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- クリムヒルトが入室しました
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- ユーノスが入室しました
- ユーノス
- お待たせしました。
- クリムヒルト
- いい度胸だ だがまあ、置いておこう
- 導入になにか案はあるか
- ユーノス
- ええ、此方で始めさせて頂きます。
- クリムヒルト
- 任せる
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- ユーノス
- 宜しくお願いします。
- クリムヒルト
- よろしく頼む
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- 王都イルスファール、〈星の標〉。
- 国内の冒険者ギルド支部の内でも、現在の評価が非常に高い店だ。
- この店を利用する依頼者も、また登録する冒険者も
- その名や評価を理由に、〈星の標〉へとやって来る、という事も少なくない。
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- ユーノス
- 「――クリムヒルトさん。少し、宜しいですか」
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- この日、何らかの用事で宿へと赴いて しかし、同様に何らかの理由で依頼には出る事の無かったクリムヒルトを
- 眼の下にくまを付けた、神官服を纏った青年が呼び止めた。背には、以前依頼に同行した際に隠すようにしていた包みがある。
- クリムヒルト
- 「──、何の用だ」 カウンター席に座っていたフードがそちらを向く
-
- 声がかけられる頃には、クリムヒルトの机の上には食事はなく、
- また 飲み物についても、一度空になっている状態だ。
- ユーノス
- 「お話が、少し」 苦笑して見せながら、含みのある言い方で頷いた。
- クリムヒルト
- 「……」含みのある言い方に、ここで話せない内容か、と
- 「……下らん内容なら許さん」
- ユーノス
- 「少しお身体が冷えてしまいますが、表で……、」 困ったというよりは、焦るような顔を見せて
- クリムヒルト
- 銀貨を飲食代の他に更に置いて 「店主、部屋を一部屋借りるぞ」
- 「……」 フードの中で息をついた 「頭を使え」
- ユーノス
- 「心配は無用で――、」 部屋を、と言ったクリムヒルトに、少し目を丸めながら
- 「ぜ、善処します」 今度は申し訳なさそうに、表情をくるくる変えながら頷いた。
- クリムヒルト
- 鍵を受け取ると 2階に向かって槍を手にして先を歩く
- ユーノス
- 「……」 ガルバと二、三言葉を交わして その背について行く。
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- クリムヒルトが借りた一室は、当然だが他の部屋と変わらない様子だ。
- 必要なものは揃っているが、決して雑多ではないような部屋だ。
- ユーノス
- 「……では、失礼します」 先に入っているであろうクリムヒルトに続いて、ゆっくりと扉に入り 後ろ手に閉める。
- クリムヒルト
- 「適当に座れ」 窓際の席の一つを確保して 槍をそのまま立てかける
- ユーノス
- 対面の椅子を引いて、小さく頷いた。 「(――さて)」
- 「先ずは、お話をさせて頂く前に 一点だけ、お約束させてください」
- クリムヒルト
- 「……」 フードは取らず 黙って、続くユーノスの言葉を待つ
- ユーノス
- 「貴女がそれを必要だと思うのなら、砕いて頂いて構いません。――ただ、判断を下すのは、話を聴いた後にして頂きたい」
- 「要するに、"手を出すなら話を聴いてから"、という形です」
- クリムヒルト
- 「‥砕く?」 「そういう自覚があるもの、ならば。私に話す必要があるのか?」
- ユーノス
- 「ええ。貴女は自分の依頼を請けてくださったのですから、隠し事はなしです。……特に、こういう物については」
- 言いながら、包みを机の上に差し出して それを開く。
- 水晶体の飾りが付けられた杖が姿を現し、クリムヒルトの視線に映る。
- クリムヒルト
- 「……」 その杖を眺めて 「……まあいい」
- ユーノス
- 「アンセム・ヴィルダー……という名前は、御存じですか?」
- クリムヒルト
- 「……ヴィルダーシリーズ、か」
- ユーノス
- その反応には驚いた様な反応はせず、頷いて返す。 「ええ。その内の一振りです」
- クリムヒルト
- 「……この辺りの伝承は聞いている…が、現存したのだな」
- ユーノス
- 「以前赴いた依頼で――アンセム・ヴィルダーが封じられた遺跡に」
- 「いえ、依頼というには地図を買わされた、というか……」
- 「……ともかく」
- クリムヒルト
- 「……」
- ユーノス
- 「詳細はまだわかりません。セドリック・ヴィルダーの封印術が、未だ働いていますから」
- 「ただ、この杖は――」 「――魔神の摂理を持って、力を揮う事が出来る、という事は解っています」
- クリムヒルト
- 「──、」 ぴり、とした空気が漂う
- ユーノス
- 「……」 空気の変化に怯んだ自分に、ここからだ、と喝を入れながら
- 「その摂理によって癒しの奇跡を歪めて、水晶の――杖の力を用いる事で、他者を傷付ける事が出来る」
- 「それから、もう一つ。……まだ、封じられた機能が、何か一つだけ。そちらについては、まだ理解出来ていません」
- 「手にして直ぐ、話をすべきでしたが ……すみません、調べもせずに話をしても、と思ってしまって」
- クリムヒルト
- 「──それで」
- 「…‥使うのか?」
- ユーノス
- 「……」 浮かべていた笑みを消して、視線を魔杖へと落とす。
- 「これを用いる必要があるのなら」 「俺はきっと、遣うんだと思う」
- 「でも、貴女の槍があるのなら、そんな必要はないのかもしれない、とも思う」
- クリムヒルト
- 「──、気に食わん」
- 「──気に食わんが、使うというなら止めはせん」
- ユーノス
- 「……」 使った先の事は、少し想像が付くが 「……問答無用、かと思いました」
- クリムヒルト
- 「下手に砕いたところで、何が起こるか分からん」
- 「古代の物品とは、そういうものだ。封印できる場所があるなら、そこに預けるのが最善だろう」
- ユーノス
- 「作成者が作成者、ですからね。……封印については、心当たりはありますが」
- クリムヒルト
- 「……お前が使うとは思っていなかった。砕くと言えば、お前の方こそそうではないのか」
- ユーノス
- 「……この手で討てるのなら」
- 「俺は、使いますよ。……そうでなくとも、魔神を討つ為に貴女を遣うと言った男だ」
- 言葉を切って、胸の底に溜まる敵意を、努めて表情には出さない様に振舞う。
- クリムヒルト
- 「──、ならば、止める理由もない」
- 「それでよい」
- ユーノス
- 「……ありがとうございます、クリムヒルトさん」 静かに頷いて、杖を包み直す。
- クリムヒルト
- 「ただ、忘れるな」
- 「お前が杖の力に呑まれたと判断したその時は、」
- 「お前ごとそれを葬り去る事を」
- 「……せめてもの情けだ。無様を晒す前に、殺してやる」
- ユーノス
- フードの奥に光るっているだろう瞳を見て、微笑んで
- 「貴女の一撃であれば、確かに眠れそうだ。……ですが、そんな時は来ない、とお答えしておきます」
- クリムヒルト
- 「……ふん」
- 「どうだかな」
- 腕を組むようにして 「それで、話はそれで終わりか」
- ユーノス
- 「そう弱く見えますか」 苦笑しながら 「――、すみません、もう一つだけ。これは、ただの共有ですが」
- 「南方で、特異な魔域を確認しました。……というのも、」
- 「"突入時の状態が保存される魔域"……と言えば良いんでしょうか」
- 「核を破壊し、現実に戻ってくる際に――魔域の内部で負傷していた傷が、全て突入する際の様に塞がっていたのです」
- クリムヒルト
- 「──、」 フードの奥で瞳が細まる
- ユーノス
- 「突入、脱出時には巨大な眼に見つめられた事も確認しています。……特に、内部で魔神を撃破した訳でもないので、まだ続く可能性はないではない、と思います。……考え違いであればいいのですが」
- クリムヒルト
- 「巨大な眼、か……こちらを観測してくる意図が分からんな」
- 「興味か…それとも享楽か……魔神の考えは読めん」
- 「傷が塞がるのも分からんな──、まるで、」
- 「泥で型でも作っているかのようだ……」
- 「傷つけたことで、また戻す。──、何度でも戻せる…‥そうした意図を感じるが」
- ユーノス
- 「……良い趣味をしているものです。ただ、あまり広めたくはないのです。どうせ傷が塞がるのならばと行動する者が出て来て欲しくはないので」
- 「不確定な要素がまだ多いし――何より、あの場所は不条理が罷り通る空間ですから。安全を第一に、と」
- クリムヒルト
- 「──それも意図かもしれんな」
- 「そうした無茶を出来ると誤認させて、自滅させる……奴らが好きそうな、笑えない喜劇だ」
- ユーノス
- 「……クリムヒルトさんも、ご無理はなさらずに」
- クリムヒルト
- 「──考えなしではない」 不機嫌そうに声が返ってきて
- ユーノス
- 「"槍"としてではなく、"貴女"を心配しているだけです。考えなしではないでしょうが、貴女も、奴らと相対すれば平常通りではなくなるのでは、と」
- クリムヒルト
- 「……余計な感情を持ち込むな」
- 「見誤れば、何も得られはしないぞ」
- 「お前はお前の心配だけしていろ」 席を立つようにして
- ユーノス
- 「だけど、」 反射的に、席を立った小さな姿に投げかける。
- 「眼を瞑れば、どこへも行けません。俺も、貴女も」
- 「……そうでしょう、クリムヒルトさん」
- クリムヒルト
- 「……──煩い、」
- 「お前《も》、分かったような口を利く……だから気に食わんのだ」
- 「お前も、分かったような口を利く……だから気に食わんのだ」
- クリムヒルト
- リテイクだ
- ユーノス
- 「……」 その言葉に、少し目を丸くしながら、彼女が今は独りでいる事に、少し安堵した様に思えて
- クリムヒルト
- 「話は終わりだ」 槍を手にとって
- ユーノス
- 「……お伝えしたはずです。半端でも、俺は貴女の槍を支えたいと」 頭を振って、口にして
- 「それは、今も変わっていません。……それだけです」 包みを手に取って、自分もゆっくりと席を立つ。
- クリムヒルト
- 「……ふん」
- 鍵をユーノスに放ると
- そのまま扉をくぐる
- 「返しておけ」
- ユーノス
- 投げられた鍵を危なげなく受け取って
- 「承知しました。……聞いてくださって、ありがとうございました」
- クリムヒルト
- 「──」 返事はせずに そのまま足音だけが遠くなっていく
- ユーノス
- 息を吐いて、目を伏せて。包みを強強く握り込むと、ゆっくりと歩を進めて、部屋を後にした。
- 「……執着だな、これじゃ」 施錠する際、そう小さく零すと ガルバへと返却していった。
- クリムヒルト
- うむ
- こんなところだな
- ユーノス
- はい、こちらはこれで。
- クリムヒルト
- 杖に呑まれるなよ
- 私からはそれだけだ
- また会おう
- ユーノス
- 貴女も、眼を瞑ったままではどうにもなりませんよ
- ええ、また。
- クリムヒルト
- )))
- ユーノス
- )))
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- ユーノスが退室しました
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- クリムヒルトが退室しました