- !SYSTEM
- フレデリクが入室しました
- !SYSTEM
- ミネットが入室しました
- ミネット
- よっと
- 導入はなにかあるかなー
- フレデリク
- じゃあ、がっと始める。
- ああ、大丈夫。あるよ
- ミネット
- ん、よろしくねぃ
-
-
-
-
-
-
- ――王都イルスファール、〈星の標〉。
- リアン地方でも広く名を轟かせるその冒険者ギルド支店は、
- その高い依頼の達成率と、所属している冒険者らへと集められる信頼
- また、店主である"剛腕"の手腕も相まって
- 日々、いくつもの依頼が舞い込んで来る。
-
- この店の"剣"は多く、その中には国内に広く知られるものから、無銘のものまで存在するが
- この日の午後は、ひと振りの名剣が 店の庭に突っ伏していた。
- 雲一つない空から逃れるように、庭に大の字に寝転がり 眠っているのか、それとも死んでいるのかは判別が遠巻きには付けられない。
- フレデリク
- ただただ静かに、空からの陽射しを浴びながら 静かに流れる時間を、伏せて過ごしている。
- 呼吸は静かに、一定のペースでしているものの 投げ出した身体はぐったりと動かない。
- 店の入り口とは逆側に首は向けられており、瞳は半開きで壁へと向け 眉間に皺を寄せながら、腫れた目元を疎ましそうに地面に擦り付けて隠した。
- フレデリク
- こんくらいだ。庭にいるし、突っ伏してるのは窓から見えるくらいじゃねえかな
-
- ──扉が開く音 そして、ざっ と 芝生を踏む音
- 「あれま、誰かが倒れてると思ったら……」 ざっざ、と近づいてくる足音 そして呟き
- ミネット
- 「暖かいからって、そんなところで寝てるのは感心しないなー」 動かなければ、見下ろせる位置まで近づいて 「やっほ」
- フレデリク
- 「寝てねえ」 不貞腐れた様に答えて、目元をより強く地面に押し付ける。
- ミネット
- 「どったの・・・横になるならベッドがあるでしょー」
- フレデリク
- 「死んでんの。寝てねえの」 鼻を詰まらせた様な声で答えると、小さく鼻を啜る。
- ミネット
- 「……そこで死なれても困るんだけどなー」
- 「死人は癒せないから、うまく輪廻に戻ってもらわないと」
- フレデリク
- 「その内起き上がっから」 神官に言えば縁起でもないと叱られるだろうが 以前の話を思い出しながら口にした。
- ミネット
- 「はいはい。リザレクションリザレクショーン」 背中を揺すって
- フレデリク
- ぐえ、と蛙が踏まれた様な声を漏らしながら、酷く華奢な身体を押されるとゆっくりと仰向けになる。
- ミネット
- 「どったの…って…」 仰向けになれば、腫れた目元が目に入る
- 「まったく、喧嘩にでも負けた?」
- フレデリク
- 「起きた起きた」 目元を右腕で覆って、左手をふらふらさせる。 「どーも、」 と続けようとしたところで
- 慌てて目元を右手で隠す。 「負けてねえ。……勝った、…………」
- ミネット
- 「喧嘩はしたんだ?…‥ほら、よく見せる。怪我って怖いんだから」
- フレデリク
- 「…………勝っちまった」 言葉を選んで吐き出し 「怪我はねえよ。騎士様に護って貰ったから」
- ミネット
- 「そう?……」 じゃあなんで腫れてる、と続けようとして 「…そう」 頷くようにもう一度言った
- フレデリク
- 「……んだよ」 腕をずらして、右眼だけで恨めしそうに見上げた。
- ミネット
- 鼻声だったこと。目が腫れていること 一つ一つに納得して 「じゃあ、おかえり」
- 「私はただ、窓から見たら倒れてる人が居て、大丈夫かなーって具合を確かめに来ただけ」
- フレデリク
- 「…………」 ぎこちなく頷いて また眼を隠した。
- 「そりゃご心配をおかけしました」 ずず、ともう一度鼻を啜り 「……仕事で、やらかしちまった」
- ミネット
- 「ほらほら、おねーさんは何も見てないから……」
- 「…‥そりゃ、完璧な仕事なんてそうそうないし?」
- 「ミスの一つや二つはあると思うけど……」 まさか、仲間に死者でも出たのだろうか、と 言葉が徐々に小さくなった
- フレデリク
- 「……ミス、だったとは思ってねえ」
- ミネット
- 「じゃ、やらかす。じゃないでしょー」
- フレデリク
- 「…………でも、助けてやれなかった」
- ミネット
- 「………そっか」
- フレデリク
- 「別に、何でもかんでも出来ると思ってる訳じゃねえし、出来ない事の方が多い事なんざ、昔からそうだから解ってる」
- 「こうやって考えるのも、シツレイだって事は解ってる……んだけど」
- 「………………」 「上手い事行かねーなあ」 徐々に震え出した声を一旦落ち着ける様に深呼吸をすると、普段通りの声色に寄せて口を開いた。
- ミネット
- 「……いい出会いだったんだねぃ」
- 「私が分かるのは、それくらいだけど。……ほら、そこで大人ぶらなくていいんだよ」
- 「私ここにいなーい、居ないからね。ゴードベルだよゴードベル。透明透明」 ジェスチャージェスチャー
- フレデリク
- 「ぶってねえし」 へん、と口を結び 「オネーサンもあんのか、こういうの」
- ミネット
- 「吐き出したらこたえてあげよーう」
- フレデリク
- 「……良い趣味してんなあ」 眉を顰めながら青空を仰いで
- ミネット
- 「沢山泣いて沢山吐き出したほうがいいんだよ。息止めたままじゃ吸えないでしょ」
- フレデリク
- 「……」 「……ちょっと良い事言ってんじゃねえ」
- ミネット
- 「そういう後悔、溜め込んでいいことないもん‥…ほんとに」
- フレデリク
- 「後悔なんかしたくねえ」
- ミネット
- 「そりゃ私だってしたくないよ」
- フレデリク
- 「ああしたらよかったとか、こうしたらよかったとか」 徐々に声が震え始め、語調が強く、早くなっていく。
- 「後から死んだ奴の気持ちを生きてる奴が勝手に決めつけてんのを聞くのも」
- ミネット
- 横になってる隣に腰を下ろして
- フレデリク
- 「……そいつが生きてた時の事を、こうしてれば良かったとか言って否定すんのは嫌だ」
- 「嫌だ、ったんだけど」 ぐっと唇を噛んで、ぐう、と唸り声を上げながら堪える。
- ミネット
- 「……」 だまーって 空を見上げるようにして聞いてる
- フレデリク
- 「……もっと色々、聞いてやりゃ良かったのかな。言ってくれるか、解んねえけど」
- ミネット
- 「……そりゃ、わかんないでしょ」
- 「自分でいってたでしょ。死んだやつの事は死んだやつしかわかんないの」
- 「だから……そう思うなら」
- 「次、そうしたときに同じことを繰り返さないことしか、私達は出来ないよ」
- フレデリク
- 瞳一杯に涙を貯めながら、それを意地でも零さない様に目元に力を入れて
- 「……」 強引に鼻水を拭って もう一度啜る。
- ミネット
- 「いくらでもあった。何度もあったし、助けられたこともあれば、もう助けられないとわかってるのに、足掻いたこともある」
- フレデリク
- 口を開いたミネットに視線を向ける。涙を堪えながら視線を向けるものだから、睨み付ける様な様相だ。
- ミネット
- 「後悔したくないならね……その場その場でやりたいようにやるしかないの」 顔は横になっているフレデリクには向けず、呟くように
- 「嫌なことでも、そうしたいと思ったなら、……手を伸ばし続けるしか無いの」
- フレデリク
- 「それでも、ってか」
- 言葉につられたように、空へと手を伸ばしてみせる。
- ミネット
- 「そうだよ……限度がそりゃあるよ」
- 「でも限度を決めるのは自分だし」
- 「やるって決めたなら……やり遂げられる方法を探して足掻くの」
- フレデリク
- 「足掻いて……足掻いて足掻いて、そんで駄目なら?」
- ミネット
- 「それでも出来ないときは出来ないし……助けらんないものは助けらんない」
- 「分かっててもそれをやるかどうか、決めるのは自分」
- 「私はやらなかったら、」
- 「足が止まっちゃう気がするから。出来ないと分かってしまってもやれることを探し続けるだけ」
- 「まあ、それで…‥迷惑かけちゃうことは多いんだけどさ」
- 「…どうしても許せない奴らも居れば」
- 「…‥ガルバさんを殴りたくなるときだってそりゃあるよ」
- フレデリク
- 「……」 視線を空へと戻して、少しでも緩めば滲む空を睨み付ける。 「……おっさんを?」 ガルバを、と聞けば怪訝そうに。
- ミネット
- 「そりゃ、断らないからってとんでもない仕事を何度も何度も何度も何度も何度も……」 拳が震える
- 「……はー…」
- フレデリク
- 「なんだそりゃ」 へへ、と笑って 「おつかれさん」
- ミネット
- 「話が逸れたねぃ。ともかく」
- 「……その気持ちを無駄にしないためにも、ちゃんと吐く。私は、得意じゃないから」
- 「どうやるかまでは言えないけど」
- フレデリク
- 「……誰かに言ったらぶっとばす」
- ミネット
- 「見損なわないでよねー」
- フレデリク
- 「……う、っせえ」 睨み付けていた目元を、ゆっくりと ゆっくりと緩ませる。
- ミネット
- 「そっちこそ今ぶっ飛ばすわよ」 決して、顔の方は見ないように ただ、少し声音に苦笑が交じる
- フレデリク
- 噛み締める様な嗚咽が漏れ始め、そこからは堰を切った様に 聞くに堪えない様な、情けない声が小さく漏れ出して来る。
- 「……やったことを、許せるわけじゃねえ、けど」
- 「それでも、つらかったろうとか、苦しかったろう、とか」 嗚咽混じりに、途切れ途切れに零し
- 「言っても、あいつは聴かねえだろうけど」 「言ってやりゃあよかったなあ!」 自棄になる様に徐々に声量を上げて、八つ当たりをする様に声を吐き出す。
- 暫く、嗚咽を漏らして、時折怒鳴りながら
- ミネット
- 「……」 コートのポケットから、静かにハンカチを取り出すと フレデリクの方に差し出して
- フレデリク
- 堪える事も無くなった涙で、今度こそ両目を濡らして、また時には過呼吸気味になりながら
- ミネット
- 「……生きてれば、必ず、違う形で次がある。全く同じ機会は二度とこないけど、全く同じものは、もう戻らないけど」
- 「そのときに、次はそうはしねぇでいいんだよ。男の子」
- フレデリク
- 差し出されたハンカチは、遠慮気味に受け取って それで目元を拭う頃には、落ち着きを取り戻していた。
- 「……次なんか無え。もう、泣かねえ」
- ミネット
- 「……その意気その意気」
- フレデリク
- 「けっ」 「オネーサンぶりやがって」 落ち着きを取り戻して、そんな憎まれ口を叩きつつ
- ミネット
- 「はいはい。それでいいですよ」
- 「少しはすっきりしたでしょ」
- フレデリク
- 「こっちは洗っておっさんに預けとく」 濡らしたハンカチを畳んで
- ミネット
- 「……ちょっと、羨ましい」
- フレデリク
- 「……もうちょっとだけ、ここでくたばる――、あ?」 羨ましい、と言われて首を傾げ
- ミネット
- 「ああ、いーよいーよ。返さなくて」
- 「もう出ないんだぁ……涙、泣きたいけど、涙が出なくてさぁ」
- フレデリク
- 「……」 知っている。あの日見た騎士も、きっとそういう人種だった。
- 誰より感じる心を持っているだろうに、それを表に出さない――或いは、出せない人種。
- ミネット
- 「ほんと、困っちゃう。お酒に逃げたら最後だと思ってるから、……とにかく寝るくらいしか出来なくてさ」
- フレデリク
- 「泣きたいけど、ってのは」 「泣きたくなかった俺には解んねえけど。どんなもんだ?」
- ミネット
- 「悲しいんだけど、湧き出る気持ちが無いわけじゃないんだけど」
- 「身体を通してそれを出そうとすると、振り切れちゃうと言うか」
- 「涙じゃ、足りなくて」
- フレデリク
- 「――、足りなくて?」
- ミネット
- 「叫びじゃ、表せなくて」
- 「心のそこにそこに、溜まっていっちゃう。そんな感じ」
- 「発散されなくて籠もっちゃうんだよねぃ…あーあ、って感じ」
- フレデリク
- 「……」 頭を掻いて、濡れたハンカチを胸元にぐいっと押し込み
- ミネット
- 「ま、そんな感じ」
- フレデリク
- 「泣いても、叫んでも」
- 「そんでも出て行かねえならさ」 んー、と頭をより強く掻いて
- 「お前らみたいなのは、笑ってればいいんじゃねえの」
- 「……いや、バカにしてんじゃねえけどさ」 「その、なんだ」
- 「俺はバカだから、泣いたり叫んだりで整理が付くのかもしんねえ。でも、そうじゃねえなら」
- 「笑うーとか、喜ぶーとか、そういう……そういうんで良いんじゃねえの」
- ミネット
- 「……」 少し笑ったようで 「そうだねぃ、そう出来たら、素敵かなぁ」
- フレデリク
- 「やってみろよ。俺だってやったぞ」
- ミネット
- 「そのときになったらねぃ」
- 「今は……いいや」
- フレデリク
- 「……」 「そうかよ」 小さく頷いて
- ミネット
- 「ほんとさ、」
- 「困った神様の声、聞いちゃったって思うよ」
- フレデリク
- 「……困った? たとえば?」
- ミネット
- 「癒やしと赦し、導きの神様なんて…‥さ」
- 「私の柄じゃないって最近思うもの」 尻尾がペタンとなって
- フレデリク
- 「……そりゃ後悔か? 聞かなきゃよかった、って」
- ミネット
- 「後悔とはちょっと違うかなぁ」
- 「疑問?。なんで、私に声をかけたのかなぁって」
- フレデリク
- 「とっちめて聞けりゃ楽なのにな」 調子が戻ってきたのか、意地の悪そうな顔で微笑んだ。
- ミネット
- 「あ、声が可愛くなくなった」
- フレデリク
- 「どういう意味だてめえ……」
- ミネット
- 「そりゃそのままの意味だよフレデリクくん」
- フレデリク
- 「けっ」 「――でもまあ」
- 「今、死んでた馬鹿を一匹導いたのはお前じゃね」
- ミネット
- 「──後5年は欲しいかなー」 ふふ、と笑って立ち上がって
- 「いい男になるよ。本当に死ななければ」
- フレデリク
- 「……なんだ突然気持ち悪ぃ……」
- ミネット
- 「ただの品定めだけど?」
- フレデリク
- 「オネーサンの頭がおかしくなったのかと思ったぜ、俺は」
- ミネット
- 「ま、男の子のうちにいっぱい失敗していっぱい泣きなよ」
- フレデリク
- 「馬鹿言えよ」
- ミネット
- 「情けないんじゃなくて、まだ可愛げなんだから」
- フレデリク
- 「もう失敗なんかしねえし、泣きもしねえ」
- ミネット
- 「大事なのは」
- 「起き上がり方を覚えることだよ」
- 「失敗しても、泣いても」
- 「泣かない人間はいても、失敗しない人間はそうそういないんだから」
- フレデリク
- 首を傾げて、小さく「はあ?」と零して、
- ミネット
- 「かっこつけすぎるなよー」 最後にフレデリクを見下ろすように見て にっと笑う
- 「それじゃあねぃ。蘇生したからコンジャラーはどっか行くことにするよ」
- フレデリク
- 「教わっただろ、たった今。最高にだっせえ起き上がり方を」 その笑みに答えるように、泣き腫らした顔で明るく笑って見せる。
- ミネット
- 「それでよし」
- 満足そうに頷いて
- 店の方へと歩いていく
- フレデリク
- 「そうしろ。――サンキュー、ミネット」 軽く手を上げて
- ミネット
- ひらひらーと 後ろ手に手と尻尾を振って
- フレデリク
- 店へと入って行った姿を見届けて、起こした身体をもう一度、仰向けに倒れさせる。
- すう、と息を吸い込んで 声の限りそれを叫びに変える。
- 店の中にも、通りにも響くような声で 一通り吐き出して
- 「――っし!」 勢いよく起き上がり、ぐい、と身体を伸ばして 自身も店へと戻って行った。
- フレデリク
- こんな 感じ だな!
- ミネット
- そうだねぃ
- フレデリク
- ねぃじゃねーぞ
- ミネット
- いいぞぉ、少年頑張れ少年
- なによー
- フレデリク
- うっせえブス
- ミネット
- 女の子に嫌われちゃうぞ
- フレデリク
- 求めてねーーーし
- ミネット
- そういうところがあるから隙だらけなんだよねぃ
- フレデリク
- 笑えるようになってから言えっつーの
- ミネット
- あはは、ま、それは考えてとくよ
- それじゃ、またねぃ
- )))
- !SYSTEM
- ミネットが退室しました
- フレデリク
- )))
- !SYSTEM
- フレデリクが退室しました