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コモンルーム[W]

20200116W_0

SYSTEM
クリムヒルトが入室しました。
SYSTEM
ユーノスが入室しました。
クリムヒルト
うむ
ユーノス
お待たせしました。えーっと
どこからがいいです? 別日でも王都に戻ってからでも。
クリムヒルト
好きなようにしろ。列車の中をイメージはしていたが
ユーノス
ふむ。しかし列車の座席ともなれば他の方もいらっしゃいますし、
いい具合に調整しましょう。
クリムヒルト
では任せるぞ
ユーノス
はい、お任せを
 
――がたん、と列車が揺れる。
ユーノス
む。
 

 
 
 
 
――がたん、と列車が揺れる。
夕空を仰ぎながら進む列車は、途方もない速度で王都へと向かっている。
この日、この列車は変な"奈落の魔域"に飲み込まれ、
列車はおろか、線路諸共呑み込まれてしまっていた。
しかし、そう被害を大きくする事もない内に、早期の解決を齎され
現在は平常通りに運行している。
 
快晴の空は既に赤く染まっており、陽もじきに暮れる。
ユーノス
――……」 そんな空を車窓から眺めながら、少年は物思いに耽る様にぼうっと視線を漂わせている。
同僚達――一人は眠っていたが――には、一言告げて席を離れている。息抜きをする時間が欲しかったというのもあるが、少し風に触れたかった事もある。
出発地点の都合、他に乗客も多くない。がら、と車窓を開き、入り込んでくる冬の風に眼を瞬かせた。
ユーノス
ここからはいつでも。
クリムヒルト
分かった
ユーノス
「……まだ冷えるな」 思い切り開いた窓に苦笑しながらそれを少し戻して、独り言を吐き出す。
 
かつ、かつ と軽い足音 後部車両へと向かうのだろうか
車掌のような律動性もなければ、男性のような力強さもない 少女の足音が、深紅色のマント共にやってきた
クリムヒルト
「──、」 窓が開いている…誰か居そうだ、 先ほどの振動で目を覚ましてから、話の輪から逃れるように(相棒)を片手に後部車両へと向かっていた
ユーノス
ぶわ、と窓から吹き込む音と、列車の駆動音によってだろうか。少女の足音には気付かずに、少年は流れて行く風景に視線を向けている。
クリムヒルト
「──、」少年の姿を見つけると、フードの奥から一瞬眺めやる
「──」 だが、何か言ってやる必要を感じない。止めた足をそのまま進めて、座席の横を通り過ぎようとする
ユーノス
「……ん」 自身の座る席と同じ地点までやって来た足音に、そこで漸く気が付いた。ゆっくりと振り向くと、歩を進める少女を認めた。
「ああ、……クリムヒルトさん。お身体は?
」 言葉にしながら、窓も閉めないまま席を立ち 何か言われるよりも早く、既に杖を握っている。
クリムヒルト
「──」 そのまま通り過ぎようとしたが、杖を握る気配を感じた 「…‥大事ない」
「奇跡は不要だ。気安く使おうとするな」
ユーノス
「お疲れのようですから。どうぞ、こちらに……」 不要と言われれば、困った様に苦笑して
「では、お傍に。王都に戻るまでは同僚、でしょう?」
「……ああ、ご安心ください。煩くはしません」 自分は黙れますから。
クリムヒルト
「……」 息をつく気配がして 「1人にしろと言っても付いてくるのだろう。お前は」
「……」 フードも上げずに ユーノスの対面の席に着座する
ユーノス
「……」 しつこい、ね。微笑んで、歩を進めるだろうと少女の背後、そこから三歩程の位置に立とうとして、席に着いた少女に眼を向ける。
「意外です」 おお、と声には出さないが、それだけは口にした。
クリムヒルト
「手間を1つ省いただけだ。不服か」
ハスキーな声で、不機嫌そうにそう呟く
ユーノス
「はは、いえ。……」 思い出した様に車窓を閉めようと手を伸ばす。
クリムヒルト
「閉めるな」
「風に当たりに行こうとしたのだ‥このままでいい」
ユーノス
「……」 視線だけ向けて、窓を示し 「風、 いで  う」 声に対して、風が大きく吹き込んで来る。
呆気に取られていた為か、声は酷く小さかった。吹き込む風に小さく身体を揺らし
クリムヒルト
「……」 小さく溜息をついて 閉めろとジェスチャーする
ユーノス
「……」 それを受けて、少しだけ窓を閉めた。 完全には締め切らず、風は先程の様にではないが流れ込んでくる。
「すみません。……自分も疲れているのかもしれません、声があまりでなくて」
クリムヒルト
「……休んでいろ。魔法使いが声を張れずにどうする」
ユーノス
背負ったりできますよ。言葉を呑み込んで
「……ああ、でも。休む前に、いくつか伺っても?
クリムヒルト
「聞くのは勝手だ」
「だが答えてやる必要はない」
ユーノス
「貴女らしい」 苦笑して
「なぜ、冒険者になろうと?」
クリムヒルト
「……」 黙したまま 時間が過ぎる
ユーノス
「……」 柔らかな視線を、じ、っとクリムヒルトへと視線を向けている。
クリムヒルト
「……なんだ」 言っただろうと、という声音で 小さく呟いて
ユーノス
「真面目な方だな、とは思っています」 今は、と続けて
「では……貴女は、闘う事が好きですか?」
クリムヒルト
「──好きでも、嫌いでもない」 フードが窓の方へ向く 
「私にとって必要だから、刃を振るうのだ」
ユーノス
「……」 その様子に、自分も続いて窓へと視線を向ける。
「必要。……そうでないと、貴女が貴女でいられないと?」
クリムヒルト
「………」 沈黙を保って
ユーノス
「……冒険者(このしごと)は、貴女にとって必要なものですか?」
クリムヒルト
「………霞や土を食べて生きていける訳ではないからな」 
ユーノス
「そうではありません」
「……失礼ですが、」
「貴女は、酷く――そう、人付き合いが苦手でしょう?」
クリムヒルト
「……何か言ったか小僧」
ユーノス
「ええ。人との付き合いは苦手でしょう、と言いました。……少なくとも、前回も、今回も」
「貴女は人を避けた筈だ」 窓の向こうを眺めながら続ける。
クリムヒルト
「………必要以上に関わる価値がないだけだ」 声に淡い怒気を含ませて
ユーノス
「、……。けれど、冒険者(このしごと)は最低限度の関わりではいられない」 怒気には気付き、少し気圧され もう一度口を開く。
クリムヒルト
「説教がしたいのなら、他所でやれ神官」
ユーノス
「説教ではありませんよ。ただ、何故なのだろうと」
「何をこうしろと申すつもりはありません。ただ、貴女を知りたいと思った。それだけですから」 窓から少女へと視線を戻す。
クリムヒルト
「お前に喜捨する銀貨(ガメル)は1枚もない」 その言葉に価値はないと 言ってのけて
「……余計なことをするな」
ユーノス
「神官としての言葉ではなく、独りの冒険者としての言葉であるとご理解ください」
「……」 余計な事をするな、と言われれば小さく頷く。
クリムヒルト
「だった尚更、価値が無い。そうは思わんか」
「神官でもないお前に、私を動かす価値があるのか」
ユーノス
「貴女にとっての価値を決めるのは自分ではありません」
「ただ、自分にはそうする、」 価値、と続けようとして 眉根を顰め
「……そうしたいと思う気持ちがあっただけですから」 これならば気持ち悪くない、と言葉にして
クリムヒルト
「……ふん」
「……知ったところで何も変わりはせん」
ユーノス
「何故、その様に?」
クリムヒルト
「事実を口にしただけだ」
ユーノス
「……」 取り付く島もない。困った様に微笑んで
「では、教えていただけませんか。"なにか"を約束しましょう」
クリムヒルト
「……しつこい男だ」 不機嫌そうに呟いて
ユーノス
「ご存じでしょう」 「……ネッチョリは嫌ですが」
クリムヒルト
「……」 返す言葉もなく
ユーノス
「……」 眉間に手を当てて 
クリムヒルト
「……1つだ」
「答えたらもう列車が止まるまで黙れ」
「それが嫌なら、お前がここを去れ」
ユーノス
その言葉を聞いて、黙れ、と言われた所で
「お聞かせください」 躊躇う事も無く、返答をした。
クリムヒルト
「……」 食い気味に言われて フードの中で少し戸惑う気配がした
「……ふん」
「私にとって必要なものだ。この仕事は」
ユーノス
その気配を感じ取ると 少しだけ嬉しそうに頬を緩めたが、続いた言葉にそれを収めた。
クリムヒルト
「──」 答えたぞ、とばかりに 間を置くように言葉を切って
ユーノス
「……」 明らかに続きを待つ様な気配を漂わせながら そうと言われるまでその姿勢を続けている。
 
がたんと揺れると 列車が緩やかに速度を落とす 伝声管を通じた車内アナウンスで 声が響く
『王都到着前に臨時点検を行います。1時間程で点検は終わります。ご了承ください』
クリムヒルト
「…‥」舌打ちが聞こえた
ユーノス
「ん――」 「点検、か」 速度が落ちて行き、流れる速度の遅くなった風景に視線を向けて
舌打ちが聞こえれば、少女へと向き直って 「どうかなさいましたか?」
クリムヒルト
「……答えたぞ」 付け加えるようにそう言って
ユーノス
「……」 きょとん、として そんな対応をされるとは思っていなかった様子だ。
「……酷い方だ」 徐々に速度が落ち やがて止まると、ゆっくりと口を開く。
クリムヒルト
「……1つは1つだ」
ユーノス
「ええ、約束はお守りしました」 微笑んで
「クリムヒルトさん」 ひとつ指を立てて
「もう一つ、伺っても?」
クリムヒルト
「……」 フードは微動だにせずに 「……」 いや ゆっくりと立ち上がって
「…‥時間の無駄だ」
ユーノス
「しかし、列車も止まっています。……もう少しだけ、聴いてくださいませんか」
クリムヒルト
「……聞くのは勝手だ」
立ち上がったまま、小さな影が対面のユーノスを見下ろして
ユーノス
「ええ。……貴女の槍を、支えさせて頂けませんか」 見下ろす影を、正面から見上げて
クリムヒルト
「……何故そう口にできる」
「お前に利が無かろう」
ユーノス
「利が無ければ、何かを為したいと思う気持ちは抱いてはいけませんか?」
クリムヒルト
「……道連れは必要ない」
「……巻き込まれようとするな。早死にしたくなければな」
ユーノス
「逆です、クリムヒルトさん」
クリムヒルト
「‥‥…」
ユーノス
「貴女は、……生き急いでいる様に思えます。必要だからと槍を持ち、冒険者になって」
「それでいて、他者との繋がりを最低限にしか持たない。必要なものであると言っているのに、それを盤石にしようとなさらない」
「ご存じでしょう。……冒険者が、その時々の仲間に脚を引かれて命を落とす事が少なくない事は」
言葉にするとしても選ばなさすぎるか。小さく心中で呟きながら、言葉を吐き切った。
クリムヒルト
「……なら、尚の事」
「私に近づくのはやめろ」
ユーノス
「何故ですか」
クリムヒルト
「お前が言ったではないか」
「足を引かれて死にたくなければ、近づくなと言っている」
そのまま身体の向きを変えると 歩き出す
ユーノス
「お断りします」 それを追う様に席を立ち、背に投げる。
クリムヒルト
「……来るなと言っている」 不機嫌な声で
ユーノス
「お断りすると言いました」 背を追って、歩を進め 
「貴女を死なせはしません。そして、自分も死にはしません。……それに。足を引かれるとも、思っていません」
クリムヒルト
「………しつこい男だ」 少し距離を取ってから、ユーノスの喉元に石突を突き付けて 「…次は穂先だ」
「これ以上、踏み込んでくるなら……その口、二度と叩けぬようにしてやる」
ユーノス
――……」 息を呑み、躊躇うように口を閉じる。
クリムヒルト
「……商人にでもなるのだな」 石突を下ろして 「そのしつこさは賞賛に値する。気の弱いものになら幾らでも物が売れよう」
「‥‥…」 背を向けて また歩き出す
ユーノス
「お断りします。……自分には、やる事がありますので」
歩き出した背中に答えて、じっとその背中に視線を向ける。
クリムヒルト
「……」せいぜい長生きできるようにするのだな そう口にしようとして呑み込んだ
「…‥しつこい男だ」 本当に
ユーノス
少し間を置いて、ゆっくりと口を開く。
「いつか、貴女にとって利となると思って頂けたのなら」
「先程の言葉も、思い出してください」 その時も、貴女はきっとそうなのだろうから。
クリムヒルト
「……」 がら、と列車の連結部を繋ぐ扉を開いて、車両から出て行く
ユーノス
その背を見送って、手近な席に座り込む。
――、……こ」 「怖かった……」 小さく絞り出し、しかし後悔はない様子で呟いた。
ユーノス
自分からはここまでで。
クリムヒルト
車両を1つ超えた後 空いた席に座り 包帯が巻かれた腕で窓ガラスに触れる
「‥…これ以上の道連れなど、必要ない…」 失われた場所、喪われた命。奪っていったもの……それらすべてに清算するまでは
この穂先が幾多の骸を見えようとも 進むしかもう道はない
願わくば、その果てにおいて、自らの終わりが来ることを、少女に見える彼女は祈った
クリムヒルト
こんなところだろう
ユーノス
ええ、今はこんなところでしょう。
クリムヒルト
うむ
もう会う事はないぞ
付いてくるなよ
ユーノス
そう、ですねえ
お会いしてしまうかもしれませんが。
クリムヒルト
むむ
では私は去るとしよう
ユーノス
自分も貴女も、追うものは一緒ですからね。お互いに今は知りませんが。
クリムヒルト
感謝しておいてやる
ユーノス
ええ、では自分も。
クリムヒルト
)))
ユーノス
)))
SYSTEM
クリムヒルトが退室しました。
SYSTEM
ユーノスが退室しました。
背景
BGM