流れることが、わかる
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- フランシアの想いに応えるように、刃は白く、白く染まって
- フランシア
- 「──、」 シリカも、この感覚を味わっているのだろうか 彼女もまた、こうして力を振るっているのだろうか
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- 薄暗い聖堂の中で、刃が照らす仄かな灯りだけが フランシアを照らして
- フランシア
- 「……シリカ」 会いたい 踏み出す覚悟と進む覚悟、両方できていたはずなのに 今は、ソールの騎士であろうと思っていたのに
- 揺れているのが分かる もう取り戻せないはずだったものが、目の前にちらつかされた感覚がある
- 刃を納め、鞘ごと抱きしめて 蹲るようにして 長椅子の一つで小さくなる
- 「………ごめんなさい」
- 「………ごめんなさい…ごめんなさい……」
- 小さく小さく、何度も呟かれるのは謝罪の言葉で
- 「子供心に本気だったんです……」 誰も聞いては居ない、誰も、答えはしない
- 「貴女の騎士になると……お守りすると……」
- 「ずっと、一緒に居ると……」
- 「ずっと、……一緒に……」
- 「それを……私は……守ることも出来ず」
- 「……あろうことか‥…貴女が掴みかけた幸せまで……奪って…」
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- 徐々に、嗚咽が声に混ざり始める
- フランシア
- 「貴女の大事な人を……奪って……」
- 「……貴女自身を……手にかけて……」
- 心臓を貫く感覚、憤怒に満ちた表情 雪の日の記憶
- 精一杯の力を込めて首を絞めるようにしてきた 友だった彼女
- 彼女は全て知っていた
- 彼女が一番辛い頃、私がディニスいた事も
- 彼女が、私を、リンザー家を頼ってユディスに来たことも
- 「……コルネリア…私は……」
- 「私は……」
- 「……それでも私は、貴女を取り戻したかった…」
- 「償いたかった……」
- 「喪わせた分だけ、取り戻したかった……」
- 「……今度こそ力になりたかった」
- 「力になれなかった分だけ……貴女の剣になりたかった」
- 「貴女を……守りたかった……」
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- 誰も聞かない、告解は続く 時折、嗚咽を交えながら
- フランシア
- 「………でも、もう」
- 「貴女は居ない……何処にも、居ない…」
- 「……それは、分かってる…分かってるの…」
- 「それでも夢でまだ見る……貴女の事を…」
- 「……今日も、見るかも知れない…」
- 「……」
- 肩を抱くようにして 自分を自分で抱きしめるようにして 身体を縮める
- フランシア
- ちょっと19時頃まで離席です
- フランシア
- 「……それでも」
- 「……前に進む…と、決めたから…」
- 「……」 救えなかった命を考える "三刃の魔竜"で喪われた騎士、ハイジア卿 レノア・エマール殿
- いつだって、無力感は、手をすり抜けるようにして 素敵な人達を連れ去ってしまう
- そうはならない、そうはさせない 口にしてきた、口に出してきた いつだって
- 出来ることをしてきた。 これが最善だと、これが正しいと
- 『正しいことを行う事も、正しいことを行えると思う事も、だれにでも出来ることじゃない』
- 「……」 奪ってしまったからには、手に掛けてしまったからには……もう揺れることなんて許されない
- 「だから…‥私は…」
- 「……進めることを示し続けたい」
- 示し続けたい? 示さなければならない? 自分の歩く道が、どんな道なのかもう分かっているはずだ
- 「……」 更に縮まり、蹲るようにして マントが擦れる音が 小さく響く
- 「……シリカ」 名前を呼ぶ
- 「………」 つよく、つよく思い出す 思い出すと
- 「……こんな姿、見せられませんね」 徐々に、思考がクリアになっていく
- 身体を解く ゆっくりと 身体を起こす
- 「……私はシリカの、鞘なのだから」
- 「……誓いますコルネリア、貴女の魂に」
- 立ち上がって剣を佩び ライフォスを象る像の前までやってくる
- 長剣を引き抜き 騎士の礼を取る
- 「私フランシア・リンザーは、光の巫女ソールの騎士、そして貴女の騎士として……最愛の人の"鞘"として」
- 「──、」 様々な思いが巡る 守れなかったこと、守れたこと、
- これから先、その葛藤は忘れることは出来ないだろう。でも、それでも
- 「──、我が剣を捧げ、今ある"希望"を守り抜きます」
- ライフォスの神像に剣を掲げて
- 少女は、そう高らかに宣言をする 光がステンドグラスに差し込み、それを照らした
- 「……この大地を、必ずや。貴女が眠る大地へと、彼女が住む大地へと」
- 「帰還させます」
- 「……だから、また伺います。必ず、シリカと一緒に」
- 剣を改めて納めて ライフォスの神像に祈りを捧げる
- 「……」 きっと、届く 許されることはないだろう。許されると思いたかった自分が居るのも事実だ
- だけどもう、それを含めて、私は先に進みたい
- 祈りを捧げ終わると 少女は聖堂を後にする
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- フランシアが退室しました