- SYSTEM
- ユーノスが入室しました。
- SYSTEM
- クリムヒルトが入室しました。
- ユーノス
- ……
- クリムヒルト
- どうした
- ユーノス
- いえ、まだ怒っていらっしゃるかと。
- 〈星の標〉で宜しいですか? どこかあれば、それでも。
- クリムヒルト
- 引きずる程の事ではない
- ああ、構わん
- ユーノス
- では
-
-
-
-
-
-
- ――王都イルスファールにある冒険者ギルド支店のひとつ、〈星の標〉。
- 日中のこの宿は、およそ静かである時間の方が短い。
- 朝の争奪戦から、昼頃までの敗者復活戦(ここでは突発の依頼などを指す)。夜にはちらほらと戻ってくる者もいる。
- 活気がある、というのが的を射ているだろうが――
- この日の〈星の標〉は、中々に賑やかであった。
-
- ユーノス
- 「――……ふう」 埋まっているカウンター席を一瞥しながら、他に使う者がいないか一度見回しながら、小さなテーブル席へとつく。
- この日は冒険者として店を訪れたというよりも、神官としての仕事を終え、夕食を摂りに来たのだろう。
- 普段は持ち合わせている背負い袋は近くには無く、机にはいくつかの書類とペン、注文したであろう珈琲とサンドイッチが置かれている。
- ううむ、と目頭を押さえながら一つ息を吐き――ゆっくりと周囲へと視線を移す。
- ユーノス
- さ、どうぞ。
-
- からんからん、と 一組の男女が店を出て行くのと入れ替わるように 深い紅のフードを被った小柄な人影が入店する
- 槍を肩で支えながら 左手で保持し ゆっくりとカウンターへと進んでいく
- クリムヒルト
- ガルバと短いやり取りをして わずかな額の銀貨を受け取ると 漸く店内を見回した
- とても賑やかだ。冒険者達がたむろしているのを見て 少女に見える女性は、小さく息をついた
- ここのシチューを気に入っている女性は、このままここで夕食を取るつもりだったが、いつも以上に店は混んでいた
- ユーノス
- 「――……」 栄養を摂っているのかも解らない、矮躯の少年や、ピアノを演奏する女性と、その音色に耳を傾けているのか、独りでぼんやりとしている青年などをぐるりと見回し
- 「――、……」 最後に、店内を見回す顔見知りの少女を瞳に映すと 少し考えた後、ゆっくりと手を振ってみせた。
- クリムヒルト
- 「──、」致し方ない。そう結論付けると 出入り口に向けて足を向けようとして 「………」 独りの少年が手を振る姿が目に入る
- 葛藤は一瞬だった が 結局、シチューを求める腹の虫に、少女は敗北したのだ 「……」 一つ息をつくと 少年が座るテーブルへと足を進めた
- ユーノス
- 手のひらで、2人掛けのテーブルの向かいを示し 小さく首を傾げてみる。
- 少女の葛藤の事など微塵も理解はしていなかったが、歩を進める様子を確認すると、眼に見えて喜び、頷いてみせた。
- クリムヒルト
- 「……」 礼を言う訳でもなく、黙って席に着いて 「……何の用だ」 とハスキーな声で問う
- ユーノス
- 「……」 そう来るのか。心中で呟き
- 「……自分も、まだ食べておりませんでしたので。夕食はもう、摂られましたか?」 やや間を置き、サンドイッチに視線を向けると思いついた様にそう口にした。
- 「一人よりは、見知った方と……と思いまして。いかがでしょう」
- クリムヒルト
- 「……」小さく息をついて 「……まだだ」短く回答する
- ユーノス
- その返事を聞いて、微笑みながら返事を待つ。
- クリムヒルト
- 「席が他にない」 微笑みが目に入ったのか、声音があからさまに不機嫌なものになって
- ユーノス
- 「ええ。だからお誘いしました」 頷きながら、書類をひとつ手に取る。
- クリムヒルト
- 「……シチューとバケットを頼む。それからエールだ」 店員を呼びつけて、手短に注文する
- ユーノス
- そのまま書類を纏めていく。視線を落とすのならば、ある"奈落の魔域"について記載されているものだと読み取れる。
- クリムヒルト
- 「……」 フードの中から書類に目を走らせて 「仕事か」
- 短く呟く
- ユーノス
- 「……」 とん、と書類を纏めて 「仕事というよりは……自分の使命、だと思っていますよ」
- クリムヒルト
- 「イーヴ……"奈落の盾神"の声を聴いたが故か」
- ユーノス
- 「ええ。故に、"奈落の魔域"を閉ざすことも、それを拓く魔神を討つ――」 言葉を切って、自嘲気味に笑って 「手伝いをすることも、自分の使命です」
- 「そういう意味では、あの列車の。あの場に居合わせた事も、或いはお導きなのかもしれない」
- クリムヒルト
- 「………ふん」
- 「心がけだけは、評価してやる」
- ユーノス
- 困った様に笑って、サンドイッチに手を付ける。 「いいんですよ。ご理解を頂けずとも、使命がそうであるという事には変わりありません」
- クリムヒルト
- 「……魔神を自ら討とうとは思わなかったのか」
- ユーノス
- サンドイッチを運ぶ手を止めて、苦笑を浮かべながら、んん、と呻く。
- クリムヒルト
- 「……手伝いという前」
- 「あたかもそうあるべしと思っていたと、感じたのでな」
- 「答えずとも、良い」
- ユーノス
- 「……いえ。話のついででも、知ろうと思って頂けたのであれば。それに、隠す事でもありませんし」
- 「脚を、一度壊しているんです。今は辛うじて動きますが――戦士の真似事を続けていれば、いずれ完全に壊すだろう、とは」 言われていますね、と続け 珈琲を一口飲む。
- クリムヒルト
- 「……」足をかばう様に動いていたのは、そのせいか 「なるほどな」
- ユーノス
- 「自分も、貴女の様に在りたかった事は」 カップを置いて、紅玉の瞳を覗き込む。
- 「否定しません。……できません、が正しいか」
- クリムヒルト
- 「──、そうか」
- シチューとバケット。そしてエールのジョッキがテーブルに置かれる その場で銀貨を渡し フードを外す
- ユーノス
- フードを外し、露わになった白髪に視線を一瞬向けて もう一度、瞳に戻す。
- クリムヒルト
- 銀細工に瞳の色と同じ宝石の髪飾りで後ろ髪を纏め 猛禽の羽とルビーで彩られた耳飾りも露になる
- ジョッキを掴み 口を付けて一息に呷る ごっごっ と喉が鳴る音がして
- 「──うむ」 ジョッキを置いて 頷く
- ユーノス
- 「……」 ちら、ともう一度白髪――ではなく、それを彩る装飾品に視線を移していたが
- クリムヒルト
- ジョッキの中身は僅かな泡を残して空になり 「……じろじろとなんだ」
- ユーノス
- 「お酒、好まれるんですね」 意外そうに言って、向けられた言葉には両手で否定する様に示して
- 「いえ、美しいな、と」 真顔で答えると、視線をもう一度装飾品へと向ける。
- クリムヒルト
- 「これは飲んだうちに入らん」
- ユーノス
- 「……お供する際は気張らねば」
- クリムヒルト
- 「……」胡乱な表情をして 「‥‥これか」 髪飾りに触れて
- ユーノス
- 「ええ。……ご自身で?」
- クリムヒルト
- 「……何故、私が作ったと思った」
- ユーノス
- 「……」 やべえ、という表情を一瞬だけ浮かべて
- クリムヒルト
- シチューに手をつけながら
- ユーノス
- 「クリムヒルトさんが、ご自身で買うかな……とは…………」 声量は徐々に落ちて行く。
- クリムヒルト
- 「ふん……」明らかに不機嫌になって 「無愛想なものは、飾る事すら不要というのがお前の持論か」
- ユーノス
- 「不要、と言いたい訳では。興味がある印象ではなかった、というだけでありまして」
- 「…………も、申し訳ございません」 ゆっくりと頭を下げる。
- クリムヒルト
- 「……」 この少年の推論も外れではないのだが、それを答えてやる義理もなく
- フードを被り直す事で 会話を打ち切った
- ユーノス
- 「…………」 フードを被り直した様子を見て 残念そうに少し肩を落とす。
- クリムヒルト
- バケットを小さくちぎり、口に運んで咀嚼する
- ユーノス
- 何か、何かあったか。ええと、そうだ。
- クリムヒルト
- すまない。早く戻れたら10分程度だが長いと20分程度だ
- 少し席を外すぞ
- ユーノス
- 「――ご、ご自身でおつくりに……?」
- ユーノス
- 承知致しました。自分も10分少々席を外させて頂きますね
- クリムヒルト
- 戻った
- クリムヒルト
- 「……何をだ」
- ユーノス
- 「先程の、髪飾りなどは」
- ユーノス
- 失礼しました、自分が遅れてしまった。
- クリムヒルト
- 「……」 むす、とした様子で 「答える必要があるのか」
- ユーノス
- 「はい、少なくとも自分には」
- クリムヒルト
- 「………」普段なら斬って捨てて無視を決め込むところだが
- 「……そう言う事もある」 短く小さくそう呟いて
- クリムヒルト
- 気にするな
- ユーノス
- 「……」 「も」
- 「もう一度、見させて頂いても……?」 人差し指を立てて
- クリムヒルト
- はからずとも席を用意してくれた少年に そう答えてやった 「調子に乗るな」
- ユーノス
- 「……であれば」 少ししゅんとしながら、斬り捨てたクリムヒルトの言葉に頷いた。
- クリムヒルト
- シチューをすくって口に運ぶと フードの中で満足そうに表情が動いた フードが無ければ、その様子は少年にもはっきりと見て取れたかもしれない
- ユーノス
- サンドイッチを伸ばした手をもう一度動かして、口へと運ぶ。
- 視線は一点して、クリムヒルトの顔――ではなく、フードへと向いている。
- クリムヒルト
- 「──今度はなんだ」 シチューが半分ほど残った状態で 匙を置いて
- ユーノス
- 「……いえ、本当に、本当に綺麗だったものですから」 頷いて 「しかし、気にさせてしまうのはよくありませんね、控えます」
- クリムヒルト
- 「……」 小さく息をついて 「その辺りの知識でもあるのか」
- ユーノス
- 「え」 想定していない返答を受けて 首を傾げながら
- 「ああ、はい。……家の絡みで、服飾には少しばかり」
- クリムヒルト
- 「綺麗だなんだと言うのは誰にでも出来る」 「確りとした目が無ければ、その言葉は音に過ぎん」
- 「……そうか」
- ユーノス
- 「目が確りと……かは、わかりませんが」 頭を掻いて 「携わったものとして、遣わせて頂きたい――、とは」
- 「僭越ながら」
- クリムヒルト
- 「一から彫り上げた訳ではない」 それだけだ、と言って シチューを片付ける事に再開する
- ユーノス
- 「では、その」 食べ始めた小さな体に、薄く微笑みながら
- 「いつか、依頼をさせて頂いても宜しいですか?」
- クリムヒルト
- 「本職に頼め」
- 「…エルフはやめておけ。納期がとんでもなく長いからな」
- ユーノス
- 「いえ、貴女の作品を見て思った事ですから」 続いた言葉には苦笑して
- クリムヒルト
- 「……ふん」
- シチューを片付け終わると すっと席を立ち
- ユーノス
- 「唐突な依頼である事は理解しています。ですので、クリムヒルトさんの気の向いた時にでも、……」 席を立ったクリムヒルトを見上げて、言葉を切る。
- クリムヒルト
- 「気まぐれに期待するな‥‥もっと確実な道を選べ。小僧」
- ユーノス
- 「冒険者としては、そうします。ですが、仕立て屋としては――」
- 「自分の感性を信じます。そしてその感性が貴女の作品をというのであれば、やはりそれを信じますよ」
- クリムヒルト
- 「──」 その言葉には何も答えず 脚を出入口の方に向けると、そのまま歩き出して
- 扉を越えて、そして夜の街に消えていった
- ユーノス
- 「――……」 その背中を見送って
- 「……」 さ、とペンを走らせる。そのままさらさらと記していき
- 「綺麗、だったな」 ぼうっと、少女の消えた闇へと視線を向けていた。
- ユーノス
- 自分からはこれで。
- クリムヒルト
- うむ
- ユーノス
- しない、とは
- 仰りませんでしたね
- クリムヒルト
- 既製品(スマルティエ)を弄っただけだ
- 気まぐれに期待するなとは言ったぞ
- ユーノス
- 完全な拒否でないなら、十分ですよ
- クリムヒルト
- 物好きな奴だ
- ユーノス
- では、またお会いしましょう。
- クリムヒルト
- ああ
- )))
- SYSTEM
- クリムヒルトが退室しました。
- ユーノス
- しつこくてお人好しでネッチョリ系ですからね。
- )))
- SYSTEM
- ユーノスが退室しました。