BD幕間(アンスレイ、フレイヤ)
20200302_0
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- アンスレイが入室しました
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- フレイヤが入室しました
- フレイヤ
- ふう
- どんな感じの導入がいいだろう。何かイメージあった?
- アンスレイ
- そうね、こっちから会いにいくってテイで
- フレイヤが準備してるところに訪れるぐらいのざっくりなイメージ
- だったけど、どうだろ
- フレイヤ
- OK
- アンスレイ
- 導入できなくもないけど俺やると遅いからお願いしていい……?
- フレイヤ
- わかったw
- アンスレイ
- すまねえ
- フレイヤ
- ちょっと前回の最後のほうだけ確認する
- アンスレイ
- うん
- #
- ――不気味に、蒼く揺らめく空。本来、人にとって心地よい青空とは違って、それは見上げていると不安になるような、異質な空だ。
- 策謀により、巨大な魔域に飲み込まれ、危機に立たされたディニス。
- 危急の時にあって、そのディニスを守る軍は健闘を続けており、冒険者たちはその拠点に一時的に身を置いていた。
- 来たるべき決戦の為の、情報共有と最後の準備のためだ。
- フレイヤ
- 「――少なくてごめんね。軍の人に分けてもらったのが、これだけしかなくて」
- 銀の鎧に身を固めた金髪の少女が、拠点のキャンプ傍で、白馬の首筋を優しくなでている。
- アンスレイ
- 良さそうなところで出ていくね
- ヒルド
- 白馬は、何もかも分かっているというような、落ち着いた様子でフレイヤに顔を寄せると、やがて静かに飼葉を食みはじめた。
- フレイヤ
- どうぞどうぞ
- フレイヤ
- 「………」そんな様子を、わずかな申し訳なさを含ませながら微笑んで見守る。
- 飼葉を食む姿を見ながら、ふと、故郷の羊たちのことを思い出し、元気にやってるだろうか、などと思う。
-
- そうして愛馬の食事を見守る心優しい少女の背後から、一つの気配が近づいてくる
- フレイヤ
- 平和で、周りの人は優しく、牧羊犬と一緒に羊たちを追っていた頃。外の世界の動きもろくに知らずにただ祖父の冒険譚に目を輝かせていたのが、遠い昔のように思える。――そんな風に物思いに沈んでいたから、近づく気配に気づくのも遅れた。
-
- 気配は隠しているようでもないがどこか薄く、呆けていると気付けないような、ぼんやりとした感じだ。
- ヒルド
- 愛馬のほうは、敏感に気づいて、気配が近づく随分はじめの方から、探るように耳を動かしていたが。
- アンスレイ
- 「――成程成程。それがフレイヤさんの愛馬ですか」
- フレイヤ
- 「ぅわッ…!?」
- アンスレイ
- 「あはぁ、そんな驚きます?」 ふふ、と悪戯に笑い
- 「レイフェルさんもさっきそんな反応してましたよ」 そうして不意に、赤い影がフレイヤの背後から現れた
- フレイヤ
- 一瞬にして現実に引き戻され、鼓動を沈めるように胸を抑えて、「……えっと」現れた赤髪に向き直る。「――アンスレイ、さん」
- アンスレイ
- 「ええ、ええ」 頷いて 「こんな無名でも覚えていただけて光栄ですねぇ」 フレイヤとヒルドにひらひら手を振り
- ヒルド
- 当の白馬は、どこか透徹したような瞳でアンスレイのことを一度だけ見やると、何事も無かったように飼葉へこうべを戻した。
- フレイヤ
- 「そんな、とんでもないです」 無名だなんて、と首を振り、「一緒に戦う仲間じゃないですか」
- アンスレイ
- 「ま、一緒と言えど今回も別々ですがね」 今回も、というところをやや強調し
- フレイヤ
- 長い金髪を戦いの邪魔にならぬよう、まとめている。手入れさえすれば輝くだろう金糸のような髪も、続く連戦、転戦のせいもあって、どこかくすんだようだ。鎧にも、衣服にも汚れが目立つが、瞳の輝きだけは色あせていなかった。
- アンスレイ
- 「お互いディニスに来て仕事をしていた筈なのに、こんな大掛かりな作戦を目の前にして初めて顔を合わせるのも不思議なもので」
- フレイヤ
- 「あはは…… 言われてみたら、そうかもしれませんね。同じ〈星の標〉にいて、遠いこの地ではじめてこうやってお会いするというのは、たしかに何だかちょっと不思議な感じがします」
- アンスレイ
- 「……ふふ」 そんなフレイヤの様相を見つつ、僅かに笑って 「ま、そんな訳でちょっとご挨拶に来たんですよ」
- 「この作戦を目の前に別行動するからこそ、ある程度はお互いのことを知っておいた方が良いのかな、と」
- フレイヤ
- 「――でも、噂はかねがね。ミカサさんやクリスティナさん、シグネさんたちと多くの事件を解決したんですよね」 逆に言えば、そのくらいの情報しかないのも事実なのだけれど。
- 「お互いのこと、ですか」 思ってもみない申し出に、目を見開く。はたして、自分の何を話せばいいのだろう、と、改めて考えてもすぐに思いつかない。
- アンスレイ
- 「いやぁ?」 肩を竦め 「確かに過去には“庭”の一件で大仕事をしてアネットさんの救出だってしましたけど。どちらかというと巻き込まれて付き合った程度のことですよ」
- フレイヤ
- 思わず笑って、「それを、『付き合った』程度で語れてしまうのは、相当だと思いますけど」
- アンスレイ
- 「元々、こんな大きい仕事を請けるつもりなんてありませんでしたからねぇ」 自嘲するような素振りで、空へ視線をやり
- フレイヤ
- 「それで、あれですか。今回も、『付き合った』結果こんなところに?」 ちょっぴりくだけた感じで返す。
- 頭上には、冗談では済まない光景が広がっている。
- アンスレイ
- 「そんな感じですね……と言いたいところですが」 ふう、と息をついてフレイヤに向き直り
- フレイヤ
- 「……?」 つられて視線を戻し、アンスレイを見返す。
- アンスレイ
- 「ま、シグネさんにもお世話になったりしましたからね。今回は自らの意志で来たのもありますよ」
- 「ディニスに来てみたかった、という好奇心も勿論ありますが」 あは、と笑って
- フレイヤ
- 「――ですか」 微笑んで頷き、
- 「シグネさんたちの故国ですもんね」
- アンスレイ
- 「ええ、ええ」 頷いて
- 「それで」 今度はフレイヤに尋ねる姿勢で 「フレイヤさんも適当に選ばれて此処に来たという訳ではないでしょう」
- フレイヤ
- 「――だと良いんですけど」
- と、困ったように笑って答え、それから少し考え込むように間をおいて、
- 「ガルバさんに、直接声を掛けて頂いたのは事実です、けど」
- アンスレイ
- 「ほうほう」 頷いて、けど、の続きを促すように
- フレイヤ
- 「私自身は、正直なところを言えば―― どうしてここにいるのか、分からないです。……あ、別に、不満があるとかではなく」 末尾は、少し早口で言って手を振り、
- 何て言えばいいんだろう――と、視線が僅かに宙を彷徨い、やがて、
- 「目の前のことを、やらなくちゃいけないと思ったことをやっていたら、いつの間にかこんなところに居た――みたいな。そんな感じで」
- すみません、ふわふわしていて、と少女は居づらそうにする。
- アンスレイ
- 「成程成程」 顎に手を当て 「正義感や使命感、といったところですかね」
- フレイヤ
- 「そんな――そんな、大層なことじゃないです」 その三文字の恰好の良さに、ギャップを感じて慌てて否定する。
- アンスレイ
- 「あはぁ、こんな国を巻き込んだ作戦に身を置きながらも謙虚ですねぇ」 今度は口元に手を当て、笑みを隠すように
- フレイヤ
- 「………」 アンスレイの笑みをみて、原因不明の気恥ずかしさにぎゅっと拳を握って、目を反らした。
- アンスレイ
- 「ま、何となくフレイヤさんが想像通りの良い人で安心しましたよ」
- ヒルド
- 主人の心拍の変化を感じでもしたように、軽くこうべを上げてフレイヤを見やる仕草を見せた。
- フレイヤ
- 良い人、という言葉に何かの引っかかりを感じつつ、アンスレイを見て、「安心……?」
- アンスレイ
- 「……ま、そうですねぇ」 疑念を持ったフレイヤの様子に、一つ頷いて
- 「先程レイフェルさんと話して少し聞いた程度でしたが――リコリスさんのこと、結構悩んだんじゃないですか」
- フレイヤ
- 「―――」 言葉を失い、 「――それは……」 絞り出すように継ぐ。
- 「それは――はい」
- アンスレイ
- 「でしょうねぇ。悩んだんじゃないか、とは訊きましたが……正確には今も曖昧な状態で隣合っているといったところでしょう」
- フレイヤ
- 「………」 返す沈黙は、アンスレイの言葉を肯定していた。
- アンスレイ
- 「何せ聞いた話だと、サイラさんが現状に至るのもリコリスさんが原因とのことですいs」
- 「今の状況を見ると、『よくもまぁ堂々と本人の前に居られるな』とか思っちゃいますよねぇ」 あは、と笑って
- フレイヤ
- 「そう思います」 少女は笑わなかった。
- 「……サイラさんだけでなくて…… あのひとの手によって、沢山の人の人生が狂わされ、沢山の命が奪われました。それは事実で、今だって、それを忘れる気も、看過していいとも思いません」
- フレイヤは、リコリスともシアとも鋏とも呼ばず、ただ『あのひと』という言葉を使った。
- アンスレイ
- 「それなのに何だかんだと受け入れている人が少なくはなく、これで本当にいいんだろうかってなりますよね」
- フレイヤ
- その思いは、今も変わらず胸の中にある。
- こくりと頷き、「――犠牲になった人たちの魂が今を見ていれば、どうしてあいつをそのままにしておくんだ、と言うでしょうね」
- アンスレイ
- 「……ふふ」 先程照れ隠しをしていたような素振りが全く見えなくなった少女を見て
- 「やはり安心しました。フレイヤさんがそう考えられる人で良かったですよ」
- フレイヤ
- 「また安心……ですか?」 いったい自分に何を期待されているのだろう、と形の良い眉をひそめてしまう。
- アンスレイ
- 「……ま、そうですね」 話すかどうか、やや悩む素振りを見せてから
- 「私の懸念が混じっていることを前提に聞いていただけますか」
- フレイヤ
- 「懸念――」 不意に改まったような言葉に、何となく心に身構えながら、アンスレイを見返す。 「……はい」
- アンスレイ
- 「レイフェルさんの突っ走りがちなところは」
- おっと、リテイクだ
- 「レイフェルさんの突っ走りがちなところはご存知だと思いますが、現状彼女はリコリスさんについて割と盲目的なところが見られます」 それはきっとフレイヤも感じているだろう、という前提で話す
- フレイヤ
- 「それは――うん」
- 「それでこの前、少しぶつかった所です」 あくまで控えめに付け加える。
- アンスレイ
- 「でしょうね」 と苦笑して流しつつ
- フレイヤ
- 頬に垂れていた髪のひと筋を指でいじり、かき上げた。
- アンスレイ
- 「彼女も以前よりは周りの人を頼るようになったとはいえ……おそらく、少しずつ感覚のズレが生じてくると思うんですよね」
- フレイヤ
- 「………」 それには同意して頷き、
- アンスレイ
- 「リコリスさんを引っ張っていこうとしても共に生きて行こうものなら、逆に少しずつそちらに引っ張られていくでしょうから」
- 「感覚が麻痺してくると、自分の異常が異常と感じられなくなってくる筈です」
- フレイヤ
- 「……自分にとって大事なひとを特別扱いするのは、それ自体は珍しいことじゃないです」
- 「レイフェルさんにとっては彼女が特別になったから、ほかの人たちを差し置いてでも大事だと思うようになった」
- 「……一度は自分を殺した相手を、どうしてそう想うようになったのかは想像するしかありませんけど」
- アンスレイ
- 「ま、ある程度レイフェルさんとは話す仲なので多少は分かりますがね」 今は深く話すまい、と流した
- フレイヤ
- そんなアンスレイの様子に、何かを察しつつも、目を伏せて「――アンスレイさんの言う通り、今のレイフェルさんは危ういとは思います。わたしなんかが言うのもおこがましいですけど」
- アンスレイ
- 「ふふ、そんなことありませんよ」 おこがましい、というところに対して
- フレイヤ
- 「――アンスレイさんは、レイフェルさんが心配なんですね?」
- 淡い色の翠眼が、アンスレイを映した。
- アンスレイ
- 「――……」 心配、という言葉に無意識ながら視線を外し 「……さて、どうでしょうねぇ」
- フレイヤ
- 「……違うんですか?」
- 「あのひとと一緒にいるうち、レイフェルさんが表の世界からずれ過ぎて、いつか戻れない、一線を越えた向こう側へ行ってしまうんじゃないかって」
- 「……そう心配しているのかなって思いました」
- 先程までのどこかおどおどした面影はどこかへ消え、少女は、まっすぐアンスレイを見ている。
- アンスレイ
- 「……ま、そこまで過度に心配はしていませんよ。周りに指摘する人は他にもいるでしょうから」 しかし、フレイヤの言葉を否定する訳ではなく
- フレイヤ
- なぜそんな言葉が出てきたかと言えば――「――そうですか」 彼女自身が思っていた事の一つであったからなのだけれど。
- アンスレイ
- 「どちらかと言えば私は。この大きな仕事を達成する為に、円滑に事を進める為に、全員が無事でいる為に、」
- 「少しでも不安要素を潰しておきたいというのがあります」
- フレイヤ
- 「……不安、要素」
- アンスレイ
- 「フレイヤさんの“その感覚”は、現状のレイフェルさんが過ちを犯そうという時に必要不可欠だと私は考えています」 あくまで私は、と付け加え
- 「だから『安心した』と言ったんですよ」 と初めの話に戻す
- フレイヤ
- 「………」 む、と難しい顔をして、
- アンスレイ
- 「要はぶつかってもいいんですよ。間違ってると思ったら」
- フレイヤ
- 「気持ちは嬉しいですし、わたしだって……と思いますけど」
- アンスレイ
- 「嫌ですか。こんな納得できない悩みを抱え続けるのは」
- フレイヤ
- 「嫌だなんて」 即答する。けれど、
- アンスレイから寄せられたある種の『期待』に複雑な顔になり、「わたしなんかの言葉じゃ、レイフェルさんは止まってくれないですよ」 多分、と。
- アンスレイ
- 「どうでしょう。その場ではそうかもしれませんが、見えないところで立ち止まったりすると思いますよ」
- フレイヤ
- 「――……」 そうだろうか。そうだったら良いけれど――と。
- と―― 「……?」 ふと、思い至って、
- 「……そこまで見えているのだったら、そこまで考えているのだったら、アンスレイさんはご自分で言おうとは思わないんですか?」
- 皮肉でなく、純粋な疑問という口調。
- アンスレイ
- 「……おや」 その言葉に、聞かれてしまったか、といった表情で 「そうですねぇ……」
- 「……あれはまだレイフェルさんが“鋏”としての彼女と対峙していた時ですが」
- 「私が言ってしまったんですよ。『もっと周りを頼れ』と」 他の人からも言われたとは思うけど
- フレイヤ
- 「それが……?」 至極真っ当な言葉に思える。何が問題なのかと首を傾げる。
- アンスレイ
- 「その後に“鋏”と対峙した際にレイフェルさんは彼女を降し、リコリスという名前を付けました」
- フレイヤ
- 「………」
- アンスレイ
- 「私はそれを見届けていますし、レイフェルさんとリコリスさんが今に至るのも多少こちらに原因があるのかな、と思うところがあってですね」 考え過ぎかもしれないけど、と付け加えつつ
- フレイヤ
- 「原因……ですか」
- アンスレイ
- 「ま、早い話。あまり私が真っ向からレイフェルさんを否定するのも抵抗があるんですよ」
- フレイヤ
- 「―――。それでわたしに?」
- アンスレイ
- 「不快でしたかね」 フレイヤの言葉を否定せず
- フレイヤ
- 翠の瞳が半眼になり、ちょっと睨むようにして、「……アンスレイさんって、結構自分勝手なひとですね」
- アンスレイ
- 「いやぁ、皆さんが集合する前に勝手にアクガナを出発するぐらいには自分勝手ですよ」
- フレイヤ
- 大きくため息をつき、「はあ……。分かりました」
- 「焚きつけたご本人なら、それはやめろと言うのも言いづらいですよねー」 少女にしては珍しく、意地の悪い口調で口を尖らせる。
- アンスレイ
- 「む……」 意地悪い言葉に虚を突かれたような表情で 「……ふふ、参りましたね。もっと真面目な方だと思いましたが中々痛い言い方をするじゃないですか」
- フレイヤ
- 「………」ふっと力を抜き、少し笑って、「ちょっとは反撃できたみたいで何よりです」
- アンスレイ
- (もう一つ話したいことあったんだけど時間大丈夫……?)
- フレイヤ
- こっちにもまだはなしたいことある~
- アンスレイ
- 「いやいや、私がそんな攻撃ばかりしていたような言い方は良くないですねぇ」
- アンスレイ
- やったぜ
- フレイヤ
- 「わたしなんかが何か出来るかはわかりませんけど―― 出来る限りは」
- 自然体で頷いて、がんばります、と請け負う。
- アンスレイ
- 「ええ、ええ」 頷いて 「ありがとうございます」 眼を伏せ、安堵したようにやや微笑んだ
- フレイヤ
- 「―――」アンスレイの笑みと裏腹に、少し顔を曇らせて、
- 「でも、まあ…… わたしだって、レイフェルさんの事を責められない所、ありますから」
- アンスレイ
- 「……おや。そうでしたか」
- フレイヤ
- 「さっき、アンスレイさん言いましたよね。……『よく堂々と本人の前に居られるな』、って」
- アンスレイ
- 「言いましたね」
- フレイヤ
- 「いまだって、時々夢に見るんです」
- 「犠牲になった、人たちのこと」 吊るされ、刻まれ――無残に晒される遺体たち。
- 「それでも、わたしがあのひとと行動を共にする理由は――」
- アンスレイ
- 「……」
- フレイヤ
- 「これから犠牲になる人を減らすために、いまは彼女の力が必要だからです」
- 「秤に掛けてるんです」
- 「そういう意味じゃ、レイフェルさんと同じかもしれません」
- アンスレイ
- 「リコリスさんと一緒にいる今の貴方では、犠牲になった、救えなかった人たちに顔向けできない、と」
- フレイヤ
- 「………」 頷く。――犠牲になった人たちの魂が今を見ていれば――
- 「――申し訳ないと、思います」 その瞳には、迷いを抱えながらも前を見ているような、光がある。
- アンスレイ
- 「成程成程。フレイヤさんにとっては結果だけでなく過程も大事なんですね」
- フレイヤ
- 「それは、どっちだって大事です」
- アンスレイ
- 「私は正直なところ、リコリスさんが信用できるかどうかよりも、利用できる間に利用するのが仕事をこなすのに効率的だと割り切ってしまっているので」 レイフェルには申し訳ないけど、と心中
- 「そういったところについては、フレイヤさんと大きく異なる部分ですねぇ」 結果が優先だ、と
- フレイヤ
- 「いろいろ…… 割り切るのが苦手なんです」
- アンスレイ
- 「あはぁ、そうじゃなきゃ今回の件でそんなに悩みませんって」 分かってますよ、と
- フレイヤ
- 「それに、ええと…… その過程は、誰かにとっての結果かもしれませんし……」 難しい話になってきた。言葉が頼りなく宙を彷徨う。
- アンスレイ
- 「……ま」 やや言葉に迷っている彼女を見て 「私がどうこう言えたところじゃないですが」
- 「現状、頼るしかないならそうするしか無いじゃないですか」
- 「茨の道を避けられぬ時も、人の屍を踏んで進まねばならない時もあります」
- フレイヤ
- 「――それは、……はい」 現実、彼女の『力』に助けられなかったら、いまここにいるか分からないのも事実だ。
- アンスレイ
- 「それに対して『申し訳が立たない』と考えられている時点で立派だと思いますよ、私は」
- 「それがせめてもの“過程”、ということで一つどうでしょうかね。苦しいですけど」 と苦笑する
- フレイヤ
- 「……ははは……」 立派、と言われても困ってしまう。
- アンスレイ
- 「フレイヤさんのその気持ちだけで救われる人もきっと居ますよ」
- 「……ああいや、自分勝手な私の言葉にはあんまり説得力がありませんね?」 意地悪く笑って
- フレイヤ
- 「――そうですね。願わくば、この先で良い“結果”を…… この事態をどうにかして、犠牲になる人がひとりでも少なく済みますよう」
- 救うなんておこがましくて、とても思えない。アンスレイの言葉に小さく笑って首を振って、
- 「頑張りましょう」 ぐっ、と拳を握って、まっすぐアンスレイを見返した。
- アンスレイ
- 「そうですね」 その拳を見て 「頑張るとしましょう」 柄ではないが緩く拳を握ってゆらゆら振って見せる
- 「……さ、て」 話はいいように区切りがついた、が
- アンスレイ
- どうしようかしら。区切りはいいんだけどw
- フレイヤ
- 「ん」とアンスレイの仕草を見て、浮かぶ笑みを大きくして、かるくつき合わせるようにしようとした所で―― 「――?」
- アンスレイ
- 中々ない機会だし続けていいかしら
- フレイヤ
- どうぞどうぞ
- アンスレイ
- 「良い感じに話がまとまったところ申し訳ないんですが……ついでにもう一つ私の懸念を聞いていただけますかね」
- 「これも現状――フレイヤさんだからお話ができることなんですが」
- フレイヤ
- 「……? なんでしょう」
- アンスレイ
- 「ああ、長くなってすみませんね」 と謝る先は、どちらかというと少女の隣にいる愛馬でもある
- ヒルド
- ――我関せずといった風で、ちゃんと話を聞いているような。
- アンスレイ
- 「リコリスさんが現状我々に協力している流れはおおよそ聞いています。“華”からの命令、ということでしたよね」
- フレイヤ
- 「………」アンスレイの真意を伺うように目を向けつつ、だまって頷く。
- アンスレイ
- 「つまるところ、此処までは“華”の筋書き通りだと思って良いでしょう」
- 「……で、この後我々はアルベルトさんを止めに行き、“糸”の目論見を阻止する訳ですが」
- フレイヤ
- 「計りかねる所が多いですが……そうかもしれません」
- 「――……」
- アンスレイ
- 「無事にこれらの事件が解決し、無事にめでたしめでたしとリコリスさんが帰れるのでしょうか」
- 「本当にそんなことだけの為に――“華”の命令で協力しに来たのでしょうか」
- フレイヤ
- 「あのひとの明かしていない、……あるいは本人も知らない本当の思惑がある、と?」
- アンスレイ
- 「そうですね」 頷いて 「……とは言え、これは完全に私の考えです。読み違いの場合だってありますから」
- 「…………」 そうして少し間を置き
- 「――……カイさんの“魔神紋”、此処まで無事に放置され過ぎだと思いませんか?」
- フレイヤ
- かつて、“華”とは相対したことがある。本人と直接ではないけれど。その時の印象は―― 「……いえ、最悪は考えておいたほうがいいのは確かです」
- 「それは……」
- アンスレイ
- 「聞いた話だと“魔神紋”は負の感情を喰らって成長するということらしいじゃないですか」
- フレイヤ
- 「……はい」
- 「わたしも、そう聞いています」
- アンスレイ
- 「私たちが今から止めに向かう相手は、カイさんがずっと相棒として戦ってきた唯一無二の親友でしょう?」
- フレイヤ
- 「……まだ、完全に、そうと決まったわけでは」 言葉と裏腹に、後半は小さくなっていく。
- アンスレイ
- 「その戦友が“魔神紋”を宿した今、彼にもしものことがあれば――」
- 「……ええ、ええ。もちろんそうと決まったわけではありません」
- 「でも、私たちと合流する前に少し話していたんですよね。オリヴェル家にアルベルトさんが迎えられた経緯、タイミングに違和感があるといったような話」
- フレイヤ
- 「サイラさんとアルベルトさん、二人の境遇に起こったことのタイミング、ですね」
- アンスレイ
- 「私の妄想の域といってもいいですが……もしも、ですね」
- フレイヤ
- 「………」アンスレイの言葉の続きを待つ。
- アンスレイ
- 「サイラさんが“魔神紋”を宿したことも、それをアルベルトさんが手中にすることまでもが、」
- 「相手の筋書き通りだったとしたら……」
- 「それは、我々が阻止してめでたしめでたし。で終わるところなのでしょうかね」
- フレイヤ
- 「それは――」
- 「――わかりません」
- 「どこまでが敵の想定通りなのか、もし、すべてがアンスレイさんの懸念通りとして、その先で起こそうとしている事がなんなのか」
- 「こうやって、それを阻止しようとしているのも筋書き通りなのかも」
- 「もしもそうだったなら、最悪ですけど、でも」
- アンスレイ
- 「ま、そうですね」
- フレイヤ
- 「最悪でも―― 最悪の中でも、いちばん善いと思う事を……するだけです」
- アンスレイ
- 「それはそうですよ。私だってそれでやってきましたから」
- フレイヤ
- 「………」 こくり、と頷き返す。
- アンスレイ
- 「ただまぁ、カイさんのことは気を付けて欲しいということが言いたかったんですよ」
- 「レイフェルさんはリコリスさんとアルベルトさんのことで両手が塞がりそうですし、そちらの部隊で咄嗟に前に出て動けるのはフレイヤさんだけですからね」
- フレイヤ
- 「……分かりました」 カイたちの行く先を見届けたい一心で志願した結果が、アンスレイによって、いくらかの意味を変えられ、少し緊張した面持ちで頷く。
- 「――必ず」
- アンスレイ
- 「ふふ……ありがとうございます」 ふ、と笑い
- 「いやぁすみませんね。ほとんど初対面だというのに個人的な心配事ばかりを押し付けてしまって」
- フレイヤ
- 「………」ふっと力が抜けて、
- 「あはは、何ですか、それ」
- アンスレイ
- 「……おや、そんなに可笑しいこと言いましたかね」 意外そうに
- フレイヤ
- 「そんなこといって。わたしだから相談できる、なんて殺し文句を言われたら、聞かない訳にはいかないじゃないですか?」
- アンスレイさんはずるいです、と笑った。
- アンスレイ
- 「――」 彼女の笑みを見 「あはぁ、それもそうでしたね」
- 「それならば私も申し訳ないなどと言わず、しれっとしてた方がいいですね」 などと悪びれもしない表情で
- ヒルド
- 響く笑い声に、こうべを上げ、フレイヤの様子を伺うように横顔をこすりつけた。
- アンスレイ
- 「では改めて――宜しくお願いしますよ。フレイヤさん」
- フレイヤ
- 「なに? どうしたの」 と、そんな愛馬に優しく語り掛けて撫でてやり、
- 「……」アンスレイに向き直り、
- 「――はい。こちらこそです、アンスレイさん」
- 少女はふいに年相応の娘のように戻って、にこりと微笑んだ。
- アンスレイ
- あとは大丈夫なら適当に〆たらいいかしらね
- フレイヤ
- こっちはいいわよぉ
- アンスレイ
- こちらもOK
- フレイヤ
- 締めを考えたけどこのまま終わってもいいかもしれない
- アンスレイ
- そうね
- フレイヤ
- きれいにおわってる
- アンスレイ
- 割と綺麗な感じ
- うむ
- フレイヤ
- よい会話でした
- アンスレイ
- うむ。フレイヤも卓中ではリコリスの事でもやもやしつつ、誰にも話してなかったもんね
- フレイヤ
- 温度差はあれど基本的にはレイフェルに理解をしめす人がおおかったからね
- おっと、こんな時間か
- 遅くまでありがとう!
- アンスレイ
- こちらこそお付き合いありがとう!
- 楽しかった
- フレイヤ
- おつかれさま。また卓でー
- アンスレイ
- ではでは、また一緒の卓でがんばりましょ”
- てったーい
- フレイヤ
- ではでは
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- フレイヤが退室しました
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- アンスレイが退室しました