- SYSTEM
- シリカが入室しました。
- シリカ
- うむ
- SYSTEM
- フランシアが入室しました。
- フランシア
- はい
- では前回の続き、ですね
- シリカ
- この前の続きが良いのだったか。
- うむ。
- フランシア
- まだ結局、獅子について聞けてませんでしたから
- では描写いたしますね
- シリカ
- 任せよう。
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- 冬にしては珍しい陽気の日、
- フランシアとシリカはリンザー邸の庭で、シートを広げて ゆったりとした時間を過ごして居た
- コルネリアとの一件が決着した後にご馳走になったクッキーのお返しとして サンドイッチのお礼をしたのだが
- その後、心地よい陽気とフランシアの提案に載せられる形で、シリカはフランシアの膝で午睡に入っていった
- ぱらり という紙がこすれ合う音が耳に入って シリカの意識は覚醒される
- シリカ
- 「…………」 薄っすらと意識が戻ってきて、降り注いでいる陽光の温かさに身動ぎする。
-
- まだ陽は高く、朝だったのが昼になった程の短い時間の睡眠だったのだろう 変わらず空は蒼く 雲も漂っていた
- シリカ
- ゆっくりと目を開けば、自分を膝に乗せたまま目の前で読書に勤しむ娘の姿――というよりも本が目に入る。
- 「……いかん……すっかり眠ってしまっていたか」
- フランシア
- 背表紙は共通語で 家庭料理の作り方についての小型(文庫サイズ)の本だと分かる 「…あ」
- 「おはようございます。シリカ」 本を閉じて 覗き込むように顔を見て微笑む
- シリカ
- 「……ああ」 この娘の傍で眠ってしまったからだろうか。それなりに深く眠ってしまっていたようだ。ややぼうっとした声で答える。 「……何だ、ずっとこの体勢でいたのか」
- フランシア
- 「ええ、とても気持ちよく眠っていらしたので‥…朝もそう言いましたね」 ふふ、と笑って
- シリカ
- 「……どうも弛んでいるようだ。いつ誰に襲われるか分かったものではないというのに」 言いながら、ゆっくりと身体を起こした。
- フランシア
- 「少なくとも王都で、この屋敷でそれはありません」 安心してください、と 身体を起こすのを支えるように手を添えて
- シリカ
- 「分からんぞ。屋敷そのものが何者かの襲撃を受けるかもしれん」 大人しく支えられて起き上がり。 「少ししたら、今日の分の鍛錬をこなさねばならんな」
- フランシア
- 「そうですね」 頷いて
- 鍛錬の方に頷いて
- 「お昼ご飯の用意はお願いしておいたので、すぐにでも食事は出来ると思いますが」
- 「その前に、ご存知でしたら教えて頂きたいことがあるのです」
- シリカ
- 「いや、先に身体を動かしてからだ。使用人たちには悪いが、仕上げはもう少し後で――何だ?」
- フランシア
- 「先日、またユディスで依頼があって、赴いたのですが」
- シリカ
- 「ああ」
- フランシア
- 「そこで、浸透してきた蛮族の部隊と交戦した際に、あるフレーズを聞いたのです」
- 「"獅子"……というものでした。何を意味する言葉か、ご存知でしょうか」
- シリカ
- まだ少し眠く、半ばぼうっとした状態で話を聞いていたが、その言葉を聞くと目を見開いて。 「……“獅子”?」
- フランシア
- 「……はい。それを語った、敵の指揮官…ミノタウロス族の魔法使いは」
- 「我々の捕虜になる前に、何らかの方法で体の内側から破裂するようにして、殺害されました」
- シリカ
- 「……そいつがどのような方法で始末されたのかは分からん。が、そうか……」
- 「このタイミングで人族の領域へ侵攻……?」
- ぶつぶつと呟きながら、しばし考える。
- フランシア
- 「‥…何か、ご存知なのですか?」
- 質問、というよりは確認、といった口調で
- シリカ
- 「フランシアには――……というより、此方の人間には、まだ話した事はなかったな」
- 「もし、私の頭に浮かんだものと貴様が聞いた”獅子”が一致するのならば」
- 「私の兄か、姉か。貴様の遭遇したのは、そのいずれかの配下だった可能性がある」
- フランシア
- 「兄姉……という事は、獅子というのは」
- シリカ
- 「兄上か、姉上……一応、私を指す言葉でも、ないではない」
- フランシア
- 「その勢力を…表す言葉というよりは、家名…に近いのでしょうか」
- シリカ
- 「そうだな。ニュアンスとしては、それが近いかもしれん」 片膝を立て、それを抱えるようにして座る。
- 「私の父は、”獅竜”の異名を持つドレイクでな」
- 「その子である私たちは、周りからは”獅子”などと呼ばれていた。兄や姉に対しては尊称、私に対しては蔑称であったかもしれんがな」
- フランシア
- 「"獅竜"…」 覚え込むように呟いて 「本当の、子ではないから…ですか?」
- シリカ
- 「それもあったかもしれんが……ドレイクにとって、最も恥ずべき事の一つが何かを、知っているか」
- フランシア
- 「…生まれの魔剣を持たない事」
- シリカ
- 「ああ」 頷き。 「生まれ持っての魔剣を持たず、竜化出来ぬこと」
- 「兄や姉は、魔剣と共に生まれたドレイクだ。竜になることが出来る」
- 「つまりは、いずれは”獅竜”へと成る可能性を持つ”獅子”だったわけだ」
- 「対して私は、剣無しどころか、ドレイクですらないのだからな」
- フランシア
- 「……なるほど」
- シリカ
- 「父が命を落とした切欠のひとつは、兄上の裏切りだ」
- 「てっきり、それを以てそのまま兄上が”獅竜”を名乗るものとばかり思っていたが……」
- フランシア
- 「シリカの、仇というのは…」
- シリカ
- 「ああ。兄上はいつかこの手で殺す。父の代わりにな」
- 「姉上は……よく分からん。元々何を考えているのか読めぬ方だったし、いつの間にか姿を消してしまっていたからな」
- フランシア
- 「……"獅竜"を名乗らない"獅子"。姉君も可能性に入れていらしたのは、そう言う事なのですね」
- 「ただ聞く限りだと、姉君というよりかは…兄君のような印象を受けます」
- シリカ
- 「何故そう考える」
- フランシア
- 「……いえ、単に印象を受けただけで」
- 「そもそも何ものかの騙りの可能性も残っています」
- 「兄姉とは仲は‥…」
- シリカ
- 「ああ。私も同じ考えだ。兄と姉、どちらかであるのならば兄上の可能性の方が高いと思う。……貴様の言ったように、何者かが騙っている可能性も十分にある」
- 「兄上とは――正直あまりよくなかったな。というよりも、あちらがまともに相手をしてくれなかった」
- 「私が父から魔剣を賜ってからは、殆ど口も利かなくなったくらいだ」
- フランシア
- 「……そうですか」
- シリカ
- 「逆に姉上とは、姉妹仲は良かった方だと思う。私の種族に拘らず、よくして下さっていた……はずだ」
- フランシア
- 「……私が言っていい言葉かどうかは分かりませんが」
- 「そう言う事であれば、姉君とは、戦いたくありませんね」
- 「……シリカをよくしてくれた方を、これ以上、失わせたくありません。無論、私がどうこうできる問題ではないのでしょうけど」
- シリカ
- 「……いや」 首を横に振って。 「必要があれば、戦う。誰が相手であれ、刃を鈍らせるつもりはない」
- フランシア
- 「必要が無ければ、戦わないのであればいいです」
- シリカ
- 「戦わずに済めば良いなどとは、戦神の神官として、とても言えたものではないが……」
- 「まあ、そうだな。貴様の言うことにも、一理ある」
- フランシア
- 「……ご家族なのでしょう?私は、きょうだいが居ないので……少し羨ましくもあります」
- シリカ
- 「何だ、きょうだいが欲しかったのか」
- フランシア
- 「……兄か姉がそれこそ、欲しかったです」 ふふ、と笑って
- 「兄が居れば、私のような不出来な娘がこの家を左右する事もなかったでしょうし」
- 「姉が居れば、こうした事を相談できたかもしれない……そう考える事が、最近増えました」
- シリカ
- 「……ふん」 不機嫌そうに鼻を鳴らして、フランシアの膝の上に頭を乗せるように横になった。
- 「兄や姉になるのは無理でも、私は此処に居るぞ」
- フランシア
- 「弟妹が居たら、……きっと厚かましい姉と思われてしまうでしょうね」 シリカの頭を膝に乗せると、軽く撫でる
- 「はい」 嬉しそうに笑って
- シリカ
- 「今後も、”獅子”に纏わる何かに関わった時は、私に言え」
- フランシア
- 「……シリカに相談できる事は、何でも相談します」
- 「分かりました……が、1つ。約束して頂けませんか」
- シリカ
- 「……それでいい」
- 「……? 何だ」
- フランシア
- 「……もし、兄君に手が届く可能性をシリカが見出して、そしてそれが実現可能になったとしても」
- 「1人で私の前から居なくならないでください」
- シリカ
- 「……何故かは、問うてもいいか」
- フランシア
- 「……シリカは、そうしてしまいそうだと思ったからです。こちらでの生活と、自らに課した誓い、天秤にかけた時、きっと後者に傾くと思ったから」
- 「……そしてこれが一番なのですが」
- 「そうされるのが、私はとても辛いと思うからです……そう言う形で、大事なシリカと別れたくないから」
- 「その時は、連れて行ってください」
- シリカ
- 「……そうか。そういう理由ならば、良い。……覚えておいてやる」
- 「私も……」
- 一呼吸置いて、目を合わせないようにして。 「……私も、そういう形で。大……事な、相手と、離れたくはない……からな」
- フランシア
- 「……」 両頬を優しく挟んで 「そう言う時に目を逸らすのはダメですよ」 ふふ、と笑って
- 「……ですが、嬉しいです」
- シリカ
- 「……うるさい。恥ずかしいものは恥ずかしい……」
- 「……ふん、貴様はなんでもかんでも有難がりそうだからな。嬉しいという言葉は信用ならん」
- フランシア
- 「……」 む、と 表情を変えて 「…では、そうですね」
- 「どれくらい嬉しいか、表現しますから、動かないでくださいね」
- シリカ
- 「? 何をするつもりだ」
- フランシア
- シリカの頭を軽く持ち上げるようにして フランシアの金色の髪が、カーテンの様にシリカの顔の脇を覆う
- フランシアが顔を近づけて、シリカの額に、柔らかな唇を触れさせた
- シリカ
- 「――……」 フランシアの顔が間近になり、それが自分の額へと触れたと認識したのは、それから少し遅れてのことで
- 「な……ぁ……え、……な、……」 何が起きたのかを認識すると、忽ち頬は朱に染まり、声にならない声をあげながら、ぱくぱくと口を開く。
- フランシア
- 「……」 顔を離して 微笑んで 「父上か、コルネリア様の頬。額へこれをするのは、初めてですね」
- 「ご理解いただけましたか」
- シリカ
- 「…………いや、あの…………」 続けて浴びせられる言葉も、まともに頭に入ってこない。
- フランシア
- 「……シリカ?」 あれ、という表情で
- シリカ
- 「……わ、分かった。分かったから……もう、勘弁してくれ……」 居た堪れなくなり、顔を隠すようにフランシアの身体にしがみついた。
- フランシア
- 「ご、ごめんなさい…シリカ……」 友人の反応にたちまち焦ったように
- その背や後頭部を撫でるようにして
- シリカ
- 「……あ、謝らないでいい……。恥ずかしいだけで……」
- 「……別に、嫌というわけではない……。むしろ…………」 ぶつぶつと呟いたその先の言葉は、きっともう言葉になっていなかった。
- フランシア
- 「……ずるいですよ、普段あれだけかっこいいのに…」 苦笑を含んだ笑いを声に載せて
- シリカ
- 「誰のせいだと思っている……」
- フランシア
- 「……」 ぐずるような声音に その背を撫でる事で謝意を示して
- 「しばらく、こうしておきましょうか」
- シリカ
- 「……」 こくりと頷く。 「……今の顔は、とても見せられたものではない……」
- フランシア
- 「……」姉みたいで、妹みたいで… その姿が例え人ではないと本人が言っていたとしても 「……大好きですよ。シリカ」
- シリカ
- 「っ~~~~~~~~~~~!」 無自覚なのだろうが、追い打ちをかけるような言葉に、より強くしがみついて。 「………………」 何かを口にしようとしたが、言葉にならずに。
- 代わりに、ゆっくりと、耳を覆うように伸びていた角が縮んでいった。
- フランシア
- 「…え」
- シリカ
- 「…………?」 違和感を感じて、顔を隠したまま自分の耳の辺りに手をやってみた。 「……お、おい……私の、角……」
- フランシア
- 「シリカ……異貌が…」
- シリカ
- 「……解けた、な……?」
- そのまま側頭部に触れてみる。小さくなってしまってはいるが、角らしきものは残っている。
- フランシア
- 「……」 驚いた表情のままに 「解けない…と仰っていましたよね」
- シリカ
- 「……ああ、どうすれば角が引っ込むかなど、考える必要もなかったからな」
- フランシア
- 「……ど、どうしてでしょう」
- シリカ
- 「……き、気が抜けたのかもしれん……」 異貌しようとしてみるが、なんだか身体に力が入らなくて出来そうにない。
- フランシア
- 「……支障がないと良いんですが」 心配するような口調で
- 「しばらく、休みましょう…このままでも良いですし」
- シリカ
- 「……多分、大丈夫だ。しばらくすれば、勝手に戻るだろう……多分」
- 「……使用人たちは、絶対近づけないようにしてくれ……。こんな姿、恥ずかしくて貴様以外には見せられん……」
- フランシア
- 「……はい。しばらく来ない様、言ってきますね」
- 「すぐ戻ってきますから。一度離して貰っても良いですか」
- シリカ
- 「……」 頷いて、ようやく顔を上げ、身体を起こす。顔は紅いままだが、いつもより肌の色は人間に近い。
- フランシア
- 「……そのシリカも素敵です」 と笑って見せて
- シリカ
- 「……絶対に言うと思った……」 俯いてそっぽを向いた。
- フランシア
- 「……」 よしよし、とするように背中に腕を回して抱き締めて
- 「では、行ってきます」
- シリカ
- 「き、貴様はどこまで……」 抗議するも、大人しく抱きしめられる。
- 「……ああ」
- フランシア
- 靴を履き直して そのまま屋敷の中へと消えていく
- シリカ
- 「…………」 その背中を静かに見送ってから、敷物の上に仰向けに転がった。
- 「私によくしてくれた相手を、これ以上失わせたくない、か」
- 「……自分が一番よくしてくれていること、きっとあいつは無自覚なのだろうな」
- 「……まったく、厄介な奴に捕まったものだ」 ふ、と笑ってこぼすと、そのまま目を閉じた。
- シリカ
- こちらはこれでいいぞ。
- フランシア
- 屋敷の中を急ぐ、この時間は皆も休憩しているはずだから、そこに行けば周知はできるだろう
- それにしても、……シリカが異貌を解き、そして軽い接吻の後の反応… 私はそれ程、おかしなことをしてしまったのだろうか
- 「……もしかして…」 足を止めて考える 「‥‥いや、考えすぎですね」
- 急ごう、誰かが庭にやってくる前に
- フランシア
- こちらもこれで
- シリカ
- うむ……
- 穢されてしまった……
- フランシア
- け、穢したわけでは…
- シリカ
- 異貌を解いた姿を見られるなど穢されたのと同じだ……。
- フランシア
- ど、どうすれば…
- シリカ
- そのうち責任を取らせてやる……。
- フランシア
- はい。。。
- お付き合いありがとうございました
- 無事に帰ってきてくださいね
- シリカ
- ……うむ。こちらこそな
- 任せておけ
- フランシア
- では
- )))
- シリカ
- ではな
- SYSTEM
- シリカが退室しました。
- SYSTEM
- フランシアが退室しました。