- SYSTEM
- シリカが入室しました。
- シリカ
- わんだふる。
- SYSTEM
- アウラが入室しました。
- アウラ
- 飼い犬に餌を上げないでくださいません?
- シリカ
- あげてないが。
- 開幕はどうする。
- アウラ
- 導入はこちらで致しましょう 恐らく話しかけにいくのもこちらからになります
- シリカ
- 良かろう。
-
-
-
-
-
-
-
- リアン地方イルスファール王国、〈星の標〉
- ここは、国内でも有数の冒険者ギルド支店としてその名を輝かしいものにしている
- 朝から昼にかけて依頼を貼りだし、指名依頼を説明し 午後から夕方にかけては人が居なくなりがちだ
- ゆっくりとした時間に店内にはピアノの演奏が流れている
- シリカ
- 店内へとやってくるのは、仕立ての良いカジュアルな服装に身を包んだ銀髪の娘。
- 入るなりピアノの音色が聞こえて来ると、やや怪訝そうに顔を顰めた。
- アウラ
- 「──」 店の一角に置かれている古いピアノで 穏やかな曲を指先で奏でるのは 青を基調とした神官服の金髪の少女だ
- シリカ
- 「……まあいい」 今日は一人での鍛錬に集中していた。疲れている時にこんな演奏を聞かされると眠くなってしまいそうだが、この店ならば多少うたた寝したところで何があるわけでもない。
- 呟くと、空いているテーブル席に陣取り、近くを通った従業員にケーキと紅茶を注文した。
- アウラ
- 「──」 曲を一通り奏で終わると 息をついて
- 次は何を弾こうか、と思案して 喉の乾きを覚える
- シリカ
- 注文品が来るまでの間、背もたれに思い切りもたれかかり、腕を組んで目を閉じる。
- アウラ
- 一度休憩にしようと決めて ピアノから離れて店内を見ると
- 「……」 疎らな店内、もとより目立つ人だとは思うが、とシリカを目に留めて
- 「──」 少し迷って 「……」 息を1つ吐くと、そちらに近づくように歩いていく
- シリカ
- 「…………」 かくりと舟を漕げば、それに合わせて後ろで尻尾のように一つに結んで垂らした銀の髪が合わせて揺れる。
- アウラ
- 「……もし」
- 躊躇いがちに声をかける
- シリカ
- 「――む」 気配が近付いてくれば反射的に目を開き、声に応じるように顔をあげた。 「貴様か。演奏は終わったのか」
- アウラ
- 「…え、ええ…聞いてくださっていたのですね」 どこか、よそよそしさを感じる様子で 目を逸らしながら頷いて
- シリカ
- 「聴いていたという程ではない。此処へ来たら勝手に耳に入るだろう」
- アウラ
- 「……そうですか。でも、聞いてくださって嬉しいですわ」
- 「…‥少し、よろしいかしら」
- シリカ
- 「……」 片眉をあげた。 「文句を言われるようなことをした覚えはないのだが」
- 「まあいい、好きにしろ」
- 顎で対面の席を示し、姿勢を変えて足を組んだ。
- アウラ
- 「……文句を言いに来たわけではありません」 不服そうな表情で
- 「……」 対面の席に着いて 店員に紅茶を1つ注文する 「シリカ様は、いかがなさいますか」
- シリカ
- 「冗談の通じん奴だな。人族の身分が高そうな奴というのはそういうのばかりか」
- アウラ
- 「貴方の冗談が分かりにくいだけです…」 また不服そうに
- シリカ
- 「私ならもう頼んである」 といったところで、丁度ケーキと紅茶が運ばれて来る。
- アウラ
- 「では以上で」 店員にそう告げると またシリカに向き直る
- シリカ
- 「半分くらいは本気で言っているからかもしれんな」
- アウラ
- 「今のもご冗談ですか?」
- シリカ
- 温かな紅茶を口にし、息を漏らす。それなりに美味いとは思うが、屋敷で、特にフランシアに淹れてもらったものの方がやはり美味しく感じる。
- 「いや、本気だが」
- アウラ
- 「……」
- 「面白いですわ」
- シリカ
- 「で、何だ。貴様は好んでダルクレムの神官に話しかける程奇特な人間ではあるまい」
- 「何が」
- アウラ
- ほぼ無表情でそうコメントしてから 「…‥」
- 「全部冗談だと思って感想を述べて差し上げたのです…‥‥それは置いておいて」
- シリカ
- 「……」 しばらく真顔で様子を眺めた後、呆れたようにケーキに手をつけた。
- アウラ
- 「……ルトヴィークに様々な助言や、戦士としての在り方を説いて下さっていたので」
- 「……また貴方への見方が変わったというだけです」
- シリカ
- 「見方が変わると声を掛けるのか。人族というのはよく分からんな」 平坦な様子で返し、ケーキの上に乗ったいちごをフォークで突き刺した。
- アウラ
- 「……仲良くなるにしても、そうでないにしても。会話というのは基本です」
- シリカ
- 「はあ」 肯定なのか否定なのか、なんとも言えない声が出た。 「貴様たちは会話を好むからな」 まあ、人族に限った事ではないがと続ける前に、いちごを口に放り込んだ。
- アウラ
- 「ルトヴィークとも、お話されたのでしょう?」
- シリカ
- 「ん?」 言われて思い出してみる。 「……ああ、仕事以外でだと、一度だけ此処に居る時にアイツが来て話した事があったな」
- アウラ
- 「その時も、戦士としての在り方などを?」
- シリカ
- 「名前を覚えるのが重いだの、誰かが死んだらどう感じるだのの話から始まって……」 合間にケーキを食べ進めながら会話を思い出す。
- 「戦士としての在り方と言えるのかは分からんが、奴の食事については口を出した覚えがある」
- アウラ
- 「そうですか……」
- シリカ
- 「それがどうかしたのか」
- アウラ
- 「いえ……彼からはまた違う話を…聞いたもので」
- シリカ
- 「どんな話だ」 ケーキを平らげて、口の中を調えるように紅茶を飲み干した。 (足らんな……)
- アウラ
- 「あなたと、プリンを食べたと」
- シリカ
- 「ああ」 思い出したと言いたげに頷いた。 「少し待っていろ」
- 一方的に告げて席を立ち、カウンターまで歩いていく。
- ガルバと2、3言葉を交わすと、しばらくしてトレイに4つのガラスの容器を載せて戻ってきた。
- 「食いたかったなら始めから素直に言えば良いものを」 器のひとつとスプーンをアウラの前に置いて、自分の前に3つ並べる。
- 器はぷるぷるとふるえる白色のプリンで満たされている。
- アウラ
- 「……え」 きょとんとした顔で
- シリカ
- 「?」 此方は既に一つ目に手をつけている。スプーンを口に咥えたままアウラを見る。
- アウラ
- 「…‥これを彼と二人で?」
- シリカ
- 「いや?」
- アウラ
- 先日、彼の部屋で食べたものと同一のものだろう 「……?」
- シリカ
- 「私と、私の友人と、ルトヴィークの3人でだが、それがどうかしたか」
- 「元々私と友人が食事している所に、偶然アイツが来てな」
- アウラ
- 「……い、いえ…」 努めて、表情は崩さぬように 俯きがちになり
- シリカ
- 「で、ルトヴィークの奴もこれを割と気に入っていたようだから、言ってやったのだ」
- 「飼い主とでも食ったらどうだ、とな」
- アウラ
- 「……その表現は気に入りません、が」
- 「……」 なんてこと…
- シリカ
- 「それを伝えてからそれなりに日が経っているはずだが……何だ、アイツはまだ貴様に食わせていなかったのか?」
- アウラ
- 「いえ……頂きました」
- 改めて、スプーンを手に持って ちょうど届いた紅茶がテーブルに置かれる
- シリカ
- 「そうか。美味かっただろう」 満足げに言い、最後のひとつを手にとった。
- アウラ
- 「……ええ」 味は、殆ど感じなかったというか、飲み込んだというか 曖昧に返事をして見せて
- 「……」 シリカを改めて見る 装飾品の類は どれくらい身に着けているか、と
- シリカ
- 「……全然そうは思っていない顔だな」 スプーンを咥えて上下に動かして考えを巡らせる。
- アウラ
- 「……そんな事は」
- シリカ
- 「……?」 リンザー家の使用人たちに着せかえ人形にされる時に、服装に見合った装飾品の類も一緒に選ばれ、半ば強引に身に着けさせられている。勿論、華美にならない程度にではあるが。
- アウラ
- 部屋に置かれていたものと、趣味が異なる事を確認すると、より確信を強めていく
- シリカ
- 「――そういえば」 はたと思い至る。 「先日依頼に出た時、どうにも奴……というか貴様たちの様子が変だったな」
- アウラ
- 「──、」
- シリカ
- 「あいつ、貴様から声を掛けられる度に一々驚いていたし、基本的にあいつから貴様に声を掛けようとはしていなかった」
- 「……何だ、躾に失敗して手を噛まれでもしたのか?」
- アウラ
- 「‥…」 がた、と音を鳴らして席を立って 「彼を獣扱いするのはおよしなさいっ」 怒ってみせる。怒って見せるが、これは図星に似た何かであることを、彼女は理解していない
- シリカ
- 「……」 スプーンをテーブルに軽く放れば、からんと音が鳴って。アウラの怒った様子にも動じた様子はなく、片手で頬杖をついた。 「別に本気で犬だと言っているのではない。少なくとも、今はな」
- アウラ
- 「では、当てつけですか?」
- シリカ
- 「当てつけ? 誰に対しての」
- アウラ
- 「……彼についている蔑称も、耳に入ってない訳ではないのです」
- シリカ
- 「私は聞いた事がないな」
- アウラ
- 「……失礼しました」 席に着き直して
- シリカ
- 「別に私は嫌味や蔑みで飼い主や飼い犬などと表現しているわけではない」
- 「出会った当初、そういう印象を受けたからそう言っているだけだ」
- アウラ
- 「蛮族では、そう表現する事も普通の事なのかもしれませんが、一般的にその印象をそのまま口にする事は」
- 「相手に対する礼を失する行いですわ」
- シリカ
- 「そうか。ではその点については非礼を詫びよう」 意外にも素直に謝罪を口にするが、 「代わりに、言わせてもらおう」
- 「ああ、詫びたのだから怒るなよ。また大声を出して席を立たれては何事かと思われる」
- アウラ
- 「……どうぞ」
- シリカ
- 「思った事は口にするが、思ってもいない事は言葉にはしない」
- 「……要は、貴様があいつをそういう風に扱い、あいつもまた貴様を飼い主のように思っているように見えたと、そういうことだ」
- アウラ
- 「……」 空色の瞳が 燃える様に輝いた 「私は……」 呼吸を1つ入れて 精神を落ち着ける
- シリカ
- 「先程の私の言葉に憤ってみせたのも、図星を突かれたと無意識に思ったからではないのか」
- アウラ
- 「………」 テーブルの下で手のひらを固める様に握る
- シリカ
- 「あやつにどのような蔑称が付いているのかは知らんが、人族の間には火のない所に煙は立たぬという表現があるらしいではないか」
- アウラ
- 「……そこまでにして頂かないと、」 「…怒るなと言うのは無理です」
- シリカ
- 「……」 ため息をついた。 「悪かった。別に貴様を責めているわけではない」
- アウラ
- 努めて、無表情を作っている 肩が、少し震えているのは、その先で握った拳に少女なりに渾身の力が込められているからだろう
- シリカ
- 「――で、怒りが込み上げて来る以外の感想は」 目の前の娘の様子とは対照的に頬杖をついたまま問いかけた。
- アウラ
- 「──、答える必要を認めません」
- シリカ
- 「それで十分だ。自覚が持てたのならば良い」
- アウラ
- 席を立つ 結局、紅茶にもプリンにも手を付けず
- 伝票だけを丸ごと手に取ると
- シリカ
- 「あ、おい」
- アウラ
- 「ありがとうございました。ごきげんよう。シリカ様」
- 一礼してから カウンターへ向かい 支払いを済ませてしまう
- シリカ
- 「……せめて自分が注文したものくらい自分でどうにかしていけ、馬鹿者め」
- 「――ああ」 まったく、人間というのは面倒だ。呆れたように漏らして。 「最後にひとつだけ言っておく」
- 「私から逃げるのは構わんが、アイツからは逃げるなよ」
- アウラ
- 「……」 そのまま店を出ようとして、足を止める
- 「……」 言葉を返す事なく そのまま店を出る
- シリカ
- その背を見送り、残されたミルクプリンの器を手にとって、スプーンで掬い上げた。
- 「……」 はむ、とそれを口にする。ちゃんと詫びの言葉まで入れて前置きして、途中にもちゃんと謝罪したというのに何故ああなったのだろうか。
- 「……面倒だ」 先程思ったばかりの事が、言葉になってもう一度口から出てきた。プリンをあっという間に食べ終えると、大きく伸びをする。 「――帰って風呂でも入るか」
- 立ち上がると、店を後にして、足早に帰路を急いだ。
- シリカ
- こんなところだな。
- アウラ
- 「…‥」 帰り道 星の標の方を何度も見てしまう 彼は本当に、一緒に食べたかっただけなのだとしたら
- 「……」 悪いのは、聞くことが出来なかった自分、それを分からない程、自分は愚かではない。そうですわよね、アウローラ
- 「…‥ルトヴィーク」 小さく名前を呼んで
- アステリア神殿へと戻るのだった
- アウラ
- こんなところです
- シリカ
- うむ、ご苦労。
- アウラ
- お付き合いありがとうございました
- シリカ
- 励むがいい。
- こちらこそな。
- アウラ
- ですが、貴方はどう頑張っても好きにはなれません
- シリカ
- 好かれようとも思っていないから問題ない。
- アウラ
- 仕事に私情は挟みませんわ
- ではごきげんよう
- )))
- シリカ
- そう出来ると良いな。
- )))
- SYSTEM
- アウラが退室しました。
- SYSTEM
- シリカが退室しました。