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- フランシアが入室しました。
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- ギガースと呼ばれるゴーレムにまつわる依頼を受けて、ホリスへと向かう船の中
- 金色の髪、藤色の瞳の少女は船の甲板に出て 暗い海を眺めていた
- フランシア
- 「──」夜の海は、どこか落ち着くような気がした いつもは、少し怖いのに
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- 仲間と一緒に情報を検討した後、一言申し出て外の空気を吸いに来たのだ
- フランシア
- 「……」 1つの箱を、彼女は手にしている 手のひら大くらいのもので、梱包もしっかりとなされたものだ
- カードが挟まったいた痕跡は、こうして出発した後眺めやってから気がついたもので
- 中身は分かっている……。開けたわけじゃないけれど、きっと、チョコレートであること
- そして、それがきっと…手作りであることも
- 「……」 あの後話が出来なかったことが、尾を引いている 自分で用意していたチョコレートも、置いてくることが出来なかった
- 「『私は、貴女が欲しい』……か…」 彼女が口にした言葉を、思い起こし 口にしてみる 言葉の意味はわからないが、ドレイク語ではないかと思う。
- 音も覚えている。言葉に詳しい人に聞ければもしかして・・・とも思うのだが
- 聞いて良いものなのだろうか、とも思うのだ
- 「……シリカ」 小さく、呟く
- あの行動、あの瞳の色、艶っぽい声の形……言葉の意味は分からなくても、裏付けるものは幾らでも浮かぶ
- 普段から大事にしてもらっていることも分かっていた
- 念入りな自分の身体への確認は、…本当は恥ずかしがり屋な彼女が常に真剣な目でやっていたし
- 私の部屋で眠る頻度も、増えていた とても、とても仲良くなれたと
- 大事な、大事な友だちであると……そう思っていた
- 「……」 けど
- 「……私は」
- 口に出さないと収まらなくなるくらい、感情が渦巻いていて
- 「私は馬鹿ですね……」
- きっと、また見過ごしているのだ
- 相手から見た、自分への想いを
- コルネリアのときのように
- 「──、」 胸が詰まる
- 「……」洗い出してみる シリカの言葉を、シリカの行動を
- 「……でも」
- 「……でも」
- 洗い出して、どうする
- 彼女の想いが、自分の想像と合致している場合
- 私は、……応えられるのか
- 父上は?世継ぎは?家の事は?周りは?騎士の家のつながりは?
- 「………」 首を振って
- そんな事どうでもいい、そんな事、関係ない……そう言えるだけの強さが欲しい
- 欲しいのに……
- 「……シリカが一番…」 これに嘘はない、偽りは無い
- ただ彼女が、もっと深い意味で捉えていたとしたら
- 「………」 つよい、強い自己嫌悪の感情が湧き上がる
- 情報を整理すればするほど、気持ちを整えようとするほど、明確な好意が浮かび上がってくる
- 「……シリカ」 会いたい
- なんで一緒にいられないんだろう。なんでここに居ないんだろう
- 言葉で、表すには、きっと 足りない
- 「……」帰ったら、帰ったらちゃんと話そう。話して…それから
- 「もう一度聞かせてくださいって……分かるように言ってくださいって…言わないと…」
- 「…言わないと…」
- 「わからない事、だらけなんですよ…‥私は…」
- 「鈍いんですからね」 チョコレートの箱をなでて
- 船室へ戻る前に、しばし佇む
- 帰ったらシリカとすることを、したいことを想像しながら
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- フランシアが退室しました。