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フェルとレナ 好きな食べ物

20200304_0

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フェルが入室しました
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レナが入室しました
 
 
 
──星の標1階酒場──夜──
食事をするには大分遅く、眠りにつくものが増えた頃合い。星の標の酒場は客も大方が帰路につき、静かな時が流れている
そんな酒場の一角、テーブル一つを占拠しているのは、フードを被った小柄な少女。名をフェルと言う。
冒険者としてのランクが高いわけでは無いが、宿の者には実力は知られている。そして実力以外にも知られていることが一つ。
それは、大食いであること。
小柄な身体のどこに入るのかというくらいに良く食べる。
という訳で、彼女の着くテーブルには所狭しと料理が並べられるのが日常なのだが
フェル
「────」 大量の料理を前にしてぼんやりとしている。どうも最近は食の進みが良くない様で、頼むには頼むのだが残すことが多かったりするのだ。
 ―――からんころん。
 鳴ったドアベルは客が帰る音ではなく、新しく踏み込む者が鳴らしたものだ。
フェル
「ううん……」ゆっくりと料理を口に運ぶ。食べられない訳ではない。のだが、どうにも美味しいと感じない
 これまたフードを被った小柄の少女で、身の丈に見合わぬ長大な大斧を担いでいる。
フェル
「ん……」 普段なら食事中に意識を他に向けることは殆どないのだが、気が進まないのもあってか、今日はたまたまそちらを見た 「あれ……」 あの姿には見覚えがある
レナ
―――
 つかつかと受付カウンターに向かい、何事か話をしている。
 どうやら、依頼を終えて今しがた帰ったところらしい。
フェル
「ええと……そう、レナ」暫し考え、思い出した名前を呼ぶ 「レナ、レナ」 いつも通り、感情を感じさせない表情ながら、ひらひらと手を振って、手招きする
レナ
「……はい、じゃあこれでお終いね」
 簡単な報告を済ませ、報酬を受け取り。
「じゃ、ついでに―――
 何か食ってくから、と言おうとしたら。何か呼びかけられている気がする。
フェル
「こっちです。レナ」 反応を見てもう一度呼びかける
レナ
 ……名指しで自分を呼ぶなど、店主等以外で何者か。
 微妙に眉根を寄せつつ、声の方を向く。
「……ああ。あなた」
フェル
「こんばんは」 手招き手招き 料理に占領されたテーブル席である
「おなかへってません?」 挨拶もそこそこに
レナ
「………」
 手招きされて微妙な顔。あのテーブルではわたしの注文したモノが置かれるスペースがないではないか。
「……ちょうど食事するところだったのだけど。それがなに?」
フェル
「片付けるのを手伝ってくれたら、と」 見れば殆ど手つかずだ。まだ湯気が出ているあたり、そう時間は経っていないのだろうが
レナ
「……自分で頼んだなら責任もって自分で食べなさいよ」
 微妙に呆れた雰囲気を醸しつつも、対面に座る。
フェル
「ありがとうございます」座ったということは了承したのだろう 「食べられますけど、味が」
レナ
 ごとっと大斧を適当なところに立て掛けつつ。
「どれ持っていっても文句つけないでよ」
フェル
「良いですよ。助かります」 ほうと一息
野菜もあるが全体的には肉が多めである
レナ
「味?」
 ここの料理は別に味が悪いなんてことはない筈だが。(おもむろ)に適当な主食(パン)など取って齧り付きつつ。
フェル
別にいつもと変わりはない。美味しいと言える部類だろう
「たぶん、問題は私ですね。たまに、味があまり感じられないことがあるんです」 今日はそういう日
レナ
「……ふぅん」
 興味薄げに。
「味覚障害ってやつ?」
 言いつつ、適当な肉にフォークを突き立てて口へ運ぶ。
フェル
「んー、どうでしょう。たまにそういう事があるくらいで、いつもは美味しいと思っていますよ」
「最近は、頼んでみたけれどやっぱり味がしない、ということが多くて」 「流石に、味がしないとあまり食べる気になれないと言いますか」
自分はサラダ類にフォークを刺してもしゃもしゃと頬張る。肉を食べて味がしない、よりは違和感が薄い
レナ
「体の調子を崩すとそういう風になるって聞いたことあるわ」
 もっもっ。遠慮の欠片も見せず人の頼んだ料理を食い進める。
フェル
「体の調子、ですか」 首を傾げ、目を瞑って考える
レナ
「風邪でも引いたんじゃないの」
 知らんけど、と続きそうなくらいの雑な調子で返す。
フェル
特にだるいということもない、痛みもない 「んー……」 額に手を当てる。熱も無い
「特に、自覚はないですね」
「まあ、そのうち戻るとは思いますけど……つまらないです」
レナ
「ふぅん。じゃ、なんでしょうね」
「つまらない、ね。まあ、味がわからなければ、食事なんてつまらないでしょうね」
フェル
「ええ。という訳で、好きなだけ食べて下さい。レナもいっぱい食べますよね」 そうだった筈
レナ
昔のお友達は言いました。作業みたいなものだと。
レナ
「言質はとったから遠慮なんてしないけど」
 もぐもぐ。
「でも、いいの。腹は」
フェル
「少し食べたら、食欲なくなりました」 少し=一人前 「味がしないのを食べ続けるのは、なんというか、虚無です」ソースの類いを小皿に注いで直接舐めてみた
「───」 首を傾げる
レナ
「そ」
 ま、そういうなら別にいいか、と、食事を続行する。
フェル
「────」 ふと、目線を上げて、食事中のレナを見た。あれは、美味しいだろうか
レナ
「……なに? 今更やっぱりそれください、なんて言うんじゃないでしょうね」
 視線を感じて、怪訝な表情になる。
 言いつつ手元の料理は口元にどんどん運んで行く。
フェル
「美味しそうだな、と──」 ごくりと喉を鳴らして、目線がレナの口元から喉に向かい 「──いえ、言いませんよ」 そこで、目を閉じてかぶりを振った
レナ
「食欲がなくなったとか言ったさっきの今で、なに?」
 なんだこいつ。情緒不安定か?と微妙な顔。
「欲しいなら、自分で追加注文しなさいよ」
フェル
「──」 適当に肉の串焼きでも頬張り 「レナが美味しそうにするので。まあ、やっぱりダメですね」
レナ
「難儀なやつね」
 ばりばり、と割合的には少ない野菜を食みつつ。
「……………」
 なんだろう。何か違和感がある気がするが。
フェル
「ええ、気の所為です」 自分に言い聞かせるように呟き
「ところで、レナは何が一番好きですか?」 自分の思考を逸らせるためか、話題を振った
レナ
 違和感。違和感。
 いや、違和感というより既視感、か? 覚えのあるモノを何か感じた気がするが―――
「? 何って」
 思考が中断させられる。
フェル
「好きな食べ物」
レナ
「……好きな食べ物、ね」
「…………」
 やや間があり。
フェル
「そんなに考えることでしたか?」 他愛も無い話なのに
レナ
「…………拘りが無い方なのよ」
 少しむっとしつつ。
「……まあ、肉かしら。牛、豚、羊、鶏……なんでもいいけど」
「厚切りのステーキで、そうね、レアよりはウェルダンのほうがいいわ」
フェル
「へぇ。私もお肉は好きですが、逆ですね」
レナ
「逆? ……ああ、レアのほうがいいってこと」
フェル
「はい。ステーキなら血が滴るくらいの方が」 こくり。あ、いけない、また思考が戻ってきた気がする
レナ
「……。ステーキの赤い肉汁って血じゃないらしいけど」
 微妙に神妙な顔でツッコミを入れた。
フェル
「ああ、そうなんですか? 普通の血の味とは違うとは思ってましたけど」
レナ
「だいたい、普通血抜きするでしょ」
フェル
「あ……」 そうだった 「そうでしたね。血抜きしていました」
レナ
「それくらい気づきなさいよ……―――
 ん?
「……」
フェル
「抜いた血は集めて、他の部位と一緒に煮込んで、腸詰めに」 ブラッドソーセージ
レナ
「……ああ、そういうのもあったわね」
フェル
「──まあ、血抜きしない生というのも結構」 話していると思い出す
レナ
 考えすぎか、と肩を下ろし掛けたが、
「いや食べたことあるのね」
「ああ、もう……」
 何か、さっき感じた既視感の正体に思い至りそうだ。
フェル
「──ああ、まあ、はい」 ちょっとはっとして、濁した
レナ
「……」
 考え込むように、自分の首元を(さす)る。
フェル
「───」 そういう動作をされると、駄目だと思っても視線が首に誘導されてしまう。綺麗で、柔らかさそうな
レナ
―――
 じろり、と。強めの視線を投げ返す。
「食う気なら、殺される覚悟をすることね」
フェル
「───」 ぴたり、と動きが止まった 「変なことを言いますね。レナは」
レナ
 ふん、と鼻を鳴らし。
「ごまかす気があるなら、もう少し言動に気を遣いなさい」
「気のせい、で済ませるにも済ませられる限度っていうものがあるのよ」
フェル
「………」 少し目線を下げてから、なんだか申し訳無さそうに眉を下げた 「分かっちゃいますか」
レナ
「覚えがあるわ、あなたみたいな振る舞いをするやつ」
フェル
「──そうでしたか。気をつけます」 「大丈夫です。食べませんよ。私は、こっち側ですから」
どこか自分に自分に言い聞かせるようにして、野菜を口に運んだ
レナ
「今回は気のせいだったことにしてあげるわ。
 今後は気をつけて」
「……街中で人喰い騒ぎでも起こされちゃ、たまったものじゃないわ」
 最後の一言は、ひとりごちるように言った。
フェル
「ありがとうございます」 一息ついて
レナ
「……ふん」
フェル
「ちなみに──覚えがあるというのは、聞かないほうが良いですか」 勿論効かない方がいいのだろうが、それは気になってしまった
レナ
 じろ、とまた強めの視線。
「面白い話じゃないわ」
フェル
「──ではやめておきましょう」
レナ
「そうして」
フェル
「──ほんとに、抑えている方なんですけどね。最近なんてむしろ私が喰わ……あ」
何かに気付いた様にふと動きを止め
レナ
 そういう話をやめろと言っているのだが―――
「なに?」
フェル
「ああ、いえ、不調」 長く息を吐き出し 「──精神的に、大分不調だったのだな、と、思い至るところがありまして」
レナ
「……」
 だいぶ話題が戻ったな。
「精神的不調、ねえ」
フェル
「そういえば、味を感じなくなったのって、毎回、不満とか溜まった頃だったかな、と……」珍しく、ため息をついた
レナ
「ふぅん。適当にストレス解消でもすれば」
フェル
「食べることが解消法でもあるんですが、それがこれだと、酷い有様です」
レナ
「じゃあ、何か別の」
フェル
「食欲がダメなら残すところは2つですが───性欲という気分でもないですし、寝るしか無いですかね」
レナ
「あなた三大欲求しか無いの」
 呆れ顔になった。
フェル
「娯楽というものが良く分かりません。カードとかで遊んだり、というのはありましたけど……」
レナ
「気に入らない奴を半殺しにするとか」
フェル
「楽しいですか?それ。私が戦うのは、仕事だからですよ」
レナ
「それなりにストレス解消にはなるわ」
フェル
「レナはそうしてるんですね。バルバロスですか」 他のやつはそういうことしてたなぁ
レナ
「失礼ね。そこまで野蛮じゃないわ」
フェル
ちなみにバルバロスの場合、大抵 半 はつかないのである
「半がついているだけそうですね」
レナ
「ぶっ飛ばしてもいい相手くらいは選ぶわよ」
フェル
「んー、ぶっ飛ばすのはともかく、身体を動かすのはいいかも知れませんね。イルスファール一周でもしますか……」
レナ
「……まあ好きにしたら」
「ところで」
フェル
「はい?」
レナ
こっち側だって言うなら“蛮族”って言っときなさい」
フェル
「──あ、はい。そうですね」
レナ
「わざわざバルバロスだなんて言うの、あなたみたいなとんちんかんか、博愛主義の聖人サマだもの」
 あなた、どう考えても後者じゃないでしょう? と言いたげ。
フェル
「気をつけます。無意識に言葉が出ちゃったりしてるみたいですしね」
「レナは優しいですね」
レナ
「勘違いしないで」
「あなたみたいなのがうっかり面倒を起こすと、わたしに迷惑がかかるかもしれないから言ってるの」
フェル
「なるほど?」 わかりました?
「さて」 立ち上がり 「会計は私に来るので、気にせず食べてて下さい。ちょっと走ってきます」 
レナ
「……」
 行動が早いなこいつ。
「そう。いってらっしゃい」
フェル
「はい。あ、ところで」
レナ
「なに」
フェル
「睨むレナって、なんか可愛い感じでしたよ」
レナ
「…………………ぶっ飛ばされたいの?」
フェル
「殴られるよりは優しくされたいですね。では、また味覚が戻った頃に食事でもしましょう」 いつも通りの無表情のまま、いっぱい手を振ってから去っていった
レナ
「あ、ちょっと、この……」
 ちっ、もう行ってしまった。
フェル
そう、まだ大量の料理を残して……
レナ
「……」
 はあ。
「……ま、いいわ」
 奢りみたいなものだし、これでチャラにしておいてやる。
レナ
終わり感。
レナ

 なお、大量の料理は平気で完食されたのであった。恐るべし。
フェル
恐るべし
ちなみにこの夜以降、イルスファールの一部では、
「夜になると小さな影がすごい勢いで明かりもつけず(猫暗視)走り抜けていくことがある」
「盗賊だ」「いや通り魔らしい」とかゴシップめいた噂が広まったりするのであった。
 
 
フェル
という感じでお疲れ様でした
レナ
おつかれさまでした。
フェル
ありがとー
では撤退ん
レナ
てっしゅー
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フェルが退室しました
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レナが退室しました
背景
BGM